JP2008066933A - 画像色判定装置、画像色判定方法及びプログラム - Google Patents

Abstract

【課題】画像が、単色カラー画像、２色カラー画像、フルカラー画像及びモノクロ画像のいずれであるかを正確に判定できる技術を提供する。
【解決手段】複合機では、ブロック処理部６４により、対象画像を区分して得られる複数のブロックのそれぞれが示す色が、Ｃ，Ｍ，Ｙ，Ｒ，Ｇ，Ｂ，Ｋの７つの判定色のうちから判定される。次に、その判定結果に基づいて、ブロック計数部６８により、７つの判定色のそれぞれに関して該判定色を示すブロックの数が計数される。そして、その計数結果に基づいて、画像色判定部６９により、対象画像が、単色カラー画像、２色カラー画像、フルカラー画像及びモノクロ画像のいずれであるかが判定される。対象画像を区分して得られる複数のブロックごとに色を判定するため、対象画像の種類の判定に際してノイズの影響を低減でき、正確な判定を行うことができる。
【選択図】図３

Description

本発明は、画像の色の判定を行う技術に関する。

一般に、カラー印刷機能を有する装置においては、印刷用紙をカラーで印刷するカラーモードと、モノクロ（無彩色の階調表現のみ）で印刷するモノクロモードとを備えており、対象となる画像はいずれかの処理モードで印刷されるようになっている。通常、処理モードはユーザにより選択されるが、モノクロ画像がカラーモードで印刷されるなど、選択ミスにより実際の画像の色に適合しない処理モードで印刷がなされることがある。このため、画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを、自動的に判定する技術が従来より提案されている（例えば、特許文献１及び２参照。）。特に、特許文献２には、画像を複数のブロックに区分し、各ブロックに含まれる色を代表するブロック色を判定し、画像中におけるブロック色の数を計数した結果に基づいて、当該画像がカラー画像かモノクロ画像かを判定する技術が提案されている。

特開１０−２１０３１４号公報 特許第３０６４８９６号公報

ところで、一般にカラーで印刷するカラーモードにおいては、Ｃ，Ｍ，Ｙ，Ｋの４色のトナーを利用して印刷がなされる。しかしながら、印刷対象となる画像が、有彩色の１色に対応する色成分のみで構成された単色カラー画像、あるいは、２色に対応する色成分のみで構成された２色カラー画像である場合においても、４色すべてのトナーを使用して印刷を行うことは非効率である。

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、画像が、単色カラー画像、２色カラー画像、フルカラー画像及びモノクロ画像のいずれであるかを正確に判定できる技術を提供することを第１の目的とする。

また、本発明は、有彩色の色材が無駄に使用されることがない技術を提供することを第２の目的とする。

上記課題を解決するため、請求項１の発明は、対象画像の色に係る判定を行う画像色判定装置であって、前記対象画像を区分して得られる複数のブロックのそれぞれが示す色を、所定の複数の判定色のうちから判定するブロック判定手段と、前記ブロック判定手段の判定結果に基づいて、前記複数の判定色のそれぞれに関して該判定色を示す前記ブロックの数を計数するブロック計数手段と、前記ブロック計数手段の計数結果に基づいて、前記対象画像が、単色カラー画像、２色カラー画像、フルカラー画像及びモノクロ画像のいずれであるかを判定する画像判定手段と、を備えている。

また、請求項２の発明は、請求項１に記載の画像色判定装置において、前記画像判定手段は、前記複数の判定色のそれぞれに関して、該判定色を示す前記ブロックの数が所定の第１閾値を超えたとき、前記対象画像に該判定色が存在すると判定する。

また、請求項３の発明は、請求項２に記載の画像色判定装置において、前記画像判定手段は、前記複数の判定色のうちの有彩色の少なくとも１つに関して、該判定色を示す前記ブロックの数が前記第１閾値よりも高い所定の第２閾値を超えたとき、前記対象画像を前記フルカラー画像と判定する。

また、請求項４の発明は、請求項２または３に記載の画像色判定装置において、前記画像判定手段の判定結果に基づいて複数の色の色材を選択的に使用する印刷手段、をさらに備えている。

また、請求項５の発明は、請求項４に記載の画像色判定装置において、前記画像判定手段の判定において、前記対象画像に前記複数の判定色のうちの有彩色が１つのみ存在し、かつ、黒色が存在すると判定されたとき、前記印刷手段は、黒色の色材のみを使用し、前記対象画像中の前記有彩色に対応する部分を強調して印刷する。

また、請求項６の発明は、請求項１ないし６のいずれかに記載の画像色判定装置において、原稿を読み取って画像を取得する読取手段と、前記読取手段によって取得された画像の解像度を変換する変換手段、をさらに備え、前記対象画像は、前記変換手段による解像度の変換前の画像である。

また、請求項７の発明は、請求項１ないし６のいずれかに記載の画像色判定装置において、原稿を読み取って記録用紙に複写する複写手段と、前記複写手段による複写の変倍率を設定する設定手段と、前記対象画像中の複数の画素ごとに値を平均して単位データを得る平均手段と、をさらに備え、前記平均手段は、前記変倍率に応じて平均対象とする画素数を変更する。

また、請求項８の発明は、対象画像の色に係る判定を行う画像色判定装置であって、前記対象画像に含まれる要素の色に基づいて、所定の複数の判定色のそれぞれに係る前記要素の数を計数する計数手段と、前記計数手段の計数結果に基づいて、前記複数の判定色のうち前記対象画像に存在する色を判定する画像判定手段と、前記対象画像をカラー及びモノクロのいずれかで出力する出力手段と、を備え、前記出力手段は、前記画像判定手段が前記対象画像に２色のみ存在すると判定したとき、前記対象画像をモノクロで、かつ、前記２色のうちの一方に対応する部分を強調して出力する。

また、請求項９の発明は、請求項８に記載の画像色判定装置において、前記出力手段は、前記対象画像に前記複数の判定色のうちの有彩色が１つと黒色とが存在すると判定したとき、前記対象画像をモノクロで、かつ、前記有彩色に対応する部分を強調して出力する。

また、請求項１０の発明は、対象画像の色に係る判定を行う画像色判定方法であって、（ａ）前記対象画像を区分して得られる複数のブロックのそれぞれが示す色を、所定の複数の判定色のうちから判定する工程と、（ｂ）前記（ａ）工程の判定結果に基づいて、前記複数の判定色のそれぞれに関して該判定色を示す前記ブロックの数を計数する工程と、（ｃ）前記（ｂ）工程の計数結果に基づいて、前記対象画像が、単色カラー画像、２色カラー画像、フルカラー画像及びモノクロ画像のいずれであるかを判定する工程と、を備えている。

また、請求項１１の発明は、対象画像の色に係る判定を行う画像色判定方法であって、（ａ）前記対象画像に含まれる要素の色に基づいて、所定の複数の判定色のそれぞれに係る前記要素の数を計数する工程と、（ｂ）前記（ａ）工程の計数結果に基づいて、前記複数の判定色のうち前記対象画像に存在する色を判定する工程と、（ｃ）前記対象画像をカラー及びモノクロのいずれかで出力する工程と、を備え、前記（ｃ）工程では、前記（ｂ）工程で前記対象画像に２色のみ存在すると判定されたとき、前記対象画像をモノクロで、かつ、前記２色のうちの一方に対応する部分を強調して出力する。

また、請求項１２の発明は、対象画像の色に係る判定を行うプログラムであって、コンピュータに、（ａ）前記対象画像を区分して得られる複数のブロックのそれぞれが示す色を、所定の複数の判定色のうちから判定する工程と、（ｂ）前記（ａ）工程の判定結果に基づいて、前記複数の判定色のそれぞれに関して該判定色を示す前記ブロックの数を計数する工程と、（ｃ）前記（ｂ）工程の計数結果に基づいて、前記対象画像が、単色カラー画像、２色カラー画像、フルカラー画像及びモノクロ画像のいずれであるかを判定する工程と、を実行させる。

また、請求項１３の発明は、対象画像の色に係る判定を行うプログラムであって、コンピュータに、（ａ）前記対象画像に含まれる要素の色に基づいて、所定の複数の判定色のそれぞれに係る前記要素の数を計数する工程と、（ｂ）前記（ａ）工程の計数結果に基づいて、前記複数の判定色のうち前記対象画像に存在する色を判定する工程と、（ｃ）前記対象画像をカラー及びモノクロのいずれかで出力する工程と、を実行させ、前記（ｃ）工程では、前記（ｂ）工程で前記対象画像に２色のみ存在すると判定されたとき、前記対象画像をモノクロで、かつ、前記２色のうちの一方に対応する部分を強調して出力する。

請求項１から７、１０及び１２の発明によれば、対象画像を区分して得られる複数のブロックごとに色を判定するため、対象画像の種類の判定に際してノイズの影響を低減できる。その結果、画像が、単色カラー画像、２色カラー画像、フルカラー画像及びモノクロ画像のいずれであるかを正確に判定できる。

また、特に請求項２の発明によれば、対象画像に存在する色を容易に判定できる。

また、特に請求項３の発明によれば、画像全体においてある比較的広い領域を占める場合はフルカラーと判断することで、その後にユーザにとって違和感のない処理を行うことができる。

また、特に請求項４の発明によれば、色材が無駄に使用されることがない。

また、特に請求項５の発明によれば、有彩色の色材が無駄に使用されることがない。

また、請求項８，９，１１及び１３の発明によれば、有彩色の色材が無駄に使用されることがない。

以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。

＜１．装置構成＞
図１は、本発明の第１の実施の形態に係る装置である複合機１の外観構成を示す斜視図である。この複合機１は、「ＭＦＰ装置」とも呼ばれ、ファクシミリ機能、コピー機能、スキャン機能、プリント機能などの複数の機能を有する装置として構成されている。さらに複合機１は、処理の対象となる画像の色に係る判定を行う画像色判定装置としての機能も有している。

ファクシミリ機能は、公衆電話交換網やネットワークを介して相手先装置との間で画像を送受信する機能である。コピー機能は、原稿を読み取って画像を取得し、その画像を記録用紙に印刷して原稿の内容を複写する機能である。また、スキャン機能は原稿を読み取って画像を取得し、その画像を内部に記憶する機能である。さらに、プリント機能は、画像を記録用紙に印刷する機能である。

図に示すように、複合機１は、本体部１０と、本体部１０に対して閉開可能でＡＤＦ（自動原稿給紙装置）を有するブックカバー３１とを備えている。また、本体部１０の上部の前面側には、ユーザインターフェイスとなる操作パネル２が設けられている。操作パネル２は、ユーザが操作可能な複数のスイッチで構成される操作部２１と、各種情報を表示する液晶ディスプレイなどで構成される表示部２２とを備えている。表示部２２は、タッチパネル機能を有しており、ユーザの操作を受け付ける機能の一部を担うようにもなっている。すなわち、各種コマンドやデータの入力などのユーザ操作は、操作パネル２の全体により受け付けられる。操作パネル２では、例えば、コピー機能の変倍率などをユーザが所望に設定可能である。

また、複合機１の本体部１０の上部には原稿を読み取るためのスキャナ部３が設けられ、本体部１０の内部には記録用紙に印刷を行うプリンタ部４が設けられている。

スキャナ部３は、ファクシミリ機能、コピー機能及びスキャン機能それぞれにおいて、原稿を読み取ってその原稿の内容を示す画像を取得する機能を担うものである。スキャナ部３には、ＣＣＤなどで構成されるラインセンサが設けられている。スキャナ部３の読取方式には、ＦＢＳ読取方式とＡＤＦ読取方式とがある。ＦＢＳ読取方式は、ブックカバー３１の下のコンタクトガラス上に載置された原稿の内容を、ラインセンサで読み取る方式である。一方、ＡＤＦ読取方式は、セットされた複数枚の原稿より構成される原稿束を、ＡＤＦにより１枚ずつ自動的に取り込んで、連続的にラインセンサで読み取る方式である。また、ＡＤＦ読取方式には、光学系を静止させつつ原稿を移動させる方式（シートスルー方式）と、原稿を静止させつつ光学系を移動させる方式とがある。後者の場合、１枚ずつ取り込んだ原稿をコンタクトガラス上に一旦静止させて光学系を移動させながら読み取った後にその原稿を排出し、再度、次の原稿を取り込んでコンタクトガラス上に静止させることになる。ラインセンサとしては、Ｒ（レッド），Ｇ（グリーン），Ｂ（ブルー）にそれぞれ対応するものが設けられている。これにより、スキャナ部３では各画素がＲＧＢで表現される画像が取得される。ＲＧＢの３つのラインセンサの相互の間隔は固定されており、例えば６００ｄｐｉの解像度において４ライン分に相当する間隔がある。

プリンタ部４は、電子写真方式の印刷機構などで構成され、印刷対象となる画像に基づいて記録用紙に印刷を行う。記録用紙は、プリンタ部４の下部に設けられる給紙部４１から供給される。プリンタ部４では、印刷に用いる色材として、Ｃ（シアン），Ｍ（マゼンダ），Ｙ（イエロー），Ｋ（ブラック／黒色）の４色のトナーが利用される。

図２は、複合機１の内部構成を模式的に示すブロック図である。図に示すように、複合機１は、装置制御を担うコンピュータを内蔵している。より具体的には、複合機１は、ＣＰＵ１１、ＲＯＭ１２及びＲＡＭ１３を備えている。ＲＯＭ１２にはファームウェアとしてのプログラム９が格納されており、このプログラム９に従って、主制御部としてのＣＰＵ１１が演算処理を行うことにより、複合機１の各部を制御するための各種機能が実現される。ＲＡＭ１３は、ＣＰＵ１１による演算処理における作業領域として利用される。

このプログラム９は、予めＲＯＭ１２内に格納されるものであるが、プログラムを記録した記録媒体からの読み取りや、ネットワーク９２を介した外部サーバからのダウンロードなどにより、新たなプログラム９をＲＯＭ１２内に格納することも可能となっている。

ＣＰＵ１１は、バスライン１９を介して、上述した操作パネル２、スキャナ部３、及び、プリンタ部４等の複合機１の各部に電気的に接続されている。これにより、これら各部はＣＰＵ１１によって制御される。また、操作パネル２に受け付けられたユーザ操作は信号としてＣＰＵ１１に入力され、これにより複合機１はユーザ操作に応じた動作を行う。

また、複合機１は、画像メモリ１４と、画像処理部１５と、ＮＣＵ１６と、モデム１７と、データ通信部１８とをさらに備えている。

画像メモリ１４は、ハードディスクやフラッシュメモリなどで構成される不揮発性の記憶装置である。画像メモリ１４には、スキャナ部３で得られた画像や、ファクシミリ通信によって受信した画像などが記憶される。

画像処理部１５は、スキャナ部３で得られた画像やプリンタ部４により印刷される画像など、処理の対象となる画像に対して所定の処理を行うハードウェア回路である。

ＮＣＵ１６及びモデム１７は、公衆電話交換網９１を介したファクシミリ機能を実現する処理部である。すなわち、ＮＣＵ１６は、アナログの公衆電話交換網の直流ループの閉結及び開放などの動作を行うハードウェア回路であり、必要に応じてモデム１７を公衆電話交換網に接続する。また、モデム１７は、ファクシミリ通信用に画像データの変調及び復調を行う。

また、データ通信部１８は、インターネットやＬＡＮなどのネットワーク９２を介して通信を行うインターフェイスである。このデータ通信部１８により、ネットワーク９２に接続された外部装置とのデータ通信機能や、インターネットファクシミリ装置としての通信機能が実現される。

これらの画像メモリ１４、画像処理部１５、ＮＣＵ１６、モデム１７、及び、データ通信部１８の各部も、バスライン１９を介してＣＰＵ１１に電気的に接続されている。このため、これら各部もＣＰＵ１１の制御下で動作する。

＜２．基本動作＞
図３は、複合機１のコピー機能の動作に関連する処理部を示すブロック図である。図中のガンマ補正部５１、解像度変換部５２、色空間変換部５３及び印刷処理部５４は、ハードウェア回路である画像処理部１５が有する機能を処理部として模式的に示している。また、図中のモード選択部６０は、ＣＰＵ１１がプログラム９に従って演算処理を行うことにより、ソフトウェア的に実現される機能を処理部として模式的に示している。

コピー機能の動作が実行される場合は、まず、スキャナ部３により原稿の読み取りがなされ、各画素がＲＧＢで表現される画像が取得される。取得された画像は、画像処理部１５に入力され、まず、ガンマ補正部５１によりガンマ補正がなされ、次に、解像度変換部５２により、操作パネル２を介してユーザが設定した変倍率に応じた解像度に必要に応じて変換される。続いて、画像は色空間変換部５３に入力され、各画素の値がＲＧＢから例えばＹＣｒＣｂに色空間変換される。これらの処理がなされた画像は、一旦、画像メモリ１４に記憶される。

記憶された画像は、さらに画像処理部１５に入力され、印刷処理部５４によりプリンタ部４が印刷可能な形式の印刷用データに変換される。そして、印刷用データに基づいてプリンタ部４において記録用紙に印刷され、原稿の複写がなされることになる。

複合機１では、このようなコピー機能の印刷に係る処理モードとして「フルカラーモード」、「２色カラーモード」、「単色カラーモード」及び「モノクロモード」を有している。具体的には、印刷処理部５４の処理により、「フルカラーモード」のときはフルカラー画像の印刷、「２色カラーモード」のときは２色カラー画像の印刷、「単色カラーモード」のときは単色カラー画像の印刷、「モノクロモード」のときはモノクロ画像の印刷がそれぞれなされる。ここで、単色カラー画像は、有彩色の１色相の階調を有する画像（有彩色の１色に対応する色成分で構成された画像）である。また、２色カラー画像は、２つのタイプがある。一方のタイプの２色カラー画像は、有彩色の１色相と無彩色との階調を有する画像（有彩色の１色に対応する色成分と黒色成分とで構成された画像）である。他方のタイプの２色カラー画像は、有彩色の２色相の階調を有する画像（有彩色の２色に対応する色成分で構成された画像）である。有彩色の１色相は、ＣＭＹのトナーのうち、「いずれか１色」あるいは「いずれか２色」を選択的に使用することで表現可能である。また、無彩色は、Ｋ（黒色）のトナーを使用することで表現可能である。

このような処理モードは、モード選択部６０により選択される。コピー機能の動作実行時に処理の対象となる画像（すなわち、スキャナ部３により得られた画像）は、画像処理部１５とともにモード選択部６０にも入力される。モード選択部６０は、このようにして入力された画像がフルカラー画像、２色カラー画像、単色カラー画像、及び、モノクロ画像のいずれの種類であるかを判定する。そして、モード選択部６０は、その判定結果に基づいて処理モードを選択し、その選択した処理モードを印刷処理部５４に入力することになる。

図に示すように、モード選択部６０は、平均部６１、ガンマ補正部６２、色空間変換部６３、ブロック処理部６４、ブロック計数部６８、及び、画像色判定部６９を備えている。また、ブロック処理部６４は、単位データ判定部６５、単位データ計数部６６、及び、ブロック色判定部６７を備えている。これらの機能により、処理の対象となる画像の種類を判定する画像判定処理が実現される。

＜３．画像判定処理＞
図４及び図５は、この画像判定処理の流れを示す図である。以下、図３ないし図５を参照して、画像判定処理の流れについて説明する。なお、以下では処理の対象となる画像を「対象画像」という。

まず、対象画像の色の判定を行う前の判定前処理として、対象画像に対して、平均部６１による平均化処理、ガンマ補正部６２によるガンマ補正処理、及び、色空間変換部６３による色空間変換処理がなされる（ステップＳ１１）。

平均部６１では、対象画像中の互いに隣接する縦（副走査方向）２×横（主走査方向）２の４画素が一つの画素集合とされる。そして、対象画像に含まれる画素集合の全てに関して画素の値が平均される。これにより画素集合ごとに得られる平均値は、以降の処理において、対象画像において一つの色を示す単位の要素とされる。以下、この画素集合ごとの平均値を「単位データ」という。単位データは、ＲＧＢで表現された画素の値の平均値であるため、ＲＧＢで表現されたものとなる。

なお、このような平均化処理を行わずに、一つの色を示す単位データとして対象画像の画素をそのまま用いてもよい。ただし、単位データとして画素でなく画素集合ごとの平均値を用いれば、スキャナ部３におけるラインセンサ等の微小な機械的誤差に起因した偽色や、コピー機能の変倍率に起因した偽色を補正することができ、以降の判定の精度を向上できる点で好ましい。変倍率を変更した場合は、画像の副走査方向の解像度を変更するために、副走査方向の読取速度（光学系と原稿との相対移動速度（代表的には、光学系を搭載したキャリッジの移動速度））も変更される。したがって例えば、解像度が等倍の場合に６００ｄｐｉであれば７０％縮小の場合は４２０ｄｐｉとなり、ラインセンサの間隔は、６００ｄｐｉの場合に４ライン分に相当するときには、４２０ｄｐｉの場合は２．８ライン分に相当することになる。このように２．８ライン分の差が存在する場合、読取に関して３ライン分の遅延を行ったとしても、原稿上の読取位置に関して０．２ライン分のずれが生じ、このずれにより偽色が生じる。平均化処理により、このような変倍率に起因した偽色の発生も防止できることになる。

平均化処理がなされた対象画像は、単位データを対象にガンマ補正部６２によりガンマ補正がなされる。その後、色空間変換部６３により、各単位データの値がＲＧＢから例えばＬａｂ（明度Ｌと色度ａ，ｂ）に色空間変換される。

これらの判定前処理がなされた対象画像は、次に、ブロック処理部６４に入力される。ブロック処理部６４では、対象画像を区分して得られる複数のブロックそれぞれを対象にし、ステップＳ１３〜Ｓ１５に示す処理がブロックごとになされる。複数のブロックのそれぞれは、対象画像を形成する要素となる。

本実施の形態では、対象画像における例えば縦３０×横３０の計９００個の単位データが一つのブロックとされる。この一つのブロックは、スキャナ部３において例えば６００ｄｐｉで読み取りを行って縦２×横２の４画素を平均して単位データを得た場合において、原稿中の縦５ｍｍ×横５ｍｍの領域に相当する。したがって、例えばＡ４の原稿のサイズは２１０ｍｍ×２９７ｍｍであるため、Ａ４の原稿から得られた対象画像は４２個×６０個の計２５２０個のブロックに区分されることになる。

ブロック処理部６４による処理では、まず、対象画像に含まれる複数のブロックから一つのブロックが注目ブロックとして選択される。以降、この注目ブロックが処理の対象とされる（ステップＳ１２）。

次に、単位データ判定部６５により、注目ブロックに含まれる９００個の単位データのそれぞれに関して、単位データが示す一つの色が、有彩色の６色及びＫ（黒色）の７つの判定色のうちから判定される。本実施の形態では、有彩色の判定色として、色の３原色たるＣ，Ｍ，Ｙと、光の３原色たるＲ，Ｇ，Ｂとの６色が採用されている。この単位データの色の判定手法については後に詳述する（ステップＳ１３）。

次に、その判定結果に基づいて、単位データ計数部６６により、７つの判定色のそれぞれに関してその判定色を示す単位データの数が計数される。すなわち、Ｃを示す単位データの数、Ｍを示す単位データの数、Ｙを示す単位データの数、Ｒを示す単位データの数、Ｇを示す単位データの数、Ｂを示す単位データの数、及び、Ｋを示す単位データの数がそれぞれ導出される（ステップＳ１４）。

次に、その計数結果に基づいて、ブロック色判定部６７により、注目ブロックが示す色が判定される。具体的には、７つの判定色のそれぞれに関して、その判定色を示す単位データの数と所定の閾値（以下、「ブロック判定閾値」という。）とが比較される。このブロック判定閾値は、予めＲＯＭ１２やＲＡＭ１３などに記憶されるものであり、判定色ごとに固有の値であることが望ましい。

この比較により、単位データの数がブロック判定閾値を超える判定色があれば、その判定色が注目ブロックが示す色として判定される。したがって、７つの判定色のうちの一つの色のみが注目ブロックが示す色として判定される場面もあり、また、複数の色が注目ブロックが示す色として判定される場面もある。例えば、Ｃに係る単位データの数のみがブロック判定閾値を超え、他の判定色に係る単位データの数がブロック判定閾値以下のときには、注目ブロックが示す色はＣの１色であると判定される。一方、ＣとＹとＫとに係る単位データの数がそれぞれブロック判定閾値を超え、他の判定色に係る単位データの数がブロック判定閾値以下のときには、注目ブロックが示す色はＣ，Ｙ及びＫの３色であると判定される。そして、その判定結果を示すように、７つの判定色それぞれに対応する７つの色フラグが設定される。この色フラグには、注目ブロックが、対応する色を示すときは「１」、対応する色を示さないときは「０」が設定される（ステップＳ１５）。

このようにして一の注目ブロックに関して色の判定がなされると、未判定のブロックが存在しているか否かが判断される。そして、存在していた場合は（ステップＳ１６にてＮｏ）、次の注目ブロックが決定され（ステップＳ１２）、この新たな注目ブロックに関して上記と同様の処理（ステップＳ１３〜Ｓ１５）が繰り返されて色の判定がなされる。このような処理が繰り返され、最終的に対象画像に含まれる全てのブロックに関して色の判定がなされる。すなわち、全てのブロックのそれぞれに関して７つの色フラグの設定がなされることになる。

全てのブロックに関して色の判定がなされると（ステップＳ１６にてＹｅｓ）、次に、その判定結果（各ブロックの色フラグ）に基づいて、ブロック計数部６８により、７つの判定色のそれぞれに関してその判定色を示すブロックの数が計数される。すなわち、Ｃを示すブロックの数、Ｍを示すブロックの数、Ｙを示すブロックの数、Ｒを示すブロックの数、Ｇを示すブロックの数、Ｂを示すブロックの数、及び、Ｋを示すブロックの数がそれぞれ導出される。一つのブロックが複数の色を示すこともあるため、一つのブロックが複数の判定色に関して計数されることもあり得る（ステップＳ１７）。

次に、その計数結果に基づいて、画像色判定部６９により、対象画像が、フルカラー画像、２色カラー画像、単色カラー画像、及び、モノクロ画像のいずれの種類であるかが判定される。

具体的には、まず、７つの判定色のそれぞれに関して、その判定色を示すブロックの数と、所定の画像判定閾値とが比較される。この際、Ｋに関しては１つの画像判定閾値（第１閾値）のみと比較されるが、有彩色の判定色に関しては異なる２つの異なる画像判定閾値（第１閾値，第２閾値）と比較される。ここで第２閾値は、第１閾値よりも高い値であり、例えば対象画像に含まれるブロックの総数の例えば１／３以上、より好ましくは１／２以上であることが望ましい。このような画像判定閾値も、予めＲＯＭ１２やＲＡＭ１３などに記憶される。第１閾値及び第２閾値を含む画像判定閾値は、判定色ごとに固有の値であることが望ましい（ステップＳ１８）。

この比較により、有彩色の６つの判定色のうちで、単位データの数が第１閾値を超える判定色があれば、その判定色が対象画像中に存在していると判断される。また、Ｋの単位データの数が画像判定閾値（第１閾値）を超えたときは、対象画像中にＫ（黒色）が存在していると判断される。

また、この比較により、有彩色の６つの判定色のうちで、単位データの数が第２閾値を超える判定色が少なくとも１つでもあれば（図５のステップＳ２１にてＹｅｓ）、対象画像はフルカラー画像であると判断される（ステップＳ２７）。

一方、第２閾値を超える判定色が無い場合は（ステップＳ２１にてＮｏ）、次に、対象画像中に有彩色の判定色が３色以上存在しているか否かが判定される（ステップＳ２２）。そして、３色以上存在していれば（ステップＳ２２にてＹｅｓ）、対象画像はフルカラー画像であると判断される（ステップＳ２７）。

対象画像中に有彩色が３色以上存在していない場合は（ステップＳ２２にてＮｏ）、次に、対象画像中に有彩色の判定色が２色のみ存在しているか否かが判定される（ステップＳ２３）。そして、２色のみ存在していれば（ステップＳ２３にてＹｅｓ）、さらに、対象画像中にＫが存在しているか否かが判定される（ステップＳ２４）。Ｋが存在している場合は（ステップＳ２４にてＹｅｓ）対象画像はフルカラー画像であると判断され（ステップＳ２７）、Ｋが存在していない場合は（ステップＳ２４にてＮｏ）対象画像は２色カラー画像であると判断される（ステップＳ２８）。

対象画像中に有彩色が２色存在していない場合は（ステップＳ２３にてＮｏ）、次に、対象画像中に有彩色の判定色が１色のみ存在しているか否かが判定される（ステップＳ２５）。そして、１色のみ存在していれば（ステップＳ２５にてＹｅｓ）、さらに、対象画像中にＫが存在しているか否かが判定される（ステップＳ２６）。そして、Ｋが存在している場合は（ステップＳ２６にてＹｅｓ）対象画像は２色カラー画像であると判断され（ステップＳ２８）、Ｋが存在していない場合は（ステップＳ２６にてＮｏ）対象画像は単色カラー画像であると判断される（ステップＳ２９）。

また、対象画像中に有彩色が１色も存在していない場合は（ステップＳ２５にてＮｏ）、対象画像はモノクロ画像であると判断される（ステップＳ３０）。

以上の処理により、対象画像がフルカラー画像、２色カラー画像、単色カラー画像、及び、モノクロ画像のいずれの種類であるかが判定される。対象画像の種類が判定されると、その判定結果に基づいて、コピー機能の印刷に係る処理モードが選択される。具体的には、フルカラー画像のときは「フルカラーモード」、２色カラー画像のときは「２色カラーモード」、単色カラー画像のときは「単色カラーモード」、モノクロ画像のときは「モノクロモード」が選択される。

ところで、プリンタ部４が使用するトナーはＣ，Ｍ，Ｙ，Ｋである。このため、「２色カラーモード」や「単色カラーモード」において、画像中のＣ，Ｍ又はＹについては、Ｃ，Ｍ，Ｙのうちの１色のトナーを選択的に使用すれば表現できる。一方、画像中のＲ，Ｇ又はＢについては、Ｃ，Ｍ，Ｙのうちの２色のトナーを選択的に使用すれば表現できる。すなわち、ＲならばＭとＹ、ＧならばＣとＹ、ＢならばＣとＭのトナーをそれぞれ選択的に用いることになる。なお、Ｃ，Ｍ，Ｙ，Ｒ，Ｇ，Ｂ以外の色相を表現する場合は、２色のトナーの使用する比率を変えることになる。例えば、ＭよりのＲ（ＭっぽいＲ）ならば、ＲでのＭとＹとの比率に比べてＭの比率が多くなる。

「単色カラーモード」では、印刷処理部５４の処理により、印刷の対象となる画像の輝度又は明度を単色（存在すると判定された有彩色）の値とした印刷用データが生成されて、プリンタ部４において印刷がなされる。Ｃ，Ｍ，Ｙ，Ｒ，Ｇ，Ｂの各単色は、例えば、以下のようなトナーの比率で印刷すればよい。ここで、比率における「１」や「０」は例示にすぎない。

単色Ｃ … Ｃ：Ｍ：Ｙ＝１：０：０
単色Ｍ … Ｃ：Ｍ：Ｙ＝０：１：０
単色Ｙ … Ｃ：Ｍ：Ｙ＝０：０：１
単色Ｒ … Ｃ：Ｍ：Ｙ＝０：１：１
単色Ｇ … Ｃ：Ｍ：Ｙ＝１：０：１
単色Ｂ … Ｃ：Ｍ：Ｙ＝１：１：０
また、有彩色の１色相と無彩色との階調を有するタイプの２色カラー画像を印刷する場合の「２色カラーモード」では、印刷処理部５４の処理により、印刷の対象となる画像のうち黒色で印刷する部分については印刷の対象となる画像の輝度又は明度の値を用いて印刷用データが生成され、有彩色で印刷する部分については画像の彩度の値を用いて印刷用データが生成される。黒色で印刷する部分については、画像の輝度又は明度に応じて印刷濃度が変更され、輝度又は明度が高い場合は印刷濃度が薄くなり、輝度又は明度が低い場合は印刷濃度が濃くなる。一方、有彩色で印刷する部分については、画像の彩度に応じて印刷濃度が変更され、彩度が高い場合は印刷濃度が濃くなり、彩度が低い場合は印刷濃度が薄くなる。

またここでは、有彩色の場合に彩度に応じて印刷濃度を変更する例を説明したが、彩度を算出せずとも、色成分の値に応じて印刷濃度を変更することができる。例えば、赤（Ｒ）で印刷する場合、画像のＹＣｒＣｂの値のうち、Ｃｒ成分の正部分の値を用いて印刷用データを生成することができる。同様に、青（Ｂ）で印刷する場合、Ｃｂ成分の正部分の値を用いて印刷用データを生成することができる。緑（Ｇ）で印刷する場合、Ｃｒ成分の負部分の値を用いて印刷用データを生成することができる。黄（Ｙ）で印刷する場合、Ｃｂ成分の負部分の値を用いて印刷用データを生成することができる。

以上のように複合機１では、ブロック処理部６４により、対象画像を区分して得られる複数のブロックのそれぞれが示す色が、Ｃ，Ｍ，Ｙ，Ｒ，Ｇ，Ｂ，Ｋの７つの判定色のうちから判定される。次に、その判定結果に基づいて、ブロック計数部６８により、７つの判定色のそれぞれに関して該判定色を示すブロックの数が計数される。そして、その計数結果に基づいて、画像色判定部６９により、対象画像が、単色カラー画像、２色カラー画像、フルカラー画像及びモノクロ画像のいずれであるかが判定される。対象画像を区分して得られる複数のブロックごとに色を判定するため、対象画像の種類の判定に際してノイズの影響を低減でき、正確な判定を行うことができる。その結果、対象画像がカラー画像であっても、Ｃ，Ｍ，Ｙ，Ｋの４色のうちから選択的にトナーを使用する処理モード（「２色カラーモード」，「単色カラーモード」）で印刷を行うことができ、効率的にトナーを使用することが可能である。

また、ある有彩色の判定色を示すブロックの数が第１閾値よりも高い所定の第２閾値を超えたときには、対象画像全体において当該判定色に近似する色が比較的広い領域を占めることから、対象画像を視認した人間が受ける印象に微妙な色の差異が大きく影響する状態であるといえる。このため、７つの判定色のうちの有彩色の少なくとも１つに関して、ブロックの数が第２閾値を超えたとき、その対象画像をフルカラー画像と判定することで、その後の印刷においてユーザにとって違和感のない印刷結果を得ることが可能となる。

また、単位データの数の計数によりブロックの色を判定し、その後、ブロックの数の計数を行うようにしているため、計数処理が２つの段階に分けて行われる。このため、計数すべき最大値としては、ブロックに含まれる単位データの総数（本実施の形態では９００個）、あるいは、対象画像に含まれるブロックの総数（本実施の形態ではＡ４サイズで２５２０個）でよいことになる。したがって、対象画像の全体で単位データの数を計数する場合と比較して、必要となるカウンタの桁数を大きく減少できる。

なお、上記実施の形態では、全ての単位データに関しての計数（ステップＳ１４）が完了した後に、単位データの数とブロック判定閾値との比較を行っている（ステップＳ１５）。しかしながら、単位データの計数、及び、その計数値とブロック判定閾値との比較を並行して行い、ある判定色に関して計数値がブロック判定閾値を超えた場合は、その判定色に係る計数を終了してもよい。

また、上記実施の形態では、全てのブロックに関しての計数（ステップＳ１７）が完了した後に、ブロックの数と画像判定閾値との比較を行い（ステップＳ１８）、さらに、対象画像の種類の判定を行っている（ステップＳ２１〜Ｓ３０）。しかしながら、ブロックの計数、その計数値と画像判定閾値との比較、及び、対象画像の種類の判定を並行して行い、対象画像の種類の判定が可能となった時点（例えば、いずれかのブロックの数が第２閾値を超えて、フルカラー画像と判断された時点）で全ての処理を終了してもよい。これらによれば、必要となるカウンタの桁数をさらに減少できる。

＜４．単位データの色判定手法＞
次に、ステップＳ１３における単位データの色の判定手法について説明する。この判定に際しては、まず、Ｌａｂで表現された各単位データの値のうち色度ａ，ｂに所定の変換処理がなされて、色相及び彩度に関するパラメータ（以下、「色パラメータ」という。）であるａ３，ｂ３が取得される。これにより、各単位データの値は、明度Ｌと色パラメータａ３，ｂ３とで表現される。

そして、図６に示すように、横軸がａ３、縦軸がｂ３となる直交二次元座標系を有する色平面Ｈが用いられ、単位データの色パラメータで示される座標位置（ａ３，ｂ３）が、色平面Ｈのいずれの位置に存在するかで単位データの色が判定される。この色平面Ｈを定義するデータは、予めＲＯＭ１２やＲＡＭ１３などに記憶されている。

この色平面Ｈは、色相及び彩度に係るＬａｂ色度図と同様の性質を有しており、原点Ｏを中心に放射状に各色が配置されており、原点Ｏからの向きが色相を示し、原点Ｏからの距離が彩度を示すことになる。

色平面Ｈの原点Ｏ及びその近傍はおおよそ無彩色となる。このため、色平面Ｈの原点Ｏ近傍には、有彩色と無彩色との境界を示す彩度境界線Ｄ０が設定されている。つまり、この彩度境界線Ｄ０の内側は無彩色を示す無彩領域ｍＡとなり、彩度境界線Ｄ０の外側は有彩色を示す有彩領域となる。単位データの色パラメータで示される座標位置（ａ３，ｂ３）が、無彩領域ｍＡに存在すれば単位データの色は無彩色と判定される。このように無彩色と判定された場合には、単位データの明度Ｌがさらに参照され、明度Ｌが所定の閾値（例えば、「０」）以下であれば、単位データの色はＫと判定される。

また、彩度境界線Ｄ０の外側の領域には、色相の境界を示す６つの色相境界線Ｄ１〜Ｄ６が、原点Ｏから放射状に設定されている。これらの色相境界線Ｄ１〜Ｄ６により、有彩領域が、有彩色の６つの判定色Ｃ，Ｍ，Ｙ，Ｒ，Ｇ，Ｂにそれぞれ対応する６つの色領域ｍＣ，ｍＭ，ｍＹ，ｍＲ，ｍＧ，ｍＢに区分される。具体的には、色相境界線Ｄ１は色領域ｍＲと色領域ｍＹとの境界となり、色相境界線Ｄ２は色領域ｍＹと色領域ｍＧとの境界となり、色相境界線Ｄ３は色領域ｍＧと色領域ｍＣとの境界となり、色相境界線Ｄ４は色領域ｍＣと色領域ｍＢとの境界となり、色相境界線Ｄ５は色領域ｍＢと色領域ｍＭとの境界となり、色相境界線Ｄ６は色領域ｍＭと色領域ｍＲとの境界となる。

単位データの色パラメータで示される座標位置（ａ３，ｂ３）が、色領域ｍＣ，ｍＭ，ｍＹ，ｍＲ，ｍＧ，ｍＢのいずれかに存在すれば、単位データの色はその存在する色領域に対応する判定色と判定される。例えば、色パラメータで示される座標位置（ａ３，ｂ３）が色領域ｍＣに存在すれば、単位データの色はＣと判定されることになる。

ここで、図に示すように４つの彩度境界線Ｄ０は全て２つ座標軸のいずれかに平行に設定され、かつ、これらは所定の値ｗに相当する同一距離だけ原点Ｏから離れている。したがって、単位データの色パラメータａ３，ｂ３の双方の絶対値が値ｗよりも小さければ、単位データの色は無彩色と判定される。つまり、色パラメータａ３，ｂ３と所定の値ｗとの単純な比較により、単位データの色が無彩色か否かを容易に判定可能となっている。

また、色相境界線Ｄ１，Ｄ４は縦軸上に設定され、他の色相境界線Ｄ２，Ｄ３，Ｄ５，Ｄ６は、各象限を均等に２分する向き（座標軸に対して４５度）に設定されている。したがって、色パラメータａ３，ｂ３の正負の符号と、それらの絶対値の単純な大小比較とにより、単位データの色が有彩色である６つの判定色のうちのいずれであるかを容易に判定可能となっている。例えば、単位データの色パラメータａ３，ｂ３の双方の符号が正であれば第１象限に存在と判断でき、「ａ３の絶対値＞ｂ３の絶対値」であれば色領域ｍＭと判断でき、その結果、単位データの色はＭであると容易に判断できることになる。

このような色平面Ｈは、一般的なＬａｂ表色系の色度図に対して回転変換、スケーリング変換などのアフィン変換を行うことで得られるものである。以下、この手法について説明する。図７は、図６に示す色平面Ｈを取得する手法を説明する図である。図７において左に示す色平面Ｈ０は、一般的なＬａｂ表色系の色度図に相当し、横軸がａ、縦軸がｂとなる直交二次元座標系を有している。

まず、Ｌａｂ表色系に係る色平面Ｈ０に対して、色相境界線Ｄ１〜Ｄ６が設定される。この色相境界線Ｄ１〜Ｄ６は人間の感覚に基づいて設定すればよいが、原点Ｏに関しておおよそ対称となる色相境界線の対は一直線となるように設定される。

次に、縦軸に近い色相境界線Ｄ１，Ｄ４が縦軸に一致するように、原点Ｏを中心に色相全体が回転変換される。これにより、図７において中央に示す色平面Ｈ１が得られる。この色平面Ｈ１は、横軸がａ２、縦軸がｂ２となる直交二次元座標系を有している。

次に、縦軸と一致していない色相境界線Ｄ２，Ｄ３，Ｄ５，Ｄ６が座標軸に対して４５度に向くように、色相全体に関して異方的スケーリング変換（縦軸方向と横軸方向とで異なる率で拡大、縮小する変換）がなされる。例えば、縦軸方向のみを拡大、あるいは、横軸方向のみを縮小する変換がなされる。これにより、図７において右に示す色平面Ｈ２が得られる。この色平面Ｈ２は、横軸がａ３、縦軸がｂ３となる直交二次元座標系を有している。この色平面Ｈ２に対して、さらに彩度境界線Ｄ０を設定することで、図６に示す色平面Ｈが得られることになる。

このようにして得られる色平面Ｈを利用して単位データの色を判定することから、Ｌａｂで表現された各単位データの値も色平面Ｈに適合するように変換する必要がある。このため、単位データの色の判定に際しては、各単位データの値のうち色度ａ，ｂに関して、色平面Ｈを得る場合と同様のアフィン変換（回転変換及び異方的スケーリング変換）がなされて、色パラメータａ３，ｂ３が取得されることになる。

なお、Ｌａｂで表現されたままの単位データの値を用い、その色度で示される座標位置（ａ，ｂ）が、Ｌａｂ表色系の色度図に相当する色平面Ｈ０のいずれの位置に存在するかで単位データの色を判定してもよい。この場合は、色度の他に色パラメータを求める必要はない。ただし、一般に色平面Ｈ０では、色相境界線Ｄ１〜Ｄ６の傾きが無理数となる。このため、単位データの色の判定には逆三角関数などの無理数計算が必要となって判定効率が悪くなることから、色平面Ｈ０に少なくとも回転変換などのアフィン変換を行った、色相境界線Ｄ１〜Ｄ６の傾きが有理数となる色平面を用いることが望ましい。

また、この色判定手法では、二次元で示される色平面を原点を通る直線によって複数の色領域に分割し、単位データと原点を通る直線との位置関係（大小関係）を判定することにより単位データが属する色領域を判定することから、色領域の分割数を簡単に変更することも可能である。例えば、上記の例では色平面を原点を中心として円周方向に６つの色領域に分割しているが、５つ以下あるいは７つ以上の色領域に分割して、単位データが属する色領域を判定することも容易に行える。

＜５．解像度の変換について＞
上述のように、コピー機能においては、ユーザが設定した変倍率に応じて必要な場合には、解像度変換部５２において画像の主走査方向に関して解像度の変換がなされる。変換後の解像度は、ユーザにより設定された変倍率に応じた値となる。例えば、変換前の画像の解像度（装置として持っている解像度）が６００ｄｐｉの場合において、７０％縮小が設定されたときは、画像の主走査方向については６００ｄｐｉから４２０ｄｐｉへ解像度変換がなされる。

上記実施の形態では、解像度変換部５２において解像度が変換された画像ではなく、解像度が変換される前の画像をモード選択部６０に入力し、この画像（すなわち、対象画像）に対して画像判定処理を行っている。このため、判定精度が解像度（変倍率）に影響されず、安定した判定が可能となる。また、解像度が変換される前の対象画像を用いて、平均部６１による平均化処理を行うことから、対象画像の主走査方向に関しては平均する画素数を一定（例えば、２画素）にすることができる。このような対象画像の主走査方向に関する平均化処理は、機械的誤差に起因した偽色に有効である。

また、画像の副走査方向については、このような解像度変換はなされず、原稿と光学系（キャリッジ）との相対移動速度（代表的には、キャリッジの移動速度）を変更することにより、必要な解像度を得るようになっている。すなわち、データを取り込む周期は一定であるため、設定された変倍率（必要な解像度）に応じて相対移動速度が変更される。例えば、相対移動速度は、５０％縮小する場合は等倍における速度の２倍とされ、２００％拡大の場合は等倍における速度の１／２とされる。

ここで上記において７０％縮小の場合に０．２ライン分のずれが生じると記載したように、等倍以外の場合には、一部の変倍率（例えば、等倍の整数倍）を除いて、ラインセンサによる原稿上の読取位置に関してずれが生じる。すなわち、変倍率に応じて相対移動速度が変更されるために、Ｒ，Ｇ，Ｂの各ラインセンサが原稿上の同一位置を読み取れない場合があり、これに起因して読取位置のずれが生じて画像中に偽色が生じるわけである。この変倍率に起因した偽色の程度は、上記の機械的誤差に起因した偽色よりも大きなものとなる。つまり、画像の副走査方向に関しては、この変倍率に起因した偽色を有効に補正することが望ましいことになる。

このため、上記実施の形態では、平均部６１による平均化処理において副走査方向２画素×主走査方向２画素の４画素の値を平均すると説明したが、画像の副走査方向に関しては、平均対象となる画素数を変倍率に応じて変更してもよい。この場合、読取位置のずれが比較的大きくなる変倍率の場合は平均対象の画素数を多くし、逆に、読取位置のずれが比較的小さくなる変倍率の場合は平均対象の画素数を少なくすればよい。具体的には、変倍率と平均対象の画素数との対応関係をテーブルデータに予め登録しておき、このテーブルデータを平均部６１が参照して適切な平均対象の画素数を取得することになる。このようなテーブルデータは、例えばＲＯＭ１２等に予め記憶しておけばよい。

このように、平均対象となる画素数を変倍率に応じて変更することで、変倍率に起因した偽色を有効に補正することができ、画像判定処理の判定の精度をさらに向上することができる。

＜６．他の実施の形態＞
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような他の実施の形態について説明する。もちろん、以下で説明する形態を適宜に組み合わせてもよい。

例えば、上記実施の形態では、対象画像に７つの判定色のうちの有彩色が１つのみ存在し（ステップＳ２５にてＹｅｓ）、かつ、Ｋ（黒色）が存在すると判定されたとき（ステップＳ２６にてＹｅｓ）は、対象画像は２色カラー画像と判定されると説明した。しかしながら、この場合においては、対象画像をモノクロ画像と判定し、モノクロモードで印刷がなされるようにしてもよい。通常、モノクロモードでは、画像の画素の値（ＹＣｒＣｂ）の輝度Ｙのみに基づいて印刷がなされるが、この場合においては、有彩色が存在する部分の印刷濃度が他の部分よりも濃くなるように（例えば、該当する画素の輝度Ｙを所定の割合で低くして）印刷し、有彩色に対応する部分を強調することが望ましい。これによれば、有彩色のトナーが無駄に使用されることがない。なおこの処理は、より一般的には、対象画像に２色のみ存在すると判定したとき、対象画像をモノクロで、かつ、２色のうちの一方に対応する部分を強調して出力する処理であるともいえる。対象画像に存在する２色は、本例のように有彩色と無彩色（黒色）との場合もあるが、異なる有彩色の場合もあり得る。例えばＲとＢとの２つの色相（有彩色）を有する対象画像をモノクロモードで印刷する場合、一方の色相（例えばＲ）に対応する部分の印刷濃度を低くし、他方の色相（例えばＢ）に対応する部分の印刷濃度を高くすることもできる。これにより、一方の色相に対応する部分が強調して出力される。

また、上記実施の形態では、対象画像の種類の判定結果に基づいてコピー機能の印刷に関する処理モードが選択されるとしていたが、例えば、スキャナ機能の画像の圧縮に関する処理モードが選択されるようになっていてもよい。

また、上記実施の形態では、単位データの色の判定にあたってその値がＬａｂに変換されると説明したが、ＹＣｒＣｂ、ＹＩＱ、Ｌｕｖなど、明るさに関するパラメータ（輝度、明度）と、色相及び彩度に関するパラメータ（色差、色度）を有する表色系であれば、Ｌａｂ以外の表色系も利用することが可能である。

また、上記実施の形態では、複数の判定色にはＫも含まれていたが、有彩色のみを判定色としてもよい。

また、上記では複合機１が画像色判定装置として機能するものとして説明したが、上記実施の形態と同様のプログラムを汎用のコンピュータ装置で実行させることにより、汎用のコンピュータ装置を画像色判定装置として機能させてもよい。

また、上記実施の形態では、プログラムに従ったＣＰＵの演算処理によってソフトウェア的にモード選択部６０の各種機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部または全部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。

複合機の外観構成を示す斜視図である。 複合機の内部構成を示す図である。 コピー機能の動作に関連する処理部を示す図である。 画像判定処理の流れを示す図である。 画像判定処理の流れを示す図である。 単位データの色判定に用いる色平面を示す図である。 色平面を取得する手法を説明する図である。

符号の説明

２ 操作パネル
９ プログラム
１１ ＣＰＵ
６０ モード選択部
６４ ブロック処理部
６５ 単位データ判定部
６６ 単位データ計数部
６７ ブロック色判定部
６８ ブロック計数部
６９ 画像色判定部
Ｈ 色平面
ｍＡ 無彩領域
ｍＣ，ｍＭ，ｍＹ，ｍＲ，ｍＧ，ｍＢ 色領域

Claims (13)

1. 対象画像の色に係る判定を行う画像色判定装置であって、
   前記対象画像を区分して得られる複数のブロックのそれぞれが示す色を、所定の複数の判定色のうちから判定するブロック判定手段と、
   前記ブロック判定手段の判定結果に基づいて、前記複数の判定色のそれぞれに関して該判定色を示す前記ブロックの数を計数するブロック計数手段と、
   前記ブロック計数手段の計数結果に基づいて、前記対象画像が、単色カラー画像、２色カラー画像、フルカラー画像及びモノクロ画像のいずれであるかを判定する画像判定手段と、
   を備えることを特徴とする画像色判定装置。
2. 請求項１に記載の画像色判定装置において、
   前記画像判定手段は、前記複数の判定色のそれぞれに関して、該判定色を示す前記ブロックの数が所定の第１閾値を超えたとき、前記対象画像に該判定色が存在すると判定することを特徴とする画像色判定装置。
3. 請求項２に記載の画像色判定装置において、
   前記画像判定手段は、前記複数の判定色のうちの有彩色の少なくとも１つに関して、該判定色を示す前記ブロックの数が前記第１閾値よりも高い所定の第２閾値を超えたとき、前記対象画像を前記フルカラー画像と判定することを特徴とする画像色判定装置。
4. 請求項２または３に記載の画像色判定装置において、
   前記画像判定手段の判定結果に基づいて複数の色の色材を選択的に使用する印刷手段、
   をさらに備えることを特徴とする画像色判定装置。
5. 請求項４に記載の画像色判定装置において、
   前記画像判定手段の判定において、前記対象画像に前記複数の判定色のうちの有彩色が１つのみ存在し、かつ、黒色が存在すると判定されたとき、
   前記印刷手段は、黒色の色材のみを使用し、前記対象画像中の前記有彩色に対応する部分を強調して印刷することを特徴とする画像色判定装置。
6. 請求項１ないし５のいずれかに記載の画像色判定装置において、
   原稿を読み取って画像を取得する読取手段と、
   前記読取手段によって取得された画像の解像度を変換する変換手段、
   をさらに備え、
   前記対象画像は、前記変換手段による解像度の変換前の画像であることを特徴とする画像色判定装置。
7. 請求項１ないし５のいずれかに記載の画像色判定装置において、
   原稿を読み取って記録用紙に複写する複写手段と、
   前記複写手段による複写の変倍率を設定する設定手段と、
   前記対象画像中の複数の画素ごとに値を平均して単位データを得る平均手段と、
   をさらに備え、
   前記平均手段は、前記変倍率に応じて平均対象とする画素数を変更することを特徴とする画像色判定装置。
8. 対象画像の色に係る判定を行う画像色判定装置であって、
   前記対象画像に含まれる要素の色に基づいて、所定の複数の判定色のそれぞれに係る前記要素の数を計数する計数手段と、
   前記計数手段の計数結果に基づいて、前記複数の判定色のうち前記対象画像に存在する色を判定する画像判定手段と、
   前記対象画像をカラー及びモノクロのいずれかで出力する出力手段と、
   を備え、
   前記出力手段は、前記画像判定手段が前記対象画像に２色のみ存在すると判定したとき、前記対象画像をモノクロで、かつ、前記２色のうちの一方に対応する部分を強調して出力することを特徴とする画像色判定装置。
9. 請求項８に記載の画像色判定装置において、
   前記出力手段は、前記対象画像に前記複数の判定色のうちの有彩色が１つと黒色とが存在すると判定したとき、前記対象画像をモノクロで、かつ、前記有彩色に対応する部分を強調して出力することを特徴とする画像色判定装置。
10. 対象画像の色に係る判定を行う画像色判定方法であって、
    （ａ）前記対象画像を区分して得られる複数のブロックのそれぞれが示す色を、所定の複数の判定色のうちから判定する工程と、
    （ｂ）前記（ａ）工程の判定結果に基づいて、前記複数の判定色のそれぞれに関して該判定色を示す前記ブロックの数を計数する工程と、
    （ｃ）前記（ｂ）工程の計数結果に基づいて、前記対象画像が、単色カラー画像、２色カラー画像、フルカラー画像及びモノクロ画像のいずれであるかを判定する工程と、
    を備えることを特徴とする画像色判定方法。
11. 対象画像の色に係る判定を行う画像色判定方法であって、
    （ａ）前記対象画像に含まれる要素の色に基づいて、所定の複数の判定色のそれぞれに係る前記要素の数を計数する工程と、
    （ｂ）前記（ａ）工程の計数結果に基づいて、前記複数の判定色のうち前記対象画像に存在する色を判定する工程と、
    （ｃ）前記対象画像をカラー及びモノクロのいずれかで出力する工程と、
    を備え、
    前記（ｃ）工程では、前記（ｂ）工程で前記対象画像に２色のみ存在すると判定されたとき、前記対象画像をモノクロで、かつ、前記２色のうちの一方に対応する部分を強調して出力することを特徴とする画像色判定方法。
12. 対象画像の色に係る判定を行うプログラムであって、コンピュータに、
    （ａ）前記対象画像を区分して得られる複数のブロックのそれぞれが示す色を、所定の複数の判定色のうちから判定する工程と、
    （ｂ）前記（ａ）工程の判定結果に基づいて、前記複数の判定色のそれぞれに関して該判定色を示す前記ブロックの数を計数する工程と、
    （ｃ）前記（ｂ）工程の計数結果に基づいて、前記対象画像が、単色カラー画像、２色カラー画像、フルカラー画像及びモノクロ画像のいずれであるかを判定する工程と、
    を実行させることを特徴とするプログラム。
13. 対象画像の色に係る判定を行うプログラムであって、コンピュータに、
    （ａ）前記対象画像に含まれる要素の色に基づいて、所定の複数の判定色のそれぞれに係る前記要素の数を計数する工程と、
    （ｂ）前記（ａ）工程の計数結果に基づいて、前記複数の判定色のうち前記対象画像に存在する色を判定する工程と、
    （ｃ）前記対象画像をカラー及びモノクロのいずれかで出力する工程と、
    を実行させ、
    前記（ｃ）工程では、前記（ｂ）工程で前記対象画像に２色のみ存在すると判定されたとき、前記対象画像をモノクロで、かつ、前記２色のうちの一方に対応する部分を強調して出力することを特徴とするプログラム。

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