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JP2008020203A - レーダ装置 - Google Patents

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JP2008020203A
JP2008020203A JP2006189640A JP2006189640A JP2008020203A JP 2008020203 A JP2008020203 A JP 2008020203A JP 2006189640 A JP2006189640 A JP 2006189640A JP 2006189640 A JP2006189640 A JP 2006189640A JP 2008020203 A JP2008020203 A JP 2008020203A
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渉 石尾
Yuichi Morikawa
勇一 森川
Ryoji Fujioka
良治 藤岡
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Omron Corp
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Abstract

【課題】広いダイナミックレンジの反射光であっても正確な距離を測定することができるレーダ装置の提供を図る。
【解決手段】レーダ装置1のレーザダイオード(LD)13は物標に対して照射光を照射する。受光回路20Aのフォトダイオード(PD)15Aはホール効果により入射光を電流に変換する。受光回路20Bのフォトダイオード(APD)15Bはアバランシェ効果により入射光を電流に変換する。受光回路20Aは能動領域を高く、受光回路20Bの能動領域を低く、それぞれ異なる能動領域にCPU18に設定される。CPU18は受光回路20A,20Bそれぞれのディジタル出力から、能動領域を広げた合成信号を生成する。また、CPU18は受光回路20A,20Bのディジタル出力の相関から故障検知を行い、検知時に故障していない受光回路の能動領域を広げる。
【選択図】図1

Description

この発明は、屋外において近赤外光などを物標に照射し、その反射光をフォトダイオードで受光して物標との距離を測定するレーダ装置に関する。
従来から、屋外において近赤外光などのレーザビームで前方をスキャンするレーダ装置を用い、反射光を含む入射光から前方の物標(例えば、自動車のレーダ装置であれば、先行車、障害物、歩行者等)の有無およびその距離を検出する測距装置が実用化されている。従来のレーダ装置は、レーザダイオードから照射した近赤外レーダを物標に反射させ、反射光をフォトダイオードにより受光し、照射光の投光時から反射光の受光時(反射光受光量のピーク時)までの時間に基づき物標位置を計測するものであった。
レーダ装置に用いられるPIN型フォトダイオードはS/N比が低く、したがって、受光感度を高めるためPIN型フォトダイオードの出力に増幅器を設けて受光回路が構成される。しかしこの場合に、回路ノイズも増幅され、低輝度な反射光の検出には限界があった。
そこで、低輝度な反射光であっても検出可能なアバランシェフォトダイオードと呼ばれる受光感度の高いダイオードを用いたレーダ装置が知られている(例えば特許文献1参照)。アバランシェフォトダイオードは根本的にPIN型ダイオードよりも低ノイズで高受光感度の素子であり、与えるバイアス電圧によって受光感度をある程度任意に、バイアス電圧を高くすれば高感度に、バイアス電圧を低くすれば低感度に設定できる。特許文献1のレーダ装置では、バイアス電圧を高く設定したアバランシェフォトダイオードを受光回路に用い、低輝度な反射光であっても高精度に観測するものであった。
特開平11−160432号公報
しかしながら、一般にこの種のレーザレーダが使用される環境(屋外における周囲環境)は、物標の反射率や物標までの距離が極めて多様であり、様々な反射率を有する物標が多様な距離で分布する。また、昼夜で背景光の強度も大きく変化する。そのため、入射光のダイナミックレンジは極めて広い。
PIN型フォトダイオードやアバランシェフォトダイオードには、検出限界を超える高輝度な入射光により入射光量の計測値が飽和する問題があり、上記のように入射光のダイナミックレンジが極めて広い屋外で、低輝度な反射光を観測するために受光回路の受光感度を高めると、低輝度な反射光は観測できても、高輝度な反射光を正確に観測できず、観測精度が低下することがあった。
仮に、レンズに絞りを加えて受光量自体を抑制したりすれば入射光量の飽和の問題は解決可能であるが、その場合、低輝度な反射光の検出がさらに困難になる。また、アバランシェフォトダイオードに与えるバイアス電圧を低電圧化すればアバランシェフォトダイオード自体の受光感度が抑制されて、入射光が飽和する問題を解消することができるが、この場合アバランシェフォトダイオード自体の寄生容量が急増して高速信号に対する応答性が悪化し、やはり測距性能が悪化する。
そこでこの発明は、入射光のダイナミックレンジが広い環境であっても、物標位置を正確に計測することができるレーダ装置を提供することを目的とする。また、簡易な構成で高寿命なレーダ装置を提供することを目的とする。
この発明は、物標に対して照射光を照射するレーザダイオードと、入射光を信号に変換する受光回路と、を備えるレーダ装置において、第1の受光回路と第2の受光回路とを備え、各受光回路の、入射光の光量値に比例した信号を出力可能な光量値の範囲である能動領域が、前記第1の受光回路より前記第2の受光回路で低輝度であることを特徴とする。
この構成では、光量値に比例した信号を出力可能な光量値の範囲(能動領域)の異なる複数の受光回路を用いて反射光を受光する。高輝度な入射光に対して第1の受光回路により光量値に比例した信号を出力し、低輝度な入射光に対して第2の受光回路により光量値に比例した信号を出力する。
またこの発明の前記第1の受光回路と前記第2の受光回路それぞれの能動領域は、オーバーラップした領域を有する。
この構成では、第1の受光回路と第2の受光回路それぞれで測定可能な能動領域をオーバーラップさせるので、オーバーラップさせた領域の中輝度の入射光に対して、第1の受光回路と第2の受光回路それぞれで入射光の光量値に比例した出力が得られる。
また、この発明の前記第1の受光回路はPIN型フォトダイオードを備えるものであり、前記第2の受光回路はアバランシェフォトダイオードを備えるものである。
入射光をアバランシェ(電子雪崩)効果により電流に変換するアバランシェフォトダイオード(以下、APDという。)は、入射光をホール効果により電流に変換するPIN型フォトダイオード(以下、PDという。)に比べて極めて高感度な素子であり、低輝度の入射光であっても、その光量に比例した出力信号が得られる。また、PDはAPDに比べて高輝度な入射光からの物標の検出に優れ、低感度に設定した場合であっても、高速信号に対する応答性の劣化や飽和の問題がない。
したがって、例えば第2の受光回路をAPDに高いバイアス電圧を印加して駆動することで高感度に設定すると、APDの寄生容量を低減でき、高速信号に対する応答性を確保して低輝度な反射光であっても光量に比例した出力信号が得られる。また、例えば第1の受光回路をPDの出力の増幅率を低減することで低感度に設定すると、回路ノイズなどが増幅されることが無く、S/N比の低減が抑えられる。これにより、高輝度な入射光に対しても、低輝度な入射光に対してもそれぞれ光量値に比例した出力が得られる。
またこの発明は、前記第1の受光回路と前記第2の受光回路それぞれの能動領域を満足する光量値の入射光に対する前記第1の受光回路の出力に基づいて、前記第2の受光回路に備える前記アバランシェフォトダイオードの逆バイアス電圧を逐次制御する。
一般にAPDは、温度変化に対する受光感度の変動が大きく、通常、バイアス電圧を温度センサにより制御することで温度補償が行われる。しかしながらこの構成では、APDに与える逆バイアス電圧を、温度センサの出力でなく、温度変化に対する安定性に優れた第1の受光回路の出力信号に基づいて設定する。これにより、APDのバイアス制御に温度センサを必要とせず逆バイアス電圧の温度補償を行うことができ、受光回路の構成が簡易になる。
またこの発明は、前記第1の受光回路と前記第2の受光回路それぞれの能動領域を満足する光量値の入射光に対する、前記第1の受光回路と前記第2の受光回路それぞれの出力から、前記第1の受光回路または前記第2の受光回路の故障検知を行う故障検知手段を備える。
この構成では、第1の受光回路と第2の受光回路との出力信号を比較することで、一方の受光回路の故障検知が可能になる。
またこの発明は、前記故障検知手段により前記第1の受光回路または前記第2の受光回路の故障が検知された場合に、故障していない受光回路の能動領域を広く再設定する光量範囲再設定手段を備える。
この構成では、第1の受光回路または第2の受光回路が故障したと検知した場合に、故障していない他方の受光回路の能動領域を制御して、故障した方の受光回路の能動領域を補うようにする。したがって、一方の受光回路が故障したとしても、性能低下は伴うもののレーダ装置を使用することができ、高寿命なレーダ装置を実現できる。また、突然の受光回路の故障によりレーダが使用できなくなることが無いので、このレーダ装置を用いる使用者の安全性を高めることができる。
例えば、第1の受光回路にPDを備え、第2の受光回路にAPDを備える場合には、仮に第1の受光回路が故障したとすれば、APD印加する逆バイアス電圧を抑えてAPDの感度を低下させ能動領域を広げる。また、逆に第2の受光回路が故障したとすれば、第1の受光回路のPD後段に設ける増幅回路(可変利得アンプ)の増幅率を上げて、第1の受光回路の受光感度を向上させ、能動領域を広げる。
またこの発明は、第1の受光回路と第2の受光回路それぞれの出力を合成して、前記第1の受光回路と前記第2の受光回路それぞれの能動領域にわたって光量値に比例する信号を生成する合成手段を備える。
したがって受光回路の出力信号を合成部により組み合わせてダイナミックレンジを広げた合成信号を合成することができる。これにより、屋外のような物標の反射率や物標までの距離が極めて多様であり、昼夜で背景光の強度も大きく変化する環境であっても、合成信号に基づいて物標位置を正確に計測することができる。
またこの発明は、前記故障検知手段による検知結果に従って、前記合成手段または前記光量範囲設定手段のいずれかを実行する。
したがって、一方の受光回路が故障しても、能動領域の低減を抑制できる。また、入射光のダイナミックレンジが広くても、低輝度の反射光を高精度に検出し、物標位置を正確に計測することができる。
この発明によれば、複数のフォトダイオードそれぞれの測定可能な入射光量の能動領域を異ならせて、出力信号を合成して合成信号を算出するので、低反射体を検出しながら、高反射体のピークを正確に検出することができる。また、APDのバイアス電圧を下げる必要が無く、高速信号に対する応答性を確保できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態であるレーダ装置について説明する。
図1(A)は、レーダ装置の構成を示すブロック図である。レーダ装置1は、レンズユニット11、リニアモータ12、レーザダイオード(LD)13、ドライバ14、受光回路20A,20B、CPU18、およびメモリ19を備えている。
レンズユニット11は、投光用のレンズ10Aと受光用のレンズ10Bとをそれぞれの光軸が並行になるように同じフレームに設けたものである。レンズ10Aの焦点にはLD13を設け、レンズ10Bの焦点にはPD15AおよびAPD15Bを設けている。レンズユニット11はリニアモータ12を介してCPU18に接続し、CPU18の制御によってレンズユニット11の揺動角度が設定され、レンズユニット11を(自動車進行方向に対して)左右に揺動させる。
LD13は、ドライバ14を介してCPU18に接続している。ドライバ14は、CPU18の制御に基づいてLD13の投光強度を設定し、レーザ照射指示を行う。LD13は、半導体赤外線レーザ素子であり、ドライバ14からのレーザ照射指示に基づいて、設定された投光強度でレーザを照射する。LD13の照射したレーザは、レンズユニット11の投光用レンズ10Aによってビーム状に自動車前方に照射する。上述したように、リニアモータ12によってレンズユニット11を揺動させるため、レーダ装置1は自動車前方の左右所定角度(例えば左右20度)にレーザビームを投光することになる。物標などにより反射された反射ビームは受光用レンズ10Bを経てPD15AとAPD15Bで受光する。
なお、レーザビームの投光角度が、水平(左右)方向の末端で垂直(上下)方向に変更されるようにして2次元スキャンを行うことができる。また、水平方向にのみ1次元でスキャンする場合、レンズの特性を調整して自動車前方にさらに垂直方向に幅広のレーザビームを投光し、垂直方向の投光範囲を確保すればよい。
受光回路20A,20BはそれぞれPD15A,APD15B、アンプ16A,16B、A/Dコンバータ17A,17Bを備えている。
PD15A,APD15Bは、それぞれ図1(B)に示すようにCPU18(またはCPU18の制御する電源)とグランドとの間に設けており、それぞれグランド側にアノードを接続し、CPU側にカソードを接続し、CPU18により制御された逆バイアス電圧を印加するようにしている。入射光によりPD15Aに生じる電流はカソードからアンプ16Aに、また、APD15Bに生じる電流はカソードからアンプ16Bに出力する。アンプ16Aの出力側はA/Dコンバータ17Aを介して、アンプ16Bの出力側はA/Dコンバータ17Bを介してCPU18に接続している。
この受光回路20A,20Bに用いられるPD15A,APD15Bはそれぞれ赤外線領域に感度を有するPIN型フォトダイオード,アバランシェフォトダイオードであり、PD15A、APD15Bそれぞれには、ブレークダウン電圧よりもやや低電圧の逆バイアス電圧が印加される。所定受光量の入射光による光電圧が逆バイアス電圧に加わると、合計電圧がブレークダウン電圧を超えるようにしている。合計電圧がブレークダウン電圧を超えるとブレークダウン(APDではアバランシェ現象)が生じ、受光量に応じた電流がアンプに出力される。
アンプ16A,16Bは可変利得アンプであり、PD15AとAPD15Bそれぞれの出力電流を、CPU18によって設定されるゲインで増幅する。
また、A/Dコンバータ17A,17Bは、アンプ16A,16Bそれぞれのアンプ出力を所定階調(例えば256階調)のディジタル出力に変換(正規化)する。このA/Dコンバータ17A,17Bは、上記所定階調のうち、最大値である255に対応するアンプ出力のレベルを、素子の飽和レベル(アンプ出力が受光量に対して直線性を示す上限レベル)、または現実的な受光量の上限に設定し、最小値である0に対応するレベルをスレッシュレベル(自動車前方に物体が存在すると判断可能なレベル)に設定する。なお、具体的にはCPU18で非投光時における複数回の受光量を検出し、これらの平均値とばらつき(標準偏差)に定数を乗算した値と、を加算することでスレッシュレベルを求め、A/Dコンバータ17A,17Bに設定する。
CPU18は受光回路20A,20B、および、リニアモータ12、ドライバ14、メモリ19、車両制御装置2に接続している。リニアモータ12に対しては揺動角の指示を行い、ドライバ14に対しては投光強度の指示を行う。
CPU18は受光回路20A,20Bに対して、逆バイアス電圧を調整することで受光回路20A,20Bの能動領域、特にPD15A、APD15Bの飽和レベルを制御、設定する。また、アンプ16A,16Bのゲインを調整することで、受光回路20A,20Bの能動領域、特に回路ノイズを制御、設定する。
また、CPU18は受光回路20A,20Bそれぞれからディジタル出力が入力され、そのディジタル出力をそれぞれメモリ19の複数のメモリエリアMa〜Mcに一時保存する。そして、メモリ19に記憶したディジタル出力のデータをもとに、合成信号を生成する。したがって本実施形態のCPU18は本発明の合成部でもある。CPU18は合成信号や投光強度、投光角度など各種データから認識処理や車両制御のための演算処理を行い、処理結果を車両制御装置2に出力する。
以上の構成により本実施形態のレーダ装置1を構成している。なお、本実施形態では受光回路の出力をディジタル変換してから合成する例を示しているが、アナログ信号自体を合成するようにしても良い。その場合、オペアンプを用いた合成回路により、PD15A、APD15Bのアナログの出力信号に対してゲイン調整およびバイアス調整を行ってそれぞれの出力信号を感度に応じてスケーリングし、一方のダイオードの出力信号を選択して出力するようにすると好適である。
次に、PD15A、APD15Bの受光量とアンプ16A,16Bのアンプ出力との関係を図2(A)に示す。また、PD15A、APD15Bの受光量とA/Dコンバータ17A,17Bのディジタル出力との関係を図2(B)に示す。なお、各図の横方向座標軸にはPD15A、APD15Bの受光量を対数表示している
同図(A)に図示するようにアンプ出力(PD−AMP,APD−AMP)は、回路ノイズ等が主成分となる出力波形Aと、飽和した出力波形Cと、直線性の変化を示す出力波形Bとからなる。この直線性の変化を示す受光量の領域が各受光回路の能動領域である。出力波形Aは、後段のA/Dコンバータ17A,17Bによってスレッシュレベル以下とされる受光量の領域(min(PD)やmin(APD)以下の範囲)である。また、出力波形Cは、後段のA/Dコンバータ17A,17Bによって飽和レベル以上とされる受光量の領域(max(PD)やmax(APD)以上の範囲)である。
同図(B)に示すディジタル出力(PD−A/D,APD−A/D)は、上記したように、それぞれのアンプ出力を所定階調(例えば256階調)のディジタル出力に変換し、直線性の変化を示す出力波形Bの受光量範囲の下限(min(PD),min(APD))のアンプ出力を最小値である0に変換し、上限(max(PD),max(APD))のアンプ出力を最大値である255に変換したものである。
なお、各受光回路の能動領域の上下限、即ち直線性の変化を示す出力波形Bの上下限であるmin(PD)とmin(APD)とmax(PD)とmax(APD)とは、フォトダイオードの逆バイアス電圧の制御と、アンプのゲイン制御で調整可能である。したがって、本発明ではCPU18によるゲイン制御とバイアス制御を行い、各受光回路の能動領域を設定する。CPU18はPD15Aのバイアス制御とアンプ16Aのゲイン制御により、受光回路20Aの能動領域を中受光量から高受光量までの高輝度な領域に設定する。また、APD15Bのバイアス制御とアンプ16Bのゲイン制御により、受光回路20Bの能動領域を低受光量から中受光量までの低輝度な領域に設定する。そして、受光回路20Aのみが動作する受光量領域(min(APD)〜min(PD))と、受光回路20A,20Bがともに動作する受光量領域(min(PD)〜max(APD))と、受光回路20Bのみが動作する受光量領域(max(APD)〜max(PD))と、が連続するようにしている。
受光回路20Aの測定可能な最小受光量min(PD)は、受光回路20Bの最小受光量min(APD)よりも大きく、受光回路20Aでは低輝度な反射光を検出することができないが、受光回路20Aの最大受光量max(PD)は受光回路20Bの最大受光量max(APD)よりも大きく、受光回路20Aは高輝度な反射光であっても飽和することなく検出することができる。一方、受光回路20Bは最大受光量max(APD)が受光回路20Aの最大受光量max(PD)よりも大きく、受光回路20Bでは高輝度な反射光により飽和が生じてしまう。しかし、受光回路20Bは最小受光量min(APD)が受光回路20Aの最小受光量min(PD)よりも大きく、低輝度な反射光を検出することができる。
ここで、受光回路20A,20Bのアンプ出力と物標の位置および反射率の関係を図3に示す。図3(A)は、自動車前方に存在する物体を表し、図3(B)は受光回路20Aのアンプ出力を表し、図3(C)は受光回路20Bのアンプ出力を表したものである。
図において紙面左右の方向軸が投光してからの経過時間(自動車からの距離と等価である。)を示す。また、同図(B)(C)におけるグラフの縦軸はアンプ出力を示す。この例は自動車前方に高反射体である道路標識P1が存在し、(自動車から見て)その後方に低反射体である歩行者が存在し、さらに(自動車から見て)その後方に遠方の高反射体である道路標識P2が存在する。なお、反射光受光量は物標までの距離の4乗に応じて減衰する性質をもつ。
同図(B)はPDを備える受光回路20Aにおけるアンプ出力を示し、その能動領域が高輝度領域に設定され、この例では、高反射体である道路標識P1の存在する位置からの高輝度な反射光によってアンプ出力がA/Dコンバータ17Bのスレッシュレベル、且つ飽和レベル未満となる。したがって、受光回路20Aでは道路標識P1の検出強度が極大となるピーク時が検出できる。また、低反射体である歩行者の存在する位置からの低輝度な反射光によってアンプ出力が、所定期間においてスレッシュレベル以下の値となる。したがって、受光回路20Aでは歩行者の存在を検出できない。また、遠方の高反射体である道路標識P2の存在する位置からの反射光によってアンプ出力が、所定期間においてスレッシュレベル以上の値で、且つ飽和レベル未満となる。したがって、受光回路20Aでは道路標識P2の検出強度が極大となるピーク時が検出できる。
同図(C)はAPDを備える受光回路20Bにおけるアンプ出力を示し、その能動領域が低輝度領域に設定され、自動車前方の反射体が存在する距離およびその付近において反射光が検出される。この例では、高反射体である道路標識P1の存在する位置からの高輝度な反射光によってアンプ出力がA/Dコンバータ17Bの飽和レベル以上となる。したがって、受光回路20Bでは道路標識P1の検出強度が極大となるピーク時が検出できない。また、低反射体である歩行者の存在する位置からの低輝度な反射光によってアンプ出力が、所定期間においてスレッシュレベル以上の値で、且つ飽和レベル未満となる。したがって、受光回路20Bでは歩行者の検出強度が極大となるピーク時が検出できる。また、遠方の高反射体である道路標識P2の存在する位置からの反射光によってアンプ出力が、所定期間においてスレッシュレベル以上の値で、且つ飽和レベル未満となる。したがって、受光回路20Bでは道路標識P2の検出強度が極大となるピーク時が検出できる。
仮に、単に受光回路20Aのディジタル出力だけを見ればCPU18は歩行者のスレッシュ値以上となる値が検出できず、歩行者が存在しないと判断することになる。また、単に受光回路20Bのディジタル出力だけを見ればCPU18は道路標識P1のピークを検出できず、道路標識P1の正確な距離を検出できないことになる。そこで、本発明ではCPU18で、これら受光回路20A,20Bのディジタル出力をそれぞれメモリ19のメモリエリアMb,Mcに記録し、信号合成処理を行う。信号合成処理はメモリ19に記録したディジタル出力から合成信号を生成する処理である。
ここで、図4にCPU18が行う信号合成処理のフローを示す。
(S11)CPU18はドライバ14に投光指示する。これにより、LD13がレーザを投光する。
(S12A,S12B)CPU18は、それぞれの受光回路20A,20Bが前述の能動領域になるように、PD15A、APD15Bに逆バイアス電圧を印加する。また、アンプ16A,16Bのゲインを設定する。これによりPD15A、APD15Bは上述の能動領域で自動車前方の光を受光し、電気信号を出力する。この電気信号はアンプ16で増幅され、A/Dコンバータ17でディジタル出力に変換される。
(S13A,S13B)CPU18は、受光回路20A,20Bのディジタル出力を、それぞれメモリ19のメモリエリアMb,Mcに格納する。
(S14)その後、CPU18は、メモリエリアMc(即ちAPDからのディジタル出力)に最大値である255のデータが格納されているか否かを判断する。メモリエリアMcに255未満のデータが格納されている場合は、(図3(C)に示した歩行者や道路標識P2などからの)飽和レベル以下の信号が得られたものと判断し、メモリエリアMc(即ちAPDからのディジタル出力)のデータを読出処理(S15C)する。また、メモリエリアMcに255のデータが格納されている場合は、APDからのディジタル出力として(図3(C)に示した道路標識P1などからの)飽和レベルの信号が得られたものと判断し、メモリエリアMb(即ちPDからのディジタル出力)のデータを読出処理(S15A)する。
(S15B)この場合、メモリエリアMb(即ちPDからのディジタル出力)のデータが対応する実際の反射光受光量は、メモリエリアMc(即ちAPDからのディジタル出力)のデータが対応する実際の反射光受光量よりも小さいものであるため(ここでは1/16。)に、CPU18は、メモリエリアMb(即ちPDからのディジタル出力)のデータを逓倍する。ここでは、APDを備える受光回路20Bの受光感度に比べて、PDを備える受光回路20Aの受光感度を1/16に設定しておいたために、メモリエリアMb(即ちPDからのディジタル出力)のデータを16倍する。
(S16)その後、CPU18は、新たにメモリエリアMaに、メモリエリアMb(即ちPDからのディジタル出力)のデータの値を逓倍した値、またはメモリエリアMc(即ちPDからのディジタル出力)のデータの値、を合成信号の値として格納する。すなわち、合成信号の値は以下のような数式で表される。
Ma=max(Mb*16,Mc)
ここでMcはAPDによる値、MbはPDによる値、MaはメモリエリアMaに格納すべき合成信号の値である。このようにして、合成信号を算出することで、受光量分布を正確に反映した合成信号を得ることができ、APDの飽和していた受光量についてもPDによる受光量により検出し、PDの感度不足により検出できなかった受光量についても、高感度なAPDの受光量により検出できる。
(S17)その後、CPU18は、所定回数の計測(S11〜S16の処理)を行ったか否かを判断する。この計測回数の基準はどのような数であってもよいが、例えば20回程度とする。
(S18)所定回数の計測がなされていれば、所定角度の計測を行ったか否かを判断する。上述したように、レーダ装置1は、自動車前方の左右所定角度(例えば左右20度)にレーザビームを投受光することができ、所定角度毎の領域に分割して計測を行うことができる。角度分解能は、必要とされる精度に応じて任意に設定すればよい。ここでは左右に20度の角度で計測を行ったか否か、すなわち1スキャンを完了したか否かを判断する。所定角度の計測がなされていなければ、CPU18は、リニアモータ12を駆動させて計測領域を変更し上記処理を繰り返す。
(S19)所定角度の計測がなされていれば、CPU18は、検出した物体の認識処理を行う。この認識処理は、検出した物体が人であるか、車両であるか、道路標識であるか、等を判断する処理である。CPU18は、検出した物体の情報(方向、距離、大きさ、対地速度)から物体の種類を推定する。例えばメモリ19に記録されている各物体の情報(例えば道路標識の大きさ、対地速度)と比較し、検出した物体がこれに該当する場合に物体の種類を推定する。推定した物体の情報(方向、距離、速度、種類)は、車両制御装置2に送信され、クルージングコントロールや緊急停止などに用いられる。
以上の処理により、CPU18は、合成信号から受光のタイミングを知ることができる。すなわち、CPU18は、時間継続的に受光量の情報を受信し、これらの取得タイミングを記録する。CPU18は、レーザビーム投光を指示したタイミングと受光のタイミングの時間差を測定することで物標までの距離を測定することができる。CPU18は、時間軸において検出した受光量のうちのピークを示すタイミングをその物体の存在位置として判断し、これを物体の距離として判断する。また、上述したようにCPU18は、レーザビームの照射角度を検出することができるため、これらの情報から、物体の存在およびその方向、距離を検出することができる。
また、CPU18は、物体の検出を時間継続的に複数回繰り返すことで、その物体の移動速度と移動方向(移動ベクトル)を求めることができ、同じ移動ベクトルを有する検出物を同一物体として判断することで、物体の大きさ(幅)を算出することができる。また、CPU18に車速度センサ(図示せず)を接続して自車の車速を検出することで、物体の対地速度を算出することも可能である。CPU18は、これらの物体の情報から、検出した物体が人であるか、車両であるか、道路標識であるか、等を判断して、物体の種類を認識する処理を行うことができる。
CPU18は、物体の種類を認識して、この物体の情報(方向、距離、速度、種類)を後段の車両制御装置2に送信する。車両制御装置2は、この物体の情報に基づいて、自車を先行車に追従させて車間距離を一定に保つクルージングコントロールや、歩行者との接触を避けるための緊急停止等を行う。ここで、緊急停止を行う場合、レーダレーダ装置が物体との距離を正確に測定しなければ、ブレーキが間に合わない、あるいは不要なブレーキをかけてしまうといった危険性がある。従来は、高反射体と低反射体を同時に検出できるダイナミックレンジを有するレーダ装置が無く、歩行者を検出することができない、または高反射体の位置を正確に測定することができなかった。本実施形態のレーダ装置は、受光感度の高いアバランシェフォトダイオードと受光感度の低いPIN型フォトダイオードでそれぞれ反射光の検出を同時に行い、これらの検出値を合成して仮想的にダイナミックレンジを広げることができる。
また、CPU18は、さらに故障検知処理を行なう。
ここで、図5(A)にCPU18の行う故障検知処理の判定フローを示す。
(S21)まず、CPU18はメモリエリアMc(即ちAPDからのディジタル出力)に最大値である255未満で最小値である0より大きいデータが格納されているか否かを判断する。メモリエリアMcに格納されているデータが255または0の場合には故障判定はできないので処理を終了する。
(S22)メモリエリアMcに格納されているデータが255未満で0より大きければ、次に、CPU18はメモリエリアMb(即ちPDからのディジタル出力)に最大値である255未満で最小値である0より大きいデータが格納されているか否かを判断する。メモリエリアMbに格納されているデータが255または0の場合には故障判定はできないので処理を終了する。
(S23)次に、CPU18は、メモリエリアMcに格納されているデータと、メモリエリアMbに格納されているデータとを比較し、メモリエリアMbに格納されているデータが、メモリエリアMcに格納されているデータを所定逓倍した値か否か判定する。APDを備える受光回路20Bの受光感度に比べて、PDを備える受光回路20Bの受光感度を1/16に設定しておいた場合には、その逆数である16倍にメモリエリアMb(即ちPDからのディジタル出力)のデータを逓倍し、比較する。
それらの値が等しい値の場合、受光回路20A,20Bはともに正常に動作しているとみなすことができる。一方、それらの値が等しくない場合、一方の受光回路は故障していると判断できる。
ここで、図5(B)にCPU18の行う故障と判定された場合の能動領域の再設定の判定フローを示す。
(S25)まず、CPU18はディジタル出力の波形などからいずれの受光回路が故障しているかを特定する。
(S26A)APD側、即ち受光回路20Bが故障している場合には、受光回路20Aの能動領域の再設定を行う。PD15Aの逆バイアス電圧を増圧したり、アンプ16Aのゲインを増加させたりすることで受光回路20Aの受光感度を高感度にし、低輝度な反射光であっても検出できるようにする。
(S26B)PD側、即ち受光回路20Aが故障している場合には、受光回路20Bの能動領域の再設定を行う。APD15Bの逆バイアス電圧を降圧したり、アンプ16Bのゲインを減少させたりすることで受光回路20Bの感度を低感度にし、高輝度な反射光であっても飽和することが無いようにする。
なお、一般にAPDは、温度変化に対する受光感度の変動が大きく、通常、バイアス電圧を温度センサにより制御することで温度補償が行われる。したがって本実施形態においても、APDに与える逆バイアス電圧を、温度センサの出力により温度補償することで、受光回路20Bの出力を温度変化に対して安定させるようにしてもよい。
しかしながら、本発明を用いれば、温度センサを用いずに温度補償処理を行うこともできる。一般にPDは温度変化に対する出力変動が少なく、したがってPDの出力を用いてAPDの温度補償をすることが可能である。
以下、図6(A)に基づいて、その場合の処理フローを説明する。
(S31)まず、CPU18はメモリエリアMc(即ちAPDからのディジタル出力)に最大値である255未満で最小値である0より大きいデータが格納されているか否かを判断する。メモリエリアMcに格納されているデータが255または0の場合には温度補償はできないので処理を終了する。
(S32)メモリエリアMcに格納されているデータが255未満で0より大きければ、次に、CPU18はメモリエリアMb(即ちPDからのディジタル出力)に最大値である255未満で最小値である0より大きいデータが格納されているか否かを判断する。メモリエリアMbに格納されているデータが255または0の場合には温度補償はできないので処理を終了する。
(S33)次に、CPU18は、メモリエリアMcに格納されているデータと、メモリエリアMbに格納されているデータとを比較し、メモリエリアMbに格納されているデータが、メモリエリアMcに格納されているデータを所定逓倍した値か否か判定する。APDを備える受光回路20Bの受光感度に比べて、PDを備える受光回路20Bの受光感度を1/16に設定しておいた場合には、その逆数である16倍にメモリエリアMb(即ちPDからのディジタル出力)のデータを逓倍し、比較する。
それらの値が等しい値の場合、受光回路20A,20Bはともに正常に動作しているとみなすことができる。一方、それらの値が等しくない場合、受光回路20Bには温度変化による受光感度の変動が生じていると判断できる。
そこで、このように温度変化による受光感度の変動が生じている場合、図6(B)に示す温度補償処理を行う。
(S35)まず、CPU18はメモリエリアMbに格納されているデータ、即ちPD側の受光回路20Aのディジタル出力から、APD側の受光回路20Bで温度補償が正確に行われた場合のディジタル出力を予測する。具体的には、メモリエリアMbに格納されているデータの値を所定逓倍した値を、温度補償が正確に行われた場合のAPD側の受光回路20Bのディジタル出力とする。APDを備える受光回路20Bの受光感度に比べて、PDを備える受光回路20Bの受光感度を1/16に設定しておいた場合には、その逆数である16倍にメモリエリアMb(即ちPDからのディジタル出力)を逓倍したデータを予測値とする。
(S36)次に、CPU18は、予測したMc′の値と、実際のメモリエリアMcの値を比較し、McをMc′にするために必要なAPD15Bの逆バイアス電圧を算定し、逆バイアス電圧を再設定する。
このようにして温度センサを用いずに温度補償を行うことができる。
なお、本発明の実施形態では、レーダ装置を自動車に適用した例を示したが、自動車以外に、鉄道車両、船舶等に適用することも可能である。また、本実施形態においては赤外光を用いるレーダ装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、可視光などで前方をスキャンするレーダ装置であってもよい。
レーダ装置の構成を示すブロック図である。 受光回路のディジタル出力を説明する図である。 受光回路のディジタル出力を説明する図である。 CPUの信号合成処理を説明するフローである。 CPUの故障判定処理を説明するフローである。 CPUの温度補償処理を説明するフローである。
符号の説明
1−レーダ装置
2−車両制御装置
10−レンズ
11−レンズユニット
12−リニアモータ
13−レーザダイオード
14−ドライバ
15−フォトダイオード
16−アンプ
17−A/Dコンバータ
18−CPU
19−メモリ
20−受光回路
Ma,Mb,Mc−メモリエリア
A,B,C−出力波形
P1,P2−道路標識

Claims (8)

  1. 物標に対して照射光を照射するレーザダイオードと、入射光を信号に変換する受光回路と、を備えるレーダ装置において、
    第1の受光回路と第2の受光回路とを備え、
    各受光回路の、入射光の光量値に比例した信号を出力可能な光量値の範囲である能動領域が、前記第1の受光回路より前記第2の受光回路で低輝度であることを特徴とするレーダ装置。
  2. 前記第1の受光回路と前記第2の受光回路それぞれの能動領域は、オーバーラップした領域を有する請求項1に記載のレーダ装置。
  3. 前記第1の受光回路はPIN型フォトダイオードを備えるものであり、前記第2の受光回路はアバランシェフォトダイオードを備えるものである請求項1または2に記載のレーダ装置。
  4. 前記第1の受光回路と前記第2の受光回路それぞれの能動領域を満足する光量値の入射光に対する前記第1の受光回路の出力に基づいて、前記第2の受光回路に備える前記アバランシェフォトダイオードの逆バイアス電圧を逐次制御する請求項3に記載のレーダ装置。
  5. 前記第1の受光回路と前記第2の受光回路それぞれの能動領域を満足する光量値の入射光に対する、前記第1の受光回路と前記第2の受光回路それぞれの出力から、前記第1の受光回路または前記第2の受光回路の故障検知を行う故障検知手段を備える請求項2〜4に記載のレーダ装置。
  6. 前記故障検知手段により前記第1の受光回路または前記第2の受光回路の故障が検知された場合に、故障していない受光回路の能動領域を広く再設定する光量範囲再設定手段を備える請求項5に記載のレーダ装置。
  7. 第1の受光回路と第2の受光回路それぞれの出力を合成して、前記第1の受光回路と前記第2の受光回路それぞれの能動領域にわたって光量値に比例する信号を生成する合成手段を備える請求項4〜6のいずれかに記載のレーダ装置。
  8. 前記故障検知手段による検知結果に従って、前記合成手段または前記光量範囲再設定手段のいずれかを実行する請求項7に記載のレーダ装置。
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