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JP2008030234A - 媒体上のパターンの印刷位置の算出方法 - Google Patents

媒体上のパターンの印刷位置の算出方法 Download PDF

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JP2008030234A
JP2008030234A JP2006203453A JP2006203453A JP2008030234A JP 2008030234 A JP2008030234 A JP 2008030234A JP 2006203453 A JP2006203453 A JP 2006203453A JP 2006203453 A JP2006203453 A JP 2006203453A JP 2008030234 A JP2008030234 A JP 2008030234A
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JP2006203453A
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Bunji Ishimoto
文治 石本
Masahiko Yoshida
昌彦 吉田
Hiroichi Nunokawa
博一 布川
Tatsuya Nakano
龍也 中野
Yoichi Kakehashi
洋一 掛橋
Toru Miyamoto
徹 宮本
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Seiko Epson Corp
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Seiko Epson Corp
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Abstract

【課題】媒体に印刷されたパターンの前記媒体上の印刷位置を、スキャナを用いて高精度に算出可能にする。
【解決手段】所定方向について目盛りが付けられたスケールの目盛りの位置を実測して、前記目盛りの実測位置の情報を取得する実測ステップと、パターンが印刷された媒体及び前記スケールを、スキャナにより読み取って前記媒体及び前記スケールの画像データを生成する読み取りステップと、前記目盛りの実測位置の情報と前記画像データとに基づいて、前記媒体上における前記パターンの前記所定方向に関する印刷位置を算出する印刷位置算出ステップと、を備えたことを特徴とする媒体上のパターンの印刷位置の算出方法。
【選択図】図7B

Description

本発明は、媒体上のパターンの印刷位置の算出方法に関する。
紙等の媒体を搬送方向に搬送するとともにヘッドにより媒体に印刷を行う印刷装置として、インクジェットプリンタが知られている。このような印刷装置では、媒体を搬送する際に搬送誤差が生じると、媒体上の正しい位置にヘッドが印刷できなくなる。特に、インクジェットプリンタでは、媒体上の正しい位置にインク滴が着弾しなくなると、印刷された画像に白スジや黒スジが生じ、画質が劣化するおそれがある。
そこで、媒体の搬送量を補正する方法が提案されている。例えば特許文献1では、パターンを印刷し、このパターンを読み取り部により読み取って、その読取結果に基づいて補正値を算出し、画像を記録する際に補正値に基づいて搬送量を補正することが提案されている。
特開平5−96796号公報
ここで、上記の読み取り部として、所謂スキャナの活用も考えられる。そして、この場合には、スキャナにより前記パターンを読み取って当該パターンの画像データを生成し、この画像データに基づいてパターンの印刷位置を検出し、この検出位置に基づいて補正値を算出することになる。
但し、前記画像データに基づいて検出されたパターンの印刷位置は、スキャナが前記パターンを読み取る際の読み取り位置の誤差等というスキャナ自身の検出誤差を含んでいる。よって、前記媒体上におけるパターンの印刷位置を高い精度で求めるのは難しい。
この点につき、例えば、次のようにすれば、このスキャナ自身の検出誤差を相殺させることができる。すなわち、スキャナによって前記媒体のパターンを読み取る際に、所定方向について目盛りが付けられたスケールを前記パターンの横に並べて当該スケールも読み取り、これにより生成されたスケールの画像データに基づいて、前記パターンの画像データに基づいて検出されたパターンの印刷位置を補正するのである。そして、この補正は、スケールの目盛りが、理論値どおりの間隔で正確に形成されている前提で行われる。
しかし、実際には、スケール自体の目盛り同士の間隔が、理論値どおりになっているという保証は無く、より高い精度を追求するには、スケールの目盛りの位置も実測して、上記補正に用いるのが良いと考えられる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、媒体に印刷されたパターンの前記媒体上の印刷位置を、スキャナを用いて高精度に算出可能な媒体上のパターンの印刷位置の算出方法を提供することにある。
上記目的を達成するための主たる発明は、
所定方向について目盛りが付けられたスケールの目盛りの位置を実測して、前記目盛りの実測位置の情報を取得する実測ステップと、
パターンが印刷された媒体及び前記スケールを、スキャナにより読み取って前記媒体及び前記スケールの画像データを生成する読み取りステップと、
前記目盛りの実測位置の情報と前記画像データとに基づいて、前記媒体上における前記パターンの前記所定方向に関する印刷位置を算出する印刷位置算出ステップと、
を備えたことを特徴とする媒体上のパターンの印刷位置の算出方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
所定方向について目盛りが付けられたスケールの目盛りの位置を実測して、前記目盛りの実測位置の情報を取得する実測ステップと、
パターンが印刷された媒体及び前記スケールを、スキャナにより読み取って前記媒体及び前記スケールの画像データを生成する読み取りステップと、
前記目盛りの実測位置の情報と前記画像データとに基づいて、前記媒体上における前記パターンの前記所定方向に関する印刷位置を算出する印刷位置算出ステップと、
を備えたことを特徴とする媒体上のパターンの印刷位置の算出方法。
このような算出方法によれば、前記媒体上における前記パターンの前記所定方向に関する印刷位置を算出する際に、前記スケールの画像データ及び前記媒体の画像データの両者に加えて、前記スケールの目盛りの実測位置の情報も用いる。よって、前記媒体の画像データのみに基づいて前記パターンの印刷位置を検出する場合に含まれ得るスキャナ自体の検出誤差を、前記スケールの画像データを用いることによって相殺させるだけでなく、その相殺の際には、スケールの画像データに基づく目盛りの検出位置も、スケールの目盛りの実測位置によって補正できる。よって、前記媒体上におけるパターンの印刷位置を高精度に算出可能になる。
かかる算出方法において、
前記実測ステップで取得された前記目盛りの実測位置の情報は、メモリに記憶され、
前記印刷位置算出ステップでは、前記メモリから、前記目盛りの実測位置の情報が読み出されて使用されるようにしても良い。
かかる算出方法において、
前記印刷位置は、所定の基準位置から前記パターンまでの前記所定方向に関する距離として示されても良い。
かかる算出方法において、
前記印刷位置算出ステップでは、
前記媒体の画像データに基づいて検出された前記パターンの検出位置の情報と、前記スケールの画像データに基づいて検出された前記目盛りの検出位置の情報とに基づいて、前記目盛りに対する前記パターンの相対位置を示す相対位置情報を求めるとともに、
前記相対位置情報と、前記目盛りの実測位置の情報とに基づいて、前記パターンの前記所定方向に関する印刷位置を算出するのが望ましい。
このような算出方法によれば、前記相対位置情報に基づいて、前記ラインの検出位置を補正するが、この補正の際には、前記目盛りの実測位置の情報が用いられる。よって、前記媒体上におけるパターンの印刷位置を高精度に算出可能になる。
かかる算出方法において、
前記目盛りは、前記所定方向と直交する方向に沿う直線状に形成され、
前記パターンは、前記所定方向と直交する方向に沿って印刷されたラインであって、前記ラインは、前記所定方向に複数並んで印刷され、
前記印刷位置算出ステップでは、前記印刷位置として、前記ラインの印刷位置が前記ライン毎に算出されるのが望ましい。
このような算出方法によれば、前記ラインが沿う方向と前記目盛りの線が沿う方向とは揃っているので、媒体上のパターンたるラインの印刷位置を確実に高精度に算出可能になる。
かかる算出方法において、
前記スキャナは、前記スケール及び前記媒体が載置される載置面と、前記載置面と平行な第1方向に移動する読取キャリッジと、前記読取キャリッジに設けられて前記媒体の前記パターン又は前記スケールの前記目盛りを読み取って画像データを生成するための画像読み取りセンサと、を備えても良い。
かかる算出方法において、
前記載置面には、前記スケールと前記媒体とが、前記所定方向と交差する方向に並んで配置されるのが望ましい。
このような算出方法によれば、前記スケールと前記媒体とは、前記スキャナの載置面に並んで配置されるので、これらスケール及び媒体の画像は同時に読み取られる。よって、前記パターンの印刷位置を検出する際に含まれ得る前記スキャナ自体の検出誤差を、前記スケールの画像データによって確実に相殺させることができる。
また、前記スケールと前記媒体とは、前記所定方向と交差する方向に並んで配置されているので、前記所定方向について付けられた目盛りによって、前記所定方向に関する前記パターンの印刷位置を確実に算出可能となる。
かかる算出方法において、
前記スキャナは、前記読取キャリッジの前記第1方向への移動を案内するガイド部材と、前記読取キャリッジに対して前記第1方向へ移動させるための駆動力を与える駆動源とを有し、
前記載置面において、前記スケールは、前記所定方向が前記第1方向に向くように載置されるとともに、前記第1方向と直交する第2方向の位置に関して、前記スケールの方が前記媒体よりも、前記駆動力の前記読取キャリッジへの作用点に近くなるように載置されるのが望ましい。
このような算出方法によれば、前記スケールは、前記駆動力の作用点に近い側に配置される。よって、前記第1方向への移動時の読取キャリッジにおける前記スケール側の部分の振動は小さく、もって、スケールの画像は正確に読み取られ、そして、その画像データに基づいて前記スケールの目盛りの位置は精度良く検出される。その結果、前記スケールの目盛りは、前記パターンの印刷位置を算出する際の基準として事足りたものとなる。
また、所定方向について目盛りが付けられたスケールの目盛りの位置を実測して、前記目盛りの実測位置の情報を取得する実測ステップと、
パターンが印刷された媒体及び前記スケールを、スキャナにより読み取って前記媒体及び前記スケールの画像データを生成する読み取りステップと、
前記目盛りの実測位置の情報と前記画像データとに基づいて、前記媒体上における前記パターンの前記所定方向に関する印刷位置を算出する印刷位置算出ステップと、
を備え、
前記実測ステップで取得された前記目盛りの実測位置の情報は、メモリに記憶され、前記印刷位置算出ステップでは、前記メモリから、前記目盛りの実測位置の情報が読み出されて使用され、
前記印刷位置は、所定の基準位置から前記パターンまでの前記所定方向に関する距離として示され、
前記印刷位置算出ステップでは、前記媒体の画像データに基づいて検出された前記パターンの検出位置の情報と、前記スケールの画像データに基づいて検出された前記目盛りの検出位置の情報とに基づいて、前記目盛りに対する前記パターンの相対位置を示す相対位置情報を求めるとともに、前記相対位置情報と、前記目盛りの実測位置の情報とに基づいて、前記パターンの前記所定方向に関する印刷位置を算出し、
前記目盛りは、前記所定方向と直交する方向に沿う直線状に形成され、
前記パターンは、前記所定方向と直交する方向に沿って印刷されたラインであって、前記ラインは、前記所定方向に複数並んで印刷され、
前記印刷位置算出ステップでは、前記印刷位置として、前記ラインの印刷位置が前記ライン毎に算出され、
前記スキャナは、前記スケール及び前記媒体が載置される載置面と、前記載置面と平行な第1方向に移動する読取キャリッジと、前記読取キャリッジに設けられて前記媒体の前記パターン又は前記スケールの前記目盛りを読み取って画像データを生成するための画像読み取りセンサと、を備え、
前記載置面には、前記スケールと前記媒体とが、前記所定方向と交差する方向に並んで配置され、
前記スキャナは、前記読取キャリッジの前記第1方向への移動を案内するガイド部材と、前記読取キャリッジに対して前記第1方向へ移動させるための駆動力を与える駆動源とを有し、
前記載置面において、前記スケールは、前記所定方向が前記第1方向に向くように載置されるとともに、前記第1方向と直交する第2方向の位置に関して、前記スケールの方が前記媒体よりも、前記駆動力の前記読取キャリッジへの作用点に近くなるように載置されることを特徴とする媒体上のパターンの印刷位置の算出方法。
このような算出方法によれば、既述のほぼ全ての効果を奏するため、本発明の目的が最も有効に達成される。
===プリンタ1の構成===
<インクジェットプリンタ1の構成について>
図1は、プリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図2Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図2Bは、プリンタ1の全体構成の断面図である。以下、プリンタ1の基本的な構成について説明する。
プリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及びコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙Sに画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、紙Sを所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙Sをプリンタ内に給紙するためのローラである。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラ25は、紙Sをプリンタ1の外部に排出するローラであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。
なお、搬送ローラ23が紙Sを搬送するとき、紙Sは搬送ローラ23と従動ローラ26との間に挟まれている。これにより、紙Sの姿勢が安定する。一方、排紙ローラ25が紙Sを搬送するとき、紙Sは排紙ローラ25と従動ローラ27との間に挟まれている。排紙ローラ25は印刷領域よりも搬送方向下流側に設けられているので、従動ローラ27は、紙Sとの接触面が小さくなるように構成されている(図4も参照)。このため、紙Sの下端が搬送ローラ23を通過して、紙Sが排紙ローラ25のみによって搬送されるとき、紙Sの姿勢は不安定になり易く、搬送特性も変化しやすい。
キャリッジユニット30は、ヘッド41を所定の方向(以下、移動方向という)に移動させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモータ32によって駆動される。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
ヘッドユニット40は、紙Sにインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられているため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットのライン(ラスタライン)が紙Sに形成される。
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出する。紙検出センサ53は、給紙中の紙Sの先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、紙Sの有無を検出する。そして、光学センサ54は、キャリッジ31によって移動しながら紙Sの端部の位置を検出し、紙Sの幅を検出することができる。また、光学センサ54は、状況に応じて、紙Sの先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
コントローラ60は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニットである。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
<ノズルについて>
図3は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル群Kと、シアンインクノズル群Cと、マゼンタインクノズル群Mと、イエローインクノズル群Yが形成されている。各ノズル群は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを90個備えている。
各ノズル群の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが90dpi(1/90インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720インチ)である場合、k=8である。
各ノズル群のノズルは、下流側のノズルほど小さい数の番号が付されている(♯1〜♯90)。つまり、ノズル♯1は、ノズル♯90よりも搬送方向の下流側に位置している。なお、前述の光学センサ54は、搬送方向の位置に関して、一番上流側にあるノズル♯90とほぼ同じ位置にある。
各ノズルには、それぞれインクチャンバー(不図示)と、ピエゾ素子が設けられている。ピエゾ素子の駆動によってインクチャンバーが伸縮・膨張し、ノズルからインク滴が吐出される。
===搬送誤差===
<紙Sの搬送について>
図4は、搬送ユニット20の構成の説明図である。
搬送ユニット20は、コントローラ60からの搬送指令に基づいて、所定の駆動量にて搬送モータ22を駆動させる。搬送モータ22は、指令された駆動量に応じて回転方向の駆動力を発生する。搬送モータ22は、この駆動力を用いて搬送ローラ23を回転させる。つまり、搬送モータ22が所定の駆動力を発生すると、搬送ローラ23は所定の回転量にて回転する。搬送ローラ23が所定の回転量にて回転すると、紙Sは所定の搬送量にて搬送される。
紙Sの搬送量は、搬送ローラ23の回転量に応じて定まる。ここでは、搬送ローラ23が1回転すると、紙Sが1インチ搬送されるものとする(つまり、搬送ローラ23の周長は、1インチである)。このため、搬送ローラ23が1/4回転すると、紙Sが1/4インチ搬送される。
したがって、搬送ローラ23の回転量が検出できれば、紙Sの搬送量も検出可能である。そこで、搬送ローラ23の回転量を検出するため、ロータリー式エンコーダ52が設けられている。
ロータリー式エンコーダ52は、スケール521と検出部522とを有する。スケール521は、所定の間隔毎に設けられた多数のスリットを有する。このスケール521は、搬送ローラ23に設けられている。つまり、スケール521は、搬送ローラ23が回転すると、一緒に回転する。そして、搬送ローラ23が回転すると、スケール521の各スリットが検出部522を順次通過する。検出部522は、スケール521と対向して設けられており、プリンタ本体側に固定されている。ロータリー式エンコーダ52は、スケール521に設けられたスリットが検出部522を通過する毎に、パルス信号を出力する。搬送ローラ23の回転量に応じてスケール521に設けられたスリットが順次検出部522を通過するので、ロータリー式エンコーダ52の出力に基づいて、搬送ローラ23の回転量が検出される。
そして、例えば搬送量1インチで紙Sを搬送する場合、搬送ローラ23が1回転したことをロータリー式エンコーダ52が検出するまで、コントローラ60が搬送モータ22を駆動する。このように、コントローラ60は、目標とする搬送量(目標搬送量)に応じた回転量になることをロータリー式エンコーダ52が検出するまで、搬送モータ22を駆動して、紙Sを目標搬送量にて搬送する。
<搬送誤差について>
ところで、ロータリー式エンコーダ52は、直接的には搬送ローラ23の回転量を検出するのであって、厳密にいえば、紙Sの搬送量を検出していない。このため、搬送ローラ23の回転量と紙Sの搬送量が一致しない場合、ロータリー式エンコーダ52は紙Sの搬送量を正確に検出することができず、搬送誤差(検出誤差)が生じる。搬送誤差としては、DC成分の搬送誤差及びAC成分の搬送誤差の2種類がある。
DC成分の搬送誤差とは、搬送ローラ23が1回転したときに生じる所定量の搬送誤差のことである。このDC成分の搬送誤差は、製造誤差等によって搬送ローラ23の周長が個々のプリンタ毎に異なることが原因と考えられる。つまり、DC成分の搬送誤差は、設計上の搬送ローラ23の周長と実際の搬送ローラ23の周長が異なるために生じる搬送誤差である。このDC成分の搬送誤差は、搬送ローラ23が1回転するときの開始位置に関わらず、一定になる。但し、実際のDC成分の搬送誤差は、紙Sの摩擦等の影響によって、紙Sの総搬送量に応じて異なる値になる(後述)。言い換えると、実際のDC成分の搬送誤差は、紙Sと搬送ローラ23(又は紙Sとヘッド41)との相対位置関係に応じて異なる値になる。
AC成分の搬送誤差とは、搬送時に用いられる搬送ローラ23の周面の場所に応じた搬送誤差のことである。AC成分の搬送誤差は、搬送時に用いられる搬送ローラ23の周面の場所に応じて、異なる量になる。つまり、AC成分の搬送誤差は、搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置と搬送量に応じて、異なる量になる。
図5は、AC成分の搬送誤差の説明用グラフである。横軸は、基準となる回転位置からの搬送ローラ23の回転量である。縦軸は、搬送誤差を示す。このグラフを微分すれば、その回転位置で搬送ローラ23が搬送しているときに生じる搬送誤差が導き出される。ここでは、基準位置における累積搬送誤差をゼロとし、DC成分の搬送誤差もゼロとしている。
搬送ローラ23が基準位置から1/4回転すると、δ_90の搬送誤差が生じ、紙Sは1/4インチ+δ_90にて搬送される。但し、搬送ローラ23が更に1/4回転すると、-δ_90の搬送誤差が生じ、紙Sは1/4インチ−δ_90にて搬送される。
AC成分の搬送誤差が生じる原因としては、例えば、以下の3つが考えられる。
まず第1に、搬送ローラ23の形状による影響が考えられる。例えば、搬送ローラ23が楕円形状や卵型である場合、搬送ローラ23の周面の場所に応じて、回転中心までの距離が異なっている。そして、回転中心までの距離が長い部分で紙Sを搬送する場合、搬送ローラ23の回転量に対する搬送量が多くなる。一方、回転中心までの距離が短い部分で紙Sを搬送する場合、搬送ローラ23の回転量に対する搬送量が少なくなる。
第2に、搬送ローラ23の回転軸の偏心が考えられる。この場合も、搬送ローラ23の周面の場所に応じて、回転中心までの長さが異なっている。このため、たとえ搬送ローラ23の回転量が同じであっても、搬送ローラ23の周面の場所に応じて、搬送量が異なることになる。
第3に、搬送ローラ23の回転軸と、ロータリー式エンコーダ52のスケール521の中心との不一致が考えられる。この場合、スケール521が偏心して回転することになる。この結果、検出部522が検出するスケール521の場所に応じて、検出されたパルス信号に対する搬送ローラ23の回転量が異なることになる。例えば、検出されるスケール521の場所が搬送ローラ23の回転軸から離れている場合、検出されたパルス信号に対する搬送ローラ23の回転量が少なくなるため、搬送量が少なくなる。一方、検出されるスケール521の場所が搬送ローラ23の回転軸から近い場合、検出されたパルス信号に対する搬送ローラ23の回転量が多くなるため、搬送量が多くなる。
上記の原因のため、AC成分の搬送誤差は、図5に示す通り、ほぼサインカーブになる。
<補正すべき搬送誤差>
図6は、101.6mm×152.4mm(4インチ×6インチ)の大きさの紙Sを搬送する際に生じる搬送誤差のグラフ(概念図)である。グラフの横軸は、紙Sの総搬送量を示している。グラフの縦軸は、搬送誤差を示している。図中の点線は、DC成分の搬送誤差のグラフである。図中の実線の値(トータルの搬送誤差)から図中の点線の値(DC成分の搬送誤差)を引けば、AC成分の搬送誤差が求められる。AC成分の搬送誤差は、紙Sの総搬送量に関わらず、ほぼサインカーブになる。一方、点線で示されるDC成分の搬送誤差は、紙Sの摩擦等の影響によって、紙Sの総搬送量に応じて異なる値になる。
既に説明したように、AC成分の搬送誤差は、搬送ローラ23の周面の場所に応じて異なる。このため、たとえ同じ紙Sを搬送する場合であっても、搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置が異なれば、AC成分の搬送誤差が異なるため、トータルの搬送誤差(グラフの実線で示す搬送誤差)は異なることになる。これに対し、DC成分の搬送誤差はAC成分の搬送誤差とは異なり搬送ローラ23の周面の場所とは無関係なので、たとえ搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置が異なっていても、搬送ローラ23が1回転したときに生じる搬送誤差(DC成分の搬送誤差)は同じになる。
また、AC成分の搬送誤差を補正しようとする場合、コントローラ60は、搬送ローラ23の回転位置を検出する必要がある。しかし、搬送ローラ23の回転位置を検出するためには、ロータリー式エンコーダ52に原点センサを更に用意する必要があり、コストアップとなる。
そこで、以下に示す搬送量の補正では、DC成分の搬送誤差を補正することにしている。
一方、DC成分の搬送誤差は、紙Sの総搬送量(言い換えると、紙Sと搬送ローラ23との相対位置関係)に応じて異なる値になる(図6の点線参照)。このため、より多くの補正値を搬送方向の位置に応じて用意できれば、きめ細かく搬送誤差を補正することができる。そこで、この例では、搬送ローラ23の1回転分に相当する1インチの範囲ごとではなく、1/4インチの範囲ごとに、DC成分の搬送誤差を補正するための補正値を用意している。
===概略説明===
図7A及び図7Bは、補正値設定処理(搬送量を補正するための補正値をプリンタ1に設定する処理)のフロー図である。図8A〜図8Cは、補正値設定処理の様子の説明図である。これらの処理は、プリンタ製造工場の検査工程において行われる。この処理に先立って、検査者は、組み立て完了後のプリンタ1を工場内のコンピュータ110に接続する。工場内のコンピュータ110には、スキャナ150も接続されており、プリンタドライバ、スキャナドライバ及び補正値設定プログラムが予めインストールされている。そして、補正値設定プログラムが、プリンタドライバ及びスキャナドライバと協同して図7の補正値設定処理を実行する。
まず、図7Aに示すように、補正値設定プログラムの指示に従って、プリンタドライバが印刷データをプリンタ1に送信し、プリンタ1がテストシートTS(媒体に相当)に測定用パターンを印刷する(S101、図8A)。次に、検査者はテストシートTSをスキャナ150にセットする。そうしたら、補正値設定プログラムの指示に従って、スキャナドライバがスキャナ150に測定用パターンを読み取らせ、テストシートTSの画像データを取得する(S102、図8B)。なお、スキャナ150にはテストシートTSとともに、所定間隔で目盛りが付けられた基準スケールSSもセットされており、この目盛りのパターン(以下目盛りパターンとも言う)も一緒に読み取られる。
そして、補正値設定プログラムは、取得した画像データを解析し、補正値を算出する(S103)。これら算出した補正値のデータ(補正データ)を、補正値設定プログラムはプリンタ1に送信し、プリンタ1のメモリ63に補正値を記憶させる(S104、図8C)。プリンタ1に記憶される補正値は、個々のプリンタ1の搬送特性を反映したものになる。
なお、補正値を記憶したプリンタ1は、梱包されてユーザの下に届けられる。ユーザがプリンタ1で画像を印刷する際に、プリンタ1は、補正値に基づいて紙Sを搬送し、紙Sに画像を印刷する。
===測定用パターンの印刷(S101)===
まず、測定用パターンの印刷について説明する。通常の印刷と同様に、プリンタ1は、移動中のノズルからインクを吐出してドットを形成するドット形成処理と、紙Sを搬送方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、測定用パターンを紙Sに印刷する。なお、以下の説明では、ドット形成処理のことを「パス」と呼び、n回目のドット形成処理のことを「パスn」と呼ぶ。
図9は、測定用パターンの印刷の様子の説明図である。測定用パターンの印刷されるテストシートTSの大きさは、101.6mm×152.4mm(4インチ×6インチ)である。
図中の右側には、テストシートTSに印刷される測定用パターンが示されている。図中の左側の長方形は、各パスにおけるヘッド41の位置(テストシートTSに対する相対位置)が示されている。説明の都合上、ヘッド41がテストシートTSに対して移動しているように描かれているが、同図はヘッド41とテストシートTSとの相対的な位置関係を示すものであって、実際にはテストシートTSが搬送方向に間欠的に搬送されている。
テストシートTSが搬送され続けると、テストシートTSの下端が搬送ローラ23を通過する。テストシートTSの下端が搬送ローラ23を通過する時に最上流ノズル♯90と対向するテストシートTSの位置が、「NIPライン」として図中に点線で示されている。つまり、図中においてヘッド41がNIPラインよりも上にあるパスでは、搬送ローラ23と従動ローラ26との間でテストシートTSが挟まれた状態(「NIP状態」とも言う)で、印刷が行われる。また、図中において、ヘッド41がNIPラインよりも下にあるパスでは、搬送ローラ23と従動ローラ26との間にテストシートTSがない状態(排紙ローラ25と従動ローラ27だけでテストシートTSを搬送する状態であり「非NIP状態」とも言う)で、印刷が行われる。
測定用パターンは、複数のラインから構成される。各ラインは、いずれも移動方向に沿って形成されている。NIPラインよりも上端側には、多数のラインが形成される。NIPラインよりも上端側のラインについて、上端側から順にi番目のラインのことを「Li」と呼ぶ。また、NIPラインよりも下端側には、2つのラインが形成される。NIPラインよりも下端側の2つのラインのうち、上端側のラインをLb1と呼び、下端側のライン(一番下のライン)をLb2と呼ぶ。特定のラインは、他のラインよりも長く形成されている。例えば、ラインL1及びラインLb2は、他のラインと比べて、長く形成されている。これらのラインは、以下のようにして形成される。
まず、テストシートTSが所定の印刷開始位置まで搬送された後、パス1において、ノズル♯90のみからインク滴が吐出され、ラインL1が形成される。パス1の後、コントローラ60は、搬送ローラ23を1/4回転させて、テストシートTSを約1/4インチだけ搬送する。搬送後、パス2において、ノズル♯90のみからインク滴が吐出され、ラインL2が形成される。以下、同様の動作が繰り返し行われ、約1/4インチ間隔でラインL1〜ラインL20が形成される。このように、NIPラインよりも上端側にあるラインL1〜ラインL20は、ノズル♯1〜ノズル♯90のうちの最上流ノズル♯90により形成される。これにより、NIP状態で、できる限り多くのラインをテストシートTSに形成することができる。
テストシートTSの下端が搬送ローラ23を通過した後、パスnにおいて、ノズル♯90のみからインク滴が吐出され、ラインLb1が形成される。パスnの後、コントローラ60は、搬送ローラ23を1回転させて、テストシートTSを約1インチだけ搬送する。搬送後、パスn+1において、ノズル♯3のみからインク滴が吐出され、ラインLb2が形成される。仮にノズル♯1が用いられると、ラインLb1とラインLb2との間隔が非常に狭くなり(約1/90インチ)、後でラインLb1とラインLb2との間隔を測定する際に、測定しにくくなる。このため、この例では、ノズル♯1よりも搬送方向上流側にあるノズル♯3を用いてラインLb2を形成することにより、ラインLb1とラインLb2との間隔を広げて、測定し易くしている。
ところで、テストシートTSの搬送が理想的に行われた場合、ラインL1〜ラインL20におけるライン同士の間隔は、ちょうど1/4インチになるはずである。しかし、搬送誤差があると、ライン間隔は1/4インチにならない。仮に理想的な搬送量よりも多くテストシートTSが搬送されると、ライン間隔は広がる。逆に、理想的な搬送量よりも少なくテストシートTSが搬送されると、ライン間隔が狭まる。つまり、ある2つのラインの間隔は、一方のラインが形成されるパスと他方のラインが形成されるパスとの間に行われる搬送処理での搬送誤差を反映している。このため、2つのラインの間隔を測定すれば、一方のラインが形成されるパスと他方のラインが形成されるパスとの間に行われる搬送処理での搬送誤差を測定することが可能になる。
同様に、ラインLb1とラインLb2との間隔は、テストシートTSの搬送が理想的に行われた場合(正確には、更にノズル♯90とノズル♯3のインクの吐出が同じである場合)、ちょうど3/90インチになるはずである。しかし、搬送誤差があると、ライン間隔は3/90インチにならない。このため、ラインLb1とラインLb2の間隔は、非NIP状態における搬送処理での搬送誤差を反映していると考えられる。このため、ラインLb1とラインLb2との間隔を測定すれば、非NIP状態における搬送処理での搬送誤差を測定することが可能になる。
===測定用パターンと目盛りパターンの読み取り(S102)===
<スキャナ150の構成>
まず、測定用パターンの読み取りに用いられるスキャナ150の構成について説明する。図10Aは、スキャナ150の縦断面図である。図10Bは、図10A中のB−B線矢視図である。
スキャナ150は、上蓋151と、原稿5が置かれる原稿台ガラス152と、この原稿台ガラス152を介して原稿5と対面しつつ副走査方向(第1方向に相当)に移動する読取キャリッジ153と、読取キャリッジ153を副走査方向に案内するガイド部材154と、読取キャリッジ153を副走査方向に移動させるための移動機構155と、スキャナ150内の各部を制御するスキャナコントローラ(不図示)とを備えている。
読取キャリッジ153には、原稿5に光を照射する露光ランプ157と、前記副走査方向に直交する主走査方向(第2方向に相当)のラインの像を検出するラインセンサ158(画像読み取りセンサに相当)と、原稿5からの反射光をラインセンサ158へ導くためのロッドレンズ等の光学機器159とが設けられている。なお、図10A中の読取キャリッジ153の内部の破線は、光の軌跡を示している。
ガイド部材154は、図10Bに示すように、前記読取キャリッジ153を、その主走査方向の両端部153a,153bにて支持する一対のレール154,154を有する。そして、読み取りキャリッジ153は、これら両端部153a,153bを支持された状態で、移動機構155から副走査方向に駆動力を付与されて同方向に移動する。
移動機構155は、キャリッジモータ155dと、一対のプーリ155a,155bと、これら一対のプーリ155a,155bに掛け回されたタイミングベルト155cとを有する。キャリッジモータ155dは、DCモータなどにより構成され、読取キャリッジ153を副走査方向に沿って相対的に移動させるための駆動源として機能する。また、タイミングベルト155cは、プーリ155aを介してキャリッジモータ155dに接続されるとともに、その一部が、連結部材156にて読取キャリッジ153に接続され、もって、キャリッジモータ155dの回転駆動により読取キャリッジ153を副走査方向に沿って相対的に移動させる。なお、前記連結部材156は、読取キャリッジ153における主走査方向の一端部153aにのみ設けられており、もって、この一端部153aを作用点として読取キャリッジ153にはキャリッジモータ155dの駆動力が作用し、これによって読取キャリッジ153は副走査方向に移動される。すなわち、当該一端部153aのみが駆動力の作用点であり、主走査方向に関するもう一方の端部たる他端部153bは作用点にはなっていない。
このような構成のスキャナ150により原稿5の画像を読み取るときには、先ず、操作者は、上蓋151を開いて原稿5を原稿台ガラス152の上面152a(載置面に相当)に置き、上蓋151を閉じる。そして、スキャナコントローラが、露光ランプ157を発光させた状態で読取キャリッジ153を副走査方向に沿って移動させ、ラインセンサ158により原稿5の表面の画像を読み取る。スキャナコントローラは、読み取った画像データをコンピュータ110のスキャナドライバへ送信し、これにより、コンピュータ110は、原稿5の画像データを取得する。
<読み取り位置精度>
後述するように、この例では、スキャナ150は、テストシートTSの測定用パターンと基準スケールSSの目盛りパターンとを、720dpi(主走査方向)×720dpi(副走査方向)の解像度で読み取る。このため、以下の説明では、720×720dpiの解像度で画像を読み取ることを前提にして説明を行う。
図11は、スキャナ150の読み取り位置の誤差のグラフである。グラフの横軸は、読み取り位置(理論値)を示している(すなわち、グラフの横軸は、読取キャリッジ153の位置(理論値)を示している)。グラフの縦軸は、読み取り位置の誤差(読み取り位置の理論値と実際の読み取り位置との差)を示している。例えば、読取キャリッジ153を1インチ(=25.4mm)移動させると、約60μmの誤差が生じることになる。
仮に、読み取り位置の理論値と実際の読み取り位置が一致していれば、零点位置(読み取り位置がゼロの位置)を示す画素から副走査方向に720画素離れた画素は、零点位置からちょうど1インチ離れた位置の画像を示すはずである。しかし、グラフに示すような読み取り位置の誤差が生じた場合、零点位置を示す画素から副走査方向に720画素離れた画素は、零点位置から1インチ離れた位置よりも60μmだけ更に離れた位置の画像を示すことになる。
また、仮に、グラフの傾きがゼロであれば、1/720インチ毎に等間隔に、画像が読み取られるはずである。しかし、グラフの傾きがプラスの位置では、1/720インチよりも長い間隔で画像が読み取られることになる。また、グラフの傾きがマイナスの位置では、1/720インチよりも短い間隔で画像が読み取られることになる。
この結果、仮に測定用パターンのラインが等間隔に形成されたとしても、読み取り位置の誤差がある状態では、画像データ上のラインの画像が等間隔にならない。このように、読み取り位置の誤差がある状態では、測定用パターンを単に読み取っただけでは、ラインの位置を正確に計測することができない。
そこで、この例では、テストシートTSをセットして測定用パターンをスキャナ150に読み取らせる際に、基準スケールSSをセットして基準スケールSSの目盛りパターンも読み取らせている。
<測定用パターンと目盛りパターンの読み取り>
図12Aは、基準スケールSSの説明図である。図12Bは、原稿台ガラス152にテストシートTSと基準スケールSSをセットした様子の説明図である。
基準スケールSSの大きさは10mm×300mmであり、長細い形をしている。そして、基準スケールSSの長手方向(所定方向に相当)について、ほぼ36dpi間隔にて多数の目盛りが付けられており、これら目盛りは目盛りパターンを構成している。各目盛りは、前記長手方向と直交する方向に沿って直線状に形成されている。基準スケールSSは繰り返し使用されるため、紙ではなく、PETフィルム等の樹脂素材から構成される。また、基準スケールSSの目盛りは、レーザー加工により高精度に形成されている。すなわち、各目盛りは、隣り合う目盛りとの間隔が所定の理論値(36dpi)を目標値として、この目標値に極力揃うように高精度に(例えば、1/36インチ±0.000027ミリの寸法公差で)形成されている。
不図示の治具を用いることによって、テストシートTS及び基準スケールSSは、原稿台ガラス152上の所定の位置にセットされる。例えば、図12Bに示すように、副走査方向の載置用ベンチマークBMを、原稿台ガラス152の上面152aにおける副走査方向上流側の端縁Ebとし、この端縁Ebに、テストシートTSの長手方向の端縁Et及び基準スケールSSの長手方向の端縁Esが一致するようにセットされる。
その結果、基準スケールSSは、目盛りをふられた方向たる長手方向がスキャナ150の副走査方向に平行になるように、すなわち基準スケールSSの各目盛りの線がスキャナ150の主走査方向に平行になるようにセットされる。また、この基準スケールSSの主走査方向の横に並んでセットされたテストシートTSも、その長手方向がスキャナ150の副走査方向に平行になるように、すなわち測定用パターンの各ラインが主走査方向に平行になるようにセットされる。
このようにテストシートTSと基準スケールSSをセットした状態で、スキャナ150は、測定用パターンと目盛りパターンを読み取る。このとき、読み取り位置の誤差の影響のため、読取結果における測定用パターンの画像は実際の測定用パターンと比べて歪んだ画像になる。同様に、目盛りパターンの画像も実際の目盛りパターンと比べて歪んだ画像になる。
なお、読取結果における測定用パターンの画像は、読み取り位置の誤差の影響だけではなく、プリンタ1の搬送誤差の影響も受けている。一方、目盛りパターンはプリンタ1の搬送誤差とは何も関わりなく概ね等間隔にて形成されているので、目盛りパターンの画像は、スキャナ150の読み取り位置の誤差の影響を受けているが、プリンタ1の搬送誤差の影響は受けていない。
そこで、補正値設定プログラムは、測定用パターンの画像に基づいて補正値を算出する際に、基準スケールSSの目盛りパターンの画像に基づいて、測定用パターンの画像における読み取り位置の誤差の影響を相殺(キャンセル)させる。
ちなみに、ここで、図12Bを参照しながら、テストシートTS及び基準スケールSSの原稿台ガラス152の上面152aへのセット時において好ましい、テストシートTSと基準スケールSSとの配置関係について述べると、同図に示すように、前記上面152aにおける主走査方向の位置に関して、テストシートTSよりも基準スケールSSの方が、読取キャリッジ153の駆動力の作用点に近くなるようにすると良い。
これは、図12Bに示すように、読取キャリッジ153の駆動力が、読取キャリッジ153の主走査方向の一端部153aにのみ作用する場合には、読取キャリッジ153の移動中に生じる振動が、当該駆動力の作用点たる前記一端部153aよりも、その反対側の他端部153bの方が大きくなり、その結果、一端部153a側に比べて他端部153b側の読み取り精度が悪くなる虞があるからである。また、ここで、基準スケールSSの方の読み取り精度を優先させている理由、すなわち、基準スケールSSとテストシートTSのうちで基準スケールSSの方を、読み取り精度が悪化しない前記一端部153a側に配置している理由は、基準スケールSSは、あくまで基準として用いられるものであり、そもそも、基準が正確でなければ、高精度の位置測定など期待できないからである。
===補正値の算出(S103)===
補正値の算出の説明の前に、スキャナ150から取得した画像データについて説明する。画像データは、複数の画素データから構成されている。各画素データは、対応する画素の階調値を示している。スキャナ150の読み取り誤差を無視すれば、各画素は1/720インチ×1/720インチの大きさに相当する。このような画素を最小構成単位として画像(ディジタル画像)が構成されており、画像データは、このような画像を示すデータになっている。
図13は、S103における補正値算出処理のフロー図である。コンピュータ110は、補正値設定プログラムに従って、各処理を実行する。つまり、補正値設定プログラムは、各処理をコンピュータ110に実行させるためのコードを有する。
<画像の分割(S131)>
まず、コンピュータ110は、スキャナ150から取得した画像データの示す画像を2つに分割する(S131)。
図14は、画像の分割(S131)の説明図である。図中の左側には、スキャナ150から取得した画像データの示す画像が描かれている。図中の右側には、分割された画像が描かれている。以下の説明において、図中の左右方向(水平方向)をx方向と呼び、図中の上下方向(垂直方向)をy方向と呼ぶ。基準スケールSSの目盛りパターンの画像における各目盛りはx方向にほぼ平行であり、測定用パターンの画像における各ラインもx方向にほぼ平行である。
コンピュータ110は、読取結果の画像から所定の範囲の画像を取り出すことによって、画像を2つに分割する。読取結果の画像が2つに分割されることにより、一方の画像が目盛りパターンの画像を示し、他方の画像が測定用パターンの画像を示すことになる。このように分割する理由は、基準スケールSSとテストシートTSがそれぞれ別々に傾いてスキャナ150にセットされるおそれがあるので、それぞれ別々に傾き補正(S133)をするためである。
<各画像の傾きの検出(S132)>
次に、コンピュータ110は、画像の傾きを検出する(S132)。
図15Aは、測定用パターンの画像の傾きを検出する様子の説明図である。コンピュータ110は、画像データの中から、左からKX2番目の画素であって、上からKY1番目からJY個の画素を取り出す。同様に、コンピュータ110は、画像データの中から、左からKX3番目の画素であって、上からKY1番目からJY個の画素を取り出す。なお、取り出される画素の中にラインL1を示す画素が含まれるように、パラメータKX2、KX3、KY1及びJYが設定されている。
図15Bは、取り出された画素の階調値のグラフである。横軸は、画素の位置(Y座標)を示している。縦軸は、画素の階調値を示している。コンピュータ110は、取り出されたJY個の画素の画素データに基づいて、重心位置KY2、KY3をそれぞれ求める。
そして、コンピュータ110は、次式1によりラインL1の傾きθを算出する。
θ=tan−1{(KY2−KY3)/(KX2−KX3)} ……式1
なお、コンピュータ110は、測定用パターンの画像の傾きだけでなく、基準スケールSSの目盛りパターンの画像の傾きも検出する。目盛りパターンの画像の傾きの検出方法は、上記の方法とほぼ同様であるので、説明を省略する。
<各画像の傾きの補正(S133)>
次に、コンピュータ110は、S132において検出した傾きθに基づいて、画像を回転処理し、画像の傾きを補正する(S133)。測定用パターンの画像は、測定用パターンの画像の傾き結果に基づいて回転補正され、基準スケールSSの目盛りパターンの画像は、目盛りパターンの画像の傾き結果に基づいて回転補正される。
画像の回転処理のアルゴリズムには、バイリニア法が用いられる。このアルゴリズムは良く知られているので、説明は省略する。
<印刷時の傾きの検出(S134)>
次に、コンピュータ110は、測定用パターンの印刷時の傾き(スキュー)を検出する(S134)。測定用パターンを印刷するときにテストシートTSの下端が搬送ローラ23を通過すると、テストシートTSの下端がヘッド41に接触し、テストシートTSが動くことがある。このようなことが起こると、その測定用パターンにより算出された補正値が不適切なものになる。そこで、測定用パターンの印刷時の傾きを検出することにより、テストシートTSの下端がヘッド41に接触したか否かを検出し、接触した場合にはエラーとする。
図16は、測定用パターンの印刷時の傾きの検出の様子の説明図である。まず、コンピュータ110は、ラインL1(一番上のライン)とラインLb2(一番下のライン、下端が搬送ローラ23を通過した後に形成されるライン)における左側の間隔YLと、右側の間隔YRとを検出する。そして、コンピュータ110は、間隔YLと間隔YRの差を算出し、この差が所定範囲内であれば次の処理(S135)へ進み、この差が所定範囲外であればエラーとする。
<余白量の算出(S135)>
次に、コンピュータ110は、余白量を算出する(S135)。
図17は、余白量Xの説明図である。図中の実線の四角形(外側の四角形)は、S133の回転補正後の画像を示している。図中の点線の四角形(内側の斜めの四角形)は、回転補正前の画像を示している。回転補正後の画像を長方形状にするため、S133の回転補正処理が行われる際に、回転後の画像の四隅に直角三角形状の余白が付加される。
仮に基準スケールSSの傾きとテストシートTSの傾きとが異なると、付加される余白量が異なることになり、回転補正(S133)の前後において、基準スケールSSの目盛りパターンに対する測定用パターンのラインの位置が相対的にずれることになる。そこで、コンピュータ110は、次式2により余白量Xを求め、S136において検出されるライン位置から余白量Xを差し引くことによって、目盛りパターンに対する測定用パターンのラインの位置のずれを防止する。
X=(w cosθ−W´/2)×tanθ ……式2
<スキャナ座標系での目盛りの位置及びラインの位置の検出(S136)>
次に、コンピュータ110は、スキャナ座標系での目盛りパターンの目盛りの位置及び測定用パターンのラインの位置をそれぞれ検出する(S136)。
スキャナ座標系とは、1画素の大きさを1/720×1/720インチとしたときの座標系である。スキャナ150には読み取り位置の誤差があり、読み取り位置の誤差を考慮すると、各画素データの対応する実際の領域は厳密には1/720インチ×1/720インチにはならないが、スキャナ座標系では、各画素データの対応する領域(画素)の大きさを1/720×1/720インチとする。また、各画像における左上の画素の位置を、スキャナ座標系の原点とする。
図18Aは、ラインの位置を検出する際に用いられる画像の範囲の説明図である。図中の点線で示す範囲の画像の画像データが、ラインの位置を検出する際に用いられる。図18Bは、ラインの位置の検出の説明図である。横軸は、画素のy方向の位置(スキャナ座標系)を示している。縦軸は、画素の階調値(x方向に並ぶ画素の階調値の平均値)を示している。
コンピュータ110は、階調値のピーク値の位置を求め、この位置を中心とする所定の範囲を演算範囲とする。そして、この演算範囲の画素の画素データに基づいて、階調値の重心位置を検出し、この重心位置をラインの検出位置とする。
図19は、検出されたライン及び目盛りの検出位置の説明図である(なお、図中に示す検出位置は、所定の演算が施されて無次元化されている)。基準スケールSSの目盛りパターンは概ね等間隔の目盛りから構成されているにもかかわらず、目盛りパターンの各目盛りの重心位置に注目すると、検出された各目盛りの検出位置は、あまり等間隔になっていない。これは、スキャナ150の読み取り位置の誤差の影響と考えられる。
<測定用パターンの各ラインの絶対位置の算出(S137)>
次に、コンピュータ110は、測定用パターンのラインの絶対位置をそれぞれ算出する(S137)。
図20Aは、測定用パターンのi番目のラインの絶対位置の算出の説明図である。ここでは、測定用パターンのi番目のラインは、目盛りパターンのj−1番目の目盛りと、目盛りパターンのj番目の目盛りとの間に位置する。以下の説明では、測定用パターンのi番目のラインの検出位置(スキャナ座標系)を「S(i)」と呼び、目盛りパターンのj番目の目盛りの検出位置(スキャナ座標系)を「K(j)」と呼ぶ。また、目盛りパターンのj−1番目の目盛りとj番目の目盛りとの間隔(y方向の間隔)を「L」と呼び、目盛りパターンのj−1番目の目盛りと測定用パターンのi番目のラインとの間隔(y方向の間隔)を「L(i)」と呼ぶ。
まず、コンピュータ110は、次式3に基づいて、間隔Lに対する間隔L(i)の比率Hを算出する。
H=L(i)/L
={S(i)−K(j−1)}/{K(j)−K(j−1)} ……式3
なお、この比率Hは、前記目盛りに対する前記i番目のラインの相対位置を示していることになる。
ところで、理想的に基準スケールSSの目盛り同士の間隔が理論値どおりに形成されていれば、各目盛りは等間隔に形成されているはずである。よって、目盛りパターンの1番目の目盛りの位置を基準位置としてゼロとすれば、目盛りパターンの任意の目盛りの絶対位置を算出できる。例えば、目盛りパターンの2番目の目盛りの絶対位置は1/36インチである。そこで、目盛りパターンのj番目の目盛りの絶対位置を「J(j)」とし、測定用パターンのi番目のラインの絶対位置を「R(i)」とすると、次式4のようにしてR(i)を算出できる。
R(i)={J(j)−J(j−1)}×H+J(j−1) ……式4
但し、実際の基準スケールSSにあっては、各目盛りの間隔が理論値どおりに形成されているとは限らない。よって、より高い精度を追求するには、予め、高精度な測定器(図24)を用いて基準スケールSSの目盛りの位置を実測し、当該目盛りの実測位置Jm(j)を記憶しておき、上式4の目盛りの絶対位置J(i)に代えて、前記実測位置Jm(j)を用いると良い。すなわち、下式4aによって、測定用パターンのi番目のラインの絶対位置R(i)を求めるのが望ましい。
R(i)={Jm(j)−Jm(j−1)}×H+Jm(j−1) ……式4a
そこで、本実施形態では、図7Aの補正値設定処理のフローチャートにおけるS101の「測定用パターンの印刷」のステップの前に、図7Bに示すように、「基準スケールSSの目盛り位置の実測」のステップS100を追設している。そして、このステップS100で実測された目盛りの実測位置Jm(j)の情報は、図20Bに示すように、コンピュータ110のメモリ内の目盛り実測位置記録テーブルに、目盛り位置の番号jと対応付けられて記憶される。なお、同図中の右側には、参考のために、理論値に基づく目盛りの位置J(j)を示している。
よって、コンピュータ110は、前記実測位置記録テーブルを参照しながら、式4aに基づいて測定用パターンの各ラインの絶対位置R(i)を高い精度で算出可能となる。すなわち、先ず、図20Aに示すように、スキャナ座標系におけるラインの検出位置S(i)の値と、同スキャナ座標系における目盛りの検出位置K(j)の値との大小関係を比較して、i番目のラインを上下に挟むj番目の目盛り及びj−1番目の目盛りを検出する。そうしたら、コンピュータ110は、式3にS(i)、K(j)、及びK(j−1)の値を代入して、前記比率Hを求める。また、コンピュータ110は、前記jの値をキーとして、メモリの実測位置記録テーブルから、前記jの目盛りの実測位置Jm(j)及びj−1の目盛りの実測位置Jm(j−1)を読み出し、これらJm(j)、Jm(j−1)、及び前記Hを、上式4aに代入して、i番目のラインの絶対位置R(i)が算出される。
具体的に数値例で説明すると、例えば、図19における測定用パターンの1番目のラインの絶対位置を算出する場合には、以下のように計算される。まず、コンピュータ110は、S(1)の値(373.7686667)、K(2)の値(309.613250)、及びK(3)の値(469.430413)に基づいて、測定用パターンの1番目のラインが、目盛りパターンの2番目の目盛りと3番目の目盛りの間に位置していることを検出する。次に、コンピュータ110は、式3によって、比率Hが0.40143008(=(373.7686667-309.613250)/(469.430413-309.613250))であることを算出する。次に、コンピュータ110は、前記S(1)、K(2)、K(3)の値の大小比較から目盛りの番号jが2であると判定し、このj(=2)をキーとして前記実測位置記録テーブルから2番目の目盛りの実測位置Jm(2)及び3番目の目盛りの実測位置Jm(3)を読み出す。そして、これらJm(2)、Jm(3)と前記比率Hを、式4aに代入して、測定用パターンの1番目のラインの絶対位置R(1)が0.99410209ミリ(={Jm(3)−Jm(2)}×H+Jm(2)={1.41121921−0.70561702}×0.40143008+0.70561702)であることを算出する。
このようにして、コンピュータ110は、測定用パターンの各ラインの絶対位置R(i)を算出する。なお、基準スケールSSの目盛りの位置の実測方法については後述する。
ちなみに、上述では、目盛りパターンの1番目の目盛りを基準位置として、その絶対位置をゼロとしたが、例えば、図20Cに示すように、テストシートTSにおける搬送方向の下流側の端縁Eを基準位置として、すなわち、その絶対位置をゼロとして前記端縁Eからの絶対位置R(i)eを求めるようにしても良い。なお、このR(i)eは、上述の式4aで求められた絶対位置R(i)を、下式5によって換算して求められる。
R(i)e=R(i)+(Rc−R(1)) ……式5
ここで、Rcは、図20Bに示すように、テストシートTSの測定用パターンの1番目のラインL1とテストシートTSの前記端縁Eとの間の間隔の理論値である。また、R(1)は、上式4aにより求められた前記ラインL1の絶対位置である。
<補正値の算出(S138)>
次に、コンピュータ110は、測定用パターンを形成する際に行われた複数回の搬送動作に対応する補正値をそれぞれ算出する(S138)。各補正値は、理論上のライン間隔と実際のライン間隔との差に基づいて、算出される。
パスiとパスi+1との間で行われた搬送動作の補正値C(i)は、「6.35mm」(1/4インチ、すなわちラインLiとラインLi+1との理論上の間隔)から「R(i+1)−R(i)」(ラインLi+1の絶対位置とラインLiの実際の間隔)を引いた値になる。例えば、パス1とパス2との間で行われた搬送動作の補正値C(1)は、6.35mm−{R(2)−R(1)}となる。コンピュータ110は、このようにして補正値C(1)〜補正値C(19)を算出する。
但し、NIPラインよりも下(搬送方向上流側)にあるラインLb1及びLb2を用いて補正値を算出する場合、ラインLb1とラインLb2の理論上の間隔は「0.847mm」(=3/90インチ)として計算する。コンピュータ110は、このようにして、非NIP状態での補正値Cbを算出する。
図21は、補正値C(i)の対応する範囲の説明図である。もし仮に、測定用パターンを印刷するときのパス1とパス2との間の搬送動作の際に、当初の目標搬送量から補正値C(1)を引いた値を目標にすれば、実際の搬送量がちょうど1/4インチ(=6.35mm)になったはずである。同様に、もし仮に、測定用パターンを印刷するときのパスnとパスn+1との間の搬送動作の際に、当初の目標搬送量から補正値Cbを引いた値を目標にすれば、実際の搬送量がちょうど1インチになったはずである。
<補正値の平均化(S139)>
ところで、前述のロータリー式エンコーダ52は原点センサを備えていないので、コントローラ60は、搬送ローラ23の回転量は検出できるが、搬送ローラ23の回転位置までは検出していない。このため、搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置をプリンタ1は保証することがでない。つまり、印刷する度に、搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置が異なるおそれがある。一方、測定用パターンにおいて隣り合う2つのラインの間隔は、1/4インチにて搬送するときのDC成分の搬送誤差の影響だけではなく、AC成分の搬送誤差の影響も受けている。
従って、目標搬送量を補正する際に、測定用パターンにおける隣接する2つのラインの間隔に基づいて算出された補正値Cをそのまま適用してしまうと、AC成分の搬送誤差の影響のため、搬送量が正しく補正されないおそれがある。例えば、測定用パターンの印刷時と同じようにパス1とパス2との間で1/4インチの搬送量の搬送動作を行う場合であっても、搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置が測定用パターンの印刷時と異なるのであれば、目標搬送量を補正値C(1)で補正しても、搬送量は正しく補正されない。もし、搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置が測定用パターンの印刷時と比べて180度異なっていると、AC成分の搬送誤差の影響のため、搬送量は正しく補正されないどころか、むしろ搬送誤差が悪化することもあり得る。
そこで、この例では、DC成分の搬送誤差だけを補正するようにするため、次式6のように4個の補正値Cを平均化することによって、DC成分の搬送誤差を補正するための補正量Caを算出している。
Ca(i)={C(i−1)+C(i)+C(i+1)+C(i+2)}/4
……式6
ここで、DC成分の搬送誤差を補正するための補正値Caを上式6によって算出できる理由を説明する。
前述した通り、パスiとパスi+1との間で行われた搬送動作の補正値C(i)は、「6.35mm」(1/4インチ、すなわちラインLiとラインLi+1との理論上の間隔)から「R(i+1)−R(i)」(ラインLi+1の絶対位置とラインLiの実際の間隔)を引いた値になる。そうすると、補正値Caを算出するための上式6は、次式7のような意味になる。
Ca(i)=[25.4mm−{R(i+3)−R(i−1)}]/4 ……式7
つまり、補正値Ca(i)は、理論上1インチ離れるべき2つのライン(ラインLi+3とラインLi−1)の間隔と1インチ(搬送ローラ23の1回転分の搬送量)との差を4で割った値である。このため、補正値Ca(i)は、紙Sを1インチ(搬送ローラ23の1回転分の搬送量)にて搬送したときに生じる搬送誤差の1/4を補正する値になる。そして、紙Sを1インチにて搬送したときに生じる搬送誤差は、DC成分の搬送誤差であり、この搬送誤差の中にはAC成分の搬送誤差は含まれない。
ゆえに、4個の補正値Cを平均化して算出される補正値Ca(i)は、AC成分の搬送誤差の影響を受けず、DC成分の搬送誤差を反映した値になる。
なお、パス2とパス3との間で行われる搬送動作の補正値Ca(2)は、補正値C(1)〜C(4)の総和を4で割った値(補正値C(1)〜C(4)の平均値)として算出される。言い換えると、補正値Ca(2)は、パス1で形成されるラインL1と、ラインL1を形成してから1インチ搬送した後のパス5で形成されるラインL5との間隔に応じた値になる。
また、補正値Ca(i)を算出する際にi−1がゼロ以下になる場合、補正値C(i−1)はC(1)を適用する。例えば、パス1とパス2との間で行われる搬送動作の補正値Ca(1)は、{C(1)+C(1)+C(2)+C(3)}/4として算出される。また、補正値Ca(i)を算出する際にi+1が20以上になる場合、補正値Caを算出するためのC(i+1)はC(19)を適用する。同様に、i+2が20以上になる場合、C(i+2)はC(19)を適用する。例えば、パス19とパス20との間で行われる搬送動作の補正量Ca(19)は、{C(18)+C(19)+C(19)+C(19)}/4として算出される。
コンピュータ110は、このようにして補正値Ca(1)〜補正値Ca(19)を算出する。これにより、DC成分の搬送誤差を補正するための補正値が、1/4インチの範囲ごとに求められる。
===補正値の記憶(S104)===
次に、コンピュータ110は、補正値をプリンタ1のメモリ63に記憶する(S104)。
図22は、メモリ63に記憶されるテーブルの説明図である。メモリ63に記憶される補正値は、NIP状態における補正値Ca(1)〜Ca(19)と、非NIP状態における補正値Cbである。また、各補正値を適用する範囲を示すための境界位置情報も、各補正値に関連付けられてメモリ63に記憶される。
補正値Ca(i)に関連付けられる境界位置情報は、測定用パターンのラインLi+1に相当する位置(理論上の位置)を示す情報であり、この境界位置情報は、補正値Ca(i)を適用する範囲の下端側の境界を示している。なお、上端側の境界は、補正値Ca(i−1)に関連付けられる境界位置情報から求めることができる。従って、例えば補正値C(2)の適用範囲は、紙Sに対してラインL1の位置とラインL2の位置の間(にノズル♯90が位置する)の範囲となる。なお、非NIP状態になる範囲は既知なので、補正値Cbには境界位置情報を関連付けなくても良い。
プリンタ製造工場では、製造されるプリンタ毎に、各プリンタ1の個体の特徴を反映したテーブルがメモリ63に記憶される。そして、このテーブルを記憶したプリンタ1は、梱包されて出荷される。
===ユーザの下での印刷時の搬送動作===
プリンタ1を購入したユーザの下で印刷が行われる際に、コントローラ60は、メモリ63からテーブルを読み出し、目標搬送量を補正値に基づいて補正し、補正された目標搬送量に基づいて搬送動作を行う。以下、ユーザの下での印刷時の搬送動作の様子について説明する。
図23Aは、第1のケースでの補正値の説明図である。第1のケースでは、搬送動作前のノズル♯90の位置(紙Sに対する相対位置)が補正値Ca(i)の適用範囲の上端側の境界位置と一致し、搬送動作後のノズル♯90の位置が補正値Ca(i)の適用範囲の下端側の境界位置と一致している。このような場合、コントローラ60は、補正値をCa(i)とし、当初の目標搬送量Fから補正値Ca(i)を加えた値を目標にして搬送モータ22を駆動して、紙Sを搬送する。
図23Bは、第2のケースでの補正値の説明図である。第2のケースでは、搬送動作前後のノズル♯90の位置が、ともに補正値Ca(i)の適用範囲内にある。このような場合、コントローラ60は、当初の目標搬送量Fと適用範囲の搬送方向長さLとの比F/LをCa(i)で掛けた値を補正値にする。そして、コントローラ60は、当初の目標搬送量Fから補正値Ca(i)×(F/L)を加えた値を目標にして搬送モータ22を駆動して、紙Sを搬送する。
図23Cは、第3のケースでの補正値の説明図である。第3のケースでは、搬送動作前のノズル♯90の位置が補正値Ca(i)の適用範囲内にあり、搬送動作後のノズル♯90の位置が補正値Ca(i+1)の適用範囲内にある。ここで、目標搬送量Fのうちの補正値Ca(i)の適用範囲内での搬送量をF1とし、補正値Ca(i+1)の適用範囲内での搬送量をF2とする。このような場合、コントローラ60は、Ca(i)をF1/Lで掛けた値と、Ca(i+1)をF2/Lで掛けた値との和を補正値とする。そして、コントローラ60は、当初の目標搬送量Fから補正値を加えた値を目標にして搬送モータ22を駆動して、紙Sを搬送する。
図23Dは、第4のケースでの補正値の説明図である。第4のケースでは、補正値Ca(i+1)の適用範囲を通過するように紙が搬送される。このような場合、コントローラ60は、Ca(i)をF1/Lで掛けた値と、Ca(i+1)と、Ca(i+2)をF2/Lで掛けた値との和を補正値にする。そして、コントローラ60は、当初の目標搬送量Fから補正値を加えた値を目標にして搬送モータ22を駆動して、紙Sを搬送する。
このように、コントローラ60が当初の目標搬送量Fを補正して、補正後の目標搬送量に基づいて搬送ユニット20を制御すると、実際の搬送量が当初の目標搬送量Fになるように補正され、DC成分の搬送誤差が補正される。
ところで、上記のように補正値を計算すれば、目標搬送量Fが小さいとき、補正値も小さい値になる。目標搬送量Fが小さければ、その搬送を行う際に生じる搬送誤差も小さいと考えられるので、上記のように補正値を計算すれば、搬送時に生じる搬送誤差に合う補正値を算出できる。また、各補正値Caに対して1/4インチ毎に適用範囲が設定されているので、これにより、紙Sとヘッド41との相対位置に応じて変化するDC成分の搬送誤差を的確に補正することができる。
===基準スケールSSの目盛りの位置の実測方法===
図24A及び図24Bは、基準スケールSSの目盛りの位置の実測方法の説明図である。図24Aは、実測中の様子を示す側面図、図24Bは同じく上面図である。
測定器201は、基台203と、リニアガイド(不図示)によって基台203上に支持されてXY平面内を移動可能なステージ205と、ステージ205をXY方向に移動させるための移動機構(不図示)と、ステージ205の上方に設けられたCCDカメラ207と、前記移動機構及びCCDカメラ207を制御するコントローラ(不図示)とを備えている。
移動機構は、ステージ205をX方向に移動するためのX方向モータ(不図示)と、ステージ205をY方向に移動するためのY方向モータ(不図示)と、ステージ205のX方向の移動量を計測するX方向リニア式エンコーダ(不図示)と、ステージ205のY方向の移動量を計測するY方向リニア式エンコーダ(不図示)とを有している。
CCD(charge-coupled device)カメラ207は、受けた光量に応じた大きさの電気信号を出力するものであり、不図示のステーを介して基台201に支持固定されている。
コントローラは、X方向及びY方向リニア式エンコーダからの出力信号をXY方向の移動量に変換し、このXY方向の移動量の信号を前記コンピュータ110に出力する。また、コントローラは、CCDカメラ207から入力される前記電気信号を、前記XY方向の移動量と時間的に対応付けて、コンピュータ110へ出力する。
ちなみに、X方向リニア式エンコーダの分解能、及び、CCDカメラ207の分解能は、前述のスキャナ150の解像度(720dpi)よりも高いのは言うまでもなく、前記基準スケールSSの目盛り間隔の寸法公差(0.000027mm)よりも細かいのが望ましく、例えば、前記寸法公差の10倍以上の細かさの分解能が望ましい。
このような測定器201を用いて、基準スケールSSの目盛り位置の実測は、次のようにして行われる。
先ず、ステージ205の上面に、基準スケールSSが、その長手方向をX方向に沿わせつつ配置されるとともに、ステージ205をY方向に移動することにより、Y方向の位置に関して、CCDカメラ207の焦点FPと基準スケールSSのY方向の中央位置とを一致させる。
そうしたら、コントローラは、X方向モータを制御して所定速度でステージ205をX方向に移動する。そして、X方向リニア式エンコーダからの出力をX方向の移動量に変換するとともに、当該移動量の信号と、CCDカメラ207からの電気信号とを時間的に対応付けてコンピュータ110へと出力し、これらの信号は、コンピュータ110のメモリに記録される。
図25は、コンピュータ110のメモリに記録された、CCDカメラ207からの電気信号とX方向の移動量との関係を示す図である。横軸にはX方向のステージ205の移動量を示し、縦軸にはCCDカメラ207の電気信号を示している。
同図中において、電気信号の出力のピーク位置が、目盛りの位置を表すことになる。また、1番目の出力が、1番目の目盛りに対応している。このため、この1番目の出力のピーク位置からj番目の出力のピーク位置までの移動量が、j番目の目盛りの実測位置Jm(j)を表すことになる。
よって、コンピュータ110は、電気信号の出力を検出する毎に、そのピーク位置に対応する移動量X(j)から、1番目の出力のピーク位置に対応する移動量X(1)を減算することによって、各目盛りの実測位置Jm(j)を出力の発生順に求める。そして、これら実測位置Jm(j)を出力の発生順に、図20Bの前記目盛り実測位置記録テーブルにおける若い番号jから先に記録していき、これをもって、基準スケールSSの目盛りの位置の実測が終了する。
===その他の実施の形態===
前述の実施形態では、図7Bに示すように、「補正値設定処理」を行う度に、毎回、S100の「基準スケールSSの目盛りの位置の実測」を行っていたが、1回実測すれば、コンピュータ110のメモリの目盛り実測位置記録テーブル(図20B)には、実測位置Jm(j)が記憶されている。従って、2回目以降の「補正値設定処理」に対しては、S100を省略しても良い。
図26は、上記を加味した「補正値設定処理」のフロー図である。前述の図7Bのフロー図との相違点は、ステップS100の「基準スケールSSの目盛りの位置の実測」の前に、目盛りの位置を実測済みか否かを判定するためのステップS100aが追設されている点にある。
すなわち、図26に示すように、ステップS100aにおいては、先ず、この基準スケールSSの目盛りの実測位置Jm(j)が、目盛り実測位置記録テーブルに記憶済みか否かの判定が行われる。そして、NO判定の場合には、S100のステップへ移行して、前述と同様に、基準スケールSSの目盛りの位置の実測が行われ、各目盛りの実測位置Jm(j)が、目盛り実測位置記録テーブルに記憶される。一方、YES判定の場合には、既に、目盛り実測位置記録テーブルには、基準スケールSSの実測位置Jm(j)が記憶されているので、S100のステップはスキップされて、S101のステップへと移行する。
なお、基準スケールSSを、別の基準スケールSSに交換する場合には、目盛り実測位置記録テーブルに記憶された実測位置Jm(j)は、使用できなくなるので、S100の「基準スケールSSの目盛りの位置の実測」のステップを省略せずに、実行するのが望ましい。
===まとめ===
(1)前述の実施形態に係る「媒体上のパターンの印刷位置の算出方法」は、(A)所定方向(長手方向)について目盛りが付けられた基準スケールSSの目盛りの位置を実測して、目盛りの実測位置の情報を取得する実測ステップ(図7BのステップS100に相当)と、(B)ラインが印刷されたテストシートTS及び基準スケールSSを、スキャナ150により読み取ってテストシートTS及び基準スケールSSの画像データを生成する読み取りステップ(図7BのステップS102に相当)と、(C)前記目盛りの実測位置の情報と前記画像データとに基づいて、テストシートTS上におけるラインの前記所定方向に関する絶対位置R(i)を算出する印刷位置算出ステップ(図13のステップS136及びS137に相当)と、備えている。
そして、テストシートTS上におけるラインの絶対位置R(i)を算出する際に、基準スケールSSの画像データ及びテストシートTSの画像データの両者に加えて、基準スケールSSの目盛りの実測位置Jm(j)の情報も用いる。よって、テストシートTSの画像データのみに基づいてラインの絶対位置R(i)を検出する場合に含まれ得るスキャナ150自体の検出誤差を、基準スケールSSの画像データを用いることによって相殺させるだけでなく、その相殺の際には、基準スケールSSの画像データに基づく目盛りの検出位置K(j)も、基準スケールSSの目盛りの実測位置Jm(j)によって補正できる。よって、テストシートTS上におけるラインの絶対位置R(i)を高精度に算出可能になる。
(2)前述の実施形態では、上記の実測ステップ(図7BのステップS100に相当)で取得された目盛りの実測位置Jm(j)の情報は、コンピュータ110のメモリ内の目盛り実測位置記録テーブルに記憶される。そして、上記の印刷位置算出ステップ(図13のステップS136及びS137に相当)では、目盛り実測位置記録テーブルから、目盛りの実測位置Jm(j)の情報が読み出されて使用される。
(3)前述の実施形態では、絶対位置R(i)がゼロとなる基準位置は、基準スケールSSの1番目の目盛りの位置、又は、テストシートTSの搬送方向の下流側の端縁Eの位置である。そして、基準位置が前者の場合には、絶対位置R(i)は、前記1番目の目盛りの位置から各ラインまでの前記所定方向の距離を示す一方、後者の場合には、前記端縁Eから各ラインまでの前記所定方向の距離を示す。
(4)前述の実施形態では、図13のステップS136及びS137が、上記の印刷位置算出ステップに相当している。そして、ステップS137では、前述の式3及び式4aに示すように、テストシートTSの画像データに基づいて検出された各ラインの検出位置S(i)の情報と、基準スケールSSの画像データに基づいて検出された目盛りの検出位置K(j),K(j−1)の情報とに基づいて、目盛りに対する各ラインの相対位置を示す比率Hを求め、そして、この比率Hと、前記目盛りの実測位置Jm(j)の情報とに基づいて、各ラインの前記所定方向に関する絶対位置R(i)を算出する。
ここで、上述のように、比率Hに基づいてラインの検出位置S(i)を補正するが、この補正の際には、目盛りの実測位置Jm(j)の情報が用いられる。よって、テストシートTS上におけるラインの絶対位置R(i)を高精度に算出可能になる。
(5)前述の実施形態においては、図12Bに示すように、基準スケールSSの目盛りは、前記所定方向(基準スケールSSの長手方向)と直交する方向に沿う直線状に形成される。また、テストシートTSのラインは、前記所定方向と直交する方向に沿って印刷されているとともに、前記所定方向に複数並んで印刷されている。そして、上記の印刷位置算出ステップ(図13のステップS136及びS137に相当)では、ラインの絶対位置R(i)がライン毎に算出される。
よって、ラインが沿う方向と目盛りの線が沿う方向とは何れも同方向であって揃っているので、基準スケールSSの目盛りによって、テストシートTS上のラインの絶対位置R(i)を確実に高精度で算出可能になる。
(6)前述の実施形態では、スキャナ150は、図10A及び図10Bに示すように、基準スケールSS及びテストシートTSが載置される原稿台ガラス152の上面152aと、この上面152aと平行な副走査方向に移動する読取キャリッジ153と、この読取キャリッジ153に設けられてテストシートTSのライン又は基準スケールSSの目盛りを読み取って画像データを生成するためのラインセンサ158と、を備えている。
(7)前述の実施形態において、原稿台ガラス152の上面152aには、図12Bに示すように、基準スケールSS及びテストシートTSが、前記所定方向(基準スケールSSの長手方向)と直交する方向に並んで配置される。よって、これら基準スケールSS及びテストシートTSの画像は同時に読み取られることになる。よって、テストシートTSのラインの絶対位置R(i)を求める際に含まれ得るスキャナ自体の検出誤差を、基準スケールSSの画像データによって確実に相殺させることができる。また、基準スケールSSとテストシートTSとは、図12Bに示すように、前記所定方向(基準スケールSSの長手方向)と直交する方向に並んで配置されているので、前記所定方向について付けられた目盛りによって、前記所定方向に関するラインの絶対位置R(i)を確実に算出可能となる。
(8)前述の実施形態において、スキャナ150は、図10Bに示すように、読取キャリッジ153の副走査方向への移動を案内するレール154,154と、読取キャリッジ153に対して副走査方向へ移動させるための駆動力を与えるキャリッジモータ155dとを有する。そして、図12Bに示すように、原稿台ガラス152の上面152aにおいて、基準スケールSSは、その長手方向たる前記所定方向が、副走査方向に向くように載置されるとともに、また、副走査方向と直交する主走査方向の位置に関して、基準スケールSSの方がテストシートTSよりも、前記駆動力の前記読取キャリッジ153への作用点に近くなるように載置されている。
ここで、一般に、副走査方向に読取キャリッジ153が移動する際の振動は、駆動力の作用点に近い部分の方が遠い部分よりも小さい。よって、上述の配置によれば、読取キャリッジ153における基準スケールSS側の端部153aの振動は小さく、もって、基準スケールSSの画像は正確に読み取られ、そして、その画像データに基づいて基準スケールSSの目盛りの検出位置K(j),K(j−1)は精度良く検出される。その結果、基準スケールSSの目盛りは、ラインの絶対位置R(i)を算出する際の基準として事足りたものとなる。
プリンタ1の全体構成のブロック図である。 図2Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図2Bは、プリンタ1の全体構成の断面図である。 ノズルの配列を示す説明図である。 搬送ユニット20の構成の説明図である。 AC成分の搬送誤差の説明用グラフである。 紙を搬送する際に生じる搬送誤差のグラフ(概念図)である。 補正値設定処理のフロー図である。 補正値設定処理のフロー図である。 図8A〜図8Cは、補正値設定処理の様子の説明図である。 測定用パターンの印刷の様子の説明図である。 図10Aは、スキャナ150の縦断面図であり、図10Bは、図10A中のB−B線矢視図である。 スキャナの読み取り位置の誤差のグラフである。 図12Aは、基準シートSSの説明図である。図12Bは、原稿台ガラス152にテストシートTSと基準シートSSをセットした様子の説明図である。 S103における補正値算出処理のフロー図である。 画像の分割(S131)の説明図である。 図15Aは、測定用パターンの画像の傾きを検出する様子の説明図である。図15Bは、取り出された画素の階調値のグラフである。 測定用パターンの印刷時の傾きの検出の様子の説明図である。 余白量Xの説明図である。 図18Aは、ラインの位置を検出する際に用いられる画像の範囲の説明図である。図18Bは、ラインの位置の検出の説明図である。 検出されたラインの位置の説明図である。 測定用パターンのi番目のラインの絶対位置R(i)の算出の説明図である。 基準スケールSSの目盛りの実測位置Jm(j)が記録された目盛り実測位置記録テーブルの概念図である。 テストシートTSの搬送方向下流側の端縁Eを基準位置とした場合の、i番目のラインの絶対位置R(i)の算出の説明図である。 補正値C(i)の対応する範囲の説明図である。 メモリ63に記憶されるテーブルの説明図である。 第1のケースでの補正値の説明図である。 第2のケースでの補正値の説明図である。 第3のケースでの補正値の説明図である。 第4のケースでの補正値の説明図である。 図24A及び図24Bは、基準スケールSSの目盛りの位置の実測方法の説明図である。 CCDカメラ207からの電気信号とX方向の移動量との関係を示す図である。 他の実施の形態に係る補正値設定処理のフロー図である。
符号の説明
1 プリンタ、110 コンピュータ、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ、23 搬送ローラ、
24 プラテン、25 排紙ローラ、26 従動ローラ、27 従動ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモータ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、
52 ロータリー式エンコーダ、521 スケール、522 検出部、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、
60 コントローラ、61 インターフェース部、62 CPU、63 メモリ、
64 ユニット制御回路、
150 スキャナ、151 上蓋、152 原稿台ガラス、152a 上面、
153 読取キャリッジ、153a 一端部、153b 他端部、
154 レール、155 移動機構、
155a プーリ、155b プーリ、155c タイミングベルト、
155d キャリッジモータ、156 連結部材、
157 露光ランプ、158 ラインセンサ、159 光学機器、
201 測定器、203 基台、205 ステージ、207 CCDカメラ、
TS テストシート、SS 基準スケール、FP 焦点

Claims (9)

  1. 所定方向について目盛りが付けられたスケールの目盛りの位置を実測して、前記目盛りの実測位置の情報を取得する実測ステップと、
    パターンが印刷された媒体及び前記スケールを、スキャナにより読み取って前記媒体及び前記スケールの画像データを生成する読み取りステップと、
    前記目盛りの実測位置の情報と前記画像データとに基づいて、前記媒体上における前記パターンの前記所定方向に関する印刷位置を算出する印刷位置算出ステップと、
    を備えたことを特徴とする媒体上のパターンの印刷位置の算出方法。
  2. 請求項1に記載の媒体上のパターンの印刷位置の算出方法において、
    前記実測ステップで取得された前記目盛りの実測位置の情報は、メモリに記憶され、
    前記印刷位置算出ステップでは、前記メモリから、前記目盛りの実測位置の情報が読み出されて使用されることを特徴とする媒体上のパターンの印刷位置の算出方法。
  3. 請求項1又は2に記載の媒体上のパターンの印刷位置の算出方法において、
    前記印刷位置は、所定の基準位置から前記パターンまでの前記所定方向に関する距離として示されることを特徴とする媒体上のパターンの印刷位置の算出方法。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の媒体上のパターンの印刷位置の算出方法において、
    前記印刷位置算出ステップでは、
    前記媒体の画像データに基づいて検出された前記パターンの検出位置の情報と、前記スケールの画像データに基づいて検出された前記目盛りの検出位置の情報とに基づいて、前記目盛りに対する前記パターンの相対位置を示す相対位置情報を求めるとともに、
    前記相対位置情報と、前記目盛りの実測位置の情報とに基づいて、前記パターンの前記所定方向に関する印刷位置を算出することを特徴とする媒体上のパターンの印刷位置の算出方法。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の媒体上のパターンの印刷位置の算出方法において、
    前記目盛りは、前記所定方向と直交する方向に沿う直線状に形成され、
    前記パターンは、前記所定方向と直交する方向に沿って印刷されたラインであって、前記ラインは、前記所定方向に複数並んで印刷され、
    前記印刷位置算出ステップでは、前記印刷位置として、前記ラインの印刷位置が前記ライン毎に算出されることを特徴とする媒体上のパターンの印刷位置の算出方法。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載の媒体上のパターンの印刷位置の算出方法において、
    前記スキャナは、前記スケール及び前記媒体が載置される載置面と、前記載置面と平行な第1方向に移動する読取キャリッジと、前記読取キャリッジに設けられて前記媒体の前記パターン又は前記スケールの前記目盛りを読み取って画像データを生成するための画像読み取りセンサと、を備えることを特徴とする媒体上のパターンの印刷位置の算出方法。
  7. 請求項6に記載の媒体上のパターンの印刷位置の算出方法において、
    前記載置面には、前記スケールと前記媒体とが、前記所定方向と交差する方向に並んで配置されることを特徴とする媒体上のパターンの印刷位置の算出方法。
  8. 請求項7に記載の媒体上のパターンの印刷位置の算出方法において、
    前記スキャナは、前記読取キャリッジの前記第1方向への移動を案内するガイド部材と、前記読取キャリッジに対して前記第1方向へ移動させるための駆動力を与える駆動源とを有し、
    前記載置面において、前記スケールは、前記所定方向が前記第1方向に向くように載置されるとともに、前記第1方向と直交する第2方向の位置に関して、前記スケールの方が前記媒体よりも、前記駆動力の前記読取キャリッジへの作用点に近くなるように載置されることを特徴とする媒体上のパターンの印刷位置の算出方法。
  9. 所定方向について目盛りが付けられたスケールの目盛りの位置を実測して、前記目盛りの実測位置の情報を取得する実測ステップと、
    パターンが印刷された媒体及び前記スケールを、スキャナにより読み取って前記媒体及び前記スケールの画像データを生成する読み取りステップと、
    前記目盛りの実測位置の情報と前記画像データとに基づいて、前記媒体上における前記パターンの前記所定方向に関する印刷位置を算出する印刷位置算出ステップと、
    を備え、
    前記実測ステップで取得された前記目盛りの実測位置の情報は、メモリに記憶され、前記印刷位置算出ステップでは、前記メモリから、前記目盛りの実測位置の情報が読み出されて使用され、
    前記印刷位置は、所定の基準位置から前記パターンまでの前記所定方向に関する距離として示され、
    前記印刷位置算出ステップでは、前記媒体の画像データに基づいて検出された前記パターンの検出位置の情報と、前記スケールの画像データに基づいて検出された前記目盛りの検出位置の情報とに基づいて、前記目盛りに対する前記パターンの相対位置を示す相対位置情報を求めるとともに、前記相対位置情報と、前記目盛りの実測位置の情報とに基づいて、前記パターンの前記所定方向に関する印刷位置を算出し、
    前記目盛りは、前記所定方向と直交する方向に沿う直線状に形成され、
    前記パターンは、前記所定方向と直交する方向に沿って印刷されたラインであって、前記ラインは、前記所定方向に複数並んで印刷され、
    前記印刷位置算出ステップでは、前記印刷位置として、前記ラインの印刷位置が前記ライン毎に算出され、
    前記スキャナは、前記スケール及び前記媒体が載置される載置面と、前記載置面と平行な第1方向に移動する読取キャリッジと、前記読取キャリッジに設けられて前記媒体の前記パターン又は前記スケールの前記目盛りを読み取って画像データを生成するための画像読み取りセンサと、を備え、
    前記載置面には、前記スケールと前記媒体とが、前記所定方向と交差する方向に並んで配置され、
    前記スキャナは、前記読取キャリッジの前記第1方向への移動を案内するガイド部材と、前記読取キャリッジに対して前記第1方向へ移動させるための駆動力を与える駆動源とを有し、
    前記載置面において、前記スケールは、前記所定方向が前記第1方向に向くように載置されるとともに、前記第1方向と直交する第2方向の位置に関して、前記スケールの方が前記媒体よりも、前記駆動力の前記読取キャリッジへの作用点に近くなるように載置されることを特徴とする媒体上のパターンの印刷位置の算出方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112330722A (zh) * 2020-09-17 2021-02-05 敬业(东莞)印刷包装厂有限公司 一种用于喷墨打样的精准定位方法、存储介质及终端
WO2021206736A1 (en) * 2020-04-10 2021-10-14 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Fluid ejection device testing

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