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JP2008107519A - 光ファイバケーブル - Google Patents

光ファイバケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】光ファイバ心線の伝送特性を悪化させることなく、しかも、蝉等による光ファイバ心線の損傷の防止することができる光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】光ファイバケーブル10は、光ファイバ心線11あるいは光ファイバテープ心線の両側にテンションメンバ12を平行に配して、テンションメンバ12が配されていない側の光ファイバ心線11の両側に防護壁14を縦添えして、ケーブル外被13で一括被覆することで形成する。防護壁14には、ケーブル長に対して0から0.4%の余長をもたせる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバケーブルに関し、より詳細には、光ファイバ心線あるいは光ファイバテープ心線の両側にテンションメンバを配し外被で一括被覆して、例えばドロップ光ケーブルやインドア光ケーブルとして用いるような光ファイバケーブルに関する。
インターネット等の急速な普及により情報通信の高速化、情報量の増大に加え、最近では双方向通信と大容量通信の光ネットワークの構築が進展し、通信事業者と各家庭を直接光ファイバで結び高速通信サービスを提供するFTTH(Fiber To The Home)サービスが開始されている。これにより、屋内配線用のインドア光ケーブルや宅内への引き込みに用いられるドロップ光ケーブルの需要が増えている。これらの光ファイバケーブルは、一般に、光ファイバ心線と平行にテンションメンバをケーブル外被内に埋設して、ケーブルの引張り強度を高めた構造のものが用いられている。
この構造の光ファイバケーブルの使用増加に伴って、従来にはなかった問題も発生するようになっている。例えば、ドロップ光ケーブルには、通常、ケーブル外被を手で引き裂いて内部の光ファイバ心線を取り出すためのV字状等のノッチが設けられているが、このノッチ部分から蝉が産卵管を突き刺し、内部の光ファイバを損傷する事例が生じている。これは、ドロップ光ケーブルを蝉が産卵しやすい対象物と認識したものと推定されている。
この蝉による対策としては、1本の光ファイバ心線の両脇に平行して2本のテンションメンバが配置され矩形状に一括被覆されたケーブルにおいて、内部の光ファイバ心線の周りを金属のような蝉の産卵管より硬い保護部材で包囲する構成のものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、その保護部材が長手方向に半割状態になっている構造も開示されている。また、同様の対策としては、テンションメンバが配されていない側の光ファイバ心線の両側部に硬い保護部材(テープ)を配して、保護する構成のものが知られている(例えば、特許文献2を参照)。これらの保護部材は、防護壁となるものであり、その硬さを考慮することで栗鼠等のげっ歯動物などの他の動物を対象とした防護壁としても機能する。
特開2002−90591号公報 特開2006−11166号公報
しかしながら、特許文献1に記載のケーブル構造では、光ファイバ心線を保護部材で包囲するための製造コストが高いだけでなく、ケーブルの曲げ剛性も高くなる。
また、特許文献1に記載のごとき防護壁が半割状態をもつケーブル構造や、特許文献2に記載のごとき、光ファイバ心線(テープ心線である場合も含む)の周辺にナイロンテープなどの防護壁を実装するケーブル構造においては、ケーブルを曲げると防護壁の歪が変化し、その側圧で、光ファイバ心線の光伝送特が悪化することがある。
より具体的には、ケーブルを曲げた場合、中心に位置する光ファイバ心線に対して、曲げの外側に位置する防護壁は軌跡長が長くなり、内側は短くなる。その為、外側の防護壁は余長がない状態で実装されていると、防護壁が張り歪となる。一方で、内側の防護壁は、初期の歪み状態によっては余長過多となると圧縮され蛇行が大きくなる。これら防護壁の歪みから、光ファイバ心線に側圧を与え、光ファイバ心線の伝送特性が悪化する。
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、光ファイバ心線の伝送特性を悪化させることなく、しかも、蝉等による光ファイバ心線の損傷の防止することができる光ファイバケーブルの提供を目的とする。
本発明による光ファイバケーブルは、光ファイバ心線あるいは光ファイバテープ心線の両側にテンションメンバを並行に配し、テンションメンバが配されていない側の両側に防護壁を縦添えして、ケーブル外被で一括被覆した光ファイバケーブルで、この防護壁は、ケーブル長に対して0から0.4%の余長を有していることを特徴とする。
ここで、余長としては0.1から0.3%であることが好ましい。また、光ファイバ心線あるいは光ファイバテープ心線と防護壁の距離を0.20mm以下とすることが好ましい。
本発明によれば、光ファイバケーブルにおいて、光ファイバ心線の伝送特性を悪化させることなく、しかも、蝉等による光ファイバ心線の損傷の防止することが可能となる。
図により本発明の実施の形態を説明する。図1及び図2は、本発明に係る光ファイバケーブルの構造例を示す断面図で、図1(A)〜(D)、図2(A)〜(D)では、それぞれ異なる構造例を示している。図中、10は光ファイバケーブル(単に「光ケーブル」ともいう)、11は光ファイバ心線、12はテンションメンバ、13はケーブル外被、14は防護壁、15はノッチ、16は支持線部、17はメッセンジャーワイヤー、18は首部を示す。
本発明による光ファイバケーブル10は、図1及び図2で例示するように、ケーブル外被13の一端に、細幅の首部18により連結された除去可能な支持線部16を設けて自己支持形の架空光ケーブルとして使用するのに適した構成とすることができる。また、支持線部16は必要に応じ除去して使用することもでき、図示しないが、初めから支持線部16を有しない光ケーブルであっても適用することができる。
本発明による光ファイバケーブル10は、例えば図1(A),(C)に示すように、1本又は複数本の光ファイバ心線11の両側にテンションメンバ12を平行に配し、ケーブル外被13により一体に被覆して光ファイバ心線11に対する引張り強度を高めた構造のものである。そして、テンションメンバ12が配されていない側のケーブル外被13の両側部には、防護壁14を光ファイバ心線11に接触するように縦添えで配し、テンションメンバ12とともに、ケーブル外被13により一括被覆している。
また、本発明による光ファイバケーブル10としては、例えば図1(B),(D)に示すように、テンションメンバ12が配されていない側のケーブル外被13の両側部には、防護壁14を光ファイバ心線11から離間した状態で縦添えで配し、テンションメンバ12とともに、ケーブル外被13により一括被覆したものも適用できる。
また、本発明による光ファイバケーブル10としては、例えば図2(A)〜(D)に示すように、ケーブル外被13の所定の1又は複数箇所、外側から内側に向かうV字状等のノッチ15が設けられているものも適用できる。ノッチ15は、ケーブル切り裂き用として用いられる。
さらに、本発明による光ファイバケーブル10としては、例えば、図2(A),(B)に示すように、光ファイバ心線11を複数本平行一列に並べて一体化したテープ心線が、1又は複数組み設けられたものも適用できる。すなわち、本発明による光ファイバケーブル10としては、1本又は複数本の光ファイバテープ心線の両側にテンションメンバ12を平行に配し、ケーブル外被13により一体に被覆して光ファイバテープ心線に対する引張り強度を高めた構造のものも適用できる。
また、本発明による光ファイバケーブル10としては、例えば、図2(C),(D)に示すように、光ファイバ心線11が複数列、組み合わさるように配列されたものにも適用できる。図2(C)の光ファイバケーブル10は、複数本の光ファイバ心線11を2列にして配列し、防護壁14を光ファイバ心線11の配列面に直接接触するように両側から挟んで配置して構成したものである。図2(D)の光ファイバケーブル10は、図2(C)と異なり、上述したように防護壁14を光ファイバ心線11から離間した状態で縦添えにより配されてなる。
次に、図1及び図2で例示した光ファイバケーブル10の各構成要素について説明する。支持線部16は、メッセンジャーワイヤー17として、例えば外径1.2mm程度の鋼線を有し、その鋼線が被覆されてなる。この被覆の材料としては、ポリエチレン、難燃ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどを用いることができ、首部18にも同様の材料を用いることができる。
光ファイバ心線11は、例えば、標準外径が125μmのガラスファイバで、被覆外径が250μm前後又は500μm前後とした光ファイバ心線、あるいは、その外側にさらに補強被覆を施した構成のもの等が含まれる。
テンションメンバ12には、引張り及び圧縮に対する耐力を有する線材、例えば、外径0.4〜0.8mm程度の鋼線あるいはガラス繊維強化プラスチック(FRP)、アラミド繊維強化プラスチック(K−FRP)などを用い、高温から低温の使用温度環境で光ファイバの伸張縮小による応力発生に対して、長期の使用に耐えるように構成されている。テンションメンバ12は、2本配置され、その直線上の中央に、光ファイバ心線や4心テープ心線が単数ないし複数配されている。
ケーブル外被13は、例えば、断面が矩形状(他に楕円状であってもよい)、光ファイバ心線11とテンションメンバ12を一体化すると共に、光ファイバを外力から保護している。このケーブル外被13の材料としては、ポリエチレン、難燃ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどを用いることができる。
防護壁14は、蝉の産卵管が光ファイバケーブル10に刺さることにより光ファイバ心線11の伝送悪化を引き起こす重大な被害に対処すべく、光ファイバ心線11を保護する目的で設けられたものであり、支持線部16のメッセンジャーワイヤー17と2本のテンションメンバ12を結ぶ直線に対して、平行且つファイバ両側に配されている。
また、防護壁14の幅は光ファイバ心線11の配列幅より大きい値とするのが望ましい。この理由は、蝉の産卵管等の危害が及ばないようにする為と、切込み刃をもつ工具で光ファイバケーブル10から内部の光ファイバ心線11を取り出す際に、切込み刃が光ファイバ心線11に直接当たらないようにする為である。
防護壁14としては、例えば、厚さが0.2mm程度でケーブル外被13とは接着性が悪く容易に剥離することが可能な材料で形成された合成樹脂製のテープが用いられる。合成樹脂製の剥離テープには、ケーブル外被成形時の温度により溶融しない高い融点を有する材料のものを用いることにより、ケーブル外被13と剥離テープとの溶着を防ぐことができる。このテープ材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド樹脂(ナイロンと呼ばれるポリアミド系繊維も含む)、ポリエステルエラストマー等を用いることができる。また、これらの樹脂材は、ケーブル外被13よりは硬質のものとすることにより、光ファイバ心線を蝉の産卵管の突き刺しから保護することが可能となる。
次に、本発明の主たる特徴部分である防護壁の余長について説明する。図3は、本発明の光ファイバケーブルにおける防護壁の余長を説明するための図で、図3(A)はメッセンジャーワイヤーの許容曲げ径を説明するための図、図3(B)は防護壁の歪みを計算するための各パラメータを示す図である。なお、後に距離Xとして説明する光ファイバ心線11から防護壁14までの距離は、離れている構造を基本に以下記述するが、接触する構造においても、同様に考えることができる。
光ファイバケーブル10においては、本体部に2本のテンションメンバ12が収容されているため、光ファイバケーブル10を曲げると、首部18の有無や首部18及び支持線部16及びメッセンジャーワイヤー17の有無を問わず、図3(B)のe方向に曲げ中心を持つように曲がる特性を有する。
このとき、層心径の違いから、曲げの中心に対して光ファイバ心線11の外側に配置される防護壁14の軌跡長は、ケーブル中心(=光ファイバ位置)の軌跡長より長くなる。そのため、ケーブル長と同一の長さで防護壁14が実装されてしまうと、その曲がりの外側に位置される防護壁14は、光ファイバケーブル10の中心側に配置される光ファイバ心線11(テープ心線の場合も含む。以下同様)よりも、層心径が大きくなり、軌跡長が増加し張り歪となってしまう。防護壁14が張り歪となると、その内側に位置する光ファイバ心線11に側圧を与え、伝送損失を悪化することがある。反対に内側の防護壁14は、曲げにより軌跡が短くなり、余り歪となる。余り歪み過多となり、防護壁14の圧縮によって吸収できなくなると蛇行が生じ、光ファイバ心線11に側圧を与えてしまう。
これを解決するためには、光ファイバケーブル10の曲げに応じて変動する防護壁14の軌跡長分を考慮し、外側の防護壁14の張り歪過多と、内側の防護壁14の余長過多を推定し、適度な余長を予め防護壁14に与えておくことで伝送特性悪化を防止し、また、安定した伝送特性の光ケーブルを得ることができる。以下、この適度な余長について述べる。
まずは、外側の防護壁14に生じる張り歪について述べる。
光ファイバケーブル10の許容最小曲げ径は、メッセンジャーワイヤー(支持線)17の許容曲げ径によって決定される。光ファイバケーブル10は、通常、メッセンジャーワイヤー17として公称φ1.2〜2.6mm程度、もしくはそれより若干大きい径の鋼線、メッキ鋼線を用いている。この鋼線類の曲げによる線癖を防止するためには、曲げにより鋼線表面に加わる歪を降伏点(破断強度の75%程度)以下に抑える必要がある。図3(A)に示すように、メッセンジャーワイヤー17の直径をd、メッセンジャーワイヤー17の許容曲げ径(最小曲げ径)をDとすると、一般的には、鋼線径d×200が最小許容曲げ径Dとなる。従って、鋼線径dが1.2mmの場合は、φ250mm前後の曲げ径が最小曲げ径Dとなる。
例えば、メッセンジャーワイヤー17がφ1.2メッキ鋼線である場合には、破断強度が125kg/mm、降伏点が破断強度の75%、ヤング率(E)が約20000kg/mmとなる。このとき、降伏強度は、125kg/mm×75%=93.75kg/mmとなり、降伏強度相当の歪みは93.75kg/mm÷20000kg/mm=0.0046875となる。一方で歪みεは下式で与えられ、この歪みが0.0046875であり、d=1.2mmであるので、メッセンジャーワイヤー17の許容曲げ径Dは254.8mmとなり、250mm前後が最小径とすることができる。
歪(ε)=〔π(D+2d)−π(D+d)〕/〔π(D+d)〕
=d/(D+d)
=1.2/(D+1.2)=0.0046875
表1に、最小曲げ径Dを250mmに想定したときの防護壁14に発生する計算上の歪み量を示す。ここで、防護壁の厚みは0.2mmとし、光ファイバ心線11から防護壁14までの距離Xは、本来の目的である蝉産卵管等の対策効果を損なわないために、ファイバ近傍の0.05、0.1、0.15、0.20mmの4水準とし、防護壁14の歪みを求めた(それぞれ試料I,II,III,IVとする)。なお、表1では、各パラメータを図3(B)で規定し、防護壁14の歪み以外の単位はmmとしている。
Figure 2008107519
表1の結果から、この例の範囲では、防護壁14に0.22%〜0.34%程度の歪みが発生し、曲げの外側の防護壁14は張り歪に、曲げの内側の防護壁14は余り歪で圧縮若しくは蛇行する可能性があることを示している。そして、これらの歪みは、光ファイバ心線11に側圧を与え、伝送特性を悪化させる可能性がある。
図4は、図1(B)で示した光ファイバケーブルの調査に用いたサイズを説明するための断面図で、図5は、防護壁14の歪み量と光伝送特性の相関を調査した結果を示すグラフである。
図4に示すように、ここでの調査で用いた光ファイバケーブル10の構造は、図1(B)の単心タイプとし、支持線(メッセンジャーワイヤー)17としてφ1.2mmの鋼線を、光ファイバ心線11の両側に配されるテンションメンバ12としてφ0.5mmのアラミドFRPを、光ファイバ心線11としてφ250μmの心線を用いた。防御壁14の材質はナイロン材で、寸法は厚み0.2mmで、幅0.8mmを使用した。光ファイバケーブル10の被覆材はFRPE難燃ポリエチレン、各部の大きさは支持線被覆外径(支持線部16の外径)が2.8mm、本体外径は短径2.0mm、長径3.1mmとした。
このときの防護壁14の歪を、支持線17の張力と防護壁14の張力バランスをパラメータとすることにより設定した。また、光ファイバ心線11から防護壁14までの距離Xを、上述したように0.05、0.10、0.15、0.20mmの4水準で行ったが、何れの結果もほぼ同様な傾向の伝送特性が得られた。そこで、以下では距離X=0.10mm,0.20mmとした場合の結果のみを示す。
図5の横軸は、試作した光ケーブル10の直線状態での防護壁14の歪みを表し、プラス側は張り歪、マイナス側は余り歪(余長)である。縦軸は、試作した光ファイバケーブル10を直径250mmの径で束取りした状態で、波長1550nmでの伝送損失を示している。この結果、防護壁14の余長を好適範囲として0%から0.4%とすることにより、安定的で良好な伝送特性を確保できることが判明した。
光ファイバケーブル10を真っ直ぐにした状態で防御壁14が張り歪の余長を有する光ファイバケーブル10は、直径250mmの束取り状態では、曲げの外側の防御壁14が張り歪となり、光ファイバ心線11に側圧を与えて伝送損失増加を生じさせる一方、防御壁14が0.4%以上の大きな余長をもつと、曲げの内側の防護壁14の蛇行が大きくなり光ファイバ心線11を押し上げる側圧力が増加し、伝送特性が悪化するためと考えられる。
このように、防護壁14が、好適範囲の0〜0.4%程度の余長であれば、曲げの外側から加わる防御壁14からの側圧が緩和(軽減)されるとともに、曲げの内側の防御壁14の余長がケーブル内で圧縮もしくはミクロ的な蛇行で吸収され、その結果、良好な伝送特性を示すことになる。すなわち、ケーブル本体長に対して、曲げの外側、内側の防護壁の歪み変動を考慮し、本発明の主たる特徴として防護壁14には予め0〜0.4%の余長を付与することで、光ファイバケーブル10を曲げた際に光ファイバ心線11にかかる側圧を軽減することができ、良好な伝送特性を得ることができる。
なお、好適範囲の下限は0%と、理論計算結果の0.26%より低い値となっているが、光ファイバ心線11自身が耐側圧特性を有することに加えて、防御壁14と光ファイバ心線11の間のケーブル被覆がクッション効果を有して側圧を低減するためと考えられる。また、光ファイバケーブル10に内包する光ファイバ心線11の本数や配置を代えてもほぼ同様の結果が得られた。従って、図1及び図2で例示した断面形状や他の断面形状の光ケーブルに対しても同様に適用することができる。
また、上述した調査では、図5に示したように、防護壁14の余長を最適範囲として0.1%から0.3%とすることにより、より安定的で最良好な伝送特性を確保できることも判明した。従って、防護壁14が最適範囲の0.1〜0.3%程度の余長をもつことが好ましい。
また、図5には、距離Xが0.10mmと0.20mmの結果を記載したが、0.05〜0.20mmの範囲において、距離Xの大小に拘わらず、ほぼ同様の結果が得られた。
実際、距離Xが広がると、曲げた時の層心径差が大きくなり外側の防御壁14はより大きな伸び歪を受けて、光ファイバケーブル10の中心(=光ファイバ)に動こうとする力が働く。このように、光ファイバ心線11と防護壁14との距離Xが大きくなると、曲げによる歪み変動も大きくなる。しかしその一方で、距離Xが広がると防御壁14と光ファイバ心線11の間に存在するケーブル被覆厚が厚くなり、被覆が緩衝層として機能するため、実際に光ファイバ心線11に伝わる側圧は減少する。
その結果、両者は相殺され、距離Xが0.20mm以下の範囲では、0〜0.4%の防護壁14の余長好適範囲ならびに0.1〜0.3%の防護壁14の余長最適範囲は、距離Xに拘わらず不変的に適用できることが明らかになった。従って、光ファイバ心線11と防護壁14との距離Xは0.20mm以下であることが好ましい。
また、上述の説明では、光ファイバケーブル10の許容最小曲げ径がメッセンジャーワイヤー17の許容曲げ径Dによって決定される旨述べた。しかしながら、支持線部16(メッセンジャーワイヤー17を含む)及び首部18を設けない光ファイバケーブルの場合にも、その光ケーブルの許容曲げ径を上述したものと同様に250mm程度にすると仮定して考察すると分かるように、余長や距離に関して同様の数値が得られる。
以上に、本発明について、所定の実施形態を参照して開示したが、この実施形態は例示であって本発明を限定するものではない。本発明の範囲は、本明細書に開示した実施形態に限定されることがなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
本発明に係る光ファイバケーブルの構造例を示す断面図である。 本発明に係る光ファイバケーブルの他の構造例を示す断面図である。 本発明の光ファイバケーブルにおける防護壁の余長を説明するための図である。 図1(B)で示した光ファイバケーブルの調査に用いたサイズを説明するための断面図である。 防護壁の歪み量と光伝送特性の相関を調査した結果を示すグラフである。
符号の説明
10…光ファイバケーブル、11…光ファイバ心線、12…テンションメンバ、13…ケーブル外被、14…防護壁、15…ノッチ、16…支持線部、17…メッセンジャーワイヤー、18…首部。

Claims (3)

  1. 光ファイバ心線あるいは光ファイバテープ心線の両側にテンションメンバを並行に配し、前記テンションメンバが配されていない側の両側に防護壁を縦添えして、ケーブル外被で一括被覆した光ファイバケーブルであって、前記防護壁は、ケーブル長に対して0から0.4%の余長を有していることを特徴とする光ファイバケーブル。
  2. 前記防護壁は、ケーブル長に対して0.1から0.3%の余長を有していることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバケーブル。
  3. 前記光ファイバ心線あるいは光ファイバテープ心線と前記防護壁の距離が0.20mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバケーブル。
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