JP2008116686A - 雑音抑圧装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】SSB変調を利用した帯域分割フィルタバンクを用い、ウィナーフィルタ理論に基づいたフィルタ係数により、雑音の低減を図る。その際、求まったフィルタ係数に処理を施すことによって、出力信号への歪を低減し、かつミュージカルノイズを低減する。具体的には、雑音の推定の際に過去のSNRを利用し、フィルタ係数が時間軸上で極端な変化をしないよう平滑化し、かつフィルタ係数が隣接する帯域の係数と極端に異なる値を持たないよう補正し、雑音区間の推定を行い雑音レベルへのかさ上げ量を可変させる。
【選択図】図1
Description
図1に本発明の雑音抑圧装置の構成と処理の流れを示す。この雑音抑圧装置は、マイクロホン10から入力してくる入力信号を周波数帯域に制限された信号に分割する帯域分割部20と、分割された信号と1対1対応の処理部30と、各処理部30において処理された信号を合成する帯域合成部40とで構成されている。
次に、以上のように構成された本雑音抑圧装置の動作について図2〜図12をも参照しながら詳述する。
As(t) = δ×|S| + (1-δ)×As(t-1) (1)
ここで、tはサンプル時間、(t-1)は1サンプル過去の時間を表す。Sはマイクロホンに入力する音声と雑音の混合した入力信号である。また、Asは入力信号の振幅推定値を表現している。δは瞬時値が推定値に与える影響をコントロールするためのパラメータであり、1以下の値とする。パラメータδを小さくすれば、振幅推定値Asは入力信号の平均値に近似され、大きくすれば入力信号の瞬時値に近くなる。
An(t) = δ×As + (1-δ)×An(t-1) (2)
δ=α when As/An ≦ TH
δ=0 when As/An > TH
0<α<1
(変数名は本発明のものに合わせている。)とし、SNRが悪いところ(THは閾値であり、一定の値である。)、つまり雑音区間でのみ雑音の推定を行っている。このような推定方法では、音声区間で雑音振幅の推定が行われず、雑音の変化に追従できず音声に歪が生じたり、雑音抑圧の効果が薄れてしまう。
An(t) = δ×As + (1-δ)×An(t-1) when ΣAs ≦ TH
An(t) = δ×(As-(η×Ao(t-1)+(1-η)×(As-An(t-1)) + (1-δ)×An(t-1) when
ΣAs > TH (3)
0.5<η<1
(変数名は本発明のものに合わせている。)としている。ここで、Aoは出力信号の振幅推定値を示している。この方法だと、非雑音区間では、1サンプル過去の音声のみが存在しているであろう出力信号(雑音抑圧処理を行った結果であるので)と入力信号から1サンプル過去の雑音成分を引き去った音声だけがあるであろう信号を考慮し、入力信号の中の雑音成分のみを抽出・雑音推定を行っているが、仮定が多い。例えば、(As-An(t-1))の式で音声のみが取り出せるのであれば、この項だけで雑音抑圧が可能である。実際には、これが困難であるから、付加機能を利用しており、(As-An(t-1))で音声のみが取り出せるかは疑問である。また、なにより計算が煩雑である。
An(t) = δ×As + (1-δ)×An(t-1) (4)
にパラメータγを追加し、
An(t) = δ×γ×As + (1-δ)×An(t-1) (5)
と変形する。ここで、Anは雑音振幅の推定値である。γについては信号・雑音比算出部5の説明にて詳しく説明するが、簡単にいえば、SNR(SignalNoiseRatio:ここではAs/An)の逆数である。式(5)のように、リーク積分の式を変形することによって、雑音区間では雑音信号そのもので学習が可能となり、かつ、音声区間ではAsに含まれる雑音信号の振幅値を推定し、学習することが可能となる。
γ=An/As
if An > As then γ=1.0 (6)
である。このγは、SNRの逆数であり、かつ入力信号の振幅が雑音振幅の推定値より小さい場合はγ=1.0とする。すなわち、雑音振幅推定値よりも入力信号が大きければ、この値は小さいものとなる。このγを雑音信号振幅推定部2で利用する。
δ×γ×As=δ×An/As×As≒δ×An (7)
と変形できる。従って、(5)式右辺全体は、音声を含まない雑音のみの値で更新が可能となる。すなわち、非雑音区間でも雑音の推定を精度良く行うことが可能となる。
L' = ( As - An )/As (8)
この式を式(6)のγを利用して展開すると、
L' = ( As - An )/As = 1 - γ (9)
となる。ここで、雑音振幅比較部4から最大減衰係数フラグが受け渡されていた場合には、L'の値を0とする。
L=L'
if ML > L' then L=ML (10)
とする。ここで求まった減衰係数Lは減衰係数平滑部7に渡される。
が、減衰係数平滑部7である。
SL(t) = δ×L + (1-δ)×SL(t-1) (11)
式(11)は減衰係数のリーク積分の式であり、SLが最終的な減衰係数となる。ここで、δはおよそ0.5とし、減衰係数の瞬時値に追従し易いものとする。これはδをあまり小さくし過ぎると、音声に歪みが生じてしまうためで、雑音抑圧性能と音声の歪みのトレードオフの関係を調整するパラメータとなる。
MD=0.2/0.8=0.25 (12)
となる。ここで、MDの最小値を0.5とした場合、MDが0.25であるので補正を行う。補正は、0.2の減衰係数であった帯域の減衰係数を、
0.2 → 0.8*MDの最小値=0.8×0.5=0.4 (13)
のように補正する。ここで、注意すべき点は、減衰係数が大きい(乗算値が小さい)帯域の減衰係数を補正している点である。また、周波数の最も高い帯域の減衰係数から補正をする。これにより、図9の2000Hz,2250Hzの帯域のように、2つの帯域で連続して補正が必要な場合でも補正が可能となる。
2 雑音信号振幅推定部
3 雑音区間推定部
4 雑音振幅比較部
5 信号・雑音比算出部
6 減衰係数算出部
7 減衰係数平滑部
8 帯域間減衰係数平滑部
9 乗算器
10 マイクロホン
20 帯域分割部
30 処理部
40 帯域合成部
Claims (4)
- スペクトルサブトラクション法を採用した雑音抑圧装置において、
音声信号と定常的な雑音信号が混在している時間領域の入力信号をSSB変調の利用により制限された周波数帯域の信号に分割する帯域分割手段と、
前記分割された周波数帯域の入力信号の内の雑音を抑圧する処理を行う周波数帯域対応の処理部と、
前記各処理部で処理された信号を合成することによって雑音の抑圧された一つの信号を出力する帯域合成部とで構成され、
前記各処理部は、
リーク積分により前記入力信号のフレーム間での減衰係数の差を抑えて時間軸上で平滑化し現在の信号の値の振幅値と雑音の振幅値を推定する振幅推定手段と、
前記振幅推定手段からの振幅値によりSNRを求めると共に減衰係数を決める減衰係数決定手段と、
前記減衰係数決定手段により決められた減衰係数により出力信号の歪みを低減するための減衰係数補正手段と、
前記減衰係数補正手段から得られた減衰係数を前記入力信号に乗じる乗算手段を有し、
前記振幅推定手段は、1フレーム分だけ過去の前記SNRの逆数でリーク積分の式を変形することにより音声区間であっても雑音推定を止めないことを特徴とする雑音抑圧装置。 - 前記振幅推定手段により得られた入力信号振幅推定値と雑音振幅推定値を比較して雑音区間を判断し、このとき雑音振幅推定値には2程度の係数を乗じ、また雑音区間では0.5程度、音声区間では1.0程度の雑音バイアス値を出力する雑音区間推定手段と、
前記振幅推定手段により得られる雑音振幅推定値と入力信号振幅推定値に前記雑音バイアス値を乗じて比較し、前記入力信号振幅推定値が小さければ、その帯域の減衰係数を最大とするような最大減衰係数フラグを前記減衰係数決定手段に出力する雑音振幅比較手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の雑音抑圧装置。 - 前記減衰係数決定手段は、
前記振幅推定からの推定振幅値を入力して、雑音振幅推定値を入力信号振幅推定値で除算したSNRの逆数を算出し、入力信号振幅推定値が雑音振幅推定値より小さい場合は該逆数を1.0として出力する信号・雑音比算出手段と、
前記信号・雑音比算出手段からのSNRの逆数と前記最大減衰係数フラグとにより減衰係数を算出して前記減衰係数補正手段へ出力する減衰係数算出手段とで構成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の雑音抑圧装置。 - 前記減衰係数補正手段は、
前記減衰係数決定手段減からの減衰係数についてリーク積分により時間軸上の平滑化を行う減衰係数平準手段と、
当該周波数帯域における前記減衰係数について、隣り合う帯域の減衰係数を調べ、その減衰係数との比が一定以上にならないよう減衰係数を小さくする方向にのみ補正する帯域間減衰係数平準手段とで構成されることを特徴とした請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の雑音抑圧装置。
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