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JP2008112701A - 燃料電池システム - Google Patents

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JP2008112701A JP2006296605A JP2006296605A JP2008112701A JP 2008112701 A JP2008112701 A JP 2008112701A JP 2006296605 A JP2006296605 A JP 2006296605A JP 2006296605 A JP2006296605 A JP 2006296605A JP 2008112701 A JP2008112701 A JP 2008112701A
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Abstract

【課題】運転中に排出弁の開弁異常を検出することが可能な燃料電池システムの提供。
【解決手段】燃料電池と、燃料供給源から供給される燃料ガスを前記燃料電池へと流すための供給流路と、前記供給流路の上流側のガス状態を調整して下流側に供給する可変ガス供給装置と、前記可変ガス供給装置を駆動制御する第1制御装置と、前記燃料電池から排出された燃料オフガスを排出弁を介して外部に放出可能なオフガス流路と、前記排出弁を駆動制御する第2制御装置と、前記排出弁の異常発生を検知する異常検知装置と、を備える燃料電池システムであって、前記異常検知装置は、前記可変ガス供給装置に対するガス供給指令量を用いて、前記排出弁が開弁状態から閉弁状態に戻らない開弁異常を検知する。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池の発電に伴い生成された不純物を排出するための排出弁をオフガス流路に有する燃料電池システムに関する。
従来より、反応ガス(燃料ガス及び酸化ガス)の供給を受けて発電を行う燃料電池を備えた燃料電池システムが提案され、実用化されている。また、近年においては、水素タンク等の燃料供給源から供給される燃料ガスを燃料電池へと流すための燃料供給流路に、機械式可変レギュレータやインジェクタ等の可変ガス供給装置を設けることにより、燃料供給源からの燃料ガスの供給圧力をシステムの運転状態に応じて変化させることを可能にした燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−302563号公報
かかる燃料電池システムにおける燃料電池の内部や燃料オフガスの循環流路には、発電に伴って生成された窒素や一酸化炭素等の不純物ガスや水分が経時的に蓄積する。このため、蓄積したガスや水分を外部に排出する目的で、循環流路(又は循環流路に接続した排出流路)に排気弁や排水弁等の排出弁を設け、この排出弁の開閉制御を行うことにより、ガスや水分を排出する技術(パージ技術)が提案されている。
しかしながら、この排出弁に例えば異物が噛み込む等して、開弁状態にある排出弁を閉弁制御しても開弁状態のまま閉弁することができない、いわゆる開弁異常が生じてしまうと、燃料電池へと循環させるべき燃料が無駄に排出されるという事態が起こり得るため、運転中に排出弁の開弁異常を検出する技術の開発が望まれている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、運転中に排出弁の開弁異常を検出することが可能な燃料電池システムの提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明に係る燃料電池システムは、燃料電池と、燃料供給源から供給される燃料ガスを前記燃料電池へと流すための供給流路と、前記供給流路の上流側のガス状態を調整して下流側に供給する可変ガス供給装置と、前記可変ガス供給装置を駆動制御する第1制御装置と、前記燃料電池から排出された燃料オフガスを排出弁を介して外部に放出可能なオフガス流路と、前記排出弁を駆動制御する第2制御装置と、前記排出弁の異常発生を検知する異常検知装置と、を備える燃料電池システムであって、前記異常検知装置は、前記可変ガス供給装置に対するガス供給指令量を用いて、前記排出弁が開弁状態から閉弁状態に戻らない開弁異常を検知するものである。
このような構成によれば、可変ガス供給装置に対するガス供給指令量を用いて排出弁の開弁異常を検知するので、当該開弁異常を運転中に遅滞なく検知することが可能となる。
前記燃料電池システムにおいて、前記異常検知装置は、前記可変ガス供給装置に対するPI制御則に基づくガス供給指令量をQreq、前記燃料電池での燃料ガス消費量をQfc、前記燃料電池内でのアノード極側からカソード極側へのクロスリーク量をQcl、ガス供給量増加量Qinc=Qreq−(Qfc+Qcl)としたときに、前記ガス供給量増加量Qincに基づいて、前記排出弁の開弁異常を検知するものでもよい。
また、前記燃料電池システムにおいて、前記異常検知装置は、前記ガス供給量増加量Qincが所定の第1閾値を超えた状態が所定時間継続した場合に、前記排出弁の開弁異常を検知するものでもよい。
さらに、前記燃料電池システムにおいて、前記第2制御装置は、前記異常検知装置により前記排出弁の開弁異常が検知されると、当該排出弁に対して開閉駆動制御を複数回繰り返すものでもよい。
この構成によれば、運転中に排出弁の開弁異常を検知した場合には、運転を停止させることなく、当該開弁異常を解除することが可能となる。
さらにまた、前記燃料電池システムにおいて、前記可変ガス供給装置は、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させる電磁駆動式の開閉弁(例えば、インジェクタ)であってもよい。前記排出弁についても同様に、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させる電磁駆動式の開閉弁であってもよい。
本発明によれば、排出弁の開弁異常を運転中に検出することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る燃料電池システム1について説明する。本実施形態においては、本発明を燃料電池車両(移動体)の車載発電システムに適用した例について説明することとするが、燃料電池車両以外の各種移動体(ロボット、船舶、航空機等)に本発明に係る燃料電池システムを搭載することもできる。また、本発明に係る燃料電池システムを、建物(住宅、ビル等)用の発電設備として用いられる定置用発電システムに適用してもよい。
まず、図1を用いて、本発明の実施形態に係る燃料電池システム1の構成について説明する。
本実施形態に係る燃料電池システム1は、図1に示すように、反応ガス(酸化ガス及び燃料ガス)の供給を受けて電力を発生する燃料電池10を備えるとともに、燃料電池10に酸化ガスとしての空気を供給する酸化ガス配管系2、燃料電池10に燃料ガスとしての水素ガスを供給する水素ガス配管系3、システム全体を統合制御する制御装置(第1制御装置、第2制御装置、異常検知装置)4等を備えている。
燃料電池10は、反応ガスの供給を受けて電気化学反応により発電する単電池を所要数積層して構成したスタック構造を有している。燃料電池10により発生した電力は、PCU(Power Control Unit)11に供給される。PCU11は、燃料電池10とトラクションモータ12との間に配置されるインバータやDC‐DCコンバータ等を備えている。また、燃料電池10には、発電中の電流を検出する電流センサ13が取り付けられている。
酸化ガス配管系2は、加湿器20により加湿された酸化ガス(空気)を燃料電池10に供給する空気供給流路21と、燃料電池10から排出された酸化オフガスを加湿器20に導く空気排出流路22と、加湿器21から外部に酸化オフガスを導くための排気流路23と、を備えている。空気供給流路21には、大気中の酸化ガスを取り込んで加湿器20に圧送するコンプレッサ24が設けられている。
水素ガス配管系3は、高圧(例えば70MPa)の水素ガスを貯留した燃料供給源としての水素タンク30と、水素タンク30の水素ガスを燃料電池10に供給するための燃料供給流路としての水素供給流路(供給流路)31と、燃料電池10から排出された水素オフガスを水素供給流路31に戻すための循環流路(オフガス流路)32と、を備えている。
なお、水素タンク30に代えて、炭化水素系の燃料から水素リッチな改質ガスを生成する改質器と、この改質器で生成した改質ガスを高圧状態にして蓄圧する高圧ガスタンクと、を燃料供給源として採用することもできる。また、水素吸蔵合金を有するタンクを燃料供給源として採用してもよい。
水素供給流路31には、水素タンク30からの水素ガスの供給を遮断又は許容する遮断弁33と、水素ガスの圧力を調整するレギュレータ34と、インジェクタ(可変ガス供給装置)35と、が設けられている。また、インジェクタ35の上流側には、水素供給流路31内の水素ガスの圧力及び温度を検出する一次側圧力センサ41及び温度センサ42が設けられている。
さらに、インジェクタ35の下流側であって水素供給流路31と循環流路32との合流部の上流側には、水素供給流路31内の水素ガスの圧力を検出する二次側圧力センサ43及び水素供給流路31内が所定の作動圧に達した際に開放されるリリーフ弁44が設けられている。
レギュレータ34は、その上流側圧力(一次圧)を、予め設定した二次圧に調圧する装置である。本実施形態においては、一次圧を減圧する機械式の減圧弁をレギュレータ34として採用している。機械式の減圧弁の構成としては、背圧室と調圧室とがダイアフラムを隔てて形成された筺体を有し、背圧室内の背圧により調圧室内で一次圧を所定の圧力に減圧して二次圧とする公知の構成を採用することができる。
インジェクタ35は、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させることによりガス流量やガス圧を調整することが可能な電磁駆動式の開閉弁である。インジェクタ35は、水素ガス等の気体燃料を噴射する噴射孔を有する弁座を備えるとともに、その気体燃料を噴射孔まで供給案内するノズルボディと、このノズルボディに対して軸線方向(気体流れ方向)に移動可能に収容保持され噴射孔を開閉する弁体と、を備えている。
本実施形態においては、インジェクタ35の弁体は電磁駆動装置であるソレノイドにより駆動され、このソレノイドに給電されるパルス状励磁電流のオン・オフにより、噴射孔の開口面積を2段階、多段階又は無段階に切り替えることができるようになっている。
なお、インジェクタ35の弁体の開閉によりガス流量が調整されるとともに、インジェクタ35の下流に供給されるガス圧力がインジェクタ35の上流のガス圧力より減圧されるため、インジェクタ35を調圧弁(減圧弁、レギュレータ)と解釈することもできる。また、本実施形態では、ガス要求に応じて所定の圧力範囲の中で要求圧力に一致するようにインジェクタ35の上流ガス圧の調圧量(減圧量)を変化させることが可能な可変調圧弁と解釈することもできる。
以上のとおり、インジェクタ35は、水素供給流路31の上流側のガス状態(ガス流量、水素モル濃度、ガス圧力)を調整して下流側に供給するものであり、本発明における可変ガス供給装置に相当する。
なお、本実施形態においては、図1に示すように、水素供給流路31と循環流路32との合流部A1より上流側にインジェクタ35を配置している。また、図1に破線で示すように、燃料供給源として複数の水素タンク30を採用する場合には、各水素タンク30から供給される水素ガスが合流する部分(水素ガス合流部A2)よりも下流側にインジェクタ35を配置するようにする。
循環流路32には、気液分離器36及び排気排水弁(排出弁)37を介して、排出流路(オフガス流路)38が接続されている。気液分離器36は、水素オフガスから水分を回収するものである。排気排水弁37は、制御装置4からの指令によって作動することにより、気液分離器36で回収した水分と、循環流路32内の不純物を含む水素オフガスと、を外部に排出(パージ)するものである。
具体的には、排気排水弁37は、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させることが可能な電磁駆動式の開閉弁である。排気排水弁37の弁体は電磁駆動装置であるソレノイドにより駆動され、このソレノイドに給電されるパルス状励磁電流のオン・オフにより、排気排水口の開口面積を2段階、多段階又は無段階に切り替えることができるようになっている。
また、循環流路32には、循環流路32内の水素オフガスを加圧して水素供給流路31側へ送り出す水素ポンプ39が設けられている。なお、排気排水弁37及び排出流路38を介して排出される水素オフガスは、希釈器40によって希釈されて排気流路32内の酸化オフガスと合流するようになっている。
制御装置4は、車両に設けられた加速操作装置(アクセル等)の操作量を検出し、加速要求値(例えばトラクションモータ12等の負荷装置からの要求発電量)等の制御情報を受けて、システム内の各種機器の動作を制御する。
なお、負荷装置とは、トラクションモータ12のほかに、燃料電池10を作動させるために必要な補機装置(例えばコンプレッサ24、水素ポンプ39、冷却ポンプのモータ等)、車両の走行に関与する各種装置(変速機、車輪制御装置、操舵装置、懸架装置等)で使用されるアクチュエータ、乗員空間の空調装置(エアコン)、照明、オーディオ等を含む電力消費装置を総称したものである。
制御装置4は、図示していないコンピュータシステムによって構成されている。かかるコンピュータシステムは、CPU、ROM、RAM、HDD、入出力インタフェース及びディスプレイ等を備えるものであり、ROMに記録された各種制御プログラムをCPUが読み込んで所望の演算を実行することにより、後述するフィードバック制御やパージ制御など種々の処理や制御を行う。
具体的には、制御装置4は、図2に示すように、電流センサ13で検出した燃料電池10の発電電流値に基づいて、燃料電池10で消費される水素ガスの流量(以下「水素消費量」という)を算出する(燃料消費量算出機能:B1)。本実施形態においては、発電電流値と水素消費量との関係を表す特定の演算式を用いて、制御装置4の演算周期毎に水素消費量を算出し更新することとしている。
また、制御装置4は、燃料電池10の発電電流値に基づいて、燃料電池10に供給される水素ガスのインジェクタ35の下流位置における目標圧力値を算出する(目標圧力値算出機能:B2)。本実施形態においては、発電電流値と目標圧力値との関係を表す特定のマップを用いて、制御装置4の演算周期毎に目標圧力値を算出している。
また、制御装置4は、算出した目標圧力値と、圧力センサ43で検出したインジェクタ35の下流位置の圧力値(検出圧力値)と、の偏差を算出する(圧力差算出機能:B3)。そして、制御装置4は、算出した偏差を低減させるために、フィードバック補正流量としてのP項(比例項)の算出(P項算出機能:B4)及びI項(積分項)の算出(I項算出機能:B5)を行う。
つまり、本実施形態においては、目標追従型のPI制御を用いてフィードバック補正流量を算出している。そして、制御装置4は、上記水素消費量と燃料電池10内で生じるクロスリーク量との加算値に上記P項を加算し、この加算値に上記I項を乗じることにより、インジェクタ35の噴射流量を算出する(噴射流量算出機能:B7)。
ここで、インジェクタ35の下流位置において前回算出した目標圧力値と、今回算出した目標圧力値と、の偏差に対応するフィードフォワード補正流量を算出し(フィードフォワード補正流量算出機能)、このフィードフォワード補正流量を前記加算値(=水素消費量+クロスリーク量+P項)に加算し、この加算値に上記I項を乗じることにより、インジェクタ35の噴射流量を算出するようにしてもよい。
かかる場合におけるフィードフィードフォワード補正流量は、目標圧力値の変化に起因する水素ガス流量の変動分(目標圧変動補正流量)であり、例えば、目標圧力値の偏差とフィードフォワード補正流量との関係を表す特定の演算式を用いて、制御装置4の演算周期毎に更新するものである。
クロスリーク量は、燃料電池10内の燃料ガス流路(アノード極側)から電解質膜を介して酸化ガス流路(カソード極側)へと透過する水素ガスの量であり、本実施形態ではインジェクタ35の下流位置における水素ガスの圧力値(圧力センサ43での検出圧力値)に基づいて算出する(クロスリーク量算出機能:B6)。具体的には、インジェクタ35の下流位置における水素ガスの圧力値とクロスリーク量との関係を表す特定のマップを用いて、クロスリーク量を算出している。
一方、制御装置4は、インジェクタ35の上流のガス状態(圧力センサ41で検出した水素ガスの圧力及び温度センサ42で検出した水素ガスの温度)に基づいて、インジェクタ35の上流の静的流量を算出する(静的流量算出機能:B8)。本実施形態においては、インジェクタ35の上流側の水素ガスの圧力及び温度と静的流量との関係を表す特定の演算式を用いて、制御装置4の演算周期毎に静的流量を算出して更新することとしている。
制御装置4は、上記インジェクタ35の噴射流量を上記静的流量で除算(Duty算出機能:B9)した値に、インジェクタ35の駆動周期を乗じることにより、インジェクタ35の基本噴射時間を算出する(基本噴射時間算出機能:B10)とともに、この基本噴射時間に、後述する無効噴射時間を加算してインジェクタ35の総噴射時間を算出する(総噴射時間算出機能:B12)。
この駆動周期とは、インジェクタ35の噴射孔の開閉状態を表す段状(オン・オフ)波形の周期を意味し、本実施形態においては、制御装置4により駆動周期を一定の値に設定している。
無効噴射時間とは、インジェクタ35が制御装置4から制御信号を受けてから実際に噴射を開始するまでに要する時間を意味し、本実施形態においては、インジェクタ35の上流側の水素ガスの圧力と、インジェクタ35の基本噴射時間と、当該無効噴射時間との関係を表す特定のマップを用いて、制御装置4の演算周期毎に無効噴射時間を算出して更新することとしている(無効噴射時間算出機能:B11)。
そして、制御装置4は、以上の手順を経て算出したインジェクタ35の総噴射時間を実現させるための制御信号を出力することにより、インジェクタ35のガス噴射時間及びガス噴射時期を制御して、燃料電池10に供給される水素ガスの流量及び圧力を調整する。
また、制御装置4は、インジェクタ35のフィードバック制御(インジェクタ35の下流位置の検出圧力値を所定の目標圧力値に追従させるようなインジェクタ35のガス噴射時間及びガス噴射時期の制御)を行うと同時に、パージ制御(排気排水弁37の開閉制御)を行うことにより、循環流路32内の水分及び水素オフガスを排気排水弁37から外部に排出する。
このパージ制御において、制御装置4は、開放された排気排水弁37からの水素オフガスの総排出量を推定する。また、この推定に際して、インジェクタ35の噴射流量推定値Qinjを用いるので、制御装置4は、上記水素消費量と上記P項と上記クロスリーク量との加算値に、所定の単位変換を施した値をインジェクタ35の噴射流量推定値Qinjと推定する(噴射流量推定機能:B21)。
また、このパージ制御に伴い作動する排気排水弁37に例えば異物が噛み込む等して、開弁状態にある排気排水弁37を閉弁制御しても開弁状態のまま閉弁することができない、いわゆる開弁異常が生じると、燃料電池10へと循環させるべき燃料(水素ガス)が無駄に外部に排出されてしまうため、制御装置4は、燃料電池10の運転中に排気排水弁37の開弁異常の有無を監視する。
具体的には、前記噴射流量算出機能B7で算出されたインジェクタ35の噴射流量、つまり、インジェクタ35に対するPI制御則に基づくガス供給指令量をQreq、前記燃料消費量算出機能B1で算出された水素消費量、つまり、燃料電池10での燃料ガス消費量をQfc、前記クロスリーク量算出機能B6で算出された燃料電池10内でのアノード極側からカソード極側へのクロスリーク量をQclとしたときに、噴射流量増加量算出機能B31でQinc=Qreq−(Qfc+Qcl)の式より算出されるインジェタク噴射流量増加量(ガス供給量増加量)Qincに基づいて、排気排水弁37の開弁異常を監視する。
制御装置4は、このインジェタク噴射流量増加量Qincが所定の第1閾値を超えた状態が所定時間継続した場合に、排気排水弁37に開弁異常が生じていると判断(開弁異常を検知)し、開弁異常状態から正常状態への復帰を試みるべく、当該排気排水弁37に対して開閉駆動制御(開弁異常解除制御)を複数回繰り返す。
次に、図3および図4のタイムチャートを用いて、燃料電池システム1の開弁異常解除制御について説明する。
図3のタイムチャートにおいて、(a)は、排気排水弁37の正常および異常(開弁異常)の状態を、(b)は二次側圧力センサ43で検出されるインジェクタ35の出口圧を、(c)は噴射流量増加量算出機能B31で算出されるインジェクタ噴射流量の増加量を、(d)はインジェクタ噴射流量に増加異常が生じたこと、つまり、排気排水弁37に開弁異常が生じたことを示すインジェクタ噴射流量増加異常フラグをそれぞれ示している。
また、図4のタイムチャートにおいて、(a)は図3(d)と同様にインジェクタ噴射流量増加異常フラグを、(b)は制御装置4による排気排水弁37の開閉指令を、(c)は図3(b)と同様に二次側圧力センサ43で検出されるインジェクタ35の出口圧を、(d)は強制間欠運転による水素漏れ検知の駆動指令、(e)は排気排水弁37に開弁異常が生じたことを示すダイアグコードを、(f)はインジェタク噴射流量に増加異常が生じたことを示すダイアグコードを、(g)は制御装置4によるコンプレッサ24の駆動で制御される希釈器40における最低酸化オフガス量(希釈器最低エア量)をそれぞれ示している。
制御装置4は、排気排水弁37に開弁異常が生じて(t1時点)、開弁異常解除制御が開始される(t3時点)までは、通常のパージ制御を行う。制御装置4が通常のパージ制御により排気排水弁37を開弁制御する、言い換えれば、排気排水弁37への開弁指令をONする、さらに言い換えれば、ソレノイドへの通電により得られる電磁駆動力によって弁体が弁座から離隔した開弁状態を保持できる開弁保持電流を当該ソレノイドに通電する指令を発し、所定時間経過後、排気排水弁37を閉弁制御する、言い換えれば、排気排水弁37への開弁指令をOFFする、さらに言い換えれば、ソレノイドへの通電を遮断する指令あるいは電磁駆動力によっては弁体が弁座から離隔した状態を保持することができない電流をソレノイドに通電する指令を発したときに、排気排水弁37に異物が噛み込んで、開弁状態にある排気排水弁37を閉弁制御しても開弁状態のまま閉弁できない開弁異常を生じてしまうと、噴射流量増加量算出機能B31で算出されるインジェタク噴射流量増加量Qincが図3(c)に示すように上昇を続ける。
このとき、制御装置4は、インジェタク噴射流量増加量Qincを監視しており、排気排出弁37に開弁異常が生じて、当該インジェタク噴射流量増加量Qincが正常時には生じ得ない所定の検知閾値(第1閾値)X1を超えると(t2時点)、所定の待機時間T1が経過(t3時点)するのを待つ。そして、制御装置4は、インジェタク噴射流量増加量Qincが検知閾値X1を超えてから待機時間T1が経過した場合には、インジェクタ35の噴射流量に増加異常があると判断し、図3(d)に示すインジェクタ噴射流量増加異常フラグを「OFF」から「ON」にセットする。
インジェクタ噴射流量増加異常フラグに「ON」がセットされていると、制御装置4は、排気排水弁37に開弁異常が生じていると判断し(t3時点)、開弁異常解除のための開閉駆動制御を行う。以下、この開閉駆動制御について、図4のタイムチャートを用いて説明する。なお、図4において、図3のタイムチャートと同一部分には、同一符号を付している。
制御装置4は、排気排水弁37の開弁異常を検知すると、排気排水弁37に対して、図4(b)に示す開弁異常解除のための排気排水弁37への開閉駆動制御を所定の複数回、具体的には3回だけ繰り返す。
つまり、排気排水弁37を開弁制御するべく開弁指令をONし(t3時点)、続いて、排気排水弁37を閉弁制御するべく開弁指令をOFFした後(t4時点)、再び排気排水弁37への開弁指令をONし(t5時点)、続いて排気排水弁37への開弁指令をOFFして(t6時点)、再び排気排水弁37への開弁指令をONした後(t7時点)、排気排水弁37への開弁指令をOFFする(t8時点)。この開弁異常解除のための開閉駆動制御においては、排気排水弁37を所定の駆動周期でON・OFF制御(例えば、1秒間隔でON・OFF制御)する。
しかる後、制御装置4は、図4(d)に示すように、強制間欠運転による水素漏れ検知駆動指令として「ON」の信号を発し(t9時点)、インジェクタ35及び排気排水弁37を閉弁する。これにより、インジェクタ35から燃料電池10内のガス流路を含む排気排水弁37までの水素供給流路31および循環流路32に閉空間が形成されるので、制御装置4は、この閉空間内の圧力変化(あるいは変化率)を二次側圧力センサ43で監視する。
つまり、排気排水弁37の開弁異常は、前記閉空間からの水素漏れの一因となり得るため、制御装置4は、図4(c)に示すインジェクタ35の出口圧が時間経過に伴い低下する場合には、前記開閉駆動制御によっても排気排水弁37の開弁異常が解除されなかったと判断し、図4(e)に示すように、排気排水弁37の開弁異常ダイアグコードを、開弁異常の履歴がないことを示す「OFF」から履歴があることを示す「ON」に書き換える(t10時点)。
かかる場合には、これと同時(t10時点)に、図4(g)に示すようにコンプレッサ24の駆動を停止させて希釈器40における最低酸化オフガス量を「0」として燃料電池10の運転を完全に停止させる。また、インジェクタ噴射流量増加異常フラグを「ON」から「OFF」にリセットする。
他方、図4(c)に示すインジェクタ35の出口圧が所定の時間を経過しても変化しない、あるいは殆ど変化しない場合、制御装置4は、図4(b)に示す前記開閉駆動制御によって排気排水弁37の開弁異常が解除されたと判断するが、何らかの原因でインジェクタ35に噴射流量の増加異常が生じたことを事後的に確認できるように、図4(f)に示すように、インジェクタ35の噴射量増加異常ダイアグコードを、インジェクタ35に噴射流量の増加異常の履歴がないことを示す「OFF」から履歴があること示す「ON」に書き換える(t10時点)。
以上説明した実施形態に係る燃料電池システム1によれば、排気排水弁37に例えば異物が噛み込む等して開弁状態のまま閉弁できない開弁異常を生じた場合であっても、制御装置4が所定の制御周期で算出されるインジェタク噴射流量増加量Qincに基づいて当該開弁異常を監視しているので、排気排水弁37の開弁異常を運転中に遅滞なく検知することが可能となる。
そして、排気排水弁37に開弁異常が生じた場合には、この排気排水弁37の開弁異常を改善すべく、排気排水弁37に対して開閉駆動制御を複数回繰り返す開弁異常解除制御を行うので、これにより当該開弁異常が解除された場合には、燃料電池システム1の運転をユーザーの意に反して停止させることなく、継続させることが可能となる。
また、排気排水弁37の開弁異常ダイアグコードあるいはインジェクタ35の噴射流量増加異常ダイアグコードが「ON」となっている場合には、その後、メンテナンス時等に制御装置4からこれらのダイアグコードを読み出すことで、開弁異常に起因してインジェクタ35の噴射流量増加異常が生じたり、それ以外の要因によりインジェクタ35の噴射流量増加異常が生じたりという原因履歴が確認可能となるので、排気排水弁37の交換あるいは修理という対応を即座に行うことができる。
なお、以上の実施形態においては、排気排水弁37に開弁異常が生じて、この排気排水弁37の開弁異常を改善させる場合として、排気排水弁37に対して開閉駆動制御を複数回繰り返す開弁異常解除制御を行った後に、開弁異常停止制御を行う場合を例にとって説明したが、排気排水弁37の開弁異常の発生後に、開弁異常解除制御を行うことなく開閉異常時停止制御を行っても良い。
また、以上の実施形態においては、排気と排水との双方を実現させる排気排水弁37を循環流路32に設けた例を示したが、気液分離器36で回収した水分を外部に排出する排水弁と、循環流路32内のガスを外部に排出するための排気弁と、を別々に設け、制御装置4で排気弁を制御することもできる。
本発明の実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 図1に示す燃料電池システムの制御態様を説明するための制御ブロック図である。 図1に示した燃料電池システムの開弁異常解除制御を説明するためのタイムチャートである。 図1に示した燃料電池システムにおける開弁異常停止制御を説明するためのタイムチャートである。
符号の説明
1…燃料電池システム、4…制御装置(第1制御装置、第2制御装置、異常検知装置)、10…燃料電池、30…水素タンク(燃料供給源)、31…水素供給流路(供給流路)、32…循環流路(オフガス流路)、35…インジェクタ(可変ガス供給装置、開閉弁)、37…排気排水弁(排出弁)、38…排出流路(オフガス流路)、X1…検知閾値(第1閾値)、T1…待機時間(所定時間)

Claims (6)

  1. 燃料電池と、燃料供給源から供給される燃料ガスを前記燃料電池へと流すための供給流路と、前記供給流路の上流側のガス状態を調整して下流側に供給する可変ガス供給装置と、前記可変ガス供給装置を駆動制御する第1制御装置と、前記燃料電池から排出された燃料オフガスを排出弁を介して外部に放出可能なオフガス流路と、前記排出弁を駆動制御する第2制御装置と、前記排出弁の異常発生を検知する異常検知装置と、を備える燃料電池システムであって、
    前記異常検知装置は、前記可変ガス供給装置に対するガス供給指令量を用いて、前記排出弁が開弁状態から閉弁状態に戻らない開弁異常を検知する燃料電池システム。
  2. 前記異常検知装置は、前記可変ガス供給装置に対するPI制御則に基づくガス供給指令量をQreq、前記燃料電池での燃料ガス消費量をQfc、前記燃料電池内でのアノード極側からカソード極側へのクロスリーク量をQcl、ガス供給量増加量Qinc=Qreq−(Qfc+Qcl)としたときに、前記ガス供給量増加量Qincに基づいて、前記排出弁の開弁異常を検知する請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記異常検知装置は、前記ガス供給量増加量Qincが所定の第1閾値を超えた状態が所定時間継続した場合に、前記排出弁の開弁異常を検知する請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記第2制御装置は、前記異常検知装置により前記排出弁の開弁異常が検知されると、当該排出弁に対して開閉駆動制御を複数回繰り返す請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池システム。
  5. 前記可変ガス供給装置は、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させる電磁駆動式の開閉弁である請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池システム。
  6. 前記排出弁は、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させる電磁駆動式の開閉弁である請求項1から5のいずれかに記載の燃料電池システム。
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