JP2008070466A - トナー用マスターバッチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂、着色剤及び可塑剤を含有するトナー用マスターバッチ、少なくとも請求項1〜6のいずれかに記載のマスターバッチ及び結着樹脂を混合する工程、及び得られた混合物を水系媒体中に分散し乳化する工程、を有する樹脂乳化液の製造方法であって、フローテスターによる95℃における前記マスターバッチの溶融粘度と結着樹脂の溶融粘度の比(マスターバッチの粘度/結着樹脂の粘度)が0.1〜0.5であるトナー用樹脂乳化液の製造方法により得られるトナー用樹脂乳化液、及び該樹脂乳化液を用いて得られる電子写真用トナー、ならびにこれらの製造方法である。
【選択図】なし
Description
しかしながら、上記の技術においては、着色剤の種類によっては、マスターバッチを形成する樹脂との相互作用により乳化が困難な場合があった。
(1)樹脂、着色剤及び可塑剤を含有してなるトナー用マスターバッチ、
(2)上記(1)記載のマスターバッチ及び結着樹脂を水系媒体中に分散し乳化してなるトナー用樹脂乳化液、
(3)少なくとも上記(1)記載のマスターバッチ及び結着樹脂を混合する工程、及び得られた混合物を水系媒体中に分散し乳化する工程、を有する樹脂乳化液の製造方法であって、前記マスターバッチのフローテスターによる95℃における前記マスターバッチの溶融粘度と結着樹脂の溶融粘度の比(マスターバッチの粘度/結着樹脂の粘度)が0.1〜0.5であるトナー用樹脂乳化液の製造方法、
(4)上記(3)記載の製造方法により樹脂乳化液を得る工程、及び得られた樹脂乳化液中の乳化粒子を凝集、合一させる工程、を有する電子写真用トナーの製造方法、及び
(5)上記(4)記載の製造方法により得られる、電子写真用トナー、
を提供する。
本発明のトナー用マスターバッチについて説明する。
本発明のトナー用マスターバッチは、樹脂、着色剤及び可塑剤を含有し、トナー用に調製されたものである。本発明のトナー用マスターバッチは、上記本発明の課題を達成する観点から、好ましくは、着色剤が樹脂中に分散してなるものであり、より好ましくは、少なくとも樹脂、着色剤及び可塑剤を溶融混練して得られるものである。
本発明のトナー用マスターバッチに用いる樹脂は、後述のトナーの製造に用いられる結着樹脂と同種の樹脂であっても異種の樹脂であってもよいが、着色剤の分散性の観点から、同種の樹脂が好ましい。例えば結着樹脂がポリエステルを含有するものである場合は、マスターバッチの樹脂は、結着樹脂と同一あるいは異なる組成のポリエステルを含有するものであることが好ましい。本発明においては、上記樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
イエロー、マゼンタ、シアン等の着色剤がいずれも使用できる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料やアクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、チアゾール系等の各種染料を1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、本発明の課題を顕著に達成する観点から、マゼンタ顔料が好ましく用いられ、より好ましくはキナクリドン顔料であり、更に好ましくはジメチルキナクリドン顔料である。
マスターバッチ中の着色剤の含有量は、着色剤の分散性や、生産性の点から、10〜50重量%であることが好ましく、20〜40重量%がより好ましく、25〜35重量%が更に好ましい。また、着色剤は、マスターバッチ中の樹脂100重量部に対して、好ましくは14〜70重量部、より好ましくは28〜57重量部、更に好ましくは35〜50重量部含有される。
本発明においては、上記可塑剤を1種単独で用いることもできるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。マスターバッチ中の可塑剤の含有量は、溶融粘度の低減効果と乳化性の両立の点から、0.2〜2重量%であることが好ましく、0.5〜2重量%がより好ましく、1.0〜1.5重量%が更に好ましい。また、可塑剤は、マスターバッチ中の樹脂と顔料の合計100重量部に対して、0.2〜2重量部であることが好ましく、0.5〜2重量部がより好ましく、1.0〜1.5重量部が更に好ましい。
方法(1):乾燥した粉末状の着色剤、樹脂、可塑剤、及び必要に応じて水等の分散助剤を混合機又は混練機に仕込み、混合して着色剤、樹脂を湿潤し、加圧下又は常圧で加熱して着色剤、樹脂及び可塑剤を溶融混練した後、水分を常圧又は減圧下で蒸発させて乾燥除去する方法、
方法(2):乾燥した着色剤及び樹脂を加熱して樹脂を溶融させた後、水、可塑剤を添加して加圧下又は常圧で着色剤、樹脂及び可塑剤を溶融混練し、水分を常圧又は減圧下で蒸発させて乾燥除去する方法、
方法(3):着色剤のプレスケーキ(水性ペーストを含む)と樹脂を可塑剤とともに溶融混練して水性相の着色剤を樹脂相に移行させ、水分を除去する方法、
等が挙げられる。
ここで、着色剤のプレスケーキとは、着色剤の水分散液を適宜ろ過等により脱水したものをいう。着色剤のプレスケーキ中の固形分(着色剤)量は、20〜60重量%が好ましく、着色剤の樹脂中への分散性の観点から、プレスケーキが水性ペースト状となる20〜50重量%がより好ましい。
また、フラッシングマスターバッチの製造において、着色剤のプレスケーキと樹脂を混練する際には、さらに必要に応じて有機溶剤を使用することもできるが、本発明に用いられるフラッシングマスターバッチは、有機溶剤が実質的に使用されていないものであることが好ましい。
本発明においては、上記トナー用マスターバッチは、着色剤分散性と乳化性の両立の観点から、95℃におけるその溶融粘度が、好ましくは10,000〜100,000であり、更に好ましくは10,000〜80,000である。上記粘度の測定は、フローテスター(島津製作所、「CFT−500D」)を用い測定することができ、具体的には後述の方法で測定できる。
本発明のトナー用マスターバッチは、可塑剤を使用することにより、着色剤と、マスターバッチを形成する樹脂との相互作用を軽減することができる。これにより、このマスターバッチを用いてトナーを製造する際には、乳化時における乳化性を大幅に改善でき、粗大粒子の発生を低減できることから、乳化時の生産性及びトナーの画像濃度を著しく向上することができる。
次に、本発明のトナー用樹脂乳化液について説明する。
本発明のトナー用樹脂乳化液は、上記本発明のトナー用マスターバッチ及び結着樹脂を混合し、得られた混合物を水系媒体中に分散し乳化してなるものであり、95℃における前記マスターバッチの溶融粘度と、結着樹脂の溶融粘度の比(マスターバッチの粘度/結着樹脂の粘度)が0.1〜0.5であるものである。
本発明において用いられる結着樹脂には、トナーの定着性及び耐久性の観点から、ポリエステルが含有されることが好ましい。ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、定着性及び耐久性の観点から、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、実質100重量%であることが更に好ましい。
ポリエステル以外の結着樹脂としては、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
このアルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このカルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、ジオクチル酸錫等の錫化合物やチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等のエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、0.1〜0.6重量部がより好ましい。
トナーの耐久性の観点から、ポリエステルの数平均分子量は1,000〜10.000が好ましく、2,000〜8,000がより好ましい。
また、生産性やトナーの耐久性の点から、95℃における結着樹脂の溶融粘度は、好ましくは50,000〜500,000であり、より好ましくは100,000〜500,0000である。
さらに、本発明のトナー用結着樹脂は、定着性及び耐久性の観点から、軟化点が異なる2種類のポリエステルを含有することができ、一方のポリエステル(a)の軟化点は70以上115℃未満が好ましく、他方のポリエステル(b)の軟化点のポリエステルの軟化点は115℃以上165℃以下が好ましい。
また、ポリエステル(a)の溶融粘度は好ましくは10,000以上100,000未満であり、より好ましくは15,000以上80,000以下であり、更に好ましくは20,000以上50,000以下である。ポリエステル(b)の溶融粘度は好ましくは100,000以上1,000,000以下であり、より好ましくは200,000以上800,000以下であり、更に好ましくは300,000以上6000,000以下である。
ポリエステル(a)とポリエステル(b)の重量比(a/b)は、10/90〜90/10が好ましく、50/50〜90/10がより好ましい。
水系媒体は水を主成分とするものである。環境性の点から、水系媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。
水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒が使用できる。本発明では、実質的に有機溶剤を用いることなく、水のみを用いて結着樹脂を微粒化させることが好ましい。
本発明のトナー用樹脂乳化液は、高い乳化液濃度を有するものである。樹脂乳化液中における樹脂粒子は、少なくとも前記マスターバッチ及び結着樹脂、さらに必要に応じて着色剤、離型剤、荷電制御剤などの添加剤を含有することができる。
着色剤の含有量は、前記マスターバッチ中の着色剤との合計量として、マスターバッチ中の樹脂を含む結着樹脂100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、1〜10重量部がより好ましい。
本発明においては、95℃における前記マスターバッチの溶融粘度と、マスターバッチ中の樹脂を除く結着樹脂の溶融粘度の比(マスターバッチの粘度/結着樹脂の粘度)は、乳化時における優れた乳化性及び高い乳化液濃度を達成する観点から0.1〜0.5であり、好ましくは0.15〜0.45であり、更に好ましくは0.15〜0.4である。
離型剤の含有量は、添加効果及び帯電性への悪影響を考慮して、マスターバッチ中の樹脂を含む結着樹脂100重量部に対して、通常1〜20重量部程度、好ましくは2〜15重量部である。
荷電制御剤の含有量は、マスターバッチ中の樹脂を含む結着樹脂100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、0.01〜5重量部がより好ましい。
混練物が加熱ロールに張りつきやすくするために、加熱ロールの温度は結着樹脂の軟化点よりも高く、冷却ロールの温度は結着樹脂の軟化点よりも低く調整されているのが好ましい。具体的には、加熱ロールの温度は80〜200℃が好ましく、冷却ロールの温度は20〜140℃が好ましい。
なお、ロールの温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができ、各ロールには、ロール内部を2つ以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよい。
加熱ロール、特に原料投入側の温度は、結着樹脂の軟化点よりも高いことが好ましく、該軟化点よりも0〜80℃高いことがより好ましく、5〜50℃高いことが更に好ましい。また、冷却ロールの温度は、結着樹脂の軟化点よりも低いことが好ましく、軟化点よりも、0〜80℃低いことがより好ましく、40〜80℃低いことが特に好ましい。
また、前記カチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
この乳化処理においては、マスターバッチ及び結着樹脂にアルカリ水溶液を加え、マスターバッチ、結着樹脂及び必要に応じて用いられる添加剤を分散させることが好ましい。
前記アルカリ水溶液は1〜20重量%の濃度のものが好ましく、1〜10重量%の濃度のものがより好ましく、1.5〜7.5重量%の濃度のものが更に好ましい。用いるアルカリについては、ポリエステルが塩になったときその界面活性能を高めるようなアルカリを用いることが好ましい。例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの1価のアルカリ金属の水酸化物、アルカノールアミン等の有機アミン化合物などが挙げられる。
分散後、結着樹脂のガラス転移点以上の温度で中和させた後、ガラス転移点以上の温度で水系媒体を添加することによって、転相乳化させる事により、樹脂分散液を製造することができる。
当該樹脂分散液の製造に用いる水系媒体としては、前述の水系媒体と同じものを挙げることができる。
水系媒体の量は、後の凝集処理で均一な凝集粒子を得る観点から、結着樹脂100重量部に対して100〜2000重量部が好ましく、150〜1500重量部がより好ましい。
このようにして得られた樹脂乳化液における樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は、後の凝集処理での均一な凝集を行うために、好ましくは0.02〜2μm、より好ましくは0.05〜1μm、さらに好ましくは0.05〜0.6μmである。ここで「体積中位粒径(D50)」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。その測定方法は後述の通りである。
本発明の電子写真用トナーは、上記のようにして得られた樹脂乳化液中の乳化粒子を、凝集、合一させて得られる。
凝集工程
樹脂乳化液中の固形分濃度は、本発明のトナー用マスターバッチの使用により、また均一な凝集を起こさせるために、5〜50重量%が好ましく、より好ましくは5〜43重量%、さらに好ましくは5〜35重量%である。
また、系内のpHは、乳化後の分散安定性と結着樹脂等の微粒子の凝集性とを両立させる観点から、25℃において2〜10であることが好ましく、より好ましくは3〜9、さらに好ましくは4〜8である。
前記凝集剤の使用量は、トナーの耐環境特性の観点から、結着樹脂100重量部に対して30重量部以下が好ましく、より好ましくは25重量部以下である。
前記凝集剤の添加は、均一な凝集を行うために、凝集工程系内のpHを調整した後で、かつ樹脂のガラス転移点以下の温度、好ましくはガラス転移点―10℃以下の温度で行うのが望ましい。また、凝集剤は水系媒体溶液にして添加することができる。さらに、凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。
高画質化の観点から、凝集粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmであることが好ましく、2〜10μmがより好ましく、2〜9μmが更に好ましい。
この工程は、前記凝集工程で得られた凝集粒子を合一させる工程である。
本発明においては、前記凝集工程で得られた凝集粒子を、中和した結着樹脂のガラス転移点以上に加熱して、合一させる。このときの加熱温度は、目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び凝集粒子の融着性の観点から、結着樹脂のガラス転移点以上、軟化点+20℃以下が好ましく、より好ましくはガラス転移点+5℃以上、軟化点+15℃以下であり、さらに好ましくはガラス転移点+10℃以上、軟化点+10℃以下である。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度が好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー粒子の乾燥後の水分含量は、トナーの帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
高画質化の観点から、合一粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmであることが好ましく、2〜10μmがより好ましく、3〜9μmが更に好ましい。
本発明の電子写真用トナーは、上記マスターバッチあるいは樹脂乳化液を使用することにより、画像濃度を著しく向上せしめたものである。
トナーの軟化点は、低温定着性の観点から、60〜140℃であることが好ましく、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃である。また、ガラス転移点は、耐久性の観点から、30〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。なお、軟化点及びガラス転移点の測定方法は、樹脂におけるこれらの測定方法に準ずる。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。ただし、外添剤として疎水性シリカを用いる場合は、外添剤による処理前のトナー100重量部に対して、疎水性シリカを1〜3重量部用いることで、前記所望の効果が得られる。
本発明により得られる電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒は、エタノールとエーテルの混合溶媒を、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に代えて行った。
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測される場合にはそのピークの温度を、また軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度を、ガラス転移点として読み取る。なお、ガラス転移点は、樹脂の非晶質部分に特有の物性であり、一般には非晶質ポリエステルで観測されるが、結晶性ポリエステルでも非晶質部分が存在する場合には観測されることがある。
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、結着樹脂をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業(株)製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、クロロホルムを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
上記、[軟化点の測定]と同等の手法により、各温度による溶融粘度を測定した。
[乳化粒子、凝集粒子及び合一粒子の粒径]
レーザー回折型粒径測定機(HORIBA製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定する。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mlに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
厚紙に市販のプリンタ(OKI製、「ML5400」)を用いて画像を出力し、該画像を測色計(Gretag−Macbeth社製、「SpectroEye」)を用いて、光射条件を標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DIN NBにおいて絶対白基準で測色し、画像濃度を測定した。
[樹脂乳化液の濃度評価]
樹脂乳化液を測色計(Gretag−Macbeth社製 SpectroEye)を用いて、光射条件を標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DIN NBにおいて絶対白基準で測色し、反射濃度を測定する。
下記表1記載の原料モノマーのうち、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、テレフタル酸及び、ジブチル錫オキサイドを窒素導入管、脱水管、攪拌器および熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧230℃で5時間反応させ、更に減圧下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸、ハイドロキノンを加え、5時間反応させた後に更に減圧下で反応させ、表1に示す物性のポリエステル樹脂Aを得た。
製造例1と同様にして、下記表1記載の原料モノマーのち、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、およびジブチルスズオキサイドを、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、8.0kPaにて1時間反応を行った。その後、210℃に冷却し、無水トリメリット酸を投入し、1時間常圧で反応させた後、8.0kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、表1に示す物性のポリエステル樹脂Bを得た。
下記表1に示す原料モノマーを用いて、製造例1と同様にして、表1に示す物性のポリエステル樹脂Cを得た。
表2に示す組成比で、製造例3で得られたポリエステル樹脂C、大日精化製ジメチルキナクリドンの顔料のプレスケーキ(レッドNo.36:固形分25.8重量%)及び可塑剤として非イオン性界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)をヘンシェルミキサーに仕込み5分間混合し湿潤させた。次にこの混合物をニーダー型ミキサーに仕込み徐々に加熱した。ほぼ90〜110℃にて樹脂が溶融し、水が混在した状態で混練し、水を蒸発させながら20分間90〜110℃で混練を続けた。
更に120℃にて混練を続け残留している水分を蒸発させ、脱水乾燥させた。更に120〜130℃にて10分間混練を続けた。冷却後更に加熱三本ロールにより混練し、冷却、粗粉砕して上記マゼンタ顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗粉砕品(フラッシングマスター;マスターバッチA)を得た。これをスライドグラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、いずれも顔料粒子は微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。得られたマスターバッチAについて95℃の溶融粘度を測定した。結果を表2に示す。
表2に示す組成比で、可塑剤である非イオン性界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、マゼンタ顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗粉砕品(フラッシングマスターマスターバッチB)を得た。得られたマスターバッチBについて95℃の溶融粘度を測定した。結果を表2に示す。
表3に示すように5リットル容のステンレス釜に、ポリエステル樹脂とマスターバッチ及び非イオン性界面活性剤及び、中和剤を加え、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、95℃で分散させた。内容物を96℃に達した後2時間攪拌した後、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水を滴下し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂粒子乳化液を得た。得られた各樹脂粒子乳化液についての各性状を表3に示す。
[電子写真用トナーの製造]
2リットル容の容器において、表4に示すように、実施例2,3、及び比較例2で調製した着色剤含有樹脂乳化液の各々400gを各々室温下にて混合した。次に、カイ型の攪拌機で100r/minで攪拌しながら、この混合物に凝集剤として硫酸アンモニウム(分子量:132.14)27gを301gの脱イオン水に溶解させた水溶液を室温で15分かけて滴下した。その後、混合分散液を3時間かけて55℃まで昇熱し、更に55℃で保持し、コールターマルチサイザーIIでの体積中位粒径(D50)が6.0〜8.0μmになるまで凝集を行った。アニオン性活性剤(花王 エマールE-27)28gをイオン交換水を320mLで溶解させた水溶液を添加し、更に30分間で85℃まで昇温後、85℃に固定し、この保持工程中に形状が凝集粒子から合一粒子へ変化することを確認した。
次いで、室温まで徐冷し、吸引ろ過工程、洗浄工程及び乾燥工程を経て着色樹脂微粒子粉末を得た。得られた着色樹脂微粒子の粉末100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(ワッカーケミー製、「TS530」、1次個数平均粒子径:8nm)をヘンシェルミキサーで外添し、電子写真用トナーを得た。得られたトナーについての画像評価結果を表4に示す。
Claims (10)
- 樹脂、着色剤及び可塑剤を含有してなるトナー用マスターバッチ。
- 少なくとも樹脂、着色剤及び可塑剤を溶融混練して得られる、請求項1記載のトナー用マスターバッチ。
- フラッシングマスターバッチである、請求項1又は2に記載のトナー用マスターバッチ。
- 可塑剤が非イオン性界面活性剤である請求項1〜3のいずれかに記載のトナー用マスターバッチ。
- 可塑剤を0.2〜2重量%含有する、請求項1〜4のいずれかに記載のトナー用マスターバッチ。
- 着色剤がキナクリドン顔料である、請求項1〜5のいずれかに記載のトナー用マスターバッチ。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のマスターバッチ及び結着樹脂を水系媒体中に分散し乳化してなるトナー用樹脂乳化液。
- 少なくとも請求項1〜6のいずれかに記載のマスターバッチ及び結着樹脂を混合する工程、及び得られた混合物を水系媒体中に分散し乳化する工程、を有する樹脂乳化液の製造方法であって、フローテスターによる95℃における前記マスターバッチの溶融粘度と結着樹脂の溶融粘度の比(マスターバッチの粘度/結着樹脂の粘度)が0.1〜0.5であるトナー用樹脂乳化液の製造方法。
- 請求項8記載の製造方法により樹脂乳化液を得る工程、及び得られた樹脂乳化液中の乳化粒子を凝集、合一させる工程、を有する電子写真用トナーの製造方法。
- 請求項9記載の製造方法により得られる、電子写真用トナー。
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