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JP2008106089A - ポリプロピレン系射出成形半導体関連部品搬送ケース - Google Patents

ポリプロピレン系射出成形半導体関連部品搬送ケース Download PDF

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JP2008106089A JP2006287676A JP2006287676A JP2008106089A JP 2008106089 A JP2008106089 A JP 2008106089A JP 2006287676 A JP2006287676 A JP 2006287676A JP 2006287676 A JP2006287676 A JP 2006287676A JP 2008106089 A JP2008106089 A JP 2008106089A
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Hiroki Kawai
浩樹 河合
Takehiro Sakae
竹弘 寒河江
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Japan Polypropylene Corp
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Abstract

【課題】成形品の塩素やオリゴマー成分が極めて少なくシリコンウエハーやハードディスク等の半導体関連部品搬送の際にも性能低下を起こさないクリーン性に優れた射出成形された半導体関連部品搬送ケースの提供。
【解決手段】ハロゲン、好ましくは塩素含量が10重量ppm以下、炭素数1〜30のオリゴマー成分含有量が10重量ppm以下である、好ましくはメタロセン触媒で重合されたポリプロピレン系重合体を成形してなることを特徴とする半導体関連部品搬送ケース。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハロゲン成分や揮発性炭化水素等の少ないポリプロピレン系射出成形半導体関連部品搬送ケースに関する。詳しくは、メタロセン触媒を用いた塩素含量やオリゴマー成分の極めて少ないポリプロピレン系射出成形半導体関連部品搬送ケースに関する。
プロピレン系重合体は、耐熱性、成形性、透明性、耐薬品性に優れるという特徴により、各種工業材料、各種容器、日用品、フィルムおよび繊維など様々な用途に幅広く使用されている。しかしながら、ポリマー中に含有する低分子量成分や残留物質による揮発成分は、加工時の発煙、異臭等の発生原因になるばかりか、加工後でも臭気、色相に悪影響を与えることがある。
近年、コンピューター等の電子機器の普及・発展には著しいものがある。コンピューター等には半導体ウエハー・ディスクやハードディスク等の記憶ディスクの半導体関連部品が使用されている。コンピューター等の組み立ておいてはこの半導体関連部品を組み立てラインに供するためこれを運搬、移送する必要性があり、従来ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂の搬送ケースがこの目的のため用いられてきた。ここで半導体関連部品とは、シリコンウエハー、ハードディスク、ディスク基板、ICチップ、光磁気ディスク、LCD用高機能基板ガラス、LCDカラーフィルター、ハードディスクの磁気抵抗ヘッド等のことをいう。
しかしながら、コンピューターの記憶容量を増大させるために半導体関連部品がより高度に集積化されるに伴い、上記の搬送用ケースに収納された半導体関連部品に性能上の不具合が発生する頻度が増加する問題が生じた。具体的には、記憶ディスクに有機物や酸性ガスが付着することからくる記憶ディスクの動作不良等の不具合があげられる(例えば、非特許文献1参照。)。
これらポリプロピレン系重合体にかかわる問題を解決するために、重合後に低分子量成分を洗浄除去する方法(例えば、特許文献1、2参照。)や塊状重合後の液相部分を分離除去する方法(例えば、特許文献3、4参照。)が提案されているが、いずれの方法を用いても、得られた共重合体中のオリゴマー成分量や触媒残渣由来のハロゲン成分は十分といえるレベルではなく、品質の優れたプロピレン系重合体の出現が望まれていた。
超クリーン化技術 東レリサーチセンター(2005年7月) 特公昭53−4107号公報 特公昭58−41283号公報 特開平10−17612号公報 特開平10−17613号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の状況において、成形品の塩素やオリゴマー成分が極めて少なく、シリコンウエハーやハードディスク等の半導体関連部品搬送の際にも性能低下を起こさないクリーン性に優れた射出成形された半導体関連部品搬送ケースを提供することにある。
本発明者らは、種々鋭意検討を行った結果、半導体関連部品搬送ケース材料から発生するハロゲン成分や炭化水素等の微量ガスが半導体関連部品に作用し沈着することから上記の不具合を発生させることに着目し、このハロゲン成分やオリゴマー成分が起因である炭化水素等の微量ガスが特定の値以下のポリプロピレン系重合体材料を用いることによって半導体関連部品搬送の際に性能低下を起こさない半導体関連部品搬送ケースを製造できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ハロゲン含量が10重量ppm以下、炭素数1〜30のオリゴマー成分含有量が10重量ppm以下であるポリプロピレン系重合体を成形してなることを特徴とする半導体関連部品搬送ケースが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、ハロゲンが塩素であることを特徴とする半導体関連部品搬送ケースが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、ポリプロピレン系重合体がメタロセン触媒を使用して製造された物であることを特徴とする半導体関連部品搬送ケースが提供される。
本発明の半導体関連部品搬送ケースは、材料のポリプロピレン系重合体のオリゴマー成分含有量及びハロゲン含有量が少ないため、従来のケースと比べ極めて内容物の汚染が生じにくく、高集積回路用半導体等の搬送に非常に有用である。
本発明は、オリゴマー成分含有量及びハロゲン含有量が少ないポリプロピレン系重合体から成形された半導体関連部品搬送ケースである。以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるポリプロピレン系重合体は、プロピレンの単独重合体、あるいはプロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体を意味する。それらの中で、プロピレン単独重合体およびプロピレンとエチレンとのランダム共重合体が好ましい。プロピレンとエチレンのランダム共重合体の場合、好ましくはプロピレン単位を90〜99.5重量%、さらに好ましくは92〜99重量%、エチレン単位を好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜8重量%含んでなるものである。
本発明で用いるポリプロピレン系重合体は、ポリマー内に含まれるハロゲン含有量、例えば、塩素の含有量が10重量ppm以下であり、好ましくは5重量ppm以下である。ハロゲン含有量が多いと腐食性を発現することになるので、好ましくない。
また、本発明で用いるポリプロピレン系重合体は、炭素数1〜30のオリゴマー成分含有量が10重量ppm以下であり、好ましくは8重量ppm以下であり、さらに好ましくは5重量ppm以下である。炭素数1〜30のオリゴマー成分含有量が多いと、揮発成分が多くなり、半導体関連部品へ付着し好ましくない。
本発明で用いるポリプロピレン系重合体は、公知のオレフィン重合触媒を用いて製造することができるが、好ましくはメタロセン触媒を用いる。
本発明で用いるポリプロピレン系重合体を得るために用いられる触媒系は、公知のメタロセン触媒系が使用できるが、好ましくは、メチルアルモキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物やフッ素含有ホウ素化合物を助触媒として使用しない触媒系が用いられる。アルミニウムオキシ化合物を用いて重合すると生成ポリマー中に存在するAl量が多くなり、また、フッ素含有ホウ素化合物を用いて重合すると生成ポリマー中に存在するハロゲン量が多くなる。本発明にかなうハロゲン含有量のポリプロピレン系重合体を得るためには、触媒除去工程の負荷を非常に大きくせねばならず、実用的でない。
本発明にかなうポリプロピレン系重合体を得るためには、以下に述べる成分[A]、成分[B]および必要に応じて使用する成分[C]を組み合わせて得られる触媒系を用いることが好ましい。
成分[A]メタロセン錯体:共役五員環配位子を少なくとも一個有する周期律表第4〜6族の遷移金属化合物
成分[B]助触媒:化合物[B]とメタロセン錯体[A]を反応させることにより、該メタロセン錯体[A]を活性化することのできる化合物
成分[C]有機アルミニウム化合物
メタロセン触媒としては、担持型が好ましい。メタロセン錯体を担持する担体の具体例としては、シリカ、アルミナ等の無機酸化物もしくはポリプロピレン系重合体等の有機物を挙げることができ、成分[A]を粉末状体に担持したもの、あるいは必要に応じて、さらに成分[C]有機アルミニウム化合物と接触させたものなどが挙げられる。
担持メタロセン触媒の特に好ましい例としては、担体が助触媒の機能を兼ねたイオン交換性層状ケイ酸塩が挙げられる。具体的には、以下に述べる成分[A]、成分[B]および必要に応じて添加される成分[C]を組み合わせて得られる。
成分[A]メタロセン錯体:共役五員環配位子を少なくとも一個有する周期律表第4〜6族の遷移金属化合物
成分[B]助触媒:イオン交換性層状ケイ酸塩
成分[C]有機アルミニウム化合物
上記の成分[A]としては、具体的には、次の一般式[1]で表される化合物を使用することができる。
Q(C4−a )(C4−b )MXY ・・・[1]
上記の一般式[1]において、Qは、二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を表す。Mは、周期律表第4〜6族遷移金属を表し、中でもチタン、ジルコニウム、ハフニウムが好ましい。XおよびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基またはホウ素含有炭化水素基を示す。また、隣接する2個のRまたは2個のRがそれぞれ結合してC4〜C10環を形成していてもよい。aおよびbは、0≦a≦4、0≦b≦4を満足する整数である。
2個の共役五員環配位子の間を架橋する結合性基Qは、例として、アルキレン基、アルキリデン基、シリレン基、ゲルミレン基等が挙げられる。これらは水素原子がアルキル基、ハロゲン等で置換されたものであってもよい。メタロセン錯体として、具体的には次の化合物を挙げることができる。
(1)メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(2)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(3)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(4)エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(5)メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
(6)エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド
(7)エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド
(8)エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(9)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(10)ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
(11)ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド
(12)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(13)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(14)メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリド
(15)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド
(16)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(17)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(18)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(19)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(20)ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(21)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド
(22)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド
(23)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(24)ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
(25)ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
また、チタニウム化合物、ハフニウム化合物などの他の第4、5、6族遷移金属化合物についても上記と同様の化合物が挙げられる。本発明の触媒成分および触媒については、これらの化合物を併用してもよい。
成分[B]イオン交換性層状ケイ酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。イオン交換性層状ケイ酸塩として粘土化合物を使用することができ、粘土化合物の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
(1)1:1型構造が主要な構成層であるディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族
(2)2:1型構造が主要な構成層であるモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群
本発明で使用する珪酸塩は、上記(1)、(2)の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトであることが特に好ましい。
これら珪酸塩を酸、塩、アルカリ、酸化剤、還元剤、有機溶剤などで化学処理することにより活性向上を図ることができる。
酸処理は、イオン交換性層状珪酸塩粒子の表面の不純物を除く、あるいは層間陽イオンの交換を行なうほか、結晶構造のAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部または全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸などが挙げられるが、好ましくは無機酸、特に好ましくは硫酸である。
酸処理条件に特に制限はないが、好ましくは5〜50重量%の酸の水溶液を60〜100℃の温度で1〜24時間反応させるような条件であり、その途中で酸の濃度を変化させてもよい。酸処理した後、通常洗浄が行われる。洗浄とは処理系内に含まれる酸をイオン交換性層状珪酸塩から分離除去する操作である。
塩類処理で用いられる塩類としては、特開平8−127613号公報に記載の各種塩類が例示されるが、本発明においては塩類として、特定の陽イオンを含有するものを選択して使用することが好ましい。陽イオンの種類については1から4価の金属陽イオンが好ましく、特にLi、Ni、Zn、Hfの陽イオンが好ましい。具体的な塩類としては、次のものを例示することができる。陽イオンがLiのものとしては、LiCl、LiBr、LiSO、Li(PO)、Li(ClO)、Li(C)、LiNO、Li(OOCCH)、Li(C)等を挙げることができる。陽イオンがNiのものとしては、NiCO、Ni(NO、NiC、Ni(ClO、NiSO、NiCl、NiBr等を挙げることができる。陽イオンがZnのものとしては、Zn(OOCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、ZnBr、ZnI等を挙げることができる。陽イオンがHfのものとしては、Hf(OOCCH、Hf(CO、Hf(NO、Hf(SO、HfOCl、HfF、HfCl、HfBr、HfI等を挙げることができる。
化学処理後は、乾燥を行うが、一般的には、乾燥温度は100〜800℃で実施可能であり、構造破壊を生じるような高温条件(加熱時間にもよるが、例えば800℃以上)は好ましくない。構造破壊されなくとも乾燥温度により特性が変化するために、用途に応じて乾燥温度を変えることが好ましい。乾燥時間は、通常1分〜24時間、好ましくは5分〜4時間であり、雰囲気は乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、または減圧下である。乾燥方法に関しては特に限定されず各種方法で実施可能である。
成分[C]の有機アルミニウム化合物は、必要に応じて任意的に使用される成分であり、一般式[2]で示される化合物が適当である。
(AlR 3−p・・・[2]
有機アルミニウム化合物は、単独又は複数種混合して、あるいは併用して使用することができる。また、有機アルミニウム化合物は、触媒調製時だけでなく、予備重合あるいは本重合時にも添加して使用することができる。
式[2]中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Xは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。pは1〜3の、qは1〜2の整数である。Rとしては、アルキル基が好ましく、またXは、それがアルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が好ましい。これらのうち、好ましくは、p=3、q=1のトリアルキルアルミニウムおよびジアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、Rが炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
本発明に使用されるメタロセン触媒は、本重合が行われる前に予備重合処理することが望ましい。予備重合に供されるモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン、1,3−ブタジエン等のジエン化合物、スチレン、ジビニルベンゼン等のビニル化合物を用いることができる。
この予備重合は、不活性溶媒中で穏和な条件で行うことが好ましく、固体触媒(成分[A]と成分[B]の合計)1gあたり、0.01〜1000g、好ましくは0.1〜100gの重合体が生成するように行うことが望ましい。
重合反応は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の溶媒存在下、あるいは不存在下に行われる。本発明においては、固体触媒(固体触媒を予備重合処理した場合は、予備重合で生成した重合体を含まない。)当たりのポリマー生成量をできるだけ大きくすることが望ましい。ポリマー生成量を大きくするために、重合温度、重合圧力はいずれも高めに設定することが望ましい。
通常、重合温度は60〜90℃、重合圧力は1.5〜4MPa程度から選択される。特に、バルク重合の場合、重合温度は60〜80℃で、重合圧力は温度と相関して2.5〜4MPa程度から選択することが好ましい。一方、気相重合の場合は、重合温度は70〜90℃で、1.5〜4MPa程度から選択することが好ましい。さらに、固体触媒の滞留時間を長くすることによっても、固体触媒当たりのポリマー生産量を上げることが可能であるが、あまり長くし過ぎると生産性に影響を与える。好ましい滞留時間は、1〜8時間、さらに好ましくは1〜6時間である。担体を含めた固体触媒1gあたりのポリマー生産量は20kg以上、好ましくは25kg以上、さらに好ましくは30kg以上となるように、重合条件を設定することが望ましい。また、重合系内に分子量調節剤として水素を存在させてもよい。更に、重合温度、分子量調節剤の濃度等を変えて多段階で重合させてもよい。
本発明においては、重合終了後、得られたプロピレン系重合体を、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの不活性飽和炭化水素溶剤や液状α−オレフィンなどを用いて、さらに好ましくは炭素数3または4の不活性炭化水素溶剤や液状α−オレフィンを用いて、洗浄を行うことが好ましい。
洗浄方法としては、特に制限はなく、撹拌槽での接触処理後上澄みのデカンテーション、向流洗浄、サイクロンによる洗浄液との分離など、公知の方法を用いることができる。また、洗浄前あるいは洗浄と同時に、失活剤を添加してもよい。失活剤に関しては、特に制限はなく、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類など、あるいはこれらの混合物を用いることができる。
本発明のポリプロピレン系重合体には、適切な濃度のフェノール系酸化防止剤又はヒンダードアミン系添加剤を配合することができる。
本発明で用いるポリプロピレン系重合体を使用して半導体関連部品搬送ケースを製造するには、上記で説明したポリプロピレン系重合体に上述した添加剤を含有したプロピレン系樹脂組成物を、公知の方法で射出成形することによって得られる。
なお、ここで半導体関連部品とは、特に限定されないが、例えば、シリコンウエハー、ハードディスク、ディスク基板、ICチップ、光磁気ディスク、LCD用高機能基板ガラス、LCDカラーフィルター、ハードディスクの磁気抵抗ヘッド等のことをいう。
次に実施例をあげて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限りこれら実施例によって制約を受けるものではない。なお、以下の実施例、比較例において、重合体の物性測定は下記の方法に従ったものである。
(1)メルトフローレート(MFR):JIS−K6921−2:1997付属書(230℃、21.18N荷重)に準拠して測定した。
(2)融点(Tm):セイコー社製DSCを用い、サンプル量は5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させた後に1分間保持し、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときのピーク温度で評価した。
(3)エチレン含有量の測定:エチレンコモノマー由来のポリマー中のエチレン単位含有量(単位:重量%)は、得られたポリマーをプレスし、シート状に成形したものをIR法により測定した。具体的には730cm−3付近に観測されるメチレン鎖由来ピーク高さから算出した。
(4)炭素数1〜30のオリゴマー成分量の測定:射出成形した成型品を2mm×50mmで切り出し、試料200mgをGERSTEL社製TDS管に充填、TDS管をGERSTEL社製 TDS−A装置に挿入し、Heを流しながら100℃−30分間加熱、加熱期間中、ガスはTENAXを充填したGERSTEL社製CIS4に導入されCIS4を−150℃に冷却することにより試料より発生した揮発成分を捕集した。
捕集された成分は320℃まで急速に加熱気化させることによりガスクロマトグラムに導入した。導入されたガスは次の条件でガスクロマトグラム/質量分析法で測定した。
装置:HP6890
カラム:DB−5ms 0.25mm×30m
温度:40℃×5min→10℃/min〜300℃×15min
検出器:HP5973N
炭化水素量の定量は、n−ヘプタンを溶媒として濃度が1、5、及び10μg/mlの炭素数20の脂肪族直鎖飽和炭化水素を試料と同条件で測定を行いガスクロマトグラム/質量分析法で測定し検量線を作成し、定量は炭素数20の脂肪族直さ飽和炭化水素換算で行った。
(5)Cl量の測定:射出成形した試料100mgを白金製ボードに採取して、石英管管状炉で燃焼し、燃焼ガス中のCl分を0.03%−純水で吸収した。吸収液中のClをイオンクロマトグラフで測定した。これらの操作はクリーンブース内で実施した。
装置:石英管管状炉 三菱化学社製 AQF−100型
イオンクロマトグラフ:Dionex社製 ICS−1000型
(実施例1)
(1)触媒の調製
以下の操作は、不活性ガス下、脱酸素、脱水処理された溶媒、モノマーを使用して実施した。
(i)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
酸処理:ゼパラブルフラスコに蒸留水1130g、96%硫酸750gを加え内温を90℃に保ち、そこに平均粒径25μmの造粒スメクタイト(水沢化学社製ベンクレイSL)300gを添加し5時間反応させた。洗浄:1時間で室温まで冷却し、蒸留水でpH=3.69まで洗浄した。このときの洗浄倍率は1/10000以下であった。この段階の固体を一部乾燥させて酸処理による溶出率を求めたところ33.5%であった。
塩類処理:硫酸リチウム1水和物211gを蒸留水521gに溶かし、さらに上記酸処理で得られた固体100g(乾燥重量)を加え室温で120分撹拌した。このスラリーを濾過し、得られた固体に蒸留水3000g加え5分間室温で撹拌した。更にこのスラリーを濾過した。得られた固体に蒸留水2500gを加え5分撹拌後再び濾過した。この操作をさらに4回繰り返した。得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後53μm以上の粗大粒子を除去しさらに200℃で2時間減圧乾燥することにより、化学処理スメクタイトを得た。
(ii)珪酸塩の活性化処理
上記の化学処理スメクタイト200gを内容積3Lの攪拌翼のついたガラス製反応器に導入し、ノルマルヘプタン750ml、さらにトリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液(500mmol)を加え、室温で攪拌した。1時間後、ノルマルヘプタンにて洗浄(残液率1%未満)し、スラリーを2000mLに調製した。
(iii)予備重合触媒の調製
次に、(r)−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル]ジルコニウムジクロリド3mmolのトルエンスラリー870mLとトリイソブチルアルミニウム(15mmol)のヘプタン溶液42.6mLを、あらかじめ室温にて1時間反応させておいた混合液を、上記の化学処理スメクタイトスラリーに加え、1時間攪拌した。続いて、窒素で十分置換を行った内容積10Lの攪拌式オートクレーブにノルマルヘプタン2.1Lを導入し、40℃に保持した。そこに先に調製したモンモリロナイト/錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、その温度を維持した。4時間後、プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。回収した予備重合触媒スラリーから、上澄みを約3L除き、トリイソブチルアルミニウム(30mmol)のヘプタン溶液を170mL添加し、10分間撹拌した後に、40℃にて減圧下熱処理した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレン2.30gを含む予備重合触媒が得られた。
(2)プロピレン−エチレンランダム共重合体の製造
内容積270Lの攪拌装置付き液相重合槽、内容積400Lの失活槽、スラリー循環ポンプ、循環ライン液力分級器、濃縮器、向流ポンプおよび洗浄液受け槽からなる失活洗浄システム、二重管式熱交換器と流動フラッシュ槽からなる高圧脱ガスシステム、さらに低圧脱ガス槽および乾燥器などを含む後処理系を組み込んだプロセスにより、プロピレン・エチレン共重合体の連続製造を実施した。上記で製造した予備重合触媒を流動パラフィン(東燃社製:ホワイトレックス335)に濃度15重量%で分散させて、触媒成分として0.35g/hrで液相重合槽に導入した。さらにこの重合槽に液状プロピレンを40kg/hr、エチレンを0.4kg/hr、水素を0.25g/hr、トリイソブチルアルミニウムを18g/hrで連続的に供給し、内温を70℃に保持し、重合を行った。液相重合槽からポリマーと液状プロピレンの混合スラリーをポリマーとして12.0kg/hrとなるように失活洗浄槽に抜き出した。このとき重合槽の触媒の平均滞留時間は、1.3時間であった。失活洗浄槽には、失活剤としてエタノールを21.0g/hrで供給した。さらに液状プロピレンを40kg/hr供給し、ジャケットによる加熱で内温を50℃に保った。ポリマーは分級器の下部から高圧脱ガス槽へ抜き出し、さらに低圧脱ガス槽を経て、乾燥器で乾燥を行った。乾燥器の内温80℃、滞留時間が1時間となるように調整し、さらに室温の乾燥窒素をパウダーの流れの向流方向に12m/hrの流量で流した。乾燥後のポリマーは、ホッパーから取り出した。一方、分級器、濃縮器を経て、ポリマーと分離された液状プロピレンは、40kg/hrで洗浄液受け槽に抜き出した。得られた重合体の固体触媒1g当たりの収量は34.3kg、エチレン含量=0.75wt%、MFR=30.6g/10分、Tm=141.7℃であった。
(3)成形体の成形
得られたパウダー100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤のペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバスペシャルティケミカルズ(株)社製;以下RA1010と略す。)0.03重量部を添加し、スーパーミキサーで窒素シール後、3分間混合した。その後、パウダーは東芝機械社製2軸押出機TEM35を用いホッパーを窒素シールしながらシリンダー温度180℃、スクリュー回転数200rpm、押出量15kg/hで造粒し、ポリプロピレン系重合体のペレットを得た。本ペレットを東芝機械社製IS100GN成形機を用い、シリンダー温度230℃、金型温度40℃の条件下で100mm×100mm、厚み2mmのシート状の成形体を成形し、オリゴマー成分量の測定及びCl量の測定を行った。得られた成形体の炭素数1〜30のオリゴマー成分量は8重量wt.ppm、Cl量は0.3重量wt.ppmであった。結果を表1に示す。
(比較例1)
(1)触媒の調整
(i)チーグラー触媒の調整
攪拌翼、温度計、ジャケット、冷却コイルを備えた100Lの反応器に、Mg(OEt):30molを仕込み、次いで、Ti(OBu)を、仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、Ti(OBu)/Mgのモル比が0.60となるように仕込んだ。さらに、トルエンを19.2kg仕込み、攪拌しながら昇温した。139℃で3時間反応させた後、130℃に降温して、MeSi(OPh)のトルエン溶液を、先に仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、MeSi(OPh)/Mgのモル比が0.67になるように添加した。なお、ここで用いたトルエン量は、7.8kgであった。添加終了後、130℃で2時間反応させ、その後、室温に降温し、Si(OEt)を添加した。Si(OEt)の添加量は、先に仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、Si(OEt)/Mgのモル比が0.056となるようにした。
次に、得られた反応混合物に対して、マグネシウム濃度が、0.57(mol/L・TOL)になるように、トルエンを添加した。さらに、フタル酸ジエチル(DEP)を、先に仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、DEP/Mgのモル比が0.10になるように添加した。得られた混合物を、引き続き攪拌しながら−10℃に冷却し、TiClを2時間かけて滴下して均一溶液を得た。なお、TiClは、先に仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、TiCl/Mgのモル比が4.0になるようにした。TiCl添加終了後、攪拌しながら0.5℃/minで15℃まで昇温し、同温度で1時間保持した。次いで、再び0.5℃/minで50℃まで昇温し、同温度で1時間保持した。さらに、1℃/minで118℃まで昇温し、同温度で1時間処理を行った。処理終了後、攪拌を停止し、上澄み液を除去した後、トルエンで、残液率=1/73になるように洗浄し、スラリーを得た。
次に、ここで得られたスラリーに、室温で、トルエンとTiClを添加した。なお、TiClは、先に仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、TiCl/Mg(OEt)のモル比が5.0となるようにした。また、トルエンは、TiCl濃度が、2.0(mol/L・TOL)になるように調製した。このスラリーを攪拌しながら昇温し、118℃で1時間反応を行った。反応終了後、攪拌を停止し、上澄み液を除去した後、トルエンで、残液率=1/150となるように洗浄し、固体成分のスラリーを得た。さらに上記で得られた固体成分のうち、400gを、攪拌翼、温度計、冷却ジャケットを有する別の反応器に移送し、ノルマルヘキサンを加えて、固体成分の濃度として5.0(g/l)になるように希釈した。得られたスラリーを攪拌しながら、15℃で、トリメチルビニルシラン、TEAおよびTBMDESを添加した。ここで、TBMDESは、t−ブチルメチルジエトキシシランを示し、t−ブチルは、ターシャリーブチル基を示す。なお、TEA、トリメチルビニルシラン、TBMDESの添加量は、それぞれ、上記固体成分中の固体成分1gに対して、3.1(mmol)、0.2(ml)、0.2(ml)となるようにした。添加終了後、引き続き攪拌しながら、15℃で1時間保持し、さらに、30℃に昇温して、同温度で2時間攪拌した。
(ii)予備重合
次に、再び15℃に降温し、同温度を保持しながら、反応器の気相部に、1.2kgのプロピレンガスを72分かけて定速でフィードして予備重合を行った。フィード終了後、攪拌を停止して上澄み液を除去した後、ノルマルヘキサンで洗浄を行い、予備重合触媒成分のスラリーを得た。なお、残液率は、1/12とした。得られた予備重合触媒成分は、上記固体成分1gあたり、3.1gのプロピレン重合体を有していた。
(2)プロピレン−エチレンランダム共重合体の製造
重合は実施例1で用いたのと同じ反応器システムを用いて行った。上記で得られた予備重合触媒成分を流動パラフィン(東燃社製:ホワイトレックス335)に濃度2重量%で分散させて、触媒成分として0.2g/hrで導入した。この反応器に液状プロピレンを32.8kg/hr、エチレンを0.26kg/hr、水素を4.0g/hr、トリエチルアルミニウムを6.6g/hr、TBEDMS(t−ブチルメチルジエトキシシラン、ここで、t−ブチルは、ターシャリーブチル基を示す)を0.011g/hrで連続的に供給し、内温を70℃に保持し重合を行った。液相重合槽1からポリマーと液状プロピレンの混合スラリーをポリマーとして13.8kg/hrとなるように失活洗浄槽に抜き出した。このとき重合槽の触媒の平均滞留時間は、1.3時間であった。失活洗浄槽には、失活剤としてエタノールを21.0g/hrで供給した。さらに液状プロピレンを40kg/hr供給し、ジャケットによる加熱で内温を50℃に保った。ポリマーは分級器の下部から高圧脱ガス槽へ抜き出し、さらに低圧脱ガス槽を経て、乾燥器で乾燥を行った。乾燥器の内温80℃、滞留時間が1時間となるように調整し、さらに室温の乾燥窒素をパウダーの流れの向流方向に12m/hrの流量で流した。乾燥後のポリマーは、ホッパーから取り出した。一方、分級器、濃縮器を経て、ポリマーと分離された液状プロピレンは、40kg/hrで洗浄液受け槽に抜き出した。得られた重合体の固体触媒1g当たりの収量は69.0kg、C2含量=4.2wt.%、MFR=25.5g/10分、Tm=140.1℃であった。
(3)成形体の成形
造粒及び成形は実施例と同じ方法で実施した。この方法で得られたポリプロピレン系成形体の炭素数1〜30のオリゴマー成分量は14重量wt.ppm、Cl量は28重量wt.ppmであった。結果を表1に示す。
Figure 2008106089
本発明の半導体関連部品搬送ケースは、オリゴマー成分含有量及びハロゲン含有量が非常に少ないポリプロピレン系重合体から射出成形で成形されているので、従来のケースと比べ極めて内容物の汚染が生じにくく、高集積回路用半導体等の搬送に有効に用いることができる。

Claims (3)

  1. ハロゲン含量が10重量ppm以下、炭素数1〜30のオリゴマー成分含有量が10重量ppm以下であるポリプロピレン系重合体を成形してなることを特徴とする半導体関連部品搬送ケース。
  2. ハロゲンが塩素であることを特徴とする請求項1記載の半導体関連部品搬送ケース。
  3. ポリプロピレン系重合体がメタロセン触媒を使用して製造された物であることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体関連部品搬送ケース。
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