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JP2008035605A - モータの製造方法およびモータ - Google Patents

モータの製造方法およびモータ Download PDF

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JP2008035605A JP2006205478A JP2006205478A JP2008035605A JP 2008035605 A JP2008035605 A JP 2008035605A JP 2006205478 A JP2006205478 A JP 2006205478A JP 2006205478 A JP2006205478 A JP 2006205478A JP 2008035605 A JP2008035605 A JP 2008035605A
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Abstract

【課題】モータの軸受機構の性能を低下させることなく、外周面が樹脂にて形成されたスリーブ部とベース部とを確実かつ強固に接着する。
【解決手段】モータのスリーブ部であるスリーブユニット22がベース部であるベースブラケット21の穴部212に挿入される際に、スリーブユニット22の外周面51にプライマ72が塗布され、穴部212の内周面61に接着剤71が塗布される。外周面51には、外周面51を一周するとともに外周面51から突出する環状凸部52が設けられている。プライマ72は、環状凸部52によりスリーブユニット22の開口部2221側に広がることが防止され、かつ、環状凸部52が塗布の目印としても利用でき、プライマを適切に塗布することができる。これにより、軸受機構の性能を低下させることなく、スリーブユニット22とベースブラケット21とを確実かつ強固に接着することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、電動式のモータを製造する技術に関連する。
従来、ハードディスク駆動装置等の記録ディスク駆動装置は、記録ディスクを回転するスピンドルモータを備えており、モータの軸受機構の1つとして、流体動圧を利用する軸受機構が採用されている。例えば、特許文献1では、軸受スリーブがスリーブ保持部材に挿入される際に、(第2接着層となる)接着剤が軸受スリーブの外周壁面に塗布され、その接着剤の塗布部分の直下に凹設された受け溝により、接着剤の垂れを防止する技術が開示されている。
軸受スリーブやスリーブハウジング等の材料には通常金属が用いられるが、近年、スリーブハウジングを樹脂材料にて形成した樹脂ハウジングの採用が提案されている。特許文献2では、ハウジングおよびハウジングを保持する保持部材の少なくともいずれか一方を樹脂成形品とし、かつ、樹脂成形品の少なくとも接着部にアルカリエッチング処理等の表面処理を施して、相手部材との間の接着力を強化する技術が開示されている。
なお、特許文献3の図2等では、ブラケットと当接する鍔部が設けられたスリーブが開示されている。
特開2005−114106号公報 特開2005−282770号公報 特開平9−9568号公報
ところで、樹脂ハウジングと金属のベース部とを接着する場合、樹脂表面を活性化して接着強度を上げるために樹脂ハウジングにプライマを塗布する必要がある。しかし、微小な樹脂ハウジングに十分な量のプライマを塗布する際に、特に、樹脂ハウジングの底部を上方に向けてプライマを塗布する際に、ハウジングの開口端(ロータ部側の端部)までプライマが達し、組み立て後の軸受機構の内部に侵入して軸受機構の性能を低下させるおそれがある。また、記録ディスク駆動装置において、流れ出たプライマ成分のアウトガスがディスクに付着し、リードエラーを引き起こすおそれもある。
一方、ハウジングのストレートな外周面の所定の領域に狙いを定めて適量のプライマを塗布することは困難であり、プライマの過剰な塗布を避けるためにプライマの塗布量が少なくなってしまった場合は接着強度が不足してしまう。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、外周面が樹脂で形成されたスリーブ部にプライマを適切に塗布することにより、モータの軸受機構の性能を低下させることなく、スリーブ部とベース部とを確実かつ強固に接着することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、ロータ部のシャフトが開口部から底部に向かって挿入される有底円筒状のスリーブ部および前記スリーブ部が挿入される穴部を有するベース部とを備えるモータの製造方法であって、外周面が樹脂で形成されており、前記外周面を一周するとともに前記外周面から突出する環状凸部または前記外周面から窪む環状凹部を備えるスリーブ部を準備する工程と、前記スリーブ部の前記外周面の前記環状凸部または前記環状凹部よりも底部側にプライマを塗布する工程と、前記スリーブ部の前記外周面の前記環状凸部または前記環状凹部よりも前記底部側およびベース部の前記スリーブ部が挿入される穴部の内周面の少なくともいずれか一方に接着剤を塗布する工程と、前記スリーブ部を前記穴部に挿入する工程とを備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモータの製造方法であって、前記接着剤が、嫌気性かつ紫外線硬化性を有する。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のモータの製造方法であって、前記スリーブ部が、流体動圧を利用する軸受機構の一部である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のモータの製造方法であって、前記スリーブ部が、ロータ部のシャフトが挿入されるスリーブと、前記スリーブが挿入される樹脂製かつ有底円筒状のスリーブハウジングとを備える。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のモータの製造方法であって、前記プライマを塗布する工程において、前記スリーブ部の前記底部が重力方向に対して上方を向き、前記スリーブ部が前記底部から前記ベース部の前記穴部に挿入される。
請求項6に記載の発明は、電動式のモータであって、外周面が樹脂で形成された有底円筒状のスリーブ部と、前記スリーブ部の開口部から底部に向かって挿入されたシャフトを有し、前記スリーブ部により回転可能に支持されるロータ部と、前記スリーブ部が挿入される穴部を有し、前記スリーブ部の前記外周面と前記穴部の内周面との間に介在する接着剤により前記スリーブ部が固定されるベース部と、前記ロータ部を前記ベース部に対して回転する駆動機構とを備え、前記スリーブ部が、前記外周面を一周するとともに前記外周面から突出する環状凸部または前記外周面から窪む環状凹部を備える。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のモータであって、前記ベース部に前記スリーブ部が接着される前に、前記スリーブ部の前記外周面の前記環状凸部または前記環状凹部よりも前記底部側にプライマが塗布されている。
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載のモータであって、前記スリーブ部が、流体動圧を利用する軸受機構の一部である。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のモータであって、前記スリーブ部が、前記ロータ部のシャフトが挿入されるスリーブと、前記スリーブが挿入される樹脂製かつ有底円筒状のスリーブハウジングとを備える。
本発明によれば、環状凸部または環状凹部によりプライマがスリーブ部の開口部側に広がることが防止され、かつ、環状凸部または環状凹部をプライマを塗布する目印としても利用することができ、プライマを適切に塗布することができる。これにより、モータの軸受機構の性能を低下させることなく、外周面が樹脂であるスリーブ部とベース部とを確実かつ強固に接着することができる。
また、請求項2の発明では、嫌気性かつ紫外線硬化性の接着剤により、容易に接着剤全体を硬化させることができる。
また、請求項5の発明では、スリーブ部の底部側を重力方向に対して上方に向けることにより、上方からプライマを容易に塗布することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電動式のモータ1の構成を示す縦断面図である。モータ1はハードディスク駆動装置において記録ディスク4を回転するものであり、図1では、記録ディスク4を二点鎖線にて示している。図1に示すように、モータ1はアウターロータ型のモータであり、固定組立体であるステータ部2、および、回転組立体であるロータ部3を備える。ロータ部3は、作動流体である潤滑油による流体動圧を利用した軸受機構20を介して、モータ1の中心軸J1(後述のスリーブユニット22の中心軸でもある。)を中心にステータ部2に対して回転可能に支持される。以下の説明では、便宜上、中心軸J1に沿ってロータ部3側を上側、ステータ部2側を下側として説明するが、中心軸J1は必ずしも重力方向と一致する必要はない。
ステータ部2は、ステータ部2の各部を保持するベース部であるベースブラケット21、ロータ部3を回転可能に支持する有底円筒状のスリーブ部であるスリーブユニット22、および、スリーブユニット22の周囲にてベースブラケット21に取り付けられる電機子24を備える。ベースブラケット21の中央には、スリーブユニット22が挿入される穴部212が設けられており、穴部212の周囲は中心軸J1を中心とする略円筒状のホルダ211となっている。スリーブユニット22はホルダ211内に接着剤を介して固定されている。
スリーブユニット22は、ロータ部3のシャフト32が開口部2221から底部2222に向かって挿入される有底円筒状となっており、具体的には、中心軸J1を中心とする円筒状であってシャフト32が挿入されるスリーブ221、スリーブ221が挿入される樹脂製かつ有底円筒状のスリーブハウジング222、および、スリーブハウジング222の内側においてスリーブ221の上方に配置される環状のシールキャップ223を備える。スリーブ221は燒結金属により形成された多孔質部材であり、スリーブハウジング222はスリーブ221に含浸された潤滑油を保持する役割を果たす。電機子24は、複数の珪素鋼板を積層してなるコア241、および、コア241の複数のティースに巻回されたコイル242を備える。
ロータ部3は、記録ディスク4が固定されるとともにロータ部3の各部を保持するロータハブ31、中心軸J1を中心としてロータハブ31から下側(すなわち、ステータ部2側)に突出するシャフト32、および、ロータハブ31に取り付けられて中心軸J1の周囲に配置される界磁用磁石33を備える。界磁用磁石33は、多極着磁された円環状の磁石であり、電機子24との間で中心軸J1を中心とする回転力(トルク)を発生する。すなわち、界磁用磁石33および電機子24により、ロータ部3をベースブラケット21に対して回転する駆動機構が構成される。
ロータハブ31は、シャフト32が取り付けられるとともにシャフト32の上端部から中心軸J1に対して外側に広がる略円板状のハブ本体312、および、ハブ本体312の外周から下側に突出する略円筒状であって内側面に界磁用磁石33が取り付けられるヨーク313を備える。
ハブ本体312は、アルミニウム(Al)やアルミニウム合金等により形成されており、上側に突出する略円板状であって記録ディスク4の中央の円形開口が嵌合する凸部3121、および、中心軸J1を中心とする略円環状であるとともに凸部3121の周囲において記録ディスク4が載置されるディスク載置部3122を備える。ヨーク313はステンレス鋼等の強磁性体により形成されており、ディスク載置部3122の下方に配置される。また、シャフト32もステンレス鋼等により形成されており、ハブ本体312の凸部3121に圧入等により取り付けられている。シャフト32の下側の先端部には、略円板状のスラストプレート321が取り付けられる。
モータ1では、シールキャップ223の内側面とシャフト32の外側面との間、スリーブ221の内側面とシャフト32の外側面との間、スリーブ221の下側の端面とスラストプレート321の上面との間、および、スラストプレート321の下面とスリーブハウジング222の内底面との間に微小な間隙が設けられ、シャフト311およびスリーブユニット22の間に設けられたこれらの間隙に潤滑油が連続して充填され、シャフト32、スラストプレート321、および、スリーブユニット22(並びに潤滑油)により軸受機構20が構成される。シールキャップ223の内側面はシャフト32の外側面に対して傾斜しており、シールキャップ223とシャフト32との間の間隙に形成されたテーパーシールにより、潤滑油の流出が防止される。
スリーブ221の底部側の端面には、ロータ部3の回転時に潤滑油に対して流体動圧を発生させるための溝(例えば、スパイラル状の溝)が形成されており、当該端面および当該端面に対向するスラストプレート321の上面によりスラスト動圧軸受部が構成される。スラストプレート321の下面にも動圧溝が形成されており、スリーブハウジング222の底面との間にてスラスト動圧軸受部が構成される。また、スリーブ221の内側面には、潤滑油に流体動圧を発生させるための溝(例えば、中心軸J1の向く方向に関して、スリーブ221の内側面の上下に設けられたヘリングボーン溝等)が形成されており、これらの面によりラジアル動圧軸受部が構成される。
モータ1では、流体動圧を利用する軸受機構20によりロータ部3を潤滑油を介して非接触にて支持することにより、ロータ部3およびロータ部3に取り付けられる記録ディスク4を高精度、かつ、低騒音にて回転することができる。
図2は、モータ1の軸受機構20近傍を拡大して示す縦断面図である。既述のように、スリーブハウジング222は樹脂にて形成されるため、スリーブユニット22は外周面51(すなわち、スリーブハウジング222の外周面)が樹脂で形成された部材となっている。スリーブユニット22はベースブラケット21のホルダ211の穴部212に隙間ばめの関係にて挿入されており、スリーブユニット22と穴部212とは、スリーブハウジング222の外周面51と穴部212の内周面61(ホルダ211の内周面でもある。)との間に介在する接着剤71により互いに固定される。
スリーブハウジング222は、ホルダ211の上方において外周面51を一周するとともに外周面51から、中心軸J1から離れる方向に突出する、すなわち、中心軸J1を中心とする環状であって径方向外側に突出する環状凸部52を備える。一方、ホルダ211の内周面61には、中心軸J1を中心とする環状の溝61a,61bが上下2段に形成されている。
図3は、モータ1の製造の流れ、特に、最終段階の組立の流れを示す図であり、図4は製造途上のモータを示す図である。図4では、図1のモータ1に対して上下が逆向きに配置されている。まず、ロータ部3およびスリーブユニット22の組み立てが行われ(ステップS1)、ステータ部2の組み立ても行われる(ステップS2)。これにより、ロータ部3、スリーブユニット22およびステータ部2が準備される。組み立てられたロータ部3およびスリーブユニット22は、図4に示すようにスリーブユニット22の底部2222が重力方向に対して上方を向く姿勢にて保持され(ステップS3)、スリーブユニット22の外周面51に接着剤硬化促進および接着力強化用のプライマ72が塗布される(ステップS4)。
このとき、プライマ72はスリーブユニット22の外周面51の環状凸部52よりも底部2222側に塗布され、塗布されたプライマ72は外周面51上を下方に広がるが、環状凸部52により、特に、図2において環状凸部52の下面となる中心軸J1に垂直な環状面521により、プライマ72がスリーブユニット22の開口部2221側(すなわち、図4の下方)へと広がることが防止される。プライマ72としては、例えば、金属イオンを含むものが使用可能である。また、プライマ72は、外周面51の環状凸部52よりも底部2222側の領域全体に塗布される必要はなく、少なくとも底部2222側の領域の一部に塗布されるのであれば、様々な部分的な領域に塗布されてもよい。プライマ72としては、例えば、アセック社製のASEC8250、スリーボンド社製のTB1390E、TB1390F、TB1390K等が使用される。
プライマ72が塗布された後のロータ部3およびスリーブユニット22は、加熱されて一定の温度で維持される。
次に、ベースブラケット21の穴部212の内周面61のうち図2に示す環状の溝61a,61bで挟まれる領域に嫌気性かつ紫外線硬化性を有する接着剤71が塗布される(ステップS5)。接着剤71としては、例えば、アセック社製のASEC5851、スリーボンド社製のTB1350味の素ファインテクノ社製のAE−750等が使用される。なお、図4に示す状態における下側の溝61bにより、接着剤71がホルダ211の開口端まで流れてしまうことが防止される。図4に示すようにスリーブユニット22と対向する位置に中心軸J1に沿ってベースブラケット21が位置決めされて保持され、スリーブユニット22が底部2222を上方に向けた状態のまま底部2222からベースブラケット21の穴部212に挿入される(ステップS6)。
スリーブユニット22のベースブラケット21への挿入は、環状凸部52とホルダ211とが当接する直前に停止される。その後、スリーブユニット22の外周面51と穴部212の内周面61との間に挟まれた接着剤71は、外気と遮断されることにより硬化する。外周面51と内周面61との間の隙間からはみ出した接着剤71には紫外線が照射され、これにより、はみ出した接着剤(図2中に符号71aを付す接着剤)が硬化される(ステップS7)。接着剤71の塗布量は、図2に示すように、スリーブユニット22の挿入後に、はみ出した接着剤71aがベースブラケット21の底面213を越えない量とされる。
以上、モータ1の構造および製造について説明したが、モータ1の製造では、既述のように、スリーブユニット22の外周面51に設けられた環状凸部52により、塗布されたプライマ72がスリーブユニット22の開口部2221側に広がることが堰き止められるようにして防止されるため、プライマ72を適切に塗布することができる。また、環状凸部52を目印とすることによって微小なスリーブユニット22に適量のプライマ72をより適切に塗布することができる。これにより、軸受機構20の内部へのプライマ72の侵入を防止することができ、モータ1の軸受機構20の性能を低下させることなく外周面51が樹脂であるスリーブユニット22とベースブラケット21とをプライマ72による樹脂表面の活性化により確実かつ強固に接着することができる。さらに、環状凸部52がプライマ72のアウトガスの広がりを抑制し、モータ1を備えるディスク駆動装置において、アウトガスに起因するディスクのリードエラーを回避することができる。
接着剤71を用いてスリーブユニット22とベースブラケット21とを接着する技術は、スリーブユニット22と穴部212とを隙間ばめの関係として動圧溝への圧力の影響を防止する場合に利用されるため、環状凸部52をスリーブユニット22の外周面51に設ける手法は、スリーブ部であるスリーブユニット22が、流体動圧を利用する軸受機構の一部である場合に特に適しているといえる。
また、モータ1の製造では、プライマ72の塗布の際にスリーブユニット22が底部2222を上方に向けて保持されるため、プライマ72を容易に塗布することができる。
なお、ホルダ211の内周面61の溝61a,61bは、接着剤71を塗布する際の目印としての役割を果たすとともに、スリーブユニット22とベースブラケット21との間に確実に接着剤71を介在させてより確実かつ強固にスリーブユニット22とベースブラケット21とを接着する役割も果たす。
また、接着剤71は、嫌気性かつ紫外線硬化性を有するため、スリーブユニット22とベースブラケット21との間の隙間に存在する接着剤および隙間からはみ出した余剰の接着剤を確実に硬化させることができ、容易に接着剤全体を硬化させることができる。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るモータの軸受機構20の近傍を示す縦断面図である。第2の実施の形態に係るモータは、第1の実施の形態と同様の工程により製造され、図2のモータ1と比べて、樹脂製のスリーブハウジング222の外周面51に、環状凸部52に代えて、外周面51を一周するとともに外周面51から中心軸J1に向かう方向に窪む2つの環状凹部52a,52bが設けられる点で異なる。モータのその他の構造は図2と同様である。
モータの製造においてスリーブユニット22がベースブラケット21のホルダ211(の穴部212)に挿入される際には(図3のステップS6参照)、図5におけるスリーブユニット22の外周面51の環状凹部52bよりも底部2222側、すなわち、図4のようにスリーブユニット22の上下が反転された状態における下側の環状凹部52bよりも上側にプライマが塗布される。そして、環状凹部52bによりプライマがスリーブユニット22の開口部2221側へと広がることが防止される。また、環状凹部52bを目印としてプライマを適切に塗布することも実現される。その結果、プライマの適切な塗布により、第1の実施の形態と同様に、組み立て後の軸受機構20の性能を低下させることなく外周面51が樹脂であるスリーブユニット22とベースブラケット21とを確実かつ強固に接着することができる。
また、スリーブユニット22の挿入時には、2つの環状凹部52a,52bに接着剤が入り込むことにより、ホルダ211側の溝61a,61bと同様に、スリーブユニット22とベースブラケット21との接着強度を向上する役割も果たす。
図2に示すスリーブユニット22の場合、環状凸部52をホルダ211の上方に位置させることが不可欠となるが、図5に示すスリーブユニット22の場合は、環状凹部52bを接着剤で満たして接着強度を向上するという観点からは、環状凹部52bは穴部212の内周面61と対向する位置に形成されることが好ましい。
図6は、第3の実施の形態に係るモータの軸受機構20の近傍を示す縦断面図である。スリーブ部22aは図2および図5のスリーブ部であるスリーブユニット22に対応するが、スリーブ部22aはスリーブとして機能する樹脂製の1つの部材となっている点でスリーブユニット22と異なる。スリーブ部22aの外周面51には、図5のスリーブユニット22と同様に、外周面51を一周するとともに外周面51から窪む2つの環状凹部52c,52dが形成されている。スリーブ部の構造が異なるという点を除き、図6のモータの製造方法は、図5(および図2)と同様である。
図6のモータにおいても、図5の場合と同様に、製造時に外周面51が樹脂にて形成されているスリーブ部22aにプライマを適切に塗布することができ、軸受機構20の性能を低下させることなくスリーブ部22aとベースブラケット21とを確実かつ強固に接着することができる。
図7は、本発明の第4の実施の形態に係るモータの軸受機構20の近傍を示す縦断面図である。
図7に示すスリーブユニット22bは、図2に示すスリーブユニット22からシールキャップ223が省かれ、スリーブハウジング222の形状が異なるものとなっている。スリーブハウジング222の上部は、径方向外側へと突出するフランジ部52eとなっており、フランジ部52eの外径は下方に向かって漸次減少する。フランジ部52eの外側にはロータハブ31の円筒部314が下方に円筒状に伸びており、フランジ部52eと円筒部314との間は軸受機構20から連続する潤滑油で満たされる。フランジ部52eと円筒部314との間の間隙41は、下方に向かうに従って漸次増大し、これにより、潤滑油の界面はメニスカス状となってテーパシールが形成され、潤滑油の流出が防止される。
スリーブハウジング222の底部2222は外径が一定となっており、フランジ部52eは外周面51から突出する環状凸部となっている。スリーブユニット22bの底部2222は図2と同様に、ベースブラケット21の穴部212に挿入され、接着剤にて接着される。
また、スリーブハウジング222の上端面2223には、ロータハブ31の回転時に潤滑油に対して中心軸側に向かう動圧を発生させるための動圧溝(例えば、スパイラル形状とされる。)が形成されており、上端面2223とロータハブ31の下面との間の間隙42にスラスト動圧軸受部が構成される。なお、スリーブ221、シャフト32、スラストプレート321およびスリーブハウジング222により、ラジアル動圧軸受部およびスラスト動圧軸受部が構成される点は、図2とほぼ同様である。
図7に示す軸受機構20を備えるモータの製造方法は、第1の実施の形態と同様であり、スリーブユニット22bの外周面51にプライマが塗布される際には、外周面51から突出する環状凸部であるフランジ部52eを目印として塗布することができ、かつ、フランジ部52eとスリーブハウジング222の底部2222との間の段差(環状面)522によりプライマの開口部2221側への広がりが防止される。その結果、軸受機構20の性能を低下させることなく外周面51が樹脂であるスリーブユニット22bとベースブラケット21とを確実かつ強固に接着することができる。
図8および図9は、図2に示すスリーブハウジング222の他の例を示す図である。
図2では、スリーブハウジング222の環状凸部52の下面は、中心軸J1に垂直な環状面521となっているが、プライマの流れをより効果的に阻止するために、図8に示す環状凸部52fのように、下面は外周面51と鋭角にて交差する環状面523とされてもよい。また、図9に示すように、環状凸部52gの下に環状凹部52hが連続して設けられてもよく、これにより、プライマの流れを阻止する環状面524をより大きくすることができる。
以上のように、スリーブユニット22の外周面51に設けられる環状凸部(フランジ部を含む)や環状凹部は、単純な形状には限定されず、様々な態様にて設けられてよい。また、接着強度を向上することを目的とする他の環状凹部がスリーブユニット22の外周面51にさらに設けられてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、環状凸部52はプライマの広がりを防止することができるのであれば、物理的に連続した凸部である必要はなく、非常に微細な多数の突起が外周面51を一周するように形成されたものであってもよい。
モータのベース部はベースブラケット21には限定されず、例えば、ハードディスク駆動装置のハウジングの一部がベース部となっていてもよい。
上記実施の形態にて示した流体動圧軸受機構の構造は例示にすぎず、他の構造の流体動圧軸受機構がモータに採用されてもよい。さらには、環状凸部または環状凹部を備えるスリーブ部の外周面が樹脂にて形成されるのであれば、滑り軸受等の他の軸受機構がモータに採用されてもよい。
接着剤71は、必ずしも、嫌気性および紫外線硬化性を有するものである必要はなく、熱硬化性および紫外線硬化性の接着剤であってもよく、熱硬化性および嫌気性の接着剤や熱硬化性、紫外線硬化性および嫌気性の接着剤が使用されてもよい。例えば、エポキシテクノロジー社製のエポテック353NDが使用可能である。
また、接着剤71の塗布領域はホルダ211の内周面61のうち環状の凹部である溝61a,61bの間の領域に限定されず、例えば、内周面61全体に塗布されてもよい。
さらに、接着剤71はプライマ72が塗布された後のスリーブハウジング222の外周面51上に塗布されてもよく、穴部212の内周面61にも追加的に塗布されてもよい。すなわち、接着剤71はスリーブユニット22の外周面51の環状凸部または環状凹部よりも底部2222側およびベースブラケット21の穴部212の内周面61の少なくともいずれか一方に塗布される。なお、スリーブハウジング222の外周面51上にプライマおよび接着剤が塗布される場合は、外周面51上のプライマが塗布される領域と接着剤が塗布される領域とは重なっていてもよく、スリーブユニット22を挿入する際に接着剤およびプライマが十分に広がるのであればこれらの領域は離れていてもよい。接着強度をさらに高めるために穴部212の内周面61にもプライマが塗布されてもよい。
図2および図7では、環状凸部52(またはフランジ部52e)がホルダ211と非接触とされるが、これらの環状凸部52がホルダ211の上端部と接触することにより、スリーブユニット22の位置決めが行われてもよい。
また、上記実施の形態に係るモータは、必ずしも界磁用磁石33が電機子24の中心軸J1側に配置された、いわゆる、インナーロータ型である必要はなく、界磁用磁石33が電機子24の外側に配置されたアウターロータ型であってもよい。また、軸受機構20として、例えば、空気を流体とした、いわゆるエア動圧軸受が用いられてもよい。
さらに、上記実施の形態に係るモータは、ハードディスク駆動装置以外の他の装置(例えば、リムーバルディスク駆動装置等のディスク駆動装置)の駆動源として利用されてよい。
第1の実施の形態に係るモータの断面図である。 軸受機構近傍の断面図である。 モータの製造の流れを示す図である。 製造途上のモータを示す図である。 第2の実施の形態に係るモータの軸受機構近傍の断面図である。 第3の実施の形態に係るモータの軸受機構近傍の断面図である。 第4の実施の形態に係るモータの軸受機構近傍の断面図である。 スリーブハウジングの他の例を示す図である。 スリーブハウジングの他の例を示す図である。
符号の説明
1 モータ
3 ロータ部
20 軸受機構
21 ベースブラケット
22,22b スリーブユニット
22a スリーブ部
24 電機子
32 シャフト
33 界磁用磁石
51 外周面
52,52f,52g 環状凸部
52a〜52d,52h 環状凹部
52e フランジ部
61 内周面
71 接着剤
72 プライマ
212 穴部
221 スリーブ
222 スリーブハウジング
2221 開口部
2222 底部
S2,S4〜S6 ステップ

Claims (9)

  1. ロータ部のシャフトが開口部から底部に向かって挿入される有底円筒状のスリーブ部および前記スリーブ部が挿入される穴部を有するベース部とを備えるモータの製造方法であって、
    外周面が樹脂で形成されており、前記外周面を一周するとともに前記外周面から突出する環状凸部または前記外周面から窪む環状凹部を備えるスリーブ部を準備する工程と、
    前記スリーブ部の前記外周面の前記環状凸部または前記環状凹部よりも底部側にプライマを塗布する工程と、
    前記スリーブ部の前記外周面の前記環状凸部または前記環状凹部よりも前記底部側およびベース部の前記スリーブ部が挿入される穴部の内周面の少なくともいずれか一方に接着剤を塗布する工程と、
    前記スリーブ部を前記穴部に挿入する工程と、
    を備えることを特徴とするモータの製造方法。
  2. 請求項1に記載のモータの製造方法であって、
    前記接着剤が、嫌気性かつ紫外線硬化性を有することを特徴とするモータの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のモータの製造方法であって、
    前記スリーブ部が、流体動圧を利用する軸受機構の一部であることを特徴とするモータの製造方法。
  4. 請求項3に記載のモータの製造方法であって、
    前記スリーブ部が、
    ロータ部のシャフトが挿入されるスリーブと、
    前記スリーブが挿入される樹脂製かつ有底円筒状のスリーブハウジングと、
    を備えることを特徴とするモータの製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載のモータの製造方法であって、
    前記プライマを塗布する工程において、前記スリーブ部の前記底部が重力方向に対して上方を向き、前記スリーブ部が前記底部から前記ベース部の前記穴部に挿入されることを特徴とするモータの製造方法。
  6. 電動式のモータであって、
    外周面が樹脂で形成された有底円筒状のスリーブ部と、
    前記スリーブ部の開口部から底部に向かって挿入されたシャフトを有し、前記スリーブ部により回転可能に支持されるロータ部と、
    前記スリーブ部が挿入される穴部を有し、前記スリーブ部の前記外周面と前記穴部の内周面との間に介在する接着剤により前記スリーブ部が固定されるベース部と、
    前記ロータ部を前記ベース部に対して回転する駆動機構と、
    を備え、
    前記スリーブ部が、前記外周面を一周するとともに前記外周面から突出する環状凸部または前記外周面から窪む環状凹部を備えることを特徴とするモータ。
  7. 請求項6に記載のモータであって、
    前記ベース部に前記スリーブ部が接着される前に、前記スリーブ部の前記外周面の前記環状凸部または前記環状凹部よりも前記底部側にプライマが塗布されていることを特徴とするモータ。
  8. 請求項6または7に記載のモータであって、
    前記スリーブ部が、流体動圧を利用する軸受機構の一部であることを特徴とするモータ。
  9. 請求項8に記載のモータであって、
    前記スリーブ部が、
    前記ロータ部のシャフトが挿入されるスリーブと、
    前記スリーブが挿入される樹脂製かつ有底円筒状のスリーブハウジングと、
    を備えることを特徴とするモータ。
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