JP2008166451A - チップ保護用フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】チップ保護用フィルムの使用時に保護膜形成層を硬化させなくても認識性及び精度良くレーザーマーキングを行うことができるチップ保護用フィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも2層のチップ保護膜形成層を有する半導体ウエハのチップ保護用フィルム1であって、その最外層2は、25℃での鉛筆硬度がB以上、250℃でのプローブタックのピーク値が150mN/mm2以下であるとともに、25℃での弾性率が1.0×108〜3.0×1010Pa及び250℃での弾性率が1.0×106Pa以上であるチップ保護用フィルム。
【選択図】図1
【解決手段】少なくとも2層のチップ保護膜形成層を有する半導体ウエハのチップ保護用フィルム1であって、その最外層2は、25℃での鉛筆硬度がB以上、250℃でのプローブタックのピーク値が150mN/mm2以下であるとともに、25℃での弾性率が1.0×108〜3.0×1010Pa及び250℃での弾性率が1.0×106Pa以上であるチップ保護用フィルム。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体チップ裏面に効率よく保護膜を形成でき、かつチップの製造効率の向上が可能なチップ保護用フィルムに関し、特にいわゆるフェースダウン(face down)方式で実装される半導体チップの製造に用いられるチップ保護用フィルムに関する。
近年、いわゆるフェースダウン(face down)方式と呼ばれる実装法を用いた半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式では、チップの回路面側に導通を確保するためのバンプと呼ばれる凸部が形成されてなるチップを用い、回路面側の凸部が基台に接続する構造となる。
このような半導体装置は、一般的には次のような工程を経て製造されている。
(1)半導体ウエハの表面にエッチング法等により回路を形成し、回路面の所定位置にバンプを形成する。
(2)半導体ウエハ裏面を所定の厚さまで研削する。
(3)リングフレームに張設されたダイシングシートに半導体ウエハ裏面を固定し、ダイシングソーにより回路毎に切断分離し、半導体チップを得る。
(4)半導体チップをピックアップし、フェースダウン方式で所定の基台上に実装し、必要に応じチップを保護するために樹脂封止またはチップ裏面に樹脂コーティングを施し、半導体装置を得る。
このような半導体装置は、一般的には次のような工程を経て製造されている。
(1)半導体ウエハの表面にエッチング法等により回路を形成し、回路面の所定位置にバンプを形成する。
(2)半導体ウエハ裏面を所定の厚さまで研削する。
(3)リングフレームに張設されたダイシングシートに半導体ウエハ裏面を固定し、ダイシングソーにより回路毎に切断分離し、半導体チップを得る。
(4)半導体チップをピックアップし、フェースダウン方式で所定の基台上に実装し、必要に応じチップを保護するために樹脂封止またはチップ裏面に樹脂コーティングを施し、半導体装置を得る。
前記樹脂封止は、適量の樹脂をチップ上に滴下・硬化するポッティング(potting)法や、金型を用いたモールド法などにより行われる。しかし、ポッティング法では適量の樹脂を滴下することが難しい。またモールド法では金型の洗浄等が必要になり、設備費、運転が高価になる。
また、樹脂コーティングは、適量の樹脂を均一に塗布することが難しいため、品質にばらつきがでることがある。したがって、均一性の高い保護膜を、チップ裏面に簡便に形成できる技術の開発が要望されている。
また、樹脂コーティングは、適量の樹脂を均一に塗布することが難しいため、品質にばらつきがでることがある。したがって、均一性の高い保護膜を、チップ裏面に簡便に形成できる技術の開発が要望されている。
さらに、上記(2)工程の裏面研削では、機械研削によってチップ裏面に微小な筋状の傷が形成される。この微小な傷は、(3)のダイシング工程やパッケージングの後に、クラック発生の原因となることがある。このため、従来は、機械研削後に、微小な傷を除くためのケミカルエッチング処理が必要になる場合があった。しかし、ケミカルエッチング処理には、もとより設備費、運転費が必要になり、コスト増の原因となる。
したがって、機械研削によってチップ裏面に微小な傷が形成されたとしても、かかる傷に起因する悪影響を解消する技術の開発が要望されている。
この問題を解決するために、均一性の高い保護膜を、チップ裏面に簡便に形成でき、しかも機械研削によってチップ裏面に微小な傷が形成されたとしても、かかる傷に起因する悪影響を解消できるプロセス、ならびに該プロセスに用いられるチップ保護用フィルムが提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
また、このような保護用フィルムにレーザー光によりマーキングする方法が知られている。(例えば、特許文献4参照)。
特開2004−214288号公報
特開2004−260190号公報
特開2004−331728号公報
特開2006−140348号公報
この問題を解決するために、均一性の高い保護膜を、チップ裏面に簡便に形成でき、しかも機械研削によってチップ裏面に微小な傷が形成されたとしても、かかる傷に起因する悪影響を解消できるプロセス、ならびに該プロセスに用いられるチップ保護用フィルムが提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
また、このような保護用フィルムにレーザー光によりマーキングする方法が知られている。(例えば、特許文献4参照)。
これまで、樹脂封止されたチップを含む半導体装置では、封止樹脂の表面に品番等がレーザーマーキング法などにより印字されることがある。レーザーマーキング法とは、レーザー光により樹脂表面を削り取り印字を行う技術である。
チップ保護用フィルムへマーキングを行う工程としては、
(1)ウエハ裏面にチップ保護用フィルムを貼り付ける
(2)保護用フィルムを加熱等により硬化させる(キュア)
(3)硬化後の保護用フィルムにレーザーマーキングを施す、といった工程がとられる。
しかしながら、この方法だと特許文献4にも記載の通り、硬化後にウエハ反りが発生し、精度良くレーザーマーキングを行うことができなくなり、ウエハ搬送が困難となる等の問題があった。上記特許文献4ではこれを解決するために、リングフレームに固定した状態で加熱硬化を行うとあるが、この場合でも加熱硬化時に保護用フィルムにシワが発生するために、精度よくレーザーマークを行うことができないうえ、精度よくダイシングすることができない等の問題があり、満足できるものではなかった。これを回避するために保護膜を硬化させる前にレーザーマーキングを行った場合、加熱硬化後にレーザーマーキングの認識性が低下したり、認識性良くレーザーマーキングを行うことができない等の問題があった。
チップ保護用フィルムへマーキングを行う工程としては、
(1)ウエハ裏面にチップ保護用フィルムを貼り付ける
(2)保護用フィルムを加熱等により硬化させる(キュア)
(3)硬化後の保護用フィルムにレーザーマーキングを施す、といった工程がとられる。
しかしながら、この方法だと特許文献4にも記載の通り、硬化後にウエハ反りが発生し、精度良くレーザーマーキングを行うことができなくなり、ウエハ搬送が困難となる等の問題があった。上記特許文献4ではこれを解決するために、リングフレームに固定した状態で加熱硬化を行うとあるが、この場合でも加熱硬化時に保護用フィルムにシワが発生するために、精度よくレーザーマークを行うことができないうえ、精度よくダイシングすることができない等の問題があり、満足できるものではなかった。これを回避するために保護膜を硬化させる前にレーザーマーキングを行った場合、加熱硬化後にレーザーマーキングの認識性が低下したり、認識性良くレーザーマーキングを行うことができない等の問題があった。
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、半導体ウエハのチップ保護用フィルムの使用時に保護膜形成層を硬化させなくても認識性及び精度良くレーザーマーキングを行うことができるチップ保護用フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、少なくとも2層を有し、最外層が硬化性成分を硬化させた層または耐熱性フィルムからなり、特定の物性を持つチップ保護用フィルムを使用することによって、使用時に保護膜形成層を硬化させる工程を省略しても視認性及び精度良くレーザーマーキングを行うことができることを見出した。本発明はこのような知見に基づきなされるに至ったものである。
すなわち、本発明は、
(1)少なくとも2層のチップ保護膜形成層を有するチップ保護用フィルムであって、その最外層は、25℃での鉛筆硬度がB以上、250℃でのプローブタックのピーク値が150mN/mm2以下であるとともに、25℃での弾性率が1.0×108〜3.0×1010Pa及び250℃での弾性率が1.0×106Pa以上であることを特徴とするチップ保護用フィルム、
(2)前記最外層が硬化させた硬化性保護膜形成層または耐熱性フィルムからなることを特徴とする(1)記載のチップ保護用フィルム、
(3)前記最外層と最外層以外の層の色が異なることを特徴とする(1)または(2)記載のチップ保護用フィルム、および
(4)前記チップ保護用フィルムのチップに接着する層が熱硬化性接着剤層からなり、該硬化性接着剤層の硬化前の100℃での貯蔵弾性率(G’)が1.0×104〜5.0×106Paであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項記載のチップ保護用フィルム、
を提供するものである。
(1)少なくとも2層のチップ保護膜形成層を有するチップ保護用フィルムであって、その最外層は、25℃での鉛筆硬度がB以上、250℃でのプローブタックのピーク値が150mN/mm2以下であるとともに、25℃での弾性率が1.0×108〜3.0×1010Pa及び250℃での弾性率が1.0×106Pa以上であることを特徴とするチップ保護用フィルム、
(2)前記最外層が硬化させた硬化性保護膜形成層または耐熱性フィルムからなることを特徴とする(1)記載のチップ保護用フィルム、
(3)前記最外層と最外層以外の層の色が異なることを特徴とする(1)または(2)記載のチップ保護用フィルム、および
(4)前記チップ保護用フィルムのチップに接着する層が熱硬化性接着剤層からなり、該硬化性接着剤層の硬化前の100℃での貯蔵弾性率(G’)が1.0×104〜5.0×106Paであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項記載のチップ保護用フィルム、
を提供するものである。
本発明によれば、均一性の高い保護膜をチップ裏面に簡便に形成でき、保護膜形成層を電子線や紫外線で硬化させなくても視認性及び精度良くレーザーマーキングを行うことができ、また保護膜形成層を硬化させる工程を省略できる。また、これによって、硬化後のウエハ反りに伴う搬送等の問題を解決することができる。
本発明のチップ保護用フィルムは、少なくとも2層の保護膜形成層を有し、その最外層が硬化性保護膜形成層を硬化させた層または耐熱性フィルムからなる。ここで、最外層とは、使用時にチップ保護用フィルムのチップに接しない側の一番外側の層をいう。
以下、本発明のチップ保護用フィルムについて、図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
図1、図2に示すように、本発明に係るチップ保護用フィルム1は、少なくとも2層の保護膜形成層2、3を有し、必要に応じて両面または片面に剥離シート4が仮着されていてもよい。したがって、本発明のチップ保護用フィルムを構成する保護膜形成層の最外層2以外の層3は単層のみではなく複数の層から構成されていてもよい。
以下、本発明のチップ保護用フィルムについて、図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
図1、図2に示すように、本発明に係るチップ保護用フィルム1は、少なくとも2層の保護膜形成層2、3を有し、必要に応じて両面または片面に剥離シート4が仮着されていてもよい。したがって、本発明のチップ保護用フィルムを構成する保護膜形成層の最外層2以外の層3は単層のみではなく複数の層から構成されていてもよい。
(剥離シート)
本発明のチップ保護用フィルムは、その使用の前に最外層およびそれ以外の層を保護する目的で、片面または両面に剥離シートを仮着させていてもよい。
剥離シートとしては、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ピニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢ビフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってよい。
本発明のチップ保護用フィルムは、その使用の前に最外層およびそれ以外の層を保護する目的で、片面または両面に剥離シートを仮着させていてもよい。
剥離シートとしては、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ピニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢ビフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってよい。
さらに剥離シートの表面張力は、40mN/m以下、好ましくは35mN/m以下である。このような表面張力の低い剥離シートは、材質を適宜に選択して得ることが可能であるし、またシートの表面にシリコーン樹脂等を塗布して離型処理を施すことで得ることもできる。
剥離シートの膜厚は、通常は5〜300μm、好ましくは10〜200μm、特に好ましくは20〜150μm程度である。
剥離シートの膜厚は、通常は5〜300μm、好ましくは10〜200μm、特に好ましくは20〜150μm程度である。
(保護膜形成層)
本発明で使用するチップ保護用フィルムの保護膜形成層は、最外層が硬化させた硬化性保護膜形成層または耐熱性フィルムであることが好ましく、その性質は後記するものであれば、材質等は特に限定されない。保護膜形成層のチップに接する層はチップと接着する機能を有するものである。このチップに接する層は製造工程やコスト等の点から熱硬化性成分等を含んだ硬化性接着剤層であることが好ましい。
本発明で使用するチップ保護用フィルムの保護膜形成層は、最外層が硬化させた硬化性保護膜形成層または耐熱性フィルムであることが好ましく、その性質は後記するものであれば、材質等は特に限定されない。保護膜形成層のチップに接する層はチップと接着する機能を有するものである。このチップに接する層は製造工程やコスト等の点から熱硬化性成分等を含んだ硬化性接着剤層であることが好ましい。
(最外層の硬化させた硬化性保護膜形成層)
本発明の保護膜形成層の最外層である硬化させた硬化性保護膜形成層に使用される硬化性成分としては、熱硬化性成分、エネルギー線硬化性成分、またはこれらの混合物を用いることができるが、耐熱性の面から熱硬化性成分を用いることが特に好ましい。
熱硬化性成分としては、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等およびこれらの混合物が挙げられる。特に本発明では、エポキシ樹脂、フェノール樹脂ならびにこれらの混合物が好ましく用いられる。
本発明の保護膜形成層の最外層である硬化させた硬化性保護膜形成層に使用される硬化性成分としては、熱硬化性成分、エネルギー線硬化性成分、またはこれらの混合物を用いることができるが、耐熱性の面から熱硬化性成分を用いることが特に好ましい。
熱硬化性成分としては、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等およびこれらの混合物が挙げられる。特に本発明では、エポキシ樹脂、フェノール樹脂ならびにこれらの混合物が好ましく用いられる。
(エポキシ樹脂)
本発明において最外層の熱硬化性成分として使用されるエポキシ樹脂は、硬化して接着作用を呈するものであれば特に制限はないが、二官能基以上で、好ましくは分子量が5000未満、より好ましくは3000未満のエポキシ樹脂が使用できる。また、好ましくは分子量が500以上、より好ましくは800以上のエポキシ樹脂が使用できる。
このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジリエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジリエーテル化物、フェノール類のジグリシジリエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物などの二官能エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。また、多官能エポキシ樹脂や複素環含有エポキシ樹脂等、一般に知られているものを適用することもできる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。さらに、特性を損なわない範囲でエポキシ樹脂以外の成分が不純物として含まれていてもよい。
本発明において最外層の熱硬化性成分として使用されるエポキシ樹脂は、硬化して接着作用を呈するものであれば特に制限はないが、二官能基以上で、好ましくは分子量が5000未満、より好ましくは3000未満のエポキシ樹脂が使用できる。また、好ましくは分子量が500以上、より好ましくは800以上のエポキシ樹脂が使用できる。
このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジリエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジリエーテル化物、フェノール類のジグリシジリエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物などの二官能エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。また、多官能エポキシ樹脂や複素環含有エポキシ樹脂等、一般に知られているものを適用することもできる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。さらに、特性を損なわない範囲でエポキシ樹脂以外の成分が不純物として含まれていてもよい。
(フェノール樹脂)
最外層の熱硬化性成分として使用されるフェノール系樹脂としては、アルキルフェノール、多価フェノール、ナフトール等のフェノール類とアルデヒド類との縮合物等が特に制限されることなく用いられる。本発明において好ましく使用されるフェノール系樹脂としては、具体的には、フェノールノボラック樹脂、o−クレゾールノボラック樹脂、p−クレゾールノボラック樹脂、t−ブチルフェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンクレゾール樹脂、ポリパラビニルフェノール樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、あるいはこれらの変性物等が用いられる。
これらのフェノール樹脂に含まれるフェノール性水酸基は、前期エポキシ樹脂のエポキシ基と加熱により容易に付加反応して、耐衝撃性の高い硬化物を形成できる。このため、エポキシ樹脂とフェノール系樹脂とを併用してもよい。
最外層の熱硬化性成分として使用されるフェノール系樹脂としては、アルキルフェノール、多価フェノール、ナフトール等のフェノール類とアルデヒド類との縮合物等が特に制限されることなく用いられる。本発明において好ましく使用されるフェノール系樹脂としては、具体的には、フェノールノボラック樹脂、o−クレゾールノボラック樹脂、p−クレゾールノボラック樹脂、t−ブチルフェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンクレゾール樹脂、ポリパラビニルフェノール樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、あるいはこれらの変性物等が用いられる。
これらのフェノール樹脂に含まれるフェノール性水酸基は、前期エポキシ樹脂のエポキシ基と加熱により容易に付加反応して、耐衝撃性の高い硬化物を形成できる。このため、エポキシ樹脂とフェノール系樹脂とを併用してもよい。
(熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤)
エポキシ樹脂を用いる場合には、助剤として熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤を併用することもできる。
熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤とは、室温ではエポキシ樹脂と反応せず、ある温度以上の加熱により活性化し、エポキシ樹脂と反応するタイプの硬化剤である
熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤の活性化方法には、加熱による化学反応で活性種(アニオン、カチオン)を生成する方法;室温付近ではエポキシ樹脂中に安定に分散しており高温でエポキシ樹脂と相溶・溶解し、硬化反応を開始する方法;モレキュラーシーブ封入タイプの硬化剤で高温で溶出して硬化反応を開始する方法;マイクロカプセルによる方法等が存在する。
エポキシ樹脂を用いる場合には、助剤として熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤を併用することもできる。
熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤とは、室温ではエポキシ樹脂と反応せず、ある温度以上の加熱により活性化し、エポキシ樹脂と反応するタイプの硬化剤である
熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤の活性化方法には、加熱による化学反応で活性種(アニオン、カチオン)を生成する方法;室温付近ではエポキシ樹脂中に安定に分散しており高温でエポキシ樹脂と相溶・溶解し、硬化反応を開始する方法;モレキュラーシーブ封入タイプの硬化剤で高温で溶出して硬化反応を開始する方法;マイクロカプセルによる方法等が存在する。
熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤の具体例としては、各種オニウム塩や、二塩基酸ジヒドラジド化合物、ジシアンジアミド、アミンアダクト硬化剤、イミダゾール化合物等の高融点活性水素化合物等を挙げることができる。本発明において好ましく使用されるイミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を併用することもできる。イミダゾール類は、例えば、四国化成工業(株)から、2E4MZ、2PZ−CN、2PZ−CNSという商品名で市販されている。
最外層に使用する硬化させた硬化性保護膜形成層に関しては、速硬化させた方が製造性の面で有利となるので、上記のような熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂との総量に対して1〜15質量%とすることが好ましく、3〜10質量%とすることがより好ましい。エポキシ樹脂硬化剤の配合量が1質量%未満であると、架橋するまでに時間を要するため製造性が悪くなる。15質量%を超えると硬化工程においてエポキシ樹脂硬化剤の昇華に伴い気泡が発生し外観不良となる傾向がある。
(エネルギー線硬化性成分)
本発明の最外層の形成に使用されるエネルギー線硬化性成分は、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する化合物からなる。この化合物は、分子内に少なくとも1つの重合性二重結合を有し、通常は、分子量が100〜30000、好ましくは300〜10000万程度である。このようなエネルギー線重合型化合物としては、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、さらにポリエステル型またはポリエーテル型のウレタンアクリレートオリゴマーやポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシ変性アクリレート等を用いることができる。これらの中でも本発明では、紫外線硬化型樹脂が好ましく用いられ、具体的には、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー等が特に好ましく用いられる。
本発明の最外層の形成に使用されるエネルギー線硬化性成分は、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する化合物からなる。この化合物は、分子内に少なくとも1つの重合性二重結合を有し、通常は、分子量が100〜30000、好ましくは300〜10000万程度である。このようなエネルギー線重合型化合物としては、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、さらにポリエステル型またはポリエーテル型のウレタンアクリレートオリゴマーやポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシ変性アクリレート等を用いることができる。これらの中でも本発明では、紫外線硬化型樹脂が好ましく用いられ、具体的には、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー等が特に好ましく用いられる。
(光重合開始剤)
エネルギー線硬化性成分に光重合開始剤を混入することにより、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくすることができる。このような光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。光重合開始剤は、前期エネルギー線硬化性成分100重量部に対し、1.5〜4.5重量部、好ましくは2.4〜3.8重量部程度の割合で用いることが望ましい。
エネルギー線硬化性成分に光重合開始剤を混入することにより、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくすることができる。このような光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。光重合開始剤は、前期エネルギー線硬化性成分100重量部に対し、1.5〜4.5重量部、好ましくは2.4〜3.8重量部程度の割合で用いることが望ましい。
(ポリマー成分)
本発明では、更に、保護用フィルムとしての可とう性や操作性を向上させるために、硬化性成分以外のポリマー成分を使用することができる。このポリマーの重量平均分子量は、通常は3万〜200万、好ましくは10万〜150万、特に好ましくは20万〜100万の範囲にある。分子量が低過ぎるとフィルム形成が不十分となり、高過ぎると他の成分との相溶性が悪くなり、結果としてフィルム形成が妨げられる。
このようなポリマーとしては、たとえばアクリル共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系ポリマー等が用いられ、特にアクリル共重合体が好ましく用いられる。また、先述したエネルギー硬化性成分以外にも、炭素−炭素2重結合を有するアクリル共重合体を使用することで、エネルギー線硬化性を付与することもできる。
その他に、可とう性や操作性を向上させるためにフェノキシ樹脂を用いることもできる。フェノキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールAのようなビスフェノールとエピクロロヒドリンとから得られる通常、分子量が10,000以上の熱可塑性樹脂である。このフェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂と構造が類似していることから相溶性がよく、また、接着性もよいという特徴を示す。好ましいフェノキシ樹脂は、主骨格がビスフェノールA型のものであるが、その他にビスフェノールA/F混合型フェノキシ樹脂や臭素化フェノキシ樹脂等市販のフェノキシ樹脂が好ましいものとして挙げられる。
本発明では、更に、保護用フィルムとしての可とう性や操作性を向上させるために、硬化性成分以外のポリマー成分を使用することができる。このポリマーの重量平均分子量は、通常は3万〜200万、好ましくは10万〜150万、特に好ましくは20万〜100万の範囲にある。分子量が低過ぎるとフィルム形成が不十分となり、高過ぎると他の成分との相溶性が悪くなり、結果としてフィルム形成が妨げられる。
このようなポリマーとしては、たとえばアクリル共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系ポリマー等が用いられ、特にアクリル共重合体が好ましく用いられる。また、先述したエネルギー硬化性成分以外にも、炭素−炭素2重結合を有するアクリル共重合体を使用することで、エネルギー線硬化性を付与することもできる。
その他に、可とう性や操作性を向上させるためにフェノキシ樹脂を用いることもできる。フェノキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールAのようなビスフェノールとエピクロロヒドリンとから得られる通常、分子量が10,000以上の熱可塑性樹脂である。このフェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂と構造が類似していることから相溶性がよく、また、接着性もよいという特徴を示す。好ましいフェノキシ樹脂は、主骨格がビスフェノールA型のものであるが、その他にビスフェノールA/F混合型フェノキシ樹脂や臭素化フェノキシ樹脂等市販のフェノキシ樹脂が好ましいものとして挙げられる。
(フィラー)
さらに、フィルムの保護膜形成層の構成には、フィラーが配合されていてもよい。フィラーとしては、結晶シリカ、合成シリカ等のシリカや、アルミナ、ガラスバルーン等の無機フィラーがあげられる。保護膜形成層に無機フィラーを添加することにより、硬化後の層の熱膨張係数をウエハの熱膨張係数に近づけることができ、これによって加工途中のウエハの反りを低減することができるようになる。フィラーとしては合成シリカが好ましく、特に半導体装置の誤作動の要因となるα線の線源を極力除去したタイプの合成シリカが最適である。フィラーの形状としては、球形、針状、無定型タイプのものいずれも使用可能であるが、特に最密充填の可能な球形のフィラーが好ましい。
また、保護膜形成層に添加するフィラーとしては、上述した無機フィラーの他にも、下記のような機能性のフィラーが配合されていてもよい。たとえば、導電性の付与を目的として、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、カーボン、またはセラミック、あるいはニッケル、アルミニウム等を銀で被覆したもののような導電性フィラーを添加してもよく、また熱伝導性の付与を目的として、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、シリコン、ゲルマニウム等の金属材料やそれらの合金等の熱伝導性物質を添加してもよい。
保護膜形成層に配合されるフィラーの添加量は、フィラーの種類により様々であるが、一般的には保護膜形成層を形成する全成分の30〜90質量%、好ましくは50〜85質量%が適当である。硬化後の保護膜の熱膨張係数をウエハの熱膨張係数に近づけることができ、これによって加工途中において熱膨張係数の違いにより発生するウエハの反りを低減することができるようになる。ウエハに反りが発生すると破損しやすく、また搬送が困難となる。
さらに、フィルムの保護膜形成層の構成には、フィラーが配合されていてもよい。フィラーとしては、結晶シリカ、合成シリカ等のシリカや、アルミナ、ガラスバルーン等の無機フィラーがあげられる。保護膜形成層に無機フィラーを添加することにより、硬化後の層の熱膨張係数をウエハの熱膨張係数に近づけることができ、これによって加工途中のウエハの反りを低減することができるようになる。フィラーとしては合成シリカが好ましく、特に半導体装置の誤作動の要因となるα線の線源を極力除去したタイプの合成シリカが最適である。フィラーの形状としては、球形、針状、無定型タイプのものいずれも使用可能であるが、特に最密充填の可能な球形のフィラーが好ましい。
また、保護膜形成層に添加するフィラーとしては、上述した無機フィラーの他にも、下記のような機能性のフィラーが配合されていてもよい。たとえば、導電性の付与を目的として、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、カーボン、またはセラミック、あるいはニッケル、アルミニウム等を銀で被覆したもののような導電性フィラーを添加してもよく、また熱伝導性の付与を目的として、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、シリコン、ゲルマニウム等の金属材料やそれらの合金等の熱伝導性物質を添加してもよい。
保護膜形成層に配合されるフィラーの添加量は、フィラーの種類により様々であるが、一般的には保護膜形成層を形成する全成分の30〜90質量%、好ましくは50〜85質量%が適当である。硬化後の保護膜の熱膨張係数をウエハの熱膨張係数に近づけることができ、これによって加工途中において熱膨張係数の違いにより発生するウエハの反りを低減することができるようになる。ウエハに反りが発生すると破損しやすく、また搬送が困難となる。
(カップリング剤)
さらに、硬化させた後の最外層とそれ以外の層である接着剤層との接着性・密着性を向上させる目的で、保護膜形成層にカップリング剤を添加することもできる。カップリング剤は、硬化被膜の耐熱性を損なわずに、接着剤層との接着性、密着性を向上させることができ、さらに耐水性(耐湿熱性)も向上する。カップリング剤としては、その汎用性とコストメリットなどからシラン系(シランカップリング剤)が好ましい。
さらに、硬化させた後の最外層とそれ以外の層である接着剤層との接着性・密着性を向上させる目的で、保護膜形成層にカップリング剤を添加することもできる。カップリング剤は、硬化被膜の耐熱性を損なわずに、接着剤層との接着性、密着性を向上させることができ、さらに耐水性(耐湿熱性)も向上する。カップリング剤としては、その汎用性とコストメリットなどからシラン系(シランカップリング剤)が好ましい。
(顔料・染料)
本発明では、保護膜形成層の最外層と最外層以外の層の色を異ならせるのが好ましい。保護膜形成層には、形成されるレーザーマーキングの印字の認識性を向上させるために、顔料、染料を添加することができる。このような顔料としては、カーボンブラックや、各種の無機顔料が例示できる。またアゾ系、インダスレン系、インドフェノール系、フタロシアニン系、インジゴイド系、ニトロソ系、ザンセン系、オキシケトン系などの各種有機染料があげられる。
顔料、染料の添加量もその種類により様々であるが、一般的には保護膜形成層を形成する全成分の0.3〜20質量%、好ましくは1〜15質量%程度が適当である。また、硬化前の凝集力を調節するために、有機多価イソシアナート化合物、有機多価イミン化合物、有機金属キレート化合物等の架橋剤を添加することもできる。
本発明では、保護膜形成層の最外層と最外層以外の層の色を異ならせるのが好ましい。保護膜形成層には、形成されるレーザーマーキングの印字の認識性を向上させるために、顔料、染料を添加することができる。このような顔料としては、カーボンブラックや、各種の無機顔料が例示できる。またアゾ系、インダスレン系、インドフェノール系、フタロシアニン系、インジゴイド系、ニトロソ系、ザンセン系、オキシケトン系などの各種有機染料があげられる。
顔料、染料の添加量もその種類により様々であるが、一般的には保護膜形成層を形成する全成分の0.3〜20質量%、好ましくは1〜15質量%程度が適当である。また、硬化前の凝集力を調節するために、有機多価イソシアナート化合物、有機多価イミン化合物、有機金属キレート化合物等の架橋剤を添加することもできる。
例えば、保護膜形成層のうち最外層に顔料を添加し、チップと接着する最外層以外の層に顔料を添加しないようにし、最外層とチップに接着する層で色が異なるように設定することで、レーザー照射で最外層のみを部分的に削り取り、色の異なるチップに接着する層を露出させることができ、印字の認識性を向上させることができる。その他、最外層に顔料を添加しないようにし、チップと接着する層に顔料を添加する、あるいは最外層とチップに接着する層で異なる色の顔料を添加する等でもよい。
本発明で使用する最外層の硬化させた保護膜形成層及びチップと接着する硬化性接着剤を含む保護膜形成層は、剥離シートの剥離面上に上記成分からなる組成物をロールナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなど一般に公知の方法にしたがって直接または転写によって塗工し、乾燥させて得ることができる。なお、上記の組成物は、必要に応じ、溶剤に溶解し、若しくは分散させて塗布することができる。
最外層の硬化させた保護膜形成層が熱硬化性である場合は、エポキシ樹脂硬化剤を多量に添加し、100〜160℃、3〜50分で乾燥と同時に硬化させることで得ることができる。この硬化させた保護膜形成層に関しては、硬化成分が半硬化ではなく完全硬化している状態であることが好ましい。完全硬化とは硬化成分の反応が終了していることであり、半硬化状態では100℃以上程度に加熱した際に高い流動性を示すが、完全硬化していると流動性がない。このため耐熱性に優れる最外層を得ることができる。また、最外層の硬化させた保護膜形成層がエネルギー線硬化性である場合は、一旦塗工しフィルムを作製した後にエネルギー線を照射することで硬化させた保護膜形成層を得ることができる。
(耐熱性フィルム)
本発明の最外層としては硬化させた保護膜形成層の他に耐熱性フィルムを使用することもできる。ここで、チップ保護用フィルムを使用したチップではリフロー工程等高温で加熱されるため、最外層に使用される耐熱性フィルムとしては中でも高融点のものが好ましい。具体的には、融点200℃以上のものが好ましい。融点が200℃未満であるとリフロー工程等高温で加熱される際に溶融し形状を保てず、周辺の装置と融着してしまうことがある。具体的には、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。
本発明の最外層としては硬化させた保護膜形成層の他に耐熱性フィルムを使用することもできる。ここで、チップ保護用フィルムを使用したチップではリフロー工程等高温で加熱されるため、最外層に使用される耐熱性フィルムとしては中でも高融点のものが好ましい。具体的には、融点200℃以上のものが好ましい。融点が200℃未満であるとリフロー工程等高温で加熱される際に溶融し形状を保てず、周辺の装置と融着してしまうことがある。具体的には、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。
本発明の最外層であるこの硬化させた保護膜形成層あるいは耐熱性フィルムは、室温(25℃)での弾性率が1.0×108〜3×1010Pa、好ましくは1.0×109〜2×1010Pa及び250℃での弾性率が1.0×106Pa以上、好ましくは1.0×107〜1.0×109Paである。室温(25℃)での弾性率が1.0×108Pa以下であると完全硬化しておらず、加熱した時の耐熱性で問題となる。3×1010Pa以上であるとフィルムとしての可とう性が不足し、ロール形状とすることが困難となる。また、250℃での弾性率が低すぎると、リフロー工程での強度が不足し実装信頼性の面で不利である。
また、本発明の最外層は室温(25℃)での鉛筆硬度がB以上である。硬度が低すぎるとウエハ搬送時のロボットアームや吸着テーブルの傷跡が残る。
また、本発明の最外層は室温(25℃)での鉛筆硬度がB以上である。硬度が低すぎるとウエハ搬送時のロボットアームや吸着テーブルの傷跡が残る。
さらに、本発明の最外層は250℃でのプローブタックのピーク値が150mN/mm2以下、好ましくは50mN/mm2以下である。この値が高すぎると、リフロー工程等でフィルム表面が軟化し、他の部材等に転写することを防ぐことができなくなる。一般にプローブタックのピーク値は、金属などで作製された円柱(直径が3〜5mmのプローブ)断面を粘着面に一定の圧力、時間、温度などで押しつけ、一定の速度で引き剥がすときの最大強度として測定された値をいう。本発明においては、「プローブタックのピーク値」は、直径3mmの円柱型プローブを用いて、接触速さ0.5mm/s、接触荷重694mN/mm2、接触時間10秒、引き剥がし速さ10mm/sで250℃で測定されたものをいう。
(チップに接する接着剤層)
本発明のチップ保護膜形成層のうち、チップに接する層に関しては、チップに接着する機能を有するものであれば特に限定されないが、製造工程やコスト等の点から熱硬化性成分を含んだ硬化性接着剤層であることが好ましい。その成分としては最外層の硬化させた硬化性保護膜形成層と同様のものを使用することができる。この層に関しては、半硬化の状態で接着性を持たせる必要があるため、熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤の配合量としては、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂との総量に対して0.01〜5重量%とすることが好ましく、0.05〜3重量%とすることがより好ましく、0.2〜3重量%とすることが更に好ましい。硬化促進剤の配合量が0.01重量%未満であると、エポキシ樹脂の架橋が不充分であり、耐熱性が低下する傾向があり、5重量%を超えると、保存安定性が低下し、ポットライフが不充分となる傾向がある。
また、チップに接する接着剤層に関しては、キュア工程を省略するために100℃でのG’(貯蔵弾性率)が1.0×104〜5.0×106Pa、更には5.0×104〜1.0×106Paであることが好ましい。G’が1.0×104以下であると樹脂封止、リフロー処理等の加熱工程で軟化しすぎるために保護膜の剥がれ等が起きる。また5.0×106以上であると低温(20〜80℃)でのチップへの貼り付け性が悪くなり、高温(80℃以上)での貼り付けが必要となる。
本発明のチップ保護膜形成層のうち、チップに接する層に関しては、チップに接着する機能を有するものであれば特に限定されないが、製造工程やコスト等の点から熱硬化性成分を含んだ硬化性接着剤層であることが好ましい。その成分としては最外層の硬化させた硬化性保護膜形成層と同様のものを使用することができる。この層に関しては、半硬化の状態で接着性を持たせる必要があるため、熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤の配合量としては、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂との総量に対して0.01〜5重量%とすることが好ましく、0.05〜3重量%とすることがより好ましく、0.2〜3重量%とすることが更に好ましい。硬化促進剤の配合量が0.01重量%未満であると、エポキシ樹脂の架橋が不充分であり、耐熱性が低下する傾向があり、5重量%を超えると、保存安定性が低下し、ポットライフが不充分となる傾向がある。
また、チップに接する接着剤層に関しては、キュア工程を省略するために100℃でのG’(貯蔵弾性率)が1.0×104〜5.0×106Pa、更には5.0×104〜1.0×106Paであることが好ましい。G’が1.0×104以下であると樹脂封止、リフロー処理等の加熱工程で軟化しすぎるために保護膜の剥がれ等が起きる。また5.0×106以上であると低温(20〜80℃)でのチップへの貼り付け性が悪くなり、高温(80℃以上)での貼り付けが必要となる。
このチップに接する接着剤層に関しても、最外層の硬化させた保護膜形成と同様の方法によって得ることができる。得られたチップに接する接着剤層を硬化させた保護膜形成層または耐熱性フィルムと貼り合わせることでチップ保護用フィルムを得ることができる。
例えば、最外層に顔料を添加し、チップと接着する層に顔料を添加しないようにし、最外層とチップに接着する層で色が異なるように設計することで、レーザーマーキング時に最外層のみを削り取り、色の異なるチップに接着する層を露出させることができ、印字の視認性を向上させることができる。その他、最外層に顔料を添加しないようにし、チップと接着する層に顔料を添加する、最外層とチップに接着する層で異なる色の顔料を添加する等でもよいし、耐熱性フィルムと色の異なる接着剤層との組み合わせでも良い。
保護膜形成層の総厚は、通常3〜200μm、更には10〜60μmであることが好ましい。
例えば、最外層に顔料を添加し、チップと接着する層に顔料を添加しないようにし、最外層とチップに接着する層で色が異なるように設計することで、レーザーマーキング時に最外層のみを削り取り、色の異なるチップに接着する層を露出させることができ、印字の視認性を向上させることができる。その他、最外層に顔料を添加しないようにし、チップと接着する層に顔料を添加する、最外層とチップに接着する層で異なる色の顔料を添加する等でもよいし、耐熱性フィルムと色の異なる接着剤層との組み合わせでも良い。
保護膜形成層の総厚は、通常3〜200μm、更には10〜60μmであることが好ましい。
本発明のチップ保護用フィルムの使用方法は、図3に示すように、チップ保護用フィルム1を、表面に回路が形成(図示していない)され、回路面の所定位置にバンプが形成(図示していない)され、裏面が所定の厚さまで研削された半導体ウエハ6の裏面に、チップ用保護用フィルム1の最外層以外の保護膜形成層3側を貼り合わせ、剥離シート4(図1参照)を取り除く。そして、保護膜形成層を硬化させる必要なく半導体ウエハに密着する。密着された保護膜形成層面へTEAレーザーやYAGレーザー等周知のレーザー照射によって、最外層を部分的にその厚さ以上削り取り、マーキングした保護膜形成層を形成する。
その後、マーキングのあるチップ保護用フィルムを貼り合わせた半導体ウエハを、リングフレームに張設されたダイシングテープに保護用フィルム面を貼り合わせ、ダイシングソーにより回路毎に切断分離し、半導体チップを得る。得られた半導体チップをピックアップし、フェースダウン方式で所定の基台上に実装する。
半導体チップを保護するために樹脂封止またはチップ裏面に樹脂コーティングを施す必要は殆どない。
その後、マーキングのあるチップ保護用フィルムを貼り合わせた半導体ウエハを、リングフレームに張設されたダイシングテープに保護用フィルム面を貼り合わせ、ダイシングソーにより回路毎に切断分離し、半導体チップを得る。得られた半導体チップをピックアップし、フェースダウン方式で所定の基台上に実装する。
半導体チップを保護するために樹脂封止またはチップ裏面に樹脂コーティングを施す必要は殆どない。
次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下に示した各成分からなる保護膜形成層用の硬化性塗布剤を表1記載の混合量で調製し、各保護膜形成層となる「保護膜1〜6」を形成する。なお、表1における数値は組成を示し、その単位はいずれも質量部である。
A:エポキシ樹脂(1)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180〜200)
B:エポキシ樹脂(2)
o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量210〜230)
C:フェノール樹脂
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量110〜140)
D:潜在性エポキシ樹脂硬化剤(1)
ジシアンジアミド(平均粒径5μm)
E:潜在性エポキシ樹脂硬化剤(2)
イミダゾール化合物(2−フェニル4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール)
F:エネルギー線硬化性成分
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
G:光重合開始剤
α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
H:ポリマー成分
アクリル酸エステル共重合体(エポキシ基含有、分子量80万、Tg10℃)
I:フィラー
合成シリカフィラー(平均粒径0.5μm)
J:顔料・染料
カーボンブラック(平均粒径28nm)
以下に示した各成分からなる保護膜形成層用の硬化性塗布剤を表1記載の混合量で調製し、各保護膜形成層となる「保護膜1〜6」を形成する。なお、表1における数値は組成を示し、その単位はいずれも質量部である。
A:エポキシ樹脂(1)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180〜200)
B:エポキシ樹脂(2)
o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量210〜230)
C:フェノール樹脂
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量110〜140)
D:潜在性エポキシ樹脂硬化剤(1)
ジシアンジアミド(平均粒径5μm)
E:潜在性エポキシ樹脂硬化剤(2)
イミダゾール化合物(2−フェニル4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール)
F:エネルギー線硬化性成分
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
G:光重合開始剤
α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
H:ポリマー成分
アクリル酸エステル共重合体(エポキシ基含有、分子量80万、Tg10℃)
I:フィラー
合成シリカフィラー(平均粒径0.5μm)
J:顔料・染料
カーボンブラック(平均粒径28nm)
次に、各実施例および比較例のチップ保護膜用フィルムの作製方法について示す。
[実施例1]
保護膜形成層の最外層である保護膜1を形成する表1記載の塗布剤を剥離シート(PETフィルム、厚さ38μm)上に乾燥膜厚が30μmとなるように150℃−20分で塗布乾燥及び加熱硬化した。続いて、保護膜形成層のウエハ側である保護膜3の塗布剤を別の剥離シート上に乾燥膜厚が10μmとなるように150℃−3分で塗布乾燥し、保護膜1と積層し、剥離シート/最外層の保護膜形成層(保護膜1)/チップに接する接着剤層(保護膜3)/剥離シート(図1参照)のチップ保護用フィルムを得た。
[実施例2]
実施例1の最外層の保護膜1を保護膜2に変更し、乾燥膜厚が30μmとなるように150℃−3分で塗布乾燥させた後、紫外線を積算量2000mJとなるように照射しフィルムにした。その後、実施例1と同様にして保護膜3と積層し、チップ保護用フィルムを得た。
[実施例3]
実施例1の最外層の保護膜1の乾燥膜厚を15μm、チップに接する保護膜3の乾燥膜厚を25μmとした以外は、実施例1と同様にしてチップ保護用フィルムを得た。
[実施例4]
実施例3のチップに接する保護膜3を保護膜4とした以外は、実施例3と同様にしてチップ保護用フィルムを得た。
[実施例5]
実施例3のチップに接する保護膜3を保護膜5とした以外は、実施例3と同様にしてチップ保護用フィルムを得た。
[実施例6]
実施例3のチップに接する保護膜3を保護膜6とした以外は、実施例3と同様にしてチップ保護用フィルムを得た。
[実施例7]
保護膜5を形成する塗布剤を剥離シート上に乾燥膜厚が27.5μmとなるように150℃−3分で塗布乾燥し、ポリイミドフィルム(「ユーピレックス−S」(商品名、宇部興産製、12.5μm厚)と積層し、最外層の耐熱フィルム/チップに接する接着剤層(保護膜5)/剥離シート(図2参照)のチップ保護用フィルムを得た。
[実施例1]
保護膜形成層の最外層である保護膜1を形成する表1記載の塗布剤を剥離シート(PETフィルム、厚さ38μm)上に乾燥膜厚が30μmとなるように150℃−20分で塗布乾燥及び加熱硬化した。続いて、保護膜形成層のウエハ側である保護膜3の塗布剤を別の剥離シート上に乾燥膜厚が10μmとなるように150℃−3分で塗布乾燥し、保護膜1と積層し、剥離シート/最外層の保護膜形成層(保護膜1)/チップに接する接着剤層(保護膜3)/剥離シート(図1参照)のチップ保護用フィルムを得た。
[実施例2]
実施例1の最外層の保護膜1を保護膜2に変更し、乾燥膜厚が30μmとなるように150℃−3分で塗布乾燥させた後、紫外線を積算量2000mJとなるように照射しフィルムにした。その後、実施例1と同様にして保護膜3と積層し、チップ保護用フィルムを得た。
[実施例3]
実施例1の最外層の保護膜1の乾燥膜厚を15μm、チップに接する保護膜3の乾燥膜厚を25μmとした以外は、実施例1と同様にしてチップ保護用フィルムを得た。
[実施例4]
実施例3のチップに接する保護膜3を保護膜4とした以外は、実施例3と同様にしてチップ保護用フィルムを得た。
[実施例5]
実施例3のチップに接する保護膜3を保護膜5とした以外は、実施例3と同様にしてチップ保護用フィルムを得た。
[実施例6]
実施例3のチップに接する保護膜3を保護膜6とした以外は、実施例3と同様にしてチップ保護用フィルムを得た。
[実施例7]
保護膜5を形成する塗布剤を剥離シート上に乾燥膜厚が27.5μmとなるように150℃−3分で塗布乾燥し、ポリイミドフィルム(「ユーピレックス−S」(商品名、宇部興産製、12.5μm厚)と積層し、最外層の耐熱フィルム/チップに接する接着剤層(保護膜5)/剥離シート(図2参照)のチップ保護用フィルムを得た。
[比較例1]
実施例1の最外層の保護膜1の乾燥時間を150℃−3分とした以外は、実施例1と同様にしてチップ保護用フィルムを得た。
[比較例2]
実施例1の最外層の保護膜1を保護膜6とし、チップに接する保護膜3を保護膜1とした以外は、実施例1と同様にしてチップ保護用フィルムを得た。
[比較例3]
実施例4の最外層の保護膜1の乾燥時間を150℃−3分とした以外は、実施例4と同様にしてチップ保護用フィルムを得た。
[比較例4]
保護膜3の塗布剤を剥離シート上に乾燥膜厚が40μmとなるように150℃−20分で塗布乾燥及び加熱硬化し、次いで得られた保護膜形成層表面に別の剥離シートを積層し、剥離シート/単層の保護膜形成層(保護膜3)/剥離シートのチップ保護用フィルムを得た。
実施例1の最外層の保護膜1の乾燥時間を150℃−3分とした以外は、実施例1と同様にしてチップ保護用フィルムを得た。
[比較例2]
実施例1の最外層の保護膜1を保護膜6とし、チップに接する保護膜3を保護膜1とした以外は、実施例1と同様にしてチップ保護用フィルムを得た。
[比較例3]
実施例4の最外層の保護膜1の乾燥時間を150℃−3分とした以外は、実施例4と同様にしてチップ保護用フィルムを得た。
[比較例4]
保護膜3の塗布剤を剥離シート上に乾燥膜厚が40μmとなるように150℃−20分で塗布乾燥及び加熱硬化し、次いで得られた保護膜形成層表面に別の剥離シートを積層し、剥離シート/単層の保護膜形成層(保護膜3)/剥離シートのチップ保護用フィルムを得た。
このように形成された各実施例および比較例の最外層となる保護形成層(保護膜1〜6、耐熱フィルム)やウエハと接する保護膜形成層(保護膜1〜6)、チップ保護用フィルムについて、下記の各特性の評価試験を行った。その得られた結果を表2(表2−1と表2−2)に示した。
(1)鉛筆硬度
JIS規格:K5600−5−4に基づき室温(25℃)での鉛筆硬度を測定した。
(2)プローブタックのピーク値
被着体側の粘接着剤層のUV照射前後でのプローブタックのピーク値(タック力)を、(株)レスカ社製、タッキング試験機、TAC−II型を用いて測定した。測定条件としては以下の通りである。
プローブ :3mmφの円柱型
プローブの接触速さ :0.5mm/s
接触荷重 :694mN/mm2
接触時間 :10秒
引き剥がし速さ :10mm/s
測定温度 :250℃
結果は、5回測定し、その平均値とした。
JIS規格:K5600−5−4に基づき室温(25℃)での鉛筆硬度を測定した。
(2)プローブタックのピーク値
被着体側の粘接着剤層のUV照射前後でのプローブタックのピーク値(タック力)を、(株)レスカ社製、タッキング試験機、TAC−II型を用いて測定した。測定条件としては以下の通りである。
プローブ :3mmφの円柱型
プローブの接触速さ :0.5mm/s
接触荷重 :694mN/mm2
接触時間 :10秒
引き剥がし速さ :10mm/s
測定温度 :250℃
結果は、5回測定し、その平均値とした。
(3)弾性率
最外層の硬化させた保護膜形成層では、保護膜1〜6を形成する各成分からなる塗布剤を剥離シート上に上記チップ保護用フィルムの最外層作製時と同様の乾燥条件で乾燥膜厚が100μmとなるように塗布乾燥し、製膜した。チップに接着する接着剤層では、保護膜1〜6を形成する各成分からなる塗布剤を剥離シート上に、上記チップ保護用フィルムのチップに接する層作製時と同様の乾燥条件で、乾燥膜厚が100μmとなるように塗布乾燥し、製膜した。得られたフィルムを粘弾性測定装置(引張モード、周波数10Hz、昇温速度10℃/min)で弾性率を測定した。100℃での貯蔵弾性率は、粘弾性計(レオメトリックサイエンス社製、商品名:ARES)を用いて、0℃から測定を開始し昇温速度20℃/分、周波数1Hzで、動的粘弾性を測定し、100℃に達した時点の貯蔵弾性率(G´)とした。
(4)レーザーマーク認識性(キュア前)
チップ保護用フィルムをシリコンウエハに貼合し、レーザーマーキングを行った(キーエンス製:ML−G9320使用、文字高さ0.75mm、文字幅0.5mm)。その後、保護膜形成層を180℃−2hで加熱処理した後、レーザーマーキングの印字の認識性を顕微鏡により観察した。認識性の評価は、顕微鏡搭載のCCDカメラを用いて行った。CCDカメラによるコントラスト値が85%以上のものを「◎」、85〜70%のものを「○」、70〜30%のものを「△」、30%未満のものを「×」とした。
最外層の硬化させた保護膜形成層では、保護膜1〜6を形成する各成分からなる塗布剤を剥離シート上に上記チップ保護用フィルムの最外層作製時と同様の乾燥条件で乾燥膜厚が100μmとなるように塗布乾燥し、製膜した。チップに接着する接着剤層では、保護膜1〜6を形成する各成分からなる塗布剤を剥離シート上に、上記チップ保護用フィルムのチップに接する層作製時と同様の乾燥条件で、乾燥膜厚が100μmとなるように塗布乾燥し、製膜した。得られたフィルムを粘弾性測定装置(引張モード、周波数10Hz、昇温速度10℃/min)で弾性率を測定した。100℃での貯蔵弾性率は、粘弾性計(レオメトリックサイエンス社製、商品名:ARES)を用いて、0℃から測定を開始し昇温速度20℃/分、周波数1Hzで、動的粘弾性を測定し、100℃に達した時点の貯蔵弾性率(G´)とした。
(4)レーザーマーク認識性(キュア前)
チップ保護用フィルムをシリコンウエハに貼合し、レーザーマーキングを行った(キーエンス製:ML−G9320使用、文字高さ0.75mm、文字幅0.5mm)。その後、保護膜形成層を180℃−2hで加熱処理した後、レーザーマーキングの印字の認識性を顕微鏡により観察した。認識性の評価は、顕微鏡搭載のCCDカメラを用いて行った。CCDカメラによるコントラスト値が85%以上のものを「◎」、85〜70%のものを「○」、70〜30%のものを「△」、30%未満のものを「×」とした。
(5)貼合性
チップ保護用フィルムをシリコンウエハに貼合する際に、20℃〜80℃で貼合可能なものを「○」、貼合に80℃以上必要なものを「×」とした。
(6)接着信頼性(キュア無し)
チップ保護用フィルムをシリコンウエハに貼合し、そのフィルム側にダイシングテープを貼合し、10mm×10mmにダイシングした。分割された個々のシリコンチップを85℃/85%RHの恒温恒湿槽で168時間処理した後、IRリフロー炉で265℃30秒加熱した。その後、得られたシリコンチップと硬化性保護膜形成層との剥離の有無をSAT(超音波映像装置:日立建機ファインテック株式会社製)で観察した。20個のサンプルのうち、剥離が発生したものをカウントした。
チップ保護用フィルムをシリコンウエハに貼合する際に、20℃〜80℃で貼合可能なものを「○」、貼合に80℃以上必要なものを「×」とした。
(6)接着信頼性(キュア無し)
チップ保護用フィルムをシリコンウエハに貼合し、そのフィルム側にダイシングテープを貼合し、10mm×10mmにダイシングした。分割された個々のシリコンチップを85℃/85%RHの恒温恒湿槽で168時間処理した後、IRリフロー炉で265℃30秒加熱した。その後、得られたシリコンチップと硬化性保護膜形成層との剥離の有無をSAT(超音波映像装置:日立建機ファインテック株式会社製)で観察した。20個のサンプルのうち、剥離が発生したものをカウントした。
(7)接着信頼性(キュア有り)
チップ保護用フィルムをシリコンウエハに貼合し、180℃−2hで加熱硬化した。フィルム側にダイシングテープを貼合し、10mm×10mmにダイシングした。分割された個々のシリコンチップを85℃/85%RHの恒温恒湿槽で168時間処理した後、IRリフロー炉で265℃30秒加熱した。その後、得られたシリコンチップと硬化性保護膜形成層との剥離の有無をSAT(超音波映像装置:日立建機ファインテック株式会社製)で観察した。20個のサンプルのうち、剥離が発生したものをカウントした。
(8)耐熱性
チップ保護用フィルムをシリコンウエハに貼合、レーザーマーキングし、そのフィルム側にダイシングテープを貼合し、10mm×10mmにダイシングした。分割した個々のシリコンチップの保護膜形成側を300℃のホットプレート上に30秒置いた際に、ホットプレートへの転着、レーザーマーク剥れがないか確認した。転着、レーザーマーク剥れがなかったものを「○」、転着、レーザーマーク剥れが発生したものを「×」とした。
チップ保護用フィルムをシリコンウエハに貼合し、180℃−2hで加熱硬化した。フィルム側にダイシングテープを貼合し、10mm×10mmにダイシングした。分割された個々のシリコンチップを85℃/85%RHの恒温恒湿槽で168時間処理した後、IRリフロー炉で265℃30秒加熱した。その後、得られたシリコンチップと硬化性保護膜形成層との剥離の有無をSAT(超音波映像装置:日立建機ファインテック株式会社製)で観察した。20個のサンプルのうち、剥離が発生したものをカウントした。
(8)耐熱性
チップ保護用フィルムをシリコンウエハに貼合、レーザーマーキングし、そのフィルム側にダイシングテープを貼合し、10mm×10mmにダイシングした。分割した個々のシリコンチップの保護膜形成側を300℃のホットプレート上に30秒置いた際に、ホットプレートへの転着、レーザーマーク剥れがないか確認した。転着、レーザーマーク剥れがなかったものを「○」、転着、レーザーマーク剥れが発生したものを「×」とした。
実施例1〜3ではウエハと接着する層の軟化が大きいため、キュア無しでは若干接着信頼性が低いものの、キュア有では接着信頼性に問題なく、またキュア前のレーザーマーキングも可能であった。実施例4〜7に関してはキュア無でも接着信頼性に問題なく、キュア前でもレーザーマーキング可能であった。また、実施例4、5、7の最外層とチップに接する層を異なる色の2層とした構成では明らかにレーザーマークの認識性において優位性が確認された。
比較例はいずれもその最外層が完全に硬化していないため、鉛筆硬度が柔らかく、また、タック力が大きい。
比較例1では、加熱時間が不足し最外層の保護膜1が完全に硬化していないため、キュア前にレーザーマーキングを行ってもその後のキュアでレーザーマーキングは消えてしまった。また、耐熱性でも問題があった。
比較例2では、最外層の保護膜6の硬化速度が遅いため完全に硬化しておらず、比較例1同様にキュア前のレーザーマーキング性、耐熱性の面で問題があった。また、チップに接着する保護膜1に関しては、硬化が進行しているため、貼合性、接着信頼性の面で問題があった。
比較例3では、最外層とチップに接する層を色の異なる2層としているため、キュア前のレーザーマーキング性は良好であったが、最外層が硬化していないため、耐熱性の面で問題があった。
比較例4では、ある程度硬化の進行した単層構成となっているため、接着信頼性等で問題があった。
比較例1では、加熱時間が不足し最外層の保護膜1が完全に硬化していないため、キュア前にレーザーマーキングを行ってもその後のキュアでレーザーマーキングは消えてしまった。また、耐熱性でも問題があった。
比較例2では、最外層の保護膜6の硬化速度が遅いため完全に硬化しておらず、比較例1同様にキュア前のレーザーマーキング性、耐熱性の面で問題があった。また、チップに接着する保護膜1に関しては、硬化が進行しているため、貼合性、接着信頼性の面で問題があった。
比較例3では、最外層とチップに接する層を色の異なる2層としているため、キュア前のレーザーマーキング性は良好であったが、最外層が硬化していないため、耐熱性の面で問題があった。
比較例4では、ある程度硬化の進行した単層構成となっているため、接着信頼性等で問題があった。
1 チップ保護用フィルム
2 最外層の保護膜形成層または耐熱シート
3 チップと接着する保護膜形成層
4 剥離シート
5 レーザーマーキングによって最外層が削り取られた部分
2 最外層の保護膜形成層または耐熱シート
3 チップと接着する保護膜形成層
4 剥離シート
5 レーザーマーキングによって最外層が削り取られた部分
Claims (4)
- 少なくとも2層のチップ保護膜形成層を有する半導体ウエハのチップ保護用フィルムであって、その最外層は、25℃での鉛筆硬度がB以上、250℃でのプローブタックのピーク値が150mN/mm2以下であるとともに、25℃での弾性率が1.0×108〜3.0×1010Pa及び250℃での弾性率が1.0×106Pa以上であることを特徴とするチップ保護用フィルム。
- 前記最外層が硬化させた硬化性保護膜形成層または耐熱性フィルムからなることを特徴とする請求項1記載のチップ保護用フィルム。
- 前記最外層と最外層以外の層の色が異なることを特徴とする請求項1または2記載のチップ保護用フィルム。
- 前記チップ保護用フィルムのチップに接着する層が熱硬化性接着剤層からなり、該硬化性接着剤層の硬化前の100℃での貯蔵弾性率(G’)が1.0×104〜5.0×106Paであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のチップ保護用フィルム。
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