JP2008073235A - サニタリーショーツ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸収性物品がクロッチ部に取り付けられて使用されるサニタリーショーツ1であり、生地である編地を接合することなく筒状の胴回り部7が形成されており、クロッチ部4は、前身頃2を形成する編地が延在して形成された第1層41と、後身頃3を形成する編地が延在して形成された第2層42とを有し、第1層41と第2層42とは、厚み方向に重ねられて、ショーツの前後方向に離間した2箇所43,44で互いに接合されており、それら2箇所の接合部43,44間における両側部において第1層41と第2層42との間が接合されてない。
【選択図】図2
Description
従来のサニタリーショーツとしては、着用時に着用者の腹側に配される前身頃と背側に配される後身頃と股間部に配されるクロッチ部とが別々のパーツから形成されたものが知られている。
このような従来のサニタリーショーツにおいては、前身頃を形成する生地と後身頃を形成する生地とを、着用者の両側部において縫合等により接合していたため、身体に接合線の跡が付いたり、接合線によって装着感が悪化したりする場合がある。
しかし、従来の2層構造のクロッチ部を有する吸収性物品においては、前身頃、クロッチ部及び後身頃に亘って配された連続する生地の内側又は外側に、別体の生地を接合してクロッチ部を形成していたため、異なる機能を付与するためには生地の重ね合わせが必要であり、クロッチ部や接合部において段差が発生し、ナプキンのズレ止め材の機能を阻害する場合や、さらには、ナプキンの使用感を低下させる場合もあった。また、生地のロスが多く、製造プロセスが複雑となるため、製造効率の低下やコストが高くなる等の問題があった。
本発明のサニタリーショーの製造方法によれば、生地同士の接合線による跡が付かず、2層構造のクロッチ部を有するサニタリーショーツを、筒状の編地を用いて効率良く製造することができる。
図1は、本発明の一実施形態であるサニタリーショーツを示す図で、(a)は、着用された状態の該ショーツを前身頃側の斜め上方からみた斜視図であり、(b)は着用された状態の該ショーツを後身頃側の斜め上方からみた斜視図である。図2は、図1に示すショーツをその幅方向中央を通る平面で切断した断面図である。図3は、図1に示すショーツを、着用者の両側部に位置する部分で仮想的に切断し展開した状態を内面側から見た仮想展開図である。
本実施形態のショーツ1は、図4に示すように、丸編機により製造した筒状の編地11を、ショーツ1の一枚分の長さに切断する工程〔図4(a)参照〕、切断したショーツ1枚分の編地11から一対の脚開口部6を形成する部分16を除去し、前身頃2に対応する部分12に連続する第1クロッチ片41aと後身頃3に対応する部分13に連続する第2クロッチ片42aとを有する中間体1Aを製造する工程〔図4(b)(c)参照〕、及び、第2クロッチ片42aを第1クロッチ片41aの内面側に重ねるようにして、第2クロッチ片42aの先端部42bを、第1クロッチ片41aの先端部41bから離間した部位41cに縫合すると共に、第1クロッチ片41aの先端部41bを、第2クロッチ片42aの先端部42bから離間した部位42cに縫合する工程〔図4(c)(d)参照〕を経て、製造されたものである。
具体的には、前身頃2を形成する編地20と第1層41を形成する編地とは継ぎ目のない一枚の編地として連続しており、後身頃3を形成する編地30と第2層42を形成する編地とも継ぎ目のない一枚の編地として連続している。ここで、前身頃2又は後身頃3を形成する編地20,30と第1層又は第2層を形成する編地とが継ぎ目のない一枚の連続しているとは、編地同士が、筒状の胴回り部7を介することなく連続していることを意味する。例えば、本実施形態のショーツ1における第1層41を形成する編地は、前身頃2を形成する編地20と連続し、更に該編地20は、筒状の胴回り部7を介して後身頃3を形成する編地30と連続しているが、第1層41を形成する編地と後身頃3を形成する編地30とは連続しているとは考えない。
尚、第1層41は、上述した第1クロッチ片41aからなり、第2層42は、上述した第2クロッチ片42aからなる。
また、両接合部43,44間の第2層42の長さが第1層41の長さより短くなっていることで、ウイングつきナプキン装着時にウイング部を第1層41と第2層42との間に挿入して固定し易く、ショーツ着用時には、第2層42が、クロッチ部4におけるショーツ外面を形成する第1層41から着用者の肌方向に向かって浮かぶため、第2層42の肌対向面に配した吸収性物品を、着用者に対して良好にフィットさせることができる。
また、第1層41と第2層42とは、着用者の肌側に位置する方の層の幅が他方の層の幅より狭いことが、第1層41と第2層42間にウイング部の挿入・固定を行い易く、ウイングやサイドガード等がショーツの外部から見え難くなるので好ましい。
難伸長領域31は、後身頃3の幅方向中央部に縦方向に延びるように形成されており、難伸長領域31は、少なくとも該縦方向において、その両側に位置する部分32,32よりも伸長応力を高めるように形成されており、結果として使用者の装着時に伸長しにくくなっている。
難伸長領域31は、下記方法により測定した50%伸長時の引張荷重が10〜100cN、特に15〜30cNであることが好ましい。
腰天からクロッチ部にいたる方向を長手方向としたときに、長手方向120mm/幅方向10mmの大きさで難伸長領域を切り出し試験片となし、テンシロン引張・圧縮試験機RTA‐100((株)ボールドウイン製)を使用して計測する。RTA−100のチャック間距離を100mmとし、試験片の長手方向上端と下端の各々10mmをチャックによって把持する。ヘッドスピードを300mm/分で稼動させ、100%伸張時もしくは500cN荷重を上限として計測をおこなう。試験片の幅方向が10mm未満である場合は、10mm幅への換算をおこなう。上記試験片を3点計測した平均値を難伸張領域の引張荷重とする。
編み込む糸を代えて難伸長領域を形成する方法としては、例えば、難伸張領域の両側に位置する部分より剛性の高い繊維(太い繊維、剛性の高い素材等)を配合する方法を用いることができる。また、編み込む繊維の本数を両側に位置する部分より多くする方法等を用い、難伸張領域を形成することもできる。
特に、難伸長領域31とその両側に位置する部分32,32とが連続する一枚の編地から形成されていることは、難伸長性領域31とその両側に位置する部分32,32との境界部で編地の性状が急激に変化することを防止でき、違和感を生じさせ難く、またフィット性や装着感を悪化させることも防止することができる。
尚、後身頃3の縦方向における難伸長領域31の長さは、図3に示す仮想展開状態のショーツの全長(図3中のX方向の全長)の20%以上、特に30〜40%であることが好ましい。
高剛性領域141は、仮想展開状態のショーツの長手方向(X方向)に長い形状を有している。高剛性領域141は、ショーツ1の製造に用いた編地11の当該部位における繊維密度を当該部位の両側に位置する部位142,142より高めることによって形成されている。即ち、高剛性領域141は、その両側に位置する部位142,142を形成する編地間に別の編地を配してそれら編地間を接合したり、連続する編地で、高剛性領域141の両側に位置する部位142,142を形成しその編地に別の編地を重ねて縫合したりして形成されたものではなく、図4に示すように、丸編機で筒状の編地11を製造する際に、該編地の一部における、編み方及び/又は編み込む糸を、他の部分とは異ならせることで形成したものである。なお、図3は、図1に示すショーツを、着用者の両側部に位置する部分で仮想的に切断し展開した状態を内面側から見た仮想展開図であるが、第1層41に施した高剛性領域等を第2層42に施し、第1層41を伸張性あるいは伸縮性に富むように編みこむことで、ナプキンのフィット性と、形状保持性及び変形防止性を適宜コントロールすることができる。
編み込む糸を代えて高剛性領域を形成する方法としては、例えば難伸張領域の両側に位置する部分より編み込む繊維の本数を多くする方法を用いることが好ましく、さらに剛性の高い繊維(太い繊維、剛性の高い素材等)を配合する方法を併用することがより好ましい。クロッチ部における高剛性領域は、編み方を代える方法、編み込む繊維を代える方法ともに、クロッチ部における生地の厚みを厚くするような目的で施すことが、後述する理由で好ましい。剛性かつ装着したナプキンの形状保持(ヨレ防止)性を高める観点から好ましく、生地の厚みを増す事でナプキンの身体へのフィット性を高める効果も有する。
高剛性領域141は、装着したナプキンの形状保持(ヨレ防止)性を高める観点から、クロッチ部の幅方向におけるその幅W(図3参照)が、第2層42の同方向の最小幅の25%以上、特に30〜60%であることが装着時の違和感を低下させる観点から好ましい。また、高剛性領域141は、図3中のX方向の長さLが、同方向におけるショーツの全長の15%以上、特に15〜25%であることが好ましい。また、クロッチ部4の高剛性領域141と後身頃3の高剛性領域31は連続して形成されていても良いが、長手方向中心線上で連続するのではなく、両脚部に延びるように高剛性領域31、141が形成され、長手方向中心線上に高剛性領域が形成されていないほうが、身体の動きによるナプキンの形状保持性を高める観点から好ましい。
高剛性領域141の前身頃2側及び/又は後身頃3側に、このような難伸長領域を形成することで、高剛性領域141上に固定した生理用ナプキン等の吸収性物品の身体に対するフィット性を一層向上させることができる。本実施形態における難伸長領域144,144,145,145は、何れも高剛性領域141を形成した方法と同様の手法でクロッチ部4の着用者の肌側に位置する層である第2層42に形成してある。難伸長領域144,144,145,145は、そのそれぞれが延びる方向における伸長性が、それぞれの両側に位置する部分の伸長性よりも劣っている。
例えば、上記実施形態のショーツ1においては、後身頃3を形成する編地30が延在して形成された第2層42が、クロッチ部4の着用者の肌側に位置する層であったが、これに代えて、前身頃2を形成する編地20が延在して形成された第1層41を、クロッチ部の着用者の肌側に位置する層とすることもできる。この場合、ショーツ1における高剛性領域141や難伸長領域144,145等は、第2層42に代えて第1層41に形成することが好ましい。また、そのショーツの製造方法においては、中間体1Aの第1クロッチ片41aが第2クロッチ片42aの内面側に位置するようにして、第1クロッチ片41aと第2クロッチ片42aとを重ね合わせると共に第1及び第2クロッチ片41a,42aそれぞれの先端部を他方のクロッチ片の先端部から離間した部位に接合すれば良い。
また、サニタリーショーツに装着される吸収性物品としては、生理用ナプキン、失禁用パッド、パンティライナーが挙げられる。ショーツを装着される吸収性物品は、ウイングやサイドガードのないものであっても良い。
2 前身頃
3 後身頃
31 難伸長領域
4 クロッチ部
41 第1層
42 第2層
141 高剛性領域
5 胴開口部
6 脚開口部
7 胴回り部
Claims (8)
- 吸収性物品がクロッチ部に取り付けられて使用されるサニタリーショーツであって、
生地である編地を接合することなく筒状の胴回り部が形成されており、
前記クロッチ部は、前身頃を形成する編地が延在して形成された第1層と、後身頃を形成する編地が延在して形成された第2層とを有し、第1層と第2層とは、厚み方向に重ねられて、ショーツの前後方向に離間した2箇所で互いに接合されており、それら2箇所の接合部間における両側部において第1層と第2層との間が接合されてない、サニタリーショーツ。 - 前記後身頃に、胴開口部の周縁部付近からクロッチ部方向に向かって延びる難伸長領域が形成されており、
前記難伸長領域は、前記編地の繊維密度をその両側に位置する部位より高めて形成されている請求項1記載のサニタリーショーツ。 - 前記第1層及び第2層のうち、着用者の肌側に位置する層の幅方向中央部に、編地の繊維密度を幅方向両側に位置する部位より高めて形成された股下部高剛性領域が形成されている請求項1又は2記載のサニタリーショーツ。
- 第2層が着用者の肌側に位置する層である請求項3記載のサニタリーショーツ。
- 前記股下部高剛性領域は、前身頃側に、左右の脚開口部それぞれの周縁部に向かって延びる左右一対の難伸長領域を有している請求項3又は4記載のサニタリーショーツ。
- 前記股下部高剛性領域は、後身頃側に、左右の脚開口部それぞれの周縁部に向かって延びる左右一対の難伸長領域を有している請求項3又は4記載のサニタリーショーツ。
- 編地の繊維密度を他の部位より低く形成した、レース様の外観を呈する高伸長領域を脚開口部周縁に有する請求項1〜6の何れかに記載のサニタリーショーツ。
- 請求項1記載のサニタリーショーツの製造方法であって、
筒状の編地をサニタリーショーツの一枚分の長さに切断し、切断したショーツ1枚分の編地から、前身頃に対応する部分に連続する第1クロッチ片と後身頃に対応する部分に連続する第2クロッチ片とを有する中間体を製造し、該中間体における第1クロッチ片と第2クロッチ片とを重ね合わせると共に第1及び第2クロッチ片それぞれの先端部を他方のクロッチ片の先端部から離間した部位に接合してサニタリーショーツを得る、サニタリーショーツの製造方法。
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