JP2008005094A - エコー抑圧方法、装置、エコー抑圧プログラム、記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マイク受話信号を周波数領域変換し、周波数帯域ごとにエコーを抑圧するゲインを求め、周波数帯域ごとにゲイン制御を行う。送話音声のレベルが大きい周波数帯域では送話信号をそのまま通過させ、エコーのレベルが大きい周波数帯域ではエコーを抑圧する。受話音声と近端話者の音声が両方存在するダブルトークの場合でも、音声の切断感が少なく、双方向の通話性能が高いエコー抑圧装置を提案する。
【選択図】図1
Description
図8は特許文献1で開示された従来技術のエコー抑圧装置800の構成図である。従来技術のエコー抑圧装置800は、ゲイン乗算部801と、音響結合量推定部802と、送話判定部803と、受話判定部804と、ゲイン制御部805により構成される。
本エコー抑圧装置800は、スピーカとマイクロホンを用いた拡声通話においてマイク受音信号に混入するスピーカ音であるエコーを抑圧する。入力信号は、通話相手からの受信信号である受話信号と、自地点のマイクロホンで受音した信号であるマイク受音信号であり、出力信号は、自地点のスピーカから出力する信号であるスピーカ出力信号と、通話相手への送信信号である送話信号である。本装置は、マイク受音信号にエコーが主に含まれる場合は1よりも小さいゲインをマイク受音信号に乗算し、送話信号とすることで、マイク受音信号に含まれるエコーを抑圧する。
以下に、本装置の詳細について述べる。
音響結合量推定部802は、スピーカとマイクロホン間の伝達特性の振幅値である音響結合量A(t)を求める。ここではtは離散化された時刻を表す。スピーカ出力信号とマイク受音信号の時間平均レベルを観測し、その比をとって、音響結合量を求める。スピーカ出力信号をX(t)、マイク受音信号をY(t)とした場合、音響結合量A(t)は式(1)により求められる。
A(t)=E{|Y(t)|/|X(t)|} 式(1)
ただし、E{・}は平均時間をとること、|・|は絶対値を取ることを表す。
受話判定部804は、受話信号から、受話の判定をする。受話信号X(t)の時間平滑レベルを観測し、そのレベルがあらかじめ与えた固定閾値を越えた場合に受話と判定する。
ゲイン乗算部801は、ゲイン制御部805で設定されたゲイン値を、マイク受音信号に乗じ、送話信号とする。
以上の処理により、マイク受音信号にエコーのみが含まれる期間のみ、1未満のゲイン値がマイク受音信号に乗じられ、エコーが抑圧された送話信号となる。マイク受音信号にエコーが含まれないか、近端話者の音声が含まれる場合は、マイク受音信号がそのまま送話信号となり、通話相手に送話音声を伝えることができる。
本発明の目的は、受話音声と近端話者の音声が同時に存在するダブルトーク時の双方向通話性能を向上するエコー抑圧方法を提供することにある。
本発明によるエコー抑圧方法は更に、前記エコー抑圧方法において、推定エコーレベルに予め設定した固定係数を乗じて求めた複数の閾値と、推定マイクレベルとをそれぞれ比較し、推定マイクレベルが何れかの閾値よりも小さい場合は、推定マイクレベル以上の値を持つ閾値のうち最も推定マイクレベルに近い値を持つ閾値に対応する予め設定されたエコー抑圧ゲインを瞬時利得係数値と定め、これ以外の場合には予め設定した固定値を瞬時利得係数値とし、これら瞬時利得係数値を時間平滑した値を前記ゲイン乗算処理で用いるゲイン値として周波数帯域毎に設定することを特徴とする。
本発明によるエコー抑圧方法は更に、前記エコー抑圧方法において、スピーカ出力信号の周波数領域変換処理で周波数領域信号に変換されたN個の周波数成分のスピーカ信号を、2以上でN未満のN’個の周波数成分のスピーカ出力信号に変換するスピーカ出力信号の帯域分割数変換処理と、マイク受音信号の周波数領域変換処理で周波数領域信号に変換されたN個の周波数成分のマイク受音信号をN’個の周波数成分のマイク受音信号に変換するマイク受音信号の帯域分割数変換処理と、ゲイン制御処理の出力であるN’個の周波数帯域のゲイン値をN個の周波数帯域のゲイン値に変換するゲインの帯域分割数変換処理を付加し、N個の周波数帯域毎に施されていた処理を、帯域分割数変換後のN’の周波数帯域毎とすることを特徴とする。
更に本発明の第2の実施例によれば、空調やファンなどの定常雑音を抑圧することができる。本発明の第3の実施例によれば、不連続な周波数特性を軽減し、より自然な音質を実現することができる。本発明の第4の実施例によれば、演算する帯域数を軽減し、演算量を削減することができる。本発明の第5の実施例によれば、残響時間の長い環境においても、十分なエコー抑圧をしながら、近端話者の音声劣化を最小限とすることができる。
コンピュータにより本発明によるエコー抑圧装置を構成するには、コンピュータにインストールしたエコー抑圧プログラムによりコンピュータには少なくとも、マイク受音信号を2以上のN個の周波数成分から成る周波数領域信号に変換する第1周波数領域変換部と、スピーカ出力信号をN個の周波数領域成分から成る周波数領域信号に変換する第2周波数領域変換部と、周波数領域信号に変換されたマイク受音信号と、周波数領域信号に変換されたスピーカ出力信号との比から、スピーカとマイクロホン間の伝達係数の振幅値である音響結合量を周波数領域毎に推定する音響結合量推定部と、周波数領域信号に変換されたスピーカ出力信号を予め設定した残響時間に対応した時定数で平滑化して時間平滑レベルを求め、この時間平滑レベルに音響結合量を乗じてマイク受音信号に含まれるエコー成分のレベルを周波数帯域毎に推定するエコーレベル推定部と、周波数領域信号に変換されたマイク受音信号の時間平滑レベルを計算して周波数帯域毎にマイクレベルを推定するマイクレベル推定部と、推定エコーレベルと、推定マイクレベルとを比較し、推定エコーレベルが大きい程抑圧量の大きいゲイン値を設定し、推定エコーレベルが充分小さい場合には予め設定した固定ゲイン値を周波数帯域毎に設定するゲイン制御部と、周波数領域信号に変換されたマイク受音信号にゲイン制御部で設定したゲイン値を周波数帯域毎に乗算するゲイン乗算部と、ゲイン乗算部で乗算処理された出力信号を逆周波数領域変換し、送話信号として出力する逆周波数領域変換部とを構築し、エコー抑圧装置として機能させる。
図7に示すように、マイク受音信号は、近端話者の音声に加えて、スピーカ出力音がマイクロホンMに回り込んだ信号(エコー)が含まれる。エコー抑圧装置700はこのエコーを抑圧し、会話をしやすくする。また、エコー抑圧装置700の各入力信号は、AD変換により、アナログ信号から離散時間の信号に変換され、各出力信号は、離散時間信号からDA変換によりアナログ信号に変換されている。
本発明では、マイク受音信号をN個の周波数帯域信号に分割し、周波数帯域ごとでエコーを抑圧するためのゲインを信号に乗じ、エコーを抑圧する。ただし、Nは2以上の整数である。エコー成分の多く含まれる帯域はゲインを小さくして抑圧し、近端話者の音声が多く含まれる帯域はゲインを予め定めた固定値、例えば1として通過させるようにゲイン値を制御する。このようにすることで、エコーと近端話者の音声が同時に存在するダブルトーク期間であっても、近端話者の音声のレベルの減衰を抑えながら、エコーを抑圧することが可能となり、双方向通話性能を向上させることができる。
第1周波数領域変換部101は、マイク受音信号をN個の周波数成分を持つ周波数領域信号に変換する。周波数領域への変換はフーリエ変換や帯域分割フィルタバンクにより行うことができる。変換後のマイク受話信号をY(Ω)で表す。ただし、Ωは周波数領域変換でのN個の周波数帯域の中心周波数ω0〜ωN−1に対応した離散的な周波数である。この周波数領域変換は、1サンプル以上の複数サンプルごとに行われる。この周波数領域変換が行われる間隔を1フレームと表す。このような処理により、1フレームごとに、周波数領域に変換された受話信号Y(Ω)が得られる。
周波数帯域ごとに設けられた音響結合量推定部1051〜105Nは、マイク受音信号の第1周波数領域変換部101の出力Y(Ω)とスピーカ出力信号の第2周波数領域変換部103の出力X(Ω)から、周波数帯域ごとの音響結合量A(Ω)を求める。音響結合量とは、スピーカとマイク間の伝達関数の振幅値であり、周波数領域変換後のスピーカ出力信号とマイク受音信号の絶対値の比で求められる。また、音響結合量の精度を向上するために時間平滑化が行われる。スピーカ出力信号の周波数領域変換信号をX(Ω)、マイク受音信号の周波数領域変換信号をY(Ω)とした場合、音響結合量A(Ω)は式(2)により求められる。
A(Ω)=E{|Y(Ω)|/|X(Ω)|} 式(2)
ただし、E{・}は平均値を取ることを表し、|・|は絶対値をとることを表す。
周波数帯域ごとに設けられたエコーレベル推定部1061〜106Nは、音響結合量推定部1051〜105Nで求められた音響結合量A(Ω)と、スピーカ出力信号の周波数領域変換部103の出力X(Ω)からマイク受音信号に含まれるエコーのレベルを推定する。部屋の反響を無視した場合、エコーレベルは、受話信号の周波数ベクトル|X(Ω)|に音響結合量A(Ω)を乗じることで推定可能できる。しかし、実際には部屋の音響が存在するため、反響成分も含めてエコーを推定する必要がある。通常、部屋の音響成分は時間とともに指数減衰するので、以下の式(3)により、エコーレベルR(Ω)の推定を行う。
R(Ω)=A(Ω)・P(Ω)
P(Ω)=|X(Ω)| for P'(Ω)≦|X(Ω)|
P(Ω)=u・P'(Ω)+(l-u)・|X(Ω)| for P'(Ω)>|X(Ω)| 式(3)
ただし、P(Ω)は反響に相当する時間平滑を行ったあとのスピーカ出力信号であり、P’(Ω)は1フレーム前のP(Ω)であり、uは反響の長さ(残響時間)の想定値を調整するための係数でありあらかじめ固定値が設定される。uは例えば0≦u<1の値をとり、1に近いほど残響時間の長い環境が模擬され、0に近いほど残響時間の短い環境が模擬される。
S(Ω)=|Y(Ω)| 式(4)
もしくは、Y(Ω)の絶対値を時間平滑化して求めても良い。これは例えば式(5)で表される。
S(Ω)=w・S'(Ω)+(l-w)・|Y(Ω)| 式(5)
ただし、S'(Ω)は1フレーム前のマイクレベルであり、wは時間平滑化の係数であり、例えば0≦w<1の値をとる。wが1に近いほど長い時間での平滑化となり、0に近いほど短い時間での時間平滑化となる。
周波数帯域ごとに設けられたゲイン制御1081〜108Nは、エコーレベル推定部1061〜106Nで推定されたエコーレベルR(Ω)と、マイクレベル推定部1071〜107Nで推定されたマイクレベルS(Ω)から、マイク受音信号に与える帯域ごとのゲインを制御する。ゲイン制御は、マイク受音信号にエコー成分が多く含まれる場合はエコーを抑圧し、これ以外の場合には近端話者音声を通過させるように行われる。
S(Ω)≦C・R(Ω) 式(6)
エコー成分が多く含まれる期間として検出されたら、その帯域の瞬時利得係数g(Ω)を、あらかじめ固定値で設定したエコー抑圧量Dに設定する。ただし、エコー抑圧量Dは例えば0≦D<1の値をとり、小さい値にするほどエコー抑圧量が増加するが、ダブルトーク時の近端話者音声の劣化が増加する。次に、エコー成分が多く含まれる期間として検出されなかった場合は、エコー成分が小さいので、瞬時利得係数g(Ω)を予め設定した固定値、例えば1に設定し、マイク受音信号をそのまま通過させる。このゲイン制御を式で表せば式(7)となる。
g(Ω)=D for S(Ω)≦C・R(Ω)
g(Ω)=1 for S(Ω)>C・R(Ω)
次に、瞬時利得係数g(Ω)を時間平滑化して、ゲイン乗算部1041〜104Nに
出力するゲインG(Ω)を求める。時間平滑化することでゲインの急激な変化による音質劣化を抑えることができる。時間平滑化は、例えば式(8)のように行われる。
G(Ω)=a・G'(Ω)+(l-a)・g(Ω) for g(Ω)≦G'(Ω)
G(Ω)=b・G'(Ω)+(l-b)・g(Ω) for g(Ω)>G'(Ω) 式(8)
ただし、G'(Ω)は1フレーム前のゲインG(Ω)である。aはゲイン下降時の平滑化係数、bはゲイン上昇時の平滑化係数であり、あらかじめ固定値で設定される。aとbは0から1の間の値をとり、1に近いほど長い時間での平滑化となり、0に近いほど短い時間での時間平滑化となる。
g(Ω)=DK for S(Ω)≦CK・R(Ω)
g(Ω)=DK-1 for CK・R(Ω)<S(Ω)≦CK-1・R(Ω)
: :
g(Ω)=D1 for C2・R(Ω)<S(Ω)≦C1・R(Ω)
g(Ω)=1 for S(Ω)>C1・R(Ω) 式(9)
ただし、固定係数C1〜CKは、それぞれ予め定めた固定値、例えば1以上の値をとり、係数の大小関係はC1>C2>…>CKとなるように、あらかじめ固定値を設定する。エコー抑圧量D1〜DKは、それぞれ0≦DK≦1の値をとり、その大小関係はD1>D2>…>DKとなるようにあらかじめ固定値を設定する。次に、瞬時利得係数g(Ω)を時間平滑化してゲイン乗算部1041〜104Nで用いるゲインG(Ω)を求める。時間平滑化は、前述と同様に例えば式(8)により行われる。このように、複数のエコー抑圧量を設定することで、マイク受音信号に含まれるエコー成分の割合により、エコー抑圧量を変えることができ、抑圧量を従来技術のように1段階で設定するよりもエコー抑圧量を上げても、ダブルトーク時の通話品質を保つことが可能となる。
逆周波数領域変換部102は、ゲイン乗算部1041〜104Nの出力信号を逆周波数領域変換して、送話信号として出力する。
以上の処理により、本実施例のエコー抑圧装置はマイク受音信号にエコー成分が多く含まれる周波数帯域成分を抑圧し、エコーを抑圧することができる。また、周波数帯域ごとで抑圧するか通過させるかの判定を行っているので、従来のエコー抑圧装置よりも受話音声と近端話者音声が同時に存在するダブルトーク時の近端話者の音声の劣化が小さい。
図6A、図6B、図6Cに示すダブルトーク時のマイク受音信号と送話音声の周波数スペクトル図から、本発明の効果を説明する。図6Aはエコー抑圧前のマイク受音信号の周波数スペクトルであり、図6Bは、従来のエコー抑圧装置通過後の送話音声の周波数スペクトルである。従来のエコー抑圧装置では、フルバンドでロスを挿入するため、図6Bに示すように、近端話者の音声成分とエコー成分を両方同じだけ抑圧してしまう。このため、ダブルトーク時にエコー抑圧すると送話信号に含まれる近端話者の音声が小さくなり聞き取りづらいレベルになってしまう。これに対し、図6Cに示す本発明のエコー抑圧装置通過後の送話音声の周波数スペクトルでは、エコー成分のレベルが高い周波数成分のみ抑圧され、近端話者音声成分のレベルが高い周波数成分はそのまま出力される。これにより、近端話者音声レベルの減少は、従来のエコー抑圧装置に比べ小さくなる。
以上示したように、本発明の第1の実施例によれば、受話音声と近端話者音声が両方存在するダブルトークの場合でも、エコーを抑圧し、かつ音声の切断感の少ない高品質な双方向通信を実現できる。
周波数帯域ごとに設けられたマイク雑音レベル推定部2011〜201Nは、マイク受音信号の第1周波数領域変換部101の出力信号から、マイク受音信号に含まれる雑音レベルNS(Ω)を推定する。ここで推定する雑音は、空調やファンの音など時間的なレベル変動が少ない定常雑音である。雑音レベルの推定は、信号レベルの時間変化の谷を保持するディップホールド処理により行われる。このディップホールドは、推定の雑音レベルよりも信号レベルが大きい場合には長い時間の時定数での平滑化を行い、推定の雑音レベルよりも信号レベルが小さい場合には短い時間の時定数での平滑化を行うことにより実現される。例えば、式(10)によりマイク受音信号の推定雑音レベルNS(Ω)が計算される。
NS(Ω)=p・NS'(Ω)+(l-p)・S(Ω) for NS'(Ω)≧S(Ω)
NS(Ω)=q・NS'(Ω)+(l-q)・S(Ω) for NS'(Ω)<S(Ω) 式(10)
ただし、N'S(Ω)は1フレーム前のマイク受音信号の推定雑音レベルであり、pは推定雑音レベル減少時の平滑化係数であり、qは推定雑音レベル増加時の平滑化係数であり、それぞれ例えば0≦p<1、0≦q<1の値をあらかじめ固定値として設定する。またp<<qとなるように設定し、推定雑音レベル増加時に非常に緩やかな値の上昇とすることで信号をディップホールドして雑音レベルを推定する。
周波数帯域ごとに設けられたエコーレーベル推定部1061〜106Nは、音響結合量推定部1051〜105Nで求められた音響結合量A(Ω)と、スピーカ出力信号の第2周波数領域変換部103の出力X(Ω)と、受話雑音レベル推定部2021〜202Nで推定された受話雑音レベルNR(Ω)からマイク受音信号に含まれるエコーのレベルを推定する。ただし、本実施例で推定するエコーレベルは定常雑音成分を除いたエコーレベルである。
R(Ω)=A(Ω)・P(Ω)
P(Ω)=u・P'(Ω) for {|X(Ω)|-r・NR(Ω)}<0
P(Ω)=|X(Ω)| for P'(Ω)≦ {|X(Ω)|-r・NR(Ω)}≧0
P(Ω)=u・P'(Ω)+(l-u)・{|X(Ω)|-r・NR(Ω)} for P'(Ω)> {|X(Ω)|-r・NR(Ω)}≧0
式(11)
ただし、rは雑音レベルの減算係数であり、あらかじめ固定的に与えられる。標準的には例えばr=1と設定し、より雑音レベルを減算したい場合は1以上の値に設定し、雑音レベルの減算を少なめにしたい場合には1以下に設定する。この他の記号は、本発明の第1の実施例と同様であり、以下のように定義される。P(Ω)は反響に相当する時間平滑を行ったあとのスピーカ出力信号であり、P’(Ω)は1フレーム前のP(Ω)であり、uは反響の長さ(反響時間)の想定値を調整するための係数であり、あらかじめ固定値が設定される。uは例えば0≦u<1の値をとり、1に近いほど残響時間の長い環境が模擬され、0に近いほど残響時間の短い環境が模擬される。
周波数帯域ごとに設けられたゲイン制御部1081〜108Nは、エコーレベル推定部1061〜106Nで推定されたエコーレベルR(Ω)と、マイクレベル推定部1071〜107Nで推定されたマイクレベルS(Ω)と、マイク雑音レベル推定部2011〜201Nで推定されたマイク雑音レベルNS(Ω)から、マイク受音信号に与える帯域ごとのゲインを制御する。ゲイン制御は、マイク受音信号にエコー成分が多く含まれる場合はエコーを抑圧し、雑音が主に含まれる場合は雑音を抑圧し、これ以外の場合には近端話者音声を通過させるように行われる。
S(Ω)≦C・R(Ω) 式(12)
エコー成分が多く含まれる期間として検出されたら、その帯域の瞬時エコー抑圧ゲインgE(Ω)を、あらかじめ固定値で設定したエコー抑圧量Dに設定する。ただし、エコー抑圧量Dは例えば0≦D≦1の値をとり、小さい値にするほどエコー抑圧量が増加するが、ダブルトーク時の近端話者音声の劣化が増加する。次に、エコー成分が多く含まれる期間として検出されなかった場合は、エコー成分が小さいので、瞬時エコー抑圧利得係数gE(Ω)を例えば1に設定し、マイク受音信号をそのまま通過させる。このゲイン制御を式で表せば式(13)となる。
gE(Ω)=D for S(Ω)≦C・R(Ω)
gE(Ω)=1 for S(Ω)>C・R(Ω) 式(13)
S(Ω)≦CN・NS(Ω) 式(14)
雑音成分が多く含まれる期間として検出されたら、その帯域の瞬時雑音抑圧利得係数gE(Ω)を、あらかじめ固定値として設定した雑音抑圧量DNに設定する。ただし、雑音抑圧量DNは0≦D≦1の値をとり、小さい値にするほど雑音抑圧量が増加するが、近端話者音声の劣化が増大する。次に、雑音成分が多く含まれている期間として検出されなかった場合は、雑音成分が小さいので、瞬時雑音抑圧利得係数gN(Ω)を予め定めた固定値、例えば1に設定し、マイク受音信号をそのまま通過させる。このゲイン制御を式で表せば式(15)となる。
gN(Ω)=DN for S(Ω)≦CN・NS(Ω)
gN(Ω)=1 for S(Ω)>CN・NS(Ω) 式(15)
以上により求められた瞬時エコー抑圧利得係数gE(Ω)と瞬時雑音抑圧利得係数gN(Ω)のうち小さい方を瞬時雑音利得係数g(Ω)に設定する。これは式(16)により表される。
g(Ω)=MIN{gE(Ω),gN(Ω)} 式(16)
ただし、MIN{A,B}はAの値とBの値のうち小さい方を選択するということを意味する。
また、本発明の実施例1と同様にして、複数のエコー抑圧量と雑音抑圧量を設定することもできる。エコー成分が多く含まれる期間を検出するための固定係数CをK個のC1〜CKとし、推定エコーレベルR(Ω)にこれらの係数C1〜CKを乗じた値と、マイクレベルS(Ω)の値を比較して、エコー抑圧量D1〜DKを、瞬時エコー抑圧利得係数gE(Ω)に設定する。これを式で表せば式(17)となる。
gE(Ω)=DK for S(Ω)≦CK・R(Ω)
gE(Ω)=DK-1 for CK・R(Ω)<S(Ω)≦CK-1・R(Ω)
: :
gE(Ω)=D1 for C2・R(Ω)<S(Ω)≦C1・R(Ω)
gE(Ω)=1 1 for S(Ω)>C1・R(Ω) 式(17)
瞬時雑音抑圧利得係数gN(Ω)も同様に、雑音成分が多く含まれる期間を検出するための固定係数CNをJ個の係数DN,1〜DN,Jを、瞬時エコー抑圧利得係数gN(Ω)に設定する。これを式で表せば式(18)となる。
gN(Ω)=DN,J for S(Ω)≦CN,J・NS(Ω)
gN(Ω)=DN,J-1 for CN,J・NS(Ω)<S(Ω)≦CN,J-1・NS(Ω)
: :
gN(Ω)=DN,1 for CN,2・NS(Ω)<S(Ω)≦CN,1・NS(Ω)
gN(Ω)=1 for S(Ω)>CN,1・NS(Ω) 式(18)
だたし、固定係数C1〜CKおよびCN,1〜CN,Jは、それぞれ1以上の値をとり、係数の大小関係はC1>C2>…>CKまたはCN,1>CN,2>…>CN,Jとなるように、あらかじめ固定値を設定する。エコー抑圧量D1〜DKと雑音抑圧量DN,1〜DN,Jは、それぞれ0≦DK≦1、0≦DN,J≦1の値をとり、その大小関係はD1>D2>…>DKまたはDN,1>DN,2>…>DN,Jとなるようにあらかじめ固定値を設定する。次に、瞬時エコー抑圧利得係数gE(Ω)のうち小さい方を選択し瞬時利得係数g(Ω)とし、この瞬時利得係数g(Ω)を時間平均化してゲインG(Ω)を求める。時間平滑化は、第1の実施例と同様にして行われる。このように、複数のエコー抑圧量と雑音抑圧量を設定することで、マイク受音信号に含まれるエコー成分や雑音成分の割合により、エコーまたは雑音抑圧量を変えることができ、抑圧量を従来技術のように1段階で設定するよりもエコーや雑音抑圧量を上げても、通話品質を保つことが可能となる。
これら以外の部分については、本発明の実施例1と同様であるので説明を省略する。
以上示したように、本実施例2によれば、本発明の第1実施例の効果に加えて、空調やファンの音などの定常的な雑音を抑圧することができる。
本実施例のエコー抑圧装置300は、本発明の第1または第2の実施例に、周波数特性平滑部301を追加した構成である。本実施例は、ゲインの周波数特性を周波数軸で平滑化することで、不連続な周波数特性を軽減し、より自然な音質を実現する。
周波数特性平滑部は、ゲイン制御部1081〜108Nで設定されたゲインG(Ω)を周波数軸で平滑化する。平滑化は例えば式(19)により行われる。
G'(ωi)=α・G'(ωj-1)+(1-α)・G(ωj) 式(19)
ただし、G'(ωj)は、平滑化後のゲインであり、αは平滑係数で、あらかじめ固定値が設定される。αは例えば0≦α<1の値をとり、1に近いほど、より強い平滑化となる。
この周波数特性の平滑化により、音質の不自然さの原因となるゲインの不連続な周波数特性を軽減し、音質を向上させることができる。
これ以外の部分に関しては本発明の第1または第2の実施例と同様であるので説明を省略する。
以上、示したように本実施例3によれば、本発明の第1または第2の実施例の効果に加えて、不連続な周波数特性を軽減し、より自然な音質を実現することができる。
マイク受音信号の帯域分割変換部401は、マイク受音信号の第1周波数領域変換部101の出力信号である周波数領域変換後のマイク受音信号Y(Ω)の帯域分割数をNからN’に変換する。ただし、N’はN未満の整数であり、変換後のY(Ω)をY’(Ω’)とする。
変換は、変換前の複数の帯域を1つの帯域にまとめることにより行われ、例えばΩ=ωn,…,ωmの範囲のI個の帯域を、1つの帯域Ω’に変換するときには、変換前の複数の帯域の振幅の平均値を、変換後の振幅とする。平均値は、式(20)または式(21)により計算される。
音響結合量推定部1051〜105N’と、エコーレベル推定部1061〜106N’と、マイクレベル推定部1071〜107N’と、ゲイン制御部1081〜108N’と、マイク雑音レベル推定部2011〜201N’と、受話雑音レベル推定部2021〜202N’は、変換後の帯域分割数N’と同数あり、それぞれ帯域分割数変換後の信号を入力として、本発明の第1〜3の実施例と同様の処理を行う。
周波数特性平滑化部301を有さない実施例に適用する場合には、ゲイン乗算部1041〜104Nとは、ゲインの帯域分割数変換部403により帯域分割数が変換されたゲイン値を入力とし、本発明の第1〜3の実施例と同様の処理を行う。
周波数特性平滑化部301を有する実施例に適用する場合には、周波数特性平滑化部301は、ゲインの帯域分割数変換部403により帯域分割数が変換されたゲイン値を入力とし、本発明の第1〜3の実施例と同様の処理を行う。
これら以外の部分については、本発明の第1〜3の実施例と同様であるので、説明を省略する。
以上示したように、本実施例によれば、本発明の第1〜3の実施例の効果に加えて、帯域分割数を一部の処理で少なくすることで、演算量の削減を行うことができる。
本実施例のエコー抑圧装置は、本発明の第1〜第4の実施例に含まれるエコーレベル推定部106i(i=1,…,N)が、図5に示すような複数個の残響時間に対応したエコーレベル計算部106i,1〜106i,Mから構成されることを特徴とする。複数個の残響時間を想定して、複数のエコーレベルR1(Ω)〜RM(Ω)を推定することで、残響時間に応じたエコー抑圧量を設定することができる。
エコーレベル推定部106i(i=1,…,N)は本発明の第1〜第4の実施例のエコーレベル推定部1061〜106Nと同様にしてエコーレベルを推定する。ただし、反響の長さ(残響時間)の想定値を調整するための係数uの値をM個(ul〜uM)設定し、各エコーレベル計算部106i,1〜106i,Mで、各残響時間を想定した場合のエコーレベルR1(Ω)〜RM(Ω)を計算する。
周波数帯域ごとに設けられたゲイン制御部108i〜108Nは、エコーレベル推定部106i〜106Nで推定されたエコーレベルR1(Ω)〜RM(Ω)と、マイクレベル推定部107i〜107Nで推定されたマイクレベルS(Ω)と、マイク雑音レベル推定部で201i〜201Nで推定されたマイク雑音レベルNS(Ω)から、マイクレベル受音信号に与える帯域ごとのゲインを制御する。瞬時雑音抑圧利得係数gN(Ω)は、本発明の第1〜第4の実施例と同様にして求められる。瞬時エコー抑圧利得係数も本発明の第1〜第4の実施例と同様にして求められるが、複数の残響時間を想定した複数の推定エコーレベルR1(Ω)〜RM(Ω)の、各々に対して瞬時エコー抑圧利得係数gE,1(Ω)〜gE,M(Ω)が求められる。これらの瞬時エコー抑圧利得係数と瞬時雑音抑圧利得係数のうち最も利得値が小さいものを最小利得選択部108−1で選択し、選択した利得係数を瞬時抑圧利得係数g(Ω)とし、この瞬時抑圧利得係数g(Ω)を(実施例1〜4と同様に)時間平滑部108−2で時間平滑し、ゲイン乗算部1041〜104Nに出力する。
また、本実施例においてマイク受音信号の第1周波数領域変換部101と、逆周波数領域変換部102と、スピーカ出力信号の第2周波数領域変換部103を削除して、周波数領域変換を行わずに全帯域一括してゲイン制御することもできる。この場合も実施例1と同様に、式(9)で示したように複数のエコー抑圧量を設定することで、マイク受音信号に含まれるエコー成分の割合により、エコー抑圧量を変えることができ、従来のエコー抑圧装置のように抑圧量を1段階で設定でするのに比べ、エコー抑圧量を上げてもダブルトーク時の通話品質を保つことができる。
以上示したように、本実施例5によれば、本発明の第1〜第4の実施例の効果に加えて、残響時間の長い環境においても、十分なエコー抑圧をしながら、近端話者の音声劣化を最小限とすることができる。
以上各実施例で説明した本発明によるエコー抑圧装置はコンピュータが解読可能なプログラム言語によって記述されたエコー抑圧プログラムをコンピュータにインストールし、コンピュータに備えられたCPUに解読させることにより上述したエコー抑圧装置として機能し、本発明によるエコー抑圧方法が実行される。
本発明によるエコー抑圧プログラムはコンピュータが読み取り可能な例えば磁気ディスク或いはCD−ROM、半導体メモリ等の記録媒体に記録される。コンピュータにはこれらの記録媒体からインストールするか、又は通信回線を通じてインストールすることができる。
102 逆周波数領域変換部
103 第2周波数領域変換部
1041〜104N ゲイン乗算部
1051〜105N 音響結合量推定部
1061〜106N エコーレベル推定部
1071〜107N マイクレベル推定部
1081〜108N ゲイン制御部
2011〜201N マイク雑音レベル推定部
2021〜202N 受話雑音レベル推定部
301 周波数特性平滑化部
401〜403 帯域分割数変換部
Claims (16)
- マイク受音信号を2以上のN個の周波数成分から成る周波数領域信号に変換する第1周波数領域変換処理と、
スピーカ出力信号をN個の周波数領域成分から成る周波数領域信号に変換する第2周波数領域変換処理と、
前記周波数領域信号に変換されたマイク受音信号と、前記周波数領域信号に変換されたスピーカ出力信号との比から、スピーカとマイクロホン間の伝達関数の振幅値である音響結合量を周波数領域毎に推定する音響結合量推定処理と、
前記周波数領域信号に変換されたスピーカ出力信号を予め設定した残響時間に対応した時定数で平滑化して時間平滑レベルを求め、この時間平滑レベルに前記音響結合量を乗じてマイク受音信号に含まれるエコー成分のレベルを周波数帯域毎に推定するエコーレベル推定処理と、
前記周波数領域信号に変換されたマイク受音信号の時間平滑レベルを計算して周波数帯域毎にマイクレベルを推定するマイクレベル推定処理と、
前記推定エコーレベルと、前記推定マイクレベルとを比較し、推定エコーレベルが大きい程抑圧量の大きいゲイン値を設定し、推定エコーレベルが充分小さい場合には予め設定した固定ゲイン値を周波数帯域毎に設定するゲイン制御処理と、
前記周波数領域信号に変換されたマイク受音信号に前記ゲイン制御処理で設定したゲイン値を周波数帯域毎に乗算するゲイン乗算処理と、
前記ゲイン乗算処理で乗算処理された出力信号を逆周波数領域変換し、送話信号として出力する逆周波数領域変換処理と、
を含むことを特徴とするエコー抑圧方法。 - 請求項1記載のエコー抑圧方法において、前記周波数帯域毎に施される前記ゲイン制御処理は、前記推定エコーレベルに予め設定した固定係数を乗じて求めた閾値と、前記推定マイクレベルとを比較し、前記推定マイクレベルが前記閾値より小さい場合は予め設定したエコー抑圧ゲインを瞬時利得係数値とし、これ以外の場合には予め設定した固定値を瞬時利得係数値とし、これらの瞬時利得係数値を時間平滑化した値を前記ゲイン乗算処理で用いるゲイン値として周波数帯域毎に設定することを特徴とするエコー抑圧方法。
- 請求項1に記載のエコー抑圧方法において、前記推定エコーレベルに予め設定した固定係数を乗じて求めた複数の閾値と、前記推定マイクレベルとをそれぞれ比較し、前記推定マイクレベルが何れかの閾値よりも小さい場合は、前記推定マイクレベル以上の値を持つ閾値のうち最も前記推定マイクレベルに近い値を持つ閾値に対応する予め設定されたエコー抑圧ゲインを瞬時利得係数値と定め、これ以外の場合には予め設定した固定値を瞬時利得係数値とし、これら瞬時利得係数値を時間平滑した値を前記ゲイン乗算処理で用いるゲイン値として周波数帯域毎に設定することを特徴とするエコー抑圧方法。
- 請求項1乃至3の何れかに記載のエコー抑圧方法において、前記周波数領域信号に変換されたマイク受音信号から、マイク受音信号に含まれる定常雑音のレベルを周波数領域毎に推定するマイク雑音レベル推定処理と、
前記周波数領域信号に変換されたスピーカ出力信号から、スピーカ出力信号に含まれる定常雑音のレベルを周波数帯域毎に推定する受話雑音レベル推定処理と、
前記周波数領域信号に変換されたスピーカ出力信号から前記スピーカ出力信号に含まれる定常雑音レベルを減じた信号の時間平滑レベルに前記音響結合量を乗じて、マイク受音信号に含まれるエコー成分の推定エコーレベルを周波数帯域毎に推定するエコーレベル推定処理と、
前記推定エコーレベルに予め設定した固定係数を乗じた値と、前記推定マイクレベルとを比較し、推定エコーレベルが大きい場合は予め設定したエコー抑圧ゲインを瞬時エコー抑圧利得係数値とし、これ以外の場合は、予め設定した固定値を瞬時エコー抑圧利得係数値とし、前記マイク受音信号に含まれる定常雑音のレベルに予め設定した固定係数を乗じた値と前記推定マイクレベルとを比較し、雑音レベルが大きい場合は予め設定した雑音抑圧ゲイン瞬時雑音抑圧利得係数値とし、これ以外の場合は予め設定した固定値を瞬時雑音抑圧利得係数値とし、前記瞬時エコー抑圧利得係数値と、前記瞬時雑音抑圧利得係数値のうち最も小さい値を瞬時利得係数値とし、この瞬時利得係数値を時間平滑化した値を前記ゲイン乗算処理で用いるゲイン値として周波数帯域毎に設定することを特徴とするエコー抑圧方法。 - 請求項1乃至5の何れかに記載のエコー抑圧方法において、前記周波数帯域毎に施されるゲイン制御処理の出力となるゲイン値を周波数軸で平滑化する周波数特性平滑化処理を付加し、前記周波数帯域毎に施されるゲイン乗算処理は、前記周波数領域に変換されたマイク受音信号に前記周波数特性平滑化処理において平滑化後のゲイン値を、周波数帯域毎に乗算することを特徴とするエコー抑圧方法。
- 請求項1乃至4の何れかに記載のエコー抑圧方法において、前記スピーカ出力信号の周波数領域変換処理で周波数領域信号に変換されたN個の周波数成分のスピーカ信号を、2以上でN未満のN’個の周波数成分のスピーカ出力信号に変換するスピーカ出力信号の帯域分割数変換処理と、
前記マイク受音信号の周波数領域変換処理で周波数領域信号に変換されたN個の周波数成分のマイク受音信号をN’個の周波数成分のマイク受音信号に変換するマイク受音信号の帯域分割数変換処理と、
前記ゲイン制御処理の出力であるN’個の周波数帯域のゲイン値をN個の周波数帯域のゲイン値に変換するゲインの帯域分割数変換処理を付加し、
前記N個の周波数帯域毎に施されていた処理を、帯域分割数変換後のN’の周波数帯域毎とすることを特徴とするエコー抑圧方法。 - 請求項1乃至6の何れかに記載のエコー抑圧方法において、前記エコーレベル推定処理は、予め設定したM個の残響時間に対応した時定数で時間平滑化してエコーレベルを計算する2以上のM個のエコーレベル計算処理部を有し、
前記周波数帯域ごとに設けられたゲイン制御処理は、前記M個の残響時間に対応した推定エコーレベルに予め設定した固定係数を乗じた値と前記推定マイクレベルとを各々比較し、推定エコーレベルが大きい場合はあらかじめ残響時間ごとに設定されたエコー抑圧ゲインを瞬時エコー抑圧利得係数値とし、これ以外の場合には予め設定した固定値を瞬時エコー抑圧利得係数値としてM個の瞬時エコー抑圧利得係数を求め、前記マイク受音信号に含まれる定常雑音のレベルに予め設定した固定係数を乗じた値と前記推定マイクレベルとを比較し、雑音レベルが大きい場合はあらかじめ設定した雑音抑圧ゲインを瞬時雑音抑圧利得係数値とし、これ以外の場合には予め設定した固定値を瞬時雑音抑圧利得係数値とし、前記M個の瞬時エコー抑圧利得係数値と前記瞬時雑音抑圧利得係数値のうち最も小さい値を瞬時利得係数値とし、この瞬時利得係数値を時間平滑化した値を前記ゲイン乗算処理で用いるゲイン値として周波数帯域ごとに設定することを特徴とするエコー抑圧方法。 - マイク受音信号を2以上のN個の周波数成分から成る周波数領域信号に変換する第1周波数領域変換部と、
スピーカ出力信号をN個の周波数領域成分から成る周波数領域信号に変換する第2周波数領域変換部と、
前記周波数領域信号に変換されたマイク受音信号と、前記周波数領域信号に変換されたスピーカ出力信号との比から、スピーカとマイクロホン間の伝達関数の振幅値である音響結合量を周波数領域毎に推定する音響結合量推定部と、
前記周波数領域信号に変換されたスピーカ出力信号を予め設定した残響時間に対応した時定数で平滑化して時間平滑レベルを求め、この時間平滑レベルに前記音響結合量を乗じてマイク受音信号に含まれるエコー成分のレベルを周波数帯域毎に推定するエコーレベル推定部と、
前記周波数領域信号に変換されたマイク受音信号の時間平滑レベルを計算して周波数帯域毎にマイクレベルを推定するマイクレベル推定部と、
前記推定エコーレベルと、前記推定マイクレベルとを比較し、推定エコーレベルが大きい程抑圧量の大きいゲイン値を設定し、推定エコーレベルが充分小さい場合には予め設定した固定ゲイン値を周波数帯域毎に設定するゲイン制御部と、
前記周波数領域信号に変換されたマイク受音信号に前記ゲイン制御部で設定したゲイン値を周波数帯域毎に乗算するゲイン乗算部と、
前記ゲイン乗算部で乗算処理された出力信号を逆周波数領域変換し、送話信号として出力する逆周波数領域変換部と、
によって構成することを特徴とするエコー抑圧装置。 - 請求項8記載のエコー抑圧装置において、前記周波数帯域毎に設けられた前記ゲイン制御部は、前記推定エコーレベルに予め設定した固定係数を乗じて求めた閾値と、前記推定マイクレベルとを比較し、前記推定マイクレベルが前記閾値より小さい場合は予め設定したエコー抑圧ゲインを瞬時利得係数値とし、これ以外の場合には予め設定した固定値を瞬時利得係数値とし、これらの瞬時利得係数値を時間平滑化した値を前記ゲイン乗算部で用いられるゲイン値として周波数帯域毎に設定することを特徴とするエコー抑圧装置。
- 請求項8に記載のエコー抑圧装置において、前記推定エコーレベルに予め設定した値が予め設定した固定値以上の複数個の係数を乗じて求めた複数の閾値と、前記推定マイクレベルとをそれぞれ比較し、前記推定マイクレベルが何れかの閾値よりも小さい場合は、前記推定マイクレベル以上の値を持つ閾値のうち最も前記推定マイクレベルに近い値を持つ閾値に対応する予め設定されたエコー抑圧ゲインを瞬時利得係数と定め、これ以外の場合には予め設定した固定値を瞬時利得係数とし、これら瞬時利得係数を時間平滑した値を前記ゲイン乗算処理で用いるゲイン値として周波数帯域毎に設定することを特徴とするエコー抑圧装置。
- 請求項8乃至10の何れかに記載のエコー抑圧装置において、前記周波数領域信号に変換されたマイク受音信号から、マイク受音信号に含まれる定常雑音のレベルを周波数領域毎に推定するマイク雑音レベル推定部と、
前記周波数領域信号に変換されたスピーカ出力信号から、スピーカ出力信号に含まれる定常雑音のレベルを周波数帯域毎に推定する受話雑音レベル推定部と、
前記周波数領域信号に変換されたスピーカ出力信号から前記スピーカ出力信号に含まれる定常雑音レベルを減じた信号の時間平滑レベルに前記音響結合量を乗じて、マイク受音信号に含まれるエコー成分の推定エコーレベルを周波数帯域毎に推定するエコーレベル推定部と、
前記推定エコーレベルに予め設定した固定係数を乗じた値と、前記推定マイクレベルとを比較し、推定エコーレベルが大きい場合は予め設定したエコー抑圧ゲインを瞬時エコー抑圧利得係数値とし、これ以外の場合は、予め設定した固定値を瞬時エコー抑圧利得係数値とし、前記マイク受音信号に含まれる定常雑音のレベルに予め設定した固定係数を乗じた値と前記推定マイクレベルとを比較し、雑音レベルが大きい場合は予め設定した雑音抑圧ゲイン瞬時雑音抑圧利得係数とし、これ以外の場合は予め設定した固定値を瞬時雑音抑圧利得係数値とし、前記瞬時エコー抑圧利得係数値と、前記瞬時雑音抑圧利得係数値のうち最も小さい値を瞬時利得係数値とし、この瞬時利得係数値を時間平滑化した値を前記ゲイン乗算処理で用いるゲイン値として周波数帯域毎に設定することを特徴とするエコー抑圧装置。 - 請求項8乃至11の何れかに記載のエコー抑圧装置において、前記周波数帯域毎に設けられるゲイン制御部の出力となるゲイン値を周波数軸で平滑化する周波数特性平滑化部を付加し、前記周波数帯域毎に設けられたゲイン乗算部は、前記周波数領域信号に変換されたマイク受音信号に前記周波数特性平滑化部において平滑化後のゲイン値を、周波数帯域毎に乗算することを特徴とするエコー抑圧装置。
- 請求項8乃至12の何れかに記載のエコー抑圧装置において、前記スピーカ出力信号の周波数領域変換部で周波数領域信号に変換されたN個の周波数成分のスピーカ信号を、2以上でN未満のN’個の周波数成分のスピーカ出力信号に変換するスピーカ出力信号の帯域分割数変換部と、
前記マイク受音信号の周波数領域変換部で周波数領域信号に変換されたN個の周波数成分のマイク受音信号をN’個の周波数成分のマイク受音信号に変換するマイク受音信号の帯域分割数変換部と、
前記ゲイン制御部の出力であるN’個の周波数帯域のゲイン値をN個の周波数帯域のゲイン値に変換するゲインの帯域分割数変換部を付加し、
前記N個の周波数帯域毎に施されていた処理を、帯域分割数変換後のN’の周波数帯域毎とすることを特徴とするエコー抑圧装置。 - 請求項8乃至13の何れかに記載のエコー抑圧装置において、前記エコーレベル推定部は、予め設定したM個の残響時間に対応した時定数で時間平滑化してエコーレベルを計算する2以上のM個のエコーレベル計算部を有し、
前記周波数帯域ごとに設けられたゲイン制御部は、前記M個の残響時間に対応した推定エコーレベルに予め設定した固定係数を乗じた値と前記推定マイクレベルとを各々比較し、推定エコーレベルが大きい場合はあらかじめ残響時間ごとに設定されたエコー抑圧ゲインを瞬時エコー抑圧利得係数値とし、これ以外の場合には予め設定した固定値を瞬時エコー抑圧利得係数値としてM個の瞬時エコー抑圧利得係数を求め、前記マイク受音信号に含まれる定常雑音のレベルに予め設定した固定係数を乗じた値と前記推定マイクレベルとを比較し、雑音レベルが大きい場合はあらかじめ設定した雑音抑圧ゲインを瞬時雑音抑圧利得係数値とし、これ以外の場合には予め設定した固定値を瞬時雑音抑圧利得係数値とし、前記M個の瞬時エコー抑圧利得係数値と前記瞬時雑音抑圧利得係数値のうち最も小さい値を瞬時利得係数値とし、この瞬時利得係数値を時間平滑化した値を前記ゲイン乗算部で用いるゲイン値として周波数帯域ごとに設定することを特徴とするエコー抑圧装置。 - コンピュータが解読可能なプログラム言語によって記述され、コンピュータに請求項1乃至7記載のエコー抑圧方法を実行させるエコー抑圧プログラム。
- コンピュータが読み取り可能な記録媒体によって構成され、この記録媒体に請求項15記載のエコー抑圧プログラムを記録した記録媒体。
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