JP2008014249A - 圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、気筒内へ所定量以上のEGRガス量を導入することにより予混合燃焼運転を行う圧縮着火式内燃機関において、既存のハードウェアを用いつつフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ速やかに移行可能な技術を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、上記課題を解決するために、内燃機関がフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ移行する時に、膨張行程以降の気筒において燃料の副噴射を行うことにより、内燃機関から排出される既燃ガス成分量を増加させ、以て単位量当たりのEGRガス中に含まれる既燃ガス成分量を増加させるようにした。
【選択図】図5
【解決手段】本発明は、上記課題を解決するために、内燃機関がフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ移行する時に、膨張行程以降の気筒において燃料の副噴射を行うことにより、内燃機関から排出される既燃ガス成分量を増加させ、以て単位量当たりのEGRガス中に含まれる既燃ガス成分量を増加させるようにした。
【選択図】図5
Description
本発明は、圧縮着火式の内燃機関、特に予混合燃焼運転可能な圧縮着火式内燃機関の燃焼制御技術に関する。
車両などに搭載される内燃機関として、予混合燃焼運転と拡散燃焼運転を切り換え可能な圧縮着火式内燃機関が知られている。
圧縮着火式内燃機関が予混合燃焼運転される場合は、燃料(或いは予混合気)の過早着火を防止するために、拡散燃焼運転時より多量のEGRガスを燃焼室へ導入させる必要がある。ところで、内燃機関が拡散燃焼運転状態やフューエルカット運転状態から予混合燃焼運転状態へ移行する時は、EGRガス量を即座に増加させることができない。
これに対し、予混合燃焼運転時又は拡散燃焼運転時にEGRガスを貯蔵しておき、貯蔵されたEGRガスを燃焼室へ適宜供給する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2005−325811号公報
特開2004−124732号公報
ところで、上記した従来の技術は、既存の構成に加え、EGRガスを貯蔵しておく機構が必要となる。
本発明は、上記したような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、気筒内へ所定量以上のEGRガス量を導入することにより予混合燃焼運転を行う圧縮着火式内燃機関において、既存のハードウェアを用いつつフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ速やかに移行可能な技術の提供にある。
本発明は、上記した課題を解決するために、気筒内へ所定量以上のEGRガスを導入して予混合燃焼運転する圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システムにおいて、内燃機関がフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ移行する場合に、EGRガス中に含まれる既燃ガス成分の濃度を高めるようにした。
詳細には、本発明は、気筒内へ所定量以上のEGRガスを導入することにより予混合燃焼運転を行う圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システムにおいて、前記内燃機関がフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ移行する時に、前記内燃機関の排気に含まれる既燃ガス成分量を増加させる制御手段を備えるようにした。
ここでいう既燃ガス成分は、気筒内で燃料が燃焼した際に発生する二酸化炭素(CO2)や水(H2O)等である。
内燃機関のフューエルカット運転時は気筒内で燃料が燃焼されないため、EGRガスの循環経路(すなわち、内燃機関の燃焼室を起点に排気通路、EGR通路、及び吸気通路を順次経て再び燃焼室へ戻る経路。以後、この循環経路を「EGR循環経路」と称する)には、空気の濃度が高く且つ既燃ガス成分の濃度が低いガスが充満する。
また、フューエルカット運転終了後において、最初の燃焼気筒(最初に燃焼が再開された気筒)の排気がEGR循環経路を介して内燃機関へ到達するまでには輸送遅れが生じる。
従って、フューエルカット運転終了時から上記輸送遅れが解消されるまでの期間は、気筒内へ導入される既燃ガス成分量が過少となる。このような状態の時に内燃機関が予混合燃焼運転されると、燃料が過早着火して過大な騒音を発生する虞がある。
これに対し、気筒内の既燃ガス成分量が適量に増加するまで、予混合燃焼運転の開始タイミングを遅らせる方法(具体的には、気筒内の既燃ガス成分量が適量に増加するまで、内燃機関を拡散燃焼運転させる方法)も考えられる。
しかしながら、内燃機関の全ての気筒は、フューエルカット運転終了時に一斉に燃焼を再開するわけではなく、燃料噴射順序に従って順次燃焼を再開する。このため、気筒内へ導入される既燃ガス成分量が適量に到達するまでには、比較的長い時間を要する。
そこで、本発明の制御手段は、内燃機関がフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ移行する時に、排気中の既燃ガス成分量を増加させる。この場合、上記輸送遅れの解消後に多量の既燃ガス成分が気筒へ流入するようになる。
その結果、内燃機関がフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ速やかに移行することができるとともに、移行時の燃焼騒音の増大を抑制することができる。
ここで、内燃機関の排気に含まれる既燃ガス成分量を増加させる方法としては、通常の燃料噴射(以下、「主噴射」と称する)の後に副噴射を行う方法を例示することができる。その際、副噴射のタイミングは、主噴射により噴射された燃料(以下、「主燃料」と称する)が着火した後であることが好ましい。主燃料の適正な着火時期は圧縮行程上死点近傍であるため、副噴射のタイミングは膨張行程以降が妥当である。
膨張行程以降の気筒内へ燃料の副噴射が行われると、該副噴射により噴射された燃料(以下、「副燃料」と称する)の燃焼により気筒内の既燃ガス成分量が増加する。更に、主燃料の燃え残りも副燃料とともに燃焼されるため、気筒内の既燃ガス成分量が一層増加する。
よって、膨張行程以降の気筒内へ副噴射が行われると、比較的少量の副燃料によって排気中の既燃ガス成分量を大幅に増加させることが可能となる。
尚、内燃機関の機関回転数が低い場合等は、上記した輸送遅れ期間が長くなるため、気筒内へ導入されるEGRガス量が速やかに増加し難い。
そこで、本発明の制御手段は、気筒内へ導入されるEGRガス量が前記所定量に対して少なくなるほど副燃料量を多くするようにしてもよい。
この場合、気筒内へ導入されるEGRガス量が少なくなるほど、内燃機関の排気に含まれる既燃ガス成分量が多くなる。その結果、気筒内へ導入されるEGRガス量が増加し難い場合であっても、気筒内へ導入される既燃ガス成分量を速やかに増加させることができる。
ところで、副燃料が燃焼すると内燃機関のトルクが少なからず増加するため、副燃料量
に応じて主燃料量を減量補正することが好ましい。しかしながら、副燃料量の増量に伴って主燃料量が減量されると、燃焼エネルギが最大となるタイミング(以下、「燃焼ピークタイミング」と称する)が遅くなるため、トルクの低下や燃費の悪化を生じる場合がある。
に応じて主燃料量を減量補正することが好ましい。しかしながら、副燃料量の増量に伴って主燃料量が減量されると、燃焼エネルギが最大となるタイミング(以下、「燃焼ピークタイミング」と称する)が遅くなるため、トルクの低下や燃費の悪化を生じる場合がある。
そこで、制御手段は、副噴射により噴射される燃料量が多くなるほど、主噴射のタイミング(主噴射時期)を進角させるようにしてもよい。この場合、燃焼ピークタイミングの過剰な遅れが抑制されるため、トルクの低下や燃費の悪化が抑制される。
本発明に係る圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システムにおいて、制御手段は、内燃機関をフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ移行させる場合に、内燃機関を一旦拡散燃焼運転させるとともに、拡散燃焼運転時の内燃機関から排出される既燃ガス成分量を増加させるようにしてもよい。
内燃機関がフューエルカット運転を長期間継続した場合は、EGR循環経路のガスが空気のみとなる。このため、内燃機関のフューエルカット運転終了時から前記輸送遅れが解消されるまでの期間は、気筒内へ導入される既燃ガス成分量が略零となる。よって、内燃機関がフューエルカット運転終了後に直ちに予混合燃焼運転されると、着火時期の変動を回避しきれない。
これに対し、フューエルカット運転終了時から前記輸送遅れが解消されるまでの期間に内燃機関が拡散燃焼運転されると、過早着火を抑制することができる。更に、内燃機関の拡散燃焼運転時に排気中の既燃ガス成分量が増加させられると、前記輸送遅れが解消された時点で多量の既燃ガス成分が気筒内へ導入される。その結果、前記輸送遅れが解消された後の早い時期に内燃機関を予混合燃焼運転させることが可能となる。
尚、内燃機関を拡散燃焼運転から予混合燃焼運転へ移行させる時は、燃焼状態の急激な変化を抑制するために、燃料噴射時期や燃料噴射回数等の燃料噴射パラメータを徐々に変更することが好ましい。
燃料噴射パラメータを徐々に変更する方法としては、拡散燃焼運転用の主噴射と該主噴射より早期の予備噴射とに分割して燃料噴射を行うとともに、予備噴射の回数を段階的に増加させる方法を例示することができる。かかる方法によれば、予混合気の形成時期や形成量が徐々に変化するため、燃焼状態の急激な変化が抑制される。
このような方法が実行されている時に、副燃料量の増加に伴う主噴射時期の進角が行われると、主噴射の直前の予備噴射により噴射された燃料が気筒内のガスと十分に混合する前に着火する可能性がある。
そこで、制御手段は、副燃料の増加に伴う主噴射時期の進角を行う場合は、主噴射の直前の予備噴射を停止させるとともに停止された予備噴射分の燃料を該予備噴射より早期の予備噴射へ加算するようにした。この場合、内燃機関のトルク変動を抑制しつつ予混合気を形成することが可能である。
また、本発明にかかる圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システムは、フューエルカット運転終了時から第1所定期間は、気筒内に残留するガス量を増加させる内部EGR手段を更に備えるようにしてもよい。
かかる構成によれば、気筒内に導入される既燃ガス成分の量は一層速やかに増加するようになる。よって、内燃機関がフューエルカット運転から予混合燃焼運転へより早期に移
行可能となる。
行可能となる。
尚、気筒内に残留するガス量を増加させる方法としては、(1)排気絞り弁の開度を絞る方法、(2)排気弁の閉弁時期を進角させる方法、(3)可変容量型ターボチャージャのノズルベーンの開度を絞る方法、等を例示することができる。
また、上記した第1所定期間としては、上記したEGRガスの輸送遅れが解消されるまでの期間、或いは気筒内へ導入されるEGRガス量が所定量に達するまでの期間などを例示することができる。
更に、本発明にかかる圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システムは、フューエルカット運転終了時から第2所定期間は、燃料の温度を上昇させる加熱手段を更に備えるようにしてもよい。
フューエルカット運転時は低温な空気が気筒内を通過するため、気筒内の温度が低下する。よって、フューエルカット運転終了直後は、気筒内の燃料が気化及び霧化し難い。これに対し、加熱手段により燃料の温度が上昇させられると、気筒内の温度が低下していても燃料の気化及び霧化が促進される。
尚、燃料の温度を上昇させる方法としては、燃料を直接加熱する方法や吸気を媒体として間接的に加熱する方法を例示することができる。
また、上記した第2所定期間としては、内燃機関の全ての気筒において少なくとも1回燃料が燃焼されるまでの期間を例示することができる。
本発明によれば、気筒内へ所定量以上のEGRガスを導入することにより予混合燃焼運転を行う圧縮着火式内燃機関において、既存の構成を用いつつフューエルカット運転状態から予混合燃焼運転状態へ速やかな移行が可能となる。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。
<実施例1>
先ず、本発明の第1の実施例について図1〜図7に基づいて説明する。図1は、本発明を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、予混合燃焼運転と拡散燃焼運転を適宜切り換えることが可能な圧縮着火式内燃機関(ディーゼルエンジン)である。
先ず、本発明の第1の実施例について図1〜図7に基づいて説明する。図1は、本発明を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、予混合燃焼運転と拡散燃焼運転を適宜切り換えることが可能な圧縮着火式内燃機関(ディーゼルエンジン)である。
内燃機関1は、各気筒2内へ直接燃料を噴射可能な燃料噴射弁3と、各気筒2内へ空気を導く吸気通路4とを備えている。吸気通路4の途中には、遠心過給器(ターボチャージャ)5のコンプレッサ50とインタークーラ6が配置されている。
コンプレッサ50により過給された吸気は、インタークーラ6により冷却された後に各気筒2内へ導かれるようになっている。各気筒2内へ導かれた吸気は、燃料噴射弁3から噴射された燃料とともに気筒2内で着火及び燃焼される。
各気筒2内で燃焼されたガスは、排気通路7へ排出される。排気通路7へ排出された排気は、排気通路7の途中に配置されたタービン51及び排気浄化触媒8を経由して大気中へ放出される。
排気浄化触媒8としては、酸化能とNOx吸蔵能を有する吸蔵還元型NOx触媒、酸化能とPM捕集能を有するパティキュレートフィルタ、或いは、吸蔵還元型NOx触媒が担持されたパティキュレートフィルタ等を例示することができる。
前記した吸気通路4と排気通路7は、EGR通路9により相互に接続されている。EGR通路9の途中には、該EGR通路9を流れる排気(以下、「EGRガス」と称する)の流量を調節するEGR弁10と、該EGR通路9を流れるEGRガスを冷却するためのEGRクーラ11が配置されている。
また、吸気通路4においてインタークーラ6より下流且つEGR通路9の接続部より上流の部位には吸気絞り弁12が配置されている。
上記した燃料噴射弁3、EGR弁10、及び吸気絞り弁12は、ECU13によって電気的に制御される。ECU13は、吸気通路4に配置されたエアフローメータ14の測定値、排気浄化触媒8より下流の排気通路5に配置された空燃比センサ(A/Fセンサ)15の測定値、内燃機関1に取り付けられたクランクポジションセンサ16の測定値、及びアクセルポジションセンサ17の測定値などをパラメータとして、燃料噴射弁3、EGR弁10、及び吸気絞り弁12を制御する。
例えば、ECU13は、内燃機関1の負荷(アクセル開度)Accp及び機関回転数Neから定まる機関運転状態が図2に示す予混合燃焼領域にある時には、内燃機関1を予混合燃焼運転させる。一方、機関運転状態が図2の拡散燃焼運転領域にある時は、ECU13は内燃機関1を拡散燃焼運転させる。
内燃機関1が予混合燃焼運転される場合は、ECU13は、図3に示すように、パイロット噴射量を零に設定(パイロット噴射を停止)するとともに主噴射時期を圧縮上死点より早い時期(圧縮行程の初期又は中期)に設定する。
一方、内燃機関1が拡散燃焼運転させられる場合には、ECU13は、図4に示すように、パイロット噴射量を零より多い量に設定(パイロット噴射を実行)するとともに主噴射時期を圧縮上死点近傍に設定する。
尚、内燃機関1が予混合燃焼運転される場合は、気筒2内の燃料が予混合気を形成する前に過早着火する可能性があるため、拡散燃焼運転時より多量のEGRガスを気筒2内へ導入する必要がある。
ところで、内燃機関1のフューエルカット運転時は気筒2内で燃料が燃焼されないため、EGR循環経路(内燃機関1の燃焼室を起点に排気通路7、EGR通路9、及び吸気通路4を順次経て再び燃焼室へ戻る経路)に空気濃度が高く且つ既燃ガス成分濃度が低いガスが充満する。更に、フューエルカット運転終了後において、最初の燃焼気筒の排気がEGR循環経路を介して内燃機関1の燃焼室へ到達するまでには輸送遅れを生じる。
従って、フューエルカット運転終了時から上記輸送遅れが解消されるまでの期間は、気筒2内へ導入される既燃ガス成分量が極少或いは零となる。このため、内燃機関1がフューエルカット運転終了後に直ちに予混合燃焼運転されると、着火時期が変動(過早着火)して燃焼騒音の増加やトルク変動が発生する。
これに対し、フューエルカット運転終了時から上記輸送遅れが解消されるまでの期間に、内燃機関1を拡散燃焼運転させる方法が考えられる。しかしながら、内燃機関1の全て
の気筒2は、フューエルカット運転終了時に一斉に燃焼を再開するわけではなく、燃料噴射順序に従って順次燃焼を再開する。このため、上記輸送遅れが解消された時点で気筒2内へ導入される既燃ガス成分量は、燃料の過早着火を抑制し得る量に対して過少となる。よって、上記輸送遅れが解消された後に内燃機関1を拡散燃焼運転から予混合燃焼運転へ速やかに移行させることは困難となる。
の気筒2は、フューエルカット運転終了時に一斉に燃焼を再開するわけではなく、燃料噴射順序に従って順次燃焼を再開する。このため、上記輸送遅れが解消された時点で気筒2内へ導入される既燃ガス成分量は、燃料の過早着火を抑制し得る量に対して過少となる。よって、上記輸送遅れが解消された後に内燃機関1を拡散燃焼運転から予混合燃焼運転へ速やかに移行させることは困難となる。
そこで、本実施例における内燃機関の燃焼制御システムでは、ECU13が以下に示す燃焼制御を行うようにした。
図5は、内燃機関1がフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ移行する時の燃焼制御手順を示すタイミングチャートである。
ECU13は、フューエルカット運転終了時の機関運転状態が前述した図2の予混合燃焼運転領域にあると、先ず内燃機関1を拡散燃焼運転させる。具体的には、ECU13は、内燃機関1のフューエルカット運転が終了すると(図5中のt1)、圧縮上死点より前に少量の燃料をパイロット噴射させるとともに圧縮上死点近傍(図5中のT1)で主噴射させるべく燃料噴射弁3を制御する。
更に、ECU13は、フューエルカット運転終了時(図5中のt1)に、EGRガス量が過早着火を抑制し得る量(以下、「目標EGRガス量」と記す)となるようにEGR弁10の開度を制御する。
EGRガス量は内燃機関1の吸入空気量と相関するため、図5の例ではEGRガス量が目標EGRガス量となる時の吸入空気量(図5中のGN1)を目標吸入空気量と定め、内燃機関1の実際の吸入空気量(図5中の実GN)が目標吸入空気量GN1となるようにEGR弁10の開度が制御される。
尚、ECU13がEGR弁10に対する指令値を出力した時点(図5中のt1)から実GNが変化し始める時(図5中のt2)までには、EGRガスの輸送遅れに起因した応答遅れ(図5中の期間P1)が生じる。このため、ECU13は、上記した期間P1においては、内燃機関1の拡散燃焼運転を継続させるように燃料噴射弁3を制御する。
また、実GNが変化し始めた時(図5中のt2)から実GNが目標吸入空気量GN1と等しくなるまで(図5中のt3)には、各気筒2の燃焼順序に起因した応答遅れが(図5中の期間P2)が生じる。このため、上記した期間P2においては、気筒2内へ導入されるEGRガス量が前記目標EGRガス量より少なくなる。
よって、燃料の過早着火を防止するためには、上記期間P2の終了後に内燃機関1を拡散燃焼運転から予混合燃焼運転へ切り換えることが妥当である。しかしながら、内燃機関1がフューエルカット運転を終了してから予混合燃焼運転を開始するまでの所要期間(期間P1と期間P2を合計した期間)が長くなるという問題がある。特に、機関回転数が低い場合は、EGRガスの輸送遅れが大きくなるため、上記の所要期間が過剰に長くなる虞がある。
これに対し、内燃機関1がフューエルカット運転される前にEGRガスを貯蔵しておき、貯蔵されたEGRガスをフューエルカット運転終了後に内燃機関1へ供給する方法も考えられるが、EGRガスを貯蔵しておく機構が必要となる。
そこで、本実施例の燃焼制御では、ECU13は、フューエルカット運転終了時t1に副噴射フラグをセット(=1)して、EGRガス中の既燃ガス成分濃度を上昇させる。副
噴射フラグがセット(=1)された時は、ECU13は、図6に示すように、主噴射後の膨張行程時に副噴射(ポスト噴射)を行う。
噴射フラグがセット(=1)された時は、ECU13は、図6に示すように、主噴射後の膨張行程時に副噴射(ポスト噴射)を行う。
膨張行程以降の気筒2内へポスト噴射が行われると、該ポスト噴射により噴射された燃料(副燃料)が気筒2内で燃焼して既燃ガス成分が生成される。更に、主燃料の燃え残りも副燃料とともに燃焼されるため、既燃ガス成分の生成量が一層増加する。
よって、膨張行程以降の気筒2内へポスト噴射が行われると、該気筒2内で生成される既燃ガス成分量が効率的に増加する。その結果、内燃機関1の排気に含まれる既燃ガス成分量が増加する。
上記した方法により内燃機関1の排気に含まれる既燃ガス成分量が増加すると、単位量当たりのEGRガスに含まれる既燃ガス成分量が増加(EGRガス中の既燃ガス成分濃度が上昇)する。EGRガス中の既燃ガス成分濃度が上昇すると、EGRガスの輸送遅れ解消時(図5中のt2)に気筒2内へ導入される既燃ガス成分量が増加する。
EGRガスの輸送遅れ解消時(図5中のt2)に多量の既燃ガス成分が気筒2内へ導入されると、その時点で内燃機関1が拡散燃焼運転から予混合燃焼運転へ移行しても燃料の過早着火を回避可能となる。
但し、内燃機関1を拡散燃焼運転から予混合燃焼運転へ移行させる際に燃料噴射パラメータが急激に切り換えられると、燃焼状態が急変して排気エミッションの悪化やトルク変動等を発生する可能性がある。
そこで、ECU13は、燃料噴射パラメータを拡散燃焼運転用のパラメータから予混合燃焼運転用のパラメータへ連続的又は離散的に変更するようにしている。具体的には、ECU13は、パイロット噴射量を連続的又は離散的に減量するとともに主噴射時期を圧縮上死点近傍から連続的又は離散的に進角させる(以下、この処理を「移行処理」と称する)。
その際、燃料噴射パラメータの変更速度(例えば、1サイクル当たりのパイロット噴射量の減少量及び主噴射時期の進角量)は、内燃機関1の排気エミッションやトルク変動等が許容範囲に収まるように定められるものとする。
ECU13は、主噴射時期が予混合燃焼運転用の噴射時期まで進角し且つパイロット噴射量が燃料噴射弁3の最低噴射量Qpminに減少すると(図5中のt3)、上記した移行処理を終了する。
このような移行処理により燃料噴射パラメータが徐変されると、燃焼状態の急激な変化を抑制しつつ内燃機関1の運転を切り換えることが可能となる。
更に、上記した移行処理の実行期間(図5中の期間P2)中はEGRガス量が目標EGRガス量より少ないものの、単位量当たりのEGRガスに含まれる既燃ガス成分量が大幅に増加しているため、過早着火の発生が抑制され或いは過早着火による騒音や振動の発生が抑制されるようになる。
上記副噴射は、期間P2の終了と同時(図5中のt3)に終了されるようにしてもよい。但し、期間P2の終了前にEGRガス量が目標EGRガス量に近似した時には、その時点で副噴射が終了されることが好ましい。これは、EGRガス量が目標EGRガス量に達した後も上記した副噴射が継続されると、気筒2内へ導入される既燃ガス成分量が過多と
なって失火やスモークの増加を招くからである。
なって失火やスモークの増加を招くからである。
また、上記した移行処理の実行期間(図5中の期間P2)中は、副燃料量が一定量に設定されてもよいが、気筒2内へ導入されるEGRガス量(言い換えれば、実GN)に応じて変更されることが好ましい。
具体的には、ECU13は、図7に示すように、実GNが目標GNに対して多くなるほど(実GNから目標GNを減算した値△GNが大きくなるほど)副燃料量を多くする。
この場合、気筒2内へ導入されるEGRガス量が少なくなるほどEGRガス中の既燃ガス成分濃度が高くなるとともに、気筒2内へ導入されるEGRガス量が多くなるほどEGRガス中の既燃ガス成分濃度が低くなる。
その結果、気筒2内へ導入されるEGRガス量が少ない時に燃料の過早着火を抑制することができるとともに、気筒2内へ導入されるEGRガス量が多い時に燃料の失火やスモークの増加を抑制することができる。
尚、副燃料が膨張行程において燃焼すると、内燃機関1のトルクが少なからず増加する。よって、前述した図7に示したように副燃料量が変更される場合は、副燃料量が多くなるほど主燃料量を減量補正することが好ましい。この場合、内燃機関1のトルクが目標トルクから逸脱することを抑制可能となる。
但し、副燃料量が過多になると、燃焼ピークタイミングが過剰に遅くなる(例えば、膨張行程の半ば)。燃料ピークタイミングが過剰に遅くなると、内燃機関1のトルクが要求トルクを下回り、ドライバビリティの低下や燃費の悪化を招く可能性がある。
そこで、図7に示す例では、副燃料量は所定の上限ガードQpstmax以下に制限されるようなっている。上限ガードQpstmaxは、例えば総燃料噴射量(パイロット噴射量と主噴射量とポスト噴射量の総和)の1/2に相当する量である。
このように副燃料量が上限ガードQpstmax以下に制限されると、燃焼ピークタイミングが過剰に遅くなることが抑制される。その結果、内燃機関1のトルクが要求トルクを大きく下回ることがなくなり、燃費の悪化やドライバビリティの低下が抑制される。
以上述べた実施例によれば、既存のハードウェアを用いつつ内燃機関1をフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ速やか且つ好適に移行させることができる。
<実施例2>
次に、本発明に係る圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システムの第2の実施例について図8に基づいて説明する。ここでは、前述した第1の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
次に、本発明に係る圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システムの第2の実施例について図8に基づいて説明する。ここでは、前述した第1の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
前述した第1の実施例では、移行処理実行期間中の実GNと目標GNとの差△GNに基づいて副燃料量を変更する例について述べた。これに対し、本実施例では、移行処理実行時間(すなわち、図5中のt2からの経過時間)△tに基づいて副燃料量が変更される例について述べる。
移行処理実行期間中に気筒2内へ導入されるEGRガスの量は、移行処理実行時間△tと相関する。すなわち、移行処理実行期間中に気筒2内へ導入されるEGRガス量は、移行処理実行時間△tが短くなるほど少なくなるとともに移行処理実行時間△tが長くなる
ほど多くなる。
ほど多くなる。
そこで、ECU13は、図8に示すように、移行処理実行時間△tが短くなるほど副燃料量を多くするとともに、移行処理実行時間△tが長くなるほど副燃料量を少なくするようにした。
このように副燃料量が変更されると、気筒2内へ導入されるEGRガス量が少なくなるほどEGRガス中の既燃ガス成分濃度が高くなるとともに、気筒2内へ導入されるEGRガス量が多くなるほどEGRガス中の既燃ガス成分濃度が低くなる。
よって、前述した第1の実施例と同様に、気筒2内へ導入されるEGRガス量が少ない時に燃料の過早着火を抑制することができるとともに、気筒2内へ導入されるEGRガス量が多い時に燃料の失火やスモークの増加を抑制することができる。
尚、移行処理実行期間中において気筒2内へ導入されるEGRガス量の増加速度は、機関回転数が高くなるほど速くなるとともに機関回転数が低くなるほど遅くなる。よって、ECU13は、移行処理実行時間△tに基づいて決定された副燃料量を機関回転数に応じて補正するようにしてもよい。例えば、ECU14は、機関回転数が低くなるほど副燃料量を増量させるとともに、機関回転数が高くなるほど副燃料量を減量させるようにしてもよい。
<実施例3>
次に、本発明に係る圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システムの第3の実施例について図9に基づいて説明する。ここでは、前述した第1、第2の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
次に、本発明に係る圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システムの第3の実施例について図9に基づいて説明する。ここでは、前述した第1、第2の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
前述した第1及び第2の実施例では、副燃料量が所定の上限ガードQpstmax以下に制限される例について述べた。これに対し、本実施例では、副燃料量を上限ガードQpstmax以下に制限する代わりに、副燃料量に応じて主噴射時期及び副噴射時期を変更する例について述べる。
前述した第1の実施例で述べたように、副燃料量が過多になると燃焼ピークタイミングが過剰に遅くなるため、ドライバビリティの低下や燃費の悪化が誘発される可能性がある。
そこで、ECU13は、図9に示すように、副燃料量が多くなるほど主噴射時期及び副噴射時期を進角させるようにした。その際、主噴射時期と副噴射時期の間隔(インターバル)が不等間隔になると、噴射圧力の変動或いは脈動により主噴射及び副噴射の噴射量にばらつき等が発生する可能性がある。よって、本実施例では、ECU13は、主噴射時期と副噴射時期の間隔を一定に保ちつつ双方の噴射時期を変更させるようにした。
このように副燃料量に応じて主噴射時期及び副噴射時期が変更されると、副燃料量が増加した場合に燃焼ピークタイミングが過剰に遅くなることが抑制される。よって、移行処理実行期間中の燃費の悪化やドライバビリティの低下が抑制される。
<実施例4>
次に、本発明の第4の実施例について図10〜図11に基づいて説明する。ここでは、前述した第3の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
次に、本発明の第4の実施例について図10〜図11に基づいて説明する。ここでは、前述した第3の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
前述した第3の実施例では、内燃機関1を拡散燃焼運転から予混合燃焼運転へ移行させる方法として、パイロット噴射量を徐々に減量しつつ主噴射時期を徐々に進角させる方法が用いられている。
これに対し、本実施例では、内燃機関1を拡散燃焼運転から予混合燃焼運転へ移行させる方法として、燃料を複数回に分割して噴射させるとともに最前の燃料噴射の開始時期を徐々に進角させる方法を用いる。
図10は、内燃機関1が拡散燃焼運転から予混合燃焼運転へ移行する過程における燃料噴射パラメータの変更手順を示すタイミングチャートである。
先ず、ECU13は、図10の(a)に示すように、拡散燃焼運転時の燃料噴射時期(図10中のTdf)と同時期に開始される主噴射Mと、主噴射Mより早期に開始される予備噴射S1とに分割して燃料を噴射する。
その際、主噴射Mの噴射量と予備噴射Sの噴射量との総和は、内燃機関1の要求トルクに見合う量と同等に設定される。これは、内燃機関1のトルク変動を抑制するためである。
また、予備噴射Sの噴射量は、可能な限り少なく設定されることが好ましい。これは、予備噴射Sの追加による燃焼状態の変化を極力小さくするとともに、予備噴射Sにより噴射された燃料の過早着火を抑制するためである。そこで、予備噴射Sの噴射量は、燃料噴射弁3が噴射可能な最低噴射量Qpminに設定されるようにしてもよい。
次に、ECU13は、予備噴射Sの回数(以下、「予備噴射回数」と称する)を徐々に増加させる(図10の(b),(c),(d)を参照)。具体的には、ECU13は、実GNが少なくなるほど(或いは移行処理実行時間△tが長くなるほど)、予備噴射回数を増加させる。
ECU13は、予備噴射回数を増加させる場合に、予備噴射回数の増加分に相当する燃料量を主噴射Mの噴射量から減算する。これは、内燃機関1のトルクが要求トルクから逸脱することを回避するためである。
更に、ECU13は、燃料噴射の間隔(この場合は、主噴射Mと予備噴射Sとの間隔△t1、及び、予備噴射Sと予備噴射Sとの間隔△t2を含む)を一定にする。これは、燃料噴射間隔が不定になると、噴射圧力の変動或いは脈動により主燃料噴射S及び予備燃料噴射Sの噴射量にばらつき等が発生する可能性があるからである。
ところで、燃料噴射間隔△t1,△t2を一定に保ちつつ予備噴射回数が増加させられると、最前の予備噴射Sの開始時期は、予備噴射回数が増加する度に進角するようになる。このため、燃料噴射間隔△t1,△t2が長く設定されると、燃料の着火時期が急激に変動してトルク変動や騒音を誘発する可能性がある。
これに対し、ECU13は、燃料噴射間隔△t1,△t2を可能な限り短く設定することにより、最前の予備噴射Sの開始時期が急激に進角されないようにしている。
上記した手順により予備噴射回数が増加させられると、最前の予備噴射Sの開始時期が所定の進角ガード時期に到達する(図10の(d)を参照)。進角ガード時期は、予混合燃焼運転時の燃料噴射開始時期、若しくはボアフラッシングを抑制し得る燃料噴射時期の範囲のうち最も早い噴射時期に相当する。
ECU13は、最前の予備噴射Sの開始時期が進角ガード時期に達した後は、開始時期が最も遅い燃料噴射から順次終了させ、終了させられた燃料噴射分の燃料を最前の予備噴射Sの噴射量に加算する。
このような手順により移行処理が実行されると、気筒2内の既燃ガス成分量が多くなるにつれて予混合気の形成時期が徐々に早くなるとともに予混合気の量が徐々に多くなるため、着火時期の急速な変化が抑制される。その結果、内燃機関1は、トルク変動や騒音を発生することなく円滑な移行を行うことができる。
ところで、図10に示した移行処理と、前述した第3の実施例で述べた主噴射時期及び副噴射時期の変更処理とが並行して実行されると、主噴射Mと予備噴射Sとの間隔△t1が過剰に短くなる可能性がある。主噴射Mと予備噴射Sとの間隔△t1が過剰に短くなると、燃料噴射弁3が噴射信号に追従できなくなる可能性がある。
そこで、ECU13は、図11に示すように、主噴射M及び副噴射の噴射時期を進角させる場合は、主噴射Mの直前の予備噴射Sを中止する。これにより、主噴射Mと予備噴射Sとの間隔△t1が過剰に短くなることがなくなる。
また、ECU13は、中止された予備噴射分の燃料を一つ前の予備噴射Sに加算するようにしてもよい。この場合、主噴射時期及び副噴射時期の進角によって予混合気の形成時期や形成量が大幅に変化することが抑制される。
<実施例5>
次に、本発明の第5の実施例について述べる。ここでは、前述した第1〜第4の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
次に、本発明の第5の実施例について述べる。ここでは、前述した第1〜第4の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
前述した第1〜第4の実施例では単位量当たりのEGRガス中に含まれる既燃ガス成分量を増加させることにより、拡散燃焼運転から予混合燃焼運転への移行時期を早める例について述べた。
これに対し、本実施例では、単位量当たりのEGRガス中に含まれる既燃ガス成分量を増加させると同時に、気筒2内に残留する既燃ガス成分量も増加させる例について述べる。
フューエルカット運転終了後の拡散燃焼運転時に副噴射(ポスト噴射)が行われると、EGRガスの輸送遅れ解消時(図5中のt2)に多量の既燃ガス成分を気筒2内へ導入させることができる。
但し、EGRガスの輸送遅れが解消されるまでの期間(図5中の期間P1)は、気筒2内へ導入される既燃ガス成分量が極めて少ないため、拡散燃焼運転から予混合燃焼運転への移行処理は上記輸送遅れが解消されるまで実行することができない。
これに対し、フューエルカット運転終了後において気筒2内に残留する既燃ガス成分量が増加させられると、上記した輸送遅れが解消される前に気筒2内の既燃ガス成分量を増加させることができる。その結果、上記輸送遅れが解消される前に移行処理が開始されても、燃料の過早着火が抑制されるようになる。
ここで、気筒2内に残留する既燃ガス成分量を増加させる方法としては、上記した副噴射(ポスト噴射)の実行に加えて、(1)排気絞り弁の開度を減少させる、(2)排気弁
の閉弁時期を進角させる、(3)可変容量型ターボチャージャのノズルベーンの開度を絞る、等の方法を例示することができる。
の閉弁時期を進角させる、(3)可変容量型ターボチャージャのノズルベーンの開度を絞る、等の方法を例示することができる。
以上述べた実施例によれば、内燃機関1は、前述した第1〜第4の実施例より早期に予混合燃焼運転へ移行することが可能となる。
<実施例6>
次に、本発明の第6の実施例について述べる。ここでは、前述した第1〜第5の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
次に、本発明の第6の実施例について述べる。ここでは、前述した第1〜第5の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
本実施例では、ECU13は、内燃機関1のフューエルカット運転終了時から所定期間(第2所定期間)が経過するまでは、燃料の温度を上昇させるようにした。
フューエルカット運転時は低温な空気のみが気筒2内を通過するため、気筒2内の温度が低下する。よって、フューエルカット運転終了直後は、気筒2内の燃料が気化及び霧化し難い。
これに対し、内燃機関1のフューエルカット運転終了後の所定期間において、燃料の温度を上昇させられると、燃料の気化及び霧化が促進される。その結果、燃料と空気が均質に混合した予混合気を形成することが可能になるとともに、着火時期を安定させることが可能となる。
ここで、燃料の温度を上昇させる方法としては、燃料を直接加熱する方法や吸気を媒体として間接的に加熱する方法を例示することができる。燃料を直接加熱する方法としては、グロープラグを作動させる方法を例示することができる。また、吸気を加熱する方法としては、吸気通路にヒータを配置する方法を例示することができる。
1・・・・・内燃機関
3・・・・・燃料噴射弁
4・・・・・吸気通路
7・・・・・排気通路
9・・・・・EGR通路
10・・・・EGR弁
11・・・・EGRクーラ
12・・・・吸気絞り弁
13・・・・ECU
3・・・・・燃料噴射弁
4・・・・・吸気通路
7・・・・・排気通路
9・・・・・EGR通路
10・・・・EGR弁
11・・・・EGRクーラ
12・・・・吸気絞り弁
13・・・・ECU
Claims (8)
- 気筒内へ所定量以上のEGRガスを導入することにより予混合燃焼運転を行う圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システムにおいて、
前記内燃機関がフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ移行する時に、前記内燃機関の排気に含まれる既燃ガス成分の量を増加させる制御手段を備えることを特徴とする圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システム。 - 請求項1において、前記制御手段は、膨張行程以降の気筒内へ燃料の副噴射を行うことにより排気中の既燃ガス成分量を増加させることを特徴とする圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システム。
- 請求項2において、前記制御手段は、気筒内へ導入されるEGRガス量が前記所定量に対して少なくなるほど、前記副噴射により噴射される燃料量を増加させることを特徴とする圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システム。
- 請求項2又は3において、前記内燃機関がフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ移行する時に、前記内燃機関を一旦拡散燃焼運転させた後に予混合燃焼運転へ移行させる移行手段を更に備え、
前記制御手段は、前記移行手段が前記内燃機関を拡散燃焼運転させた時に、膨張行程以降の気筒内へ燃料の副噴射を行うことを特徴とする圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システム。 - 請求項4において、前記制御手段は、前記副噴射により噴射される燃料量が多くなるほど、燃料の主噴射時期を進角させることを特徴とする圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システム。
- 請求項5において、前記内燃機関が拡散燃焼運転から予混合燃焼運転へ移行する時に、拡散燃焼運転用の主噴射と該主噴射より早期の予備噴射とに分割して燃料噴射を行うとともに、予備噴射の回数を段階的に増加させる噴射制御手段を更に備え、
前記制御手段は、前記主噴射時期の進角を行う場合に、主噴射の直前の予備噴射を停止させるとともに停止された予備噴射分の燃料を該予備噴射より早期の予備噴射へ加算することを特徴とする圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システム。 - 請求項1〜6の何れか一において、フューエルカット運転終了時から第1所定期間は、気筒内に残留するガス量を増加させる内部EGR手段を更に備える圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システム。
- 請求項1〜7の何れか一において、フューエルカット運転終了時から第2所定期間は、燃料の温度を上昇させる加熱手段を更に備えることを特徴とする圧縮着火式内燃機関の燃焼制御システム。
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