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JP2008103282A - 極材及びそれを用いた固体二次電池 - Google Patents

極材及びそれを用いた固体二次電池 Download PDF

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JP2008103282A JP2006286847A JP2006286847A JP2008103282A JP 2008103282 A JP2008103282 A JP 2008103282A JP 2006286847 A JP2006286847 A JP 2006286847A JP 2006286847 A JP2006286847 A JP 2006286847A JP 2008103282 A JP2008103282 A JP 2008103282A
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Abstract

【課題】レート特性及びサイクル特性に優れた固体二次電池を提供する。
【解決手段】極活性物質、硫化物系ガラスセラミック、及び硫化物系ガラスとの混合物からなる極材。
【選択図】図1

Description

本発明は、極材及びそれを用いた固体二次電池に関する。
近年、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを動力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に用いられる高性能リチウム電池等の二次電池の需要が増加している。
使用される用途が広がるのに伴い、二次電池のさらなる安全性の向上及び高性能化が要求されている。
リチウム電池の安全性を確保する方法としては、有機溶媒の電解質に代えて無機物の固体電解質を用いることが有効である。
無機物の固体電解質は、その性質上一般に不燃で、通常使用される有機溶媒電解質と比較し安全性の高い材料である。そのため、固体電解質を用いた高い安全性を備えた固体二次電池の開発が望まれている。
また、特許文献1には、正極及び負極のイオン伝導性を増すために、正極及び負極には、これらの電極の主な材料(極材)である極活性物質と結晶性のリチウムイオン伝導性固体電解質(リチウム・リン硫化物系ガラスセラミック)とを混合した混合物を用いることが示されている。このように、極材に、結晶性のリチウムイオン伝導性固体電解質を混合し、これを電極として用いた固体二次電池は、より良好なレート特性を得ることができる。
WO2005/119706号パンフレット
しかしながら、上記の固体二次電池では、充放電を繰り返すと、そのたびに正極材及び負極材が膨張、収縮し、極材粒子同士が密着しない空間ができ、サイクル特性が悪いという問題があった。
本発明の目的は、レート特性及びサイクル特性に優れる固体二次電池を提供することである。
本発明者らは、正極及び/又は負極として、極活性物質、及び硫化物系ガラスセラミックとガラスとの混合物を使用することにより、レート特性とサイクル特性の両方に優れる固体二次電池が得られることを見出した。
本発明によれば、以下の固体二次電池が提供される。
1.極活性物質、硫化物系ガラスセラミック、及び硫化物系ガラスとの混合物からなる極材。
2.硫化物系ガラスセラミックと、硫化物系ガラスとの重量比が、90〜10:10〜90である1の極材。
3.正極と、負極と、前記正極及び負極に挟持された固体電解質層とを有し、
前記正極及び/又は負極が、1又は2の極材からなる固体二次電池。
本発明によれば、レート特性及びサイクル特性に優れる固体二次電池を提供できる。
本発明の固体二次電池は、正極と、負極と、正極及び負極に挟持された固体電解質層とを有してなる。
正極及び/又は負極の極材は、極活性物質、硫化物系ガラスセラミック、及び硫化物系ガラスとの混合物からなる。
図1は本発明に係る固体二次電池の一実施形態を示す概略断面図である。
全固体二次電池1は、正極10及び負極30からなる一対の電極間に固体電解質層20が挟持されている。正極10及び負極30にはそれぞれ集電体40及び42が設けられている。
正極10及び/又は負極30は、極活性物質、硫化物系ガラスセラミック、及び硫化物系ガラスで構成されている。硫化物系ガラスは、ガラスセラミックより柔らかいので、本発明の極材は、極活性物質とガラスセラミックとの混合物で構成したものに比較して柔らかく、従って、正極及び/又は負極の全体の硬度が小さくなる。
極材粒子間に、柔らかいガラスが入り込み、ガラス及び極材粒子同士がよく密着し、充放電による変性が生じにくくなる。その結果、良好なサイクル特性を得ることができる。
固体二次電池の正極及び負極の材料(極材)においては、電子伝導性に加えてイオン伝導度を向上させるため、極材の粒子同士が密着し、粒子間の接合点や面を多く存在させ、イオン伝導パスをより多く確保することが重要である。また、極材粒子間の隙間に生じる空間(単位体積における空間体積と極材粒子の体積の割合:空隙率)が少ない程、極材層が密に詰まっており、イオン伝導度は高くなる。そのため、電解質等のイオン伝導活物質を混合し、極材とする。本発明では、イオン伝導性を有する硫化物系ガラスセラミック及びガラスを混合することにより、極材全体のイオン伝導性を高めている。また、硫化物系ガラスは上述したように柔らかいので、サイクル特性も良好である。
極活性物質と、硫化物系固体電解質との混合比(重量比)は、好ましくは10〜90:90〜10、より好ましくは20〜80:80〜20であり、特に好ましくは30〜70:70〜30である。
また、硫化物系固体電解質である、硫化物系ガラスと、ガラスセラミックとの混合比(重量比)は、好ましくは10〜90:90〜10、より好ましくは20〜80:80〜20である。
本発明の正極に用いる正極活性物質としては、電池分野において正極活物質として使用されているものが使用できる。例えば、硫化物系では、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)等が使用できる。好ましくは、TiSが使用できる。
また、酸化物系では、酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V13)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)等が使用できる。尚、これらを混合して用いることも可能である。好ましくは、コバルト酸リチウムが使用できる。
尚、上記の他にはセレン化ニオブ(NbSe)が使用できる。
上記正極材は、レート特性を改善するために、表面をコーティング材で被覆してもよい。
コーティング材としては、チタン酸スピネル、タンタル系酸化物、ニオブ系酸化物等が挙げられ、具体的には、LiTi12,LiTaO,LiNbO,LiAlO,LiZrO,LiWO,LiTiO,Li,LiPO,LiMoO,LiBO等が挙げられる。
上記コーティング材を正極活物質粒子の表面に被覆する方法としては、スプレーコーティングが挙げられる。例えば、正極活物質の表面をコーティング材が分散したエタノール等の溶液でスプレーコーティングし、これを加熱することで、コーティング材が被覆した正極活物質粒子が得られる。
上記正極活物質に被覆したコーティング層の厚みは通常、0.5〜50nmであり、好ましくは1〜40nmである。
本発明の負極に用いる負極材としては、電池分野において負極活物質として使用されているものが使用できる。例えば、炭素材料、具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等が挙げられる。またはその混合物でもよい。好ましくは、人造黒鉛である。
また、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミ、金属ケイ素等の金属自体や他の元素、化合物と組合わせた合金を、負極材として用いることができる。
本発明の極材に用いるイオン伝導活物質としては、リチウムイオン伝導性が高いことから、硫化物系無機固体電解質を使用する。
硫化物系の無機固体電解質は、イオン伝導度が他の無機化合物より高いことが知られており、特開平4−202024等に記載の無機固体電解質を使用できる。具体的には、LiSとSiS、GeS、P、Bの組合せから成る無機固体電解質に、適宜、LiPOやハロゲン、ハロゲン化合物を添加した無機固体電解質を用いることができる。
本発明の極材に用いるイオン伝導活物質として、リチウムイオン伝導性が特に高いことから、硫化リチウムと五硫化二燐(P)、又は硫化リチウムと単体燐及び単体硫黄、さらには硫化リチウム、五硫化二燐、単体燐及び/又は単体硫黄から生成できるリチウム・リン硫化物系電解質を使用することが好ましい。
硫化物系電解質を製造するための硫化リチウムは、特に制限なく工業的に入手可能なものが使用できるが、高純度のものが好ましい。
好ましくは、硫化リチウムは、少なくとも硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる固体電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)となる。即ち、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物の恐れがあり、この結晶化物のイオン伝導度は低い。さらに、この結晶化物について熱処理を施しても結晶化物には変化がなく、高イオン伝導度のリチウムイオン伝導性無機固体電解質を得ることができないおそれがある。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウム電池のサイクル性能を低下させることがない。
このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高イオン伝導性電解質が得られる。
高イオン伝導性電解質の製造に用いられる硫化リチウムの製造法としては、少なくとも上記不純物を低減できる方法であれば特に制限はない。
例えば、以下の方法で製造された硫化リチウムを精製することにより得ることができる。
以下の製造法の中では、特にa又はbの方法が好ましい。
a.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを0〜150℃で反応させて水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を150〜200℃で脱硫化水素化する方法(特開平7−330312号公報)。
b.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを150〜200℃で反応させ、直接硫化リチウムを生成する方法(特開平7−330312号公報)。
c.水酸化リチウムとガス状硫黄源を130〜445℃の温度で反応させる方法(特開平9−283156号公報)。
硫化リチウムの精製方法としては、特に制限はない。好ましい精製法としては、例えば、国際公開WO2005/40039号等に記載の方法が挙げられる。
具体的には、硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。洗浄に用いる有機溶媒は、非プロトン性極性溶媒であることが好ましく、さらに、硫化リチウムの製造に使用する非プロトン性有機溶媒と洗浄に用いる非プロトン性極性有機溶媒とが同一であることがより好ましい。
洗浄に好ましく用いられる非プロトン性極性有機溶媒としては、例えば、アミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機硫黄化合物、環式有機リン化合物等の非プロトン性の極性有機化合物が挙げられ、単独溶媒、又は混合溶媒として好適に使用することができる。特に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)は、良好な溶媒として選択される。
洗浄に使用する有機溶媒の量は特に限定されず、また、洗浄の回数も特に限定されないが、2回以上であることが好ましい。洗浄は、窒素、アルゴン等の不活性ガス下で行うことが好ましい。
洗浄された硫化リチウムを、洗浄に使用した有機溶媒の沸点以上の温度で、窒素等の不活性ガス気流下、常圧又は減圧下で、5分以上、好ましくは約2〜3時間以上乾燥することにより、好適に用いられる硫化リチウムを得ることができる。
リチウム・リン硫化物系固体電解質の製造に使用するPは、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。尚、Pに代えて、相当するモル比の単体リン(P)及び単体硫黄(S)を用いることもできる。単体リン(P)及び単体硫黄(S)は、工業的に生産され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
硫化リチウムと、五硫化二燐及び/又は単体燐及び単体硫黄の混合モル比は、通常50:50〜80:20、好ましくは60:40〜75:25である。
特に好ましくは、LiS:P=68:32〜74:26(モル比)程度である。
ガラス状電解質である硫化物ガラスの製造方法としては、例えば、溶融急冷法やメカニカルミリング法(MM法)が挙げられる。
溶融急冷法による場合、PとLiSを所定量乳鉢にて混合し、ペレット状にしたものをカーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。一定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、硫化物ガラスが得られる。
この際の反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは800℃〜900℃である。また、反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは1〜12時間である。上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は通常1〜10000K/sec程度、好ましくは1〜1000K/secである。
MM法による場合、PとLiSを所定量乳鉢にて混合し、メカニカルミリング法にて一定時間反応させることにより、硫化物ガラスが得られる。
上記原料を用いたメカニカルミリング法は、室温で反応を行うことができる。MM法によれば、室温でガラス状電解質を製造できるため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス状電解質を得ることができるという利点がある。また、MM法では、ガラス状電解質の製造と同時に、ガラス状電解質を微粉末化できるという利点もある。
MM法は種々の形式の粉砕法を用いることができるが、遊星型ボールミルを使用するのが特に好ましい。遊星型ボールミルは、ポットが自転回転しながら、台盤が公転回転し、非常に高い衝撃エネルギーを効率良く発生させることができる。
MM法の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス質状電解質ヘの原料の転化率は高くなる。
例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
以上、溶融急冷法及びMM法による硫化物ガラスの具体例を説明したが、温度条件や処理時間等の製造条件は、使用設備等に合わせて適宜調整することができる。
このようにして得られる硫化物系ガラスを焼成して、ガラスセラミックが得られる。焼成温度は、好ましくは190℃〜340℃、より好ましくは195℃〜335℃、特に好ましくは200℃〜330℃である。190℃より低いと高イオン伝導性の結晶が得られにくい場合があり、340℃より高いとイオン伝導性の低い結晶が生じる恐れがある。
熱処理時間は、190℃以上220℃以下の温度の場合は、3〜240時間が好ましく、特に4〜230時間が好ましい。また、220℃より高く340℃以下の温度の場合は、0.1〜240時間が好ましく、特に0.2〜235時間が好ましく、さらに0.3〜230時間が好ましい。熱処理時間が0.1時間より短いと、高イオン伝導性の結晶が得られにくい場合があり、240時間より長いと、イオン伝導性の低い結晶が生じる恐れがある。
このイオン伝導性無機固体電解質は、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、2θ=17.8±0.3deg,18.2±0.3deg,19.8±0.3deg,21.8±0.3deg,23.8±0.3deg,25.9±0.3deg,29.5±0.3deg,30.0±0.3degに回折ピークを有することが好ましい。このような結晶構造を有する固体電解質が、極めて高いリチウムイオン伝導性を有する。
また、極材においては、導電助剤として、電子が極活物質内で円滑に移動するようにするために、電気的に導電性を有す物質を適宜添加してもよい。電気的に導電性を有する物質としては特に限定しないが、アセチレンブラック、カーボンブラック、カーボンナノチューブのような導電性物質又はポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロールのような導電性高分子を単独又は混合して用いることができる。
正極及び負極は、上記極材(正極材又は負極材)を集電体の少なくとも一部に膜状に形成することで作製できる。製膜方法としては、後述の固体電解質層と同様の方法を用いることができる。例えば、ブラスト法、エアロゾルデポジション法、コールドスプレー法、スパッタリング法、気相成長法又は溶射法等が挙げられる。このような方法により製膜することで、極材層の空隙率をより小さくすることができ、イオン伝導度を向上させることができる。
簡便な装置や室温条件下、電解質の結晶状態を変化させない温度範囲で製膜できることから、ブラスト法やエアロゾルデポジション法が好ましい。
集電体の材料としては、銅、マグネシウム、ステンレス鋼、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、リチウム、又はこれらの合金等からなる板状体や箔状体等が使用できる。
本発明の固体二次電池に用いる固体電解質層は、好ましくはリチウムイオン伝導性固体電解質から構成される。
リチウムイオン伝導性固体電解質を構成する物質は、特に限定されず、有機化合物、無機化合物、あるいは有機・無機両化合物からなる材料を用いることができ、リチウムイオン電池分野で公知のものが使用できる。
特に、硫化物系の無機固体電解質は、イオン伝導度が他の無機化合物より高いことが知られており、特開平4−202024等に記載の無機固体電解質を使用できる。具体的には、LiSとSiS、GeS、P、Bの組合せから成る無機固体電解質に、適宜、LiPOやハロゲン、ハロゲン化合物を添加した無機固体電解質を用いることができる。
より望ましくは、無機固体電解質には、上述のリチウム・リン硫化物系ガラス及びセラミックガラスのいずれか一方または両方を用いることが好ましい。
固体電解質層は、例えば、粒子状のリチウムイオン伝導性固体物質を、ブラスト法やエアロゾルデポジション法にて製膜することで製造できる。また、コールドスプレー法、スパッタリング法、気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)又は溶射法等でもリチウムイオン伝導性固体物質の製膜が可能である。
さらに、固体電解質と溶媒やバインダー(結着材や高分子化合物等)を混合した溶液を塗布、塗工した後、溶媒を除去し成膜化する方法もある。また、固体電解質自体や固体電解質とバインダー(結着材や高分子化合物等)や支持体(固体電解質層の強度を補強させたり、固体電解質自体の短絡を防ぐための材料や化合物等)を混合・組合した電解質を加圧プレスすることで成膜することも可能である。
簡便な装置や室温条件下、固体電解質の状態を変化させない温度範囲で製膜できることから、ブラスト法やエアロゾルデポジション法が好ましい。
固体二次電池は、上述した電池用部材を貼り合せ、接合することで製造できる。接合する方法としては、各部材を積層し、加圧・圧着する方法や、2つのロール間を通して加圧する方法(roll to roll)等がある。
また、接合面にイオン伝導性を有する活物質や、イオン伝導性を阻害しない接着物質を介して接合してもよい。
接合においては、固体電解質の結晶構造が変化しない範囲で加熱融着してもよい。
[製造例1]
(1)硫化リチウム(LiS)の製造
撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。続いてこの反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。脱硫化水素反応が終了後(約80分)反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記(1)で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP 100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP 100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
尚、亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)並びにチオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
(3)リチウム・リン硫化物系ガラスの製造
上記のようにして製造したLiSとP(アルドリッチ製)を70対30のモル比に調製した混合物を約1gと直径10mmのアルミナ製ボール10ケとを45mLのアルミナ製容器に入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)にて、窒素中、室温(25℃)にて、回転速度を370rpmとし、20時間メカニカルミリング処理することで、白黄色の粉末であるリチウム・リン硫化物系ガラスを得た。この粉末について、粉末X線回折測定(CuKα:λ=1,5418Å)により得たX線スペクトルチャートが、非晶質体特有のブロードな形を示していることから、ガラスであることを確認した。
(4)ガラスセラミックの製造
(3)で得たリチウム・リン硫化物系ガラスに、窒素中にて常温(25℃)〜260℃までの温度範囲で焼成処理を行い、ガラスセラミックを得た。この粉末について、粉末X線回折測定(CuKα:λ=1,5418Å)により得たX線スペクトルチャートにおいて、2θ=17.8deg,18.2deg,19.8deg,21.8deg,23.8deg,25.9deg,29.5deg及び30.0degに回折ピークが認められたため、ガラスセラミックであることを確認した。
[実施例1]
負極材として、カーボングラファイト(TIMCAL製、SFG−15)を用いた。カーボングラファイト(TIMCAL製、SFG−15)と製造例1(4)のガラスセラミックとを質量比50:50で混合して製造した。正極材を、製造例1(4)のガラスセラミックと製造例1(3)のリチウム・リン系硫化物ガラスとコバルト酸リチウムとを重量比が10:30:60で混合して製造した。固体電解質を構成する固体電解質材は、製造例1(3)のリチウム・リン硫化物系ガラスと、製造例1(4)のセラミックガラスとを重量比75:25で混合して製造した。そして、市販のペレット成形機を用い、負極材(10mg)、固体電解質材(150mg)及び正極材(20mg)を順次ペレット成形機の中に入れ、順次20t/cmの圧力を掛け、負極、固体電解質及び正極の三層の性能評価用測定セルを製造した。
この測定セルを5mA/cmの電流密度において定電流で充放電させることによりレート特性を評価した。その際、充放電の上限電圧を4.2V、下限電圧を1.0Vとした。すなわち充電時、4.2Vまで測定セルの電圧が上昇したところで放電に移り、1.0Vに達した時点で評価を終了した。その結果、この測定セルは5mA/cmでの充放電が可能であったことから、レート特性に優れると判断した。
また、この測定セルを0.1mA/cmの電流密度において定電流で充放電を繰り返すことでサイクル特性を評価した。その際、充放電の上限電圧を4.2V、下限電圧を1.0Vとした。すなわち充電時、4.2Vまで測定セルの電圧が上昇したところで放電に移り、1.0Vに達した時点までに得られた放電容量の変化でサイクル特性を評価した。サイクル特性は、1回目で得られた放電容量に対する11回目で得られた放電容量の割合を百分率で示して評価した。測定結果を表1に示す。
[実施例2]
正極材であるガラスセラミックとリチウム・リン硫化物系ガラスとコバルト酸リチウムの重量比を、ガラスセラミック:リチウム・リン硫化物系ガラス:コバルト酸リチウム=20:20:60とした以外は、実施例1と同様にして固体二次電池を製造し、電池特性の測定を行った。測定結果を表1に示す。
[実施例3]
正極材であるガラスセラミックとリチウム・リン硫化物系ガラスとコバルト酸リチウムの重量比を、ガラスセラミック:リチウム・リン硫化物系ガラス:コバルト酸リチウム=30:10:60とした以外は、実施例1と同様にして固体二次電池を製造し、電池特性の測定を行った。測定結果を表1に示す。
[比較例1]
正極材としてリチウム・リン硫化物系ガラスを用いず、ガラスセラミックとリチウム・リン硫化物系ガラスとコバルト酸リチウムの重量比を、ガラスセラミック:リチウム・リン硫化物系ガラス:コバルト酸リチウム=40:0:60とした以外は、実施例1と同様にして固体二次電池を製造し、電池特性の測定を行った。測定結果を表1に示す。レート特性には優れるが、サイクル特性に劣る結果が示された。
[比較例2]
正極材としてリチウム・リン硫化物系ガラスセラミックを用いず、ガラスセラミックとリチウム・リン硫化物系ガラスとコバルト酸リチウムの重量比を、ガラスセラミック:リチウム・リン硫化物系ガラス:コバルト酸リチウム=0:40:60とした以外は、実施例1と同様にして固体二次電池を製造し、電池特性の測定を行った。測定結果を表1に示す。サイクル特性には優れるが、レート特性に劣る結果が示された。
Figure 2008103282
本発明の固体二次電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを電力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電池として用いることができる。
本発明に係る固体二次電池の一実施形態を示す概略断面図である。
符号の説明
1 全固体二次電池
10 正極
20 固体電解質層
30 負極
40,42 集電体

Claims (3)

  1. 極活性物質、硫化物系ガラスセラミック、及び硫化物系ガラスとの混合物からなる極材。
  2. 硫化物系ガラスセラミックと、硫化物系ガラスとの重量比が、90〜10:10〜90である請求項1記載の極材。
  3. 正極と、負極と、前記正極及び負極に挟持された固体電解質層とを有し、
    前記正極及び/又は負極が、請求項1又は2記載の極材からなる固体二次電池。
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