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JP2008173293A - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

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JP2008173293A
JP2008173293A JP2007009476A JP2007009476A JP2008173293A JP 2008173293 A JP2008173293 A JP 2008173293A JP 2007009476 A JP2007009476 A JP 2007009476A JP 2007009476 A JP2007009476 A JP 2007009476A JP 2008173293 A JP2008173293 A JP 2008173293A
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Tomoya Hirano
智哉 平野
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Dunlop Sports Co Ltd
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SRI Sports Ltd
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Abstract

【課題】大型で且つ強度の高いゴルフクラブヘッドの提供。
【解決手段】ヘッド2は、フェース部材4、中間部材6及びバック部材8を備える。中間部材6は、開口部22及びシャフト取付け部18を有する。開口部22にフェース部材4が溶接されている。バック部材8は中間部材6のバック側の縁24に溶接されている。フェース部材4は、圧延シート材をプレスすることにより一体に成形されているか、又は鍛造により一体に成形されている。中間部材6は、鋳造により一体に成形されている。バック部材8は、圧延材をプレスすることにより一体に成形されているか、又は圧延材をプレスして成形した複数の部材を溶接してなる。好ましくは、フェース部材4は、板状である。好ましくは、バック部材8は、圧延材をプレスすることにより一体に成形されている。
【選択図】図7

Description

本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
大型のゴルフクラブヘッドは、性能上の優位性を有している。特にドライバー(W#1)のヘッドは大型とされている。ゴルフクラブヘッドの重量(質量)には制約があり、制約された重量の範囲内でヘッドが大型とされる。一方、ヘッドには、インパクトの衝撃に耐えうる強度が求められる。大型で且つ強度の高いヘッドを得る目的で、大型のヘッドには、チタン系金属(チタン又はチタン合金)が多用されている。チタン系金属は、比重が小さく且つ比強度が大きいので、大型のヘッドに適している。
チタン系金属の価格は高い。特に近年はチタン系金属の価格が上昇している。この価格の上昇は、ゴルフクラブヘッドの製造コストを増大させる。
特開2001−129132公報は、チタン系金属を用いることなく、鉄系金属を用いたウッド型ゴルフクラブヘッドを開示する。鉄系金属が用いられることにより、ヘッドの製造コストが低減されうる。
特開2001−129132公報
重量及び強度の問題から、高価なチタン系金属が用いられない場合、ヘッドの体積の制約が大きい。
本発明の目的は、大型で且つ強度が高く、材料コストを低減しうるゴルフクラブヘッドの提供にある。
本発明に係るゴルフクラブヘッドは、フェース部材、中間部材及びバック部材を備えている。上記中間部材は、開口部及びシャフト取付け部を有している。上記中間部材の開口部に、上記フェース部材が溶接されている。上記バック部材は、上記中間部材のバック側の縁に溶接されている。上記フェース部材は、圧延シート材をプレスすることにより一体に成形されている。又は、上記フェース部材は、鍛造により一体に成形されている。上記中間部材は、鋳造により一体に成形されている。上記バック部材は、圧延材をプレスすることにより一体に成形されている。又は、上記バック部材は、圧延材をプレスして成形した複数の部材を溶接してなる。
好ましくは、上記フェース部材は、板状である。好ましくは、上記バック部材は、圧延材をプレスすることにより一体に成形されている。好ましくは、上記フェース部材、上記中間部材及び上記バック部材は、鉄を50質量%以上含む金属よりなる。
好ましくは、フェース部材の引張強度が2000MPa以上とされる。好ましくは、中間部材の引張強度が1300MPa以上とされる。好ましくは、バック部材の引張強度が2000MPa以上とされる。好ましくは、フェース部材の面積平均厚みが2.3mm以上3.2mm以下とされる。好ましくは、中間部材において、クラウン面及びソール面における面積平均厚みが0.7mm以上2.0mm以下とされる。好ましくは、バック部材の面積平均厚みが0.3mm以上0.6mm以下とされる。面積平均厚みは、表面積と体積Voとから計算されうる。表面積は、外面の表面積と内面の表面積との平均値Saとされうる。面積平均厚みは、[Vo/Sa]とされうる。
好ましくは、上記フェース部材と上記中間部材との溶接はレーザー溶接とされる。好ましくは、上記中間部材と上記バック部材との溶接はレーザー溶接とされる。
本発明により、大型で且つ強度が高いゴルフクラブヘッドが得られうる。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の第一実施形態に係るゴルフクラブヘッド2の斜視図である。図2はヘッド2をクラウン側から見た図であり、図3はヘッド2をフェース側から見た図であり、図4はヘッド2を図3のIV−IV線に沿った断面図であり、図5は図2のV−V線に沿った断面図であり、図6は図3のVI−VI線に沿った断面図である。図7は、ヘッド2を構成する部材を分解して示した斜視図である。
ヘッド2は、ウッド型のゴルフクラブヘッドである。ヘッド2は、ドライバー用のヘッドである。ヘッド2のリアルロフト角は、通常6度から15度の範囲である。ヘッド2は、中空部を有している。
ヘッド2は、フェース部材4、中間部材6及びバック部材8を備えている。フェース部材4は、最もフェース側に位置している。バック部材8は、最もバック側に位置している。中間部材6は、フェース部材4とバック部材8とを連結している。ヘッド2は、3つの部材が接合されてなる(図7参照)。この3つの部材が、フェース部材4、中間部材6及びバック部材8である。ヘッド2は、フェース部材4と中間部材6とバック部材8とが接合されてなる。
一方、図1から図3が示すように、ヘッド2は、フェース面10、クラウン面12、サイド面14及びソール面16を有する。更にヘッド2は、シャフト取付け部18を有する。シャフト取付け部18は、ホーゼル部である。シャフト取付け部18は、ネック部である。図4及び図5が示すように、シャフト取付け部18は、円筒部19を有する。シャフト取付け部18は、シャフト穴20を有する。シャフト穴20には、図示しないシャフトが装着される。
フェース面10には、フェースライン21が設けられている。図3を除き、フェースライン21の記載が省略されている。
表面研磨や塗装等が施されて仕上げられたヘッド2では、フェース部材4、中間部材6及びバック部材8の境界線を見出すことは困難である。このため図1から図3では、境界線が図示されていない。図4から図6の断面図では、接合部sが示されている。接合部sは、一体部材同士が接合された部分を示している。本実施形態において、接合部sは、フェース部材4と中間部材6との境界、又は中間部材6とバック部材8との境界である。見やすい図面とするため、接合部sは黒く塗りつぶされることにより示されている。
フェース部材4は、フェース面10のほぼ全体を含む。ただし、フェース面10の周辺部は、中間部材6に属している。フェース部材4は、クラウン面12を含まない。フェース部材4は、サイド面14を含まない。フェース部材4は、ソール面16を含まない。
図7が示すように、フェース部材4は板状である。フェース部材4は、曲げられている。フェース部材4の曲がりは、フェース面10にバルジ及びロールを与える。
フェース部材4が、フェース面10の全体を含んでいても良い。更に、フェース部材4が、クラウン面12の一部、サイド面14の一部及び/又はソール面16の一部を含んでいても良い。
中間部材6は、全体として、フェース側及びバック側に開口した筒状体である。中間部材6は、クラウン面12の一部、サイド面14の一部及びソール面16の一部を構成する。中間部材6は、クラウン面12のうちフェース面10に近い部分を構成する。中間部材6は、サイド面14のうちフェース面10に近い部分を構成する。中間部材6は、ソール面16のうちフェース面10に近い部分を構成する。更に中間部材6は、フェース面10の一部を含む。中間部材6は、フェース面10を含まなくても良い。
中間部材6は、シャフト取付け部18を有している。中間部材6は、ヘッド2のホーゼルを有している。換言すれば、中間部材6は、ヘッド2のネックを有している。
バック部材8は、クラウン面12の一部、サイド面14の一部及びソール面16の一部を含む。バック部材8は、クラウン面12のうちバック側の部分を構成する。バック部材8は、サイド面14のうちバック側の部分を構成する。バック部材8は、ソール面16のうちバック側の部分を構成する。バック部材8は、クラウン面12を含んでいなくても良い。バック部材8は、サイド面14を含んでいなくても良い。バック部材8は、ソール面16を含んでいなくても良い。
フェース部材4と中間部材6とは、溶接されている。中間部材6とバック部材8とは、溶接されている。断面図における接合部sは、溶接部分を示す。溶接により、高い接合強度が得られる。
図7が示すように、中間部材6は、開口部22を有している。開口部22は、中間部材6のフェース側に設けられている。開口部22の形状は、フェース部材4の形状と対応している。開口部22の輪郭形状は、フェース部材4の輪郭形状と略等しい。開口部22にフェース部材4が溶接されている。フェース部材4によって開口部22が塞がれている。
図6及び図7が示すように、中間部材6は、バック側の縁24を有する。この縁24は、中間部材6の後方開口部26を形成している。図6が示すように、バック部材8は、中間部材6のバック側の縁24に溶接されている。バック部材8は、後方開口部26に溶接されている。
バック部材8は、全体としてカップ状である。図6及び図7が示すように、バック部材8は、縁28を有する。縁28は、バック部材8のフェース側にある。バック部材8は、開口部30を有する。縁28は、バック部材8の開口部30を形成している。前述した中間部材6の縁24と、縁28とが溶接されている。中間部材6の後方開口部26と開口部30とが溶接されている。
図6が示すように、中間部材6の縁24には、係合部31が設けられている。係合部31は、段差を有する。係合部31は、縁28の内面に当接する内側部32と、縁28の端面が当接する段差面34とを有する。係合部31は、バック部材8の縁28と係合しうる。係合部31により、中間部材6とバック部材8との間の位置決めが容易となる。中間部材6の係合部31に縁28を嵌め込んだ状態で、溶接がなされる。係合部31は、中間部材6とバック部材8との溶接作業を容易とする。
溶接される部材が薄い場合、部材間の位置決めは特に重要である。厚み方向の位置がずれた場合、ヘッド表面に段差が生ずるが、この段差はヘッドの研磨工程において削り取られる。つまり、厚み方向の位置がずれた場合、このずれに相当する厚みが、削り取られる。中間部材6又はバック部材8が薄くされた場合、両者間の位置決めの精度は重要である。係合部31は、位置決めの精度を高める。
上記実施形態において、係合部31は、縁24の全周に亘って設けられている。係合部31は、後方開口部26の周方向の所定間隔おきに設けられてもよい。係合部31は、バック部材8に設けられてもよい。係合部31は、中間部材6とバック部材8とに設けられてもよい。
フェース部材4は、圧延シート材をプレスすることにより一体に成形されている。圧延シート材は、組織の欠陥が少ない。圧延シート材は、表面の品位が高く、例えば表面の疵が少ない。圧延シート材は、強度のばらつきが少ない。圧延シート材は、寸法精度が高い。圧延シート材が用いられることにより、フェース部材4の強度が高められ得る。圧延シート材が用いられることにより、フェース部材4の強度のばらつきが抑制される。
フェース部材4は、鍛造により一体に成形されていてもよい。鍛造により、フェース部材4の強度が高められ得る。型を用いた塑性変形により成形されたフェース部材4は、高強度である。
フェース部材が鋳造により製造された場合、材料強度及び靱性が不足しやすい。フェース部材が鋳造により製造された場合、フェースの耐久性が低下する。材料強度が低くても、フェース部材の厚みが大きくされれば耐久性は向上する。しかしこの場合、重心深度が浅くなり、ヘッドの慣性モーメントが低下しやすい。また、フェース部材の厚みが大きくされると、フェース部材に多くの重量が配分され、ヘッドの大型化が妨げられる。本実施形態では、これらの問題が克服されている。
前述したように、フェース部材4は、板状である。板状のフェース部材4は、プレス又は鍛造に適している。板状でないフェース部材は、プレス又は鍛造で製造されにくい。板状でないフェース部材をプレス又は鍛造で製造する場合、生産性の低下、コストの上昇、曲がり部分における耐久性低下等を招く。これらの傾向は、鉄系金属において特に顕著である。板状でないフェース部材として、いわゆる「カップフェース」が知られている。「カップフェース」は、フェース面の全体と、クラウンの一部、ソールの一部及びサイドの一部を含む。「カップフェース」は、プレス又は鍛造で製造されにくい。
強度及び耐久性の観点から、フェース部材4の厚みは、2.3mm以上が好ましく、2.4mm以上がより好ましい。フェース部材4を軽量とし、大型のヘッドを達成しやすくする観点から、フェース部材4の厚みは、3.2mm以下が好ましく、2.8mm以下がより好ましい。好ましくは、フェース部材4の面積平均厚みが上記範囲とされるのがよい。より好ましくは、フェース部材4のあらゆる地点において厚みが上記範囲とされるのがよい。
中間部材6は、鋳造により一体に成形されている。この鋳造は、ロストワックス精密鋳造である。鋳造により、シャフト取付け部18を含んだ複雑な形状であっても成形が容易である。シャフト取付け部18は、中間部材6の他の部分と一体に成形されているので、強度及び耐久性に優れる。係合部31は、厚みの薄い部分に設けられる。係合部31の形成には、高い精度が要求される。鋳造により、係合部31が精度良く形成されうる。鋳造により、肉厚変化の自由度が高くなる。
従来、ネック部を鍛造とし、このネック部とヘッド本体とが溶接されたヘッドが公知である。このヘッドでは、ネック部の取り付け角度がばらつきやすい。このヘッドでは、ロフト角やライ角がばらつきやすい。更に、このヘッドでは、ネック部に打球時の応力が集中しやすい。打球時には、ネック部とヘッド本体との境界に応力が集中しやすい。更に、このヘッドでは、ネック部の溶接に手間と労力とを要する。
本実施形態のヘッド2は、シャフト取付け部18を含む中間部材6が一体に成形されているので、ロフト角及びライ角の精度が高い。本実施形態のヘッド2は、シャフト取付け部18を含む中間部材6が一体に成形されているので、シャフト取付け部18の強度及び耐久性が高い。本実施形態のヘッド2は、シャフト取付け部18を含む中間部材6が一体に成形されているので、生産性に優れる。
ネック部が溶接される場合、溶接ビードの重量が増加する。この重量増加により、重量配分の設計自由度が低下する問題が生ずる。上記実施形態は、この問題を解決する。
鋳造を容易とする観点、及び、強度と耐久性とを高める観点から、中間部材6の厚みは、0.7mm以上が好ましく、1.2mm以上が好ましく、1.3mm以上がより好ましい。鋳造では、0.7mm未満の厚みとすることが極めて難しい。中間部材6を軽量とし、大型のヘッドを達成しやすくする観点から、中間部材6の厚みは、2.0mm以下が好ましく、1.7mm以下がより好ましい。好ましくは、中間部材6の面積平均厚みが上記範囲とされるのがよい。好ましくは、クラウン面及びソール面における中間部材6の面積平均厚みが上記範囲とされるのがよい。より好ましくは、シャフト取付け部18を除く部分における中間部材6の面積平均厚みが上記範囲とされるのがよい。より好ましくは、中間部材6のあらゆる地点において厚みが上記範囲とされるのがよい。
バック部材8は、圧延材をプレスすることにより一体に成形されている。バック部材8は、型を用いた塑性変形により製造されている。バック部材8は、圧延材を絞り加工することにより一体に成形されている。この圧延材は、シート状である。圧延材は、組織の欠陥が少ない。圧延材は、表面の疵が少ない。圧延材は、強度のばらつきが少ない。圧延材は、寸法精度が高い。圧延材が用いられることにより、バック部材8の強度及び寸法精度が高められ得る。圧延材をプレスすることにより一体に成形されたバック部材8は、溶接工程を要さないので、生産性が高く低コストである。溶接箇所が無いバック部材8は、バック部材8の重量の低減と耐久性の向上とに寄与する。圧延材をプレスして成形した複数の部材を溶接したバック部材8でもよい。
バック部材8の強度と耐久性とを高める観点から、バック部材8の厚みは、0.3mm以上が好ましく、0.35mm以上がより好ましい。バック部材8を軽量とし、大型のヘッドを達成しやすくする観点から、バック部材8の厚みは、0.6mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましい。 好ましくは、バック部材8の面積平均厚みが上記範囲とされるのがよい。より好ましくは、バック部材8のあらゆる地点において厚みが上記範囲とされるのがよい。
厚みが0.7mm未満である場合、鋳造で作製することが極めて困難である。バック部材8の製造方法が限定された本発明の効果を顕在化させる観点から、バック部材8の厚みは0.6mm以下が好ましい。
絞り加工は、大きな変形を伴う。高強度の材料を大きく変形させた場合、亀裂等が生ずる恐れがある。よって、極めて高い強度が要求されるゴルフクラブヘッドにおいて、バック部材を絞り加工で作製することは、当業者が想定しえないことであった。本発明者は、高強度の材料であっても絞り加工が可能であることを見出した。加工を容易とする観点からも、バック部材8の厚みは0.6mm以下が好ましい。この加工容易性は、バック部材8の深さFが大きいほど顕在化しうる。この観点から、バック部材8の深さFは、50mm以上が好ましく、55mm以上がより好ましい。図6においてバック部材8の深さFが両矢印で示されている。ヘッド寸法の限界及び中間部材6の存在を考慮すると、バック部材8の深さFは、80mm以下が好ましく、75mm以下がより好ましい。この深さFは、縁28を下にしてバック部材8を水平面上に伏せた状態における、バック部材8の鉛直方向高さとされうる。
従来、ヘッド本体、フェース部材及びクラウン部材よりなる3部材を溶接してなるヘッドが公知である。このヘッド本体は、ソール部、サイド部及びネック部を含む。高反発性や重量設計等の観点から、このフェース部及びクラウン部は、圧延材のプレス又は鍛造により製造される。この従来のヘッドにおいて、ヘッド本体は、プレス又は鋳造された複数の部材を溶接することにより製造される。ヘッド本体がプレスされる場合、ネック部とヘッド本体の他の部分とを一体成形することは困難である。よってこの場合、別成形されたネック部が、ヘッド本体の他の部分と溶接される。
本発明者は、この従来のヘッドに問題があることを見出した。第一の問題は、ヘッド本体が鋳造されている場合、ヘッド後方を薄くすることができず、ヘッド本体の重量が増加することである。この重量の増加は、ヘッドの大型化を妨げる。第二の問題は、ヘッド本体がプレスされている場合、ネック部又はその近傍における溶接部分において耐久性が低下することである。上記実施形態では、中間部材6が鋳造により一体に成形されているので、上記第二の問題が解決されうる。上記実施形態では、バック部材8が圧延材をプレスすることにより一体に成形されているので、上記第1の問題が解決されうる。
フェース部材4と中間部材6との溶接は、レーザー溶接である。このレーザー溶接では、溶接棒が使用されない。これに対して、Tig溶接やプラズマ溶接では、溶接棒が使用される。溶接棒が使用されると、溶接ビードが大きく且つ重くなる。重い溶接ビードは、ヘッドの大型化を妨げる。レーザー溶接により、溶接部分が軽量とされる。レーザー溶接は、ヘッドの大型化に役立つ。
中間部材6とバック部材8との溶接は、レーザー溶接である。このレーザー溶接では、溶接棒が使用されない。このレーザー溶接により、溶接部分が軽量とされる。レーザー溶接は、ヘッドの大型化に役立つ。
ヘッド2には、チタン系金属が用いられていない。フェース部材4は、鉄を50質量%以上含む金属よりなる。中間部材6は、鉄を50質量%以上含む金属よりなる。バック部材8は、鉄を50質量%以上含む金属よりなる。鉄を50質量%以上含む金属は、チタン系金属よりも低価格である。鉄を50質量%以上含む金属が用いられることにより、ヘッドの製造コストが抑えられる。
本実施形態によれば、中空の金属ヘッドにおいて、軽量且つ高耐久性が達成されうる。この軽量且つ高耐久性により、より大きなヘッドが可能となり、重量調整の自由度が高まる。本実施形態によれば、鉄系金属を用いても、軽量且つ高耐久性が達成されうる。鉄系金属は、チタン系金属と比べて比重が重く、比強度が小さい。本実施形態によれば、チタン系金属を用いることなく、軽量且つ高耐久性が達成されうる。鉄系金属が用いられることにより、本発明の効果がより一層顕在化する。
フェース部材4を軽くつつ耐久性を向上させる観点から、フェース部材4の引張強度σt1は、2000MPa以上が好ましく、2100MPa以上がより好ましく、2150MPa以上が特に好ましい。材料入手の容易性及び材料コスト削減の観点から、引張強度σt1は、4000MPa以下、更には3000MPa以下、更には2350MPa以下がよい。
なお、引張強度は、JIS Z2241に準拠した引張試験方法により測定されうる。測定サンプルは、ヘッドから切り出されることにより選られうる。ヘッドからの切り出しが困難である場合は、ヘッドと同じ条件により加工(熱処理等)が施された測定サンプルを用いて測定がなされうる。
好ましいフェース部材4の素材として、カーペンター社製の「Custom475」、「Aermet100」、「Aermet310」及び「Aermet300M」が挙げられる。他に、好ましいフェース部材4の素材として、日立金属社製の「YAG300」及び「YAG350」が挙げられる。これらはいずれも析出硬化系の鉄系金属である。各金属の組成及び引張強度が、下記の表1で示される。表1において記載されていない残部の成分が、鉄(Fe)及び不可避的不純物である。例えば、「AM355」は、0.08〜0.15質量%の炭素、14.5〜15.5質量%のクロム、0.40〜1.10質量%のマンガン、3.4〜4.5質量%のニッケル、0.75質量%以下のケイ素、2.0〜2.6質量%のモリブデン、0.04質量%以下のリン、0.05〜0.13質量%の窒素及び0.03質量%以下の硫黄を含み、残部が鉄である。更に微量の不可避的不純物が含まれている。このAM355において、炭素と窒素とを合計すると、0.15〜0.25質量%である。表1に記載の引張強度は、測定値の一例である。
Figure 2008173293
中間部材6を軽くし、耐久性を向上させる観点から、中間部材6の引張強度σt2は、1300MPa以上が好ましく、1400MPa以上がより好ましく、1450MPa以上がより好ましい。材料入手の容易性及び材料コスト削減の観点から、引張強度σt2は、2000MPa以下、更には1800MPa以下、更には1500MPa以下がよい。
好ましい中間部材6の素材として、カーペンター社製の「Custom450」、AM355スチール等が挙げられる。これらの組成及び引張強度が、上記の表1で示される。
バック部材8を軽くし、耐久性を向上させる観点から、バック部材8の引張強度σt3は、2000MPa以上が好ましく、2070MPa以上がより好ましい。材料入手の容易性及び材料コスト削減の観点から、引張強度σt3は、4000MPa以下、更には3000MPa以下、更には2350MPa以下がよい。
好ましいバック部材8の素材として、カーペンター社製の「Custom475」、「Aermet100」、「Aermet310」及び「Aermet300M」が挙げられる。他に、フェース部材4の素材として、日立金属社製の「YAG300」及び「YAG350」が挙げられる。これらはいずれも析出硬化系の鉄系金属である。バック部材8として用いられ得る金属の組成及び引張強度が、上記の表1で示される。
引張強度σt1の、引張強度σt2に対する比(σt1/σt2)が小さい場合、ヘッド強度を確保する目的でフェース厚みが過度に厚くなりやすい。過度に厚いフェースは、重心深度を浅くし、ヘッドの慣性モーメントを低下させる。この観点から、比(σt1/σt2)は、1.25以上が好ましく、1.30以上が特に好ましい。中間部材6の強度が過度に低下することを抑制する観点から、比(σt1/σt2)は、1.75以下が好ましく、1.70以下がより好ましい。
引張強度σt3の、引張強度σt2に対する比(σt3/σt2)が小さい場合、強度を補う目的でバック部材8が過度に厚くされやすい。過度に厚いバック部材8は、プレス加工しにくく、特に絞り加工しにくい。また、過度に厚いバック部材8により、重心深度が過度に大きくなる。過度大きい重心深度により、ヘッドの重心位置が高くなりやすい。この観点から、比(σt3/σt2)は、1.30以上が好ましく、1.40以上が特に好ましい。中間部材6の強度が過度に低下することを抑制する観点から、比(σt3/σt2)は、1.80以下が好ましく、1.75以下がより好ましい。
図7の円内の記載は、中間部材6の縁24の拡大断面図である。この図7の拡大断面図は、溶接される前の段階における図である。縁24には、前述した内側部32の他、凸部36が設けられている。凸部36は、縁24の全周に亘って設けられている。
凸部36の少なくとも一部は、レーザー溶接の際に溶融する。溶融した凸部36は、溶接部分に溶け込む。凸部36は、溶接棒の代替となる。溶接棒の代わりに凸部36が用いられることにより、溶接ビードの重量が最小限とされうる。なお、溶け残った凸部36は、ヘッドの研磨工程において削り取られる。
凸部36を精度良く成形するためには、鋳造される必要がある。鍛造やプレスでは、凸部36を高精度に成形することはできない。中間部材6を鋳造することにより、凸部36を精度良く成形することができる。中間部材6が鋳造されることは、レーザー溶接の採用において特に好ましい。
前述したように、位置決めの役割を果たす内側部32は、全周に亘って設けられてもよいし、所定間隔おきに設けられてもよい。凸部36は、溶接部分に溶け込むものであるから、溶接部分の全体に設けられているのが好ましい。よって凸部36は、縁24の全周に設けられているのが好ましい。
図7において両矢印W1で示されているのは、凸部36の幅である。ビードの溶け込み量を適切とする観点から、幅W1は、0.5mm以上が好ましく、0.9mm以下が好ましい。 図7において両矢印H1で示されているのは、凸部36の高さである。ビードの溶け込み量を適切とする観点から、高さH1は、1.0mm以上が好ましく、1.3mm以下が好ましい。ビードの溶け込み量が適切でない場合、溶け込み不足により接合強度が低下することがある。
図7において両矢印W2で示されているのは、内側部32の幅である。部材間の嵌め合わせを容易とし、位置決めの作業性を高める観点から、幅W2は0.3mm以上が好ましい。幅W2が過度に大きい場合、ビードの溶け込みが悪くなり、接合強度が低下することがある。接合強度を高める観点から、幅W2は0.6mm以下が好ましい。
本発明の効果を顕在化させる観点から、ヘッド体積は、400cm以上が好ましく、405cm以上がより好ましく、410cm以上がより好ましい。大きなヘッド体積は、ゴルファーに安心感を与え、慣性モーメントを拡大する。日本ゴルフ協会が定めるルールを遵守する観点から、ヘッド体積は460cm以下が好ましい。
本発明の効果を顕在化させる観点、及びドライバーのクラブ長さ(44〜47インチ程度)においてスイングバランスを適切とする観点から、ヘッド重量は210g以下が好ましく、205g以下がより好ましい。上記好ましいヘッド体積において必要とされる耐久性を確保する観点から、ヘッド重量は190g以上が好ましく、195g以上がより好ましい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
上記実施形態のヘッド2と同様にして、図1から図7で示されるヘッドを得た。フェース部材の素材は、「Aermet100」とされた。中間部材の素材は、AM355スチールとされた。バック部材の素材は、「YAG300」とされた。実施例1の仕様及び評価結果が、下記の表2及び表3で示される。
[実施例2から7]
各部材の面積平均厚み、素材等が表2の通りとされた他は実施例1と同様にして、実施例2から7のヘッドを得た。実施例6では、溶接方法としてTig溶接が用いられた。このTig溶接では、溶接棒が用いられた。実施例2から7の仕様及び評価結果が、下記の表2及び表3で示される。
[実施例8]
図8は、実施例8のヘッド40の断面図である。このヘッド40のバック部材42は、3つの部材よりなる。バック部材42は、クラウン部材44と、ソール部材46と、サイド部材48とからなる。バック部材42は、クラウン部材44と、ソール部材46と、サイド部材48とが溶接されてなる。この溶接は、レーザー溶接である。クラウン部材44は、圧延材をプレスすることにより一体に成形されている。ソール部材46は、圧延材をプレスすることにより一体に成形されている。サイド部材48は、圧延材をプレスすることにより一体に成形されている。バック部材42の形状は、実施例1のそれと同じである。ヘッド40において、フェース部材50及び中間部材52の形状及び製造方法は、実施例1と同じである。各部材の素材及び厚みは、表2で示された通りである。以上で説明した他は実施例1と同様にして、実施例8のヘッド40を得た。実施例8の仕様及び評価結果が、下記の表2及び表3で示される。
[比較例1]
図9から図11は、比較例1のヘッド54の断面図である。図11の断面図は、中間部材のみの断面図でもある。比較例1のヘッド形状は、実施例1から8のヘッド形状と同じである。
ヘッド54は、フェース部材56と、中間部材58と、バック部材60とからなる。フェース部材56は、板状である。フェース部材56の形状及び製法は、実施例1と同じである。中間部材58は、ソールサイド部材62と、クラウン部材64と、ネック部材66とからなる。ソールサイド部材62と、クラウン部材64と、ネック部材66とは、溶接されている。接合部sにおいて溶接がなされている。この溶接は、レーザー溶接である。
ソールサイド部材62は、圧延材をプレスすることにより一体に成形されている。クラウン部材64は、圧延材をプレスすることにより一体に成形されている。ネック部材66には、パイプ部材がそのまま用いられている。ネック部材66の内周面が、シャフト穴を構成する。
バック部材60は、ソールサイド部材68と、クラウン部材70とからなる。ソールサイド部材68とクラウン部材70とが溶接されている。この溶接は、レーザー溶接である。ソールサイド部材68は、圧延材をプレスすることにより一体に成形されている。クラウン部材70は、圧延材をプレスすることにより一体に成形されている。
中間部材58の形状は、実施例1のそれと同じである。バック部材60の形状は、実施例1のそれと同じである。
フェース部材56と中間部材58とバック部材60とを溶接して、ヘッド54を得た。この溶接は、レーザー溶接である。以上により、表2及び表3で示された仕様を有する比較例1のヘッド54を得た。比較例1の仕様及び評価結果が、下記の表2及び表3で示される。
[慣性モーメントの測定]
慣性モーメントは、INERTIA DYNAMICS INC.社製のMOMENT OF INERTIA MEASURING INSTRUMENT MODEL NO.005−002を用いて測定された。左右の慣性モーメントは、ヘッドの重心を通る軸z1回りの慣性モーメントである。所定のライ角及びリアルロフト角において水平面Ms上にヘッドを載置した基準状態において、軸z1は鉛直方向に延びている。上下の慣性モーメントは、ヘッドの重心を通る軸z2回りの慣性モーメントである。上記基準状態において、軸z2は、水平方向に延び、且つ平面Pzに対して平行である。平面Pzは、シャフト軸線zを含み、水平面Msに対して垂直である。この測定結果が、下記の表3で示される。
[打球方向性]
5名のゴルファーが実際に打球することにより評価した。ゴルフボールには、SRIスポーツ社製の3ピースゴルフボール「ゼクシオDC」(登録商標)が用いられた。各ゴルファーが各例について10球ずつ打球した。打撃した地点と目標地点とを結ぶ直線Lを考慮し、直線Lと打球到達点との距離d1を測定した。右側にずれても左側にずれても距離d1はプラスの値とされた。10球の平均値を算出し、更に5名の平均値を算出して評価した。この平均値を指数化した結果が下記の表3で示される。実施例1を100として指数化がなされた。この指数が小さいほど、目標方向からのズレが小さく、性能が高い。
[耐久試験]
ヘッドにカーボンシャフト及びグリップを装着して、ゴルフクラブを作製した。シャフトとして、SRIスポーツ社製のSV−3005(フレックスX)が用いられた。このゴルフクラブを、ミヤマエ社製のスイングロボットに取り付け、ヘッドスピード51m/sにてゴルフボールを打撃させた。打点は、フェースセンターとされた。100回の打撃毎にヘッドを肉眼で観察し、ヘッドの損傷を確認した。打撃回数の上限は3000回とした。この評価結果が、下記の表3で示される。3000回の打撃によっても損傷が確認できない場合、下記の表3で、「3000発OK」と記載されている。損傷が確認された場合、確認時点での打撃回数及び損傷の内容が下記の表3で示されている。
Figure 2008173293
Figure 2008173293
表3に示されるように、実施例は、比較例に比べて評価が高い。実施例7は、中間部材の引張強度が小さいので、ネック部に割れが生じた。比較例1は、中間部材が複数部材を溶接してなるため、1200回打撃した時点でネック部に割れが認められた。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明は、ウッド型ゴルフクラブヘッド、アイアン型ゴルフクラブヘッドなど、あらゆるゴルフクラブヘッドに適用されうる。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドの斜視図である。 図2は、図1のヘッドをクラウン側から見た図である。 図3は、図1のヘッドをフェース側から見た図である。 図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。 図5は、図2のV−V線に沿った断面図である。 図6は、図3のVI−VI線に沿った断面図である。 図7は、図1のヘッドの分解斜視図である。。 図8は、実施例8の断面図である。 図9は、比較例1の断面図である。 図10は、比較例1の断面図である。 図11は、比較例1の断面図である。
符号の説明
2、40・・・ヘッド
4、50・・・フェース部材
6、52・・・中間部材
8、42・・・バック部材
10・・・フェース面
12・・・クラウン面
14・・・サイド面
18・・・シャフト取付け部
22・・・開口部
31・・・係合部
s・・・接合部

Claims (4)

  1. フェース部材、中間部材及びバック部材を備え、
    上記中間部材は開口部及びシャフト取付け部を有し、この開口部に上記フェース部材が溶接されており、
    上記バック部材は上記中間部材のバック側の縁に溶接されており、
    上記フェース部材は、圧延シート材をプレスすることにより一体に成形されているか、又は鍛造により一体に成形されており、
    上記中間部材は鋳造により一体に成形されており、
    上記バック部材は圧延材をプレスすることにより一体に成形されているか、又は圧延材をプレスして成形した複数の部材を溶接してなるゴルフクラブヘッド。
  2. 上記フェース部材が、板状であり、
    上記バック部材が、圧延材をプレスすることにより一体に成形されており、
    上記フェース部材、上記中間部材及び上記バック部材が、鉄を50質量%以上含む金属よりなる請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
  3. フェース部材の引張強度が2000MPa以上であり、
    中間部材の引張強度が1300MPa以上であり、
    バック部材の引張強度が2000MPa以上であり、
    フェース部材の面積平均厚みが2.3mm以上3.2mm以下であり、
    中間部材において、クラウン面及びソール面における面積平均厚みが0.7mm以上2.0mm以下であり、
    バック部材の面積平均厚みが0.3mm以上0.6mm以下である請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
  4. 上記フェース部材と上記中間部材との溶接がレーザー溶接であり、上記中間部材と上記バック部材との溶接がレーザー溶接である請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
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