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JP2008082286A - 内燃機関及びその点火装置 - Google Patents

内燃機関及びその点火装置 Download PDF

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JP2008082286A JP2006264922A JP2006264922A JP2008082286A JP 2008082286 A JP2008082286 A JP 2008082286A JP 2006264922 A JP2006264922 A JP 2006264922A JP 2006264922 A JP2006264922 A JP 2006264922A JP 2008082286 A JP2008082286 A JP 2008082286A
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雅夫 木下
Masateru Ebina
正輝 蝦名
Kazuo Sato
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Abstract

【課題】構成の複雑化を招くことなく、より少ないエネルギー消費で燃焼室内の混合気に効率よく点火する。
【解決手段】点火栓31は、中心電極51と接地電極53との間に直流電圧が印加された場合は、中心電極51の先端部51aと接地電極53の先端部53aとの間の空隙52に発生する直流放電により燃焼室3内の混合気に点火することができる。一方、電磁波が電磁波放射器から燃焼室3内へ向けて放射された場合は、点火栓31は、中心電極51の先端部51a近傍及び接地電極53の先端部53a近傍にて燃焼室3内の電磁波の電界強度を局所的に高めることで発生するプラズマ放電により燃焼室3内の混合気に点火することができる。プラズマ放電による点火及び直流放電による点火のいずれかを選択的に行うことで、混合気の着火の際に消費される電気エネルギーを低減することができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関及びその点火装置に関し、特に、電磁波を利用して燃焼室内の混合気に点火することが可能な内燃機関及びその点火装置に関する。
この種の内燃機関の点火装置として、下記特許文献1に示すものが開示されている。以下、特許文献1の内燃機関の点火装置について、図17を用いて説明する。
図17に示す点火装置101において、同軸的な共振器(同軸線路)103は、外側導体104及び内側導体105から成っている。共振器103の内側導体105の一端部に設けられた結合箇所107には、供給線路108が同軸的に誘導式及び/又は容量式に結合されており、マイクロ波電源により発生させた高周波信号(電磁波)がこの供給線路108を介して共振器103に供給される。一方、共振器103の開放した内側導体105の他端部105aは内燃機関の燃焼室内に突入しており、この他端部105aが点火ピンとして燃焼室内の混合気の点火を行う。
その他にも、下記特許文献2〜5による内燃機関の点火装置が開示されている。また、内燃機関のピストン位置を検出するためにマイクロ波を使用する技術が下記特許文献6に開示されている。
特開2004−87498号公報 特開2006−132518号公報 特開2005−183396号公報 特開2005−180446号公報 特開2005−180435号公報 米国特許第4403504号明細書
電磁波を燃焼室内へ向けて放射して混合気に点火する点火装置では、点火栓に直流電圧を印加して混合気に点火する点火装置と比較して、より希薄な混合気を着火させることが可能となるものの、混合気の着火の際に消費される電気エネルギーが増大する。そのため、電磁波を利用して燃焼室内の混合気に点火することが可能な点火装置において、構成の複雑化を招くことなく、より少ないエネルギー消費で混合気に効率よく点火できることが要求される。
本発明は、構成の複雑化を招くことなく、より少ないエネルギー消費で燃焼室内の混合気に効率よく点火することができる内燃機関及びその点火装置を提供することを目的とする。
本発明に係る内燃機関及びその点火装置は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係る内燃機関の点火装置は、燃焼室内の混合気に点火する内燃機関の点火装置であって、燃焼室内に突出する点火用電極間に直流電圧が印加されることで発生する直流放電により燃焼室内の混合気に点火することが可能な点火栓と、電磁波を発生させるための電磁波発生源と、電磁波発生源にて発生した電磁波を燃焼室内へ向けて放射するための電磁波放射器と、を備え、点火栓は、点火用電極間に直流電圧が印加された場合は、点火用電極間に発生する直流放電により燃焼室内の混合気に点火し、電磁波発生源にて発生した電磁波が電磁波放射器から燃焼室内へ向けて放射された場合は、点火用電極近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めることで発生するプラズマ放電により燃焼室内の混合気に点火することを要旨とする。
本発明においては、点火栓の点火用電極間に直流電圧を印加して、点火用電極間に直流放電を発生させることで、燃焼室内の混合気に点火することができる。さらに、燃焼室内へ向けて電磁波を放射して、点火栓の点火用電極近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めることで発生するプラズマ放電によっても、燃焼室内の混合気に点火することができる。このように、電磁波を用いたプラズマ放電による点火だけでなく、点火栓の直流放電による点火も行うことで、混合気の着火の際に消費されるエネルギーを低減することができる。さらに、点火栓を利用して、燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めてプラズマ放電を発生させることができるので、装置の構成の複雑化を招くこともない。したがって、本発明によれば、構成の複雑化を招くことなく、より少ないエネルギー消費で燃焼室内の混合気に効率よく点火することができる。
本発明の一態様では、点火用電極の燃焼室内への突出長さが、電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されていることが好適である。この態様によれば、点火用電極近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を効率よく高めることができ、プラズマ放電を効率よく発生させることができる。
本発明の一態様では、電磁波発生源にて発生した電磁波を点火栓へ供給するための電磁波伝送手段を備え、電磁波放射器として点火栓が電磁波発生源にて発生した電磁波を点火用電極から燃焼室内へ向けて放射することが好適である。この態様によれば、点火栓を利用して、電磁波を燃焼室内へ向けて放射することができるとともに、燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めてプラズマ放電を発生させることができるので、装置の構成の簡略化を図ることができる。また、この態様では、電磁波伝送手段は、導波管を含み、点火栓の一端部が導波管内に挿入されており、点火用電極が点火栓の他端部にて燃焼室内に突出していることが好適である。
本発明の一態様では、燃焼室内の混合気に点火する際に、点火用電極間に直流電圧を印加するか、電磁波発生源にて電磁波を発生させて電磁波放射器から燃焼室内へ向けて放射するかを、混合気の空燃比に基づいて選択することが好適である。この態様によれば、混合気の空燃比に基づいて適切な点火方法を選択することができる。また、この態様では、混合気の空燃比が理論空燃比及びその近傍の範囲内であるときは、点火用電極間に直流電圧を印加する方を選択することで、混合気の着火の際に消費されるエネルギーを低減することができる。また、この態様では、混合気の空燃比が理論空燃比よりも大きい所定比以上であるときは、電磁波発生源にて電磁波を発生させて電磁波放射器から燃焼室内へ向けて放射する方を選択することで、より希薄な混合気を着火させることができる。
また、本発明に係る内燃機関の点火装置は、燃焼室内の混合気に点火する内燃機関の点火装置であって、燃焼室内に突出する放電用電極間に直流電圧が印加されることで発生する直流放電により燃焼室内の混合気に点火することが可能な点火栓と、電磁波を発生させるための電磁波発生源と、電磁波発生源にて発生した電磁波を点火栓へ伝搬させるための電磁波伝送手段と、燃焼室に臨んで配設された電極であって、燃焼室内に電磁波が伝搬した場合に該電極近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めるための点火用電極と、を備え、放電用電極間に直流電圧を印加した場合は、放電用電極間に発生する直流放電により燃焼室内の混合気に点火し、電磁波発生源にて電磁波を発生させた場合は、点火栓が電磁波を放電用電極から燃焼室内へ向けて放射し、点火用電極がその近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めることで発生するプラズマ放電により燃焼室内の混合気に点火することを要旨とする。
本発明においては、点火栓の放電用電極間に直流電圧を印加して、放電用電極間に直流放電を発生させることで、燃焼室内の混合気に点火することができる。さらに、点火栓の放電用電極から燃焼室内へ向けて電磁波を放射して、点火用電極近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めることで発生するプラズマ放電によっても、燃焼室内の混合気に点火することができる。このように、電磁波を用いたプラズマ放電による点火だけでなく、点火栓の直流放電による点火も行うことで、混合気の着火の際に消費されるエネルギーを低減することができる。さらに、点火栓を利用して、電磁波を燃焼室内へ向けて放射することができるので、装置の構成の複雑化を招くこともない。したがって、本発明によれば、構成の複雑化を招くことなく、より少ないエネルギー消費で燃焼室内の混合気に効率よく点火することができる。
本発明の一態様では、電磁波伝送手段は、導波管を含み、点火栓の一端部が導波管内に挿入されており、放電用電極が点火栓の他端部にて燃焼室内に突出していることが好適である。また、本発明の一態様では、点火用電極として放電用電極が燃焼室内に電磁波が伝搬した場合に該電極近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めることが好適である。この態様によれば、点火栓を利用して、電磁波を燃焼室内へ向けて放射することができるとともに、燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めてプラズマ放電を発生させることができるので、装置の構成の簡略化を図ることができる。
本発明の一態様では、放電用電極の燃焼室内への突出長さが、電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されていることで、電磁波を放電用電極から燃焼室内へ向けて効率よく放射することができる。また、本発明の一態様では、点火用電極の燃焼室内への突出長さが、電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されていることで、点火用電極近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を効率よく高めることができ、プラズマ放電を効率よく発生させることができる。
また、本発明に係る内燃機関の点火装置は、燃焼室内の混合気に点火する内燃機関の点火装置であって、電磁波を発生させるための電磁波発生源と、電磁波発生源にて発生した電磁波を燃焼室内へ向けて放射するための電磁波放射器と、燃焼室内に突出して配設された電極であって、該電極近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めるための点火用電極と、を備え、点火用電極の燃焼室内への突出長さが、電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されており、点火用電極がその近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めることで発生するプラズマ放電により燃焼室内の混合気に点火することを要旨とする。
本発明においては、燃焼室内の混合気に点火する際に、点火用電極近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を効率よく高めることができ、プラズマ放電を効率よく発生させることができる。したがって、本発明によれば、構成の複雑化を招くことなく、より少ないエネルギー消費で燃焼室内の混合気に効率よく点火することができる。
また、本発明に係る内燃機関は、点火装置により燃焼室内の混合気に点火する内燃機関であって、前記点火装置が、本発明に係る内燃機関の点火装置であることを要旨とする。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
「実施形態1」
図1は、本発明の実施形態1に係る内燃機関の点火装置の概略構成を内燃機関とともに示す図である。本実施形態に係る内燃機関の点火装置は、電磁波を燃焼室3内へ向けて放射することで、燃焼室3内の混合気(空気・燃料混合気)に点火することが可能である。
内燃機関(エンジン)は、シリンダブロック20及びシリンダヘッド22を備え、シリンダブロック20及びシリンダヘッド22によりシリンダを形成する。シリンダブロック20に形成されたシリンダボアには、その軸線方向に往復運動するピストン11が収容されている。ピストン11の頂面、シリンダブロック20の内壁、及びシリンダヘッド22に囲まれた空間は、燃焼室3を形成する。
電磁波発生電源1は、例えば固体素子やマグネトロンや進行波増幅管により構成することができ、電磁波(例えばマイクロ波)を発生、増幅させる役割を果たす。電磁波発生電源1は、電磁波のゲイン及びパルス幅を制御することで、その出力を制御することができる。電磁波発生電源1は、燃焼室3内の混合気に点火する際に電磁波を発生し、発生した電磁波は電磁波伝送路2を伝搬する。
電磁波伝送路2は、シリンダヘッド22の内部を通ってその端部が燃焼室3に臨んでいる。電磁波伝送路2の端部には、電磁波発生電源1にて発生し電磁波伝送路2を伝搬した電磁波を放射する電磁波放射器4が設けられている。このように、電磁波放射器4が燃焼室3に臨む状態でシリンダヘッド22に配設されていることで、電磁波放射器4から燃焼室3内へ向けて電磁波が放射される。ここでの電磁波放射器4については、高い効率で電磁波を燃焼室3内に放射するために、使用する電磁波の波長の17〜33%に相当する長さx1を燃焼室3内へ突出させている。つまり、電磁波放射器4の燃焼室3内への突出長さ(挿入長)x1が、使用する電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されている。
なお、ここでの電磁波伝送路2としては、例えば同軸ケーブルや導波管等を用いることができる。電磁波伝送路2として同軸ケーブルを用いた場合は、例えば同軸ケーブルの開放した内側導体端部により、電磁波放射器4を構成することができる。一方、電磁波伝送路2として導波管を用いた場合は、例えば導波管の開放した端部を混合気が導波管内に流入しないように絶縁体(例えば誘電率の低いセラミック等の誘電体)で埋めることにより、電磁波放射器4を構成することができる。また、導電体により構成されるピストン11、シリンダブロック20、及びシリンダヘッド22は、接地導体として機能することで、燃焼室3内の電磁波をシールドする役割も果たしている。
そして、本実施形態においては、点火用電極10が燃焼室3に臨んでシリンダヘッド22に取り付けられている。ここでの点火用電極10については、シリンダヘッド22(導電体)の下面に対して、使用する電磁波の波長の17〜33%に相当する長さx2を燃焼室3内へ突出させている。つまり、点火用電極10の燃焼室3内への突出長さ(挿入長)x2が、使用する電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されている。図1では、点火用電極10が燃焼室3上面の中央部に配置されており、点火用電極10における燃焼室3内に突出した先端部が鋭角な円錐形状である例を示している。
この点火用電極10は、その近傍にて燃焼室3内の電磁波の電界強度を局所的に高める役割を果たす。すなわち、電磁波放射器4から放射された電磁波は燃焼室3内を満たすが、点火用電極10の先端部近傍では、点火用電極10と燃焼室3内の空間の透磁率の違いから燃焼室3内の電磁波の平均電界の数十倍から数百倍程度の高電界を得ることができる。その結果、点火用電極10の先端部近傍において、電磁波供給に伴って燃焼室3内の空間中に電流が流れるブレークダウンが発生する。そして、それが起点となって、燃焼室3内の広い範囲でプラズマ放電が発生することで、燃焼室3内の混合気に点火することができる。ここでのプラズマ放電が発生する領域は、電磁波エネルギーの供給量に応じて変化する。本実施形態では、内燃機関の運転条件に応じて燃焼室3内に供給する電磁波エネルギーを調整することで、適切な混合気の燃焼を実現することができる。なお、典型的な例としては、1J程度のエネルギーの電磁波を電磁波放射器4から放射することで、プラズマ放電を発生させることができ、混合気の点火を行うことができる。
さらに、接地した円柱形状の密閉容器(定容容器)23を用いた基礎的な計算及び試験結果に基づいて、上記作用について詳述する。図2に示すように、接地した金属容器23の下平面中心部には電磁波放射器4が、その上面には点火用電極10がそれぞれ設けられている。ここでの電磁波放射器4及び点火用電極10については、容器23内への挿入長を任意に変えることができる。電磁波放射器4から容器23内に電磁波を放射すると、容器23内には電界分布が生じる。容器23内の電界は、図2に示すように、電磁波放射器4と点火用電極10の近傍で高くなる。
ここで、電磁波放射器4の容器23内への挿入長を一定に保った(供給する電磁波波長の1/4に固定した)状態で、点火用電極10の容器23内への挿入長を変化させる。その場合における点火用電極10の挿入長と点火用電極10直下の電界強度との関係を図3に示す。ただし、図3では、点火用電極10の挿入長を電磁波波長で割った無次元長さとしている。図3に示すように、点火用電極10直下の電界強度は、無次元長さが0.17以上(点火用電極10の挿入長が電磁波波長の0.17倍以上)になるとほぼ飽和し、無次元長さが0.25である(点火用電極10の挿入長が電磁波波長の1/4である)場合に最大となる。そして、点火用電極10直下の電界強度は、無次元長さが0.33以上(点火用電極10の挿入長が電磁波波長の0.33倍以上)になると急激に減少する。なお、ここでは、点火用電極10の挿入長を変えた場合の電界強度の変化について述べたが、電磁波放射器4の挿入長を変えた場合でも、同様の電界強度の変化が生じる。
容器23内に突出した点火用電極10は、その近傍の電界を局所的に集中させる働きをする。電界集中が生じる効果は、点火用電極10の挿入長に依存し、供給する電磁波波長の17〜33%に相当する長さで顕著に得られ、供給する電磁波波長の25%に相当する長さで最大となる。そして、電界集中の度合いは、点火用電極10の形状にも依存し、特に、その先端部が細く、鋭角である場合に電界集中の度合いが増す。
また、本試験では、無次元長さをほぼ0.17以上にすると、定容容器23上面の広い範囲でプラズマ放電が発生した。これは高い電界により容器23内の空気がブレークダウンし、それを起点として広い範囲にプラズマ放電が誘起されたものである。そして、そのプラズマ放電が発生する範囲は、電磁波エネルギーの供給量に応じて変化することが確認できた。さらに、容器23内に炭化水素予混合気を供給して、上述したプラズマ放電が生じる条件を整えると、従来型式の点火系では着火させることができない非常に希薄な予混合気でも、容易に着火・燃焼することが確認できた。プラズマ放電を効率よく発生させるためには、点火用電極10近傍の電界強度が(最大値に)ほぼ飽和する範囲内に点火用電極10の挿入長を設定することが有効である。
以上の結果から、本実施形態では、点火用電極10の燃焼室3内への突出長さx2を電磁波波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定することで、その近傍の電界強度を効率よく高めることができ、燃焼室3内の広い範囲でプラズマ放電を効率よく発生させることができる。そのため、装置の構成の複雑化を招くことなく、より少ない電磁波エネルギーで燃焼室3内の混合気に効率よく点火することができる。その結果、より希薄な混合気を効率よく着火させることが可能となり、高い熱効率で低NOxの燃焼を実現することができる。さらに、点火用電極10の燃焼室3内への突出長さx2を電磁波波長の0.25倍(あるいはその近傍)に設定することで、その近傍の電界強度が最も高くなるため、最も効率よくプラズマ放電を発生させることができる。また、本実施形態では、点火用電極10の燃焼室3内への突出長さx2を電磁波波長の0.17倍(あるいはその近傍)に設定することで、点火用電極10への熱負荷を低減しながらプラズマ放電を効率よく発生させることができる。なお、本実施形態では、プラズマ放電を効率よく発生させるために、点火用電極10の突出長さx2を電磁波波長の0.25倍に設定したときの点火用電極10近傍の電界強度を1(最大電界値)として、点火用電極10近傍の電界強度が最大電界値の0.9倍以上(且つ1.0倍以下)になるように、点火用電極10の突出長さx2を設定することもできる。
「実施形態2」
図4,5は、本発明の実施形態2に係る内燃機関の点火装置の概略構成を内燃機関とともに示す図である。以下の実施形態2の説明では、実施形態1と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態では、実施形態1と比較して、点火用電極として中心電極51及び接地電極53を有する点火栓31が燃焼室3に臨んでシリンダヘッド22に取り付けられている。図4,5に示す例では、点火栓31が燃焼室3上面の中央部に配置されている。中心電極51は、その両端部を除いて絶縁体55により被覆されている。点火栓31と直流電源33との間には、スイッチング素子34及び点火用コイル35を有する直流点火用回路30が設けられており、点火栓31の一端部31a(中心電極51)が直流用コード32を介して点火用コイル35に接続されている。中心電極51の先端部51a及び接地電極53の先端部53aは、点火栓31の他端部31bにて燃焼室3内に突出しており、中心電極51の先端部51aと接地電極53の先端部53aとの間には空隙52が形成されている。直流点火用回路30により点火栓31の中心電極51と接地電極53との間に直流電圧を印加することで、中心電極51の先端部51aと接地電極53の先端部53aとの間の空隙52に直流放電が発生する。つまり、点火栓31は、点火用コイル35もしくはコンデンサ(図示せず)に蓄積された電気エネルギーを利用して直流放電を行うことが可能である。この直流放電によって、燃焼室3内の混合気に点火することができる。
さらに、本実施形態では、電磁波発生電源1にて発生させた電磁波を電磁波放射器4から燃焼室3内に放射することによっても、燃焼室3内の混合気に点火することができる。その場合は、点火栓31を燃焼室3内の電磁波の電界強度を局所的に高めるための点火用電極10として用いる。図5に示すように、点火栓31の他端部31bに設けられた接地電極53については、その近傍での電界強度を効率よく高めるために、シリンダヘッド22の下面に対して、使用する電磁波の波長の17〜33%に相当する長さx2を燃焼室3内へ突出させることが好ましい。つまり、接地電極53の燃焼室3内への突出長さ(挿入長)x2が、使用する電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されていることが好ましい。
本実施形態では、点火栓31は、中心電極51と接地電極53との間に直流電圧が印加された場合は、中心電極51の先端部51aと接地電極53の先端部53aとの間の空隙52に発生する直流放電により燃焼室3内の混合気に点火することができる。一方、電磁波発生電源1にて発生した電磁波が電磁波放射器4から燃焼室3内へ向けて放射された場合は、点火栓31は、中心電極51の先端部51a近傍及び接地電極53の先端部53a近傍(あるいはそれらのいずれか一方)にて燃焼室3内の電磁波の電界強度を局所的に高めることで発生するプラズマ放電により燃焼室3内の混合気に点火することができる。このように、電磁波を用いたプラズマ放電による点火だけでなく、点火栓31の直流放電による点火も行うことで、混合気の着火の際に消費される電気エネルギーを低減することができる。典型的な例としては、電磁波を利用して点火を行う場合は、混合気の着火に1J程度の電磁波のエネルギーを必要とするのに対して、直流放電により点火を行う場合は、50mJ程度の電気エネルギーで混合気の着火を行うことが可能である。さらに、点火栓31を利用して、燃焼室3内の電磁波の電界強度を局所的に高めてプラズマ放電を発生させることができるので、装置の構成の複雑化を招くこともない。したがって、本実施形態によれば、構成の複雑化を招くことなく、より少ないエネルギー消費で燃焼室3内の混合気に効率よく点火することができる。
さらに、本実施形態では、点火栓31の接地電極53の燃焼室3内への突出長さx2を電磁波波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定することで、その近傍の電界強度を効率よく高めることができ、燃焼室3内の広い範囲でプラズマ放電を効率よく発生させることができる。さらに、接地電極53の燃焼室3内への突出長さx2を電磁波波長の0.25倍(あるいはその近傍)に設定することで、その近傍の電界強度が最も高くなるため、最も効率よくプラズマ放電を発生させることができる。また、接地電極53の燃焼室3内への突出長さx2を電磁波波長の0.17倍(あるいはその近傍)に設定することで、点火栓31への熱負荷を低減しながらプラズマ放電を効率よく発生させることができる。
本実施形態では、燃焼室3内の混合気に点火する際に、中心電極51と接地電極53との間に直流電圧を印加するか、電磁波発生電源1にて電磁波を発生させて電磁波放射器4から燃焼室3内へ向けて放射するかを、電子制御装置により選択することができる。以下、電子制御装置により燃焼室3内の混合気に点火する方法の好適な具体例について説明する。
実施形態1における容器23を用いて、点火栓31の中心電極51と接地電極53との間に直流電圧を印加した場合と、電磁波放射器4から電磁波を放射した場合とにおける燃焼特性の相違を調べた結果を図6,7に示す。図6の細線は、中心電極51と接地電極53との間に直流電圧を印加した場合(直流放電により点火を行う場合)における容器23内の圧力履歴を示す。直流放電により点火を行う場合は、当量比φ1.0(理論混合比)とφ0.8の混合気では正常に燃焼したが、φ0.6の混合気では着火せず、圧力上昇は認められなかった。
一方、図6の太線は、電磁波放射器4から電磁波を放射した場合(プラズマ放電により点火を行う場合)における容器23内の圧力履歴を示す。プラズマ放電により点火を行う場合は、図6の太線に示すように、φ0.6の混合気に留まらず、φ0.4の混合気でも燃焼に伴う圧力上昇を確認することができた。この結果は、電磁波を利用したプラズマ放電による点火が、直流放電による点火と比較して、希薄燃焼限界を向上させる上で非常に高い効果があることを示している。
ただし、直流放電による点火で燃焼可能な当量比φの範囲においては、電磁波を利用した点火による効果は限定されている。図7は、φ0.8の混合気において、直流放電により点火を行う場合(直流放電点火系)と、プラズマ放電により点火を行う場合(電磁波点火系)における容器23内の圧力履歴を示す。図7に示すように、φ0.8の混合気では、電磁波を利用してプラズマ放電により点火を行っても、直流放電による点火と比較して、10%程度の燃焼促進効果に留まっていることがわかる。そのため、理論混合比近傍の燃焼では、電磁波を利用して点火を行っても、混合気の燃焼促進効果に制約があることがわかる。
以上の結果から、燃焼室3内の混合気の空燃比が理論空燃比及びその近傍の範囲内であるときは、電子制御装置は、点火栓31の中心電極51と接地電極53との間に直流電圧を印加する方、つまり直流放電により燃焼室3内の混合気に点火する方を選択することが好ましい。これによって、燃焼室3内の混合気に点火する際に消費される電気エネルギーを低減することができる。一方、燃焼室3内の混合気の空燃比が理論空燃比よりも大きい所定比以上であるとき、つまり希薄燃焼させるときは、電子制御装置は、電磁波発生電源1にて電磁波を発生させて電磁波放射器4から燃焼室3内へ向けて放射する方、つまりプラズマ放電により燃焼室3内の混合気に点火する方を選択することが好ましい。これによって、直流放電では着火が困難な希薄混合気でも燃焼させることができるので、低燃費と低エミッションを実現することができる。なお、燃焼室3内の混合気の空燃比については、例えば吸入空気量及び燃料噴射量に基づいて算出することができる。
次に、本実施形態の他の構成例について説明する。
図8は、吸気通路6、排気通路7,吸気弁8、及び排気弁9を図示しており、電磁波放射器4を吸気通路6に臨ませて配設した例を示す。その場合は、吸気弁8もしくはその一部を非導電材(例えば誘電率の低いセラミック等の誘電体)により構成する。これによって、吸気弁8が閉じている状態でも、電磁波放射器4から吸気通路6に放射された電磁波は、吸気弁8を透過して燃焼室3内へ伝搬する。このように、電磁波放射器4を吸気通路6に臨ませることによっても、電磁波を燃焼室3内へ向けて放射することが可能である。
図9は、電磁波放射器4をピストン11の下部に配設した例を示す。その場合は、ピストン11の頂部11aもしくはその一部を非導電材(例えば誘電率の低いセラミック等の誘電体)により構成する。これによって、電磁波放射器4から放射された電磁波は、ピストン11(頂部11a)を透過して燃焼室3内へ伝搬する。このように、電磁波放射器4をピストン11の下部に配設することによっても、電磁波を燃焼室3内へ向けて放射することが可能である。
「実施形態3」
図10,11は、本発明の実施形態3に係る内燃機関の点火装置の概略構成を内燃機関とともに示す図である。以下の実施形態3の説明では、実施形態1,2と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態では、実施形態2と比較して、点火栓31を、燃焼室3内の電磁波の電界強度を局所的に高めることでプラズマ放電を発生させるための点火用電極10として用いるだけでなく、電磁波を燃焼室3内へ向けて放射する電磁波放射器4としても用いる。さらに、実施形態2と同様に、点火栓31の中心電極51の先端部51aと接地電極53の先端部53aとの間の空隙52に発生する直流放電によっても、燃焼室3内の混合気に点火することができる。
点火栓31を介して電磁波放電と直流放電のいずれかを行わせるために、点火栓31と電磁波発生電源1、ならびに点火栓31と直流点火用回路30との間には、電磁波と直流電流の両方を効率よく通電させることが可能な結合器14が設けられている。ここでの結合器14は、電磁波伝送手段としての導波管57を有する。図11に示すように、同軸構造を有する電磁波伝送路2は、導波管57の一端部57aに対して、その中心電極2aを導波管57内に突出させている。ここでの中心電極2aの導波管57内への突出長さ(挿入長)x3は、使用する電磁波の波長の1/4またはそのn倍(nは2以上の整数)に設定されている。電磁波伝送路2は、その中心電極2aが導波管57の中心軸と一致するように、導波管57の一端部57aに接続されている。
さらに、点火栓31の一端部31aは、導波管57の他端部57bから導波管57内に挿入されている。導波管57内に挿入された点火栓31の部位は、中心電極51と、それを被覆する絶縁体55と、を含む。点火栓31(中心電極51)の導波管57内への挿入長x4は、使用する電磁波の波長の1/4またはそのn倍(nは2以上の整数)に設定されている。点火栓31は、その中心電極51が導波管57の中心軸と一致するように、導波管57内に挿入されている。本実施形態でも、点火栓31の他端部31bに設けられた接地電極53については、シリンダヘッド22の下面に対して、使用する電磁波の波長の17〜33%に相当する長さx2を燃焼室3内へ突出させることが好ましい。つまり、接地電極53の燃焼室3内への突出長さ(挿入長)x2が、使用する電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されていることが好ましい。そして、本実施形態でも、中心電極51の燃焼室3内への突出長さ(挿入長)を、使用する電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定することもできる。
上記の構成により、電磁波発生電源1で発生した電磁波は、電磁波伝送路2を介して導波管57内へ効率よく放射される。導波管57内を伝搬する電磁波は、点火栓31の一端部31aへ効率よく供給される。そして、点火栓31が、その一端部31aに供給された電磁波をその他端部31b(中心電極51の先端部51a)から燃焼室3内へ向けて効率よく放射することができる。つまり、点火栓31を電磁波放射器4として機能させることができる。そして、中心電極51の先端部51a近傍及び接地電極53の先端部53a近傍(あるいはそれらのいずれか一方)にて燃焼室3内の電磁波の電界強度が局所的に高まることで発生するプラズマ放電により燃焼室3内の混合気に点火することができる。つまり、点火栓31を点火用電極10としても機能させることができる。
また、直流用コード32は、図11に示すように、導波管57の側面57cに設けられた縦スリット58を通って点火栓31の一端部31a(中心電極51)に接続されている。そのため、電磁波発生電源1で電磁波を発生させない場合には、直流点火用回路30により点火栓31の中心電極51と接地電極53との間に直流電圧を印加することができ、中心電極51の先端部51aと接地電極53の先端部53aとの間の空隙52に発生する直流放電により燃焼室3内の混合気に点火することができる。
以上説明した本実施形態でも、点火栓31を利用して、プラズマ放電による点火及び直流放電による点火のいずれかを選択的に行うことで、構成の複雑化を招くことなく、より少ないエネルギー消費で燃焼室3内の混合気に効率よく点火することができる。さらに、本実施形態では、点火栓31を利用して、電磁波を燃焼室3内へ向けて放射することもできるので、装置の構成の簡略化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、点火栓31の接地電極53の燃焼室3内への突出長さx2を電磁波波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定することで、効率のよい電界集中を行うことができる。さらに、接地電極53の燃焼室3内への突出長さx2を電磁波波長の0.25倍(あるいはその近傍)に設定することで、電界集中を最も効率よく行うことができる。また、接地電極53の燃焼室3内への突出長さx2を電磁波波長の0.17倍(あるいはその近傍)に設定することで、点火栓31への熱負荷を低減しながら電界集中を効率よく行うことができる。
また、本実施形態では、点火栓31の中心電極51の燃焼室3内への突出長さを電磁波波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定することで、燃焼室3内へ向けた効率のよい電磁波放射を行うことができる。さらに、中心電極51の燃焼室3内への突出長さを電磁波波長の0.25倍(あるいはその近傍)に設定することで、電磁波放射を最も効率よく行うことができる。また、中心電極51の燃焼室3内への突出長さを電磁波波長の0.17倍(あるいはその近傍)に設定することで、点火栓31への熱負荷を低減しながら電磁波放射を効率よく行うことができる。
本実施形態では、図12に示すように、同軸構造を有する電磁波伝送路2を導波管57の側面57cに接続し、電磁波伝送路2の中心電極2aを導波管57の側面57cから導波管57内に挿入することもできる。ここでの中心電極2aの導波管57内への突出長さ(挿入長)x3についても、使用する電磁波の波長の1/4またはそのn倍(nは2以上の整数)に設定することが好ましい。そして、導波管57の一端部57aに対する中心電極2aの距離x5についても、使用する電磁波の波長の1/4またはそのn倍(nは2以上の整数)に設定することが好ましい。また、図12に示すように、点火栓31の一端部31aの中心電極51に調整電極59を接続することで、点火栓31の一端部31aの導波管57内への挿入長x4を、使用する電磁波の波長の1/4またはそのn倍(nは2以上の整数)に容易に調整することができる。
「実施形態4」
図13,14は、本発明の実施形態4に係る内燃機関の点火装置の概略構成を内燃機関とともに示す図である。以下の実施形態4の説明では、実施形態1〜3と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態では、シリンダヘッド22の下面に、点火栓31と同軸となる環状の非導電体40が設けられている。ここでの非導電体40としては、例えばセラミックを用いることができる。環状の非導電体40は、点火栓31の他端部31bの周囲を取り囲んでおり、中心電極51及び接地電極53は、非導電体40の中央部に形成された穴を貫通することで、シリンダヘッド22の下面に対して燃焼室3内に突出している。ここでの中心電極51については、シリンダヘッド22の下面(導電体)に対して、使用する電磁波の波長の17〜33%に相当する長さx6を燃焼室3内へ突出させることが好ましい。つまり、中心電極51の燃焼室3内への突出長さ(挿入長)x6が、使用する電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されていることが好ましい。そして、接地電極53の燃焼室3内への突出長さ(挿入長)x2も、使用する電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されていることが好ましい。これによって、点火栓31を用いて、燃焼室3内へ向けた効率のよい電磁波放射、及び効率のよい電界集中を行うことができる。なお、中心電極51の先端部51aと接地電極53の先端部53aとの間の空隙52は、0.3〜1.0mm程度に保たれており、電磁波を使用しない場合には、中心電極51と接地電極53との間に直流電圧を印加することで空隙52に発生する直流放電により燃焼室3内の混合気に点火することができる。
点火栓31の直流放電により点火を行う内燃機関では、点火栓31の燃焼室3内への突出長さは、その熱負荷を考慮して5mm前後に設定されている。その場合、最適な電磁波の周波数は、十数GHz程度の高い周波数となる。本実施形態では、点火栓31の他端部31bの周囲に非導電体40を配設することで、点火栓31への熱負荷を低減しながら、使用する電磁波の周波数を低くすることができ、使用する電磁波の周波数の自由度を高めることができる。
「実施形態5」
図15は、本発明の実施形態5に係る内燃機関の点火装置の概略構成を内燃機関とともに示す図である。以下の実施形態5の説明では、実施形態1〜4と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態の内燃機関は、燃料を筒内に直接噴射する筒内噴射式内燃機関であり、燃料噴射弁61が燃焼室3に臨んでシリンダヘッド22に取り付けられている。燃料タンク64に貯溜された燃料は、燃料ポンプ63により汲み上げられ、燃料配管62内を通って燃料噴射弁61に供給される。燃料噴射弁61は、この供給された燃料を燃焼室3内へ噴射する。
本実施形態でも、実施形態3と同様に、点火栓31を、電磁波を燃焼室3内へ向けて放射する電磁波放射器4として用いる。点火栓31を電磁波放射器4として機能させるための具体的構成例については、実施形態3と同様である。さらに、本実施形態では、燃料噴射弁61を、燃焼室3内の電磁波の電界強度を局所的に高めることでプラズマ放電を発生させるための点火用電極10として用いる。燃料噴射弁61の先端部近傍にて電磁波の電界強度を局所的に高めるために、燃料噴射弁61の先端部は、導電体により構成され、燃焼室3内に突出している。ここでの燃料噴射弁61についても、シリンダヘッド22の下面に対して、使用する電磁波の波長の17〜33%に相当する長さを燃焼室3内へ突出させることが好ましい。つまり、燃料噴射弁61の燃焼室3内への突出長さ(挿入長)が、使用する電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されていることが好ましい。これによって、燃料噴射弁61近傍にて電界集中を効率よく行うことができる。例えば燃料噴射弁61の燃焼室3内への突出長さを電磁波波長の0.25倍(あるいはその近傍)に設定することで、電界集中を最も効率よく行うことができる。また、燃料噴射弁61の燃焼室3内への突出長さを電磁波波長の0.17倍(あるいはその近傍)に設定することで、燃料噴射弁61への熱負荷を低減しながら電界集中を効率よく行うことができる。なお、図15は、燃料噴射弁61における燃焼室3内に突出した先端部が鋭角な円錐形状である例を示している。
以上説明した本実施形態でも、プラズマ放電による点火及び直流放電による点火のいずれかを選択的に行うことで、混合気の着火の際に消費される電気エネルギーを低減することができる。さらに、本実施形態では、点火栓31を利用して、電磁波を燃焼室内へ向けて放射することができるので、装置の構成の複雑化を招くこともない。したがって、本実施形態によれば、構成の複雑化を招くことなく、より少ないエネルギー消費で燃焼室3内の混合気に効率よく点火することができる。
「実施形態6」
図16は、本発明の実施形態6に係る内燃機関の点火装置の概略構成を内燃機関とともに示す図である。以下の実施形態6の説明では、実施形態1〜5と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態では、燃焼室3内へ突出する複数の突出部10aが、吸気弁8、排気弁9、及びピストン11の頂面に設けられている。各突出部10aは、その近傍にて電磁波の電界強度を局所的に高めるために、導電体により構成されている。つまり、本実施形態では、各突出部10aを、燃焼室3内の電磁波の電界強度を局所的に高めることでプラズマ放電を発生させるための点火用電極10として用いる。ここでの各突出部10aの燃焼室3内への突出長さについても、使用する電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されていることが好ましい。これによって、各突出部10a近傍にて電界強度を効率よく高めることができ、燃焼室3内の広い範囲でプラズマ放電を効率よく発生させることができる。なお、突出部10aについては、吸気弁8、排気弁9、及びピストン11の頂面のいずれか1つ以上に設けられていてもよい。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明の実施形態1に係る内燃機関の点火装置の概略構成を内燃機関とともに示す図である。 電磁波放射器から容器内に電磁波を放射した場合の容器内の電界分布を示す図である。 点火用電極の挿入長と点火用電極直下の電界強度との関係を示す図である。 本発明の実施形態2に係る内燃機関の点火装置の概略構成を内燃機関とともに示す図である。 本発明の実施形態2に係る内燃機関の点火装置の概略構成を示す図である。 点火栓の中心電極と接地電極との間に直流電圧を印加した場合と、電磁波放射器から電磁波を放射した場合とにおける燃焼特性の相違を調べた結果を示す図である。 点火栓の中心電極と接地電極との間に直流電圧を印加した場合と、電磁波放射器から電磁波を放射した場合とにおける燃焼特性の相違を調べた結果を示す図である。 本発明の実施形態2に係る内燃機関の点火装置の他の概略構成を内燃機関とともに示す図である。 本発明の実施形態2に係る内燃機関の点火装置の他の概略構成を内燃機関とともに示す図である。 本発明の実施形態3に係る内燃機関の点火装置の概略構成を内燃機関とともに示す図である。 本発明の実施形態3に係る内燃機関の点火装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態3に係る内燃機関の点火装置の他の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態4に係る内燃機関の点火装置の概略構成を内燃機関とともに示す図である。 本発明の実施形態4に係る内燃機関の点火装置の概略構成を内燃機関とともに示す図である。 本発明の実施形態5に係る内燃機関の点火装置の概略構成を内燃機関とともに示す図である。 本発明の実施形態6に係る内燃機関の点火装置の概略構成を内燃機関とともに示す図である。 従来における内燃機関の点火装置の概略構成を示す図である。
符号の説明
1 電磁波発生電源、2 電磁波伝送路、3 燃焼室、4 電磁波放射器、10 点火用電極、11 ピストン、14 結合器、20 シリンダブロック、22 シリンダヘッド、30 直流点火用回路、31 点火栓、32 直流用コード、33 直流電源、51 中心電極、52 空隙、53 接地電極、55 絶縁体、57 導波管、61 燃料噴射弁。

Claims (13)

  1. 燃焼室内の混合気に点火する内燃機関の点火装置であって、
    燃焼室内に突出する点火用電極間に直流電圧が印加されることで発生する直流放電により燃焼室内の混合気に点火することが可能な点火栓と、
    電磁波を発生させるための電磁波発生源と、
    電磁波発生源にて発生した電磁波を燃焼室内へ向けて放射するための電磁波放射器と、
    を備え、
    点火栓は、
    点火用電極間に直流電圧が印加された場合は、点火用電極間に発生する直流放電により燃焼室内の混合気に点火し、
    電磁波発生源にて発生した電磁波が電磁波放射器から燃焼室内へ向けて放射された場合は、点火用電極近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めることで発生するプラズマ放電により燃焼室内の混合気に点火する、内燃機関の点火装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の点火装置であって、
    点火用電極の燃焼室内への突出長さが、電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されている、内燃機関の点火装置。
  3. 請求項1または2に記載の内燃機関の点火装置であって、
    電磁波発生源にて発生した電磁波を点火栓へ供給するための電磁波伝送手段を備え、
    電磁波放射器として点火栓が電磁波発生源にて発生した電磁波を点火用電極から燃焼室内へ向けて放射する、内燃機関の点火装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関の点火装置であって、
    電磁波伝送手段は、導波管を含み、
    点火栓の一端部が導波管内に挿入されており、
    点火用電極が点火栓の他端部にて燃焼室内に突出している、内燃機関の点火装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1に記載の内燃機関の点火装置であって、
    燃焼室内の混合気に点火する際に、点火用電極間に直流電圧を印加するか、電磁波発生源にて電磁波を発生させて電磁波放射器から燃焼室内へ向けて放射するかを、混合気の空燃比に基づいて選択する、内燃機関の点火装置。
  6. 請求項5に記載の内燃機関の点火装置であって、
    混合気の空燃比が理論空燃比及びその近傍の範囲内であるときは、点火用電極間に直流電圧を印加する方を選択する、内燃機関の点火装置。
  7. 請求項5または6に記載の内燃機関の点火装置であって、
    混合気の空燃比が理論空燃比よりも大きい所定比以上であるときは、電磁波発生源にて電磁波を発生させて電磁波放射器から燃焼室内へ向けて放射する方を選択する、内燃機関の点火装置。
  8. 燃焼室内の混合気に点火する内燃機関の点火装置であって、
    燃焼室内に突出する放電用電極間に直流電圧が印加されることで発生する直流放電により燃焼室内の混合気に点火することが可能な点火栓と、
    電磁波を発生させるための電磁波発生源と、
    電磁波発生源にて発生した電磁波を点火栓へ伝搬させるための電磁波伝送手段と、
    燃焼室に臨んで配設された電極であって、燃焼室内に電磁波が伝搬した場合に該電極近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めるための点火用電極と、
    を備え、
    放電用電極間に直流電圧を印加した場合は、放電用電極間に発生する直流放電により燃焼室内の混合気に点火し、
    電磁波発生源にて電磁波を発生させた場合は、点火栓が電磁波を放電用電極から燃焼室内へ向けて放射し、点火用電極がその近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めることで発生するプラズマ放電により燃焼室内の混合気に点火する、内燃機関の点火装置。
  9. 請求項8に記載の内燃機関の点火装置であって、
    電磁波伝送手段は、導波管を含み、
    点火栓の一端部が導波管内に挿入されており、
    放電用電極が点火栓の他端部にて燃焼室内に突出している、内燃機関の点火装置。
  10. 請求項8または9に記載の内燃機関の点火装置であって、
    放電用電極の燃焼室内への突出長さが、電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されている、内燃機関の点火装置。
  11. 請求項8〜10のいずれか1に記載の内燃機関の点火装置であって、
    点火用電極の燃焼室内への突出長さが、電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されている、内燃機関の点火装置。
  12. 燃焼室内の混合気に点火する内燃機関の点火装置であって、
    電磁波を発生させるための電磁波発生源と、
    電磁波発生源にて発生した電磁波を燃焼室内へ向けて放射するための電磁波放射器と、
    燃焼室内に突出して配設された電極であって、該電極近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めるための点火用電極と、
    を備え、
    点火用電極の燃焼室内への突出長さが、電磁波の波長の0.17倍以上且つ0.33倍以下に設定されており、
    点火用電極がその近傍にて燃焼室内の電磁波の電界強度を局所的に高めることで発生するプラズマ放電により燃焼室内の混合気に点火する、内燃機関の点火装置。
  13. 点火装置により燃焼室内の混合気に点火する内燃機関であって、
    前記点火装置が、請求項1〜12のいずれか1に記載の内燃機関の点火装置である、内燃機関。
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