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JP2008095813A - ブリード式バルブ装置 - Google Patents

ブリード式バルブ装置 Download PDF

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JP2008095813A
JP2008095813A JP2006277827A JP2006277827A JP2008095813A JP 2008095813 A JP2008095813 A JP 2008095813A JP 2006277827 A JP2006277827 A JP 2006277827A JP 2006277827 A JP2006277827 A JP 2006277827A JP 2008095813 A JP2008095813 A JP 2008095813A
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Hiroo Tsujimoto
博雄 辻本
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Denso Corp
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Abstract

【課題】 応答性の向上を図るとともに、オイルリーク量を抑えることのできるブリード式バルブ装置を提供する。
【解決手段】 スプール4のシート部材31側には、離座力受圧面65が設けられており、スプール4がシート部材31に着座する状態であっても、供給ポート12から供給される油圧を受けて、スプール4に離座方向の「プレ離座力α」を発生させる。これにより、スプール4を離座させる「離座油圧」を小さくでき、応答性を向上できる。また、スプール4が着座した状態でオイルをブリード室34へ供給する手段として、スプール4とシート部材31の着座面における微細な隙間63のみを用いる。これにより、従来技術で用いていたオリフィスが不要となる。また、微細な隙間63は、ブリード室34に流入させるオイル流量が少なく、リーク量を抑えることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ブリード室内の油圧によって可動バルブが駆動されるブリード式バルブ装置に関する。
ブリード室内の油圧によって可動バルブが駆動されるブリード式バルブ装置として、例えば、特許文献1に示された電磁油圧制御弁が知られている。
特許文献1に示された電磁油圧制御弁を、図5、図6を参照して説明する。なお、実施例1と同一機能物には、同一符号を付して説明する。
電磁油圧制御弁は、三方弁構造のスプール弁1におけるスプール4(可動バルブの一例)を、ブリード室34の圧力によって軸方向に駆動するものであり、スプール4を摺動方向の一方(図示右側)へ付勢するスプール用リターンスプリング5と、ブリード室34の圧力制御を行う電磁ブリード弁2とを備える。
電磁ブリード弁2は、スプール4との間に加圧されたオイルが供給されるブリード室34を形成するとともに、ブリード室34と低圧側を連通させるブリードポート35が形成されたシート部材31と、ブリードポート35を開閉するための開閉弁32と、この開閉弁32を駆動する電磁アクチュエータ33とを備えるものであり、スプール4がシート部材31に着座(当接)することによって、ブリード室34にオイルを供給する供給ポート12とブリード室34の連通がスプール4によって遮断され、スプール4がシート部材31から離座することによって、供給ポート12とブリード室34が連通する構造を採用している。
シート部材31は、略円筒形状を呈するものであり、その内部にブリード室34が形成される。また、シート部材31の端面には、スプール4と全周に亘って当接する環状シート62が設けられる。
スプール4がシート部材31(具体的には環状シート62)に着座すると、上述したように、供給ポート12とブリード室34の連通がスプール4によって遮断される。
スプール4がシート部材31に着座して、供給ポート12とブリード室34の連通が「完全に遮断」されてしまうと、ブリード室34へのオイル供給ができなくなり、開閉弁32によりブリードポート35が閉塞されてもブリード室34に油圧が発生しない。
そこで、スプール4が環状シート62に着座した状態であっても、供給ポート12のオイルをブリード室34に導く微小連通手段を設けている。
シート部材31に着座したスプール4を離座させるには、ブリードポート35の開度を小さくし(例えば、ブリードポート35の閉塞)、ブリードポート35から排出されるオイル流量より、微小連通手段からブリード室34に供給されるオイル流量を多くし、ブリード室34の油圧を昇圧させ、スプール4をシート部材31から離座させる油圧(以下、スプール4がシート部材31から離座するブリード室34の油圧を「離座油圧」と称す)をブリード室34に発生させる必要がある。
ここで、微小連通手段として、スプール4とシート部材31の着座面の粗度による微細な隙間63のみを用いることが考えられる。
しかし、微細な隙間63のみでは、微細な隙間63からブリード室34に流入するオイル流量が少なく、ブリード室34の油圧が「離座油圧」に達するのに時間がかかる。この結果、図4(a)の実線Aの左端(オリフィス無し)に示すように、スプール4をシート部材31から離座させる際の応答時間が長くなってしまう。
そこで、特許文献1には、微小連通手段として、図6に示すように、環状シート62の一部に、供給ポート12とブリード室34を連通させるオリフィス64(環状シート62に形成された小さな溝)を形成し、スプール4がシート部材31に着座した状態であっても、供給ポート12のオイルをオリフィス64を介してブリード室34に供給する技術が開示されている。
オリフィス64の流路面積を大きくすることで、オリフィス64からブリード室34に流入するオイル流量が多くなり、ブリード室34の油圧が「離座油圧」に達するまでの時間を短くできる。即ち、図4(a)の実線Aに示すように、オリフィス64の流路面積を大きくすることで、スプール4をシート部材31から離座させる際の応答時間を短くできる。
しかし、スプール4がシート部材31に着座している状態は、開閉弁32がブリードポート35を開いた状態であり、オリフィス64の流路面積を大きくすると、オリフィス64からブリード室34を介して低圧側に排出されるオイル流量(リーク量)が多くなってしまう。即ち、図4(a)の実線Bに示すように、オリフィス64の流路面積を大きくするほど、応答性を向上できるが、リーク量が多くなってしまう。
このように、スプール4をシート部材31から離座させる際の応答性と、スプール4がシート部材31に着座している状態のリーク量は、相反するものであり、応答性とリーク量を適切な範囲内で両立させるには、オリフィス64の流路面積が、図4(a)の設定範囲Cに示す狭い範囲内となるように高い精度で管理する必要がある。即ち、従来技術では、オリフィス64の加工性が極めて悪く、オリフィス64の加工が困難なものであった。
特開2002−357281号公報
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、応答性に優れ、且つリーク量を抑えることのできるブリード式バルブ装置の提供にある。
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載のブリード式バルブ装置の可動バルブは、離座力受圧面を備え、可動バルブがシート部材に着座する状態であっても、供給ポートから供給された油圧を受けて、可動バルブにシート部材から離座する方向の「プレ離座力」を発生させる。
これにより、可動バルブをシート部材から離座させるのに必要なブリード室の「離座油圧」を小さくできる。
このように、小さな「離座油圧」で可動バルブをシート部材から離座させることができるため、ブリード室の圧力を「離座油圧」に昇圧させる時間を短くでき、可動バルブをシート部材から離座させる際の応答性を高めることができる。
また、小さな「離座油圧」で可動バルブをシート部材から離座させることができるため、可動バルブがシート部材に着座した状態において、供給ポートからブリード室へ供給するオイル流量(微小連通手段によるオイル流量)を少なくすることができ、可動バルブがシート部材に着座した状態におけるリーク量を抑えることができる。
即ち、応答性の向上を図り、且つリーク量を抑えることができる。
〔請求項2の手段〕
請求項2に記載のブリード式バルブ装置の可動バルブは、バルブボディの内部において軸方向へ摺動自在に支持されたスプールである。
そして、離座力受圧面は、バルブボディの摺動穴に摺動する摺動ランドと、この摺動ランドより小径の小径部との段差によって形成されるものである。
これにより、摺動ランドと小径部との径差によって「プレ離座力」を設定できる。
〔請求項3の手段〕
請求項3に記載のブリード式バルブ装置の微小連通手段は、シート部材と可動バルブの着座面の粗度による微細な隙間により形成されるものであり、従来技術のオリフィスを廃止したものである。
これにより、オリフィスの加工コストが不要となり、ブリード式バルブ装置を安価に提供できる。
また、シート部材と可動バルブの着座面の粗度による微細な隙間(微小連通手段)は、ブリード室に流入させるオイル流量が少ないが、上述したように「プレ離座力」によって、小さい「離座油圧」で可動バルブをシート部材から離座させることができるため、応答性の劣化を招かない。
さらに、微細な隙間を用いることで、可動バルブがシート部材に着座している状態においてブリード室に流入するオイル流量を少なくできるため、可動バルブがシート部材に着座した状態でのリーク量を極めて小さく抑えることができる。
〔請求項4の手段〕
請求項4に記載のブリード式バルブ装置の微小連通手段は、従来技術と同様に、供給ポートとブリード室とを微細に連通させる溝状のオリフィスを備えるものである。
従来技術のオリフィスは、適切な応答性とリーク量の両立を図るために、オリフィスの流路面積を高い精度で管理する必要があった。これに対し、上記請求項1の手段と組み合わせることで「プレ離座力」により応答性の向上が計られるため、オリフィスの流路面積を主にリーク量で管理すれば済むようになり、オリフィスの加工精度を下げることができる。即ち、オリフィスの加工が容易になる。
また、オリフィスが設けられることで、ブリード室に流入するオイル流量を多くでき、ブリード室の油圧上昇を速めることができるため、「プレ離座力」と組み合わされて応答性を極めて高めることができる。
最良の形態のブリード式バルブ装置は、スリーブ(バルブボディの一例)内で変位可能に支持されたスプール(可動バルブの一例)と、このスプールとの間にブリード室を形成するとともに、このブリード室を低圧側に連通させるブリードポートを有するシート部材と、ブリードポートを開閉可能な電磁アクチュエータ(開閉手段の一例)とを具備する。 また、ブリード式バルブ装置は、スプールがシート部材に着座することで、ブリード室にオイルを供給する供給ポートとブリード室の連通状態をスプールによって遮断する構造を備えるとともに、スプールがシート部材に着座する状態であっても、供給ポートとブリード室とを微細に連通させる微小連通手段を備える。
そして、スプールは、スプールがシート部材に着座する状態であっても、供給ポートから供給される油圧によって、シート部材から離座する方向の「プレ離座力」をスプールに発生する離座力受圧面を備える。
このように、スプールがシート部材に着座する状態であっても、スプールは離座力受圧面によって「プレ離座力」を受けるため、ブリード室の「離座油圧」が小さくても、スプールをシート部材から離座させることができる。これにより、スプールをシート部材から離座させる際の応答時間を短縮できる。
また、ブリード室の「離座油圧」が小さくても、スプールをシート部材から離座するため、スプールがシート部材に着座した状態において、供給ポートからブリード室へ供給するオイル流量(微小連通手段によるオイル流量)を少なくでき、スプールがシート部材に着座した状態でのリーク量を抑えることができる。
本発明のブリード式バルブ装置を電磁油圧制御弁に適用した実施例1を説明する。なお、実施例1では、先ず「電磁油圧制御弁の基本構造」を説明し、その後で「実施例1の特徴」を説明する。
〔電磁油圧制御弁の基本構造〕
図1に示す電磁油圧制御弁は、例えば自動変速機の油圧制御装置に搭載されるものであり、油圧の切替あるいは油圧の調整を行う油圧制御弁を構成するスプール弁1と、このスプール弁1を駆動する電磁ブリード弁2とを組み合わせたものである。
なお、実施例1では、電磁ブリード弁2の一部を成す電磁アクチュエータ33(後述する)がOFFの状態で、ブリードポート35(後述する)の開度が最大になるタイプであり、且つ、電磁アクチュエータ33がOFFの状態で、後述する入力ポート7と出力ポート8の連通度合が最小(閉鎖)になるとともに、後述する出力ポート8と排出ポート9の連通度合が最大になるタイプ{電磁油圧制御弁全体で見ればN/L(ノーマリロー出力)タイプ}の電磁油圧制御弁を示す。
(スプール弁1の説明)
スプール弁1は、スリーブ3、スプール4およびスプール用リターンスプリング5を備える。
スリーブ3は、図示しない油圧コントローラのケース内に挿入されるものであり、略円筒形状を呈する。
スリーブ3には、スプール4を軸方向へ摺動自在に支持する摺動穴6、オイルポンプ(油圧発生手段)のオイル吐出口に連通し、走行状態に応じた入力油圧(オイル)が供給される入力ポート7、スプール弁1で調圧された出力油圧が出力される出力ポート8、低圧側(オイルパン等)に連通する排出ポート9が形成されている。
スリーブ3の図1左端には、スリーブ3内にスプール用リターンスプリング5を組み入れるためのバネ挿入穴11が形成されている。
入力ポート7、出力ポート8、排出ポート9等のオイルポートは、スリーブ3の側面に形成された穴であり、スリーブ3の側面には図1左側から図1右側に向けて、入力ポート7、出力ポート8、排出ポート9、後述するブリード室34にオイルを供給する供給ポート12、ブリード室34から排出されたオイルをスリーブ3の外部に排出するブリード排出ポート13が形成されている。
ここで、供給ポート12には、供給ポート12を通過する最大のオイル流量を規制する制御オリフィス12aが設けられており、後述する開閉弁32が開かれた際の消費流量を抑えるように設けられている。
なお、供給ポート12は、スリーブ3の外部(油圧コントローラ内)で減圧弁を介して入力ポート7と連通し、排出ポート9とブリード排出ポート13はスリーブ3の外部(油圧コントローラ内)で連通するものである。
スプール4は、スリーブ3内に摺動自在に配置され、入力ポート7をシールする入力シールランド14、排出ポート9をシールする排出シールランド15を有する。そして、入力シールランド14と排出シールランド15の間に分配室16が形成される。
また、スプール4は、入力シールランド14の図1左側に、入力シールランド14より小径のF/B(フィード・バック)ランド17を備え、入力シールランド14とF/Bランド17のランド差(径差)によってF/B室18が形成される。
スプール4内には、分配室16とF/B室18を連通するF/Bポート19が形成されており、出力圧に応じたF/B油圧をスプール4に発生させる。なお、F/Bポート19には、F/Bオリフィス19aが設けられており、F/B室18内に適切なF/B油圧が発生するように設けられている。
このため、F/B室18に印加される油圧(出力圧)が大きくなるに従って入力シールランド14とF/Bランド17のランド差による差圧により、スプール4には図1右側に変位する軸力が発生する。これによって、スプール4の変位が安定し、入力圧の変動により出力圧が変動するのを防ぐことができる。
なお、スプール4は、スプール用リターンスプリング5のバネ荷重と、ブリード室34の圧力によるスプール4の駆動力と、入力シールランド14とF/Bランド17のランド差による軸力とが釣り合う位置で静止するものである。
スプール用リターンスプリング5は、スプール4を閉弁側(入力側シール長が長くなって出力圧が低下する側:この実施例では図1右側)に付勢する筒状に螺旋形成されたコイルスプリングであり、スリーブ3の図1左側のバネ室21内に圧縮された状態で配置される。このスプール用リターンスプリング5は、一端がF/Bランド17の内部に形成された凹部22の底面に当接し、他端がスリーブ3の図1左端に溶接やカシメ等により固定されたバネ座23の底面に当接した状態で保持される。
なお、バネ室21内に形成された段差21aは、スプール4の図1左端が当接することによって、スプール4の「最大開弁位置(スプール最大リフト位置)」を決定するものである。
(電磁ブリード弁2の説明)
電磁ブリード弁2は、スプール4の図1右側に形成されるブリード室34の圧力によってスプール4を図1左側へ駆動するものであり、シート部材31と、開閉弁32を備えた電磁アクチュエータ33とからなる。
シート部材31は、スリーブ3の図1右側の内部に固定された略リング形状を呈するものであり、スプール4との間にはスプール4を駆動するためのブリード室34が形成される。また、シート部材31の中心部には、ブリード室34と低圧側(上述したブリード排出ポート13)を連通させるブリードポート35が形成されている。
このシート部材31は、図1左側の端面にスプール4が着座して、スプール4の「最大閉弁位置(スプール着座位置)」を決定するものである。また、シート部材31は、図1右側の端面に後述するシャフト48の軸方向端に設けられた開閉弁32が当接するものであり、開閉弁32がシート部材31の図1右側の端面に当接することでブリードポート35が閉塞される。
電磁アクチュエータ33は、コイル41、可動子42、可動子用リターンスプリング43、ステータ44、ヨーク45、コネクタ46を備え、開閉弁32を駆動してブリードポート35の開度を制御するものであり、開閉弁32がブリードポート35の開度を小さくすると、ブリード室34の内圧が上昇してスプール4が開弁方向(図1左側)へ変位し、逆に開閉弁32がブリードポート35の開度を大きくすると、ブリード室34の内圧が低下してスプール4が閉弁方向(図1右側)へ変位する。
コイル41は、通電されると磁力を発生して、可動子42(具体的には、後述するムービングコア47)と磁気固定子(ステータ44、ヨーク45)を通る磁束ループを形成させるものであり、樹脂ボビンの周囲に絶縁被膜線を多数巻回したものである。
可動子42は、コイル41の発生する磁力により軸方向へ磁気吸引される筒形状を呈したムービングコア47と、このムービングコア47の筒内に圧入され、軸方向の端部に開閉弁32が直接形成されたシャフト48とからなる。
ムービングコア47は、略円筒形状を呈した磁性体金属(例えば、鉄:磁気回路を構成する強磁性材料)であり、ステータ44の内周面と直接摺動する。
シャフト48は、ムービングコア47内に圧入固定された略棒形状を呈する高硬度の非磁性材料(例えば、ステンレス等)であり、図1左側の端部にブリードポート35を開閉する開閉弁32が形成されている。
可動子用リターンスプリング43は、シャフト48を閉弁側(開閉弁32がブリードポート35を閉じる側)に付勢する筒状に螺旋形成されたコイルスプリングであり、シャフト48の図1右側の端部と、ヨーク45の中心部に軸方向に螺合されたアジャスタ(調整ネジ)49との間で圧縮された状態で配置される。
ここで、この実施例1における電磁ブリード弁2は、電磁アクチュエータ33がOFFの時(ムービングコア47に図1左側に向かう磁力が作用していない時)に、ブリードポート35内から開閉弁32が受けるオイルの吐出圧によって、開閉弁32が図1右側に移動してブリードポート35を開くものである。
そして、可動子用リターンスプリング43は、可動子42に対して特性調整のための付勢力を与えるものであり、電磁アクチュエータ33がOFFの時に、ブリードポート35内から開閉弁32が受けるオイルの吐出圧によってシャフト48が図1右側へ移動できるバネ力である。なお、可動子用リターンスプリング43のバネ荷重は、アジャスタ49の螺合量(ねじ込み量)によって調整される。
シャフト48の図1右側端部には、可動子用リターンスプリング43の内側において図1右側に伸びるシャフト端凸部48aが設けられており、アジャスタ49の図1左側端部には、可動子用リターンスプリング43の内側において図1左側に伸びるアジャスタ端凸部49aが設けられている。このシャフト端凸部48aおよびアジャスタ端凸部49aは、シャフト48が図1右側に変位した際に当接する。
ステータ44は、磁性体金属(例えば、鉄:磁気回路を構成する強磁性材料)よりなり、ムービングコア47を軸方向(図1左側:開閉弁32がブリードポート35を閉じる方向)へ磁気吸引する吸引ステータ44aと、ムービングコア47の周囲を覆ってムービングコア47と径方向の磁束の受け渡しを行う摺動ステータ44bと、吸引ステータ44aと摺動ステータ44bの間を通る磁束量を抑制して吸引ステータ44a→ムービングコア47→摺動ステータ44bへ磁束を通すための磁気飽和溝(磁気抵抗が大きくなる部分)44cとを備える。
ステータ44の内周には、ムービングコア47を軸方向へ摺動自在に支持する軸方向穴44dが形成されている。この軸方向穴44dは、ステータ44の一端から他端に向けて同径の貫通穴である。
吸引ステータ44aは、ヨーク45とスリーブ3との間に軸方向に挟まれるフランジを介してヨーク45と磁気的に結合されている。また、吸引ステータ44aは、ムービングコア47を磁気吸引した際にムービングコア47と軸方向に交差する筒部を備える。この筒部の外周面は、テーパ形状に設けられており、ムービングコア47のストローク量に対して磁気吸引力が変化しないように設けられている。
摺動ステータ44bは、ムービングコア47の全周を覆う略円筒形状を呈し、摺動ステータ44bの外周には、磁性体金属(例えば、鉄:磁気回路を構成する強磁性材料)よりなる磁気受渡しリング51が配置され、摺動ステータ44bとヨーク45が磁気的に結合されている。また、摺動ステータ44bは、軸方向穴44d内においてムービングコア47と直接摺動してムービングコア47を軸方向へ摺動自在に支持するとともに、ムービングコア47と径方向の磁束の受け渡しを行うものである。
ヨーク45は、コイル41の周囲を覆って磁束を流す略カップ状に形成された磁性体金属(例えば、鉄:磁気回路を構成する強磁性材料)であり、開口端部に形成された爪部をカシメることでスリーブ3と強固に結合される。
スリーブ3とヨーク45の連結部分には、スリーブ3内と電磁アクチュエータ33内を区画するダイアフラム52が設けられている。ダイアフラム52は、略リング形状のゴム製であり、外周部がスリーブ3とステータ44の間に挟み付けられ、中心部がシャフト48の外周に形成された溝に嵌め合わされてスリーブ3内(後述する排圧室53内)のオイルや異物が電磁アクチュエータ33の内部に浸入するのを防ぐものである。
スリーブ3の図1右側の内部には、シート部材31とダイアフラム52で区画され、ブリード排出ポート13に連通する排圧室53が形成されている。ダイアフラム52の排圧室53側に配置された略リング形状のプレートは防圧遮蔽板54であり、排圧室53の圧力が直接的にダイアフラム52に加わるのを防いでいる。
コネクタ46は、電磁油圧制御弁を制御する電子制御装置(図示しない)と接続線を介して電気的な接続を行う接続手段であり、その内部にはコイル41の両端にそれぞれ接続される端子46aが配置されている。
なお、電子制御装置は、デューティ比制御によって電磁アクチュエータ33のコイル41へ供給する通電量(電流値)を制御するものであり、コイル41への通電量を制御することによって、ブリードポート35のオイルの吐出圧に抗して可動子42(ムービングコア47+シャフト48)の軸方向の位置をリニアに変位させ、可動子42の軸方向位置を変化させることで開閉弁32の軸方向位置を変化させて、ブリードポート35の開度を制御して、ブリード室34内の油圧をコントロールするものである。
このように、ブリード室34内の油圧が電子制御装置によって制御されることで、スプール4の軸方向位置が制御される。これによって、入力シールランド14による入力ポート7と分配室16の入力側シール長と、排出シールランド15による分配室16と排出ポート9の排出側シール長との比率が制御され、その結果、出力ポート8の出力油圧が制御される。
〔実施例1の特徴〕
シート部材31は、環状の部材であり、その内部にブリード室34が形成される。シート部材31の図1左側の端面には、スプール4の端部と全周に亘って着座する環状シート62が設けられている。
そして、スプール4がシート部材31の環状シート62に着座することにより、供給ポート12とブリード室34の連通がスプール4により遮断されて、供給ポート12→ブリード室34→ブリードポート35を介して排出されるオイルの消費流量を抑えるように設けられている。
スプール4がシート部材31に着座して、供給ポート12とブリード室34の連通が「完全に遮断」されてしまうと、ブリード室34へオイルの供給ができなくなり、開閉弁32によりブリードポート35が閉塞されてもブリード室34に油圧が発生しない。
そこで、スプール4がシート部材31に着座した状態であっても、供給ポート12のオイルをブリード室34に導く微小連通手段を設けている。
(実施例1の背景)
従来技術では、微小連通手段として、スプール4とシート部材31の着座面の粗度(細かい凹凸)による微細な隙間63の他に、環状シート62に形成されたオリフィス64(符号、図6参照)を用いるものであり、微小連通手段の流路面積をオリフィス64の溝幅および溝深さにより調整していた。
シート部材31に着座したスプール4を離座させるには、ブリードポート35の開度を小さくし、ブリードポート35から排出されるオイル流量より、微小連通手段からブリード室34に供給されるオイル流量を多くすることで、ブリード室34の油圧を昇圧させ、ブリード室34にスプール4をシート部材31から離座させる「離座油圧」を発生させる必要がある。
ここで、微小連通手段として、スプール4とシート部材31の着座面の粗度による微細な隙間63のみを用いることが考えられる。
しかし、微細な隙間63のみでは、微細な隙間63からブリード室34に流入するオイル流量が少なく、ブリード室34の油圧が「離座油圧」に達するのに時間がかかり、スプール4をシート部材31から離座させる際の応答時間が長くなってしまう。
そこで、従来技術では、上述したように微小連通手段として、シート部材31にオリフィス64を形成して、ブリード室34の昇圧速度を速めていた。
オリフィス64の流路面積を大きくすることで、オリフィス64からブリード室34に流入するオイル流量を多くすることができ、ブリード室34の油圧が「離座油圧」に達する時間を短くできる。即ち、スプール4をシート部材31から離座させる際の応答時間を短縮できる。
しかし、スプール4がシート部材31に着座している状態は、開閉弁32がブリードポート35を開いた状態であって、オリフィス64の流路面積を大きくすると、オリフィス64からブリード室34を介して低圧側に排出されるオイルのリーク量が多くなってしまう。即ち、オリフィス64の流路面積を大きくするほど、応答性を向上できるが、リーク量が多くなってしまう。
このため、従来技術では、応答性とリーク量の両立を図る折衷的なオリフィス64の流路面積を決定し、オリフィス64の流路面積がその狭い設定範囲内となるように高い精度で管理する必要があった。
(上記の不具合を解決する第1の技術)
スプール4には、シート部材31側に、シート部材31側に向いた離座力受圧面65が設けられている。この離座力受圧面65は、スプール4がシート部材31に着座する状態であっても、供給ポート12から供給される油圧を受け、スプール4にシート部材31から離座する方向の「プレ離座力α」を発生させるものである。
具体的に、スプール4における排出シールランド15(スリーブ3の摺動穴6に摺動する摺動ランドの一例)の図1右側(シート部材31側)には、この排出シールランド15より小径の小径部15aが設けられ、排出シールランド15と小径部15aの段差によって離座力受圧面65が形成されている。なお、この実施例の離座力受圧面65は、軸方向に対して垂直な段差面であるが、テーパ面であっても良い。
この小径部15aの外周と、スリーブ3の摺動穴6との間に形成される空間は、シート部材31に着座する状態であっても、供給ポート12と連通する。このため、シート部材31に着座する状態であっても、離座力受圧面65には供給ポート12から供給される油圧が印加され、スプール4に図1左向きの「プレ離座力α」が発生する。
この「プレ離座力α」は、(1)電磁アクチュエータ33の通電停止状態(ブリードポート35に加わるオイルの吐出圧によって開閉弁32が図1右側に押されて、ブリードポート35の開度が大きくなり、ブリード室34が排圧の状態)において、スプール用リターンスプリング5の付勢力で、スプール4がシート部材31に着座するとともに、(2)電磁アクチュエータ33に微小の駆動電流が与えられた状態(ブリードポート35の開度が小さくなって、ブリード室34の圧力が排圧状態より上昇した状態)において、ブリード室34の油圧によりスプール4に生じる図1左向きの「離座力β」と共動して、スプール4がシート部材31から離座するように設定されている。
この「プレ離座力α」は、離座力受圧面65に作用する油圧と、離座力受圧面65の面積とで決定されるものであり、離座力受圧面65の面積は排出シールランド15と小径部15aの径差、即ち小径部15aの径によって設定される。
(上記の不具合を解決する第2の技術)
この実施例1の微小連通手段は、スプール4とシート部材31の着座面の粗度による微細な隙間63により形成されるものであり、従来技術のオリフィス64を廃止したものである。
この微細な隙間63は、スプール4の図1右端の金属表面における微細な凹凸と、シート部材31の金属表面における微細な凹凸との当接箇所においてオイルが通過する隙間であって、スプール4がシート部材31に着座している状態においてブリード室34にオイルを供給する手段である。
〔実施例1の作動〕
具体的な電磁油圧制御弁の作動を説明する。
電磁アクチュエータ33の通電が停止された状態では、ブリードポート35に加わるオイルの吐出圧によって開閉弁32が図1右側に押されて、可動子42(ムービングコア47+シャフト48)が図1右側に変位し、ブリードポート35の開度が大きくなる。これによって、ブリード室34が排圧状態となり、スプール4はシート部材31に着座して「最大閉弁位置(スプール着座位置)」で停止する。このように、スプール4が「最大閉弁位置」で停止する状態では、入力ポート7と出力ポート8の連通度合が最小(閉鎖)になるとともに、出力ポート8と排出ポート9の連通度合が最大になり、出力ポート8が排圧状態になる。
電磁アクチュエータ33の通電停止状態から電磁アクチュエータ33に駆動電流が与えられると、ムービングコア47に図1左側に向かう磁気吸引力が与えられ、可動子42(ムービングコア47+シャフト48)が図1左側に変位して、ブリードポート35の開度が小さくなる。
すると、ブリードポート35から排出されるオイル流量より、スプール4とシート部材31の着座面の粗度による微細な隙間63(微小連通手段)を介してブリード室34に供給されるオイル流量が上回り、ブリード室34の油圧が上昇する。
スプール4には、離座力受圧面65によってシート部材31から離座する方向の「プレ離座力α」が作用しているため、ブリード室34の油圧が少量上昇するだけで、スプール4はシート部材31から離座する。
スプール4がシート部材31から離座すると、供給ポート12とブリード室34が直接連通し、供給ポート12からブリード室34に流入するオイル流量が増える。
電磁アクチュエータ33に与えられる駆動電流が増加するに従い、ブリードポート35の開度が小さくなり、その結果、ブリード室34の内圧が上昇して、スプール4がスプール用リターンスプリング5の付勢力に抗して図1左側へ移動する。即ち、電磁アクチュエータ33に与えられる駆動電流が増加するに従い、入力ポート7と出力ポート8の連通度合が大きくなるとともに、出力ポート8と排出ポート9の連通度合が小さくなり、出力ポート8の出力圧が高まる。
電磁アクチュエータ33に与えられる駆動電流がさらに増加し、開閉弁32がシート部材31に当接してブリードポート35が閉塞されると、供給ポート12からブリード室34に供給されるオイルの圧力によってブリード室34の内圧が最大となり、スプール4がスプール用リターンスプリング5の付勢力に抗して図1左側へさらに移動し、入力ポート7と出力ポート8の連通度合が最大になるとともに、出力ポート8と排出ポート9の連通度合が最小(閉鎖)になり、出力ポート8の出力圧が最大になる。
なお、スプール4は、この最大出力時において、ブリード室34の圧力によるスプール4の図示右端面に発生する力と、スプール用リターンスプリング5のバネ荷重と、F/B室18に最大出力圧(F/B室18の入力圧)が加わった時に発生するF/Bによる軸力とが釣り合う位置で静止する。この最大出力時におけるスプール4の静止位置は、通常はスプール4の「最大開弁位置(スプール最大リフト位置)」よりも図示右側に設定されるものであり、バネ室21内に形成された段差21aにスプール4が当接しないようになっている。
電磁アクチュエータ33に与えられる駆動電流が減少することで、上記とは逆の作動を行う。そして、電磁アクチュエータ33の通電が停止されることで、再びスプール4がシート部材31に着座して「最大閉弁位置(スプール着座位置)」で停止する。
(実施例1の効果)
実施例1の電磁油圧制御弁は、スプール4に離座力受圧面65が設けられており、スプール4がシート部材31に着座する状態であっても、供給ポート12から供給された油圧を受けて、スプール4にはシート部材31から離座する方向の「プレ離座力α」が与えられる。
これにより、スプール4をシート部材31から離座させるのに必要なブリード室34の「離座油圧」を小さくでき、ブリード室34の油圧を「離座油圧」に昇圧する時間を短縮できる。即ち、電磁アクチュエータ33に駆動電流が与えられてから、スプール4がシート部材31から離座するまでの応答時間が短くなる。
一方、この実施例1の電磁油圧制御弁は、スプール4がシート部材31に着座した状態で供給ポート12からブリード室34へオイルを供給する微小連通手段として、スプール4とシート部材31の着座面の粗度による微細な隙間63のみを用いるものであり、従来技術のオリフィス64を用いない。
これにより、オリフィス64の加工コストが不要となり、電磁油圧制御弁の製造コストを抑えることができる。
また、スプール4とシート部材31の着座面の粗度による微細な隙間63は、ブリード室34に流入させるオイル流量が少ない。このため、スプール4がシート部材31に着座した状態におけるオイルのリーク量を小さく抑えることができる。しかし、上述したように、「プレ離座力α」によって、小さい「離座油圧」でスプール4をシート部材31から離座させることができるため、微細な隙間63のみを用いても従来技術の応答性を確保できる。
即ち、実施例1の電磁油圧制御弁は、オリフィス64の加工を不要とし、電磁アクチュエータ33に駆動電流が与えられてから、スプール4がシート部材31から離座するまでの応答性の向上を図ることができ、さらにスプール4がシート部材31に着座した状態でのリーク量を抑えることができる。
また、この実施例1は、離座力受圧面65が排出シールランド15と小径部15aの段差によって設けられる。このように、スプール4の図1右側(シール部材31側)に小径部15aを設けるだけで、「プレ離座力α」を発生する離座力受圧面65を設けることができる。
そして、「プレ離座力α」を発生させる離座力受圧面65の面積は、排出シールランド15と小径部15aの径差、即ち小径部15aの径によって設定される。これにより、小径部15aの外径寸法のみで「プレ離座力α」を設定できる。
図2を参照して実施例2を説明する。なお、上記実施例1と同一符号は同一機能物を示すものである。
上記の実施例1の電磁油圧制御弁は、電磁アクチュエータ33がOFFの状態で、ブリードポート35の開度が最大になるタイプであり、且つ、電磁アクチュエータ33がOFFの状態で、入力ポート7と出力ポート8の連通度合が最小(閉鎖)になり、出力ポート8と排出ポート9の連通度合が最大になるタイプ{電磁油圧制御弁全体で見ればN/L(ノーマリロー出力)タイプ}を示した。
これに対し、この実施例2の電磁油圧制御弁は、電磁アクチュエータ33がOFFの状態で、ブリードポート35が閉塞されるタイプであり、且つ、電磁アクチュエータ33がOFFの状態で、入力ポート7と出力ポート8の連通度合が最大になり、出力ポート8と排出ポート9の連通度合が最小(閉鎖)になるタイプ{電磁油圧制御弁全体で見ればN/H(ノーマリハイ出力)タイプ}である。
具体的に、実施例2の電磁油圧制御弁は、実施例1に対して、可動子用リターンスプリング43、ステータ44、および可動子42が異なる。
可動子用リターンスプリング43は、電磁アクチュエータ33がOFFの時に、ブリードポート35内から開閉弁32が受けるオイルの吐出圧に抗して、開閉弁32をシート部材31に押し付けてブリードポート35を閉じるものである。
ステータ44は、可動子用リターンスプリング43の付勢力に抗して可動子42を図示右側に磁気吸引するものであり、吸引ステータ44aが図示右側に設けられ、摺動ステータ44bが図示左側に設けられる。
可動子42は、吸引ステータ44aの位置の変更に伴ってシャフト48の長さが変更されている。なお、詳細に見ればシャフト端凸部48aおよびアジャスタ端凸部49aの長さも変更されているが、アジャスタ端凸部49aを含むアジャスタ49は実施例1と共通に設け、シャフト端凸部48aの長さを変えることで対処しても良い。
(実施例2の効果)
実施例2の電磁油圧制御弁は、実施例1と同様、スプール4に離座力受圧面65が設けられるものであり、スプール4がシート部材31に着座する状態であっても、供給ポート12から供給された油圧を受けて、スプール4にはシート部材31から離座する方向の「プレ離座力α」が作用するため、実施例1と同様の効果を得ることができる。
図3、図4を参照して実施例3を説明する。
上記実施例1では、微小連通手段として、スプール4とシート部材31の着座面の粗度による微細な隙間63のみを用いて、オリフィス64を用いない例を示した。
これに対し、この実施例3は、微小連通手段として、微細な隙間63に加え、オリフィス64を用いるものである。
即ち、この実施例3は、スプール4に離座力受圧面65を設けて、スプール4がシート部材31に着座する状態であっても、スプール4にシート部材31から離座する方向の「プレ離座力α」を作用させる技術に、従来技術と同様、ブリード室34の昇圧速度を高めるオリフィス64を設けたものである。
なお、オリフィス64は、従来技術と同様、スプール4がシート部材31に着座する状態であっても、供給ポート12とブリード室34とを微細に連通するものであり、環状シート62に形成されて径方向に延びる細い溝状の通路である(図6参照)。
従来技術では、スプール4に「プレ離座力α」が作用しないため、スプール4をシート部材31から離座させる際の応答性と、スプール4がシート部材31に着座している状態のリーク量とを適切な範囲内で両立させるために、オリフィス64の流路面積を図4(a)の設定範囲Cに示す狭い範囲内に高い精度で管理する必要があり、オリフィス64の加工性が極めて悪く、オリフィス64の加工が困難なものであった。
これに対し、この実施例3では、「プレ離座力α」により応答時間を図4(b)の実線A’に示すように向上させることができるため、オリフィス64の流路面積を図4(b)の実線Bに示すリーク量のみで管理すれば済む。即ち、オリフィス64の流路面積を図4(b)の設定範囲C’に示す広い範囲内に設定することで、リーク量を従来技術以下に抑えることができる。
このように、オリフィス64の加工精度を下げることができるため、オリフィス64の加工が容易になり、生産性を高めることができる。
また、オリフィス64を設けることで、ブリード室34に流入するオイル流量を多くでき、ブリード室34の昇圧速度を高めることができるため、「プレ離座力α」と組み合わされて応答性を極めて高めることができる。
なお、この実施例3を上記実施例2と組み合わせても良い。即ち、離座力受圧面65が設けられたN/Hタイプの電磁油圧制御弁にオリフィス64を設けても良い。
〔変形例〕
上記の実施例では、スプール4に小径部15aを設けることで、離座力受圧面65をリング状に形成する例を示したが、離座力受圧面65は供給ポート12から供給される油圧によりスプール4に「プレ離座力α」を発生するものであれば良く、部分的な段差部や、スプール4の端部の外周にテーパ面を設けるものであっても良い。
上記の実施例では、スプール弁1が三方弁を構成する例を示したが、スプール弁1は三方弁に限定されるものではなく、二方弁(開閉弁)、四方弁など、他の構成のスプール弁であっても良い。
上記の実施例では、可動バルブの一例としてスプール4を用いる例を示したが、可動バルブはスプール4に限定されるものではない。即ち、可動バルブは軸方向に変位するものに限定されるものではなく、可動バルブが回転方向に変位するバルブ装置に本発明を適用しても良い。
上記の実施例では、開閉手段の一例として電磁アクチュエータ33を用いる例を示したが、電動モータ、ピエゾスタック等を用いたピエゾアクチュエータなど、他のアクチュエータを用いても良い。
上記の実施例では、自動変速機の油圧制御装置に用いられる油圧制御弁に本発明を適用する例を示したが、自動変速機以外の他の油圧制御弁に本発明を適用しても良い。
上記の実施例では、油圧制御を行う油圧制御弁に本発明を適用する例を示したが、オイル流量制御を行うOCV(オイル・フロー・コントロール・バルブの略)に本発明を適用しても良い。
電磁油圧制御弁(N/Lタイプ)の軸方向に沿う断面図、スプールの軸方向に沿う断面図、スプールを軸方向から見た図である(実施例1)。 電磁油圧制御弁(N/Hタイプ)の軸方向に沿う断面図である(実施例2)。 電磁油圧制御弁(N/Lタイプ)の軸方向に沿う断面図である(実施例3)。 オリフィスの流路面積に対する応答時間およびリーク量の関係を示すグラフである。 電磁油圧制御弁(N/Hタイプ)の軸方向に沿う断面図である(従来技術)。 シート部材を軸方向から見た図、および軸方向に沿う断面図である(従来技術)。
符号の説明
3 スリーブ(バルブボディ)
4 スプール(可動バルブ)
6 摺動穴
12 供給ポート
15 排出シールランド(摺動ランド)
15a 小径部
31 シート部材
33 電磁アクチュエータ(開閉手段)
34 ブリード室
35 ブリードポート
63 着座面の粗度による微細な隙間(微小連通手段)
64 オリフィス(微小連通手段)
65 離座力受圧面
α プレ離座力

Claims (4)

  1. バルブボディ内で変位可能に支持された可動バルブと、
    この可動バルブとの間にブリード室を形成するとともに、このブリード室を低圧側に連通させるブリードポートを有するシート部材と、
    前記ブリードポートを開閉可能な開閉手段とを具備し、
    前記可動バルブが前記シート部材に着座することで、前記ブリード室にオイルを供給する供給ポートと前記ブリード室の連通状態を前記可動バルブによって遮断する構造を備えるとともに、
    前記可動バルブが前記シート部材に着座する状態であっても、前記供給ポートと前記ブリード室とを微細に連通させる微小連通手段を備えるブリード式バルブ装置において、
    前記可動バルブは、当該可動バルブが前記シート部材に着座する状態であっても、前記供給ポートから供給される油圧を受けて、前記シート部材から離座する方向のプレ離座力を発生する離座力受圧面を備えることを特徴とするブリード式バルブ装置。
  2. 請求項1に記載のブリード式バルブ装置において、
    前記可動バルブは、前記バルブボディの内部において軸方向へ摺動自在に支持されるスプールであり、
    前記離座力受圧面は、前記バルブボディの摺動穴に摺動する摺動ランドと、この摺動ランドより小径の小径部との段差によって形成されることを特徴とするブリード式バルブ装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のブリード式バルブ装置において、
    前記微小連通手段は、前記シート部材と前記可動バルブの着座面の粗度による微細な隙間により形成されることを特徴とするブリード式バルブ装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載のブリード式バルブ装置において、
    前記微小連通手段は、前記可動バルブが着座する前記シート部材に形成されて、前記可動バルブが前記シート部材に着座する状態であっても、前記供給ポートと前記ブリード室とを微細に連通させる溝状のオリフィスを備えることを特徴とするブリード式バルブ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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