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JP2007525677A - 生物由来物質からのバイオマーカーの触媒的生成 - Google Patents

生物由来物質からのバイオマーカーの触媒的生成 Download PDF

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JP2007525677A
JP2007525677A JP2007501044A JP2007501044A JP2007525677A JP 2007525677 A JP2007525677 A JP 2007525677A JP 2007501044 A JP2007501044 A JP 2007501044A JP 2007501044 A JP2007501044 A JP 2007501044A JP 2007525677 A JP2007525677 A JP 2007525677A
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acid
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JP2007501044A
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ツィジュン ジア
アール.スミス フィリップ
ニコラス ナッコス ナッコス アーロン
リー エル.リー ミルトン
ディー.リー エドガー
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Brigham Young University
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    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
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Abstract

細菌胞子(例えば、炭疽菌)のような生物由来物質を触媒の存在下で加熱することによって非揮発性バイオマーカーを揮発性バイオマーカーにまで反応させる、生物由来物質の検出用装置及び検出方法を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2004年2月26日に出願された米国仮特許出願第60/547950号を基礎とする優先権を主張する。
連邦調査の陳述
本発明は、米国政府からの支援によってなされた。米国政府は、米国防衛脅威削減局契約番号DTRA01−03−C−0047に従い、本発明において所定の権利を有し得る。
本発明は、非揮発性バイオマーカー前駆体を含有する生物由来物質を同定するための方法に関する。
発明の背景
未知の生物学的試料を迅速に同定するための携帯式の方法及び器具は、医療診断、法医学検査、微生物学研究、民間防衛及び軍事行動を含め、多くの異なる領域で必要とされている。この技術は、今のところ入手できない。民間及び軍事防御のための最も重要な用途の一つが生物兵器の病原体の検出及び同定である。この用途は、アメリカ合衆国の国家安全保障に不可欠である。
特に懸念されるものは、炭疽菌[1〜3]として一般的に知られている細菌病原体であるバチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)の兵器化された形態である。炭疽菌は、非常に少量(8000〜10000個の胞子又は約10ナノグラム)で死に至り得るため、非常に強力な生物兵器になり得る[3、4]。炭疽菌の毒性は、散布の容易さ及び大気中での長い滞留時間と相まって、非常に危険な生物兵器になる。これは、近年、米国郵便公社を通して送りつけられた炭疽菌内生胞子との接触により数名の市民が死亡したことによって実証された[5、6]。不審な白い粉の発見後に、数日間検査され、そして最終的にこの物質が炭疽菌であったという結論に至った[6]。したがって、炭疽菌による攻撃を防止/防御し、そしてその影響を緩和するための迅速な対応を容易にするためには、さらに迅速な炭疽菌の検出及び同定方法が極めて重要である[7]。米軍は、特に、(a)その軍隊を生物攻撃から保護し、そして(b)生物兵器の病原体を生産し又は開発しているテロリスト及び/又はならず者国家を突き止め、かつ、阻止するために、炭疽菌の存在を迅速に検出できる技術に関心を持っている[3]。炭疽菌胞子の検出及び同定に必要な技術は、他の多くのタイプの生物由来物質の検出に必要な技術を代表するものである。
生物兵器病原体の検出及び同定
歴史的に、細菌起源の未知の試料を同定するための選択方法は、胞子からコロニーを生長させ、その後、培養増殖、溶液アッセイ、染色及び検鏡を使用して元の試料中における炭疽菌の存在を確認することであった[8]。このアプローチ研究の間に、完遂に何日もかかり、そしてかなりの数の器具と要員が必要である。そのため、新規でより迅速な方法を開発するために過去40年にわたって大きな努力がなされてきた。
多くの努力は、同定アルゴリズムにおいて細菌胞子中に含まれる多くの異なる生化学的化合物を使用する方法に重点が置かれてきた。これらの生化学的化合物を微生物から抽出し、そしてこれらのものを検出可能な化学物質(バイオマーカー)に変化させるために使用される方法は、検出技術に重要な役割を果たす。典型的なバイオマーカーの前駆体としては、脂肪酸、蛋白質、炭水化物及び/又はデオキシリボ核酸(DNA)が挙げられる。いくつかの微生物については、カルシウム錯体化ジピコリン酸(DPA)のような特定の化学物質が重要であり得る(例えば、細菌胞子中では、DPAは乾燥重量の5〜15%を占める)。
細菌胞子からバイオマーカーを迅速かつ再現可能に生成させるいくつかの方法及び装置が過去30年にわたって開発されてきたが、一般に、これらのものは未だ開発段階にあるといわなければならない。市販の検出システムは高価であり、しかも実用性が限られている。これらのものは、点検出(すなわち、現場での検出)と共に使用される個別技術、遠隔技術(現場試料検索及びその後の現場外分析)及び受動的遠隔検出(分光学的方法のような、試料とのいかなる物理的相互作用なしに完全な検出が実行される)を包含する[8a]。湿式及び乾式点検出方法が使用される。湿式分析方法は、通常、生物学的相互作用をベースとする(例えば、抗体認識)一方で、乾式検出方法は、試料を物理的に分解し、そして放出される化学的断片を検出するために使用される。湿式方法及び乾式方法の両方は、試料の調製、その後の検出を必要とする。例えば、細胞抽出物から少しずつ集められたDNAの配列決定は、炭疽菌を含め、細菌のユニークな同定のために使用できる[9]。残念ながら、この方法は時間がかかり、しかも容易に小型化されず、かつ、胞子には適用できない非常に特殊な装置を必要とする。しかしながら、バイオマーカーの前駆体をさらに揮発性のバイオマーカーに分解及び/又は変換する分析的熱分解が生物由来物質の迅速な同定のための実行可能な方法になってきているが、その携帯性には制限がある。
分析的熱分解
熱分解とは、熱エネルギーによって化学結合を切断することと定義される。これは、重合体及びその他の高分子量化合物の分析に用途が見出されてきた[10−12]。熱分解を通じて、生ずる化学反応の2つの主要な分類、すなわち一次及び二次が存在する。一次反応は、典型的には、低分子化合物及び高分子量化合物の熱分解を伴う。理想的には、これらの化合物は、さらに反応することなく検出器に迅速に掃引される。実際には、二次反応が生じ得る。例えば、一次生成物は、反応器の壁部又は酸素若しくは他の一次熱分解産物のような他の分子と反応し得る[10−13]。これらの問題を回避するために、分解反応と熱分解装置とは、密接に結びつけられなければならない。分析的熱分解(AP)は、熱分解と分析化学技術との密接な結びつきであるため、熱分解中に生じた化合物の検出と同定を可能にする。有用な移動式分析技術は、典型的には、ガスクロマトグラフィー(GC)及び質量分析(MS)である。
ほとんどのAP方法では、生体高分子(蛋白質、ペプチドグリカン及びDNA)がさらに揮発性の化合物に分解及び/又は変換される。これらの自然発生的な状態では、バイオマーカー前駆体は、標準的な分析技術による検出を排除するのに十分に低い揮発性である。しかしながら、さらに揮発性の状態に化学的に変化した場合には、これらの化合物又はバイオマーカーは、さらに容易に検出できる。これは、該試料を高温、すなわち、350〜650℃にまで迅速に加熱することによって実行される[13、14]。熱分解によって生成された細菌検出用バイオマーカーの最初の使用は、30年以上も前に報告された。それ以来、これは継続調査の対象となっており、しかも現在では未だに熱心な調査の対象である[15−18]。グラム陰性細菌胞子の熱分解中に観察される主要な生成物は、ジピコリン酸の一次熱分解生成物の一つのピコリン酸である[19、20]。AP中に観察される他の化合物としては、ジケトピペラジン又は他の環化オリゴペプチドを含め、アミノ酸側基の多くが開裂した蛋白質及びペプチドグリカンの分解生成物が挙げられる[21]。オリゴペプチドの環化が二次熱分解反応の例である[22、23]。
細菌胞子からバイオマーカーを生成させるために使用されてきたAPの二つの一般的な部類が存在する。第1に、キューリー点熱分解は、乾燥した生物学的試料を熱分解させるために誘導的に加熱された細いワイヤーを使用する。この方法は、細菌をグラム分類レベルで区別することに関しては成功した。第2に、熱加水分解メチル化(THM)は、脂肪酸を誘導体化させるために熱分解器においてメチル化剤を使用する。水酸化テトラメチルアンモニウムが最適なメチル化剤として広く認められている。この方法は、細菌を種、さらには菌株レベルで区別することができた。これらの方法の両方において、分析時間は、およそ15分以下に有意に改善された。
キューリー点熱分解
Snyder外は、DPAを内生胞子の内部から取り出し、そして揮発させるための熱分解方法を開発した[13、17、19、20、24、25]。石英フリットフィルター上にエーロゾル化された胞子を集めた後又は小型キューリー点ワイヤー上に液状胞子懸濁液を付着させた後に、高温の熱分解(350〜600℃)を使用してDPAを該胞子から除去した。該熱分解産物中のDPAをガスクロマトグラフィー・質量分析(GC−MS)によって分析した(該分析及び検出の時間は数分内に測定した)。この分析は適度に迅速であるが、高温、大きなエネルギー消費及びかなり特殊な器具が必要である。さらに、この熱分解は、多数の副産物を生成する。すなわち、熱分解による分解についての反応経路及びジピコリン酸の電子衝撃分解経路を示す図1に例示されるような多くの副反応が存在した[19]。この副産物は、パイログラム及びデータ分析を複雑にする。高機能のパターン認識アルゴリズムが該データの判読に役立つように使用されるが、これは該システムの複雑さを増大させ、しかも追加のコンピューターハードウェア及びソフトウェアを必要とする(すなわち、該システムの携帯性を低下させる)。
近年、Snyder外は、キューリー点熱分解によって生成された特定のバイオマーカーの微生物学的意義(化学分類)を評価した[17]。該バイオマーカーをGC−IMS(イオン移動度分光分析)によって検出し、そして米国国立標準技術研究所(NIST)のデータベースと分析標準の両方との比較によって同定した。表1に与えた化合物のリストは、Snyder外によって検出及び同定されたバイオマーカーを示している。彼らは、いくつかのバイオマーカーが生成されたにしてもこれらの装置における非効率的な加熱と流路のため観察されないと結論付けた。Snyder外によって開発されたキューリー点熱分解方法は、細菌及び細菌胞子をグラム分類レベルで区別する能力を証明したが、炭疽菌を近縁種から区別するという点では成功しなかった。
Figure 2007525677
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熱加水分解−メチル化
細菌胞子の脂質含有物が炭疽菌を近縁種の胞子から区別するために利用できる大量の分類上の情報を含むことは長い間知られていた[26、27]。しかしながら、脂質は、非常に粘着性のある非揮発性の化合物であるため、このもの自体ではGC及び/又はMSによる分析が容易ではない。従来より、化学抽出法を使用して胞子から遊離脂質が除去されてきた。次いで、これらの脂質を試験管内で誘導体化(メチル化)させてGC又はMSによって検出される程度に十分な揮発性のある脂肪酸メチルエステル[FAME]を生成させる[15、28]。この応用は、MIDI社(米国デラウェア州ニューワーク市サンディドライブ125,19713(WWW.midi-inc.com)によって商品化されており、そしてこれは化学抽出及び脂肪酸の誘導体化についての自動システムを特徴とする。熱分解ユニットは、GC−MSによる分析用のFAMEを揮発させるために使用される。
最近になって、熱加水分解−メチル化(THM)と呼ばれる方法が開発されたが、これは、遊離脂肪酸を強力なメチル化剤、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)でメチル化することができるだけでなく、結合した脂肪酸をトランスエステル化させることもできる。これは、脂質プロファイルに利用できる情報の量を増加させる[29−44]。THMは、典型的には、分析的熱分解のために使用されるのと同様の熱分解器において高温でその場で実施される。THMは、非触媒的な方法であることが強調されるべきである。というのは、メチル化剤であるTMAHはプロセス中に消費され、そしてこのプロセスは、熱分解及び化学結合の再分配によって促進されるからである。
Voorhees外は、THMによって胞子脂質から脂肪酸メチルエステル(FAME)を生成させるための方法及び装置を開発した[29−39、42、43]。FAMEは、典型的には、脂質プロファイルを構築するためにGC/MS又は直接MSによって分析される。炭疽菌が存在すること又は存在しないことを確認するために、パターン認識アルゴリズムを使用してこれらのプロファイルが分析された[38、39、41、45]。彼らは、FAMEのプロファイルがそれぞれの細菌種についてユニークであり、それによって明白な同定を容易にするかもしれないことを示した[38]。最近では、サンディア国立研究所のHavey外がVoorhees外と共同で、細菌胞子からFAMEを生成させるためにミリ秒で200℃以上に加熱することのできるセラミック膜加熱システムを開発した。この装置は、非常に低電力(ミリワット)の基準を有するが、それにもかかわらず現場試験がなされなければならず又は徹底的に評価されなければならない[43]。
熱分解メチル化に非常に類似する他の誘導体化方法が細菌中の炭水化物をプロファイルするための手段として提案された[46]。しかしながら、携帯型の装置は、この方法については開発されていない。
分析的熱分解の制限
分析的熱分解におけるこれらの近年の開発により、バイオマーカーの生成及び検出の時間が速くなったが、この必要な装置は、どちらかといえば大きくて扱いにくく、しかも比較的大容量の電力を必要とする。また、バイオマーカー生成技術の再現性及び一般的適用性は欠如しており、しかも文献においてはあまり取り組まれていない。炭疽菌の迅速な検出のための携帯型装置を開発するためには、この技術のさらなる発達が必要である。バイオマーカーの生成速度及び再現性の改善並びに検出時間、分析高度化、装置寸法及び消費電力の減少は、当該技術を携帯できる可搬レベルにまで発達させるために必要である。
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発明の概要
本発明の一態様は、非揮発性バイオマーカー前駆体を含有する生物由来物質を同定するための方法である。要約すれば、本方法は、(a)生物由来物質と触媒とを接触させ、(b)該触媒の温度特性にまで加熱して揮発性バイオマーカーを形成させ、及び(c)該バイオマーカーを検出しかつ同定することを含む。触媒の温度特性は、以下、「触媒温度」(すなわち、触媒作用が生じる温度)という。触媒作用は、適度に低い温度、すなわち、熱分解に必要な温度よりも実質的に低い温度で生じ得る。生物由来物質は、細菌、細菌胞子、ウイルスなどのような危険な微生物を含む物質であることができる。この方法は、揮発性のバイオマーカーを生物由来物質から得て比較的穏やかな選択条件下で該生物由来物質の正体を決定することを目的とするものである。
熱分解方法とは異なり、本発明の方法は、揮発性バイオマーカーを生じさせるために高い熱分解温度を必要としない。熱分解温度とは、熱分解方法を使用してバイオマーカーを生じさせるのに必要な温度である。典型的な熱分解温度は、350〜400℃を超過し、かつ、750〜800℃までを範囲とする。本方法に必要な温度は触媒温度であり、この場合、バイオマーカーの主要な生成は、触媒作用による。典型的には、触媒温度は、触媒なしでは生物由来物質から熱分解によって容易に検出できるバイオマーカーを生じさせることができない温度である(容易に検出できるとは、迅速で確実な検出を可能にするのに十分な濃度及び加熱速度をいう)。しかしながら、本発明では、該触媒は、熱分解に必要な温度よりもかなり低温、例えば200〜300℃以下の温度であってもよい触媒温度で迅速確実な検出を可能にするのに十分な濃度及び加熱速度でバイオマーカーを生成させることを可能にする。
低温によって生ずる利点としては、携帯型システムに適合できる、さらに低い所要電力及びさらに小型の低電力システムを使用する可能性が挙げられる。低温は、さらに少ない反応、しかしてさらに少ない副反応しかもたらさないことが予期される。
さらに、特定の触媒系は一般に所望の生成物への反応を促進させるため、よく選択された触媒は、所望のバイオマーカーを生じさせる反応を助け、そして熱分解方法では生成されない、容易に検出できる濃度の新規なバイオマーカーを生じさせることが予期される。例えば、誘導体化用の触媒を使用する場合には、誘導体エステル又は他の物質の形の揮発性バイオマーカーを穏やかな条件下で高濃度で容易に生じさせることができる。
ある用途では、ある種の触媒系を使用したさらに高い選択性及びさらに高反応速度が低温度での操作よりも重要であり、そしてこれらの場合における本発明の実施は、従来技術の熱分解系で使用される温度での又はその付近での操作を伴い得る。しかしながら、本発明の実施において、バイオマーカーの主要な生成は、なお触媒作用による。
生物由来物質とは、生物起源の物質であって、生物の胞子又はウイルスのような生物学的に危険な成分を含んでいても含んでいなくてもよく、使用者が検出することを望み、しかも同定される又は同定できるかもしれないバイオマーカーが存在するものをいう。特に関心があるものは、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)及びバチルス・スブチリス変種ニガー(Bacillus subtilis var niger)の胞子である。また、脂肪酸、蛋白質、炭水化物、デオキシリボ核酸(DNA)、脂質、ペプチドグリカン及びジピコリン酸を含有し、しかも同定を可能にする独特のバイオマーカーを生じさせることができる物質も意図される。
接触は、液相又は気相中で行うことができる。試験されるべき生物由来物質は、固体の場合には、液体に溶解でき、又は液体若しくはガス中に懸濁でき、そして触媒と接触できる。触媒は、以下に詳しく説明するように、溶解又は懸濁試料と同一の相中に存在することができ、又は該試料を溶解若しくは懸濁させる流体と接触した状態にある別個の触媒活性表面であることができる。
例として、揮発性バイオマーカーとしては、胞子及び細胞上の脂質中に見いだされるような1種以上の化合物、例えば、それぞれジピコリン酸及び脂肪酸から生成されるピコリン酸エステル及び脂肪酸メチルエステルが挙げられる。この場合には、触媒は、生物由来物質を揮発性バイオマーカーにエステル化(例えば、メチル化若しくはエチル化)し、又はさもなくば誘導体化させる酸/塩基触媒のような誘導体化用触媒である。この種の触媒としては、超強酸触媒及び他の酸性及び塩基性固体が挙げられる。酸型の好適な触媒の例は、タングスト燐酸(H3WP1240)である。また、好適なゼオライトのような固体酸触媒も意図される。
上記のタイプの触媒材料は、生物由来物質と触媒との十分な接触を可能にする多数の形態のうち任意のものに作られることができる。このような触媒の形態は、斯界に周知である。
また、触媒は、分解触媒であることもできる。このような触媒は、分子中の炭素−炭素、炭素−水素若しくは炭素−酸素結合又は考えられる他の結合を切断することによって有機化合物を分解させる触媒活性表面を含有する、典型的には多孔性で、よく分散される金属、金属の酸化物及び/又は硫化物である。このような触媒によって生成されることが予期されるバイオマーカー又はバイオマーカー前駆体としては、熱分解方法によって検出できるもの又は別の触媒型によって検出可能なバイオマーカーにさらに触媒的プロセシングすることができるものが挙げられる。
分解触媒は、微粉化された金属粒子、多孔性担体若しくはキャリヤーに分散された金属粒子及び/又は固体表面若しくは担体上に被覆された金属であることができる。この構成物は、生物由来物質及び非揮発性バイオマーカー前駆体との接触を確実にするようなものであるべきである。任意の好適な担体、例えば、セラミック、カーボン又はモレキュラーシーブが意図され、粒子、ペレット、被覆された又は稠密なモノリス、溝を有する他の形状の形態にある多孔性セラミック及び他の構造化触媒材料が挙げられるが、これらに限定されない。分解触媒の金属成分は、Co、Fe、Pt、Ni、Pd又はRhのような貴金属又は卑金属の1種以上を含むことができる。
試料を加熱するためのシステムは、任意の好適な加熱技術の変化形であることができ、またこれはホットプレート、セラミック膜、ロッド、ワイヤーなどを含むことができ、しかもこれは電気抵抗性のある金属、セラミックなどの加熱部材を含むことができる。このものは、触媒を取り囲むように配置され及び/又は試料を含有する流動ガス若しくは蒸気を加熱するために触媒の上流若しくは下流に設置される、以下に説明するワイヤー・メッシュ系のような触媒系と共に組み込まれ得る。熱分解システムで使用されるようなヒーターを使用してもよいが、一般にはそれよりも小型である。というのは、温度及び消費電力の要求基準が本発明の方法についてはかなり低いからである。
いったん生成されると、バイオマーカーは、ガスクロマトグラフィー及び質量分析のような分析化学的技術を含めた任意の好適な検出システムによって検出/分析できる。
本発明の別の態様は、生物由来物質からのバイオマーカーの生成を促進させる装置であって、該生物由来物質と触媒及び誘導体化剤とを接触させるための反応区域を含むものである。該反応区域は、典型的には、触媒と、生物由来物質を触媒温度に加熱するための加熱システムとを含むであろう。その後の分析のためにバイオマーカーを集めるための収集区域が設けられ、或いは生成されたバイオマーカーを検出しかつ同定するために検出区域が設けられている。該装置は、加熱及びガス又は液体中での触媒反応のために構成され、しかも誘導体化触媒及び分解触媒のいずれか又は両方を含むことができる。
本発明の装置の態様において、加熱システムは、メッシュに電流を通すことによって電気的に加熱される金属メッシュを含むことができる。また、このメッシュは、触媒として活性な表面を与えることもできる。このメッシュは、平坦、曲線状若しくはコイル状であることができ、単一層状、多層状であることができ、又は金属フォームとして構成できる。該メッシュは、加熱された(触媒)表面にわたって液体試料を分配する良好な手段を提供し、触媒表面及び/又は加熱表面との接触のために高い表面積を提供するように構成できる。また、このものは、試験される試料に要求され得る溶媒を乾燥させる手段を備えることもできる。この触媒機能は、固有の構成金属(例えばNi)によって、又は触媒として活性な金属(例えば、Ptなど)の皮膜によって与えられ得る。該メッシュは、最適な又は最良のメッシュの向き、ワイヤー寸法などを与えるように柔軟な構成を備える。
触媒作用
触媒は、所定の化学反応において所望の生成物の形成に必要な活性化障壁を低下させる材料であり、該化学反応をかなりの速度で進行させ、さもなくば見込まれるものよりも迅速に及びかなり高い選択性でもって進行させる。該触媒は、該プロセス中には消費されないが、むしろ反応の間にその初期状態に循環的に復元される(このプロセスは、ターンオーバーと呼ばれる)。市販の触媒は、交換を必要とする前に数百回のターンオーバーができる。不均一系触媒は、典型的には、担体と呼ばれる多孔性セラミック材料上に分散された金属、金属酸化物又は金属硫化物(活性相)の小さな結晶からなる。酸化物触媒としては、有機化合物又は生体化合物の多くの異なる種類の転位を触媒することができる、ゼオライトのような酸性固形物及び超強酸を挙げることができる。触媒は、石油の精製、化学品の製造及び公害防止において多数の用途が見出されてきた。これらの大きな利益は3つある[47]。第一に、これらのものは、低温及び低圧で反応を促進させるため、化学反応及びプロセスについてのエネルギー必要量を劇的に低減させる。第二に、これらのものは、所望の反応又は一連の反応についての選択性及び速度を極めて増大させる。第三に、これらのものは、必要な装置(特に反応器)の容量を低減させる。
バイオマーカーの生成に対する触媒の適用
科学文献及び特許文献の調査に基づけば、今のところ細菌胞子からのバイオマーカーの生成に対する不均一系触媒の適用は存在しないと思われる。触媒は、熱分解中に切断される同一タイプの結合を、それよりも穏やかな条件で切断することができる。これらには、炭素−炭素結合の切断、炭素−窒素結合の切断及び炭素−酸素結合の切断が含まれる。炭化水素の炭素−炭素結合を切断させるために使用される触媒としては、重質炭化水素の接触分解における固体酸、炭化水素の蒸気改質に使用される金属(Ni、Pt、Rh)触媒及び多核芳香族炭化水素の水素化分解用の複合固体酸ゼオライト/金属(Ni、Pt)触媒が挙げられる[47]。炭素−硫黄、炭素−酸素及び炭素−窒素結合の切断を触媒する金属は、文献には容易に見つけられないが、金属硫化物はこれらのタイプの反応のための有効な触媒である。
酸/塩基触媒は、胞子の熱分解において観察されるメチル化反応に類似する誘導体化、エステル化及びメチル化反応を触媒することが知られている。例えば、超強酸触媒は、均一(液体−液体)の用途では、炭素−酸素結合の切断及び再形成のためのトランスエステル化反応において使用されてきた[48−52]。製薬産業において一般的な試薬であるDPAのトランスエステル化用触媒の研究が報告されている[48]。
細菌胞子を含め、生物由来物質からのバイオマーカーの生成に触媒的方法を適用すると、必要な熱(エネルギー)が低下し、しかもバイオマーカーの形成速度及びバイオマーカーについての選択性の両方が増大する。広範囲の文献の検討により、(1)細菌胞子の分解に触媒作用を適用することがこれまでに検討されていなかったこと、(2)ニッケル及び白金触媒が炭素−炭素結合を切断する能力を有すること、及び(3)タングスト燐酸(H3WP1240)のようなヘテロポリ酸(超強酸)が脂肪酸のトランスエステル化(メチル化)の能力を有することを示すデータが得られた。
本発明の態様は、細菌胞子を含めて生物由来物質からバイオマーカーをこれまでに使用されていた方法よりも有意に穏やかな条件でかつ大きな選択性で生成させるために触媒を適用することである。
図面の簡単な説明
図1は、ジピコリン酸の熱分解及び電子衝撃分解経路を示す図である[19]。
図2は、パルミチン酸をそのメチルエステルに転化させる際の温度の影響を示す図である。
図3は、パルミチン酸をそのメチルエステルに転化させるための反応時間を示すグラフ図である。
図4は、パルミチン酸をそのメチルエステルに転化させるためのメタノールのモル比の影響を示すグラフ図である。
図5は、ピコ燐酸メチルエステルの存在を示すMSスペクトルである。
図6は、炭疽菌胞子の分解の結果を示すMSスペクトルである。
図7は、試料の細菌器胞子の分解の結果を示すMSスペクトルである。
図8は、試料の細菌胞子の分解の結果を示すMSスペクトルである。
図9は、試料の細菌胞子の分解の結果を示すMSスペクトルである。
図10は、試料の細菌胞子の分解の結果を示すMSスペクトルである。
図11は、本発明の装置の具体例の概略図である。
図12は、本発明の装置の他の具体例の概略図である。
図13は、本発明の装置の他の具体例の概略図である。
図14は、ワイヤーメッシュを使用した本発明の装置の部品の(a)等角図及び(b)正面平面切断図である。
図15は、本発明の装置の具体例の図である。
図16は、図15の装置の上部フランジに取り付けられたワイヤーメッシュスクリーンを示す該装置の一部分の詳細図である。
詳細な説明
実験結果
生物由来物質からのバイオマーカーの触媒的生成を証明するために実験を実施したが、該方法は、超強酸(タングステン燐酸又はTPA)触媒を使用した脂肪酸及びジピコリン酸のエステル化及びTMAHとTPAを使用した胞子(BA、BG、BT:表2参照)の分解を包含した。
Figure 2007525677
脂肪酸及びジピコリン酸のエステル化
脂肪酸は、生物由来物質の分解中に生成される典型的な化合物である。脂肪酸及びジピコリン酸は、細菌胞子の分解中に生成される一般的な化合物である。これらの酸は、これらの低い揮発性のため、容易には検出されない。しかしながら、これに対応するメチルエステルは、触媒としてタングスト燐酸(TPA)を使用してエステル化した後に容易に検出できる。上記のように、生物由来物質は、FAMEのプロファイルによって同定できる。
TPAは、脂肪酸のエステル化についての有望な候補化合物である。このものは、H3PW1240の化学組成を有するケギン構造ヘテロポリ酸(HPA又は超強酸)の一つである。室内実験では、このものは、ラウリン酸(C12の酸)からステアリン酸(C18の酸)までを範囲とする脂肪酸のエステル化に対して高い触媒活性を示した。また、この触媒は、バチルス属胞子の検出のための別の重要なバイオマーカーであるジピコリン酸(DPA)のエステル化に対する活性も示した。
ほぼ単層の触媒(TPAの分子構造から概算されるように)を、50重量%のTPAを市販のシリカ担体(308m2/g)上に含浸させることによって調製した。この調製された触媒は、110m2/gの表面積を有していた。触媒活性は、該触媒をメタノールで洗浄することによる悪影響が見出されなかったが、これは該触媒におけるTPAの単層被覆を示している(TPAはメタノールによく溶ける)。また、これは、単層の活性成分が該表面上で安定であることも示唆する。
純粋な脂肪酸化合物のメチル化は、シリカ担持タングスト燐酸(TPA)によって触媒された。これを証明するために使用した手順は、使用される溶媒に従って僅かに変化する(例えば、温度及び乾燥時間が変更された)。一般的なスキームは次の通りである:小型のガラス瓶中で、モデル化合物(通常パルミチン酸)を溶媒(通常は水)に溶解させ、これにメタノール及びシリカ担持TPA触媒を添加した。該混合物の1〜2μLを熱分解器のカップに移し、そして低温で加熱(例えば、該混合物の沸点以下、メタノールの場合には〜60℃)して溶媒を追い出し、その後その残留物を250〜300℃の温度(400℃を超える温度は該反応体を分解させることが分かった)にまで迅速に加熱した。GC/MSデータを脂肪酸のピーク及び脂肪酸メチルエステルのピークについて試験した。ヘキサデカンを定量分析用の内部標準としての役割を果たすように該混合物に添加する。メタノールの存在下でのパルミチン酸メチル化の範囲は、ちょうど室温でTPAによって有意に高められることが分かった。これらの結果は、溶媒としての水及びオクタンの両方で得られた。
結果−脂肪酸
脂肪酸(C12〜C18)の触媒によるメチル化の実験を実施した。メチル化の活性及びメタノールによるTPAの選択性は、この範囲の脂肪酸の全てについて同様であることが分かった。例として、パルミチン酸の結果を以下で検討する。
図2を参照すると、パルミチン酸のそのメチルエステルへの触媒による転化率は、95℃で2分間の反応後に50%である。図3を参照すると、該転化率は、該混合物が5時間以上にわたって室温にあるときには80%に増加する。しかしながら、該反応は、触媒なしでの同一の条件では容易に判断できるほどには起こらない。これらの結果は、触媒が全てのタイプの脂肪酸のメチル化に対して非常に活性であることを示している。図4を参照すると、反応の転化は、メタノール/パルミチン酸の高い比でさらに大きくなることが示されている。この反応は、溶媒の損失を防ぐために封管中で溶媒としてメタノールを使用するときには95℃2分間でほぼ完了する。
結果−ジピコリン酸
図5を参照すると、ジピコリン酸は、同一の触媒条件下でそのメチルエステル又はピコリン酸メチルエステルに25℃で転化することが示されている。
BA、BASS、BG及びBT胞子の分解
ストック胞子懸濁液の試料をボルテックスし、そしてアリコートを他の試薬及び/又は触媒(例えば、TMAH、TPA、メタノールなど)と共に小型エッペンドルフチューブに移した。およそ2μLを使用した。脂肪酸(及び脂肪酸メチルエステル)プロファイリングのための適当なGC方法を、作成されたFAMEプロファイルの分析のために使用した。
図6を参照すると、TMAH及びTPAの存在下でのBAの分解からの結果は、バイオマーカーの有意な量が生成されたことを示している。また、その反応は選択的であったこと、すなわち、ノイズを生じかつバイオマーカーの検出及び同定を妨げる多数の副産物を生成していないことも分かる。
図7を参照すると、TMAH及びTPAでの胞子(オートクレーブされたBT)分解の結果は、別個の実験について同様であったが、これは、これらの結果が再現可能であることを示している。
図8を参照すると、TMAH及びTPAの存在下でのBG及びBA胞子の分解の結果は、これらの種が、触媒によって生成されたバイオマーカー(脂肪酸メチルエステル又はピリジン誘導体)のユニークなパターンによってそれぞれの胞子ごとに区別できることを示している。
図9を参照すると、同様の結果(ピークの位置に関して)がTMAH及びTPAによるBT及びBAのスペクトルに見出される。しかしながら、ピークの強さは有意に変化しており、オートクレーブがこれらの結果に大きな影響を及ぼすことを示している。
図10を参照すると、オートクレーブされた胞子(BA、BT、BASS、BG)の分解からのスペクトルは、全て明白に異なっており、種間の区別がこの方法によって可能であることを示している。
結果及び結論の概要
超強酸触媒による脂肪酸及びジピコリン酸の触媒的エステル化を実証する。脂肪酸及びジピコリン酸は細菌及び細菌胞子の分解の際に生成される典型的な化合物であるため、これは、触媒が生物由来物質からバイオマーカーを生成することができるという特許請求の範囲を裏付けるものである。
メチル化剤(TMAH)及び触媒材料(TPA)の存在下に穏やかな条件下でBA、BT、BG及びBASSの胞子を分解すると、バチルスの種間を区別することができ、かつ、該種を同定することができるバイオマーカーが生成されることが示された。
Pt、Ni及びPdのような金属は、先の研究において、C−C、C−N及びC−O結合を切断することが示されているため、当然これらのものはバイオマーカー又はバイオマーカー前駆体である可能性が高い胞子分解による炭化水素断片を触媒的に生成できることになる。
装置
手持ちサイズのバイオマーカー生成装置(HBG)は携帯型の装置であり、特別の設計要件を必要とする。これは、例えば、試料の収集、分解及び誘導体化の触媒及び試薬の使用、装置の形状及び構成などを包含する。
HBGの主目的は、例えばバチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)内生胞子であることができる一方で、任意の生物学的又は他の小さな生化学的化合物(例えば、蛋白質、DNA、糖質など)であることができる試料から十分な量の重要な化学バイオマーカーを放出させ、そして検出及び同定システムのためにこの放出されたバイオマーカーの適切な量を付着させること、例えば、GC/MSによって検出されるように固相微量抽出(SPME)繊維上に付着させることである。SPME繊維の代わりに、GC/MSへの直結も使用される。
好適なHBGは、
・携帯型であるべきであり(推定される筋書き:電池、電子制御などを含み、使用後に袋詰め及び保存できる取り外し可能な使い捨てのカートリッジを受容できる小型容器)
・手持ち式であるべきであり、
・再利用できる消費低電力(すなわち、<75W)であるべきであり、
・試料の収集を助成すべきであり(例えば、生地様のワイプ、スワッブなど)、
・任意の必要な化学試薬及び/又は触媒を含むべきであり、
・試料及び必要な試薬の適切な分散、混合、加熱などを助成すべきであり、
・生成された/揮発したバイオマーカーを検出器に移すための試料収集装置、例えばSPME(固相微量抽出)繊維(未使用の装置内にパッケージ化されているか又は使用中/使用後に挿入されるかのいずれか)を組み込むべきである。
例A−装置
本発明を具現化するHBG21の概略図を図11に示している。注入器シリンジ又はスプレーノズル23は液体試料を分散させ、そしてこれは、気流(流れの矢印によって表されている)によって多孔板24(図11a)を通って2種の触媒からなる「触媒区域」25に運ばれる:第1触媒は、そのままの又はPtで被覆されたニッケルからなるワイヤーメッシュ27(触媒1又は分解触媒という)であり、しかも胞子を熱的に及び触媒的に分解させ、揮発性の胞子成分を放出させるのに役立つ(図11bも参照)。第2触媒29(触媒2又は誘導体化触媒という。)は、胞子分解中に生成される有機酸化合物をエステル化するものであり、そしてくぼみのある金属箔モノリスの表面上に被覆されている(図11c及び11dも参照)。該メッシュを抵抗によって加熱すると、胞子を粉々に破壊しそして金属モノリスを加熱して(後者のものは、高熱伝導性であるため、ワイヤーメッシュによって加熱できる)エステル化反応のためのエネルギーを与えるのに必要な熱エネルギーが生ずる。空気(妨害し得る粒子を除去するために該装置に入るときに0.1μmにまでろ過される)を小型ダイヤフラムポンプ31によってHBGの裏側又は出口側から排出させて該触媒から胞子と分解生成物を引き出し、そして該空気を排出させる。触媒によって生成された有機化合物は「有機物透過性膜」によって吸収される。該膜は、収集/検出部35、例えばGC/MS(ガスクロマトグラフィー/質量分析器又はVGC/ITMS真空ガスクロマトグラフィー/イオン・トラップ質量分析器)との接続部33である。
例B−装置
図12、12a、12b、12c及び12dを参照されたい。これは、図11の略図に変更を加えたものであり、該当する場合には同一の符号を使用している。最も重要な変更点は、バイオマーカー化合物を吸収しそしてGC/MSに移行させるためにSPME繊維を使用した点である。示した図において、SPMEは隔壁37を貫通して延在するシリンジ様針41内に収納されているが、該装置は、該用語の伝統的な意味においてシリンジではない。
例C−装置
図13a、13b、13c、13dを参照されたい。これは図12及び図11に変更を加えたものであり、該当する場合には同一の符号を使用している。大きな相違点は、固形物の試料を集めるために2個の多孔板又はメッシュ24間にセラミックワイプ45を使用した点である。このワイプは、分解触媒又は誘導体化触媒のいずれか又は両方並びに必要な試薬を取り入れることができる。試料の収集後に、このワイプは、2個の加熱メッシュ間に挟まれて触媒作用及びバイオマーカーの生成を促進させる。
例D−装置
HBGの原型(多くの場合、「ワイヤーメッシュ試験ユニット」又はWMTUと呼ばれる)を構築して本発明の方法を評価した。図14a及び14bはこの装置の主要部分を示している。
図15及び16は、該装置の斜視図である。該装置は、図14a、14b及び15に示すように3つの区域からなる:
・区域1:(101)誘導体触媒又はワイヤーメッシュ/ヒーターの位置
・区域2:(102)分解触媒、メチル化触媒の位置
・区域3:(103)SPME繊維への化学物質移動の位置(このものは、口部131に挿入される(図14b))。
区域1:
極細ニッケルワイヤーメッシュ111(図14及び16)を使用して胞子、触媒及び/又は胞子の分解とバイオマーカーの生成を助成するために使用できる試薬を集め、そして抵抗によって加熱する。WMTUの頂部に挿入される該ワイヤーメッシュ取り付け装置113の構成を図16に示している。加熱し、該メッシュを所定の位置に保持し、該試料を該装置に導入するための電気的接続を作るため及び該装置を通して流れを案内するための任意の好適なシステムが意図される。
区域2:
区域2は、円筒型のモノリス又は粉末化された触媒を取り込むように設計されている。示されているのは、モノリス又は触媒を収容するためのチャンバー121(図14a)である。区域2のチャンバーを加熱するために、ガラス絶縁ニクロムワイヤー123(図15)が外周部を包んでいるが、アルミニウム加熱ブロックを使用してもよい。任意の好適な方法による加熱に対する電気的接続のため及び温度を制御するための任意の好適なシステム(例えば、好適な同調パラメーターを有する温度制御装置を使用した温度制御システム)が意図される。
区域3:
SPME繊維への化学物質移動の位置であるこの区域(口部131を参照)は、WMTUがGC注入口の頂部に取り付けられる場合に加熱されるであろう。究極的には、該HBGの小型化版が意図される。
例E−液体ベースの反応
本発明の装置及び方法の上記例において、生物学的試料、試薬及び生成物は乾燥している、すなわち、空気又はその他のガスで取り囲まれている。別法として、該反応は、溶解した化合物/試薬及び懸濁された様々な種のバチルス内生胞子との液体ベースであることができる。次に、液体ベースの手順の概要を説明する。
第1に、純粋な脂肪酸化合物(胞子分解生成物の代表)のメチル化は、シリカ担持タングスト燐酸(TPA)によって触媒される。これを証明するために使用した手順は、使用する溶媒によって僅かに変更される(例えば、温度及び乾燥時間が変更される)が、一般的なスキームは次の通りである:小型ガラス瓶中で、モデル化合物(通常はパルミチン酸)を溶媒(通常は水)に溶解させ、これにメタノール及びシリカ担持TPA触媒を添加する。該混合物の1〜2μLを熱分解器のカップに移し、そして低温(例えば、該混合物の沸点以下、メタノールの場合には〜60℃)で加熱して溶媒をとばし、その後に残留物を250〜300℃(400℃を超える温度は、TPAを含め反応体を分解させる)の温度で熱分解させる。GC/MSデータから、メタノールの存在下でのパルミチン酸のメチル化は、室温でさえもTPAによって有意に向上されることが示される。これらの結果は、溶媒として水及びオクタンの両方について同一である。
第2に、胞子の様々な液体ベース処理下で生成された生成物を同定するための試験を実施する。ストック胞子懸濁液をボルテックスし、アリコートを他の試薬及び/又は触媒(例えば、TMAH、TPA、メタノールなど)と共に、混合のために小型エッペンドルフチューブに移す。得られた混合物の約10μLを一方の端部がヒートシールされた小型ガラス毛細管に移す。この移行後に、該ガラス毛細管の他方の末端をシールし、そして胞子を少なくとも200℃までの温度に加熱する。この加熱処理後に、該毛細管を壊し、そしておよそ2μLを取り出し、そして熱分解器のカップに添加する。脂肪酸(及び脂肪酸メチルエステル)プロファイリングのための好適なGC方法を、得られた化学プロファイルの分析のために使用する。
装置設計の変形例
HBG設計の多くの好適な変形例が本発明の実施に好適である。好適なHBGの例は次の特徴を有するであろう。以下、そのそれぞれを詳細に説明する。
1.汚染源(汚染された表面、粉末及び/又は液体)からの試料の収集
2.HBGへの試料の授与/導入
3.加熱及び触媒作用による最初の試料の分解
4.上記3からの化学生成物のさらに揮発性の安定な種への転化(例えば、脂肪酸及び他の有機酸のエステル化)
5.上記4からの生成物のSPME繊維上での収集
6.GC/MSによる分析のためのSPME繊維の収容及び回収。
試料収集
未知の試料のうち2つの主要な予期される形態が存在する:粉末(例えば、兵器並みに加工された炭疽菌胞子)及び液体懸濁液。粉末化された試料の収集は、スワッブ又はワイプを使用することによって達成できる。このワイプは、該装置に設置又は挿入できる。該装置は、試料収集後に該ワイプの周囲に螺合し又はかみ合う2個の部品からなることができる。液体試料は、シリンジ中に集めることができ、そして該装置に注入又は噴射でき、又は装置自体を使用して液体を吸収させ若しくはさもなくば取り込むことができる。また、スワッブ又はワイプは、同様の方式で液体試料と共に使用することもできる(すなわち、液体をワイプに噴射し又はワイプを使用して液体を吸い取る)。
試料の授与
ワイプは、装置内のワイヤーメッシュヒーター間に差し込まれかつ直接的に加熱されることができ、又は試薬と触媒を含有する液体リザーバーに挿入されることができる。十分な空気の流れ及び/又は加熱により、胞子及び胞子産物は、該ワイプから除去され、そして加熱(随意として触媒の)メッシュ上に通され及び/又は該システムを通過することができる。
或いは、液体試料を該装置に注入し、噴射し又は噴出することができるが、これは、該液体を案内するための好適な溝及び形状を有するため、該液体は迅速に混合され、加熱され、そして乾燥され(必要ならば)、しかも該液体中に存在する粒状物/胞子は、加熱された又は触媒の表面(例えばワイヤーメッシュ)上にのみ付着する。任意の高表面積材料(メッシュ、フォームなど)を使用して該液体を集め、分散させ、そして乾燥(必要ならば)させることができる。
最初の試料の分解
加熱と触媒作用の組み合わせが使用できる。分解触媒は、生物由来物質をバイオマーカーに熱的に分解させ又は化学的に分解させる(例えば、胞子を、脂肪酸、ジピコリン酸、蛋白質断片及び任意の他のユニークな化学バイオマーカー化合物を放出させ/揮発させるように分解させる)のに役立つ任意の物質の形態をとることができる。
触媒がNi及びPt(C−C結合を切断する際に機能する)ような金属を含む場合には、該触媒は、独立型であることができ、又はワイヤーメッシュ若しくは他の高表面積材料(例えば、ニッケル又はその他の金属フォーム)上にめっきできる。或いは、これらの材料のナノクラスターを、該触媒を該胞子に本質的にもっていき(むしろ胞子を触媒にもっていく)、該胞子の外側に分散させることができる。胞子全体に触媒を分散させるためのプロセスを該装置に組み込むことができる。胞子を触媒で被覆するのを促進させるために上記のワイプ中にナノクラスター又は他の触媒/試薬を含ませることができ、又はさもなくばメッシュ又は最終の装置に取り入れることができる。この最初の試料の分解は、液体中で又は乾燥胞子の分解によって行うことができる。
装置のヒーター部分は、任意の好適なシステムであることができる。好適なシステムは、1インチ当たり200〜1500個の開口を有する電気鋳造された細いニッケルワイヤーメッシュであることが分かった(Precision Eforming社から入手できる)。200穴/インチを有するメッシュの部分を抵抗により赤熱にまで加熱した。通常、これらのメッシュ材料は、感受性電子装置の用途並びにシーブ材料に適用するために静電遮蔽するために使用される。これらのメッシュ材料は、ヒーターとしては使用されていなかったと考えられるが、ここでは、電気鋳造されたワイヤーメッシュを生物由来物質からバイオマーカーを生成させるための小型ヒーター又は小型熱分解器として使用する。ワイヤーメッシュは、熱分解器及び触媒装置として使用されてきたが、バイオマーカーの製造のためには使用されていない。加熱ワイヤーメッシュ装置は、Loison及びChauvinによって1950年代に発明され[53]、そしてその後特に石炭粒子の熱分解/蒸発の分野において使用されてきた。研究活動は、石炭の熱分解反応(例えば、[54、55]参照)に集中していただけでなく、熱分解生成物の収量に及ぼすメッシュ加熱速度の影響([56])、空気中でのメタン酸化に及ぼす電気的に加熱されたニッケルメッシュの触媒の影響([57、58])並びにポリエチレン及びポリプロピレンの熱分解速度論[59]にも集中していた。
このメッシュは、極細ワイヤー(直径が10〜200ミクロン)から構築されるため、低レベルの消費電力で現在の大規模熱分解器よりも迅速に加熱できる。これは、熱分解の分野に有利である。文献には、熱分解器の設計にとっては迅速な加熱が望ましいことが報告されている[60〜62]。
さらに、ワイヤーの寸法及び穴の寸法によっては、この細かいメッシュは、平坦な固体単独(これは、出願人が知っている全ての市販熱分解装置についての現デザインである。例えば、キューリー点、抵抗加熱ワイヤー、加熱金属箔及び加熱るつぼ型の熱分解器である)よりも大きい全表面積を与えることができ、これは、乾燥中に互いに凝集し得る細かな粒状物質(細菌栄養細胞及び内生胞子を含む)の分散及び加熱を改善させる。最後に、細かなメッシュの一つ以上の層を試料の導入/収集中にフィルターとして使用する利点がある。
ヒーターについては任意の好適な電源が考えられるが、これは、電流を、例えば、ワイヤーの一セットに平行かつ別のものに対して垂直に又はワイヤの両セットを介して同時に斜めに流すための様々な方法を包含できる。また、異なるメッシュパターンの形状(例えば六角形)又は多層デザインが考えられる。多層デザインと、メッシュよりむしろ金属「スポンジ」の使用とが考えられる。また、メッシュの表面は、胞子の分解に役立つ特別の皮膜(例えば、ナノ微結晶)又は樹枝状結晶をも含むことができる。該メッシュは平坦に置くことができ、又は該メッシュは円筒形に巻かれ、そして電流がその軸に沿って印加される。これは、生成物の輸送特性を向上させる可能性があり、SPME繊維(以下参照)のすぐ近くにメッシュの大きな表面積を設置し、そして最初の試料の分解に役立ち得る(例えば、スワッブがその中心を通過することができ、その内側に沿って試料物質が付着する)。
分解生成物の転化
分解触媒によって生成されたバイオマーカー物質(これは、脂肪酸、ジピコリン酸及び/又は他のバイオマーカーを包含し得る)は、シリカ上に担持されたタングスト燐酸[63]のような誘導体化触媒によるその後の反応を受けることができるが、他の処方物も使用できる。これらの反応の生成物はエステルであることが予期されるが、他の化合物であってもよい。当該装置は、これらの反応に必要な試薬(又はこれらのものを導入するための手段)、例えば、メタノール、TMAHなどを含むであろう。この触媒及びその試薬は、収集用ワイプ、分解用メッシュ又は別個のモノリス若しくはメッシュに導入できる。また、これらのものは、特殊なSPME繊維(デッドボリュームを排除する)にも導入できる。
SPME繊維上での生成物の収集
SPMEは、固相微量抽出のために短く、かつ、収集(対象の揮発性化合物を含有する溶液中に浸漬させ又はこれらのものを含有するガスにさらすことによる)中に改質固体担体上に試料を吸着させ、そしてその後溶媒で又は熱的手段によって該試料を脱着させることを可能にする技術である[64]。
このSPME繊維(これは、GC/MSのような分析機器の内部に挿入され得る針に収容されている)は、初めのうちには収集/反応装置内に存在し、そして反応時間中に伸長し、又は試料の導入及び/又は最初の処理後に伸長し若しくは挿入できる。該SPME繊維は、保護用外装によって大きな化学物質断片(又は所望の化合物よりも小さい拡散率のもの)が吸着することから保護できる。最後に、該SPME繊維は、触媒材料で含浸又はさもなくば充填できるかもしれない。
SPME繊維の収納及び回収
この繊維は、その保護用針シースに収納されており、そのシリンジは、物質を分析機器に移すために回収されるであろう。
他のプロセスの注釈
バイオマーカーを触媒からSPME繊維に移すために、小型ダイアフラムポンプが使用できる。このような装置は、商業的に製造されており、そして市販されている(例えば、www.virtualpumps.com)。該プロセスが流れを伴わない場合にはポンプは使用されず、この場合には、反応は懸濁液又は小型の単純な反応チャンバー内で生じる。
さらに、胞子、試薬、バイオマーカーなどを接触させる装置のうち任意の部品の表面は、特別の処理(例えば、化学処理、熱処理など)又は被覆を受けることができる。このような処理は、必要ならば、存在する胞子と化学種との物理的引力、化学吸着又は電荷の引力/反発作用を最小化/最大化させて装置の効率を改善させるために使用されるであろう。
ある種の特定の具体例及び実施例を参照しつつ本発明を説明してきたが、当業者であれば本発明の範囲及び精神から逸脱することなく多くの変更が可能であり、しかも本発明は、特許請求の範囲に記載されるように、本発明の精神から逸脱しない本発明の全ての変更及び改変をカバーすることを目的とすることを認識するであろう。
ジピコリン酸の熱分解及び電子衝撃分解経路を示す図である。 パルミチン酸をそのメチルエステルに転化させる際の温度の影響を示す図である。 パルミチン酸をそのメチルエステルに転化させるための反応時間を示すグラフ図である。 パルミチン酸をそのメチルエステルに転化させるためのメタノールのモル比の影響を示すグラフ図である。 ピコ燐酸メチルエステルの存在を示すMSスペクトルである。 炭疽菌胞子の分解の結果を示すMSスペクトルである。 試料の細菌器胞子の分解の結果を示すMSスペクトルである。 試料の細菌胞子の分解の結果を示すMSスペクトルである。 試料の細菌胞子の分解の結果を示すMSスペクトルである。 試料の細菌胞子の分解の結果を示すMSスペクトルである。 本発明の装置の具体例の概略図である。 本発明の装置の他の具体例の概略図である。 本発明の装置の他の具体例の概略図である。 ワイヤーメッシュを使用した本発明の装置の部品の(a)等角図及び(b)正面平面切断図である。 本発明の装置の具体例の図である。 図15の装置の上部フランジに取り付けられたワイヤーメッシュスクリーンを示す該装置の一部分の詳細図である。
符号の説明
21 バイオマーカー生成装置
23 スプレーノズル
24 多孔板
25 触媒区域
27 ワイヤーメッシュ
29 第2触媒
31 ダイヤフラムポンプ
33 接続部
35 収集/検出部
37 隔壁
41 シリンジ様針
45 セラミックワイプ
101 区域1
102 区域2
103 区域3
111 極細ニッケルワイヤーメッシュ
113 ワイヤーメッシュ取り付け装置
121 チャンバー
123 ガラス絶縁ニクロムワイヤー
131 口部

Claims (34)

  1. 揮発性及び/又は非揮発性のバイオマーカー前駆体を含有する生物由来物質の同定方法において、
    該生物由来物質と触媒とを接触させ、
    触媒温度にまで加熱して揮発性バイオマーカーを形成させ、
    該バイオマーカーを検出及び同定すること
    を含む方法。
  2. 生物由来物質が細菌胞子を含有する、請求項1に記載の方法。
  3. 生物由来物質が胞子、細菌、ウイルス及び毒素のうちの一つ以上を含有する、請求項1に記載の方法。
  4. 生物由来物質が、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)及びバチルス・スブチリス変種ニガー(Bacillus subtilis var niger)から選択される1種以上の胞子を含有する、請求項1に記載の方法。
  5. バイオマーカー前駆体が脂肪酸、蛋白質、炭水化物、デオキシリボ核酸(DNA)、脂質及びジピコリン酸のうちの一つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 接触を液相又は気相中で行う、請求項1に記載の方法。
  7. 揮発性バイオマーカーがピコリン酸及び脂肪酸メチルエステルのうちの一つ以上を含み、しかも触媒が酸/塩基触媒である、請求項1に記載の方法。
  8. 触媒がバイオマーカー前駆体をエステル化させるための誘導体化触媒である、請求項1に記載の方法。
  9. 触媒が超強酸触媒であり、しかも揮発性バイオマーカーが脂肪酸の誘導体化によって形成される、請求項1に記載の方法。
  10. 触媒が超強酸触媒であり、しかも揮発性バイオマーカーが脂肪酸をメチル化させることによって形成される、請求項1に記載の方法。
  11. 触媒温度が生物由来物質の熱分解に必要な温度以下である、請求項1に記載の方法。
  12. 触媒温度が300℃以下である、請求項1に記載の方法。
  13. 非揮発性及び揮発性のバイオマーカー前駆体を含有する生物由来物質の同定方法において、
    液相中で該生物由来物質と超強酸触媒とを接触させ、
    該非揮発性バイオマーカー前駆体をメチル化させるように触媒温度に加熱してメチル化エステルバイオマーカーを形成させ、
    該メチル化エステルバイオマーカーを検出及び同定すること
    を含む方法。
  14. 非揮発性バイオマーカー前駆体が脂肪酸を含み、しかもメチル化揮発性バイオマーカーが脂肪酸メチルエステルを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 非揮発性バイオマーカー前駆体がジピコリン酸を含み、しかもメチル化揮発性バイオマーカーがジピコリン酸のメチルエステルを含む、請求項13に記載の方法。
  16. 触媒がタングスト燐酸(H3WP1240)である、請求項13に記載の方法。
  17. 生物由来物質がバチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)及びバチルス・スブチリス変種ニガー(Bacillus subtilis var niger)から選択される1種以上の胞子を含有する、請求項13に記載の方法。
  18. 触媒がバイオマーカー前駆体を分解させるための分解触媒である、請求項1に記載の方法。
  19. 触媒が金属分解触媒であり、揮発性バイオマーカーが炭素−炭素結合を切断することによって形成される、請求項1に記載の方法。
  20. 非揮発性バイオマーカー前駆体を含有する生物由来物質の同定方法において、
    気相中で該生物由来物質と固体金属分解触媒とを接触させ、
    非揮発性バイオマーカー前駆体を分解させるように触媒温度に加熱して揮発性分解生成物を形成させ、
    該揮発性分解生成物を検出及び同定すること
    を含む方法。
  21. 非揮発性バイオマーカー前駆体が脂肪酸、蛋白質、ペプチドグリカン及びDNAのうちの一つ以上を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 触媒が1種以上の貴金属又は卑金属を含む、請求項20に記載の方法。
  23. 触媒がPt、Ni、Pd及びRhのうちの一つ以上を含む、請求項20に記載の方法。
  24. バイオマーカーの検出及び同定がガスクロマトグラフィー、質量分析及びイオン・トラップ質量分析から選択される分析化学的技術を含む、請求項1に記載の方法。
  25. 触媒との接触がバイオマーカー前駆体を分解させるための分解触媒との接触及びバイオマーカー前駆体をエステル化させるための誘導体化触媒との接触を含む、請求項1に記載の方法。
  26. 加熱が、加熱された金属メッシュとの接触を含む、請求項1に記載の方法。
  27. 加熱及び触媒との接触の両方が、触媒活性表面を有する加熱金属メッシュとの接触によって達成される、請求項1に記載の方法。
  28. 非揮発性及び揮発性のバイオマーカー前駆体を含有する生物由来物質を同定するための装置において、
    該生物由来物質と触媒とを接触させ、かつ、該生物由来物質を触媒温度にまで加熱して揮発性バイオマーカーを形成させるように構成され及び配置された触媒を有する反応区域と、
    該バイオマーカーを検出及び同定のために集める収集区域と
    を備える装置。
  29. 反応区域が第1及び第2接触・加熱区域を備え、ここで、該第1区域がバイオマーカー前駆体を分解させるための分解触媒を備え、該第2区域がバイオマーカー前駆体をエステル化させるための誘導体化触媒を備える、請求項28に記載の装置。
  30. 収集区域がガスクロマトグラフィーシステム及び質量分析システムのうちの一つ以上を備える、請求項28に記載の装置。
  31. 反応区域がヒーターとして機能する金属メッシュを備える、請求項28に記載の装置。
  32. 金属メッシュが触媒活性表面を有し、かつ、触媒として機能する、請求項31に記載の装置。
  33. 金属メッシュが単一層又は多層又はフォーム様である、請求項31に記載の装置。
  34. 前記メッシュが、前記加熱表面にわたって液体試料を分配するように構成された、請求項31に記載の装置。
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