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JP2008014281A - 過給機付き内燃機関の制御装置 - Google Patents

過給機付き内燃機関の制御装置 Download PDF

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JP2008014281A
JP2008014281A JP2006188818A JP2006188818A JP2008014281A JP 2008014281 A JP2008014281 A JP 2008014281A JP 2006188818 A JP2006188818 A JP 2006188818A JP 2006188818 A JP2006188818 A JP 2006188818A JP 2008014281 A JP2008014281 A JP 2008014281A
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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)

Abstract

【課題】過給機を備えた内燃機関でトルク段差の発生を抑制して、内燃機関を円滑に駆動させる制御装置を提供する。
【解決手段】過給機5を備えた内燃機関1Aの制御装置であって、前記内燃機関を制御して発生させるトルクを調整するトルク制御手段10Aを備え、前記トルク制御手段は、前記過給機が始動されたときに当該過給機が立上がるときを検出し、前記過給機の始動時から立上がる時までのトルク段差の発生を抑制する。内燃機関の出力状態を緩やか(スムーズ)なものとして円滑に駆動させることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、過給機付き内燃機関の制御装置に関する。より詳細には、過給機の始動に伴って発生するトルク段差(変動)を抑制して内燃機関を円滑に駆動させる制御装置に関する。
近年、過給機を備えた内燃機関が車両用として採用され、広く搭載されるようになっている。過給機を備えた内燃機関は吸気を過給することによって通常よりも大きなトルクを発生させることができるので、車両の加速性能を向上させることができる。しかし、過給機を始動するときには内燃機関側の力を利用して過給のための動作を開始することが必要である。そのため、過給機を始動させることは内燃機関への一定の負荷となってしまう。
過給機が始動されたときには、例えば内燃機関の吸入空気量が一時的に減少する。そのため過給機が始動されたときには、内燃機関のトルクが一時的に低下し、その後に過給機が立上がる(過給機が実質的に機能し始める)とトルクが上昇に転じる現象(以下、トルク段差と称す)が現れる場合が多い。トルク段差を発生させる内燃機関を搭載した車両は、過給機の始動時に加速度の段差(息つき)が発生し易いので車両の加速感やドライバビリティ(運転操作性)が悪いものとなり、商品性が低いものと評価されてしまう。
そこで、例えば特許文献1は機械式の過給機を備えた内燃機関に関して、過給機の駆動開始時に生じるトルク段差を解消する制御装置について開示する。この制御装置は内燃機関から過給機に伝達する回転力を断続するクラッチを備えている。この制御装置は、上記クラッチを接続して内燃機関の回転力を過給機に伝達するときに、スロットルバルブの開度を増加させて吸入空気量を増やすようにしている。これにより過給機を始動するときに発生するトルク段差を抑制している。その結果、内燃機関を搭載した車両に生じる加速度の段差を抑制できる。
特開平10−77871号公報
近年、始動を円滑に行えるように駆動アシスト機能を備えた過給機が提案されるようになっている。このような過給機は回転軸に回転補助用のモータ等を備えている。補助モータなどを備えて過給機であれば、従来より短時間で過給機を立上げることができ、また始動に際して内燃機関に与える影響を抑制できるので好ましい。しかしながら、上記特許文献1の技術はこのようなアシスト機能付きの過給機については配慮していない。そのため、吸入空気量を増やすタイミングとアシスト機能を作用させるタイミングとの調整を誤ると、却ってトルク段差が生じてしまう可能性がある。また、特許文献1は内燃機関の点火時期によりトルク段差を抑制することなどについても検討されていない。このように、特許文献1の技術では、種々ある過給機付きの内燃機関を確実に円滑に駆動することについて十分な検討がなされていない。
したがって、本発明の目的は、過給機を備えた内燃機関でトルク段差の発生を抑制して、内燃機関を円滑に駆動させる制御装置を提供することを目的とする。
上記目的は、過給機を備えた内燃機関の制御装置であって、前記内燃機関を制御して発生させるトルクを調整するトルク制御手段を備え、前記トルク制御手段は、前記過給機が始動されたときに当該過給機が立上がるときを検出し、前記過給機の始動時から立上がる時(過給機が実質的に機能して内燃機関のトルクを増加させる時)までのトルク段差の発生を抑制することを特徴とする過給機付き内燃機関の制御装置により達成される。
トルク制御手段が、過給機が始動されたときに当該過給機が立上がるとき、すなわち実際に過給機が機能してトルクを増加させる時期を検出し、始動時から立上がる時までのトルク段差の発生を確実に抑制する。よって、内燃機関の出力状態を緩やか(スムーズ)なものとして円滑に駆動させることができる。
そして、前記過給機が駆動アシスト手段を備えた駆動アシスト式過給機であって、前記トルク制御手段は、前記過給機の標準動作時よりも早い時期から前記駆動アシスト手段を駆動させて、前記トルク段差の発生を抑制する過給機付き内燃機関の制御装置でもよい。この場合、駆動アシスト手段を早期に駆動することでトルク段差の発生を抑制できる。
また、前記トルク制御手段は、前記内燃機関から発生させるトルクを予め抑制することにより、前記トルク段差の発生を抑制する過給機付き内燃機関の制御装置でもよい。この場合、過給機の立上がり前に、トルクが一旦、低下することを想定して発生させるトルクを抑制するのでトルク段差の発生を抑制できる。
そして、前記トルク制御手段は、前記内燃機関の点火時期を遅角させて発生させるトルクを抑制するようにしてもよい。
また、前記トルク制御手段は、前記内燃機関へ供給する吸入空気量を減少させて発生させるトルクを抑制するようにしてもよい。この場合、前記トルク制御手段は、アクセル開度から定まる吸入空気量より少ない吸入空気量となるようにスロットルバルブ開度を維持し、前記トルク段差が抑制されるタイミングで前記吸入空気量を増加させてもよい。
本発明によると、過給機を備えた内燃機関でトルク段差の発生を抑制して、内燃機関を円滑に駆動させる制御装置を提供できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る内燃機関の制御装置について説明する。この制御装置は過給機の始動時に発生し易いトルク段差を抑制して、内燃機関の出力の安定化を図るものである。
実施例1は、駆動アシスト式の過給機が適用されている内燃機関(以下、エンジンと称す)に係るものである。なお、過給機には機械駆動式のスーパーチャージと、エンジンの排気ガスでタービンを回転させるターボチャージャとがある。本実施例1はターボチャージャの場合について説明する。そして、このターボチャージャは、タービン回転を補助する駆動補助モータ(MA)を備えたアシスト式の過給機である。図1は、実施例1に係る制御装置が適用されているターボチャージャ付きエンジン1Aの周辺構成について示したブロック図である。
エンジン1Aには、気筒内に吸入空気を供給する吸気管2と、気筒内で発生した排気ガスを排出するための排気管3とが接続されている。吸気管2には上流側から電子式のスロットルバルブ4(以下、単にスロットル4と称す)、ターボチャージャ5が配置されている。なお、ターボチャージャ5は排気管3側を流れる排気ガスの流れを利用して吸気管2内を流れる吸入空気を過給する装置であり、排気管3側にも接続されている。しかし、図1では作図上の都合で、この部分の配管の図示を省略してある。また、運転者によって踏み込まれ、スロットル4の開度調整に反映されるアクセルペダル6(以下、単にアクセル6と称す)が配備されている。
エンジン1Aのピストンに接続されたクランクシャフト20が回転して車両の駆動源となる。クランクシャフト20は、例えばトルクコンバータ21(以下、トルコン21と称す)を介して駆動軸22に接続されている。この駆動軸22はトランスミッション(T/M)23を介して駆動輪25を回転するドライブシャフト24に接続されている。
そして、上記吸気管2にはエアフローメータ7が配備されており、その内部を流れている吸入空気量(MAF)が検出されている。また、ターボチャージャ5にはターボ回転数(TAF)を検出するターボ回転数センサ8が配備され、アクセル6にはアクセル開度(ACT)を検出するアクセル開度センサ9が配備されている。また、クランクシャフト20の回転数をエンジン回転数(NE)として検出するクランク角センサ26、及び駆動軸22の回転数をトランスミッションの入口回転数(NM)として検出するミッション回転数センサ27が配備されている。上記各センサ7〜9、26,27からの出力信号は制御装置となるECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)10に供給されている。ECU10Aは、これらの出力信号に基づいてエンジン1Aの駆動を制御する。
そして、本実施例におけるECU10Aは、特にターボチャージャ5を始動させたときに発生するトルク段差を抑制するトルク制御手段として機能する。前述したように、ターボチャージャ5は始動アシスト機能を備えた過給機で、駆動アシスト手段となるアシストモータ15(以下、MA15と略す)を備えている。ECU10Aは、後述するように標準動作時よりも早い時期にMA15を駆動させることによりターボチャージャ5の始動に伴って発生するトルク段差を抑制する。
ECU10Aの詳細な構成については図示を省略するが、CPU(Central Processing Unit)を中心に形成したマイコンである。ECU10Aは、トルク段差抑制に関するプログラムやこのプログラムを実行する際に用いる一連のデータを格納したROM及び処理領域を提供するRAMなどの記憶部を備えている。ECU10Aは、内燃機関1側のECUを流用することにより実現してもよいし、トルク段差を抑制するための専用ECUを準備して制御装置を実現するようにしてもよい。
ここで、ターボチャージャ5の始動に伴って発生するトルク段差を抑制するため、上記ECU10Aが実行する制御の概要について図を参照して説明する。図2は、ターボチャージャ5に設けたアシストモータ(MA)を駆動させるタイミングを変えることによって、トルク段差を抑制する様子を説明するために示した図である。なお、エンジン1Aが回転して発生させたトルクに基づいて、このエンジン1Aを搭載した車両が加速される。すなわち、車両の加速度に段差が発生するのは、エンジン側のトルク段差に基づくものである。よって、車両で問題となる加速度の段差をエンジン1Aが備えるターボチャージャ5を始動させたときのトルク段差として説明する。
図2では、比較例として一般的な動作でターボチャージャが始動されたときの曲線C1を示している。この曲線C1は、時間Aでアクセルが踏込まれ加速要求があることを確認し、ターボチャージャ5を始動させた(スイッチオンとした)場合を示している。この後に、時間Bとなったときからターボチャージャ5により過給するための動作が開始される。上記時間Bを一般的なターボチャージャの標準動作時である。時間Bからその後の一定時間、時間Cまでは一旦トルクが低下する。時間Cになったときが、ターボチャージャ5が立上がるとき(機能するとき)である。このように、比較例C1の場合はエンジンが発生させるトルクの増大に伴ってトルクが上昇する。しかし、時間Bでターボチャージャ5が動作を開始すると、エンジン側に流れる吸入空気が減少するので一時的にトルクが減少して、図示のようにトルク段差STが発生することになる。これが先に課題で説明した車両の商品性を低下させる加速度の段差となる。
なお、図1で説明したように、ターボチャージャ5は回転アシストモータ15(MA15)を備えるので、アシスト機能を備えていな一般的なターボチャージャと比較した場合にはトルク変動を抑制しながらの始動を行える。標準動作時となる時間BにおいてMA15の駆動を開始することで、図2に示すトルク段差STの幅(深さ)が小さくなるように抑制できる。しかし、このような一般的なMA15の駆動では、トルク段差STの発生自体を抑制するまでの効果は期待できない。
上記比較例の問題を解消するのが、曲線C2で示す実施例1の場合である。ECU10Aはターボチャージャ5の動作直前におけるトルク(ピークトルクと称す)と、そのときの時間Bを確認する。そして、ECU10Aは時間Bからトルクが減少に転ずることを想定し、時間Bよりも所定時間TLだけ早めにMA15を始動させる。ここで時間Bはターボチャージャ5の一般的な作動開始時(標準動作時)であり、従来にあっては、この標準動作時からエンジンのトルクが減少してトルク段差となっていた。すなわち、時間Bからトルク段差が開始する状態となっていた。そこで、本実施例ではECU10Aが標準動作時Bとそのときのトルク(上記ピークトルク)を確認し、標準動作時Bよりも所定時間TL早い時間DからMA15を駆動させてトルクが減少することが無いように準備する。ECU10Aがこのようなトルク調整を行うので、トルクがピークトルクより減少するのを抑制できる。よって、実施例1の制御装置によるとトルク段差STの発生を抑制したスムーズな曲線C2得ることができるので、ターボチャージャ5を起動させた場合でもエンジン1Aを円滑に駆動できる。
図3は、ECU10Aがトルク段差抑制のルーチンを実行したときの一例のフローチャートである。この処理は、例えば車両側のイグニッションキーがオンされたときなどに起動される。ECU10Aはアクセル開度センサ9の出力からアクセル開度を確認し(S11)、アクセルの開度状態に基づいて加速度要求がある(すなわち、ターボチャージャ5が始動された)か否かを判断する(S12)。このステップS12で加速度要求が無い(No)と判断した場合にはこのルーチンを終了する。
上記ステップS12で加速度要求ありとの判断をした場合には、ECU10Aはクランク角センサ26によりエンジン回転数NEを確認すると共に、ミッション回転数センサ27によりミッション入口回転数NMを確認する(S13)。そして、ECU10Aは、所定のマップに基づいてアクセル6が踏込まれた時間Aから車両の加速度がピークとなる時間Bを求める(S14)。前述したように、ECU10Aはターボチャージャ5の始動直前でのピークトルクの時間Bを求める。ここではエンジン回転数NEとミッション入口回転数NMとに基づいて時間Aから時間Bまでの時間を検出する場合の例を示している。例えば図4で示すような、エンジン回転数とミッション入口回転数とから時間Bを求める時間算出マップを予め準備する。このマップをECU10Aの記憶部に記憶しておけばよい。
ECU10Aは、上記ステップS14で時間Bを確認すると、これに引続いて時間Bからアシストモータ(MA15)を作動させるまでにかかる所定時間TLを引いて早期の時間Dにオン(駆動)させる(S15)。このようにMAを通常(標準動作時B)より早期に駆動させることで、ターボチャージャ5が実質的に始動されたときにトルクが減衰するのを抑制して、トルク段差の発生を抑制できる。
上記実施例1は過給機がターボチャージャであって、その回転軸の駆動を補助するモータ(MA15)を駆動アシスト手段とした場合について説明したが、過給機が機械駆動式のスーパーチャージャーでクラッチを接続する場合に置き換えることができる。スーパーチャージャーでクラッチを接続するタイミングを通常より早めとする制御を実行することで、上記実施例1と同様の効果を期待できる。
図面を参照して、更に他の実施例を説明する。上記実施例1はターボチャージャ5が駆動アシスト手段となるアシストモータ(MA15)を備えていた。そして、トルク制御手段としてのECU10Aが、MA15を通常よりも早期に駆動させることによりトルク段差の発生を抑制することで、エンジン1Aを円滑に駆動させる。これに対して、以下で示す実施例はアシスト機能を備えていない一般的なターボチャージャが適用されているエンジンの制御装置に係るものである。
本実施例2の制御装置は、エンジンの点火時期SAを遅角側に制御ことによりトルク段差の抑制を図る。図5は、実施例2に係る制御装置が適用されているターボチャージャ付きエンジン1Bの周辺構成について示したブロック図である。この図5では図1で示した構成と同一の部位には同じ符号を付すことで、重複する説明を省略する。図5はエンジン1Bのクランクシャフト以下の図を省略している。
本実施例2のECU10Bは、アクセル開度センサ9が検出するアクセル開度(ACT)並びに、エアフローメータ7が検出する吸入空気量(MAF)、ターボ回転数センサ8が検出するターボ回転数(TAF)を確認して、スロットル4の開度及び点火時期を制御してエンジン1Bを制御する。そして、このECU10Bは、特に点火時期の指示信号SASによりエンジン1Bの点火時期SAを遅角制御してトルク段差を抑制する。
ターボチャージャ5の始動に伴って発生するトルク段差を抑制するため、上記ECU10Bが実行する制御の概要について図を参照して説明する。図6はエンジン1Bの点火時期を変えることによって、トルク段差を抑制する様子を説明するために示した図である。この図6の上段図は、先に示した実施例1の図2の場合と同様に、一般的なタイミングでターボチャージャを始動させたときのトルク変化示した曲線C3を比較例として示している。時間Eでアクセルが踏込まれ加速要求があることを確認し、ターボチャージャ5が始動(オン)された場合を示している。この比較例C3の場合も、エンジン1Bが発生させるトルクが一旦上昇する。しかし、ターボチャージャ5の作動が開始されると吸入空気が減少するので一時的にトルクが減少して図示のようにトルク段差STが発生する。そして、その後にターボチャージャ5が立上がる(機能し始める)時間Fからトルクが上昇に転じる。比較例の曲線C3は従来の一般的なトルク段差STの様子を示していることになる。
上記比較例でのトルク段差STを解消しているのが曲線C4で示す本実施例2の場合である。上記のようにターボチャージャ5の動作を開始すると、エンジンが発生させたトルクが減少する。よって、この実施例2のECU10Bはターボチャージャ5が立上がるとき(図6で時間F)より前にあってはエンジン1Bから発生させるトルクを積極的に抑制するという手法を採用する。発生させるトルクを抑制しておくことで、ターボチャージャ5の動作開始に伴って生じるトルクの減少を抑えることができる。そして、ECU10Bは時間Fからトルクが上昇に転ずることを想定し、この時間Fとなったときにトルク値となるようにエンジン1Bの駆動を制御する。ECU10Bはターボチャージャ5の始動に伴って、このようにトルク調整するのでスムーズな曲線C4を得ることができる。
図6の下段の図は、上段の曲線C4を得るためECU10Bが制御するエンジン1Bの点火時期について示している。通常時、ECU10Bはエンジン1Bから最大のトルクが得られるように点火時期を制御する、なお、このような点火制御をMBT(Minimum Advance for Best Torque)制御と称する。これに対して、本実施例2のECU10Bは時間Eにターボチャージャが始動されることを確認したとき、この時間Eからターボチャージャ5が立ち上る時間Fまでの時間EFについて遅角制御を実行してトルクの発生を抑制する。
このような遅角制御を行うとことでエンジン1Bから発生させるトルクを抑制できる。そのため、図6上段の図で示すように破線で示す山型の曲線C3を実施例の緩やかに増加する曲線C4に変更できる。さらに、ECU10Bは時間Fの後に所定時間Gを設定して、時間Fから時間Gまでの間を徐々に進角制御を行って本来のMBT制御に戻す。時間Fで直ちにMBT制御に戻すとトルク変動が発生するので、このように所定時間Gを設定するのが好ましい。
図7は、点火時期の変更に応じてトルクが変化することを説明するために示した図である。前述したようにECU10Bは通常時にあって、エンジン1Bから最大のトルク(100%)が得られるようにMBT制御を実行する。しかし、ターボチャージャ5の始動時にMBT制御を行うとトルク段差が発生してしまう。そこで、ECU10Bはエンジン1Bの点火時期を遅角する側に制御して発生するトルクを抑制するのである。なお、点火時期はMBTから進角側、遅角側のどちらにずらしても発生するトルクを抑制できるが、ここでは遅角側に調整してトルクを抑制している。例えばMBTの位置を基準にした角度で、10度から10数度の遅角調整を行って発生するトルクを抑制する。この遅角制御によりMBT時におけるトルク(100%)に対して、発生するトルクを10〜20%程度抑制することができる。
図8は、ECU10Bがトルク段差抑制のルーチンを実行したときの一例のフローチャートである。この図8で示す処理も、例えば車両側のイグニッションキーがオンされたときなどに起動される。ECU10Bはアクセル開度センサ9の出力からアクセル開度を確認し(S21)、アクセルの開度状態に基づいて加速度要求があるか否かを判断する(S22)。このステップS22で加速度要求が無い(No)と判断した場合にはこのルーチンを終了する。
上記ステップS22で加速度要求ありとの判断をした場合には、ECU10Bは点火時期を遅角する制御を開始する(S23)。前述したようにECU10Bは遅角制御を行うことにより、エンジンから発生させるトルクを抑制する。そして、ECU10Bはターボ回転数センサ8の出力に基づいてターボ回転数(TAF)を確認し(S24)、ターボチャージャ5が作動領域に入ったかを確認する(S25)。ECU10Bは回転数を確認することにより、ターボチャージャ5の状態を確認している。一般にターボチャージャは十数万rpm以上で作動するので回転数を確認することでターボチャージャ5が機能する時間F(図6参照)を確認できる。上記ステップS25でターボチャージャの作動領域となるまで、点火遅角の制御を継続する。
なお、ターボチャージャ5が作動領域に入ったか否かの確認は、例えば図9に示すようなマップを予めECU10Bの記憶部に格納して判断を行うようにしてもよい。ターボチャージャ5が実質的に機能している状態は、ターボチャージャ5のコンプレッサ前後の圧力比が1以上となる。よって、図9で示すようなマップに基づいて、ターボチャージャ5が作動領域にあるかどうかを判断するようにしてもよい。
上記ステップS25でターボチャージャ5が作動領域となったときに、通常の点火時期制御に切り替える。すなわち、ECU10Bが図6における時間Fとなるまでエンジンから発生させるトルクを抑制し、ターボチャージャが機能してトルクが増加に転じたときに遅角制御から通常のMBT制御に戻す(S26)。以上で説明したECU10Bの制御によって、ターボチャージャ5の始動時に発生する可能があるトルク段差を抑制できる。よって、本実施例2の制御装置によってもエンジン1Bの駆動を円滑に行える。
次に説明する実施例3は点火時期を遅角側に調整することによってターボチャージャの始動に伴って発生するトルク段差を抑制するという点で上記実施例2と基本的な概念が共通する。この実施例3は、特にオートマチックシフトを採用する車両のようにエンジンの出力側にトルコン(トルクコンバータ)を配置する構造に好適な実施例である。
図10は、実施例3に係る制御装置が適用されているターボチャージャ付きエンジン1Cの周辺構成について示したブロック図である。この図10についても図1で示した構成と同一の部位には同じ符号を付すことで、重複する説明を省略する。この図10はエンジン1Cのクランクシャフト以下の構成も図示してある。
ECU10Cは、通常時に、アクセル開度センサ9が検出するアクセル開度(ACT)並びに、エアフローメータ7が検出する吸入空気量(MAF)、ターボ回転数センサ8が検出するターボ回転数(TAF)を確認して、スロットル4の開度及び点火時期を制御してエンジン1Cを制御している。そして、本実施例3のECU10Cは、クランク角センサ26が検出するエンジン回転数(NE)と、ミッション回転数センサ27が検出するトランスミッションの入口回転数(NM)との比としてトルコン速度比TRを算出する。ECU10Cがトルコン速度比TRに基づいて点火時期を遅角制御する。実施例2がターボチャージャの回転数或いは圧力比からターボの立上がり時期を検出していたが、この実施例3ではトルコン速度比TRからターボチャージャの立上がり時期を検出してトルク段差を抑制する。
図11は、エンジン1Cの点火時期を調整することによって、トルク段差を抑制する様子を説明するために示した図である。図11の上段で示している比較例の曲線C5は、従来一般的なトルク段差STの様子を示している。本実施例3はトルコン速度比TRに着目して、ターボチャージャ5が機能する時期を検出する。図11の下段で示すように、ターボチャージャ5を始動させた時間Hにあってはトルコン速度比TRの値が小さい。トルコン速度比は小さい程にトルクの増幅効果が大きい。ここで実施例2と同様に点火時期を遅角制御することでトルクの発生を抑制する。そして、ターボチャージャ5が立上がるとき(時間I)にトルコン速度比TRが所定値αに調整する。そして、時間Iの後は遅角制御を止めて通常のMBT制御を行うようにする。このようにすることで、実施例2の場合と同様に、ターボチャージャ5を始動させた直度にあってトルコン速度比が小さいが徐々に大きくさせてトラッキングの発生を抑制できる。すなわち、トルコン速度比を調整してトルクが減少する現象が現れないようにして、トルク段差STを抑制したスムーズな曲線C6を得ることができる。本実施例3の場合も、時間Iで直ちにMBT制御に戻すとトルク変動が発生するので、徐々に進角させるのが好ましい。
ECU10Cは記憶部内に所定の換算マップを記憶しており、このマップに基づいてトルコン速度比TRからトルクの状態を確認する。図12は、トルク比とトルコン速度比TRとの関係について示した図である。ECU10Cはトルク比が1以上となるトルコン速度比TRの所定値αを基準に判断する。すなわち、ECU10Cはトルク増幅効果がなくなるトルク比が「1」となるトルコン速度比の所定値「α」を記憶する。トルコン速度比がαを超えたことに基づいて遅角制御を中止する。なお、トルク増幅効果のなくなるトルコン速度比は運転条件によって変化することがないので安定した判断を行える。なお、トルコン速度比TRの所定値αはトルコンにより異なるが、例えば0.8〜0.9程度である。トルコン毎に上記所定値αを定めたマップ(図12)を用いて、点火時期を遅角制御してトルク段差の発生を抑制できる。
図13は、ECU10Cがトルク段差抑制のルーチンを実行したときの一例のフローチャートである。この処理も、例えば車両側のイグニッションキーがオンされたときなどに起動される。アクセル開度センサ9の出力からアクセル開度を確認し(S31)、アクセルの開度状態に基づいて加速度要求があるか否かを判断する(S32)。このステップS32で加速度要求が無い(No)と判断した場合にはこのルーチンを終了する。
上記ステップS32で加速度要求ありとの判断をした場合、ECU10Cはクランク角センサ26の出力からエンジン回転数(NE)、そしてミッション回転数センサ27の出力からトランスミッション(T/M)の入口回転数(NM)を確認する(S33)。そして、トルコン速度比TRを算出する(S34)。トルコン速度比TRは次式によって得られる。
TR=T/M入口回転数(NM)/エンジン回転数(NE)
ECU10Cは、点火時期を遅角する制御を開始する(S35)。具体的には図11で示したマップでトルコン速度比TRからエンジンから発生させるトルクを抑制する。そして、ECU10Cはトルコン速度比TRが所定値αを超えた否かによりターボチャージャ5が立上がった(実質的に機能する)状態となっているかを確認する(S36)。ECU10Cは、このステップS36でトルコン速度比TRが所定値αを超えるまで点火遅角の制御を継続する。このステップS36の処理は、図8で示す実施例2のフローチャートにおけるステップS25でターボチャージャが作動領域に入ったかを確認しているのと対応する。
上記ステップS36でターボチャージャ5が作動領域となったときに、通常の点火時期制御に切り替える。すなわち、ECU10Cが図11における時間Iとなるまでエンジンから発生させるトルクを抑制し、ターボチャージャが機能してトルクが増加に転じたときに遅角制御から通常のMBT制御に戻す(S37)。以上で説明したECU10Cの制御によってもターボチャージャ5の始動時に発生する可能があるトルク段差を抑制できる。よって、本実施例3の制御装置によってもエンジン1Cの駆動を円滑に行える。
上記実施例2及び実施例3は、点火時期を遅角制御することよってエンジンから発生させるトルクを意図的に低く抑えることにより、ターボチャージャを始動させたときに発生するトルク段差を抑制していた。次に示す実施例4は、スロットル開度を閉じ側に制御することにより、エンジンから発生させるトルクを低く抑えて同様にトルク段差の発生を抑制するものである。図14は、実施例4に係る制御装置が適用されているターボチャージャ付きエンジン1Dの周辺構成について示したブロック図である。この図14についても図1で示した構成と同一の部位には同じ符号を付すことで重複する説明を省略する。
本実施例4のECU10Dは、アクセル開度センサ9が検出するアクセル開度(ACT)並びに、エアフローメータ7が検出する吸入空気量(MAF)、ターボ回転数センサ8が検出するターボ回転数(TAF)を確認して、スロットル4の開度及び点火時期を制御してエンジン1Dを制御している。このECU10Dは、特にスロットル開度の指示信号THSによりスロットルの開閉を通常よりも閉じ側に制御することでトルク段差を抑制する。ECU10Dはクランク角センサ26が検出するエンジン回転数(NE)と負荷率(KL)とを算出する。このエンジン回転数(NE)と負荷率(KL)とに基づいてターボチャージャの立上がり時期を検出し、この時期以前ではスロットル開度を閉じ側に制御することでトルク段差の発生を抑制する。なお、負荷率(KL)とは筒内全容積に対する実際の筒内吸入空気量である。
図15は、エンジン1Dのスロットル開度を調整することによって、トルク段差を抑制する様子を説明するために示した図である。図15の上段で示す比較例の曲線C7は、従来の一般的なトルク段差STの様子を示している。本実施例4はエンジン回転数と負荷率からターボチャージャ5が機能する時期を検出する。図15の下段で示すように、ターボチャージャ5を始動させた時間Jにあってはスロットル開度を小さく抑える。そして、ターボチャージャ5が実質的に起動してトルクが増加する時間Kとなったときにスロットル4を開く(好ましくは全開)とすることでトルク段差STの発生を抑制したスムーズな曲線C8を得ることができる。
図16は、エンジン回転数NEと負荷率KLとから立ち上りまでの時間JKを求めるための時間算出マップの例を示した図である。ECU10Dは図16で示すようなマップを記憶部に予め記憶しており、ターボチャージャ5が始動してから実際に立上がるまでの時間JKを算出できるようしてある。
図17は、ECU10Dがトルク段差抑制のルーチンを実行したときの一例のフローチャートである。この処理は例えば車両側のイグニッションキーがオンされたときなどに起動される。アクセル開度センサ9の出力からアクセル開度を確認し(S41)、アクセルの開度状態に基づいて加速度要求があるか否かを判断する(S42)。このステップS42で加速度要求が無い(No)と判断した場合にはこのルーチンを終了する。
上記ステップS42で加速度要求ありとの判断をした場合、ECU10Dはクランク角センサ26の出力からエンジン回転数(NE)と負荷率(KL)を確認する(S43)。そして、エンジン回転数NE、負荷率KLを確認して図16のマップからターボチャージャ5が実質的に作動する時間、すなわち立上がる時間Kを求める(S44)。
ECU10Dは、上記時間Kにおいてスロットルが全開となるようにスロットル4の開度を制御する(S45)。すなわち、時間Jから通常よりも時間を掛けて時間Kでスロットルが全開となるように調整する。そして、時間Kとなったらスロットル4の開度を一定に維持する。本実施例4の場合も、ターボチャージャ5が始動された時間J直後におけるスロットル開度が抑制される。そして、スロットル開度を通常より閉じる側に制御することによりエンジンから発生させるトルクを抑え加減とする。そして、ECU10Dは、ターボチャージャ5が実質的に機能する(立上がる)時間Kを確認して、この時間Kにおいてスロットルが全開となるように調整する。よって、図15の上段で示す実施例の曲線C8のようにトルク段差の発生を抑制できる。よって、本実施例4の制御装置によってもエンジン1Dの駆動を円滑に行える。
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
実施例1に係る制御装置が適用されているターボチャージャ付きエンジン1Aの周辺構成について示したブロック図である。 ターボチャージャに設けたアシストモータを駆動させるタイミングを変えることによって、トルク段差を抑制する様子を説明するために示した図である。 実施例1のECUがトルク段差抑制のルーチンを実行したときの一例のフローチャートである。 エンジン回転数とミッション入口回転数とから時間を求める時間算出マップの例を示した図である。 実施例2に係る制御装置が適用されているターボチャージャ付きエンジン1Bの周辺構成について示したブロック図である。 エンジンの点火時期を変えることによって、トルク段差を抑制する様子を説明するために示した図である。 点火時期の変更に応じてトルクが変化することを説明するために示した図である。 実施例2のECUがトルク段差抑制のルーチンを実行したときの一例のフローチャートである。 ターボチャージャが作動領域にあるかの判断に用いるマップの例を示した図である。 実施例3に係る制御装置が適用されているターボチャージャ付きエンジン1Cの周辺構成について示したブロック図である。 エンジンの点火時期を調整することによって、トルク段差を抑制する様子を説明するために示した図である トルク比とトルコン速度比との関係について示した図である。 実施例3のECUがトルク段差抑制のルーチンを実行したときの一例のフローチャートである。 実施例4に係る制御装置が適用されているターボチャージャ付きエンジン1Dの周辺構成について示したブロック図である。 スロットル開度を調整することによって、トルク段差を抑制する様子を説明するために示した図である。 エンジン回転数と負荷率とから立上りまでの時間を求めるための時間算出マップの例を示した図である。 実施例4のECUがトルク段差抑制のルーチンを実行したときの一例のフローチャートである。
符号の説明
1(1A〜1D) エンジン(内燃機関)
4 スロットルバルブ
5 ターボチャージャ(過給機)
6 アクセルペダル
10(10A〜10D) ECU(トルク制御手段)
15 アシストモータ(MA)
21 トルクコンバータ
23 トランスミッション

Claims (6)

  1. 過給機を備えた内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関を制御して発生させるトルクを調整するトルク制御手段を備え、
    前記トルク制御手段は、前記過給機が始動されたときに当該過給機が立上がるときを検出し、前記過給機の始動時から立上がる時までのトルク段差の発生を抑制する、ことを特徴とする過給機付き内燃機関の制御装置。
  2. 前記過給機が駆動アシスト手段を備えた駆動アシスト式過給機であって、
    前記トルク制御手段は、前記過給機の標準動作時よりも早い時期から前記駆動アシスト手段を駆動させて、前記トルク段差の発生を抑制する、ことを特徴とする請求項1に記載の過給機付き内燃機関の制御装置。
  3. 前記トルク制御手段は、前記内燃機関から発生させるトルクを予め抑制することにより、前記トルク段差の発生を抑制する、ことを特徴とする請求項1に記載の過給機付き内燃機関の制御装置。
  4. 前記トルク制御手段は、前記内燃機関の点火時期を遅角させて発生させるトルクを抑制する、ことを特徴とする請求項3に記載の過給機付き内燃機関の制御装置。
  5. 前記トルク制御手段は、前記内燃機関へ供給する吸入空気量を減少させて発生させるトルクを抑制する、ことを特徴とする請求項3に記載の過給機付き内燃機関の制御装置。
  6. 前記トルク制御手段は、アクセル開度から定まる吸入空気量より少ない吸入空気量となるようにスロットルバルブ開度を維持し、前記トルク段差が抑制されるタイミングで前記吸入空気量を増加させる、ことを特徴とする請求項5に記載の過給機付き内燃機関の制御装置。
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