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JP2008166483A - グリッドマッチング方法、及び露光システム - Google Patents

グリッドマッチング方法、及び露光システム Download PDF

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JP2008166483A JP2006354257A JP2006354257A JP2008166483A JP 2008166483 A JP2008166483 A JP 2008166483A JP 2006354257 A JP2006354257 A JP 2006354257A JP 2006354257 A JP2006354257 A JP 2006354257A JP 2008166483 A JP2008166483 A JP 2008166483A
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Abstract

【課題】グリッド誤差データの管理を高効率化する。
【解決手段】マスクのパターンを介して基板を露光する複数の露光装置のうちの特定の露光装置である特定号機(号機A)を基準として、該特定号機以外の露光装置である一般号機(号機B〜F)のそれぞれに係るグリッド誤差に関する誤差データを管理し、前記誤差データに基づいて、前記複数の露光装置のうちのグリッドマッチングさせるべき任意の二つの露光装置間の相対誤差を算出して、対応する露光装置に出力する。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば、半導体素子、液晶表示素子、撮像素子、薄膜磁気ヘッド等を製造するためのフォトリソグラフィー工程において用いられるグリッドマッチング方法、該方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが格納された情報記録媒体、及び露光システムに関する。
半導体素子、液晶表示素子、撮像素子(CCD:charge Coupled Device)、薄膜磁気ヘッド等の各種デバイスの多くは複数の露光装置を用いて基板上に多数層のパターンを重ねて露光転写することにより製造される。このため、2層目以降のパターンを基板上に露光転写する際には、基板上の既にパターンが形成された各ショット領域とマスクのパターン像との位置合わせ、即ち基板とレチクルとの位置合わせ(アライメント)を正確に行う必要がある。このため、ステージ座標系の1層目のパターンが露光された基板上には、各ショット領域(チップパターン領域)に付設されるかたちでアライメントマークと呼ばれる位置合わせ用のマークがそれぞれ形成されている。アライメントマークが形成された基板が露光装置に搬入されると、該露光装置が備えるマーク計測装置により、ステージ座標系上におけるそのマーク位置(座標値)が計測される。次いで、計測されたマークの位置と該マークの設計上の位置とに基づいて、基板上の1つのショット領域をレチクルパターンに対して位置合わせ(位置決め)するアライメントが行われる。
アライメント方式としては、スループットを向上する観点から、例えば特開昭61−44429号公報、特開昭62−84516号公報等に開示されているように、基板上のショット配列の規則性を統計的手法によって精密に特定するエンハンスド・グローバル・アライメント(EGA)が主流となっている。EGAとは、予め選定された複数(例えば、7〜15個程度)のサンプルショットについて、そのアライメントマークの位置を計測し、これらの計測値と当該アライメントマークの設計上の位置からの誤差が最小となるように、最小二乗法等を用いた統計演算を行って、基板上の全てのショット領域の位置座標(ショット配列)を算出した後、この算出したショット配列に従って基板ステージをステッピングさせていくものである。このEGAにより、ショット配列に生じている主として線形な誤差(基板の残存回転誤差、ステージ座標系(又はショット配列)の直交度誤差、基板の線形伸縮(スケーリング)、基板(中心位置)のオフセット(平行移動)等)が除去される。
また、複数の露光装置(号機)間での重ね合わせ露光を行う場合、露光装置相互間のステージのグリッド誤差(各露光装置におけるウエハの移動位置を規定するステージ座標系相互間の誤差)が存在するため、重ね合わせ誤差が生じてしまう。かかる場合に、重ね合わせ誤差の要因であるウエハ上のショット領域の形状や配列に生じる誤差が線形的な成分である場合には、前述したEGA方式のウエハアライメントにより除去することが可能であるが、非線形な成分である場合には、これを除去することが困難である。これは、EGA方式ではウエハ上のショット領域の配列誤差が線形であるものとして扱っているからである。このようなショット形状やショット配列に非線形な誤差を除去するための技術として、グリッド・コンペンセーション・マッチング(GCM)が知られている。
このGCMとしては、露光シーケンス(プロセスウエハに対する露光処理)中に、EGAの結果を基準にして再度EGA計測を行って非線形成分を抽出し、抽出された非線形成分を複数枚のウエハについて平均化した値をマップ補正値として保持し、以後の露光シーケンスでは、このマップ補正値を用いてショット位置の補正を行うもの(特開2001−345243号公報参照)、露光シーケンスとは別に予め基準ウエハを用いて非線形成分(各ショット毎のずれ量)を計測して、これをマップ補正ファイルとして格納しておき、露光シーケンスにおいて、マップ補正ファイルを用いて、各ショット位置の補正を行うもの(特開2002−353121号公報参照)等が知られている。また、上述したEGA方式で線形誤差成分が除去された後のショット配列の位置と各々の設計上の位置との差(非線形誤差成分)を、所定の評価関数に基づいて評価し、この評価結果に基づいて当該非線形成分を表現する関数を決定し、これに基づいて、ショット配列を補正するものも知られている(特開2004−265957号公報参照)。
これらの従来のグリッドマッチング方法では、グリッド誤差を設計値(理想格子)を基準とした誤差として求めて、マップ補正ファイルを作成し、各露光装置においてそれぞれ記憶・管理しているとともに、各露光装置において、当該誤差を相殺するように、即ち該理想格子に近づくように補正が行われている。しかしながら、元工程(重ね合わせの元となる先行して露光処理した工程)において、該元工程の露光装置のグリッド誤差に基づく誤差が露光転写されたパターンに反映されている場合に、現工程(これから重ね合わせを行おうとしている工程)を実施する露光装置で、当該現工程の露光装置のグリッド誤差を理想格子を基準として補正したとしても、パターンの重ね合わせ誤差を十分に除去することは困難である。従って、元工程の露光装置で生じているグリッド誤差を基準として、現工程の露光装置で生じることなるグリッド誤差を補正することが望ましい。この場合に、元工程のグリッド誤差と現工程のグリッド誤差を相対的に管理する必要が生じ、露光システムを構成する全ての露光装置の任意の二つの組み合わせについて、両露光装置間のグリッド誤差の差を管理することはその数が多く煩雑である。このように従来は、膨大な量のグリッド誤差データを管理する必要があり、データ量が極めて多く、記憶装置の容量を圧迫し、あるいは誤差データの通信量が多いという問題があった。
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、管理するグリッド誤差データの量を少なくし、グリッド誤差の管理を高効率化することを目的とする。
特開昭61−44429号公報 特開昭62−84516号公報 特開2001−345243号公報 特開2002−353121号公報 特開2004−265957号公報
本発明によると、マスクのパターンを介して基板を露光する複数の露光装置のうちの特定の露光装置である特定号機を基準として、該特定号機以外の露光装置である一般号機のそれぞれに係るグリッド誤差に関する誤差データを管理する工程と、前記誤差データに基づいて、前記複数の露光装置のうちのグリッドマッチングさせるべき任意の二つの露光装置間の相対誤差を算出する工程とを備えるグリッドマッチング方法が提供される。本発明では、複数の露光装置のうちの特定号機を基準とした、他の一般号機のそれぞれについての誤差データを管理し、グリッドマッチングさせるべき任意の二つの露光装置間の相対誤差を算出するようにしたので、当該特定号機について誤差データを管理する必要がなくなり、管理すべきデータ量を少なくすることができるとともに、誤差データを他の装置(例えば、露光装置、計測装置)から取得する際、及び他の装置(例えば、露光装置)に誤差データを出力する際のデータ通信量も少なくすることができる。本発明の他の態様及び作用効果は以下の実施形態を通じて明らかになる。
本発明によれば、グリッド誤差データの管理を高効率化できるという効果がある。
[露光システム]
まず、本実施形態に係る露光システム(リソグラフィシステム)の全体構成について、図1を参照して説明する。なお、本実施形態では、露光装置を号機という場合がある。図1には、本発明の実施形態に係る露光システム100の全体構成が概略的に示されている。この露光システム100は、n台の露光装置EX1〜EXn、ホスト計算機システム200、ターミナルサーバ300、重ね合わせ測定器400、管理サーバとしてのGCMサーバ(Grid Compensation Matching Server)500等を備えている。各露光装置EX1〜EXn、ターミナルサーバ300、重ね合わせ測定器400、及びGCMサーバ500は、ローカルエリアネットワーク(LAN)600に接続されている。GCMサーバ500は、SCSI(Small Computer System Interface)等の通信インタフェース510を介して接続された記憶装置520を備えている。ホスト計算機システム200は、ターミナルサーバ300を介してLAN600に接続されている。これにより、各露光装置EX1〜EXn、ホスト計算機システム200、ターミナルサーバ300、重ね合わせ測定器400、及びGCMサーバ500の相互間の通信経路が確保されている。
[露光装置]
露光装置EX1〜EXnのそれぞれは、レチクルステージとウエハステージとを静止させた状態で露光を行うステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)、レチクルステージとウエハステージとを同期移動させつつ露光を行うステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(スキャニング・ステッパ)、その他の形式の露光装置の何れであってもく、これらが混在していてもよい。例えば、露光装置EX1は図2に示すように構成されている。なお、他の露光装置EX2〜EXnは露光装置EX1と同様であるものとして、その説明は省略する。露光装置EX1は、投影光学系PLに対してレチクルステージRSTとウエハステージWSTとを同期移動させつつ、レチクルRに形成されたパターンの像をウエハW上のショット領域に逐次転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。
同図において、照明光学系ILSは、光源LS、オプティカルインテグレータOPI、照明系開口絞りIAS、並びに固定ブラインドFRBL及び可動ブラインドMRBLを有するレチクルブラインド機構RBL等を備えて構成される。なお、同図では、レンズ系等は省略している。光源LSとしては、ここでは、ArFエキシマレーザ光源(波長193nm)を用いるものとするが、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)を射出する超高圧水銀ランプ、又はKrFエキシマレーザ(波長248nm)、Fレーザ(波長157nm)、その他の光源を用いることができる。光源LSから射出されたレーザ光は、不図示の可変減光器、照度調整ユニット、ビーム整形光学系等(何れも不図示)を経て、オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ、内面反射型インテグレータ、回折光学素子等)OPIに入射される。オプティカルインテグレータOPIの射出面(射出側焦点面)、即ちレチクルRのパターン面に対する光学的なフーリエ変換面(照明系の瞳面、投影光学系PLの瞳面と光学的に共役な面)には、転写すべきパターンに応じて照明条件を変更するための照明系開口絞り板BALが配置されている。照明系開口絞り板BALは、回転軸の周りで回転自在に構成された円板からなり、通常照明用の円形の開口絞り、輪帯照明用の開口絞り、複数(例えば4極)の偏心した小開口よりなる変形照明用の開口絞り)、及び小さいコヒーレンスファクタ(σ値)用の小円形の開口絞り等を含む複数の開口絞りIASが周方向に沿って配置されている。照明系開口絞り板BALの回転軸は不図示の駆動モータにより回転され、オプティカルインテグレータOPIの射出面に配置する開口絞りを切り換えることにより照明条件を変更できるようになっている。
オプティカルインテグレータOPIから射出されて開口絞り板BALの開口絞りIASの何れかを通過した光は、レチクルRのパターン面(下面)との共役面又はその近傍に配置された固定ブラインド(固定照明視野絞り)FRBL及び可動ブラインド(可動照明視野絞り)MRBLから構成されるレチクルブラインド機構RBLに入射され、その断面形状がスキャン方向(X方向)に直交する方向(Y方向)に伸びるスリット状に整形される。可動ブラインドMRBLにより、レチクルRに照射される照明光ILによる照明領域IAを任意に変更設定することができる。なお、照明光学系ILS又は投影光学系PLの瞳面上での照明光ILの光量分布(2次光源の大きさや形状)を変更するために、例えば照明光学系ILS内に交換して配置される複数の回折光学素子、照明光学系ILSの光軸に沿って可動なプリズム(円錐プリズム、多面体プリズムなど)、及びズーム光学系の少なくとも1つを含む光学ユニットを、光源LSとオプティカルインテグレータOPIとの間に配置し、オプティカルインテグレータがフライアイレンズであるときはその入射面上での照明光の強度分布、オプティカルインテグレータが内面反射型インテグレータであるときはその入射面に対する照明光の入射角度範囲などを可変とするようにしてもよい。
可動ブラインドMRBLを通過した光は、不図示のコンデンサレンズ系等を経て、照明光ILとして射出され、投影光学系PLの物体面に配置されたレチクルRのパターン面(下面)の照明領域(照明視野領域)IAを照明する。レチクルRは、レチクルステージRST上に吸着保持されており、レチクルステージRST上の一端にはレチクル用干渉計システムIFRからの測長用のレーザビームが照射される移動鏡MRrが固定されている。レチクルRの位置決めは、レチクルステージRSTを光軸AXと垂直なXY平面内で並進移動させるとともに、XY平面内で微小回転させるレチクル駆動装置(不図示)によって行われる。このレチクル駆動装置は、レチクルRのパターンの像をウエハW上に転写する際には、レチクルステージRSTを一定速度で所定のスキャン方向(X方向)に走査する。レチクルステージRSTの上方には、レチクルRの周辺に複数形成されたレチクルアライメント用のマークを光電検出する一対のアライメント系RALがスキャン方向に沿ってそれぞれ設けられている。アライメント系RALの検出結果は、レチクルRを投影光学系PLの光軸AXに対して所定の精度で位置決めするためなどに使用される。干渉計システムIFRは、移動鏡MRrにレーザビームを投射し、その反射ビームを受光してレチクルRの位置変化を計測する。
照明光ILのもとで、レチクルRの照明領域IA内に形成されたパターンの像が両側テレセントリックな投影光学系PLを介して所定の投影倍率α(αは例えば1/4又は1/5等)で、投影光学系PLの結像面に配置される基板としてのウエハW上のスリット状の露光領域(投影光学系PLに関して照明領域IAと共役な領域)に投影される。投影光学系PLはレンズ等の複数の光学素子を有している。これらの光学素子のうちのいくつかは、位置(X,Y,Z軸方向の位置)及び姿勢(光軸AXに対する角度)が調整可能となっており、これらの光学素子の位置又は姿勢を調整することで投影光学系PLの倍率、像面湾曲、歪曲収差等の光学特性が調整可能となっている。なお、本願明細書では、これら倍率、像面湾曲、歪曲収差等の投影像の形状(像歪み)に影響を与える収差等の光学特性をディストーションという。この結像特性の調整は、主制御装置CNTによる制御の下、結像特性制御装置ICCによって行われる。
ウエハWを載置してXY平面に沿って2次元移動するウエハステージWST上には、ウエハテーブルWTBが設けられ、ウエハテーブルWTBには、ウエハWを真空吸着するウエハホルダWHが設けられている。ウエハテーブルWTBは、不図示のオートフォーカス機構(AF機構)の計測値に基づいて、ウエハホルダWHをZ方向(光軸AX方向)に微小移動させるとともに微小傾斜させる。ウエハステージWSTのXY平面内での移動座標位置とヨーイングによる微小回転量とは、ウエハ用干渉計システムIFWによって計測される。この干渉計システムIFWは、レーザ光源(不図示)からの測長用のレーザビームをウエハステージWSTのウエハテーブルWTBに固定された移動鏡MRwに照射し、その反射光と所定の参照光とを干渉させてウエハステージWSTの座標位置と微小回転量(ヨーイング量)とを計測する。投影光学系PLの側方には、ウエハWに形成されたウエハマーク(アライメントマーク)の位置情報を計測するための、オフ・アクシス型のアライメント系ALGが設けられている。アライメント系ALGについては、後述する。
また、ウエハステージWSTのウエハテーブルWTB上には、AF機構が備えるAFセンサのキャリブレーションやベースライン量の計測等に用いられる基準板(不図示)が取り付けられている。基準板の表面には、レチクルRのマークとともにアライメント系RALで検出可能な基準マーク(フィジューシャルマーク)やその他のマークが形成されている。AFセンサは投影光学系PLの像面に対するウエハWの表面のずれ量を計測するセンサである。ベースライン量とは、ウエハW上に投影されるレチクルのパターン像の基準位置(例えば、パターン像の中心)とアライメント系ALGの視野中心との距離を示す量である。主制御装置CNTは、例えばマイクロコンピュータから構成され、露光装置EX1の各部を統括的に制御する。また、本実施形態では、この主制御装置CNTは、露光装置EX1に併設された不図示のコータ・デベロッパをも制御する。また、図1では、露光装置EX1がLAN600に接続されているものとして説明したが、厳密には、主制御装置CNTがLAN600に接続されている。主制御装置CNTは、LAN600及びターミナルサーバ300を介して、ホスト計算機システム200との間で通信を行い、ホスト計算機システム200からの指令に応じて各種の制御動作を実行する。
[アライメント系]
アライメント系ALGは、図3に示すように、計測センサ410及び計測制御装置450を備えている。計測センサ410は、ウエハステージWST上に載置されたウエハWに形成されているマーク(例えば、アライメントマーク)の位置を計測するセンサである。ここでは、一例として、FIA(Field Image Alignment)方式に用いられるセンサについて説明するが、LSA(Laser Step Alignment)方式、あるいはLIA(Laser Interferometric Alignment)方式に用いられるセンサであってもよい。なお、LSA方式のセンサは、レーザ光を基板に形成されたマークに照射し、回折・散乱された光を利用してそのマークの位置を計測するセンサであり、LIA方式のアライメントセンサは、基板表面に形成された回折格子状のマークに、僅かに波長が異なるレーザ光を2方向から照射し、その結果生ずる2つの回折光を干渉させ、この干渉光の位相からマークの位置情報を検出するセンサである。計測センサ410は、これらの3つの方式のセンサのうち、2つ以上のセンサを設けて、それぞれの特徴及び状況に応じて使い分けできるようにすることもできる。
図3において、計測センサ410には光ファイバ411を介して外部のハロゲンランプ等の照明光源から照明光IL10が導かれる。照明光IL10はコンデンサレンズ412を介して視野分割絞り413に照射される。視野分割絞り413には、図示は省略しているが、その中央に幅広矩形状の開口よりなるマーク照明用絞りと、マーク照明用絞りを挟むように配置された一対の幅狭矩形状の開口よりなる焦点検出用スリットとが形成されている。照明光IL10は、視野分割絞り413によってウエハW上のアライメントマーク領域を照明するマーク照明用の第1光束と、アライメントに先立つ焦点位置検出用の第2光束とに分割される。このように視野分割された照明光IL20は、レンズ系414を透過し、ハーフミラー415及びミラー416で反射され、対物レンズ417を介してプリズムミラー418で反射され、ウエハW上に形成されたマークMを含むマーク領域に照射される。照明光IL20を照射したときのウエハWの表面の反射光は、プリズムミラー418で反射され、対物レンズ417を通過してミラー416で反射された後、ハーフミラー415を透過する。その後、レンズ系419を介してビームスプリッタ420に至り、反射光は2方向に分岐される。ビームスプリッタ420を透過した第1の分岐光は、指標板421上にマークMの像を結像する。そして、この像及び指標板421上の指標マークからの光が、二次元CCDによりなる撮像素子422に入射し、撮像素子422の受光面にマークM及び指標マークの像が結像される。
一方、ビームスプリッタ420で反射された第2の分岐光は、遮光板423に入射する。遮光板423は、所定の矩形領域に入射した光は遮光し、該矩形領域以外の領域に入射した光は透過する。よって、遮光板423は前述した第1の光束に対応する分岐光を遮光し、第2の光束に対応する分岐光を透過する。遮光板423を透過した分岐光は、瞳分割ミラー424によりテレセントリック性が崩された状態で、一次元CCDよりなるラインセンサ425に入射し、ラインセンサ425の受光面に焦点検出用スリットの像が結像される。ここで、ウエハWと撮像素子422との間はテレセントリック性が確保されているため、ウエハWが照明光及び反射光の光軸と平行な方向に変位すると、撮像素子422の受光面上に結像されたマークMの像は、撮像素子422の受光面上における位置が変化することなくデフォーカスされる。これに対して、ラインセンサ425に入射する反射光は、上述のようにそのテレセントリック性が崩されているため、ウエハWが照明光及び反射光の光軸と平行な方向に変位すると、ラインセンサ425の受光面上に結像された焦点検出用スリットの像は分岐光の光軸に対して交差する方向に位置ずれする。このような性質を利用して、ラインセンサ425上における像の基準位置に対するずれ量を計測すればウエハWの光軸方向の位置(焦点位置)が検出される。
なお、計測センサ410によるグリッド誤差の計測工程は、グリッド誤差の計測対象の露光装置EXiで基準ウエハについて行われる。計測センサ410は、撮像素子422による撮像画像データ(画素毎の階調データ)を計測制御装置450に出力する。計測制御装置450は、撮像画像データを計測方法(ここでは、X方向とする)に直交する方向に積算して1次元信号とし、例えば折り返し自己相関処理、所定のテンプレートを用いたテンプレートマッチング処理又はエッジ位置計測処理(マークの輪郭を求める処理、得られた輪郭からマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からマーク中心を求める処理)等のマーク中心導出処理を行って、マークMの計測方向における位置情報(ここでは、X座標値)を求める。Y座標値も同様にして求めて、該マークの座標値(X,Y座標値)は計測制御装置450が備える不図示の記憶装置に当該マークの識別情報とともに記憶保持される。また、計測制御装置450は、LAN600を介してGCMサーバ500に当該計測結果を送信する。
[重ね合わせ計測器]
重ね合わせ計測器400は、上述したアライメントセンサALGの計測センサ410と同様な計測センサ及び上述したウエハステージWSTと同様な構成のステージ装置を備える計測装置と、上述した計測制御装置450と同様な計測制御装置を備えて構成されている。計測装置は、この露光システムについて、少なくとも一台が設けられており、この露光システムを構成する製造ライン中にインラインで設けられている。但し、計測装置は、露光システム内に複数台設けられていてもよい。この場合に、それぞれの計測装置が露光装置EX1〜EXnとは別個に設けられていてもよく、各露光装置EX1〜EXnにそれぞれ付属されるコータ/デベロッパ内にそれぞれインラインで設けられていてもよい。また計測装置は、製造ライン中にインラインで設けられる必要は必ずしもなく、オフラインで設けられていてもよい。計測センサは、ここでは、一例として、FIA(Field Image Alignment)方式に用いられるセンサであるものとするが、LSA(Laser Step Alignment)方式、あるいはLIA(Laser Interferometric Alignment)方式に用いられるセンサであってもよい。なお、計測センサは、これらの3つの方式のセンサのうち、2つ以上のセンサを設けて、それぞれの特徴及び状況に応じて使い分けできるようにすることもできる。
[GCMサーバ]
GCMサーバ500は、演算能力に優れた中規模のコンピュータシステム(例えば、ミニコンやエンジニアリング・ワークステーション)によって構成されたリソグラフィシステムの支援装置である。このGCMサーバ500は、LAN600を介した露光装置EX1〜EXnとの通信の他に、LAN600及びターミナルサーバ300を介して、ホスト計算機システム200との間で通信を行う。また、GCMサーバ500は、露光装置EX1〜EXn等との通信に際し、必要に応じて記憶装置520に対するデータの読み書きを行う。なお、GCMサーバ500には、マンマシンインタフェースとしての表示ディスプレイとキーボードやマウス等のポインティングデバイス等とを含む入出力装置(不図示)が設けられている。また、GCMサーバ500には、CD(compact disc),DVD(digital versatile disc),MO(magneto-optical disc)あるいはFD(flexible disc)等の情報記録媒体のドライブ装置(不図示)が、外付けで接続されている。GCMサーバ用のプログラム及びデータが記憶された情報記録媒体がこのドライブ装置にセットされ、読み込まれることにより、GCMサーバ500としての機能が実現される。GCMサーバ500は、計測制御装置450から送られる各露光装置EX1〜EXnのグリッド誤差に関するグリッド誤差データを記憶装置520内のデータベースに、所定の形式で表現して、記憶・管理する。
[ターミナルサーバ及びホスト計算機システム]
ターミナルサーバ300は、LAN600における通信プロトコルとホスト計算機システム200の通信プロトコルとの相違を吸収するためのゲートウエイプロセッサとして構成される。このターミナルサーバ300の機能によって、ホスト計算機システム200と、LAN600に接続された露光装置EX1〜EXn、重ね合わせ測定器400、及びGCMサーバ500等との間の通信が可能となる。ホスト計算機システム200は大型のコンピュータを含んで構成される製造管理システム(MES:Manufacturing Execution System)である。ここで、製造管理システムとは、生産ラインで流れている各製品の工程、設備、条件、作業データをコンピュータで全て管理し、分析し、これにより品質向上、歩留まり向上及び作業ミス低減等のより効率的な生産を支援するシステムである。なお、ホスト計算機システム200はMES以外でもよく、例えば専用のコンピュータを用いてもよい。
[特定号機の選定]
本実施形態では、露光システムを構成する各号機EX1〜EXnの中から、この露光システム内で基準となるべき特定の号機を選定する。この基準となるべき特定の号機を、以下、特定号機といい、その余の号機を一般号機という。特定号機は、各号機のうちの何れの号機を選定してもよいが、露光システムに含まれる各号機が、種々のベンダー(製造業者)により提供されたものであったり、仕様や性能が異なるもの等が混在する場合には、ステージのグリッド誤差の調整能力が低いものから選定するとよい。但し、特定号機は、一般号機の基準となる号機であるため、グリッド誤差の経時的変化が少ない高精度な号機から選定することが望ましい。以下の説明では、便宜上、号機EX1を特定号機とし、EX2〜EXnを一般号機として説明する。
[グリッド誤差データの収集]
次に、各露光装置EXi(i=1〜n)のグリッド誤差データを収集するための処理について説明する。グリッド誤差の計測は、所定の基準パターン(基準マーク)が形成された基準ウエハ(テストウエハ、コモンウエハ)を用いて、該基準パターンを計測することにより行われる。ここでは、代表的に、号機EX1のグリッド誤差を計測する場合を例として説明する。基準ウエハは、概略次の手順で作製される。まず、シリコン基板(ウエハ)のほぼ全面に、二酸化シリコン(又は窒化シリコン、ポリシリコン等)の薄膜を成膜し、次いでこの二酸化シリコン膜の全面にレジスト塗布装置(コータ)により感光剤(レジスト)を塗布する。そして、このレジスト塗布後の基板を、基準となる露光装置(高精度に調整された信頼性の高い露光装置)のウエハホルダ上にロードするとともに、不図示の基準レチクル(基準マークパターンを拡大したパターンが形成された特殊なレチクル)をレチクルステージ上にロードして、その基準ウエハ用レチクルのパターンをシリコン基板上の各ショット領域に、所定のショット配列に従って露光転写する。
シリコン基板上の複数のショット領域(使用が予定される露光装置にロードされる実ウエハと同数のショット領域であることが望ましい)に基準マークパターン(実ウエハのアライメントに用いられるウエハアライメントマーク(サーチアライメントマーク、ファインアライメントマークなど))の像が転写形成される。次に、このシリコン基板をウエハホルダからアンロードし、現像装置(デベロッパ)を用いて現像する。次に、この現像処理が終了したシリコン基板に、エッチング装置を用いて基板表面が露出するまでエッチング処理を施した後、シリコン基板表面に残存するレジストを例えばプラズマアッシング装置等を用いて除去する。これにより、シリコン基板上の二酸化シリコン膜に凹部として実ウエハと同一の配置の複数のショット領域それぞれに対応して基準マーク(ウエハアライメントマーク)が形成された基準ウエハが作製される。なお、基準ウエハとしては、上記のように、二酸化シリコン膜にパターンニングによってマークを形成するものに限らず、シリコン基板に凹部としてマークを形成した基準ウエハを用いてもよい。基準ウエハは、露光システム内の複数の露光装置の精度管理用として使用されるので、複数の露光装置が種々のショットマップデータ(ウエハ上の各ショット領域のサイズ及び配列のデータ)を使用する可能性がある場合には、それらのショットマップデータ毎に作製することが望ましい。
次に、上述のようにして作製された基準ウエハを用いて、グリッド誤差に関するデータベースを作成する際の動作について、露光装置EX1が備える主制御装置CNTの処理について説明する。まず、不図示のウエハローダを用いて露光装置EX1のウエハホルダWH上に基準ウエハをロードする。次に、ウエハホルダWH上にロードされた基準ウエハのサーチアライメントを行う。具体的には、例えば、基準ウエハ中心に関してほぼ対称に周辺部に位置する少なくとも2つのサーチマークをアライメントセンサALGを用いて検出する。これらのサーチマークの検出は、それぞれのサーチマークがアライメント系ALGの検出視野内に位置するように、ウエハステージWSTを順次位置決めしつつ、かつアライメント系ALGの倍率を低倍率に設定して行われる。そして、アライメントセンサALGの検出結果(アライメントセンサALGの指標中心と各サーチマークとの相対位置関係)と各サーチマーク検出時のレーザ干渉計IFWの計測値とに基づいて2つのサーチマークのステージ座標系上の位置座標を求める。その後、2つのサーチマークの位置座標から基準ウエハの残留回転誤差を算出し、この残留回転誤差がほぼ零となるようにウエハホルダWHを微小回転させる。これにより、基準ウエハのサーチアライメントが終了する。
次に、基準ウエハ上の全てのショット領域のステージ座標系上における位置座標を計測する。具体的には、前述したサーチアライメント時における各サーチマークの位置座標の計測と同様にして、ウエハW上のファインアライメントマーク(基準マーク)のステージ座標系上における位置座標、即ち、ショット領域の位置座標を求める。基準マークの検出は、アライメント系ALGの倍率を高倍率に設定して行う。次に、計測したショット領域の位置座標と、それぞれの設計上の位置座標とに基づいて特開昭61−44429号公報等に開示されるような最小自乗法を用いた統計演算(EGA演算)を行い、6つのパラメータ(基準ウエハ上の各ショット領域の配列に関するローテーション、X,Y方向のスケーリング、直交度、X,Y方向のオフセットの6つのパラメータに対応)を算出するとともに、この算出結果と各ショット領域の設計上の位置座標とに基づいて、全ショット領域の位置座標(配列座標)を算出し、その算出結果、即ち基準ウエハ上の全ショット領域の位置座標を記憶する。次に、基準ウエハ上の全てのショット領域について、位置ずれ量(誤差量)の線形成分と非線形成分とを分離する。具体的には、算出した各ショット領域の位置座標とそれぞれの設計上の位置座標との差を位置ずれ量の線形成分として算出するとともに、実際に計測した全てのショット領域の位置座標とそれぞれの設計上の位置座標との差から前記線形成分を差し引いた残差を位置ずれ量の非線形成分として算出する。
次に、算出した非線形成分をグリッド誤差データとして、GCMサーバ500に送る。他の号機EX2〜EXnについても同様にグリッド誤差を前記基準ウエハを用いて計測し、同様にGCMサーバ500に送る。GCMサーバ500では、各号機EX1〜EXnから送られたグリッド誤差データに基づいて、特定号機EX1を基準として、各一般号機EX2〜EXnについて、グリッド誤差データの差分をそれぞれ算出し、各一般号機EX2〜EXnの識別情報とともに、グリッド誤差データ(差分データ)を記憶装置520内のデータベースに登録する。
なお、各号機EX1〜EXnからGCMサーバに送るグリッド誤差データ、GCMサーバ500内で管理するグリッド誤差データ(差分データ)、及びGCMサーバ500から各一般号機EX2〜EXnに送るグリッド誤差データ(差分)は、サンプル点のX,Y座標と誤差ベクトルから構成されるデルタマップやその他のマップ形式のデータであってもよいが、情報量や通信量を削減するため、下記に示すような三次元モデル式(式1)にこれらのマップデータの各値を代入して、最小自乗法を用いて当該号機についてのグリッド誤差に関する近似式を求め、該近似式の各項についての係数(kパラメータ)で表現したグリッド誤差又はこれに相当する補正値若しくは調整量として管理又は送受信するようにしてもよい。
Δx(x、y)=k+kx+ky+k+kxy+k11
+k13+k15y+k17xy+k19
Δy(x、y)=k+ky+kx+k+k10yx+k12
+k14+k16x+k18yx+k20 …(式1)
本実施形態では、GCMサーバ500では、特定号機EX1を基準とした各一般号機EX2〜EXnについてのグリッド誤差を、設計値を基準としたグリッド誤差データ(以下、便宜上、絶対的グリッド誤差データともいう)ではなく、特定号機EX1に対する相対値(差分)で管理するようにしている。この点、従来は、特定号機、一般号機というような区別をすることなく、露光システムに含まれる各号機の全てのうちの任意の二つの組み合わせについて、一方の絶対的グリッド誤差データから他方の絶対的グリッド誤差データを差し引いた相対的グリッド誤差データを、それぞれGCMサーバで管理していた。即ち、従来技術では、GCMサーバは、これら各号機の任意の二つの組み合わせについてのグリッド誤差を全て記憶・管理し、重ね合わせの対象となる現工程の号機(これから露光処理を行う号機)と先行する元工程の号機(重ね合わせ元である直前の号機)に対応する相対的なグリッド誤差データ(補正値)を該現工程の号機に送るようにしていた。しかし、従来技術では、全ての号機の任意の二つの組み合わせについてのグリッド誤差データを記憶・管理する必要があり、データ量が多く、効率的ではなかった。本実施形態では、特定号機EX1に対する一般号機EX2〜EXnの相対的なグリッド誤差データをGCMサーバ500で管理するようにしているので、特定号機EX1についてのグリッド誤差データを記憶・管理する必要がなく、記憶容量を削減することができる。
図4は、一般号機のグリッド誤差を特定号機を基準として相対管理する概念を模式的に示した図である。同図において、露光システムは、号機A〜号機Fの6台で構成され、特定号機として号機Aが選定され、その余の一般号機B〜Fについて、図中実線矢印で示されているように、特定号機Aに対する相対的グリッド誤差データを管理する様子が示されている。一般号機間(号機Bと号機C、号機Bと号機D、号機Bと号機E、号機Bと号機F、号機Cと号機D、号機Cと号機E、号機Cと号機F、号機Dと号機E,号機Dと号機F、号機Eと号機F)のグリッド誤差の相対差は、図中点線矢印で示されているように、一般号機のそれぞれについての特定号機に対するグリッド誤差データの一方から他方を差し引くことにより、容易に求めることができる。
なお、特定号機EX1でウエハW上に所定のレチクル(例えば、上述の基準レチクル)のパターンを露光転写現像した後に、一般号機EX2でそのウエハW上に同じレチクルを用いてパターンを重ね合わせて露光転写現像し、このウエハWを重ね合わせ測定器400を用いてパターンの重ね合わせ誤差を計測し、この重ね合わせ誤差を上述したグリッド誤差データに加算するようにしてもよい。
また、露光システムを構成する各号機中の特定号機は、上述の説明では、1台選定するものとして説明したが、複数台選定してもよい。この場合には、各特定号機に対して、各一般号機のグリッド誤差の差分をそれぞれ管理することになる。但し、図5に示すように、一の特定号機(号機A)に対する各一般号機(号機D〜F)のグリッド誤差の差分を管理することに加えて、該一の特定号機(号機A)に対する他の特定号機(号機B,C)のグリッド誤差の差分をも管理して、当該他の特定号機(号機B,C)に対する各一般号機(号機D〜F)のグリッド誤差の差分は、演算により間接的に求めるようにしてもよい。なお、図5において、号機A〜Cが特定号機であり、号機D〜Fが一般号機であり、実線矢印は直接的に管理されるグリッド誤差データを示し、点線矢印は演算により間接的に求められるグリッド誤差データを示している。
[グリッドコンペンセーション]
次に、ウエハWに露光処理を行う際のグリッド誤差の補正処理について説明する。まず、ホスト計算機システム200からプロセスプログラムIDや露光履歴データを含む所定の露光コマンドがGCMサーバ500及び露光処理を実施すべき号機に対して送られる。なお、ウエハWの露光履歴データは、ホスト計算機システム200の内部記憶装置内に記憶されているものとする。露光履歴データには、元工程を行った号機(ここでは、一例として号機EX2とする)のID、元工程を処理したときのプロセスプログラムID等の情報、及び現工程を行う号機(ここでは、一例として号機EX3とする)のID、現工程で用いるプロセスプログラムID等の情報が含まれる。以下、号機EX2,EX3に係るグリッド誤差データをそれぞれデータDD2、DD3ということがある。GCMサーバ500では、露光コマンドを受信すると、元工程の号機ID及び現工程の号機IDに基づいて、ここでは、元工程及び現工程の号機はともに一般号機であるため、元工程の号機EX2のデータDD2及び現工程の号機EX3のデータDD3を取得する。次いで、現工程の号機EX3に係るデータDD3から元工程の号機EX2に係るデータDD2を差し引いて、号機EX2に対する号機EX3のグリッド誤差データの差分(DD3−DD2)を求める。なお、元工程の号機が特定号機(ここでは、号機EX1)である場合には、このような号機間での差分の算出は不要であり、一般号機についてのグリッド誤差データをそのまま用いればよい。次に、GCMサーバ500は、データ(DD3−DD2)を対応する号機EX3に送る。
号機EX3においては、ホスト計算機システム200からの露光コマンドを受信すると、まず、ホスト計算機システム200からの露光コマンドに含まれるプロセスプログラムIDに係るプロセスプログラムに従って、不図示のレチクルローダを用いて露光装置EX3のレチクルステージRST上にレチクルRをロードするとともに、不図示のウエハローダを用いて露光装置EX3のウエハホルダWH上にウエハWをロードする。次に、ウエハホルダWH上にロードされたウエハWのサーチアライメントを行う。具体的には、ウエハWの中心に関してほぼ対称に周辺部に位置する少なくとも2つのサーチマークをアライメント系ALGを用いて検出する。これらのサーチマークの検出は、それぞれのサーチマークがアライメント系ALGの検出視野内に位置するように、ウエハステージWSTを順次位置決めしつつ、かつアライメント系ALGの倍率を低倍率に設定して行われる。そして、アライメント系ALGの検出結果(アライメント系ALGの指標中心と各サーチマークとの相対位置関係)と各サーチマーク検出時のレーザ干渉計IFWの計測値とに基づいて2つのサーチマークのステージ座標系上の位置座標を求める。次に、サーチマークの位置座標からウエハWの残留回転誤差を算出し、この残留回転誤差がほぼ零となるようにウエハホルダWHを微小回転させる。これにより、ウエハWのサーチアライメントが終了する。
次に、ウエハW上の全てのショット領域のステージ座標系上における位置座標を計測する。具体的には、前述したサーチアライメント時における各サーチマークの位置座標の計測と同様にして、ウエハW上のファインアライメントマーク(ウエハマーク)のステージ座標系上における位置座標、即ち、ショット領域の位置座標を求める。ウエハマークの検出は、アライメント系ALGの倍率を高倍率に設定して行う。次に、計測したショット領域の位置座標と、それぞれの設計上の位置座標とに基づいて特開昭61−44429号公報等に開示されるような最小自乗法を用いた統計演算(EGA演算)を行い、6つのパラメータ(基準ウエハ上の各ショット領域の配列に関するローテーション、X,Y方向のスケーリング、直交度、X,Y方向のオフセットの6つのパラメータに対応)を算出するとともに、この算出結果と各ショット領域の設計上の位置座標とに基づいて、全ショット領域の位置座標(配列座標)を算出し、その算出結果、即ちウエハW上の全ショット領域の位置座標を記憶する。次に、GCMサーバ500から送られたグリッド誤差データに基づいて、算出された全ショット領域の位置座標を補正して、グリッド誤差を補正した位置座標を算出する。次に、このようにして得られた各ショット領域の位置情報及び計測されたベースラインに基づいて、各ショット領域の露光のための加速開始位置(走査開始位置)へのウエハW(ウエハステージWST)の移動が行われ、最初のショット領域に対してレチクルRのパターンの像を露光転写する。以後、同様に順次他のショット領域に対してステップ・アンド・スキャン方式で露光転写を繰り返し実施する。これにより、ウエハW上の各ショット領域にレチクルのパターンの像が正確に重ね合わされて露光転写される。
[重ね合わせの基準となる露光装置の選定]
ところで、半導体デバイスは数層から十数層のレイヤを重ね合わせることにより製造される。ここで、重ね合わせの基準となる号機、即ち、現工程でグリッド誤差をマッチングさせる対象としての号機は、現工程の直前のレイヤを露光処理した号機とするのが一般的である。しかし、直前のレイヤを露光処理した号機を重ね合わせの基準とする場合、直前のレイヤもその直前のレイヤ(現工程からみると2層前)にグリッド誤差をマッチングさせて露光されているので、累積的に誤差を生じ得る。また、重ね合わせの基準が各層毎に異なるため、各層の露光処理において、直前のレイヤを露光した号機を識別し、そのときのグリッド誤差等をそれぞれ管理して、直前のレイヤを露光した号機とのグリッド誤差の差分を算出する必要があり、情報の管理が煩雑となる。
そこで、本実施形態では、ロット単位(例えば、ウエハ25枚単位)で、複数のレイヤのうちから任意にある特定のレイヤを選定し、該特定のレイヤを基準としてグリッドマッチングして、他の全てのレイヤを露光処理する。即ち、ある特定のレイヤを露光処理した又は露光処理する号機(以下、特定レイヤ号機ということがある)を基準とて、他の全てのレイヤを露光処理する他の号機(以下、一般レイヤ号機ということがある)のグリッド誤差を当該特定レイヤ号機にマッチングさせる。このため、GCMサーバ500は、特定号機に対する各一般号機のグリッド誤差の差分に基づいて、特定号機又は一般号機から選定された特定レイヤ号機を基準とした、該一般レイヤ号機のそれぞれに係るグリッド誤差の差分を算出して、各一般レイヤ号機に対してグリッド誤差補正値を出力する。具体的には、図6に示すように、例えば、該特定レイヤ号機として、第1層目のレイヤ(レイヤ1)を露光する号機を選定し、その余のレイヤ(レイヤ2〜レイヤn)を該レイヤ1にマッチングさせる。但し、該特定レイヤ号機は、第1層目以外のレイヤを露光する号機であってもよく、既に露光処理を行ったレイヤに係る号機に限られず、現工程の後に露光処理を行うことになるレイヤに係る号機であってもよい。これにより、上述した累積的な誤差が少なくなるとともに、情報の管理が容易となる。
本実施形態では、特定号機に対する一般号機のグリッド誤差の差分を管理するようにしているので、前記特定レイヤ号機として、前記特定号機を選定することにより、管理している各一般号機についての相対的ディストーションデータをそのまま用いることができ、即ち、差分演算を行うことなくそのまま用いることができ、便宜である。
[その他]
マイクロデバイスとしての半導体素子は、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいて、レチクルを製造するステップ、シリコン材料からウエハを製造するステップ、上述した実施形態の露光システムによりレチクルのパターンをウエハに露光転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、半導体素子の製造に用いられる露光システムのみならず、液晶表示素子、プラズマディスプレイ、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、及びDNAチップ等の製造にも用いられる露光システム、並びにレチクル又はマスクを製造するための露光システムにも本発明を適用できる。即ち本発明は、露光方式や用途等に関係なく適用可能である。
本発明の実施形態の露光システムの全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態の露光システムが備える露光装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態の露光装置が備えるアライメント系の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態のグリッド誤差データの管理方法を概念的に示す図である。 本発明の実施形態の特定号機を複数選定した場合のグリッド誤差データの管理方法を概念的に示す図である。 本発明の実施形態の各レイヤのディストーションを特定のレイヤに合わせる場合を概念的に示す図である。
符号の説明
EX1〜EXn…露光装置(号機)、200…ホスト計算機システム、400…重ね合わせ測定器、500…管理サーバ(GCMサーバ)、W…ウエハ、R…レチクル、CNT…主制御装置、410…計測センサ、450…計測制御装置。

Claims (9)

  1. マスクのパターンを介して基板を露光する複数の露光装置のうちの特定の露光装置である特定号機を基準として、該特定号機以外の露光装置である一般号機のそれぞれに係るグリッド誤差に関する誤差データを管理する工程と、
    前記誤差データに基づいて、前記複数の露光装置のうちのグリッドマッチングさせるべき任意の二つの露光装置間の相対誤差を算出する工程と
    を備えるグリッドマッチング方法。
  2. 前記誤差データは、前記特定号機において該特定号機が備える計測装置で基準基板に形成された基準パターンを計測して得られる誤差データと、前記一般号機において該一般号機が備える計測装置で前記基準基板の前記基準パターンを計測して得られる誤差データとの差分データであることを特徴とする請求項1に記載のグリッドマッチング方法。
  3. 基板上に3層以上のパターンを重ね合わせて露光転写する場合に、該重ね合わせ露光に供される複数の露光装置のうちから任意に選択される一の露光装置を基準として、該一の露光装置以外の他の露光装置のそれぞれに係る誤差データを算出し、対応する各露光装置に該誤差データを出力することを特徴とする請求項1又は2に記載のグリッドマッチング方法。
  4. 前記特定号機は、前記露光装置の中から複数台選択されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のグリッドマッチング方法。
  5. 前記誤差データは、所定の多項式の係数の形式で表現されるデータであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のグリッドマッチング方法。
  6. 前記誤差データは、線形誤差成分を除去した非線形誤差成分を含むデータであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のグリッドマッチング方法。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載のグリッドマッチング方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体。
  8. マスクのパターンを介して基板を露光する複数の露光装置と、
    前記複数の露光装置のうちの特定の露光装置である特定号機を基準として、該特定号機以外の露光装置である一般号機のそれぞれに係るグリッド誤差に関する誤差データを管理する管理サーバと
    を備えることを特徴とする露光システム。
  9. 前記各露光装置は、基板上に形成されたパターンの誤差を計測する計測装置、及び前記計測装置により計測された誤差データを通信回線を介して前記管理サーバに送る制御装置をそれぞれ有し、
    前記管理サーバは、前記特定号機が備える前記制御装置から送られた前記誤差データと、前記一般号機が備える前記制御装置から送られた前記誤差データとの差分データを管理することを特徴とする請求項8に記載の露光システム。
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