JP2008101568A - エンジンの給油構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】油圧式の可変バルブタイミング機構30A(30B)とオイルコントロールバルブ40A(40B)とを有するエンジン1の給油構造において、従来例のような動弁機構専用の給油手段(貯留室やシャワー配管等)を用いずに、動弁機構への給油を実現し、構成簡素化ならびにコスト低減を図る。
【解決手段】可変バルブタイミング機構30A(30B)に進角または遅角させるための作動油を供給したときに、当該機構30A(30B)からオイルコントロールバルブ40A(40B)に戻される作動油を、動弁機構(主として各カムシャフト13,14のカムロブ周辺)の潤滑油として直接的または間接的に供給するようにしている。
【選択図】図2
【解決手段】可変バルブタイミング機構30A(30B)に進角または遅角させるための作動油を供給したときに、当該機構30A(30B)からオイルコントロールバルブ40A(40B)に戻される作動油を、動弁機構(主として各カムシャフト13,14のカムロブ周辺)の潤滑油として直接的または間接的に供給するようにしている。
【選択図】図2
Description
本発明は、吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトの少なくともいずれか一方とクランクシャフトとの位相を変更するための油圧式の可変バルブタイミング機構と、この可変バルブタイミング機構の進角側油圧室と遅角側油圧室とに必要に応じて作動油を供給するオイルコントロールバルブとを有するエンジンにおける動弁機構への給油構造に関する。
エンジンには、吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトの少なくともいずれか一方のバルブタイミングを変更可能とする油圧式の可変バルブタイミング機構が搭載されたものがある(例えば特許文献1,2参照。)。
この可変バルブタイミング機構は、カムシャフトの一端側に設けられていて、この可変バルブタイミング機構の進角側油圧室と遅角側油圧室とに作動油をオイルコントロールバルブで送受制御することによってバルブタイミングを変更するように構成されている。
一般的に、エンジンでは、底部に設けられるオイルパン内の潤滑油をオイルポンプで汲み上げて、シリンダブロック側とシリンダヘッド側とに分けて供給するような給油路が設けられている。
シリンダブロック側給油路は、一般的に、メインギャラリーと呼ばれており、クランクジャーナルやオイルジェット等に潤滑油がそれぞれ供給される。一方、シリンダヘッド側給油路は、上記可変バルブタイミング機構のオイルコントロールバルブに供給されるとともに、シリンダヘッドカバーの内側に設置される貯留室やシャワー配管等を通じて動弁機構へ供給するようになっている(特許文献3参照。)。
なお、シリンダブロック内やシリンダヘッド内の各部を潤滑、冷却した潤滑油は、オイルパンに戻され、再度、エンジン内に循環される。
また、オイルコントロールバルブから可変バルブタイミング機構の進角側油圧室または遅角側油圧室に作動油を供給すると、供給していない側の油圧室内の作動油がオイルコントロールバルブへ戻される。このオイルコントロールバルブに戻された作動油は、一般的に、シリンダヘッドカバー内に排出してから、適宜のオイル還流路を経てオイルパンに戻すようになっている。
特開2006−144754号公報
特開2006−46191号公報
特開2005−163703号公報
上記従来例では、可変バルブタイミング機構からオイルコントロールバルブへ戻される作動油を動弁機構に潤滑油として供給するという記載ならびに技術思想がない。
そもそも、従来例では、可変バルブタイミング機構のオイルコントロールバルブについて、可変バルブタイミング機構に作動油を供給させるという本来の機能でしか、利用していない。
本願発明者は、上記のように可変バルブタイミング機構からオイルコントロールバルブに戻される作動油をシリンダヘッドに排出しているだけであるので、この点に着目して有効利用できないかについて、鋭意研究することにより、本願発明を提案するに至った。
本発明は、油圧式の可変バルブタイミング機構とオイルコントロールバルブとを有するエンジンの給油構造において、従来例のような動弁機構専用の給油手段(貯留室やシャワー配管等)を用いずに、動弁機構への給油を実現し、構成簡素化ならびにコスト低減を図ることを目的としている。
本発明は、吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトの少なくともいずれか一方とクランクシャフトとの位相を変更するための油圧式の可変バルブタイミング機構と、この可変バルブタイミング機構の進角側油圧室と遅角側油圧室とに必要に応じて作動油を供給するオイルコントロールバルブとを有するエンジンにおける動弁機構への給油構造であって、前記可変バルブタイミング機構の各油圧室からオイルコントロールバルブへ戻される作動油を、前記動弁機構へ潤滑油として供給する構成とされている、ことを特徴としている。
この構成では、可変バルブタイミング機構の各油圧室からオイルコントロールバルブに戻される作動油を動弁機構の潤滑油として有効利用しているから、動弁機構専用の給油手段(例えば貯留室やシャワー配管等)が不要となり、構成簡素化、コスト低減、重量軽減等が可能になる。
好ましくは、前記オイルコントロールバルブは、進角時に可変バルブタイミング機構側から戻される作動油を外部へ排出するドレンポートと、遅角時に可変バルブタイミング機構側から戻される作動油を外部へ排出するドレンポートとを有し、前記一方のドレンポートから排出される作動油が、前記動弁機構の吸気カムシャフト側に、また、前記他方のドレンポートから排出される作動油が、前記動弁機構の排気カムシャフト側にそれぞれ供給されるよう構成される。
そもそも、オイルコントロールバルブのドレンポートから排出される作動油は、比較的多量で勢いよく排出される。そのため、上記構成では、前記ドレンポートから排出される作動油を各カムシャフトの全域および当該各カムシャフトに摺接する部材(ロッカーアームやラッシュアジャスタ等)に十分に吹き付けることが可能になる。これにより、動弁機構の構成要素(各カムシャフト、ロッカーアーム、ラッシュアジャスタ等)の各摺接部位における潤滑や冷却が良好に行われることになる。
好ましくは、前記オイルコントロールバルブから排出される作動油を、前記動弁機構に直接的に供給させる形態とすることができる。
このような直接給油形態であれば、新たな部材を設置する必要がないので、構成簡素化を図るうえで有利となり、コスト低減、重量軽減に貢献できる。
好ましくは、前記オイルコントロールバルブから排出される作動油を、貯留部材に一旦貯留させてから、この貯留部材に貯留された油を前記動弁機構に徐々に供給させる形態とすることができる。
このような間接給油形態であれば、貯留部材が必要となるものの、貯留部材に所定量の作動油を貯留できるために、動弁機構への給油を途切れなく行うことが可能になる。
好ましくは、前記貯留部材は、前記動弁機構とシリンダヘッドカバーとの間に設置される受け皿とされ、この受け皿から溢れ出る油を前記動弁機構へ供給させる形態とすることができる。
このようなオーバーフロー給油タイプの受け皿であれば、簡素な構造で済むから、その製造コストを抑制するうえで有利となる。この場合、受け皿の貯留容量によって、給油量等を任意に調整することが可能となる。
好ましくは、前記貯留部材は、前記動弁機構とシリンダヘッドカバーとの間に設置される受け皿とされ、この受け皿に貯留される作動油を、前記受け皿の底壁部や側壁部に設けられる通孔から流出させて前記動弁機構へ滴下供給させる形態とすることができる。
このようなシャワー給油タイプの受け皿であれば、簡素な構造で済むから、その製造コストを抑制するうえで有利となる。この場合、受け皿の通孔の大きさや数によって、給油量等を任意に調整することが可能となる。
本発明では、可変バルブタイミング機構の動作に伴い当該機構からオイルコントロールバルブへ戻される作動油を、動弁機構に潤滑油として供給するように有効利用している。そのため、従来例のように動弁機構に対する専用の給油手段が不要となる等、構成簡素化、コスト低減ならびに重量軽減を図ることが可能になり、ひいてはエンジン性能ならびに燃費性能の向上に貢献できる。
以下、本発明の実施形態について図1から図17を参照して説明する。まず、図1から図12に本発明の一実施形態を示している。
本発明の特徴を適用した構成の説明に先立ち、本発明の適用対象となるエンジンの基本構成について説明する。
図3には、自動車等の車両に搭載されるエンジン(内燃機関ともいう)の概略構成を示している。図中、1はエンジン、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4シリンダヘッドカバー、5はオイルパンである。
ここで例示しているエンジン1は、例えば直列四気筒DOHCガソリンエンジンを例に挙げている。このエンジン1は、シリンダブロック2のシリンダボアとシリンダヘッド3とピストン6とで区画する燃焼室7に、吸入系および吸気ポート3aから導入される空気と燃料噴射弁8から噴射される燃料とからなる所定割合の混合気を供給し、この混合気を点火プラグ(図示省略)で点火して燃焼させることにより、ピストン6からコネクティングロッド9を介してクランクシャフト10を回転させるようにしており、燃焼後の排気ガスは排気ポート3bから排気系へ排出される。
シリンダヘッド3には、それぞれ、吸気ポート3aを開閉する吸気バルブ11と、排気ポート3bを開閉する排気バルブ12とが搭載されている。なお、吸気バルブ11と排気バルブ12とは一気筒当たりそれぞれ二つずつ搭載されていて、いわゆる四バルブタイプとなっている。
また、吸気バルブ11を開閉動作させる吸気カムシャフト13と、排気バルブ12を開閉動作させる排気カムシャフト14とは、シリンダヘッド3と別体のカムシャフトハウジング15に搭載されており、このカムシャフトハウジング15にカムキャップ16がボルト留めされることによって各カムシャフト13,14が回転自在に支持されるようになっている。
この吸気カムシャフト13および排気カムシャフト14は、クランクシャフト10により図示していないタイミングチェーン(あるいはタイミングベルト)を介して回転駆動される。
なお、吸気カムシャフト13および排気カムシャフト14には、それぞれ、八つのカムロブ13a,14aが設けられており、カムロブ13a,14aの一つ一つが吸気バルブ11と排気バルブ12とを駆動するようになっている。
各カムシャフト13,14のカムロブ13a,14aと各バルブ11,12との間には、それぞれロッカーアーム17・・・が配設されている。
このロッカーアーム17は、いわゆるエンドピボッドタイプのローラロッカーアームと呼ばれるものであって、その長手方向中間には、各カムシャフト13,14のカムロブ13a,14aが当接されるローラ(図示省略)が回動可能に支持され、その長手方向一端側に、各バルブ11,12のステムエンドが当接され、また、傾動支点となる長手方向他端側が、ハイドロリック式のラッシュアジャスタ18・・・で支持されている。
ここで、上述した吸気バルブ11、排気バルブ12、吸気カムシャフト13、排気カムシャフト14、ロッカーアーム17、ラッシュアジャスタ18等を含めて、動弁機構と言う。この動弁機構は、シリンダヘッド3の上部に取り付けられるシリンダヘッドカバー4で外部から隠蔽されている。
そして、上述したエンジン1には、必要に応じて吸気カムシャフト13および排気カムシャフト14の位相を連続可変することにより吸気弁10のバルブタイミング(開き、閉じ)を制御するために、油圧式の可変バルブタイミング機構(VVT:Variable Valve Timing)30A,30Bが装備されている。
なお、クランクシャフト10から各カムシャフト13,14に動力を伝達するためのタイミングチェーンまたはタイミングベルト(図示省略)や可変バルブタイミング機構30A,30B等は、シリンダブロック2の前壁外側に配置されるが、これらはシリンダブロック2の前壁に取り付けられるタイミングチェーンカバー(図示省略)でもって隠蔽保護されるようになっている。
ここで、可変バルブタイミング機構30A,30Bの基本構成について、図7から図12を参照して説明する。
可変バルブタイミング機構30A,30Bは、吸気側も排気側も共に同じ構成になっているので、その構成要素に付す符号にはA,Bを付けずに同じ符号としている。
可変バルブタイミング機構30A,30Bは、例えば一般的に公知のベーン型アクチュエータとされており、図7に示すように、ハウジング31と、ベーンロータ32と、カバー33とを備えている。
ハウジング31は、吸気カムシャフト13や排気カムシャフト14の軸方向一端側のタイミングギア19と一体回転可能に固定される。ベーンロータ32は、吸気カムシャフト13や排気カムシャフト14と一体に固定されていて、ハウジング31の内部に円周方向で相対的に揺動可能に収納される。カバー33は、ハウジング31の前面にボルト等の締結具34で取り付けられる。
ハウジング31の内周の円周方向複数箇所(図では四箇所)には、径方向外向きに陥没する凹部31a・・・が設けられており、また、ベーンロータ32の外周の円周方向複数箇所(凹部31aと同数)には、径方向外向きに突出するベーン32a・・・が設けられている。
このハウジング31の各凹部31a内にベーンロータ32の各ベーン32aが円周方向揺動可能に挿入されており、必要に応じて凹部31a内においてベーン32aの円周方向両側に、進角側油圧室35および遅角側油圧室36が確保される。この実施形態では、図8および図9に示すように、進角側油圧室35および遅角側油圧室36を四つずつ計八つとしている。
これらいずれか一方の油圧室35,36内に対する作動油供給を、エンジン1の運転状況に応じてオイルコントロールバルブ(OCV)40A,40Bでもって制御することにより、吸気カムシャフト13や排気カムシャフト14を進角側または遅角側に駆動するようになっている。
このオイルコントロールバルブ40A,40Bは、一般的に公知の電磁駆動式のスプールタイプとされており、図10に示すように、ケーシング41内に往復移動可能に挿入されかつケーシング41に設けられる五つのポート41a〜41eを開閉するスプール弁42と、スプール弁42に弾性力を付勢する圧縮コイルスプリング43と、電磁ソレノイド44とを含んで構成されている。
具体的に、オイルコントロールバルブ40A,40Bは、一般的に公知のようにエンジン1の運転状況に応じてエンジン制御装置50により制御される。
このエンジン制御装置50は、一般的に公知のECU(Electronic Control Unit)とされていて、エンジン1の動作を総合的に制御するための各種制御プログラムが記憶されている。
このエンジン制御装置50によるオイルコントロールバルブ40A,40Bの制御プログラムとしては、図示しない回転数センサや吸気圧センサ、クランク角センサ、カム角センサ等の各種のセンサから送られてくる検出信号に基づき、エンジン1の現在の運転状態に適したカムシャフト12における回転位相角を算出するとともに、この実際の回転位相角と回転位相角の目標値との偏差を判断し、同偏差が所定値以下となるようにオイルコントロールバルブ40A,40Bを制御するようになっている。
そして、エンジン制御装置50で電磁ソレノイド44への印加電圧をデューティー制御することにより、スプール弁42を軸方向に移動させ、スプール弁42の移動位置によって進角側油圧室35および遅角側油圧室36に対する作動油の供給量、あるいは進角側油圧室35および遅角側油圧室36からの作動油の戻し量を調整する。
ここで、上述した可変バルブタイミング機構30A,30Bの基本的な動作を説明する。
まず、バルブタイミングを進める場合には、オイルコントロールバルブ40A,40Bの進角ポート41bから進角側油圧室35に作動油を供給する。これにより、図8に示すように、ベーンロータ32がハウジング31に対して吸気カムシャフト13や排気カムシャフト14の回転方向に相対回転し、吸気カムシャフト13や排気カムシャフト14の回転位相がクランクシャフト10の回転位相に対して進められる。
これとは逆に、バルブタイミングを遅らせる場合には、オイルコントロールバルブ40A,40Bの遅角ポート41cから遅角側油圧室36に作動油を供給する。これにより、図9に示すように、ベーンロータ32はハウジング31に対して吸気カムシャフト13や排気カムシャフト14の回転方向と逆方向に相対回転され、吸気カムシャフト13や排気カムシャフト14の回転位相がクランクシャフト10の回転位相に対して遅らされる。
なお、進角時には、図11に示すように、ベーンロータ32の回転に伴い遅角側油圧室36が圧縮されるので、この遅角側油圧室36内の作動油がオイルコントロールバルブ40A,40Bに戻される。一方、遅角時には、図12に示すように、ベーンロータ32の回転に伴い進角側油圧室35が圧縮されるので、この進角側油圧室35内の作動油がオイルコントロールバルブ40A,40Bに戻される。
ところで、上述したようなエンジン1では、図1および図2に示すように、シリンダブロック2の底部に設けられるオイルパン5内の潤滑油を、クランクシャフト10で駆動されるオイルポンプ(OP)21で汲み上げてオイルフィルタ(OF)22で濾過してから、メインオイルホールまたはメインギャラリーと呼ばれるシリンダブロック側給油路23を介してシリンダブロック2内の必要部位に供給するとともに、シリンダヘッド側給油路24を介してシリンダヘッド3内の必要部位に供給するようになっており、エンジン1の各部を潤滑、冷却した潤滑油は、適宜のオイル還流路を経てオイルパン5に戻され、再度、エンジン1内で循環されるようになっている。
なお、シリンダブロック2側に供給された潤滑油は、クランクシャフトジャーナル部やオイルジェットによる気筒内の潤滑や冷却に用いられる。一方、シリンダヘッド2側に供給された潤滑油は、オイルコントロールバルブ40A,40Bを通じて可変バルブタイミング機構30A,30Bの進角側油圧室35および遅角側油圧室36への作動油として用いられるとともに、シリンダヘッド3に設けられる給油路(図示省略)を経て各ラッシュアジャスタ18にも供給される。
ここで、オイルコントロールバルブ40A,40Bから可変バルブタイミング機構30A,30Bの各油圧室35,36への作動油供給経路について、説明する。
まず、オイルコントロールバルブ40A,40Bの導入ポート41aにはシリンダヘッド側給油路24が連通連結されている。
そして、オイルコントロールバルブ40A,40Bの進角ポート41bは、カムシャフトハウジング15の通路61、吸気カムシャフト13や排気カムシャフト14の通路62,ベーンロータ32の通路63を経て、各進角側油圧室35に連通連結されている。
また、オイルコントロールバルブ40A,40Bの遅角ポート41cは、カムシャフトハウジング15の通路71、吸気カムシャフト13や排気カムシャフト14の通路72,ベーンロータ32の通路73を経て、各遅角側油圧室36に連通連結されている。
なお、これらの各通路は、適宜の孔や溝等として設けられたものを組み合わせて構成される。
次に、本発明に係るエンジンの給油構造の特徴を適用した部分について、詳細に説明する。
そもそも、オイルコントロールバルブ40A,40Bから可変バルブタイミング機構30A,30Bの各進角側油圧室35や各遅角側油圧室36への作動油供給に伴い、当該作動油が供給されない側の油圧室内の作動油がオイルコントロールバルブ40A,40Bへ戻される。
このオイルコントロールバルブ40A,40Bに戻された作動油は、通常、ドレンポート41d,41eから単にシリンダヘッドカバー4の内部空間に排出されて、適宜のオイル還流路を経てオイルパン5に戻すようにしているだけであった。
そこで、本発明では、上述したドレンポート41d,41eから排出される作動油を、動弁機構の潤滑油として有効利用するように工夫している。
この実施形態では、ドレンポート41d,41eから排出される作動油を動弁機構に供給する形態として、直接給油形態とする。
具体的に、図1、図2および図5に示すように、吸気側のオイルコントロールバルブ40Aの両ドレンポート41d,41eから排出される作動油を、前記動弁機構の吸気カムシャフト13側に直接的に噴射供給させるようにする一方で、排気側のオイルコントロールバルブ40Bの両ドレンポート41d,41eから排出される作動油を、前記動弁機構の排気カムシャフト14側に直接的に噴射供給させるようにする。
このようにするために、オイルコントロールバルブ40A,40Bは、図3および図6に示すように、シリンダヘッドカバー4の装着部4a,4bに着脱自在に装着されるが、この装着状態において、オイルコントロールバルブ40A,40Bの二つのドレンポート41d,41eがシリンダヘッドカバー4内部に開放されるようになっている。
しかも、シリンダヘッドカバー4の装着部4a,4bは、シリンダヘッドカバー4のエンジンフロント側に片寄せて設置されており、このことを考慮し、オイルコントロールバルブ40A,40Bの二つのドレンポート41d,41eからの作動油噴射方向については、図4に示すように、斜め下向きに設定するようになっている。
ちなみに、オイルコントロールバルブ40A,40Bの二つのドレンポート41d,41eから排出される作動油は、比較的多量で勢いよく排出される。そのため、上記構成では、ドレンポート41d,41eから排出される作動油を各カムシャフト13,14の全域および当該各カムシャフト13,14に摺接する部材(ロッカーアームやラッシュアジャスタ等)に十分に吹き付けることが可能になる。これにより、動弁機構の構成要素(各カムシャフト13,14、ロッカーアーム17、ラッシュアジャスタ18等)の各摺接部位における潤滑や冷却が良好に行われることになる。
以上説明したように、本発明を適用した実施形態では、可変バルブタイミング機構30A,30Bの動作に伴い当該機構30A,30Bからオイルコントロールバルブ40A,40Bへ戻される作動油を、動弁機構に潤滑油として供給するように有効利用している。
そのため、従来例のように動弁機構に対する専用の給油手段(貯留室やシャワー配管等)が不要となる等、構成簡素化、コスト低減ならびに重量軽減を図ることが可能になり、ひいてはエンジン性能ならびに燃費性能の向上に貢献できるようになる。
特に、上述した実施形態のような直接給油形態にしていれば、新たな部材を一切設置する必要がないので、さらなる構成簡素化、コスト低減、重量軽減に貢献できる。
なお、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、例えば下記するような形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
以下、本発明の他の実施形態を説明する。
(1)本発明が適用されるエンジン1は、上記実施形態で説明したガソリンエンジンの他、ディーゼルエンジンであってもよい。また、エンジン1の型式についても、直列多気筒タイプの他に、V型多気筒タイプ、水平対向型多気筒タイプ等、特に限定されない。
(2)上記実施形態では、可変バルブタイミング機構30A,30Bを吸気側と排気側との両方に装備した例を挙げたが、吸気側または排気側の一方のみに装備したものであっても本発明を適用できる。その場合、オイルコントロールバルブが一つになるので、オイルコントロールバルブから動弁機構への給油形態を最適となるように適宜に設定するのが好ましい。
(3)上記実施形態で示した二つのオイルコントロールバルブ40A,40Bの配置形態は、特に限定されず、例えば図13から図15に示すようにすることができる。
まず、図13では、吸気側のオイルコントロールバルブ40Aをエンジンフロント側に、また、排気側のオイルコントロールバルブ40Bをエンジンリア側に配置する。
そして、吸気側のオイルコントロールバルブ40Aの作動油排出方向と排気側のオイルコントロールバルブ40Bの作動油排出方向とを向かい合わせるようにするとともに、吸気側のオイルコントロールバルブ40Aで吸気カムシャフト13側に作動油を直接的に供給させて、排気側のオイルコントロールバルブ40Bで排気カムシャフト14側に作動油を直接的に供給させる形態とする。
また、図14では、吸気側のオイルコントロールバルブ40Aをエンジンフロント側に、また、排気側のオイルコントロールバルブ40Bをエンジンリア側に配置するとともに、それら両方をシリンダヘッド3の短手方向中間に配置する。
そして、吸気側のオイルコントロールバルブ40Aの作動油排出方向と排気側のオイルコントロールバルブ40Bの作動油排出方向とを向かい合わせるようにするとともに、両方のオイルコントロールバルブ40A,40Bにそれぞれ備える二つのドレンポート41d,41eのうち、各一方のドレンポート41dを吸気カムシャフト13側に向けて、また、各他方のドレンポート41eを排気カムシャフト14側に向けて、それぞれ作動油を直接的に供給させる形態とする。
なお、図13に示す実施形態と図14に示す実施形態とにおいて、吸気側のオイルコントロールバルブ40Aと排気側のオイルコントロールバルブ40Bとを入れ替えて配置してもよい。
さらに、図15では、両方のオイルコントロールバルブ40A,40Bをシリンダヘッド3の長手方向中央に配置する。
そして、両方のオイルコントロールバルブ40A,40Bにそれぞれ備える二つのドレンポート41d,41eのうち、一方のドレンポート41dをエンジンフロント側に向けて、他方のドレンポート41eをエンジンリア側に向けるようにし、吸気側のオイルコントロールバルブ40Aで吸気カムシャフト13側に作動油を直接的に供給させて、排気側のオイルコントロールバルブ40Bで排気カムシャフト14側に作動油を直接的に供給させる形態とする。
以上説明した他の実施形態においても、上記実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
(4)上記実施形態では、オイルコントロールバルブ40A,40Bのドレンポート41d,41eから排出される作動油を動弁機構に直接的に供給させる直接給油形態を採用した例を挙げているが、次のような間接給油形態とすることができる。
つまり、図16および図17に示すように、前記動弁機構とシリンダヘッドカバー4との間に、オイルコントロールバルブ40A,40Bのドレンポート41d,41eから排出される作動油を貯留する貯留部材としての受け皿61を設置し、この受け皿61から溢れ出る油を前記動弁機構へ供給させることができる。
この場合も、上記実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。それに加えて、上述した間接給油形態であれば、受け皿61が必要となるものの、受け皿61に所定量の作動油を貯留できるために、動弁機構への給油を途切れなく行うことが可能になる。また、このようなオーバーフロー給油タイプの受け皿61であれば、それが簡素な構造で済むから、その製造コストを抑制するうえで有利となる。この場合、受け皿61の貯留容量によって、給油量等を任意に調整することが可能となる。
(5)上記(4)の実施形態で示した受け皿61において、例えば図18に示すように、その底壁部や側壁部に通孔62を設け、この受け皿61に貯留される作動油を通孔62から流出させて、動弁機構へ向けて滴下供給させることができる。
このようなシャワー給油タイプの受け皿61の場合、通孔62の大きさや数によって、給油量等を任意に調整することが可能となる。
この場合も、上記(4)に示した実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
(6)上記(4),(5)に示す実施形態において、受け皿61の貯留油量を検出するための油量センサ(図示省略)を装備し、この油量センサの検出出力に基づき受け皿61の貯留油量が一定量以下になったときに、故意にオイルコントロールバルブ40A,40Bを駆動して、受け皿61内に作動油を貯留させるようにしてもよい。
その場合、オイルコントロールバルブ40A,40Bを駆動するにあたって、可変バルブタイミング機構30A,30Bによる吸気バルブ11と排気バルブ12とのバルブオーバーラップ量を可及的に小さくしたうえで一定に固定するように制御するのが、エンジン1の回転数を安定させるうえで好ましい。
1 エンジン
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 シリンダヘッドカバー
5 オイルパン
21 オイルポンプ
22 オイルフィルタ
23 シリンダブロック側給油路
24 シリンダヘッド側給油路
30A 吸気側の可変バルブタイミング機構
30B 排気側の可変バルブタイミング機構
35 進角側油圧室
36 遅角側油圧室
40A 吸気側のオイルコントロールバルブ
40B 排気側のオイルコントロールバルブ
41d,41e ドレンポート
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 シリンダヘッドカバー
5 オイルパン
21 オイルポンプ
22 オイルフィルタ
23 シリンダブロック側給油路
24 シリンダヘッド側給油路
30A 吸気側の可変バルブタイミング機構
30B 排気側の可変バルブタイミング機構
35 進角側油圧室
36 遅角側油圧室
40A 吸気側のオイルコントロールバルブ
40B 排気側のオイルコントロールバルブ
41d,41e ドレンポート
Claims (6)
- 吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトの少なくともいずれか一方とクランクシャフトとの位相を変更するための油圧式の可変バルブタイミング機構と、この可変バルブタイミング機構の進角側油圧室と遅角側油圧室とに必要に応じて作動油を供給するオイルコントロールバルブとを有するエンジンにおける動弁機構への給油構造であって、
前記可変バルブタイミング機構の各油圧室からオイルコントロールバルブへ戻される作動油を、前記動弁機構へ潤滑油として供給する構成とされている、ことを特徴とするエンジンの給油構造。 - 請求項1に記載のエンジンの給油構造において、
前記オイルコントロールバルブは、進角時に可変バルブタイミング機構側から戻される作動油を外部へ排出するドレンポートと、遅角時に可変バルブタイミング機構側から戻される作動油を外部へ排出するドレンポートとを有し、
前記一方のドレンポートから排出される作動油が、前記動弁機構の吸気カムシャフト側に、また、前記他方のドレンポートから排出される作動油が、前記動弁機構の排気カムシャフト側にそれぞれ供給されるよう構成される、ことを特徴とするエンジンの給油構造。 - 請求項1または2に記載のエンジンの給油構造において、
前記オイルコントロールバルブから排出される作動油を、前記動弁機構に直接的に供給させる、ことを特徴とするエンジンの給油構造。 - 請求項1または2に記載のエンジンの給油構造において、
前記オイルコントロールバルブから排出される作動油を、貯留部材に一旦貯留させてから、この貯留部材に貯留された油を前記動弁機構に徐々に供給させる、ことを特徴とするエンジンの給油構造。 - 請求項4に記載のエンジンの給油構造において、
前記貯留部材は、前記動弁機構とシリンダヘッドカバーとの間に設置される受け皿とされ、この受け皿から溢れ出る油を前記動弁機構へ供給させる、ことを特徴とするエンジンの給油構造。 - 請求項4に記載のエンジンの給油構造において、
前記貯留部材は、前記動弁機構とシリンダヘッドカバーとの間に設置される受け皿とされ、この受け皿に貯留される作動油を、前記受け皿の底壁部や側壁部に設けられる通孔から流出させて前記動弁機構へ滴下供給させる、ことを特徴とするエンジンの給油構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006285888A JP2008101568A (ja) | 2006-10-20 | 2006-10-20 | エンジンの給油構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006285888A JP2008101568A (ja) | 2006-10-20 | 2006-10-20 | エンジンの給油構造 |
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JP2008101568A true JP2008101568A (ja) | 2008-05-01 |
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ID=39436081
Family Applications (1)
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JP2006285888A Pending JP2008101568A (ja) | 2006-10-20 | 2006-10-20 | エンジンの給油構造 |
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JP (1) | JP2008101568A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103016094A (zh) * | 2012-12-28 | 2013-04-03 | 安徽江淮汽车股份有限公司 | 一种双vvt发动机润滑油路 |
-
2006
- 2006-10-20 JP JP2006285888A patent/JP2008101568A/ja active Pending
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CN103016094A (zh) * | 2012-12-28 | 2013-04-03 | 安徽江淮汽车股份有限公司 | 一种双vvt发动机润滑油路 |
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