JP2008038276A - アルミナ繊維ブランケットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来技術に生じた安全性、環境負荷、経済面での諸問題を解決した新規なアルミナ繊維ブランケットの製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の方法は、アルミナ前駆体繊維にプルロニック型非イオン界面活性剤、とくにその水溶液を減摩剤として塗布し、そのあと、アルミナ前駆体繊維にニードリング処理を施してブランケットの形にする、アルミナ前駆体繊維ブランケットの製造方法である。さらに、その方法で製造されたアルミナ前駆体繊維ブランケットを、900℃以上で焼成することによってムライト、コランダム、γ−アルミナのうち少なくとも1種類の結晶相を析出させる。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の方法は、アルミナ前駆体繊維にプルロニック型非イオン界面活性剤、とくにその水溶液を減摩剤として塗布し、そのあと、アルミナ前駆体繊維にニードリング処理を施してブランケットの形にする、アルミナ前駆体繊維ブランケットの製造方法である。さらに、その方法で製造されたアルミナ前駆体繊維ブランケットを、900℃以上で焼成することによってムライト、コランダム、γ−アルミナのうち少なくとも1種類の結晶相を析出させる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高温用耐火断熱材等に使用されるのに適したアルミナ繊維ブランケットの製造方法に関するものである。
アルミナ繊維ブランケットは、ムライト、コランダム、γ−アルミナの結晶を含んだアルミナ繊維からなる不織布製品であり、アルミナ前駆体繊維ブランケットを焼成することで得られる。
アルミナ繊維は通常ゾル−ゲル法によって生産される。一般的なセラミック製品はセラミック粉末を原料とするのに対して、ゾル−ゲル法では溶液原料を使用する。この原料溶液はAl(アルミニウム)やSi(珪素)等の金属元素を含んだ有機金属化合物(例えばアルコキシド)やコロイドからなる液体(ゾル)であり、この液体原料は加水分解や乾燥によって柔らかい固体状態(ゲル)となる。その後、乾燥工程と焼成工程を経ることで最終的にセラミック製品となる。
本発明のように繊維状の製品を得るためには、ポリビニルアルコールや乳酸のような有機助剤を添加することで粘性を最適化した原料溶液に圧力や遠心力を加えて細いノズルを通過させ、その後、温度・湿度を管理した空気中にさらすことで原料溶液中の水分を蒸発させる。この水分の蒸発が十分に早ければ、原料溶液は表面張力によって液滴状(球状)にはならずに、ノズルを通過した直後の繊維形状のままゲルとなり、水分を加えたりしない限り繊維形状を保つことができるようになる。このゲル状のアルミナ前駆体繊維を焼成することで有機添加剤を脱脂し、結晶化させることでコランダム(α−Al2O3)やムライト(3Al2O3・2SiO2)、γ−アルミナ(γ−Al2O3)を主成分とした繊維を得ることができる。一般に、このアルミナやムライトを主成分とした繊維をアルミナ繊維と呼ぶ。
原料溶液を繊維化しアルミナ前駆体繊維を集綿する段階において、繊維の集合状態のものをシート状にしておくことで焼成後にもシート状を保った製品が得られる。このシート状に加工された製品をマットと呼ぶ。ブランケットは、強度向上を目的としてマットにニードリング処理を施したものを指す。
アルミナ繊維ブランケットは、厚みや嵩密度、幅などを目的に応じて任意の値に調節できる。通常、厚みは5〜50mm、嵩密度は20〜200kg/m3程度である。
アルミナ繊維ブランケットは、そのままで鉄鋼やセラミック焼成の工業炉用断熱材として使用されることもあるが、多くの場合、ブランケットを何枚か積層させて、ある一定の形状(例えば300×300×300mmの立方体形状)に加工して使用する。また、自動車の排気ガス浄化のために使用される触媒担体ハニカムやDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)といったセラミック製品を金属ケース内に設置する際の把持材としても使用できる。非晶質であるアルミナ−シリカ系のセラミックファイバーも断熱材として使用されるが、結晶質のアルミナ繊維はセラミックファイバーよりも耐熱性、耐久性に優れているため、より高温において使用できるという特徴を持つ。
通常、繊維業界において不織布の強度向上を目的として繊維同士の絡み合いを作るために、減摩剤を霧化して不織布に塗布した後、ニードリング処理を施す場合がある。減摩剤は、ニードリング処理をするときに針と繊維に生じる摩擦を低減するために使用される。繊維業界で一般的な減摩剤は、非水系減摩剤として高級脂肪酸エステル、高級アルコールをミネラルオイルなどの溶媒で希釈したもの、水系減摩剤として高級アルコール、パラフィン系鉱物油などを界面活性剤で水中に乳化したエマルションなどがある。
しかし、アルミナ繊維は有機繊維等と異なり、脆く変形しにくいため、減摩剤を塗布したとしても、ニードリング処理のときに繊維が切断され、製品の強度が低下しやすかった。
そこで、アルミナ繊維の製造法に注目し、焼成前のアルミナ前駆体の状態でニードリング処理を施す方法が考え出された。アルミナ前駆体繊維は900℃以上の焼成工程を経ることによって結晶質となるが、焼成される前の前駆体繊維の段階では弾力性を持っているため、ニードリング処理を施すことが比較的容易である。ただし、前駆体は吸湿しやすく、水分が含まれた減摩剤を塗布すると、前駆体繊維はその水分によって溶解し繊維の形状を保てなくなるという問題があった。
この問題を解決するため、特公平6−67779号では、水系の減摩剤の代わりに、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸エステルにミネラルオイル等の炭化水素系溶剤を添加した非水系のものを使用している。
また、特許第2811224号では、高級アルコールやパラフィン系鉱物油等を界面活性剤で水中に分散させたエマルションを減摩剤として使用しているが、減摩剤の塗布前に前駆体繊維に結晶が生成しない程度に加熱処理し耐水性を持たせることで、水系の減摩剤を塗布しても繊維形状が失われるのを防いでいる。
しかし、特公平6−67779号の方法ではミネラルオイル等の炭化水素系溶剤を使用しているため、引火性があり、作業環境を維持すために特別な処理装置が必要となる。そのため、製造工程における安全面、作業環境の点で問題があった。
特許第2811224号では、安全性、環境面での問題は解決されているが、生産工程において2回の焼成工程が必要になり経済的な面で現実的ではない。
現在、この2つの製造方法の問題を同時に解決するアルミナ繊維ブランケットの製造方法は提案されていない。
特公平6−67779号
特許第2811224号
本発明の課題は、前述の従来技術に生じた安全性、環境負荷、経済面での諸問題を解決した新規なアルミナ繊維ブランケットの製造方法と、プルロニック型非イオン界面活性剤の使用方法(用途)を提供することである。
本発明の解決手段を例示すると、次のとおりである。
(1)アルミナ前駆体繊維にプルロニック型非イオン界面活性剤を減摩剤として塗布して、そのあと、アルミナ前駆体繊維にニードリング処理を施してブランケットの形にすることを特徴とするアルミナ前駆体繊維ブランケットの製造方法。
(2)プルロニック型非イオン界面活性剤が水溶液であり、水分量が0重量%以上20重量%以下であることを特徴とする前述のアルミナ前駆体繊維ブランケットの製造方法。
(3)アルミナ前駆体繊維が集綿した加熱処理前のアルミナ前駆体繊維であることを特徴とする前述のアルミナ前駆体繊維ブランケットの製造方法。
(4)アルミナ前駆体繊維を200℃、30分加熱して20〜30重量%の重量減少を行うことを特徴とする前述のアルミナ前駆体繊維ブランケットの製造方法。
(5)プルロニック型非イオン界面活性剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテルであることを特徴とする前述のアルミナ前駆体繊維ブランケットの製造方法。
(6)前述の方法で製造されたアルミナ前駆体繊維ブランケットを、900℃以上で焼成することによってムライト、コランダム、γ−アルミナのうち少なくとも1種類の結晶相を析出させることを特徴とするアルミナ繊維ブランケットの製造方法。
(7)プルロニック型非イオン界面活性剤をアルミナ前駆体繊維に対して減摩剤として使用することを特徴とする方法。
(8)プルロニック型非イオン界面活性剤は、水分量が0重量%以上20重量%以下の水溶液であることを特徴とする前述の方法。
本発明によるアルミナ繊維ブランケットの製造方法においては、減摩剤がプルロニック型非イオン界面活性剤、とくにその水溶液であるため、ミネラルオイル等の炭化水素溶剤を使用した非水系の減摩剤のように引火について心配する必要がなく、溶剤を処理するための特別の装置も必要としない。
また、水系エマルション減摩剤では水分の吸湿によって前駆体繊維の溶解を防ぐため、結晶が生じない程度の温度で前駆体繊維を予備加熱する必要があったが、本発明のように界面活性剤、とくにその水溶液を減摩剤として使用すれば、その必要がない。
よって、本発明によるアルミナ繊維ブランケットの製造方法は、安全な作業環境を容易に維持でき、設備面においても経済的である。
本発明者は、プルロニック型非イオン界面活性剤水溶液を減摩剤としてアルミナ前駆体に塗布した場合、とくに特許第2811224号に記載のような水系のエマルション減摩剤と比較すると、前駆体繊維の溶解が少ないことを見出した。
プルロニック型非イオン界面活性剤、とくにその水溶液をアルミナ前駆体に塗布する場合、前駆体繊維の溶解が少ないため、あらかじめ加熱処理する必要がない。
また、プルロニック型非イオン界面活性剤が水溶液であると、ミネラルオイル等の溶剤を含んだ非水系減摩剤のように引火性や環境面で心配する必要がない。
本発明において減摩剤として使用するプルロニック型非イオン界面活性剤と、特許第2811224号公報に記載されているエマルション減摩剤中の界面活性剤とは、その使用目的や特性が異なっている。本発明で使用する界面活性剤は、酸化エチレンと酸化プロピレンのブロック重合体からなる非イオン界面活性剤であるPluronic(製品名)と同様の構造を有しているため、プルロニック型と呼ばれる。この場合、それ自体が繊維に付着したときニードルと繊維間の摩擦を低減する効果を持つものであり、結果としてその水溶液を減摩剤として使用することが可能である。一方、特許第2811224号では、減摩剤としてパラフィン系鉱物油等の水とは均一に混じりあわない油を使用しているため、油を水中に均一且つ安定した状態に分散させたエマルションを得るための乳化剤として界面活性剤を使用している。つまり、本発明において界面活性剤は減摩剤として必須の成分であり、特許第2811224号では安定したエマルションが得られるのであれば、界面活性剤は特に必要とはしないものであると考えられる。
本発明におけるプルロニック型非イオン界面活性剤水溶液の減摩剤と、エマルションの減摩剤は、どちらも水分を含むにもかかわらず、アルミナ前駆体に与える影響が異なる。その理由については以下のように考えられている。
界面活性剤水溶液では、界面活性剤と水とが均一に混合している状態にある。これに対し、エマルション減摩剤では、界面活性剤を添加することによって安定化したパラフィン系鉱物油の微粒子が水中に分散している状態にある。つまり、エマルションは水と油の界面が存在し、均一な水溶液とは水の状態が異なっている。そのため、繊維に塗布するためにスプレーで霧化した場合、水溶液中の水は霧化しやすく、エマルションでは霧化しにくい。結果として、エマルションのほうが前駆体繊維を溶かしやすくなる。
本発明を実施する最良の形態においては、アルミナ繊維の原料は溶液を用いる。原料溶液はアルミナ源、シリカ源、紡糸助剤及び水で構成される。アルミナ源としては例えばオキシ塩化アルミニウム水溶液が挙げられる。シリカ源としてはコロイダルシリカが一般的である。これらの配合比は焼成後のアルミナ繊維のアルミナ含有率が70重量%以上となるように配合する。紡糸助剤は原料溶液に曵糸性を発現できるものであれば任意に選択できる。例えばポリビニルアルコールや乳酸が使用できる。配合された原料溶液は濃縮し、紡糸に適した粘度(10〜500 dPa・s程度)に調整する。
調製された原料溶液は遠心法等によって溶液中の過剰な水分を蒸発させてアルミナ前駆体繊維とする。この段階では、まだ完全な乾燥状態ではないため、前駆体繊維中に水分が残っている。乾燥しているのは主に繊維表面である。そのため、繊維表面には乾燥皮膜が形成され、繊維内部に水分が多く残留している。このアルミナ前駆体繊維中の水分の量は繊維化工程における温度・湿度によって調整する。水分量が多すぎると、集綿時に繊維同士が接着するか、表面張力により液滴化するため、良質な繊維が得られない。また、繊維化が可能であっても、水分を含んだ減摩剤が付着し、前駆体繊維がその水分を吸収し溶解してしまうこともある。それゆえ、減摩剤中の水分も考慮して、繊維内の水分の上限を決定するのが好ましい。逆に水分量が少なすぎると、繊維が十分に延伸できずに繊維径が太くなるとともに、繊維の柔軟性が失われ、ニードリング処理が難しくなる。アルミナ前駆体中の水分量としては、200℃、30分の乾燥によるアルミナ前駆体の重量減少が20〜30重量%、特に22〜25重量%となる水分量が好ましい。水分量を測定するための前駆体繊維の乾燥温度は、低すぎると、繊維中に水分が残るため乾燥が不十分であり、逆に乾燥温度が高すぎると、繊維中の有機物が燃焼するため、減少した重量から水分量を正確に知ることができなくなる。そのため、前駆体繊維中の水分量を測定する乾燥温度は200℃が適している。
好ましくは、アルミナ前駆体繊維は集綿し、薄いウエブとする。このウエブにプルロニック型非イオン界面活性剤水溶液を霧化させ減摩剤として塗布する。この減摩剤中の水分量が多すぎると、前駆体繊維は溶解する。そのため減摩剤中の水分量は20重量%以下、特に5重量%以下が好ましい。
減摩剤としては前駆体繊維表面に付着することによってニードリングを円滑に実施できるものが好ましく、プルロニック型非イオン界面活性剤、特にポリオキシアルキレンアルキルエーテルの水溶液が適している。また、減摩剤の好適な付着量は前駆体繊維に対して0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜3重量%である。前駆体繊維への付着量が0.1重量%未満の場合には、ニードリング処理時に繊維の絡みが十分に向上させることができず、5重量%よりも多い場合には、ニードリング処理による繊維の絡みが大幅に向上するわけではなく、前駆体繊維はベタつきを生じ、次工程で機械にまとわり付くため取り扱いが悪くなり経済的でない。
前駆体繊維ウエブに減摩剤を塗布する方法は、例えば、前述のように減摩剤を霧化するスプレー法以外に、減摩剤の付着したローラーを繊維に直接接触させるローラー法や、回転するブラシに減摩剤を供給し、ブラシがたわめられてはじけるときの遠心力で微細滴として繊維に付着させるブラッシング法などを採用できる。
前駆体繊維ウエブに減摩剤を塗布する場合、減摩剤を塗布した前駆体繊維ウエブを重ねて、5〜10打/cm2の条件でニードリングをしてアルミナ前駆体繊維ブランケットを作り、そうして作られたアルミナ前駆体繊維ブランケットは、高温炉によって900℃以上で焼成することでアルミナ繊維ブランケットになる。焼成温度はムライト、コランダム、γ−アルミナの結晶が十分に析出する温度とする。ムライト、コランダムなら1200℃以上、γ−アルミナであれば900〜1200℃程度である。焼成時間は目的とする結晶相や焼成温度に依存するが、目的の結晶相がムライトで焼成温度1300℃の場合、30分あれば十分である。
オキシ塩化アルミニウム水溶液(アルミナ換算濃度23.5重量%)にコロイダルシリカ(シリカ20重量%、触媒化成株式会社製、製品名カタロイドSN)とポリビニルアルコール(平均重合度1700)の5%水溶液を添加した後、50℃で減圧濃縮することで粘度30dPa・sの原料溶液を作製した。この原料溶液を表1に示す実施例1〜6、比較例1〜5の条件で繊維化し、その後、5打/cm2でニードリングし、アルミナ前駆体繊維ブランケットを作製した。また、このアルミナ前駆体繊維ブランケットを所定の条件で焼成することにより目的の結晶相を析出させたアルミナ繊維ブランケットを作製した。
評価方法について述べる。アルミナ前駆体繊維ブランケットについては、前駆体繊維の溶解・接着の有無を顕微鏡観察によって確認した。焼成後のアルミナ繊維ブランケットについては、引っ張り強度測定と剥離強度測定を行った。引っ張り強度試験のサンプルには、幅5cm長さ20cmに切断したアルミナ繊維ブランケットを使用した。サンプルの両端を引っ張り試験機のチャックでつかみ、長さ方向にクロスヘッドスピード1cm/分で引っ張ったときの破断荷重を測定し、荷重とブランケットの断面積から引っ張り強度を算出した。剥離強度測定でも、引っ張り強度試験と同じ大きさのサンプルを使用した。サンプルブランケットの半分の厚さで一端から長さ3cmまで剥がし、剥がした部分をチャックでつかみ、クロスヘッドスピード1cm/分で引っ張り、剥離時の最大荷重を剥離強度とした。前駆体繊維の溶解・接着の確認は、顕微鏡で観察することで判断した。繊維の結晶相は、粉末X線回折装置により同定した。
前述の実施例及び比較例の生産条件を表1に示す。製品の評価結果を表2に示す。
実施例1は、水分量23%の前駆体繊維に水分量0%の減摩剤を塗布した実施例である。このブランケットの引っ張り強度、剥離強度はそれぞれ150kPa、3Nであった。アルミナ繊維ブランケットの顕微鏡観察結果を図1に示す。繊維の融着が見られず良好であった。
実施例2は、前駆体繊維の水分量25%、減摩剤の水分量5%であり、γアルミナを析出させた例である。結晶相以外の評価結果は実施例1とほぼ同等で、良質なブランケットが得られた。
実施例3は、前駆体繊維の水分量28%、減摩剤の水分量20%の場合である。ブランケットの引っ張り強度、剥離強度が実施例1及び2より若干劣るが、製品として問題ないレベルであった。
実施例4は、前駆体水分量20%、減摩剤の水分量5%の例である。繊維が若干太く嵩密度が低めになったが、良好であった。
実施例5は、前駆体繊維の水分量30%、減摩剤の水分量5%の例である。繊維の水分量が多く、引っ張り強度、剥離強度も若干小さくなったが、問題はなかった。
実施例6は、前駆体水分量24%、減摩剤の水分量5%であり、コランダムを析出させた例である。引っ張り強度と剥離強度のいずれにも問題がなかった。
比較例1は、前駆体繊維の水分量が35%と過剰であるため、繊維同士の接着が起こり、引っ張り強度も低下している。アルミナ繊維ブランケットの顕微鏡観察結果を図2に示す。
比較例2は、前駆体の水分量が15%と少ない例である。繊維が太く、ニードリングにより繊維が切断され、強度が低下した。
比較例3は、減摩剤の水分量が30%と多い例である。この例では、前駆体繊維の一部が融解し、強度が低下している。
比較例4は、減摩剤として水分量20%のエマルションを使用した例である。前駆体繊維が融解し、強度が低下している。
比較例5は、非水系減摩剤を使用した例である。作業環境が悪化し、剥離強度が小さかった。
Claims (8)
- アルミナ前駆体繊維にプルロニック型非イオン界面活性剤を減摩剤として塗布し、そのあと、アルミナ前駆体繊維にニードリング処理を施してブランケットの形にすることを特徴とするアルミナ前駆体繊維ブランケットの製造方法。
- プルロニック型非イオン界面活性剤が水溶液として構成されており、水分量が20重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルミナ前駆体繊維ブランケットの製造方法。
- アルミナ前駆体繊維が、集綿した加熱処理前のアルミナ前駆体繊維であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミナ前駆体繊維ブランケットの製造方法。
- アルミナ前駆体繊維を200℃、30分加熱して20重量%以上30重量%以下の重量減少を行うことを特徴とする請求項1〜3に記載のアルミナ前駆体繊維ブランケットの製造方法。
- プルロニック型非イオン界面活性剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミナ前駆体繊維ブランケットの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法で製造されたアルミナ前駆体繊維ブランケットを、900℃以上で焼成することによってムライト、コランダム、γ−アルミナのうち少なくとも1種類の結晶相を析出させることを特徴とするアルミナ繊維ブランケットの製造方法。
- プルロニック型非イオン界面活性剤をアルミナ前駆体繊維に対して減摩剤として使用することを特徴とする方法。
- プルロニック型非イオン界面活性剤は水溶液として構成されており、水分量が20重量%以下であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
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