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JP2008064625A - 温度測定器の保護管、温度測定器の保護管の製造方法、流動床炉、及び、流動床炉の温度制御システム - Google Patents

温度測定器の保護管、温度測定器の保護管の製造方法、流動床炉、及び、流動床炉の温度制御システム Download PDF

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Abstract

【課題】温度測定器に備えられる保護管の耐摩耗性等の向上、長寿命化を図る。かかる保護管の製造方法、保護管を備えた流動床炉を提供する。
【解決手段】温度計71を保護する保護管102において、管本体133の外側に、管本体133の一部又は全部を覆う被覆層135を設けた。被覆層135は、管本体133に対してクロム系合金を肉盛溶接することにより形成した。管本体133は、例えばステンレス鋼からなるものとした。温度計71は、熱電対を備える構成とした。
【選択図】図3

Description

本発明は、温度測定器の保護管、温度測定器の保護管の製造方法、流動床炉、及び、流動床炉の温度制御システムに関する。
廃棄物を焼却処理する流動床炉の一形態として、炉床部に珪砂等の流動砂を堆積させた流動層を備え、炉床から流動層中に空気等の流動化用ガスを噴出させながら、流動砂を吹き上げて加熱し、廃棄物等の焼却物を高温の流動砂と混合させながら攪拌し、乾燥、熱分解、燃焼させる構成を有するものがある。
かかる流動床炉には、炉内の流動砂や焼却物の温度を測定し、ひいてはその測定データを利用して炉内環境を制御するための温度測定器が設けられる。かかる温度測定器としては、例えば熱電対等を利用した温度計と、炉内において温度計を保護する保護管とを有する構成が知られている(特許文献1参照)。
保護管には、炉内の高温に対する耐熱性、流動砂や焼却物等の衝突に対する耐摩耗性、流動化用ガスの吹き込みによって発生する圧力に対する強度、炉内の腐食性ガスに対する耐食性等が要求される。そのような保護管の材料としては、例えばセラミックス、オーステナイト系ステンレス鋼、特殊合金(インコネル、ハステロイ等)等が用いられている。また、例えば、保護管を内管と外管からなる二重構造とし、内管は優れた強度を有するセラミックス系の材料、外筒は耐食性が高いアルミナ系の材料によって形成するものが提案されている(特許文献1参照)。
特開2000−46657号公報
しかしながら、従来の保護管の構成では、例えば廃棄物の焼却等に利用される流動床炉内のような高温かつ高腐食性の環境では劣化が避けられず、保護管の寿命を延ばすことは難しかった。そのため、保護管を頻繁に交換する必要があり、保護管や温度測定器の点検、補修、交換等に要するコストを削減することが難しかった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性等に優れ長寿命化を図ることができる温度測定器の保護管、及び、保護管の製造方法を提供することを目的とする。さらには、その保護管を備えた温度測定器を使用することにより、保護管の点検等に要するコストを削減できる流動床炉、及び、該流動床炉の温度制御システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明によれば、管本体の内部に温度計を備える温度測定器の保護管であって、前記管本体の外側に、前記管本体の一部又は全部を覆う被覆層が設けられ、前記被覆層は、前記管本体に対してクロム系合金を肉盛溶接することにより形成されることを特徴とする、温度測定器の保護管が提供される。
前記管本体は、一般的に流動床炉等において温度測定器の保護管に対して利用されてきた材質(ただし、被覆層に用いられるクロム系合金の肉盛りを形成できないものは除く)からなるものであれば好適に使用されるが、特に耐食性等の観点からは、前記管本体はステンレス鋼、とりわけオーステナイト系ステンレス鋼からなるものが好ましい。前記温度計は、熱電対を備える構成であっても良い。
さらに、本発明によれば、上記のいずれかに記載された温度測定器の保護管の製造方法であって、前記管本体の両端部を開口させた状態で、前記管本体に対して肉盛溶接を施すことにより、前記被覆層を前記管本体の外側面に形成させた後、前記管本体の端部を閉塞し、閉塞した前記管本体の端部に対して肉盛溶接を施すことにより、前記被覆層を前記管本体の端部にも形成させることを特徴とする、温度測定器の保護管の製造方法が提供される。
この製造方法にあっては、前記管本体の両端部を開口させた状態で、前記管本体の内部空間に冷却用ガスを供給しながら、前記管本体に対して肉盛溶接を施すようにしても良い。
また、本発明によれば、温度計と、上記のいずれかに記載された温度測定器の保護管とを備える温度測定器が提供される。この温度測定器は、炉体内で流動媒体を流動させ焼却物を焼却させる流動床炉に備えられ、前記炉体内の温度を測定するものであっても良い。
さらに、本発明によれば、炉体内で流動媒体を流動させ焼却物を焼却させる流動床炉であって、上記の温度測定器を備えることを特徴とする、流動床炉が提供される。また、炉体内で流動媒体を流動させ焼却物を焼却させる流動床炉の前記炉体内の温度を制御する流動床炉の温度制御システムであって、上記の温度測定器を備えることを特徴とする、流動床炉の温度制御システムが提供される。
本発明によれば、クロム系合金からなる被覆層によって管本体を被覆することで、保護管の機械的強度が補強されるとともに、保護管の耐摩耗性等を高めることができ、また、管本体と腐食性物質(腐食性ガス等)との直接的な接触を防止できるため、保護管の耐食性を高めることができる。従って、保護管の長寿命化を図ることができる。流動床炉内のような高温、高腐食性の環境においても、保護管の劣化を抑制できる。また、被覆層を肉盛溶接によって形成することにより、管本体に対して強固に接合させることができる。即ち、被覆層の剥離が発生しにくく、被覆層の寿命を長くすることができ、ひいては、保護管の寿命をより長くすることができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、焼却物(焼却原料)としての廃棄自動車のシュレッダーダストを焼却する処理装置(熱処理装置)としての流動床炉に基づいて説明する。図1に示す流動床炉1は、傾斜分散型流動層燃焼炉であり、略角型の炉体2を有している。炉体2の内部空間のうち、下部は焼却物の燃焼(一次燃焼)を行う一次燃焼室S1となっており、上部は、焼却物の一次燃焼で発生した排ガスの燃焼(二次燃焼)を行う二次燃焼室(フリーボード)S2となっている。
炉体2の側壁部6は、略長方形状のほぼ一様な横断面形状を有する略角筒状をなし、略鉛直方向に立設された4つの内側面、即ち、図2に示す前内側面6a、後内側面6b、左内側面6c、右内側面6dを有している。炉体2の炉床7は、幅方向を左右方向(図1においては手前側から後側へ向かう方向)に向け、前方(図1においては左方)から後方(図1においては右方)に向かうほど次第に低くなるように傾斜させて設けられている。
図1に示すように、炉床7上、即ち一次燃焼室S1の底部には、粒子状の流動媒体である例えば珪砂等の流動砂が堆積させられ、焼却物を攪拌しながら燃焼させる流動層10が形成されている。
炉体2には、一次燃焼室S1に焼却物と流動砂とを投入するための投入口11が開口されている。投入口11は、流動層10の上方において、前内側面6aに開口されている。即ち、炉床7の傾斜方向において高所側に設けられている。投入口11には通路12が接続されている。焼却物と流動砂は、ホッパー13に投入され、ブレンダ14によって混合されてから、給塵装置15の稼動によって、所定の供給容量で、通路12及び投入口11を介して、一次燃焼室S1に連続的に供給されるようになっている。
図2に示すように、投入口11は、平面視において前内側面6aのほぼ中央に配置された中央の投入口11aと、前内側面6aにおいてこの投入口11aの左右両側に配置された投入口11bからなっている。これら投入口11a及び投入口11bのそれぞれに給塵装置15及び通路12が接続してあり、各給塵装置15の稼動を制御することで、各投入口11a、11bから供給される焼却物及び流動砂の供給量を、それぞれ任意に設定できるようになっている。
図1に示すように、炉床7には、流動砂を吹き上げて流動化させるための流動化用ガスを一次燃焼室S1に供給する複数の流動化用ガス供給口20が、炉床7全体に設けられている。炉床7の下方には、複数に分割された吹込み部21が形成されている。そして、各吹込み部21から流動化用ガス供給口20を介して空気(酸素)等を含む流動化用ガスを吹き込み、流動化用ガスを上方に向かって吐出させることによって、一次燃焼室S1内の流動砂を吹き上げて攪拌、流動化させ、流動層10を形成させるようになっている。
図1に示すように、炉床7には、焼却物の燃えがら(不燃物)及び流動砂を一次燃焼室S1から取り出すための取出し口30が設けられている。取出し口30は、炉床7の傾斜方向において低所側の最下部に設けられている。この取出し口30には通路31が接続してある。一次燃焼室S1から取出し口30を通って通路31に落下した焼却物の燃えがら及び流動砂は、排出装置32、図示しないコンベア等の稼動によって搬出される。そして、図示しない篩等によって燃えがらと流動砂との選別が行われた後、流動砂が再びホッパー13に戻されるようになっている。
一次燃焼室S1には、流動砂の温度を調節するための伝熱管群40が設けられている。伝熱管群40は、炉床7からみて斜め上方(低所側の上方)に設けられており、複数本の伝熱管(冷却管)41によって構成されている(図2参照)。
各伝熱管41は、図1に示すように、複数箇所で交互に反対側へ折り返すように湾曲させられ、複数の略直管状の部分が、上下に積み重なるように多段に配設された形状をなしている。また、後内側面6bから突出させられ、各直管状の部分はそれぞれ略水平方向に向けられている。このような伝熱管41が、流動層10の上部と下部の2段に並べて設けられており、さらに、図2に示すように、左内側面6cと右内側面6dとの間において、互いに略平行に、ほぼ等間隔を空けて並べて設けられている。
また、一次燃焼室S1には、炉体2内の温度を測定する温度測定器45が複数箇所に設けられている。図1の例では、左内側面6cに対して6つの温度測定器45が設置されており、例えば側面視において、伝熱管群40の下方2箇所(流動層10の下部に設けられた伝熱管41の下方における2箇所)、伝熱管群40のほぼ中央部の高さ(流動層10の下部に設けられた伝熱管41と上部に設けられた伝熱管41との間における1箇所)、伝熱管群40の上方3箇所(流動層10の上部に設けられた伝熱管41よりも上方における3箇所)に、それぞれ設けられている。これらの温度測定器45の構造については、後に詳細に説明する。
さらに、炉体2の側壁部6には、二次燃焼室S2に火炎を噴射するバーナの噴射口49が備えられている。図示の例では、噴射口49は、伝熱管群40の上方に設けられている3つの温度測定器45よりもさらに上方に設置されている。
後内側面6bの上端部には、二次燃焼室S2内の雰囲気を排気する排気口50が開口されている。排気口50には排気路51が接続されている。この排気路51はバグフィルタ52に接続されている。一次燃焼室S1、二次燃焼室S2内の雰囲気は、二次燃焼室S2内を上昇して、排気口50から排気される。そして、バグフィルタ52で塵埃が捕捉された後、外部に排気されるようになっている。
次に、上述した温度測定器45の構造について詳細に説明する。図3に示すように、温度測定器45は、後述する熱電対85を内蔵した温度計71と、温度計71を保持する収納容器72とを備えている。
温度計71は、例えば細長い略直棒状に形成された温度計本体81を備えており、温度計本体81の基端部(炉体2の外部側に設置される端部)に、頭部82が取り付けられた構成になっている。
図4に示すように、熱電対85は、温度計本体81の長手方向に沿って通されている。即ち、熱電対85を構成する2本の熱電対素線85a、85bが、温度計本体81の内部において、温度計本体81の基端部側と先端部側との間に渡って延設されている。温度計本体81の先端部には、熱電対85の測定端85c(接合点)が設けられている。
図3に示すように、収納容器72は、温度計71の頭部82側を保持する保持部101と、温度計71(温度計本体81)の先端部側を収納して保護する保護管102とを備えている。さらに、保持部101と保護管102との間には、収納容器72を炉体2の側壁部6に対して固定するためのボルト103が取り付けられるフランジ105が、保護管102の基端部から外周囲に向かって広がるように、環状に形成されている。
保護管102は、例えば略円管状の片封じ管になっている。即ち、長さ方向においてほぼ一定の外径及び内径を有する略直管状をなし、先端部は閉塞端になっている。保護管102の基端部は、開口端になっており、保持部101の内部に連通している。この保護管102の構造については、後に詳細に説明する。
上記のような収納容器72において、温度計71は、温度計本体81が保持部101の内部及び保護管102の内部に挿入され、頭部82が保持部101の基端部外側に取り付けられた状態で固定保持されている。温度計本体81は、保護管102の内部空間における中央部に沿って配設されている。
また、温度測定器45は、頭部82、保持部101及びフランジ105等が炉体2の外部に配置され、保護管102の先端部(測定端85c)が炉体2内の所望の位置に配置された状態で取り付けられている。即ち、図3に示すように、炉体2の側壁部6には、側壁部6の厚さ方向に貫通させられた取り付け孔111が開口されており、この取り付け孔111内に、保護管102が挿入されている。さらに、フランジ105に設けられた複数のボルト穴112と側壁部6側に設けられた複数のボルト穴113とが、それぞれ互いに合わせられ、各ボルト穴112、113に対してボルト103が締結された状態で、側壁部6に対して固定されている。
なお、温度計71は、炉体2の外部に備えられた検知部120に対して、配線121等を介して電気的に接続されている。即ち、熱電対85に生じた熱起電力が、検知部120において検知され、これに基づいて、測定端85cの温度が測定される構成になっている。また、測定された温度は、検知部120から流動床炉1全体の稼動を制御する図示しない制御部に送信されるようになっている。
次に、保護管102の構成について詳細に説明する。図4及び図5に示すように、保護管102は、円管状(筒状)の管部131及び蓋部132からなる管本体133と、管本体133の外側(外側面及び端部)を覆うように形成された被覆層135とを備えている。
管部131は、両端部が開口された(両開きの)直管状に形成されている。また、図示の例では、管部131の内径は、温度計本体81の外径よりも大きく形成されている。即ち、管部131の内面と温度計本体81の外面は、互いに離隔させられている。
蓋部132は、管部131の外径とほぼ同じ外径を有する略円板状の大円板132aと、大円板132aの一側面に形成され、管部131の内径とほぼ同じ外径を有する略円板状の小円板132bとを備えている。即ち、蓋部132は、管部131の先端部開口に小円板132bが挿入され、管部131の先端部の端面に沿って大円板132aの周縁部が密着させられた状態で備えられ、管部131の先端部開口を閉塞している。
なお、管本体133(管部131、蓋部132)を構成する材料としては、一般的に流動床炉等において温度測定器の保護管に対して利用されてきたもの(ただし、被覆層135の肉盛りを形成できないものは除く)を使用すれば良いが、熱伝導率が高く、十分な耐熱性を有し、熱応力による割れが生じない程度の延性を有する材質が好ましい。特に耐食性等の観点からは、ステンレス鋼、例えばオーステナイト系ステンレス鋼等(望ましくは、SUS316等)を使用すると良い。ステンレス鋼は、炉体2内において焼却物の焼却処理により発生する腐食性ガス(HClガス(塩化水素ガス)、Clガス(塩素ガス)等を含む)に対する耐食性を有し、特にオーステナイト系ステンレス鋼は、強い耐食性を有する。また、管本体133(管部131)の寸法は、例えば外径が約21.7mm程度、内径が約14.3mm程度(半径方向における管本体42の厚さが例えば約3.7mm程度)であっても良い。
被覆層135は、管本体133の外面全体に対して、管本体133を母材とした肉盛溶接を施すことにより形成されている。即ち、管本体133の外面全体に表面改質(ハードフェージング)が施されている。なお、図示の例では、被覆層135は、保護管102の半径方向において、管本体133の厚さ(肉厚)よりも薄く形成されている。
管本体133に対する被覆層135の肉盛溶接は、例えば自動溶接装置を用いたアーク溶接又はガス溶接等によって自動的に行うことができる。溶接ビートは例えば管本体133の長さ方向に沿って延設しても良い。このように、被覆層135を硬化肉盛によって形成すると、管本体133(母材)の外面と被覆層135との間の境界部分に溶け込みが生じ、被覆層135を管本体133に対して確実に接合させることができ、被覆層135を管本体133に対して溶射や圧着などによって接合させた場合よりも、強固に接合させることができる。従って、被覆層135が管本体133から剥離することを防止でき、管本体133を確実に保護できる。また、長時間摩擦や衝撃を受けても管本体133から剥がれにくいので、保護管102の寿命を延ばすことができる。
なお、溶射とは、接合材(溶射材料)を溶融させた状態で母材に衝突させることで、被膜を形成させる方法であるが、母材と接合材とが溶け合った状態にはならないので、接合材が受ける衝撃が大きいと、接合材が母材から剥離しやすいおそれがある。これに対し、肉盛の場合は、接合材と母材とが境界部分において互いに溶け合って溶着されるので、溶射の場合と比較して、接合材と母材を強固に接合させることができ、接合材が母材から剥離することを防止できる。
被覆層135の材料(硬化肉盛材料)としては、十分な耐熱性、耐食性、耐摩耗性を有する硬化肉盛材料、例えば鉄(Fe)を主成分としたクロム系合金(Fe−Cr系合金)などを使用しても良い。また、かかる硬化肉盛材料のビッカース硬さ(Hv)は、約500以上、より好ましくは約600以上であるとより望ましい。本実施形態においては、質量%でC(炭素)約5%〜6%、Cr(クロム)約22%、Nb(ニオブ)約6%、その他の微量元素(不純物)約7%〜8%、残部Feからなるクロム系合金(公称硬さ:Hv900)が使用されている。クロム系合金は、前述したステンレス鋼と同様に、腐食性ガスに対する耐食性を有し、さらに、ステンレス鋼よりも硬度が高く、優れた耐摩耗性を有する。即ち、被覆層135は管本体133よりも硬いので、被覆層135によって管本体133を覆うことにより、管本体133を保護し、管本体133の損傷や摩擦を好適に防止できる。なお、クロム系合金全体の平均硬度は、Hv900程度であるが、クロム系合金の表面(即ち被覆層135の表面)には、クロム系の炭化物結晶が析出しており、その結晶は、Hv1000以上程度の高い表面硬度を有し、また、高温下でも塩素系ガスに対して高い耐食性を有する。このように、クロム系合金は、高負荷環境下において非常に優れた特性(耐環境性)を有しており、被覆層135の材料に適している。
なお、クロム系合金は高温で硬化しやすく、脆性が大きく割れが生じやすいので、管本体133の材質によっては、クロム系合金の層で発生した割れが管本体133まで伝播するおそれがある。この場合、割れが深く進行して管本体133が破断するおそれがある。また、割れ目に腐食性ガスが侵入すると、管本体133が腐食性ガスに晒される危険もある。しかしながら、前述したようにステンレス鋼(特にオーステナイト系ステンレス鋼、より望ましくは、SUS316等)を管本体133として用いれば、被覆層135で発生した割れが管本体133に伝播することを好適に防止できる。また、ステンレス鋼は耐食性を有するので、割れ目を介して腐食性ガスに接触しても、管本体133が腐食することを防止できるため、より長寿命化に資する。
因みに、Crを含む合金であって鋼(例えば低合金鋼、ステンレス鋼等)に肉盛りできるものとしては、Feを主成分とするFe−Cr系合金の他にも、様々なものが知られている。例えば、CrあるいはNi(ニッケル)を主成分とするものや、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Co(コバルト)、S(硫黄)、Si(シリコン)等を含むもの等(例えばNi−Cr系合金、Ni−Cr−Mo系合金、Ni−Cr−Fe系合金、Cr−Mo系合金、Co−Cr−Mo系合金等)がある。しかしながら、被覆層135に要求される性能(硬度、耐熱性、耐食性、耐摩耗性等)を高い水準で満たすためには、上記のようなFeを主成分とするFe−Cr系合金を肉盛材料として使用することが望ましい。
保護管102の半径方向において、被覆層135の厚さは、例えば約3mm〜6mm程度にしても良い。なお、被覆層135の厚さは3mm以下に薄くしても良いが、この場合、被覆層135の中に管本体133の成分が溶け込みすぎて十分な性能が得られなくなるおそれがあり、また、被覆層135の厚さにむらが生じるなどの不都合が考えられる。そのような不都合を回避するためには、加工条件を最適化する必要があり、加工が難しくなる。一方、被覆層135を厚くすると、被覆層135の強度が向上する利点はあるが、被覆層135における熱伝導性が悪くなり、温度の測定精度に悪影響を与える懸念も考えられる。また、被覆層135の厚さが厚いほど、加工コストも高くなる。従って、肉盛溶接の機能、施工性、経済性等の観点から、被覆層135の厚さは3mm〜6mm程度にしても良く、さらに好ましくは、管本体133の厚さより薄くしても良い。なお、本実施形態において、被覆層135は、管本体133の熱伝導率と同じ程度か、あるいは、管本体133より大きい熱伝導率を有している。
ところで、上記のような保護管102を製造する際、管本体133の外面に対してそのまま被覆層135の肉盛溶接を行うと、肉盛り施工中、保護管102において熱応力や熱応力による歪み(熱ひずみ)が生じやすい。特に、管本体133が比較的細い場合(外径が小さい場合、長さが長い場合)や、管本体133の肉厚が薄い場合等には、大きな変形(反り等)が発生するおそれがある。このような問題に対処するため、以下のような製造工程を行っても良い。
先ず、図6に示すように、蓋部132を取り付けない状態の管部131の外周面に対して、肉盛溶接を行い、被覆層135を形成する。即ち、管本体133の両端部をそれぞれ開口させた状態で、肉盛溶接を施すことにより、被覆層135を管本体133の外周面(外側面)に形成させる。このようにすると、管本体133の端部を閉塞させた状態で肉盛溶接を行う場合よりも、管本体133(管部131)に発生する熱応力を低減させることができる。肉盛溶接は、例えば自動溶接装置140等を用いて、また、アーク溶接又はガス溶接等によって施すことができる。
さらに、管部131の外面に肉盛溶接を行う間、管部131(管本体133)の内部空間に、冷却用のガスを供給しても良い。例えば図6に示すように、管部131の一端部開口(図示の例では基端部開口)を通じて、管部131の外部(例えばガスノズル141)から内部空間に対して冷却用ガスを流入させ、管部131の他端部開口(図示の例では先端部開口)を通じて、内部空間から外部に冷却用ガスを流出させるようにすれば良い。こうして、冷却用ガスを管部131の開口された端部から内部空間に沿って連続的に流しながら、管部131の外周面に肉盛溶接を行えば、肉盛溶接によって与えられた熱を冷却用ガスによって奪い、管部131(管本体133)を内側から冷却することができる。このようにすると、管部131に生じる熱応力や熱ひずみを抑制しながら、被覆層135を形成できる。また、肉盛溶接後の被覆層135が迅速に冷却される。従って、被覆層135が硬化するまでの待機時間を短縮でき、被覆層135を迅速に形成できる。
管部131の外面に被覆層135を形成したら、次に、図7及び図8に示すように、管部131の先端部開口に蓋部132を備え、管部131の先端部開口を閉塞させる。
なお、管部131の先端部端面と蓋部132とは、例えば溶接等により互いに固着させても良い。その場合は、例えば上述した肉盛溶接工程(管部131の外面に被覆層135を形成する工程)において、管部131の先端部付近には、被覆層135を形成しないようにしても良い。即ち、図6、図7、図8に示すように、管部131の先端部付近に沿って、外周面を露出させた部分を残しておき、蓋部132を取り付けた後、この管部131の先端部外周面と蓋部132(大円板132a)の外周面との間の境界部分を、外側から加熱できるようにしても良い。これにより、蓋部132を管部131に対して好適に接合させることができる。
こうして管部131の先端部に蓋部132を取り付けたら、図9に示すように、蓋部132の外面(及び管部131の先端部外面)にも、被覆層135を形成する。即ち、閉塞した管本体133の端部(先端部における残りの部分)に対して肉盛溶接を施し、これにより、管本体133の外側全体を覆う被覆層135を完成させる。この工程における肉盛溶接、即ち、管本体133の先端部の肉盛溶接も、上述した管部131の肉盛溶接工程と同様に、例えば自動溶接装置140等を用いて行っても良い。
以上のような保護管102の製造方法によれば、管部131に発生する熱応力、熱ひずみ、大きな変形等を好適に抑制しながらも、被覆層135を効率的に確実に形成できる。
次に、以上のように構成された流動床炉1を用いた焼却物の焼却処理について説明する。先ず、ホッパー13に投入された焼却物と流動砂をブレンダ14で混合し、給塵装置15の稼動によって、所定の供給流量で、通路12及び投入口11を介して一次燃焼室S1内に連続的に供給する。
このように一次燃焼室S1内に供給される焼却物は、例えば廃棄自動車からリサイクル備品を取除いた残りを粉砕したシュレッダーダスト(ASR)である。ASRは、例えば廃棄自動車処理場などで粉砕され発生する。ASRの如き焼却物は、無機物としてFe、Cu、Zn、Pb等の金属、ガラス等を含み、また、有機化合物として、ゴム、繊維くずやウレタンなどの軟質樹脂、塩ビなどの硬質プラスチック等を含む。
一次燃焼室S1内に流動砂と焼却物を連続的に供給する一方で、各ガス吹込み部21から、空気と二次燃焼室S2からの排ガスとの混合ガスを流動化ガスとして一次燃焼室S1内に上向きに吹込み、流動砂を吹き上げて流動化させる。これにより、流動砂と一緒に投入した焼却物を、流動化した流動砂により攪拌させながら加熱すると、焼却物中の樹脂、繊維くず等の可燃物が熱分解又は燃焼させられて、熱分解ガス、酸化ガス等のガス成分を含む排ガス(一次燃焼ガス)が生じる。排ガスは流動層10から上昇して、流動層10の上方に設けられた二次燃焼室S2に向かう。
また、流動層10は、伝熱管群40の各伝熱管41に接触し、内部に通された冷媒により冷却され、温度が調整される。これにより、焼却物のカロリーが高い場合であっても、流動層10の温度が過度に高くなることが防止され、安定した燃焼処理ができる。ASRのような焼却物についても安定した燃焼処理ができ、燃えがらを低減することができることが確認された。流動層10の温度は、約500℃〜約1100℃程度(例えば約600℃〜約800℃程度)に維持される。
この一次燃焼室S1の温度は、複数の温度測定器45によって測定される。例えば流動層10中の下部の温度は、伝熱管群40の下方に設けられている温度測定器45によって測定され、流動層10中の上部の温度は、伝熱管群40の中央部の高さに設けられている温度測定器45によって測定される。また、流動層10よりも上方の雰囲気の温度(即ち、流動層10から上昇する排ガスの温度)は、伝熱管群40(流動層10)よりも上方に設けられている温度測定器45によって測定される。
焼却後に残った焼却物の燃えがらと流動砂は、取出し口30から排出される。そして、篩等によって燃えがらが選別除去された後、流動砂がホッパー13に戻される。
一方、一次燃焼室S1から二次燃焼室S2に上昇した排ガスは、二次燃焼室S2の下端部において、噴射口49から供給された火炎が混合させられることにより加熱される。この火炎により、排ガスの燃焼が促進させられる。排ガスは二次燃焼させられながら二次燃焼室S2内を上昇し、未燃ガスや微細な焼却物の燃焼が行われた後、排気口50から排出される。そして、バグフィルタ52によって排ガス中の飛灰等が集塵された後、外部に排出される。
ところで、上記のような焼却処理を行う間、各温度測定器45の先端部(保護管102の先端部)は、炉体2内の高温に晒され、また、焼却物の化学反応により生じた高腐食性ガス(HCl、Cl等)に晒される。特に、流動層10中の温度を測定する温度測定器45に対しては、流動する金属片や砂等、鋭形で硬質な物質が頻繁に衝突する。さらに、流動層10に吹き込まれた流動化用ガスにより、温度測定器45が外側から加圧される。
このような状態にあっても、各温度測定器45においては、保護管102の管本体133が被覆層135によって覆われて保護されているので、管本体133に対して流動砂や焼却物が直接衝突したり腐食性ガスの成分が直接的に接触したりすることはない。従って、管本体133の摩耗、破損、腐食等を効果的に防止できる。即ち、保護管102の損傷を防止でき、ひいては、温度計71を保護管102によって確実に保護できる。
特に、被覆層135は優れた耐食性を有するので、炉体2内に生じた高腐食性ガスに長時間晒されても腐食されずに、管本体133を保護し続けることができる。さらに、被覆層135は肉盛溶接によって管本体133に対して非常に強固に接合されているので、長時間繰り返し衝撃を受けても、管本体133から脱落せずに、管本体133を確実に保護し続けることができる。
かかる温度測定器45の保護管102によれば、被覆層135によって管本体133を被覆することで、保護管102の機械的強度が補強されるとともに、管本体133を被覆層135によって確実に保護できる。即ち、保護管102に十分な耐久性を持たせることができ、耐熱性、耐摩耗性、耐食性等を高めることが出来る。保護管102が炉体2内の高温、高腐食性の環境に晒されても、保護管102の摩耗、損傷、腐食、割れ等の劣化を防止でき、保護管102の寿命を延命させることができる。従って、保護管102や温度測定器45の点検、補修、交換等の頻度を少なくすることができる。また、保護管102や温度測定器45の点検、補修、交換等に要する人件費や設備費等のコストを削減できる。特に、被覆層135を肉盛溶接によって形成することにより、管本体133に対して強固に接合させることができる。即ち、被覆層135が剥離しにくく、被覆層135の寿命を長くすることができ、ひいては、保護管102の寿命をより長くすることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば温度測定器45の設置箇所は、以上の実施形態に示した位置(一次燃焼室S1の温度を測定する位置)には限定されない。勿論、二次燃焼室S2の温度を測定する位置に設けても良い。また、流動床炉1の構造も、以上の実施形態には限定されない。
温度測定器45の構造も、以上の実施形態には限定されない。例えば保護管102は、必ずしも管部131と蓋部132の二つの部品からなる構造で無くてもよく、全体が一体的に製作された片封じ管であっても良い。また、保護管102の材質、形状、寸法(管本体133の材質、形状、寸法、被覆層135の材質、寸法等)、保護管102の製造方法等も、以上の実施形態には限定されない。例えば保護管102の形状は、角管、楕円管(横断面形状が略楕円形の管)等であっても良い。
以上の実施形態では、被覆層135は、管本体133の外面全体を覆うように形成するとしたが、管本体133の一部だけを覆うようにしても良い。例えば、流動砂や焼却物が比較的勢い良く衝突する部分(管本体133の下面や先端部等)だけを被覆しても良い。
管本体133の厚さや被覆層135の厚さは、部分的に厚く形成したり薄く形成したりしても良い。例えば図10に示すように、管本体133の下面においては、被覆層135の厚さを他の部分より厚くしても良い。この場合、流動砂や焼却物が勢い良く衝突しやすい保護管102の下面を、好適に補強できる。また、例えば図11に示すように、管本体133の先端部において、被覆層135の厚さを他の部分より厚くしても良い。この場合も、流動砂や焼却物が勢い良く衝突しやすい先端部を、好適に補強できる。また、例えば、管本体133の下面(あるいは管本体133の先端部)以外の他の部分においては、被覆層135の肉盛を1重盛りとし、管本体133の下面(あるいは管本体133の先端部)においては、被覆層135の肉盛を2重盛りとすることで、厚みに変化を与えても良い。
以上の実施形態では、管本体133は一本の管体(半径方向において一層のみを有する管体)であるとしたが、例えば複数の管からなる管体(半径方向において複数の層を有する管体)にしても良い。例えば図12に示すように、管部131は、外管131aの内側に内管131bが挿入された構造、即ち、二重管にしても良い。その場合、外管131aをステンレス鋼(例えばオーステナイト系ステンレス鋼)とし、外管131aの外面に対して、例えばクロム系合金からなる被覆層135を形成すれば良い。
以上の実施形態では、被覆層135は一層(半径方向において一層のみ)であるとしたが、勿論、複数の層にしても良い。例えば図13に示すように、管本体133の外面に対して第一の被覆層135aを形成し、その第一の被覆層135aの外面に対して、第二の被覆層135bを形成しても良い。その場合、第一の被覆層135aは、管本体133を母材とした肉盛溶接により形成しても良い。第二の被覆層135bは、第一の被覆層135aを母材とした肉盛溶接により形成しても良い。
また、図13において、管本体133としては、例えば十分な耐熱性を有し、熱応力による割れが生じない程度の延性を有する材質のもの、例えば、ボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管(例えばSTB35E、STB340E等)等の低炭素鋼からなる管、又は、ボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管(例えばSTBA24等)等の低合金鋼(クロムモリブデン鋼)からなる管等を使用しても良い。第一の被覆層135aの材料としては、十分な耐熱性、耐食性を有し、管本体133の材料と同程度の延性が得られる材質のもの、例えばステンレス鋼を使用しても良く、特にオーステナイト系ステンレス鋼を使用すると良い。第二の被覆層135bの材料としては、十分な耐熱性、耐食性、耐摩耗性を有する硬化肉盛材料、例えば鉄(Fe)を主成分としたクロム系合金を使用しても良い。要するに、保護管102において最も外側に位置する最外層部が、クロム系合金からなり、かかるクロム系合金の最外層部は、ステンレス鋼(特にオーステナイト系ステンレス鋼)からなる内層部を母材として肉盛溶接により形成されたものであれば好ましい。
以上の実施形態では、被覆層135は、Feを主成分としC、Nb等を含有するクロム系合金からなるとしたが、クロム系合金の組成は、実施の形態に示したものには限定されない。例えばC、Nb以外の元素を添加したものであっても良い。
以上の実施形態では、処理装置としては流動床炉1を例示し、温度測定器45は、流動床炉1内(流動層10あるいは排ガス)の温度を測定するものとしたが、かかるものに限定されず、本実施形態における温度測定器45や保護管102は、様々な測定を行う機器に対して応用できる。特に、高温環境、高腐食性環境、摩耗を与える虞がある摩耗因子が存在する環境等においても、長寿命を図ることができ、好適に適用可能である。例えば800℃程度の高温環境での測定であっても、好適に使用できる。
温度測定器が備えられる処理装置の構造は、流動床炉1に限定されず、他の構造の焼却炉(例えばロータリーキルン等)等であっても良い。また、処理装置において処理される被処理物は、ASRや廃棄物等には限定されず、他の性状のものであっても良い。例えばペレット状のもの(フェライトペレット等)、あるいは、粉流体(例えば鉄粉等の金属粉)等であっても良い。即ち、処理装置とは、廃棄物の焼却処理用のものに限定されず、例えばフェライトペレットを製造するために用いられる熱処理装置や、鉄粉を製造するために用いられる熱処理装置等であっても良い。
本発明者らは、本実施形態における保護管102の効果を確認するため、以下のような試験を行った。先ず、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS316管)からなる管本体133の外面に対して、クロム系合金(質量%でC約5%、Cr約22%、Nb約6%を含む合金)からなる被覆層135を、肉盛溶接により形成し、保護管102を製作した。かかる保護管102を有する温度測定器45を、流動床炉1に取り付けた。そして、流動床炉1において廃棄物の焼却処理を行い、保護管102の寿命を調べた。その結果、保護管102の寿命は、約3ヶ月以上であることが確認された(図14参照)。このことは、本実施形態にかかる温度測定器45を使用することによって、保護管102の交換のために流動床炉1の運転を停止させる回数(停止頻度)を低減できることを示し、また、操業効率が大幅に改善されうることを表す。
(比較例)
被覆層を備えない保護管を有する温度測定器を、流動床炉1に取り付け、上記の試験と同様に焼却処理を行い、保護管の寿命を調べる比較試験を実施した(図14参照)。保護管としては、図14に示す5種類の材質のものを用意した。即ち、インコネル(Ni、Cr、Mo、Ti、Fe等を含む特殊合金)によって形成された保護管、ハステロイ(Ni、Cr、Mo、Co、Fe等を含む特殊合金)によって形成された保護管、アルミナ(Al)によって形成された保護管、炭化ケイ素(SiC)によって形成された保護管、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS316)によって形成された保護管を使用した。
比較試験の結果、インコネルからなる保護管とハステロイからなる保護管の寿命(即ち、特殊合金系の保護管)は、それぞれ約2ヶ月程度であった。アルミナからなる保護管と炭化ケイ素からなる保護管の寿命(即ち、セラミックス系の保護管)は、それぞれ約1ヶ月程度であった。オーステナイト系ステンレス鋼からなる保護管の寿命も、約1ヶ月程度であった。
即ち、実施の形態において示した被覆層135を有する保護管102は、比較試験において使用したいずれの保護管よりも、寿命が長いことが確認された。特に、オーステナイト系ステンレス鋼からなる保護管に、被覆層135を形成するだけで、約1ヶ月程度の寿命を約3ヶ月以上まで、大幅に延命できることが分かった。
本発明は、例えば流動床炉等に備えられる温度測定器の保護管、保護管の製造方法、流動床炉等に適用できる。さらには、温度測定器を備える流動床炉等の温度制御システムの構築に影響を与えるものと考えられる。
本実施形態にかかる流動床炉の概略縦断面図である。 流動床炉の概略横断面図である。 温度測定器の概略側面図である。 温度測定器の先端部の構成を説明する縦断面図である。 温度計本体と保護管の構成を説明する横断面図である。 保護管の製造方法において、管部に被覆層を肉盛溶接する工程を説明する説明図である。 保護管の製造方法において、管部に蓋部を取り付ける工程を説明する説明図である。 保護管の製造方法において、管部に蓋部を取り付けた状態を説明する説明図である。 保護管の製造方法において、管本体の先端部に被覆層を肉盛溶接する工程を説明する説明図である。 被覆層の厚さを保護管の下部において厚くした実施形態にかかる説明図である。 被覆層の厚さを保護管の先端部において厚くした実施形態にかかる説明図である。 管本体を二重管にした実施形態にかかる説明図である。 被覆層を二層にした実施形態にかかる説明図である。 実施例の試験結果を示す表である。
符号の説明
1 流動床炉
45 温度測定器
71 温度計
72 収納容器
81 温度計本体
85 熱電対
102 保護管
133 管本体
135 被覆層

Claims (9)

  1. 管本体の内部に温度計を備える温度測定器の保護管であって、
    前記管本体の外側に、前記管本体の一部又は全部を覆う被覆層が設けられ、
    前記被覆層は、前記管本体に対してクロム系合金を肉盛溶接することにより形成されることを特徴とする、温度測定器の保護管。
  2. 前記管本体はステンレス鋼からなることを特徴とする、請求項1に記載の温度測定器の保護管。
  3. 前記温度計は、熱電対を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の温度測定器の保護管。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載された温度測定器の保護管の製造方法であって、
    前記管本体の両端部を開口させた状態で、前記管本体に対して肉盛溶接を施すことにより、前記被覆層を前記管本体の外側面に形成させた後、
    前記管本体の端部を閉塞し、
    閉塞した前記管本体の端部に対して肉盛溶接を施すことにより、前記被覆層を前記管本体の端部にも形成させることを特徴とする、温度測定器の保護管の製造方法。
  5. 前記管本体の両端部を開口させた状態で、前記管本体の内部空間に冷却用ガスを供給しながら、前記管本体に対して肉盛溶接を施すことを特徴とする、請求項4に記載の温度測定器の保護管の製造方法。
  6. 温度計と、請求項1〜3のいずれかに記載された温度測定器の保護管とを備えることを特徴とする、温度測定器。
  7. 炉体内で流動媒体を流動させ焼却物を焼却させる流動床炉に備えられ、前記炉体内の温度を測定することを特徴とする、請求項6に記載の温度測定器。
  8. 炉体内で流動媒体を流動させ焼却物を焼却させる流動床炉であって、
    請求項6に記載された温度測定器を備えることを特徴とする、流動床炉。
  9. 炉体内で流動媒体を流動させ焼却物を焼却させる流動床炉の前記炉体内の温度を制御する流動床炉の温度制御システムであって、
    請求項6に記載された温度測定器を備えることを特徴とする、流動床炉の温度制御システム。
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