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JP2008063318A - 老化抑制剤 - Google Patents

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JP2008063318A
JP2008063318A JP2007063521A JP2007063521A JP2008063318A JP 2008063318 A JP2008063318 A JP 2008063318A JP 2007063521 A JP2007063521 A JP 2007063521A JP 2007063521 A JP2007063521 A JP 2007063521A JP 2008063318 A JP2008063318 A JP 2008063318A
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Satoshi Haramizu
聡史 原水
Takatoshi Murase
孝利 村瀬
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Kao Corp
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Abstract

【課題】老化に伴って生じる持久力低下、疲労及びエネルギー代謝の低下等の抑制に有効な医薬品、医薬部外品及び飲食品を提供すること。
【解決手段】カテキン類を有効成分とする老化抑制剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒトその他の動物の老化に伴って生じる、持久力低下、疲労等の抑制に有効な老化抑制剤に関する。
老化は生理学的老化と病的老化に大別される。生理学的老化は加齢に伴い必然的に起こる老化であり、毛髪、皮膚、眼、骨、脳等の変化、運動能力やエネルギー代謝の低下が生じる。近年、老化によるエネルギー代謝の低下にはミトコンドリアDNAの変異や損傷といったミトコンドリア機能の低下が関係していることが言われている(非特許文献1)。
老化は遺伝的要因や環境的要因により進行するが、食事・運動といった生活習慣を始めとする環境的要因を改善することで遅らせることは可能であると考えられている。老化に伴う運動能力低下を防ぐ手段としては、特に高齢者の場合では適度な運動等を実践する、あるいはリハビリテーションを実践する等が挙げられるが、モチベーションの維持の困難さや怪我の恐れもあることから、安全性が高く、より効果的な方法が望まれていた。
身体的変化の老化を抑制しうる成分の探索は行われており、皮膚の老化抑制成分として、生体コラーゲン合成促進剤と異常タンパク質除去剤を含有する抗老化用組成物(特許文献1)、ニンジン葉部からの抽出物を有効成分とする抗老化剤(特許文献2)、わさび抽出物とイグサ抽出物を必須成分とする老化防止用組成物(特許文献3)等が開示されている。
また、テロメア短縮抑制成分として、マンネンタケの溶媒抽出物による細胞老化抑制剤(特許文献4)、また脳の老化抑制剤として、ココア及び/又はカカオマス(特許文献5)、有機ゲルマニウム化合物(特許文献6)、L−アルギニン、フォスファチジルセリン、ドコサヘキサエン酸、イチョウ葉又はイチョウ葉エキス、及びトコフェロール(特許文献7)が開示されている。
また、ミトコンドリア機能異常に起因する疾患における臨床症状発現の予防・治療用組成物としてL−アルギニン(特許文献8)が開示されている。
一方、老化によって生じる筋力や持久力の低下は日常の生活能力を低下させる。また、エネルギー代謝やミトコンドリア機能の低下はエネルギー摂取とエネルギー消費のアンバランスを引き起こし、肥満や糖尿病等の生活習慣病の原因となり得る。これらを防止することはクオリティオブライフ(QOL)の向上といった観点から先進諸国において重要な課題として位置づけられている。
したがって、QOLを充実して健康寿命を延伸するためには、加齢に伴い生じる生理機能の低下、いわゆる老化を抑制すること、特に持久力を保つこと、疲労を抑制すること及びエネルギー代謝を高く維持すること、またミトコンドリア機能を向上することが重要である。
一方、緑茶、紅茶、カカオ豆等に含まれているカテキン類には、コレステロール上昇抑制作用(特許文献9)、血糖上昇阻害作用(特許文献10)、動脈硬化防止作用(特許文献11)、持久力向上作用(特許文献12)、筋ジストロフィ抑制作用(非特許文献2)等、生理的な有益性があると報告されている。しかしながら、カテキン類が老化やミトコンドリア機能に及ぼす作用、特に加齢に伴う、持久力やエネルギー代謝の低下、疲労、ミトコンドリア機能の低下に及ぼす作用についてはこれまで全く知られていない。
特開2004−115438号公報 特開2004−51580号公報 特開2006−63038号公報 特開2003−12539号公報 特開平11−43432号公報 特開2003−261456号公報 特開昭60−156614号公報 特開2004−182705号公報 特開昭−156614号公報 特開平4−253918号公報 特開平4−352726号公報 特開2005−89384号公報 岩波講座 現代医学の基礎, vol.12, No.2, pp55-58, 1999 Dorchies OM et al, AJP-Cell Physiol, vol.290, No.2, pp616-25, 2006
本発明は、老化に伴って生じる、持久力低下、疲労、エネルギー代謝の低下等の抑制に有効な医薬品、医薬部外品及び飲食品を提供することに関する。
そこで、本発明者らは、種々検討した結果、カテキン類が老化に伴って生じる、持久力の低下、疲労、エネルギー代謝低下、ミトコンドリア機能低下等の諸機能の低下を抑制する作用を有し、老化抑制及びミトコンドリア機能向上効果を発揮する飲食品又は医薬品等として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、カテキン類を有効成分とする老化抑制剤を提供するものである。
また、本発明は、カテキン類を含有する老化抑制用飲食品を提供するものである。
また、本発明は、カテキン類の老化抑制剤としての使用を提供するものである。
また、本発明は、老化抑制剤の製造のためのカテキン類の使用を提供するものである。
また、本発明は、カテキン類を有効成分とするミトコンドリア機能向上剤を提供するものである。
本発明の老化防止剤及びミトコンドリア機能向上剤は、食経験が豊富で副作用が少なく、長期投与又は摂取しても安全性が高いカテキン類を有効成分とするものであり、老化抑制効果、特に老化に伴って生じる、持久力低下、疲労、エネルギー代謝低下、ミトコンドリア機能低下等の諸機能の低下を抑制する効果を発揮する飲食品や医薬品等として有用である。
本発明において、「老化抑制」とは、老化に伴って生じる生理的変化を抑制することをいい、当該生理学的変化には、持久力低下、疲労、エネルギー代謝低下、ミトコンドリア機能低下等が含まれる。具体的には、加齢、例えば30代以降の中高年においてみられる、持久力低下、疲労、エネルギー代謝低下、ミトコンドリア機能低下等を抑制することが挙げられる。
本発明におけるカテキン類とは、カテキン、カテキンガレート、ガロカテキン及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類、並びにエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類の総称であり、これらの一種以上を含有するのが好ましい。また、カテキン類は、非重合体であるのが好ましい。
本発明に使用するカテキン類は、一般的には茶葉から直接抽出すること、又はその茶抽出物を濃縮若しくは精製することにより得ることができるが、他の原料由来のもの、カラム精製品及び化学合成品でもあってもよい。
当該茶葉抽出は、Camellia属、例えばC.sinensis、C.assamica、またはそれらの雑種から得られる茶葉より製茶された茶葉に、水や熱水、場合によってはこれらに抽出助剤を添加して抽出することにより行うことができる。また、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。
当該製茶された茶葉には、(1)煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜煎り茶等の緑茶類;(2)総称して烏龍茶と呼ばれる鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の半発酵茶;(3)紅茶と呼ばれるダージリン、ウバ、キーマン等の発酵茶が含まれる。
抽出助剤としては、アスコルビン酸ナトリウム等の有機酸又はこれら有機酸塩類が挙げられる
当該茶抽出物の濃縮は、上記抽出物を濃縮することにより行うことができ、当該茶抽出物の精製は、溶剤やカラムを用いて精製することにより行うことができる。茶抽出物の濃縮物や精製物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状等種々のものが挙げられる。
例えば、当該茶抽出物(茶カテキンともいう。)は、特開昭59-219384号、特開平4-20589号、特開平5-260907号、特開平5-306279号等に詳細に例示されている方法で調製することができる。また、市販品を用いることもでき、斯かる市販品としては、三井農林(株)「ポリフェノン」、(株)伊藤園「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」、DSMニュートリショナル・プロダクツ「テアビゴ」、サントリー(株)「サンウーロン」等が挙げられる。
当該茶抽出物中のカテキン類は、非重合体で存在し、かつ液に溶解しているもの又は茶の微細粉末の懸濁物に吸着若しくは包含された固形状のものとして存在する。
また、当該抽出物中のカテキン類の含有量は、10〜100質量%、好ましくは30〜95質量%、特に好ましくは40〜80質量%である。また、当該茶抽出物に含まれる総ポリフェノール中のカテキン類の含有率は、製造直後でカテキン量が10質量%以上で、好ましくは20質量%以上である。
また、老化に伴い生じる持久力の低下、疲労、エネルギー代謝の低下、ミトコンドリア機能低下等の諸機能の低下をより効率よく抑制するため、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートから選ばれる単独又は2種以上のものの含有率は、当該茶抽出物に含まれるカテキン類総量中40%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましく、80%以上であるのが特に好ましい。
また、茶葉中のカテキン類の大部分はエピ体カテキン類として存在しており、このエピ体カテキン類を用いて熱や酸やアルカリ等の処理により立体異性体である非エピ体に変化させることができる。従って、非エピ体カテキン類を使用する場合には、緑茶類、半発酵茶類又は発酵茶類からの抽出液や茶抽出液の濃縮物を水溶液にして、例えば40〜140℃、0.1分〜120時間加熱処理して得ることができる。また非エピカテキン類含有量の高い茶抽出液の濃縮物を使用してもよい。それらは単独又は併用してもよい。
後記実施例に示されるように、茶抽出物を老化促進モデルマウス(SAM−P1)に摂取させると、老化に伴う限界走行時間の低下、平均酸素消費量(エネルギー消費量)の低下及びミトコンドリア機能低下が抑制される。従って、カテキン類は、老化抑制作用、具体的には老化に伴って生じる持久力低下、疲労、エネルギー代謝低下、ミトコンドリア機能低下等を抑制する作用を有する老化抑制剤及びミトコンドリア機能向上剤(以下、老化抑制剤等とする。)として使用することができ、また老化抑制剤等を製造するために使用することができる。そして、カテキン類を有効成分とする老化抑制剤等は、老化抑制、ミトコンドリア機能向上等の各効果を発揮する、ヒト若しくは動物用の医薬品や飲食品としての使用が可能である。また、飲食品として使用する場合は、老化に伴って生じる、持久力低下、疲労、エネルギー代謝低下、ミトコンドリア機能低下等の諸機能の低下を抑制することをコンセプトとする飲食品、機能性食品、病者用食品及び特定保健用食品として応用することが可能である。当該老化抑制剤等は、特に、老化に伴う、持久力の低下、疲労の蓄積、エネルギー代謝の低下及びミトコンドリア機能低下が起こるベッドレスト者、高齢者及び運動不足者に対して有効である。
本発明の老化抑制剤等は、医薬品として用いる投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の固形剤、シロップ剤、エリキシル剤、経腸或いは経管栄養剤等の液剤による経口投与又は注射剤、座剤、吸入薬、経皮吸収剤、外用剤等による非経口投与が挙げられる。これらの投与形態のうち、経口投与が好ましい。
また、このような種々の剤型の製薬製剤を調製するには、本発明のカテキン類を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜組み合わせて用いることができる。
これら補助剤の具体例としては、例えば固形粉末状の担体、グルコース、ラクトース、サッカロース等の糖、グリシン等のアミノ酸、セルロース等が挙げられる。潤滑剤として二酸化珪素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール等、結合剤としてデンプン、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が例示できる。崩壊剤としてはデンプン、寒天等がある。
また、本発明の老化抑制剤等を飲食品として使用する場合は、例えば、チーズ(ナチュラル、プロセス)、アイスクリーム、ヨーグルト及びその他乳製品、ソース、スープ、ふりかけ、和菓子類(せんべい等)、洋菓子類(ポテトチップス、プリン、ゼリー、グミキャンディー、キャンディー、ドロップ、キャラメル、チョコレート、チューインガム等)、焼き菓子類(カステラ、ケーキ、ドーナッツ、ビスケット、クッキー、クラッカー等)、各種飲料等の形態とすることができる。
飲食品を製造する場合には、カテキン類に一般飲食品で用いられる種々の原料を配合し、通常の方法により加工製造することができる。
飲料として使用する場合には、炭酸系飲料(ソフトドリンク)、非炭酸系飲料(果汁飲料、ネクター飲料、野菜飲料等)、清涼飲料、スポーツ飲料、ニアウオーター、ダイエット飲料、茶、コーヒー、ココア及びアルコール飲料等のいずれでもよく、また、他の飲料成分と組み合わせることで、更に幅広い範囲の飲料を提供することが可能である。
例えば、長時間保存時に安定した色調と外観の透明性を呈する飲料に、消費者の嗜好にあわせて茶葉の微粉末のような不溶性化合物が含まれる粗抽出茶カテキンをあえて懸濁させた形態の飲料も可能である。
上記飲料は、容器に充填した容器詰飲料とするのが好ましく、容器詰飲料としては、例えば、特許公報3742094号公報記載の非茶系容器詰飲料、特開2002−272373号公報記載の茶系容器詰飲料が例示できる。以下に配合組成の一例を示す。
容器詰飲料は、長期摂取できる味および安定性、並びに効果の点から、非重合体であって水に溶解状態にあるカテキン類(非エピ体カテキン及びエピ体カテキン)を、飲料500mL当り合計量50〜2500mg含有するが、好ましくは200〜2500mg、より好ましくは300〜1300mg、更に好ましくは400〜1000mg含有するのが、味の点から好ましい。
飲料中で総ポリフェノール中のカテキン類の含有率としては、製造直後でカテキン量が10重量%以上で、好ましくは20重量%以上である。
また、カテキン類の含有量の30〜98重量%、好ましくは40〜90重量%が、エピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキン、ガロカテキンから選ばれたものであると、飲料としての呈味が更に優れ、後を引くような収斂性も少なく好ましい。ここでエピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキン、ガロカテキンは1種以上含有するが、通常は全て含有される。
飲料のpHは、25℃で3〜7、好ましくは4〜7、特に5〜7とするのが、味及びカテキン類の化学的安定性の点で好ましい。
上記飲料には、カテキン類にあわせて、処方上添加して良い成分として、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を単独、あるいは併用して配合しても良い。
使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の形態で提供することができる。ここでいう飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
上記容器詰は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造される。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器等で高温短時間殺菌後、一定の温度まで冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。更に、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻す等の操作も可能である。
病者用食品としては、適当量の栄養補給が困難な高齢者やベッドレスト状態の病者に投与される経腸栄養剤や濃厚流動食(食品)等が挙げられる。
経腸栄養剤や濃厚流動食は、カテキン類に栄養組成物の原料を配合し、通常の方法により製造することができる。具体的には、カテキン類及び種々の原料を適当な溶媒に溶解、混合した後、ホモジナイザー等で均質化し、レトルトやプラスチック等の各種容器に充填したのち公知の殺菌法により、液状、半個体状や固体状の製剤を得ることができる。また、上記のようにホモジナイザー等で均質化した後、公知の噴霧乾燥等により、粉末状の製剤も得ることができる。
栄養組成物の一例として、蛋白質、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類、乳化剤、香料等が配合された栄養組成物が挙げられる。蛋白質源としては、アミノ酸バランスのとれた栄養価の高い乳蛋白質、大豆蛋白質、卵アルブミン等の蛋白質が挙げられるが、これらの分解物、卵白のオリゴペプチド、大豆加水分解物等の他、アミノ酸単体の混合物も使用してもよい。
本栄養組成物の投与(摂取)量は、栄養剤としてのカロリー換算で成人1日当たり10〜50kcal/体重kgが好ましい。
上記製剤中に含まれるカテキン類の配合量は、その使用形態により異なるが、飲食品やペットフード等の場合、通常0.01〜5質量%、更に0.05〜5質量%、特に0.1〜1質量%とするのが好ましい。上記以外の医薬品、例えば錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の経口用固形製剤、内服液剤、シロップ剤等の経口用液体製剤等の場合、通常0.01〜95質量%、更に5〜90質量%、特に10〜80質量%とするのが好ましい。
本発明の老化抑制剤等の投与量(有効摂取量)は、100〜3000mg/60kg体重とするのが好ましく、特に250〜2000mg/60kg体重、更に250〜1000mg/60kg体重とするのが好ましい。投与量は、投与される患者の年齢、体重、症状の程度等によって異なることは明らかである。
以下、本発明を更に詳しく説明するため、本発明組成物につき行った試験例を挙げ、次いで本発明組成物の調製例を実施例として挙げる。
試験例1 カテキン類の老化抑制効果
本実施例において茶カテキンは、総カテキン量81%の緑茶抽出物を用いた。
また、茶カテキン中のカテキン類の組成は、公知の方法により測定し(例えば、特開2006−129738号公報)、ガロカテキン(7%)、ガロカテキンガレート(4%)、エピカテキン(9%)、エピガロカテキン(23%)、エピカテキンガレート(12%)、エピガロカテキンガレート(41%)、その他(4%)である。
(1)各群マウスの調整
13週齢のSAM−P1雄性マウス(老化促進モデルマウス)及びSAM−R1雄性マウス(通常老化マウス)を個別飼育にて5週間予備飼育した後、トレッドミル走行させ、馴化させた後、限界走行時間を測定した。
具体的には、マウスを停止したトレッドミル内で安静にし、環境に慣れさせた後、トレッドミルを一定速度で回転させ、トレッドミル回転開始時を走行開始の始点とし、ベルト速度(m/min)を一定間隔で変化させ、トレッドミル上でマウスが走れなくなった時点を走行終了の終点とした。この時間を限界走行時間とし、持久力を評価した。
マウスの限界走行時間の測定におけるベルト速度及び時間は、10m/minから始め、10及び15m/minで各5分間、20m/minで60分間、22m/minで60分間、24m/minで60分間、26m/minで60分、以降は28m/minで行った。
SAM−R1(通常老化マウス)対照群、SAM−P1(老化促進モデルマウス)対照群、SAM−P1カテキン群に群分けし、各系統の限界走行時間に差がないようにした(各群8匹)。
(2)老化促進モデルマウスにおける茶カテキンの効果
表1に示す配合で茶カテキンを添加していない対照飼料及び茶カテキンを添加したカテキン飼料を調製した。
対照飼料をSAM−R1対照群及びSAM−P1対照群に、カテキン飼料をSAM−P1カテキン群に食餌として用い、各群を10週間飼育した。
尚、各マウス群には15m/minで30分間の運動を週に3回負荷した。
Figure 2008063318
8週間飼育後に各群の限界走行時間を測定した。この時のマウス限界走行時間を表2に示す。
Figure 2008063318
また、9週間飼育後の各群の安静時における酸素消費量(エネルギー消費量)を呼気分析により測定した。分析にはOxymaxシステム(コロンバス社)の8連チャンバーを用いた。マウスをチャンバーに入れて6時間安静にした後、24時間の平均酸素消費量(1min当たりのマウス体重1kgにおける酸素消費量mL(mL/kg/min))を18分毎に2分間ずつ連続測定した。24時間の平均酸素消費量(mL/kg/min)を表3に示す。
Figure 2008063318
表2の結果から、老化促進モデルマウスであるSAM−P1対照群の限界走行時間は通常老化マウスであるSAM−R1対照群に対して有意に短く、老化に伴い持久力は低下することがわかる。
一方、カテキン飼料を摂取したSAM−P1カテキン群の限界走行時間はSAM−P1対照群と比較して有意に長かった。このことから、茶カテキンを摂取すると、老化に伴う持久力低下が抑制されたことがわかる。また疲労しにくいことがわかる。
また、老化促進モデルマウスであるSAM−P1対照群の限界走行時間は試験前に比べ、8週後には約20分低下した。
一方、カテキン飼料を摂取したSAM−P1カテキン群の限界走行時間は低下が認められなかった。このことから、茶カテキンを摂取すると、老化に伴う持久力の低下が抑制されることがわかる。
表3の結果から、老化促進モデルマウスであるSAM−P1対照群の酸素消費量(エネルギー消費量)は通常老化マウスであるSAM−R1対照群に対して有意に低値を示した。このことは、老化により、酸素消費量が減少し、エネルギー代謝が低下することを示している。
一方、カテキン飼料を摂取したマウスの酸素消費量はSAM−P1対照群に対して有意に高かった。このことから、茶カテキンは、老化に伴うエネルギー代謝の低下を抑制する作用を有することがわかる。
また、上記のように茶カテキン摂取により走行時間が延びることや酸素消費量が高まることは、疲労が抑えられることを意味している。
試験例2 カテキン類のミトコンドリア機能低下抑制効果
(1)各群マウスの調整
13週齢のSAM−P1雄性マウス(老化促進モデルマウス)及びSAM−R1雄性マウス(通常老化マウス)を個別飼育にて5週間予備飼育した後、トレッドミル走行させ、馴化させた後、限界走行時間を測定した。
具体的には、マウスを停止したトレッドミル内で安静にし、環境に慣れさせた後、トレッドミルを一定速度で回転させ、トレッドミル回転開始時を走行開始の始点とし、ベルト速度(m/min)を一定間隔で変化させ、トレッドミル上でマウスが走れなくなった時点を走行終了の終点とした。この時間を限界走行時間とし、持久力を評価した。
マウスの限界走行時間の測定におけるベルト速度及び時間は、10m/minから始め、10及び15m/minで各5分間、20m/minで60分間、22m/minで60分間、24m/minで60分間、26m/minで60分、以降は28m/minで行った。
SAM−R1(通常老化マウス)対照群、SAM−P1(老化促進モデルマウス)対照群、SAM−P1カテキン群、SAM−P1運動群、SAM−P1カテキン/運動併用群に群分けし、各系統の限界走行時間に差がないようにした(各群8匹)。
(2)老化促進モデルマウスにおける茶カテキンの効果
表4に示す配合で茶カテキンを添加していない対照飼料及び茶カテキンを添加したカテキン飼料を調製した。
対照飼料をSAM−R1対照群、SAM−P1対照群及びSAM−P1運動群に、カテキン飼料をSAM−P1カテキン群、SAM−P1カテキン/運動併用群に食餌として用い、各群を10週間飼育した。
尚、各マウス群には15m/minで30分間の運動を週に3回負荷した。
Figure 2008063318
10週間飼育後に各群のマウスの腓腹筋を採取し、ISOGEN(ニッポンジーン)を用いて、RNAサンプルを得た。各RNAサンプルを定量し、1反応あたりのRNA量を5μgとしてSuperScript First−Strand Synthesis System for RT−PCR(インビトロジェン)を用いて、逆転写反応を行い、cDNAを得た。反応条件は42℃,50分間,70℃,15分間とした。
得られたcDNAを未知サンプルの場合は40倍希釈、スタンダード用サンプルの場合には10倍希釈し、ABI PRISM 7700 Sequence Detector(アプライドバイオシステムズ社)により定量的PCRを行った。36B4mRNAの発現量を基準として補正し、相対的mRNA発現量として表した。
プライマーとして、COX1はGenBank: X57780、nt876−897、nt957−976を、COX2はAF37780、nt488−507、nt567−588を、COX3はNC_005089、nt9196−9217、nt9308−9327を、COX4はNM_053091、nt276−295、nt396−415を、heat hock protein 72(HSP72)はNM_010479、nt1815−1835、nt1916−1937を、PGC−1αはNM_008904、nt642−661、nt751−770を、PGC−1βはNM_133249、nt2865−2885、nt2945−2965を用いた。
結果を表5に示した。
Figure 2008063318
表5の結果から、老化促進モデルマウスであるSAM−P1対照群の腓腹筋におけるCOX1〜4、HSP72、PGC−1α、PGC−1βの遺伝子発現は、通常老化マウスであるSAM−R1対照群に対して有意に低く、老化に伴い電子伝達系に関与する遺伝子やミトコンドリアの分化・増殖に関与する遺伝子の発現は低下することがわかる。
一方、カテキン飼料と運動を併用したSAM−P1カテキン群のCOX2〜4、HSP72遺伝子発現はSAM−P1対照群と比較して有意に高かった。このことから、茶カテキンを摂取すると、老化に伴う電子伝達系やミトコンドリアの分化・増殖に関与する遺伝子の発現の低下が抑制されたことがわかる。
また、上記のように茶カテキン摂取と運動の併用により電子伝達系遺伝子が抑えられることはミトコンドリア機能の機能が維持されていることを意味している。
以上のことから、カテキン類は、老化抑制、具体的には老化に伴って生じる、持久力低下、疲労、エネルギー代謝低下、ミトコンドリアの機能低下等を抑制する作用を有し、老化抑制剤、ミトコンドリア機能向上剤として有用である。
以下に、本発明の老化抑制剤等の製剤例を示す。
製剤例1 老化抑制用容器詰飲料
表6に示した配合および条件で、老化抑制用容器詰飲料を調製した。また、本容器詰飲料における茶抽出物(茶カテキン)の組成を表7に示す。本飲料の保存安定性および風味は良好であった。
Figure 2008063318
Figure 2008063318
製剤例2 老化抑制用経腸栄養剤(濃厚流動食)
表8に示した配合で、本発明品を常法に従いレトルトに密封後、高圧蒸気滅菌し、調製した。ミネラル類は、Na、K、Ca、Mg、P、C1、Fe等の有機又は無機塩混合物、ビタミン類は、ビタミンA、D、E、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、ナイアシン、パントテン酸等の混合物を、国民栄養所要量に合致した量用いた。
Figure 2008063318
製剤例3 老化抑制用ゼリー食品
カラギーナンとローカストビーンガムの混合ゲル化剤0.65%、グレープフルーツの50%の濃縮果汁5.0%、クエン酸0.05%、ビタミンC0.05%、茶カテキン(テアビゴ(DSMニュートリショナル・プロダクツ))0.54%、を混合し、これに水を加えて100%に調整し、65℃で溶解した。更に少量のグレープフルーツフレーバーを添加して85℃で5分間保持して殺菌処理後、100mlの容器に分注した。8時間静置して徐冷しながら5℃に冷却して、カテキンを含有するゼリー食品を得た。
製造例4 老化抑制用ビタミン内服液
タウリン800mg、ショ糖2000mg、カラメル50mg、安息香酸ナトリウム30mg、ビタミンB1硝酸塩5mg、ビタミンB2 20mg、ビタミンB6 20mg、ビタミンC 2000mg、ビタミンE 100mg、ビタミンD3 2000IU、ニコチン酸アミド20mg、茶カテキン(ポリフェノン70S(三井農林))100mgを適量の精製水に加えて溶解し、リン酸水溶液でpH3に調節した後、更に精製水を加えて全量を50mlとした。これを80℃で30分滅菌して、カテキンを含有するビタミン内服液を得た。
製剤例5 老化抑制用チュアブル錠剤
アスコルビン酸180mg、クエン酸50mg、アスパルテーム12mg、ステアリン酸マグネシウム24mg、結晶セルロース120mg、乳糖274mg、茶カテキン(テアフラン90S(伊藤園))540mgなる処方で、日本薬局方(製剤総則「錠剤」)に準じて錠剤を製造し、カテキンを含有するチュアブル錠剤を得た。
製剤例6 老化抑制用錠剤
下記処方に基づいて、常法によりカテキン類を含有する錠剤を調製した。成分配合量(重量%):茶カテキン(ポリフェノン70S(三井農林))20、リンゴ酸ナトリウム20、パラチノース20、アスコルビン酸20、ビタミンミックス(日本香料薬品社製)5、結晶セルロース5、ショ糖エステル4、二酸化ケイ素1、卵殻カルシウム5。

Claims (7)

  1. カテキン類をする有効成分とする老化抑制剤。
  2. 老化に伴って生じる、持久力低下、疲労、エネルギー代謝低下又はミトコンドリア機能低下、を抑制する請求項1記載の老化抑制剤。
  3. カテキン類を含有する老化抑制用飲食品。
  4. 老化に伴って生じる、持久力低下、疲労、エネルギー代謝低下、ミトコンドリア機能低下、を抑制する請求項3記載の飲食品。
  5. カテキン類の老化抑制剤としての使用。
  6. 老化抑制剤の製造のためのカテキン類の使用。
  7. カテキン類を有効成分とするミトコンドリア機能向上剤。
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