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JP2008039042A - 油圧アクチュエータ回路の負荷保持装置 - Google Patents

油圧アクチュエータ回路の負荷保持装置 Download PDF

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JP2008039042A JP2006213526A JP2006213526A JP2008039042A JP 2008039042 A JP2008039042 A JP 2008039042A JP 2006213526 A JP2006213526 A JP 2006213526A JP 2006213526 A JP2006213526 A JP 2006213526A JP 2008039042 A JP2008039042 A JP 2008039042A
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Abstract

【課題】油圧アクチュエータ回路の負荷保持装置において、操作レバーの操作量に係わらず、負荷側管路のバースト時に確実に保持弁開口を小さくし、負荷の落下速度を安全な速度に制御することができるようにする。
【解決手段】ブームシリンダ1のボトム側と油圧管路8aとの間には保持弁13が配置され、パイロット管路7aと油圧管路8aの間に、油圧管路8a内の圧力が所定値以下になったときにパイロット管路7aの圧力が設定値以上にならないように制御する圧力制御弁9と、油圧管路8aから圧力制御弁9への圧力の伝達を阻止するチェック弁10とを配置する。圧力制御弁9は例えば減圧弁であり、パイロット管路7aの圧力と圧力制御弁9の出側の圧力との差圧がバネ9aの設定圧よりも高くなると作動し、当該差圧がバネ9aの設定圧となるよう制御(減圧)する。
【選択図】 図1

Description

本発明は油圧アクチュエータ回路の負荷保持装置に係わり、特に、油圧ショベルや油圧ショベルを母体として構成される解体機、深穴掘削機等の作業機械に用いられる油圧アクチュエータ回路において、負荷が作用する状況で負荷側管路のバースト(破断)や油漏れ等が生じた場合に負荷の落下を防止する負荷保持装置に関する。
例えば油圧ショベルのブームの油圧アクチュエータ回路には、油圧アクチュエータ(ブームシリンダ)に負荷が作用する状況でアクチュエータの負荷側(ブームシリンダのボトム側)に接続された負荷側管路のバーストや油漏れ等が生じた場合に作業フロント(負荷)の落下を防止する負荷保持装置が設けられている。この負荷保持装置は、ブームシリンダのボトム側(負荷側)と負荷側管路との間に保持弁を設置し、この保持弁をブーム上げの操作パイロット圧で開閉する構成となっている。
このような負荷保持装置において、特許文献1には、油圧アクチュエータの動作時に保持弁の開口を制御する保持弁制御手段を、負荷側管路の圧力が一定値以上となる正常時には、保持弁開口を、そのときのコントロールバルブのメータアウト開口よりも十分大きな値に設定し、負荷側管路の圧力が一定値以下に低下する異常時(負荷側管路のバースト時)に、保持弁開口を、アクチュエータ速度が保持弁が無い場合よりも低くなる値に設定するように構成したものが提案されている。また、その具体的構成として、負荷側管路の圧力を保持弁の操作部に導いて、異常時(負荷側管路のバースト時)に操作パイロット圧に対するストローク特性をシフトさせるか、その傾きを変えることで、所定のレバー操作量における保持弁開口を小さくする構成や、負荷側管路の圧力をブーム上げの操作パイロット圧を調整する切換弁に導き、異常時(負荷側管路のバースト時)にレバー操作量に対する操作パイロット圧の上昇割合を減らす(傾きを小さくする)ことで、所定のレバー操作量における保持弁開口を小さくする構成が示されている。
特開2004−60821号公報
欧州では、負荷保持弁の性能として、ISO8643により、ブームシリンダの負荷側管路に保持弁を設けた場合に、実車定格吊り上げ能力の1/2のテスト負荷をかけ、その負荷の作動速度を200mm/secに設定しておいて、ブームシリンダの負荷側管路をバーストさせたときのシリンダ速度(負荷の落下速度)がその作動速度の2倍(400mm/sec)未満であることが義務づけられている。
従来の一般的な負荷保持弁では、コントロールバルブのメータアウト開口と保持弁開口との合成開口が所望のメータアウト流量特性(操作性)を満足させ、かつ負荷側管路のバースト時の負荷の落下速度がISO8643の要求を満足させるようにそれぞれの開口面積を設定する必要がある。この場合、保持弁開口の設定は、所望のメータアウト流量特性とISO8643の要求の両方を満足するよう調整しなければならない。しかし、保持弁開口が変わると合成開口としてのメータアウト流量特性も変わるため、保持弁開口を変えた場合は、保持弁開口を変える場合と同じメータアウト流量特性を得るためにコントロールバルブのメータアウト開口の設定を修正する必要が生じる。結果として、試行錯誤によりコントロールバルブのメータアウト開口と保持弁開口を設定しなければならず、コントロールバルブのメータアウト開口と保持弁開口の設定に多大の労力を要するという問題がある。
特許文献1記載の負荷保持装置では、正常時には保持弁開口をコントロールバルブのメータアウト開口よりも十分大きな値とし、負荷側管路のバースト時に、所定のレバー操作量における保持弁開口を小さすることで、アクチュエータ速度が保持弁がない場合よりも小さくなるよう構成することで、正常時のメータアウト流量特性を確保しながら、保持弁開口の設定を簡単に行うことができるようにしている。
しかしながら、特許文献1記載の負荷保持装置では次のような問題がある。
上記特許文献1記載の負荷保持装置は、異常時(負荷側管路のバースト時)に負荷側管路内がほぼ大気圧になる(所定値以下に低下する)ことを利用し、その圧力変化により保持弁の操作特性を変える(シフトさせるか傾きを変える)か、操作パイロット圧を絞り調整することで、所定のレバー操作量における保持弁開口が小さくなるようにしている。所定のレバー操作量とは、正常時における負荷の作動速度を200mm/secとする大きさである。したがって、操作レバーがその所定のレバー操作量付近にある状態で、負荷側管路がバーストしたときは、パイロット圧が適切に低下して保持弁開口は目的とする小さな開口に制御され、負荷の落下速度を所望の値に維持することができるが、例えば操作レバーをフル近くまで操作した場合など、操作レバーを所定のレバー操作量よりも大きく操作したときは、負荷側管路バースト時のパイロット圧は所望の値まで低下せず、そのため保持弁開口はそれに応じて増加し、負荷の落下速度が増加するという問題がある。
また、負荷側管路の高圧を保持弁の操作側に作用させることが必須の構成となっているため、保持弁の操作側の構造及び強度を高圧仕様とする必要があり、これによって製造コストが増加するという問題もある。
更に、保持弁内への油路の追加、アシストシリンダの追加など高価な追加機能が必要となり、製造コストの増加につながるとともに、保持弁も大型になるので、負荷保持装置の占有スペースも増加する。
本発明の第1の目的は、操作レバーの操作量に係わらず、負荷側管路のバースト時に確実に保持弁の開口面積を小さくし、負荷の落下速度を安全な速度に制御することができる油圧アクチュエータ回路の負荷保持装置を提供することである。
本発明の第2の目的は、保持弁の操作側の構成を低圧仕様とすることができ、かつ構成も比較的簡単であり、安価でコンパクトな油圧アクチュエータ回路の負荷保持装置を提供することである。
(1)上記第1の目的を達成するために、本発明は、油圧パイロット操作手段からのパイロット圧によって操作されるコントロールバルブと、前記コントロールバルブによって動作が制御される油圧アクチュエータと、前記コントロールバルブと前記油圧アクチュエータとを接続する1対の油圧管路とを有し、前記1対の油圧管路の一方は前記油圧アクチュエータの負荷側に接続される負荷側管路である油圧アクチュエータ回路の負荷保持装置において、前記油圧アクチュエータの負荷側と前記負荷側管路との間に設けられた保持弁であって、前記油圧パイロット操作手段からのパイロット圧が導かれる受圧部を有し、この受圧部に導かれるパイロット圧に応じて開口面積を変化させる保持弁と、前記保持弁の受圧部に接続され、前記油圧パイロット操作手段からのパイロット圧を前記受圧部に導くパイロット管路と、前記パイロット管路と前記負荷側管路との間に設けられ、前記負荷側管路の圧力が所定値以下になると前記パイロット管路の圧力が設定値以上にならないように制御する圧力制御弁とを備えるものとする。
このようにパイロット管路と負荷側管路との間に、負荷側管路の圧力が所定値以下になるとパイロット管路の圧力が設定値以上にならないように制御する圧力制御弁を設けた本発明においては、負荷側管路がバーストしていない正常時には圧力制御弁は作動しないので、油圧パイロット操作手段の出力圧はそのままコントロールバルブと保持弁に入力され、油圧パイロット操作手段の操作通りに油圧アクチュエータの速度制御を行うことができる。
一方、負荷側管路のバースト時には、負荷側管路の圧力がほぼ大気圧(所定値以下)まで下がるので、圧力制御弁が作動し、パイロット管路の圧力は設定値以上にならないように制御される。これにより保持弁の開口面積はその設定値に対応する小さな値に制限され、保持弁の開口面積は確実に小さくなり、負荷の落下速度を安全な速度に制御して作業の安全性を確保することができる。
(2)また、上記第2の目的を達成するため、本発明は、上記(1)において、前記圧力制御弁と前記負荷側管路との間に設けられ、前記負荷側管路から前記圧力制御弁への圧力の伝達を阻止するチェック弁を更に備えるものとする。
これにより圧力制御弁に負荷側管路の高圧が作用しないので、圧力制御弁を含む保持弁の操作側の構成を安価な低圧仕様とすることができ、かつ構成も比較的簡単となり、安価でコンパクトな負荷保持装置とすることができる。
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記保持弁は、前記パイロット圧が前記設定値を含む所定の範囲を超えると全開するように構成されている。
これによりパイロット圧が設定値を含む所定の範囲を超えた範囲では、コントロールバルブと保持弁により得られるメータアウト流量特性に対してコントロールバルブのメータアウトの開口面積が支配的となり、保持弁の開口面積がほとんど影響しなくなるので、所望のメータアウト流量特性(操作性)を満足させ、かつ負荷側管路のバースト時の負荷の落下速度を所望の値に制御するための開口面積の設定及びチューニングが簡単に行えるようになる。
本発明によれば、操作レバーの操作量に係わらず、負荷側管路のバースト時に確実に保持弁開口を小さくし、負荷の落下速度を安全な速度に制限して作業の安全性を確保することができる。
また、本発明によれば、保持弁の操作側の構成を低圧仕様とすることができ、かつ構成も比較的簡単であり、負荷保持装置を安価でコンパクトにすることができる。
更に、本発明によれば、所望のメータアウト流量特性(操作性)を満足させ、かつ負荷側管路のバースト時の負荷の落下速度を所望の値に制御するための開口面積の設定を簡単に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係わる負荷保持装置を備えた油圧アクチュエータ回路のうち、ブームシリンダに係わる部分のみを抽出して示す油圧回路図である。
図1において、この油圧アクチュエータ回路は、図示しない原動機によって駆動される可変容量型の油圧ポンプ2と、この油圧ポンプ2から吐出された油圧により駆動される油圧アクチュエータ(ブームシリンダ)1と、油圧ポンプ2からブームシリンダ1に供給される圧油の流れを制御するコントロールバルブ4と、コントロールバルブ4とブームシリンダ1のボトム側及びロッド側をそれぞれ接続する1対の油圧管路8a,8bと、パイロットポンプ3と、このパイロットポンプ3が吐出した圧油からパイロット圧を生成し、コントロールバルブ4を切換え操作する油圧パイロット式の操作レバー装置(油圧パイロット操作手段)5と、操作レバー装置5とコントロールバルブ4の受圧室4a,4bを接続する1対のパイロット管路7a,7bと、油圧ポンプ2及びパイロットポンプ3に供給する作動油を貯えるタンク12を有している。
ブームシリンダ1のボトム側と油圧管路8aとの間には負荷保持弁6が配置され、この負荷保持弁6はブームシリンダ1の筒体外壁上に取り付けられている。負荷保持弁6は、保持弁13と、油圧管路8aからブームシリンダ1への圧油の流れのみを許容するチェック弁14とを備えている。保持弁13は、信号圧ポート118を介してパイロット管路7aに接続され、油圧パイロット操作レバー装置5からのパイロット圧を受圧する受圧室13aを有している。また、保持弁13は、操作レバー装置5の操作レバーが操作されておらず(操作レバー装置5からのパイロット圧がタンク圧であり)、コントロールバルブ4が中立位置にあるときは遮断位置に保持され、操作レバーが操作されてパイロット管路7aにパイロット圧が出力され、コントロールバルブ4が中立位置から切り換えられると、そのパイロット圧に応じて開口面積を変化させ、メインポート111,112を介して油圧管路8aとブームシリンダ1のボトム側との間の圧油の流れを制御する構成となっている。保持弁13は、その遮断位置において、ブームシリンダ1のボトム側から油圧管路8aへの圧油の流れを遮断するチェック弁機能を有している。
また、本実施の形態の油圧アクチュエータ回路は、パイロット管路7aと油圧管路8aの間に設けられた圧力制御部11を有し、この圧力制御部11は、油圧管路8a内の圧力(パイロット圧力)が所定値以下になったときにパイロット管路7aの圧力が設定値以上にならないように制御する圧力制御弁9と、圧力制御弁9の下流側に設けられ、圧力制御弁9から油圧管路8aへの圧油の流れのみを許容し、油圧管路8aから圧力制御弁9への圧力の伝達を阻止するチェック弁10とで構成されている。圧力制御弁9は例えば減圧弁であり、この場合、パイロット管路7aの圧力と圧力制御弁9の出側の圧力との差圧がバネ9aの設定圧よりも高くなると作動し、当該差圧がバネ9aの設定圧となるよう制御(減圧)する。その結果、油圧管路8a内の圧力がほぼ大気圧(0)となり、圧力制御弁9の出側の圧力がほぼ0となるとき、パイロット管路7aの圧力がバネ9aの設定圧以上にならないように制御(減圧)される。なお、圧力制御弁9はリリーフ弁であってもよく、この場合は、油圧管路8a内の圧力がバネ9aの設定圧より低くなり、圧力制御弁9の出側の圧力がバネ9aの設定圧より低くなると作動し、パイロット管路7aの圧力がバネ9aの設定圧以上にならないように制御される。
図2は、本発明の油圧アクチュエータ回路の負荷保持装置が搭載される油圧ショベルの外観を示す側面図である。
図2において、油圧ショベルは下部走行体100と、上部旋回体101と、フロント作業機102とを有している。下部走行体100には左右の走行モータ50,56が配置され、この走行モータ50,56によりクローラ100aが回転駆動され、前方又は後方に走行する。上部旋回体101には旋回モータ53が搭載され、この旋回モータ53により上部旋回体101が下部走行体100に対して右方向又は左方向に旋回される。フロント作業機102は、ブーム103、アーム104、バケット105からなり、ブーム103はブームシリンダ1により上下動され、アーム104はアームシリンダ54によりダンプ側(開く側)又はクラウド側(掻き込む側)に操作される。ブームシリンダ1のボトム側の筒体外壁上には負荷保持弁6が設けられている。
ブームシリンダ1は、フロント作業機102の全体(ブーム103、アーム104、バケット105)を支えており、ブームシリンダ1の縮み方向に、フロント作業機102の全荷重(ブーム103、アーム104、バケット105の全重量)と、バケット105に荷が積まれている場合はその積荷荷重が負荷として働き、その結果ブームシリンダ1のボトム側には常に負荷圧が存在している。本明細書ではそのようなブームシリンダ1のボトム側を負荷側と言う。
また、操作レバー装置5の操作レバーを図示B方向に操作してパイロット管路7aにパイロット圧が発生させ、ブームシリンダ1を縮み方向に動作させるとき、ブームシリンダ1のボトム側の負荷圧は油圧管路8aを介してコントロールバルブ4に作用する。コントロールバルブ4はその圧力(ブームシリンダ1の背圧)を調整しながらブームシリンダ1からの排出流量を制御することで、ブームシリンダ1の縮み速度を調整する。このような油圧アクチュエータの速度制御を一般にメータアウト制御と呼び、コントロールバルブ4はそのようなメータアウト制御ができるようにメータアウトの開口面積が設定されている。また、メータアウト制御時には、油圧管路8aには常に負荷圧が作用しており、本明細書ではそのような油圧管路8aを負荷側管路と言う。
図3は、保持弁13及びコントロールバルブ4のメータアウトの開口面積特性と、それらの合成開口面積特性を示す図である。図中、横軸は操作レバー装置5からパイロット管路7aに出力されるパイロット圧(符号Pi)であり、縦軸は開口面積(符号A)である。また、実線Xは負荷保持弁6の開口面積特性、実線Yはコントロールバルブ4のメータアウトの開口面積特性、一点鎖線Zはそれらの合成開口面積特性である。
図3において、保持弁13の開口面積特性Xは、パイロット圧Piが0〜Pi0の範囲にあるときは開口面積は0であり、パイロット圧PiがPi0を越えPi2になるまではパイロット圧Piが大きくなるに従って開口面積は増加し、パイロット圧PiがPi2を超えると開口面積は急激に増大して、パイロット圧PiがPi3以上になると開口面積は最大のAmaxとなるように設定されている。
コントロールバルブ4のメータアウトの開口面積特性Yは、パイロット圧Piが0〜Pi0の範囲にあるときは開口面積は0であり、パイロット圧PiがPi0を越えると、パイロット圧Piが大きくなるに従って開口面積が増加するように設定されている。ただし、コントロールバルブ4の開口面積は保持弁13の開口面積よりも小さくなるように設定されている。
コントロールバルブ4のメータアウトの開口面積及び保持弁13の開口面積とそれらの合成開口面積とは下記の関係にある。
1/A1+1/A2=1/ATOTAL ・・・(1)
A1:コントロールバルブのメータアウト開口面積
A2:保持弁の開口面積
TOTAL:シリーズの合成開口面積
コントロールバルブ4のメータアウトの開口面積と保持弁13の開口面積との合成開口面積は上記の関係から求めることができ、パイロット圧Piに対して保持弁13の開口面積及びコントロールバルブ4の開口面積が上記のように変化するとき、それらの合成開口面積の特性(合成開口面積特性)Zは一点鎖線で示すようになる。
圧力制御弁9の機能を図4を用いて説明する。図中、横軸は操作レバー装置5の操作レバーの操作量(ストローク)、つまりレバー操作量(符号S)であり、縦軸はパイロット管路7aに発生するパイロット圧(符号Pi)である。
油圧管路8aがバースト(破断)していない正常時は、ブームシリンダ1の動作中、油圧管路8a(負荷側管路)には常にブームシリンダ1のボトム側の負荷圧が作用しており(後述)、チェック弁10は閉じ状態に維持され、圧力制御弁9は動作不能となっている。このためパイロット管路7aは通常のパイロット管路として機能し、パイロット管路7aには操作レバーの操作量に応じたパイロット圧が発生する。図4中の実線Gはそのような正常時のレバー操作量Sとパイロット圧Piとの関係を示しており、レバー操作量Sが0〜S0の範囲(不感帯)にあるときはパイロットPiは0であり、レバー操作量SがS0を越えるとレバー操作量Sが大きくなるに従ってパイロット圧Piは増加し、レバー操作量Sが最大値Smaxより少し小さいS2に達するとパイロット圧PiはPimaxとなる。
油圧管路8aがバーストした異常時(後述)は、油圧管路8aの圧力が大気圧(0)となるため、圧力制御弁9が作動可能な状態となる。その結果、操作レバー装置5の操作レバーを図示B方向に操作してパイロット管路7aにパイロット圧を発生させるとき、そのパイロット圧がバネ9aの設定値を超えようとすると、圧力制御弁9が作動し、パイロット圧はバネ9aの設定値以下に制限される。その結果、レバー操作量Sとパイロット圧Piとの関係は実線Hで示すように変化する。図中、Pi1は圧力制御弁9のバネ9aの設定値であり、S1は設定値Pilのパイロット圧に対応するレバー操作量の値である。この図に示すように、レバー操作量SがS1に達するまでは、実線Gの場合と同様にパイロット圧Piが変化し、レバー操作量がS1に達してパイロット圧がPilまで上昇すると、圧力制御弁9が作動してパイロット圧のそれ以上の上昇は制限される。
図3に戻り、A1は、パイロット圧がPilに制限されたときの保持弁13の開口面積である。前述したように、欧州では、ブームシリンダ1の負荷側管路8aに保持弁13を設けた場合の保持弁13の性能として、ISO8643により、実車定格吊り上げ能力の1/2のテスト負荷をかけ、その負荷の作動速度を200mm/secに設定しておいて、ブームシリンダ1の負荷側管路8aをバーストさせたときのシリンダ速度(負荷の落下速度)がその作動速度の2倍(400mm/sec)未満であることが義務づけられている。パイロット圧Pi1における保持弁13とコントロールバルブ4の合成開口面積の値はその作動速度を200mm/secが得られるよう設定され、開口面積A1は負荷側管路8aのバースト時にその2倍(400mm/sec)未満の落下速度が得られるよう設定されている。
図5は、保持弁13の具体的な構成を示す油圧回路図である。
図5において、保持弁13は、上記のメインポート111,112と信号圧ポート128を備えたハウジング130を有し、メインポート111はブームシリンダ1のボトム側に直接接続され、メインポート112はアクチュエータライン8aを介してコントロールバルブ4に接続され、信号圧ポート128はパイロット管路7aを介して油圧パイロット操作レバー装置5に接続されている。
ハウジング130内には、主弁としてのポペット弁体113と、操作レバー装置5からのパイロット圧によって作動しポペット弁体113を作動させるパイロット弁としてのスプール弁体114と、オーバーロードリリーフバルブの機能を有する小リリーフバルブ115とが設けられている。
ハウジング130内には、また、メインポート111に接続されるシリンダ接続室116、メインポート112に接続される配管接続室117、背圧室118が設けられ、主弁としてのポペット弁体113は背圧室118の圧力を背面で受け、シリンダ接続室116と配管接続室117との間を遮断及び連通させるようハウジング130内に摺動自在に配置されている。ポペット弁体113には、シリンダ接続室116から背圧室118へ流出するパイロット圧油の通過量を制御する絞り通路119が設けられている。背圧室118内にはポペット弁体113を図示の遮断位置に保持するバネ128が配設されている。
ハウジング130内には、更に、パイロット通路120a,120b,130cが形成され、背圧室118と配管接続室117はパイロット通路120aとスプール弁体114とパイロット通路120bを介して接続されており、シリンダ接続室116と配管接続室117はパイロット通路120cとスプール弁体114とパイロット通路120bを介して接続されている。スプール弁体114にはパイロット通路120aのパイロット通路120bとの連通を制御する第1可変絞り部114aと、パイロット通路120cとパイロット通路120bとの連通を制御する第2可変絞り部114bとが形成されている。スプール弁体114の閉弁方向作動端部にはスプール弁体114の初期開弁力を設定するバネ121が設けられ、スプール弁体114の開弁方向作動端部には操作レバー装置5で制御されたパイロット圧がパイロット管路129を介して導かれる受圧室122が設けられ、この受圧室122に導かれるパイロット圧による制御力とバネ121の付勢力とのバランスによってスプール弁体114の移動量が決定され、この移動量に応じてスプール弁体114の第1及び第2可変絞り部114a,114bの開口面積が変化し、パイロット流量を遮断、連通及び制御する。受圧室122は図1の受圧室13aに相当する。バネ121が配置されるスプール弁体端部はスプール弁体114の動きをスムーズにするためドレン通路123,124を介してタンク12に接続されている。
図6は、図5で示した保持弁13におけるパイロット弁(スプール弁体114)の第1及び第2可変絞り部114a,114bと主弁(ポペット弁体113)の開口面積特性を示す図である。図中、横軸は操作レバー装置5からパイロット管路7aに出力されるパイロット圧(符号Pi)であり、縦軸は開口面積(符号A)である。また、実線Cは主弁(ポペット弁体113)の開口面積特性であり、実線Dは第2可変絞り部114bの開口面積特性であり、実線Eは第1可変絞り部114aの開口面積特性である。
図6において、パイロット圧Piが0〜Pi0の範囲にあるときは、スプール弁体114の第1及び第2可変絞り部114a,114bは閉じている。また、第1可変絞り部114aが閉じているため、背圧室118の圧力は低下せず、ポペット弁体113も閉じている。パイロット圧PiがPi0を越えると、実線Dで示すようにスプール弁体114の第2可変絞り部114bが開き始め、パイロット圧Piが更に増加すると、パイロット圧Piの増加にしたがって第2可変絞り部114bの開口面積が増加する。パイロット圧Piが更に増加してPi2を越えると、実線Eに示すようにスプール弁体114の第1可変絞り部114aが開き始め、パイロット圧PiがPi3に達すると第1及び第2可変絞り部114a,114bの開口面積はそれぞれ最大となる。このように第1及び第2可変絞り部114a,114bの開口面積が変化するとき、パイロット圧PiがPi2に達するまでは、第1可変絞り部114aは閉じているため、背圧室118の圧力は低下せず、依然としてポペット弁体113は閉じている。パイロット圧PiがPi2に達し、第1可変絞り114aが開き始めると、背圧室118が第1可変絞り部114aを介してメインポート112に連通し、背圧室118から第1可変絞り部114a、メインポート112、図1に示した油圧管路8a、コントロールバルブ4を介してタンク12へと至る圧油の流れが生じ、背圧室118の圧力が低下する。このため実線Cに示すようにポペット弁体113が開き始め、パイロット圧Piが更に増加すると、ポペット弁体113の開口面積は一機に増加して最大となる。
保持弁13の開口面積は、実線E,D,Cで表される第1及び第2可変絞り部114a,114b及びスプール弁体113の開口面積の合計であり、その特性は一点鎖線Xで示すようになる。図3に示した保持弁13の開口面積特性Xは、このようにして得られる一点鎖線Xの特性を示したものである。
ハウジング130には、また、小リリーフバルブ115の入側に位置するリリーフ通路120eと出側に位置する制御通路120fとが設けられ、リリーフ通路120eはシリンダ接続室116に接続され、制御通路120fはドレン通路124を介してタンク12に接続されている。また、制御通路120fには圧力発生手段である絞り125が設けられ、小リリーフバルブ115と絞り125との間から信号通路127が分岐し、絞り125で発生した圧力が信号通路127を介してスプール弁体114の開弁方向作動端部に設けられた受圧室126に導かれる。
ブームシリンダ1に過大な外力が作用し、シリンダ接続室116が高圧になると、リリーフ通路120eの圧力が上昇して小リリーフバルブ115が開き、絞りを設けた制御通路120fに圧油が流れ込む。この結果、信号通路127の圧力が上昇し、この圧力が受圧室126に作用し、スプール弁体114をフルストロークで移動して第1及び第2可変絞り部114a,114bを全開させ、これと同時にポペット弁体113も開弁する。これにより外力により生じた高圧の圧油を油圧管路8aに設けた図示しないオーバーロードリリーフ弁によりタンクへと排出し、機器の破損を防止する。
以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
1)ブーム上げ動作時(ブームシリンダ1のボトム側への圧油供給時)
操作レバー装置5を図示A方向に操作すると、そのレバー操作量に応じたパイロット圧がパイロット管路7bに発生し、そのパイロット圧がコントロールバルブ4の受圧部4bに供給され、コントロールバルブ4は図示右側の位置に切り換えられる。コントロールバルブ4が図示右側の位置に切り換えられると、油圧ポンプ2から吐出された圧油がコントロールバルブ4、油圧管路8a及び負荷保持弁6に設けられた保持弁13及びチェック弁14を介してブームシリンダ1のボトム側に供給される。ブームシリンダ1のロッド側の圧油は油圧管路8b、コントロールバルブ4を介してタンク12へ排出される。また、このとき、油圧管路8a内はブームシリンダ1のボトム側の圧力(負荷圧)が作用し、高圧となっているため、チェック弁10は閉じられ、油圧管路8a内の高圧が圧力制御弁9に伝達されることはない。
2)ブーム下げ動作時(ブームシリンダ1のボトム側からの圧油排出時)
操作レバー装置5を図示B方向に操作すると、そのレバー操作量に応じたパイロット圧がパイロット管路7aに発生し、そのパイロット圧がコントロールバルブ4の受圧部4a及び保持弁13の受圧部13aに供給される。コントロールバルブ4はそのパイロット圧により図示左側の位置に切り換えられ、油圧ポンプ2から吐出された圧油は、コントロールバルブ4及び油圧管路8bを介してブームシリンダ1のロッド側に供給される。また、保持弁13は、受圧部13aに与えられたパイロット圧により開弁し、ブームシリンダ1のボトム側の圧油は保持弁13とコントロールバルブ4を介してタンク12へと排出される。このとき、保持弁13とコントロールバルブ4の開口面積は、図3に特性X及びYに示すようようであり、その合成開口面積は特性Zのようになる。これにより操作レバー装置5のレバー操作量に応じて合成開口面が変化し、排出流量を制御しつつ速度調整を行うことができる。また、このときも、油圧管路8a内はブームシリンダ1のボトム側の圧力(負荷圧)が作用し、比較的高圧であり、チェック弁10は閉じられている。したがって、油圧管路8a内の高圧が圧力制御弁9に伝達されることはない。また、チェック弁10は閉じられているため、圧力制御弁9は動作不能であり、パイロット管路7aに図4の実線Gで示すような操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を発生させ、操作レバーの操作通りのブーム下げ動作を行うことができる。
3)負荷圧を保持する場合
操作レバー装置5を操作せず、コントロールバルブ4を中立位置にして吊り荷を保持する場合のように、ブームシリンダ1のボトム側の負荷圧が高圧となる状態では、保持弁13は前述した遮断位置にあり、この遮断位置にある保持弁13のチェック弁機能とチェック弁14とによりブームシリンダ1のボトム側の負荷圧を保持し、リーク量を減少させる。
4)ブーム下げ動作中に油圧管路8aがバーストした場合
ブーム下げ動作時(正常時)は、上記のように保持弁13とコントロールバルブ4が開弁し、油圧管路8aにブームシリンダ1のボトム側の圧力(負荷圧)を作用させつつ、保持弁13とコントロールバルブ4の合成開口面に応じて排出流量を制御し、速度調整を行う。このような状況下で、万一、油圧管路8aがバーストした場合、油圧管路8a内の圧力はほぼ大気圧に低下し、チェック弁10が開弁する。その結果、圧力制御弁9が作動し、操作レバーのレバー操作量が図4のS1より大きく、パイロット管路7aに発生したパイロット圧が設定値Pilより高い場合であっても、そのパイロット圧は、図4に示すように、バネ9aの設定値であるPi1の圧力以上にならないように制御(減圧)される。これにより保持弁13の開口面積は、図3に示すようなパイロット圧Pl1に対応するA1の小さな値に制限され、シリンダ速度(負荷の落下速度)をISO8643に規定する安全な速度に保ち、作業の安全性を確保することができる。
以上のように本実施の形態によれば、負荷側管路である油圧管路8aがバーストしていない正常時には圧力制御弁9は作動せず、操作レバー装置5の出力圧(パイロット圧)はそのままコントロールバルブ4の受圧部4aと保持弁13の受圧部13aに入力され、操作レバー装置5の操作レバーの操作通りにブームシリンダ1の速度制御を行うことができる。
一方、油圧管路8aのバースト時には、油圧管路8a内の圧力がほぼ大気圧まで下がるので、圧力制御弁9が作動し、パイロット管路7a内に発生したパイロット圧はバネ9aの設定値であるPi1以上にならないように制御(減圧)され、これに応じて保持弁13の開口面積はパイロット圧Pl1に対応するA1の小さな値に制限される。その結果、保持弁13の開口面積は確実に小さくなり、負荷の落下速度をISO8643に規定するの安全な速度に制御し、作業の安全性を確保することができる。
また、油圧管路8aがバーストしていない正常時には、油圧管路8a内の高圧は圧力制御弁9に作用しないので、圧力制御弁9を含む保持弁13の操作側の構成を安価な低圧仕様とすることができ、かつ圧力制御弁9とチェック弁10を設けただけであるので、構成が比較的簡単であり、負荷保持装置を安価でコンパクトにすることができる。
更に、保持弁13を、パイロット圧が設定値であるPi1を含む所定の範囲Pi0〜Pi2を超えると全開するように構成したので、パイロット圧がその所定の範囲Pi0〜Pi2を超えた範囲では、コントロールバルブ4と保持弁13の合成開口面積により得られるメータアウト流量特性に対してコントロールバルブ4のメータアウトの開口面積が支配的となり、保持弁13の開口面積がほとんど影響しなくなる。その結果、所望のメータアウト流量特性(操作性)を満足させ、かつ負荷側管路である油圧管路8aのバースト時の負荷の落下速度を所望の値に制御するための保持弁13とコントロールバルブ4の開口面積の設定及びチューニングを簡単に行うことができる。
なお、本発明の実施の形態においては、圧力制御弁9の設定値(バネ9aの設定値)は固定としたが、図7に示すようにバネ9bの設定値を外部から変更できるようにした可変式の圧力制御弁9Aとしてもよい。この場合には、図4に示すパイロット圧Pi1の大きさの調整が容易となり、これにより保持弁13の図3に示す開口面積A1の調整が容易となる。
本発明の第1の実施の形態に係わる負荷保持装置を備えた油圧アクチュエータ回路のうち、ブームシリンダに係わる部分のみを抽出して示す油圧回路図である。 本発明の油圧アクチュエータ回路の負荷保持装置が搭載される油圧ショベルの外観を示す側面図である。 保持弁及びコントロールバルブの開口面積特性とそれらの合成開口面積特性を示す図である。 操作レバー装置のレバー操作量とパイロット圧との関係を示す図である。 保持弁の具体的な構成を示す油圧回路図である。 図5で示した保持弁におけるパイロット弁(スプール弁体)の第1及び第2可変絞り部と主弁(ポペット弁体)の開口面積特性を示す図である。 圧力制御弁の変形例を示す図である。
符号の説明
1 油圧アクチュエータ(ブームシリンダ)
2 油圧ポンプ
3 パイロットポンプ
4 コントロールバルブ
4a,4b 受圧室
5 操作レバー装置(油圧パイロット操作手段)
6 負荷保持弁
7a パイロット管路(負荷側管路)
7b パイロット管路
8a,8b 油圧管路
9 圧力制御弁
10 チェック弁
11 圧力制御部
12 タンク
13 保持弁
13a 受圧室
14 チェック弁
50,56 走行モータ
53 旋回モータ
54 アームシリンダ
100 下部走行体
100a クローラ
101 上部走行体
102 フロント作業機
103 ブーム
104 アーム
105 バケット
111,112,128 入出力ポート
113 ポペット弁体
114 スプール弁体
115 小リリーフバルブ
116 シリンダ接続室
117 配管接続室
118 背圧室
119 絞り通路
120a,120b,120c パイロット通路
120e リリーフ通路
120f 制御通路
121 バネ
122 受圧室
123,124f ドレン通路
127 信号通路
129 パイロット管路
130 ハウジング

Claims (3)

  1. 油圧パイロット操作手段からのパイロット圧によって操作されるコントロールバルブと、前記コントロールバルブによって動作が制御される油圧アクチュエータと、前記コントロールバルブと前記油圧アクチュエータとを接続する1対の油圧管路とを有し、前記1対の油圧管路の一方は前記油圧アクチュエータの負荷側に接続される負荷側管路である油圧アクチュエータ回路の負荷保持装置において、
    前記油圧アクチュエータの負荷側と前記負荷側管路との間に設けられた保持弁であって、前記油圧パイロット操作手段からのパイロット圧が導かれる受圧部を有し、この受圧部に導かれるパイロット圧に応じて開口面積を変化させる保持弁と、
    前記保持弁の受圧部に接続され、前記油圧パイロット操作手段からのパイロット圧を前記受圧部に導くパイロット管路と、
    前記パイロット管路と前記負荷側管路との間に設けられ、前記負荷側管路の圧力が所定値以下になると前記パイロット管路の圧力が設定値以上にならないように制御する圧力制御弁とを備えることを特徴とする負荷保持装置。
  2. 請求項1記載の油圧アクチュエータ回路の負荷保持装置において、
    前記圧力制御弁と前記負荷側管路との間に設けられ、前記負荷側管路から前記圧力制御弁への圧力の伝達を阻止するチェック弁を更に備えることを特徴とする負荷保持装置。
  3. 請求項1又は2記載の油圧アクチュエータ回路の負荷保持装置において、
    前記保持弁は、前記パイロット圧が前記設定値を含む所定の範囲を超えると全開するように構成されていることを特徴とする負荷保持装置。
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