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JP2008018640A - 樹脂成形体及びその製造方法、並びに筐体 - Google Patents

樹脂成形体及びその製造方法、並びに筐体 Download PDF

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Takayuki Kobayashi
孝之 小林
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Abstract

【課題】実際の素材を用いることなく、素材の質感をよりリアルに表現した筐体を提供する。
【解決手段】筐体10は、樹脂成形体11と、樹脂成形体11の表面に形成された塗膜12とから成る。樹脂成形体11の表面には、布地の凹凸形状を模した凹凸形状が形成されており、且つ、凹凸形状に合わせて布地の色及び模様がプリント印刷で描かれている。塗膜12は、布地に対応した低い弾力性を有する紫外線硬化型の樹脂から成る。
【選択図】図2

Description

本発明は、樹脂成形体及びその製造方法、並びに筐体に関し、更に詳細には、樹脂成形体で形成された筐体の表面のデザイン性を高める技術に関する。
携帯電話等の携帯型電子機器では、その付加価値を高めるには、機器自体の性能を高めると共に、筐体のデザイン性を高めることが重要である。携帯型電子機器の筐体は、一般に、射出成形技術によって形成された樹脂成形品から成り、その表面には塗装が施されている。
携帯型電子機器では、例えば使用者に柔らかな質感を与えることを目的として、筐体の表面に布地などの立体的な紋様で装飾したいことがある。そのような筐体の製造に際しては、従来、接着剤等を用いて布地を樹脂成形品の表面に直接に貼り付ける手法や、射出成形空間であるキャビティの内部に布地を予め挟んでおき、樹脂と一体的に成形する手法(インサート成形)が採用されていた。しかし、これら実際の布地を用いる手法では、筐体のコーナー部分で布地に皺が発生して、外観の均一性が損なわれるといった難点があった。
上記に対して、特許文献1は、実際の布地に代えて、布地の模様が印刷されたフィルムを用いてインサート成形を行うことを提案している。
特開2002−293097号公報
特許文献1に記載の方法では、布地の模様が印刷されたフィルムを樹脂成形体の表面に貼付することによって、布地を視覚的に表現できる。また、フィルムに、可撓性を有する柔らかい材料を用いることによって、筐体のコーナー部分における皺の発生を抑制できる。しかし、携帯型電子機器のデザイン性を更に高めるためには、布地を平面的に表現するだけでなく、立体的に表現することによって、布地の質感をよりリアルに表現することが望まれる。
本発明は、上記に鑑み、実際の素材を用いることなく、素材の質感をよりリアルに表現した樹脂成形体及びその製造方法、並びに筐体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の樹脂成形体は、表面に所定の装飾が施された樹脂成形体であって、
前記樹脂成形体の表面には、前記装飾に対応した凹凸形状が形成されており、且つ、該凹凸形状に合わせて前記装飾に対応した模様が形成されていることを特徴とする。また、本発明の筐体は、上記樹脂成形体で形成されたことを特徴とする。
本発明に係る樹脂成形体の製造方法は、上記樹脂成形体を製造する方法であって、
前記凹凸形状を形成した第1の金型と、該第1の金型に対向する第2の金型とを用いて前記樹脂成形体を成形するときに、前記模様がプリントされたフィルムを前記第1の金型側に配置し、該フィルムから前記樹脂成形体の凹凸形状が形成される表面に前記模様を転写することを特徴とする。
本発明の樹脂成形体によれば、樹脂成形体の表面に、模様に合わせて凹凸形状が形成されることによって、装飾を立体的に表現し、樹脂成形体又は筐体のデザイン性を高めることが出来る。なお、本発明で使用する用語「模様」は色を含んでもよい。
本発明の樹脂成形体の好適な態様では、前記装飾は、実在する素材を表現した装飾である。素材の質感をリアルに表現できる。素材としては、例えば布地や動物の体表面などの柔らかなものが好適であり、その柔らかな質感を効果的に表現できる。本発明の樹脂成形体の好適な態様では、表面には、更に前記装飾に対応した弾力性を有する塗膜が形成されている。表面に触れた際に、装飾に対応した触感を与えることが出来ると共に、樹脂成形体の表面にキズや汚れが生じることを抑制できる。
本発明の樹脂成形体の好適な態様では、前記模様は、プリント印刷で形成されている。プリント印刷の高い技術を用いて、実在する素材の模様に近い模様を形成できる。或いは、前記模様は、樹脂成形体の表面に貼付されたフィルムに形成されている。表面に触れた際の触感をより柔らかくできる。フィルムに形成された模様も、プリント印刷で形成されてもよい。
本発明に係る樹脂成形体の製造方法によれば、樹脂成形体を成形するときに、第1の金型に凹凸形状を形成すると共に、模様がプリントされたフィルムから樹脂成形体の凹凸形状が形成される表面に模様を転写することによって、本発明の樹脂成形体を製造できる。また、別の製造方法では、樹脂成形体を成形するときに、模様がプリントされたフィルムを樹脂成形体の凹凸形状が形成される表面に貼付してもよい。
以下に、図面を参照し、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る携帯電話の筐体について、その前面側の部分の構成を示す斜視図である。筐体10を構成する樹脂成形体の表面には、縦糸と横糸とで編み上げられた布地の立体的な装飾が施されている。筐体10の中央には液晶表示パネルを露出させるための窓13が形成されている。
図2は、図1のII−II線に沿った断面を示す断面図である。筐体10は、樹脂成形体11と、樹脂成形体11の表面に塗布された塗膜12とから構成されている。樹脂成形体11の表面には、布地の凹凸形状を模した凹凸形状が形成されており、且つ、その凹凸形状に合わせて、布地の色及び模様がプリント印刷で描かれている。塗膜12は、布地に対応した低い弾力性を有する紫外線硬化型樹脂から成り、10〜15μm程度の厚みを有する。塗膜12は、筐体10の表面を柔らかくすると共に、樹脂成形体11の表面にキズや汚れが生じることを抑制する。
本実施形態の筐体10によれば、樹脂成形体11の表面に布地の凹凸形状を模した凹凸形状が形成され、且つ、その凹凸形状に合わせて布地の色及び模様がプリント印刷で描かれているので、実際の布地を用いることなく、布地を立体的に表現できる。従って、筐体10表面の凹凸形状や模様によって得られる立体的な視覚と、筐体10表面の凹凸形状や柔らかな塗膜12によって得られる触覚とが相まって、布地の柔らかい質感をよりリアルに表現できる。
筐体10の製造に際しては、先ず、インモールド成形によって、布地を模した凹凸形状及び色付けされた模様を表面に有する樹脂成形体11を形成する。次いで、樹脂成形体11の表面に対する塗装を行い、塗膜12を形成する。
図3は、インモールド成形に用いる、射出成形装置の構成を示す側面図である。射出成形装置20は、相互に対向する一対の金型21,22を備え、固定側金型(第1金型)21は固定部23によって、可動側金型(第2金型)22は可動部24によってそれぞれ保持されている。可動部24は、第2金型22を、矢視25の方向に移動させ、第2金型22の表面を第1金型21の表面に当接させることが出来る。
第2金型22の表面が第1金型21の表面に当接した状態で、それらの間には、樹脂成形体11の形状に対応した形状を有する射出成形空間(キャビティ)26が形成される。第1金型21側のキャビティ26の表面には、布地の凹凸形状に対応した凹凸形状が形成されており、第2金型22には、キャビティ26内に樹脂溶剤を射出するための図示しない射出孔が形成されている。
射出成形装置20は、一対のフィルム送出部27及びフィルム巻取部28を備え、フィルム送出部27及びフィルム巻取部28は、帯状フィルム29が一対の金型21,22の間に位置するように保持している。帯状フィルム29は、フィルム送出部27及びフィルム巻取部28の内部で巻回されており、フィルム巻取部28が帯状フィルム29を巻き取ることによって、矢視30の方向に、帯状フィルム29をフィルム巻取部28側に少しずつ移動させることが出来る。
帯状フィルム29の第2金型22側の表面には、その側縁部を除き、プリント印刷によって布地の色及び模様がプリントされている。帯状フィルム29は、伸縮し易い材料から成り、例えばポリエステルから成る。また、100μm程度の厚みを有する。なお、プリント印刷以外にも、種々の印刷技術を用いてもよい。
第2金型22の表面では、その周縁部に円柱状のガイド31が突出している。第1金型21及び固定部23の周縁部には、ガイド31に対応する図示しないガイド収容孔が形成されており、ガイド31は、第2金型22が第1金型21に接近した際に、ガイド収容孔に収容される。
図4は、図3の射出成形装置を用いて樹脂成形体11を形成する手順を示すフローチャートである。インモールド成形に先立って、フィルム送出部27及びフィルム巻取部28は、帯状フィルム29を矢視30の方向に移動させ、帯状フィルム29にプリントされた模様を第1金型21側のキャビティ26の表面に形成された凹凸形状に合わせる位置合わせを行う(ステップS11)。
インモールド成形に際して、可動部24は、図5に示すように、第2金型22を第1金型21の側へ移動させ、帯状フィルム29を介して、第2金型22の表面を第1金型21の表面に当接させる。第1金型21と第2金型22との間にキャビティ26が形成された状態で、可動部24は、射出孔を介してキャビティ26の内部に樹脂溶剤を射出する。これによって、キャビティ26の形状に対応した樹脂成形体11を形成すると共に、射出された樹脂溶剤の熱によって帯状フィルム29の表面にプリントされた色及び模様を樹脂成形体11の表面に転写する(ステップS12)。
キャビティ26のコーナー部は、樹脂成形体11のコーナー部に対応した丸みを有しており、また、帯状フィルム29が伸縮し易い材料で構成されているため、インモールド成形に際して、帯状フィルム29に皺が生じることはない。インモールド成形が終わった後、第1金型21の表面に樹脂成形体11を付着させたまま、可動部24が第2金型22を第1金型21から引き離す。引き続き、可動部24の図示しない装置が、第1金型21の表面から樹脂成形体11を取り外す(ステップS13)。
塗装に際しては、樹脂成形体11の表面に紫外線硬化型樹脂を塗布した後、紫外線照射によって塗布した紫外線硬化型樹脂を硬化させる。これによって、塗膜12を形成し、図1、2に示した筐体10を形成する。紫外線硬化型樹脂には、無色透明又は有色透明の樹脂を用いる。
本実施形態に係る筐体の製造方法によれば、第1金型21側のキャビティ26の表面に、布地の凹凸形状を模した凹凸形状を形成すると共に、第1金型21側のキャビティ26の凹凸形状と帯状フィルム29の模様とを合わせてインモールド成形を行うことによって、表面の凹凸形状と模様とを合わせた樹脂成形体11を形成できる。
インモールド成形に際しては、容易に伸縮する帯状フィルム29を用いると共に、キャビティ26のコーナー部分に丸みを持たせることによって、そのコーナー部分で帯状フィルム29に皺が発生することを抑制できる。これによって、筐体10の外観の均一性を保つことが出来る。また、インモールド成形は、インサート成形よりもフィルムの厚みを小さくできるので、より小さな凹凸形状を有する装飾に対応させることが出来る。
図6は、上記実施形態の変形例に係る筐体の構成を、図2に対応する断面で示す断面図である。筐体14は、樹脂成形体11と塗膜12との間にフィルム15が形成されている点、及び、布地の色及び模様がフィルム15の外側の表面に描かれていることを除いては、図1、2に示した筐体10と同様の構成を有している。
筐体14の製造に際しては、帯状フィルム29を用いたインモールド成形に代えて、樹脂成形体11の表面形状に対応した寸法を有するフィルム15を用いてインサート成形を行う。フィルム15には、予め布地の色及び模様をプリントしておき、第1金型21の凹凸形状に対応した凹凸形状を形成しておく。凹凸形状は、その模様に合わせて形成する。図4のステップS12のインサート成形に先立って、所定の装置を用いてフィルム15を第1金型21の表面にその凹凸形状に合わせて載置する。フィルム15には、容易に伸縮する材料を用い、例えばポリカーボネートを用いる。フィルム15の厚みは、第1金型21の表面に載置する際の作業性を高めると共に、インサート成形の際の変形を抑えるために、インモールド成形の際よりも厚く設定し、例えば200〜300μm程度とする。
ステップS12のインサート成形に際して、キャビティ26の形状に対応した樹脂成形体11を形成すると共に、射出された樹脂溶剤の熱によって、樹脂成形体11の表面にフィルム15を貼付する。本変形例の筐体14によれば、樹脂成形体11と塗膜12との間に、容易に伸縮するフィルム15を介在させることによって、筐体14の表面をより柔らかく出来る。
なお、上記実施形態や変形例では、筐体に布地の装飾を施すものとしたが、装飾は布地に限らない。例えば動物の体表面を装飾しても、動物の体表面の柔らかな質感をリアルに表現できる。塗膜12は紫外線硬化型樹脂で形成したが、紫外線硬化型樹脂に限らず、2液硬化型樹脂などを用いてもよい。素材に対応した弾力性を有する樹脂を素材の種類に応じて採用することによって、筐体の表面に触れた際に、素材に対応した触感を効果的に与えることが出来る。
上記実施形態や変形例では、筐体は、携帯電話の筐体を構成するものとしたが、携帯電話に限らず、例えばデジタルカメラ、携帯ゲーム機、又は、ミュージックプレーヤ等の種々の携帯型電子機器の筐体に適用できる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明に係る樹脂成形体及びその製造方法、並びに筐体は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施した樹脂成形体及びその製造方法、並びに筐体も、本発明の範囲に含まれる。
本発明の一実施形態に係る筐体の構成を示す斜視図である。 図1のII−II線に沿った断面を示す断面図である。 インモールド成形に用いる射出成形装置の構成を示す側面図である。 図3の射出成形装置を用いて樹脂成形体を形成する手順を示すフローチャートである。 図3の射出成形装置を用いてインモールド成形を行う状態を示す側面図である。 実施形態の変形例に係る筐体の断面を示す断面図である。
符号の説明
10:筐体
11:樹脂成形体
12:塗膜
13:窓
14:筐体
15:フィルム
20:射出成形装置
21:固定側金型(第1金型)
22:可動側金型(第2金型)
23:固定部
24:可動部
25:第2金型の移動方向
26:キャビティ
27:フィルム送出部
28:フィルム巻取部
29:帯状フィルム
30:帯状フィルムの移動方向
31:ガイド

Claims (7)

  1. 表面に所定の装飾が施された樹脂成形体であって、
    前記樹脂成形体の表面には、前記装飾に対応した凹凸形状が形成されており、且つ、該凹凸形状に合わせて前記装飾に対応した模様が形成されていることを特徴とする樹脂成形体。
  2. 前記装飾は、実在する素材を表現した装飾である、請求項1に記載の樹脂成形体。
  3. 表面には、更に前記装飾に対応した弾力性を有する塗膜が形成されている、請求項1又は2に記載の樹脂成形体。
  4. 前記模様は、プリント印刷で形成されている、請求項1〜3の何れか一に記載の樹脂成形体。
  5. 前記模様は、樹脂成形体の表面に貼付されたフィルムに形成されている、請求項1〜3の何れか一に記載の樹脂成形体。
  6. 請求項1〜5の何れか一に記載の樹脂成形体で形成されたことを特徴とする筐体。
  7. 請求項1〜4の何れか一に記載の樹脂成形体を製造する方法であって、
    前記凹凸形状を形成した第1の金型と、該第1の金型に対向する第2の金型とを用いて前記樹脂成形体を成形するときに、前記模様がプリントされたフィルムを前記第1の金型側に配置し、該フィルムから前記樹脂成形体の凹凸形状が形成される表面に前記模様を転写することを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
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