JP2008063536A - 環状オレフィン系樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Rth(λ)を低減させる有機化合物を少なくとも1種、環状オレフィン系樹脂固形分に対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする環状オレフィン系樹脂フィルム(上記Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(nm)を表す。)、該フィルムを用いた偏光板および液晶表示装置。
【選択図】なし
Description
液晶表示装置は、偏光板と液晶セルから構成されている。現在、液晶表示装置の主流であるTNモードのTFT液晶表示装置においては、特許文献1に記載のように、光学補償シートを偏光板と液晶セルの間に挿入することにより、表示品位の高い液晶表示装置が実現されている。
しかし、セルローストリアセテートは水分の吸収や透過が多く、そのため光学補償性能が変化したり、偏光子が劣化したりしやすいという問題点があった。またTN液晶表示装置では電源オン後経時に、セルローストリアセテートフィルムに応力や熱が生じてパネル周辺にしわ寄せがゆき、画面4辺に光漏れを生じたり、またVAモード液晶表示装置では電源オン後経時に、積層するフィルムの弾性力の違いなどからそりが発生して4隅に光漏れを生じたりする問題があった。
2.Rth(λ)およびRe(λ)を低減させる有機化合物を少なくとも1種、環状オレフィン系樹脂固形分に対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする環状オレフィン系樹脂フィルム。(上記Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(nm)を表し、Re(λ)は波長λnmにおける正面方向のレターデーション値(nm)を表す。)
3.Rth(λ)単独、又はRth(λ)及びRe(λ)の双方を低減させる有機化合物として下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種、環状オレフィン系樹脂固形分に対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする上記1または2のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂フィルム。
4.上記一般式(1)が下記一般式(2)で表されることを特徴とする上記3に記載の環状オレフィン系樹脂フィルム。
5.下記一般式(3)で表される化合物を少なくとも1種、環状オレフィン系樹脂固形分に対して0.01〜20質量%含むことを特徴とする上記1または2のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂フィルム。
6.下記一般式(4)で表される化合物を少なくとも1種、環状オレフィン系樹脂固形分に対して0.01〜20質量%含むことを特徴とする上記1または2のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂フィルム。
7.下記一般式(5)〜一般式(15)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種、環状オレフィン系樹脂固形分に対して0.01〜20質量%含むことを特徴とする上記1または2のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂フィルム。
8.前記環状オレフィン系樹脂が、下記[A−1]、[A−2]および[A−3]からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン系樹脂を含有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂フィルム。
[A−1]少なくとも1種以上の下記一般式(16)で表される繰り返し単位、および少なくとも1種以上の下記一般式(17)で表される繰り返し単位を含む付加共重合体、
[A−2]下記一般式(17)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体、および、
[A−3]下記一般式(18)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む開環(共)重合体。
9.前記環状オレフィン系樹脂フィルム面内の遅相軸の平均的な方向が、フィルム幅手方向に対して±2.0°以内であり、その標準偏差が0.8以内であることを特徴とする上記1から8のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂フィルム。
10.偏光子と、その両側に配置された2枚の保護膜からなる偏光板において、前記保護膜のうち少なくとも1枚が、上記1〜9のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂フィルムであることを特徴とする偏光板。
11.上記1〜9のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂フィルム、上記10に記載の偏光板の少なくともいずれか一方を有することを特徴とする液晶表示装置。
12.液晶セルと該液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する液晶表示装置であって、前記偏光板が上記10に記載の偏光板であることを特徴とするIPS、OCB、TN、またはVAモード液晶表示装置。
13.上記10に記載の偏光板をバックライト側に用いたことを特徴とするVAモード液晶表示装置。
まず本発明の目的とする効果を発揮する本発明に特徴的な光学特性を調整する化合物について説明する。本発明においては、ReとRthに係る光学特性のそれぞれ又は一方を調整する化合物であれば用いることができるが、特に一般式(1)で表される化合物を用いることが発明の効果を顕著に発揮させて好ましいので、はじめに一般式(1)で表される化合物を詳細に説明する。
R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24およびR25が置換基を表す場合、それらの置換基は一般式(2)のR11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24およびR25が表す置換基と同義である。
R11、R12およびR13で表される脂肪族基は置換されていてもよく、置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐、環状のアルキル基で、ビシクロアルキル基、活性メチン基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基またはその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
これらの基はさらに組み合わされて複合置換基を形成してもよく、このような置換基の例としては、エトキシエトキシエチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、エトキシカルボニルエチル基などを挙げることができる。また、R11、R12およびR13は置換基としてリン酸エステル基を含有することもでき、一般式(3)の化合物は同一分子中に複数のリン酸エステル基を有することも可能である。
芳香族炭化水素環として好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどの各環が挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン環、トリアジン環及びキノリン環である。
R11、R12およびR13はより好ましくは芳香族炭化水素環であり、特に好ましくはベンゼン環である。
また、Zを含んで構成される5または6員環は、ラクトン構造またはラクタム構造、すなわち、Zの隣接炭素にオキソ基を有する環状エステルまたは環状アミド構造を含む。このような環状エステルまたは環状アミド構造の例としては、2−ピロリドン、2−ピペリドン、5−ペンタノリド、6−ヘキサノリドを挙げることができる。
一般式(7)〜(15)において、Y31〜Y70はそれぞれ独立に、エステル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、カルバモイル基またはヒドロキシ基を表す。エステル基としては、好ましくは炭素数が1ないし20、さらに好ましくは炭素数が1ないし16、特に好ましくは、炭素数が1ないし12であり、例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、n−ブチルカルボニルオキシ、iso−ブチルカルボニルオキシ、t−ブチルカルボニルオキシ、sec−ブチルカルボニルオキシ、n−ペンチルカルボニルオキシ、t−アミルカルボニルオキシ、n−ヘキシルカルボニルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、1−エチルペンチルカルボニルオキシ、n−ヘプチルカルボニルオキシ、n−ノニルカルボニルオキシ、n−ウンデシルカルボニルオキシ、ベンジルカルボニルオキシ、1−ナフタレンカルボニルオキシ、2−ナフタレンカルボニルオキシ、1−アダマンタンカルボニルオキシなどが挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数が1ないし20、さらに好ましくは炭素数が1ないし16、特に好ましくは、炭素数が1ないし12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、iso−ブチルオキシカルボニル、sec−ブチルオキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニルなど、1−エチルプロピルオキシカルボニル、n−オクチルオキシカルボニル、3,7−ジメチル−3−オクチルオキシカルボニル、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシカルボニル、4−t−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル、2,4−ジメチルペンチル−3−オキシカルボニル、1−アダマンタンオキシカルボニル、2−アダマンタンオキシカルボニル、ジシクロペンタジエニルオキシカルボニル、n−デシルオキシカルボニル、n−ドデシルオキシカルボニル、n−テトラデシルオキシカルボニル、n−ヘキサデシルオキシカルボニルなどが挙げられる。
Y31〜Y70はさらに置換基を有していてもよく、例としては前記のR11〜R13に置換していても良い基を挙げることができる。
本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムに使用する環状オレフィン系樹脂とは、環状オレフィン構造を有する重合体樹脂のことを表す。環状オレフィン構造を有する重合体樹脂の例には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(1)〜(4)の水素化物などがある。本発明に好ましい重合体は下記一般式(4)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体環状オレフィン系樹脂および必要に応じ、一般式(3)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加(共)重合体環状オレフィン樹脂である。また、一般式(5)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体も好適に使用することができる。
本発明の環状オレフィン系樹脂組成物およびフィルムには、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、劣化防止剤、紫外線防止剤、微粒子、剥離促進剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に劣化防止剤の混合などである。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期は環状オレフィン系樹脂溶液(ドープ)作製工程において何れの段階で添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、環状オレフィン系樹脂フィルムが多層構成で形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。
本発明の環状オレフィン系樹脂組成物およびフィルムには、公知の劣化(酸化)防止剤、例えば、フェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。さらに、リン系酸化防止剤をすることが好ましい。酸化防止剤の添加量は、環状オレフィン系樹脂100質量部に対して、0.05〜5.0質量部を添加することが好ましい。
本発明の環状オレフィン系樹脂組成物およびフィルムには、偏光板または液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、環状オレフィン系樹脂に対して質量割合で1ppm〜100000ppmが好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムには、傷が付いたり搬送性が悪化したりすることを防止するために有機及び/又は無機物質のマット剤微粒子を含有させ、いわゆるマット化することが好ましい。
ポリマーとマット剤の入った溶液を流延し製膜する方法の場合、ポリマー溶液を調整する際にマット剤を分散しても良いし、ポリマー溶液を流延する直前にマット剤の分散液を添加してもよい。マット剤をポリマー溶液に分散するには、分散助剤として界面活性剤あるいはポリマーを少量添加してもよい。又、上記方法の他にマット剤層を製膜後塗設してもよい。この場合、マット剤層の形成にはバインダーを用いることが好ましい。本発明のマット剤を含有する層のバインダーとしては特に限定されず親油性バインダーでもよく又親水性バインダーでもよい。親油性バインダーとしては公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、反応型樹脂およびこれらの混合物を使用することができる。上記樹脂のTgは80℃〜400℃が好ましく、120℃〜350℃がより好ましい。上記樹脂の質量平均分子量は1万〜100万が好ましく、1万〜50万がより好ましい。
環状オレフィン系樹脂フィルムの剥離抵抗を小さくする添加剤としては界面活性剤に効果の顕著なものが多くみつかっている。好ましい剥離剤としては燐酸エステル系の界面活性剤、カルボン酸あるいはカルボン酸塩系の界面活性剤、スルホン酸あるいはスルホン酸塩系の界面活性剤、硫酸エステル系の界面活性剤が効果的である。また上記界面活性剤の炭化水素鎖に結合している水素原子の一部をフッ素原子に置換したフッ素系界面活性剤も有効である。
本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムの製膜法には、例えば熱溶融製膜の方法と溶液製膜の方法があり、いずれも適応可能である。まず溶液製膜方法について記述する。
次に、本発明の溶液製膜の際に環状オレフィン系樹脂が溶解される有機溶剤について記述する。本発明においては、環状オレフィン系樹脂が溶解し流延、製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは、使用できる有機溶剤は特に限定されない。本発明で用いられる有機溶剤は、例えばジクロロメタン、クロロホルムの如き塩素系溶剤、炭素原子数が3〜12の鎖状炭化水素、環状炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶剤が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。炭素原子数が3〜12の鎖状炭化水素類の例としては、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカンなどが挙げられる。炭素原子数が3〜12の環状炭化水素類としてはシクロペンタン、シクロヘキサン、デカリン及びその誘導体が挙げられる。炭素原子数が3〜12の芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶剤の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。有機溶剤の好ましい沸点は35℃以上且つ200℃以下である。本発明に使用される溶剤は、乾燥性、粘度等の溶液物性調節のために2種以上の溶剤を混合して用いることができ、更に、混合溶媒で環状オレフィン系樹脂が溶解する限りは、貧溶媒を添加することも可能である。
次に本発明に係る環状オレフィン系樹脂溶液(ドープとも呼ぶ)の調製については、室温攪拌溶解による方法、室温で攪拌してポリマーを膨潤させた後−20℃から−100℃まで冷却し再度20から100℃に加熱して溶解する冷却溶解法、密閉容器中で主溶剤の沸点以上の温度にして溶解する高温溶解方法、さらには溶剤の臨界点まで高温高圧にして溶解する方法などがある。溶解性のよいポリマーは室温溶解が好ましいが、溶解性の悪いポリマーは密閉容器中で加熱溶解することが好ましい。溶解性がさほど悪くないポリマーの場合はできるだけ低い温度を選ぶ方が、工程的には容易になる。
環状オレフィン系樹脂溶液の製膜直前の粘度は、製膜の際に流延可能な範囲であればよく、通常5Pa・s〜1000Pa・sの範囲に調製されることが好ましく、15Pa・s〜500Pa・sがより好ましく、30Pa・s〜200Pa・sが更に好ましい。なお、この時の温度はその流延時の温度であれば特に限定されないが、好ましくは−5〜70℃であり、より好ましくは−5〜35℃である。
環状オレフィン系樹脂溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供するのと同様の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が好ましく用いられる。以下に好ましい溶液流延製膜方法について述べるが、これに限定されるものではない。
溶解機(釜)から調製されたドープ(環状オレフィン系樹脂溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、テンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。以下に各製造工程について簡単に述べるが、これらに限定されるものではない。
さらに特開2000−301555号、特開2000−301558号、特開平7−032391号、特開平3−193316号、特開平5−086212号、特開昭62−037113号、特開平2−276607号、特開昭55−014201号、特開平2−111511号、および特開平2−208650号の各公報に記載のセルロースアシレート製膜技術を本発明では応用できる。
環状オレフィン系樹脂溶液を、例えば金属支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数の環状オレフィン系樹脂溶液を流延してもよい。
溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイから金属支持体上に均一に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、或いは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ等があるがいずれも好ましく用いることができる。また、ここで挙げた方法以外にも従来知られているセルローストリアセテート溶液を流延製膜する種々の方法で実施でき、用いる溶剤の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することによりそれぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムを製造するのに使用されるエンドレスに走行する金属支持体としては、表面がクロムメッキによって鏡面仕上げされたドラムや表面研磨によって鏡面仕上げされたステンレスベルト(バンドといってもよい)が好適に用いられる。本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムの製造に用いられる加圧ダイは、金属支持体の上方に1基或いは2基以上の設置でもよい。好ましくは1基または2基である。2基以上設置する場合には流延するドープ量をそれぞれのダイに種々な割合にわけてもよく、複数の精密定量ギヤアポンプからそれぞれの割合でダイにドープを送液してもよい。流延に用いられる環状オレフィン系樹脂溶液の温度は、−10〜55℃が好ましくより好ましくは25〜50℃である。その場合、工程のすべてが同一でもよく、あるいは工程の各所で異なっていてもよい。異なる場合は、流延直前で所望の温度であればよい。
環状オレフィン系樹脂フィルムの製造に係わる金属支持体上におけるドープの乾燥は、一般的には金属支持体(例えばドラム或いはバンド)の表面側、つまり金属支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラム或いはバンドの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をバンドやドラムのドープ流延面の反対側である裏面から接触させて、伝熱によりドラム或いはバンドを加熱し表面温度をコントロールする液体伝熱方法などがあるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の金属支持体の表面温度はドープに用いられている溶剤の沸点以下であれば何度でもよい。しかし乾燥を促進するためには、また金属支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶剤の内の最も沸点の低い溶剤の沸点より1〜10度低い温度に設定することが好ましい。尚、流延ドープを冷却して乾燥することなく剥ぎ取る場合はこの限りではない。
生乾きのフィルムを金属支持体から剥離するとき、剥離抵抗(剥離荷重)が大きいと、製膜方向にフィルムが不規則に伸ばされて光学的な異方性ムラを生じることがある。特に剥離荷重が大きいときは、製膜方向に段状に伸ばされたところと伸ばされていないところが交互に生じて、レターデーションに分布を生じる。液晶表示装置に装填すると線状あるいは帯状にムラが見えるようになる。このような問題を発生させないためには、フィルムの剥離荷重をフィルム剥離幅1cmあたり0.25N以下にすることが好ましい。剥離荷重を小さくする方法としては、前述のように剥離剤を添加する方法と、使用する溶剤組成の選択による方法がある。
本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムを延伸処理する場合は、剥離のすぐ後の未だフィルム中に溶剤が十分に残留している状態で行うことが好ましい。一般的な延伸の目的は、(1)しわや変形のない平面性に優れ、面内方向のレターデーションの均一なフィルムを得るため及び/又は、(2)フィルムの面内レターデーションを大きくするために行う。
環状オレフィン系樹脂フィルムは延伸後更に乾燥し、残留揮発分を2%以下にして巻き取るのが好ましい。巻き取る前にフィルムの両端にナーリングを施すことが好ましい。ナーリングの幅は3mm〜50mm、より好ましくは5mm〜30mm、高さは1〜50μmであり、好ましくは2〜20μm、より好ましくは3〜10μmである。これは片押しであっても両押しであっても良い。
フィルム厚さの調製は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。以上のようにして得られた環状オレフィン系樹脂フィルムの幅は0.5〜3mが好ましく、より好ましくは0.6〜2.5m、さらに好ましくは0.8〜2.2mである。長さは1ロールあたり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、幅は3mm〜50mm、より好ましくは5m〜30mm、高さは0.5〜500μmであり、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであっても良い。全幅のRe値のばらつきが±5nmであることが好ましく、±3nmであることが更に好ましい。また、Rth値のバラツキは±10nmが好ましく、±5nmであることが更に好ましい。また、長さ方向のRe値、及びRth値のバラツキも幅方向のバラツキの範囲内であることが好ましい。
本発明の出来上がり(乾燥後)の環状オレフィン系樹脂フィルムの厚さは、使用目的によって異なるが、通常5μm〜500μmの範囲であり、30μm〜150μmの範囲が好ましく、特に液晶表示装置用には40μm〜110μmであることが好ましい。
フィルム厚さの調製は、所望の厚さおよび本発明に厚さ分布になるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。以上のようにして得られた環状オレフィン系樹脂フィルムの幅は0.5μm〜3mが好ましく、より好ましくは0.6μm〜2.5m、さらに好ましくは0.8μm〜2.2mである。長さは1ロールあたり100m〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500m〜7000mであり、さらに好ましくは1000m〜6000mである。全幅のRe値のばらつきが±5nmであることが好ましく、±3nmであることが更に好ましい。また、Rth値のバラツキは±10nmが好ましく、±5nmであることが更に好ましい。また、長さ方向のRe値、及びRth値のバラツキも幅方向のバラツキの範囲内であることが好ましい。
本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムの好ましい光学特性は、フィルムの用途により異なる。偏光板保護フィルム用途の場合は、面内レターデーション(Re)は5nm以下が好ましく、3nm以下が更に好ましい。厚さ方向レターデーション(Rth)も50nm以下が好ましく、35nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましい。
環状オレフィン系樹脂フィルムを光学補償フィルム(位相差フィルム)として使用する場合は、位相差フィルムの種類によってReやRthの範囲は異なり、多様なニーズがあるが、Reは0nm以上100nm以下、Rthは40nm以上400nm以下であることが好ましい。TNモードならReは0nm以上20nm以下、Rthは40nm以上80nm以下、VAモードならReは20nm以上80nm以下、Rthは80nm以上400nm以下がより好ましく、特にVAモードで好ましい範囲は、Reは30nm以上75nm以下、Rthは120nm以上250nm以下であり、一枚の位相差膜で補償する場合は、Reは50nm以上75nm以下、Rthは180nm以上250nm以下、2枚の位相差膜で補償する場合は、Reは30nm以上50nm以下、Rthは80nm以上140nm以下であることがVAモードの補償膜の場合、黒表示時のカラーシフト、コントラストの視野角依存性の点でより好ましい態様である。
本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムは使用するポリマー構造、添加剤の種類及び添加量、延伸倍率、剥離時の残留揮発分などの工程条件を適宜調節することで所望の光学特性を実現することができる。例えば剥離時の残留揮発分を40〜85質量%内で調節することにより厚さ方向のレターデーションRthを180〜300nmに幅広く制御することも可能である。一般に剥離時の残留揮発分が多いほど、Rthは小さくなり、剥離時の残留揮発分が少ないほどRthは大きくなる。例えば金属支持体上での乾燥時間を短くし、剥離時残留揮発分を多くすることで、面配向を緩和させてRthを低くすることが自在にでき、工程条件を調節することにより様々な用途に応じた様々なレターデーションを発現することが可能である。
次いで、本発明の偏光板について説明する。
本発明の偏光板は、偏光子と、その両側に配置された2枚の保護膜からなる偏光板において、前記保護膜のうちの少なくとも1枚が上述の本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムであることを特徴とする。偏光板は、通常、偏光子およびその両側に配置された2枚の透明保護膜を有する。両方または一方の保護膜として、本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムを用いる。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフィルム等を用いてもよい。偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムを偏光板保護膜として用いる場合、フィルムは後述の如き表面処理を行い、しかる後にフィルム処理面と偏光子とを接着剤を用いて貼り合わせる。使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス、ゼラチン等が挙げられる。偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
本発明では、偏光子と保護フィルムとの接着性を改良するため、環状オレフィン系樹脂保護フィルムの表面を表面処理することが好ましい。表面処理については、接着性を改善できる限りいかなる方法を利用してもよいが、好ましい表面処理としては、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理及び火炎処理が挙げられる。ここでいうグロー放電処理とは、低圧ガス下でおこる、いわゆる低温プラズマのことである。本発明では大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。その他、グロー放電処理の詳細については、米国特許第3462335号、米国特許第3761299号、米国特許第4072769号及び英国特許第891469号の各明細書に記載されている。放電雰囲気ガス組成を放電開始後にポリエステル支持体自身が放電処理を受けることにより容器内に発生する気体種のみにした特表昭59−556430号公報に記載された方法も用いられる。また真空グロー放電処理する際に、フィルムの表面温度を80℃以上180℃以下にして放電処理を行う特公昭60−16614号公報に記載された方法も適用できる。
なぜなら、火炎処理による表面処理の効果は活性な酸素を含むプラズマによってもたらされると考えられるからであり、火炎の重要な性質であるプラズマの活性(温度)と酸素がどれだけ多くあるかがポイントである。このポイントの支配因子はガス/酸素比であり、過不足なく反応する場合にエネルギー密度が最も高くなりプラズマの活性が高くなる。具体的には、天然ガス/空気の好ましい混合比は容積比で1/6〜1/10、好ましくは1/7〜1/9である。また、液化プロパンガス/空気の場合は1/14〜1/22、好ましくは1/16〜1/19、都市ガス/空気の場合は1/2〜1/8、好ましくは1/3〜1/7である。また、火炎処理量は1〜50Kcal/m2、より好ましくは3〜20Kcal/m2の範囲で行うとよい。またバーナーの内炎の先端とフィルムの距離は3〜7cm、より好ましくは4〜6cmにするとよい。バーナーのノズル形状は、フリンバーナー社(米国)のリボン式、ワイズ社(米国)の多穴式、エアロジェン(英国)のリボン式、春日電機(日本)の千鳥型多穴式、小池酸素(日本)の千鳥型多穴式が好ましい。火炎処理にフィルムを支えるバックアップロールは中空型ロールであり、冷却水を通して水冷し、常に20〜50℃の一定温度で処理するのがよい。
ポリビニルアルコールからなる偏光子と、表面処理された環状オレフィン系樹脂からなる保護フィルムとを貼合する際には、水溶性ポリマーを含有する接着剤を用いることが好ましい。
前記接着剤に好ましく使用される水溶性ポリマーとしては、N−ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、ビニルアルコール、メチルビニルエーテル、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド,ジアセトンアクリルアミド、ビニルイミダゾールなどエチレン性不飽和モノマーを構成要素として有する単独重合体もしくは共重合体、またポリオキシエチレン、ボリオキシプロピレン、ポリ−2−メチルオキサゾリン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースゼラチン、などが挙げられる。本発明では、この中でもPVA及びゼラチンが好ましい。
偏光板の、液晶セルと反対側に配置される透明保護膜には反射防止層などの機能性膜を設けることが好ましい。特に、本発明では透明保護膜上に少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層した反射防止層または透明保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に用いられる。
さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
次いで、本発明の液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明の環状オレフィン系樹脂フィルム、上述の本発明の偏光板のうち少なくとも1枚を有することを特徴とする。
本発明の環状オレフィン系樹脂フィルム、該フィルムからなる位相差フィルム、該フィルムを用いた偏光板は、様々な表示モードの液晶セル、液晶表示装置に用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、ECB(Electrically Controled Birefringence)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。このうち、IPSモード、OCBモードまたはVAモードに好ましく用いることができる。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
VAモードの液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された2枚の偏光板からなる。液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。本発明の透過型液晶表示装置の1つの態様では、本発明の環状オレフィン系樹脂フィルムは、液晶セルと一方の偏光板との間に、1枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置する。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、製膜用ドープを調製した。
ジクロロメタン 317質量部
メタノール 27.6質量部
化合物D−7 (東京化成工業(株)製) 10.0質量部
[実施例2]
製膜用ドープの組成を下記とした以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムF−2を得た。フィルムF−2の膜厚は80μmであった。
ジクロロメタン 317質量部
メタノール 27.6質量部
化合物E−1 (東京化成工業(株)製) 10.0質量部
製膜用ドープの組成を下記とした以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムF−3を得た。フィルムF−3の膜厚は80μmであった。
ジクロロメタン 317質量部
メタノール 27.6質量部
トリフェニルフォスフェート(TPP) 10.0質量部
製膜用ドープの組成を下記とした以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムF−4を得た。フィルムF−4の膜厚は80μmであった。
ジクロロメタン 317質量部
メタノール 27.6質量部
PL−1 10.0質量部
製膜用ドープの組成を下記とした以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムF−5を得た。フィルムF−5の膜厚は80μmであった。
ジクロロメタン 317質量部
メタノール 27.6質量部
C−426 10.0質量部
製膜用ドープの組成を下記とした以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムF−11を得た。フィルムF−11の膜厚は80μmであった。
ジクロロメタン 326質量部
メタノール 28.4質量部
比較例1において、テンターを用いて幅方向に拡幅しないように保持しながら熱風を当てて乾燥し、それ以外は比較例1と同様して、環状オレフィン系樹脂フィルムF−12を得た。フィルムF−12の膜厚は80μmであった。
自動複屈折測定装置(KOBRA 21ADH、王子計測器(株)製)を用いて測定した。平均屈折率の仮定値はカタログ値を用いた。
フィルムの遅相軸の方向と延伸方向のなす角度は自動複屈折測定装置(KOBRA 21ADH、王子計測器(株)製)を用いて測定した。各々の測定は1440mm幅の環状オレフィン系樹脂フィルム内の、幅方向に15cm間隔で10点行い、平均的な方向を求めた。10点の遅相軸の方向が平均的な遅相軸方向となす角度については標準偏差も求めた。平均的な方向が延伸方向から±2.0°以内かつその標準偏差が0.8以下であるものを○、それ以外を×とした。
本発明の環状オレフィン系樹脂フィルム試料10mm×150mmを25℃、60%RHで2時間以上調湿した後、引張り試験機(ストログラフ−R2(東洋精機製))により弾性率を測定した。測定条件はチャック間距離100mm、温度25℃、延伸速度10mm/分であった。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、製膜用ドープを調製した。
ジクロロメタン 299質量部
メタノール 26.0質量部
化合物D−7 (東京化成工業(株)製) 30.0質量部
製膜用ドープの組成を下記とした以外は実施例7と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムF−13を得た。フィルムF−13の膜厚は80μmであった。
ジクロロメタン 326質量部
メタノール 28.4質量部
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、製膜用ドープを調製した。
ジクロロメタン 308質量部
メタノール 26.8質量部
化合物D−7 (東京化成工業(株)製) 20.0質量部
製膜用ドープの組成を下記とした以外は実施例7と同様にして、環状オレフィン系樹脂フィルムF−14を得た。フィルムF−14の膜厚は45μmであった。
ジクロロメタン 326質量部
メタノール 28.4質量部
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
実施例1で作製した環状オレフィン系樹脂フィルム(F−1)にグロー放電処理(周波数3000Hz、4200Vの高周波数電圧を上下電極間に引加、20秒処理)を行い、その後ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、下記のように偏光子の片側に貼り付けた。更に市販のセルローストリアシレートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付け、70℃で10分以上乾燥し、偏光板Aを作製した。
偏光膜の透過軸と環状オレフィン系樹脂フィルム(F−1)の遅相軸とが平行になるように配置した。偏光膜の透過軸と市販のセルローストリアシレートフィルムの遅相軸とは直交するように配置した。
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のレターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を300nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。この垂直配向型液晶セルの上側(観察者側)には市販品のスーパーハイコントラスト品(株式会社サンリッツ社製HLC2−5618)を粘着剤を介して貼り付けた。液晶セルの下側(バックライト側)には作製した偏光板Aを粘着剤を介して貼り付けた。上側偏光板の透過軸が上下方向に、そして下側偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
作製した液晶表示装置を観察した結果、正面方向および視野角方向もニュートラルな黒表示が実現できていた。また、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角(コントラスト比が10以上で黒側の階調反転のない範囲)を測定した結果、左右共に80度以上の良好な視野角であった。
Claims (13)
- Rth(λ)を低減させる有機化合物を少なくとも1種、環状オレフィン系樹脂固形分に対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする環状オレフィン系樹脂フィルム。(上記Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(nm)を表す。)
- Rth(λ)およびRe(λ)を低減させる有機化合物を少なくとも1種、環状オレフィン系樹脂固形分に対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする環状オレフィン系樹脂フィルム。(上記Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(nm)を表し、Re(λ)は波長λnmにおける正面方向のレターデーション値(nm)を表す。)
- 下記一般式(5)〜一般式(15)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種、環状オレフィン系樹脂固形分に対して0.01〜20質量%含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂フィルム。
- 前記環状オレフィン系樹脂が、下記[A−1]、[A−2]および[A−3]からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン系樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂フィルム。
[A−1]少なくとも1種以上の下記一般式(16)で表される繰り返し単位、および少なくとも1種以上の下記一般式(17)で表される繰り返し単位を含む付加共重合体、
[A−2]下記一般式(17)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体、および、
[A−3]下記一般式(18)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む開環(共)重合体。
- 前記環状オレフィン系樹脂フィルム面内の遅相軸の平均的な方向が、フィルム幅手方向に対して±2.0°以内であり、その標準偏差が0.8以内であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂フィルム。
- 偏光子と、その両側に配置された2枚の保護膜からなる偏光板において、前記保護膜のうち少なくとも1枚が、請求項1〜9のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂フィルムであることを特徴とする偏光板。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂フィルム、請求項10に記載の偏光板の少なくともいずれか一方を有することを特徴とする液晶表示装置。
- 液晶セルと該液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する液晶表示装置であって、前記偏光板が請求項10に記載の偏光板であることを特徴とするIPS、OCB、TN、またはVAモード液晶表示装置。
- 請求項10に記載の偏光板をバックライト側に用いたことを特徴とするVAモード液晶表示装置。
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