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JP2007520552A5 - - Google Patents

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JP2007520552A5
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フッ素化酸性界面活性剤が付着した吸着性粒子からフッ素化酸性界面活性剤を回収する方法
本発明は、フッ素化酸性界面活性剤(fluorinated acid surfactant)またはその塩が付着した吸着性粒子から酸または塩の形態を取ったフッ素化酸性界面活性剤を回収することに関する。
フルオロポリマー、すなわち、フッ素化主鎖を有するポリマーは昔から知られており、耐熱性、耐薬品性、耐候性、UV安定性などの幾つかの望ましい特性のゆえに様々な用途において用いられてきた。種々のフルオロポリマーは、例えば(非特許文献1)に記載されている。フルオロポリマーは、一般に少なくとも40重量%フッ素化された部分フッ素化主鎖または完全にフッ素化された主鎖を有することが可能である。フルオロポリマーの特定の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)のコポリマー(FEPコポリマー)、パーフルオロアルコキシコポリマー(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)コポリマー、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデンのターポリマー(THV)、ならびにポリフッ化ビニリデンポリマー(PVDF)が挙げられる。
フルオロポリマーを製造するためにしばしば用いられた方法は、1種以上のフッ素化モノマーを水性乳化重合し、フルオロポリマーの水性分散液をもたらすことを含む。フッ素化モノマーの水性乳化重合はフッ素化界面活性剤の使用を一般に含む。しばしば用いられたフッ素化界面活性剤には、パーフルオロオクタン酸およびその塩、特にパーフルオロオクタン酸アンモニウムが挙げられる。用いられた更なるフッ素化界面活性剤には、(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)、(特許文献5)、(特許文献6)および(特許文献7)で開示されたようなパーフルオロポリエーテル界面活性剤が挙げられる。用いられたさらに別の界面活性剤は、(特許文献8)、(特許文献9)、(特許文献10)、(特許文献11)、(特許文献12)、(特許文献13)、(特許文献14)および(特許文献15)で開示されている。
パーフルオロカルボン酸(PFCA)は、フッ素化ポリマー、例えば、PTFE、FEP、PFAのような完全フッ素化(過フッ素化)(perfluorinated)ポリマー、過フッ素化エラストマーおよびその他を製造するために好ましい乳化剤である。塩の形態(例えばアンモニウム塩、APFO)を取った特にパーフルオロオクタン酸(PFOA)は広く用いられている。しかし、APFOおよび他のフッ素化界面活性剤、特に過フッ素化界面活性剤は環境の懸念を提起してきた。もう1つの重要な側面は、これらの界面活性剤が高価な材料であり、製造プロセスからの界面活性剤の一切の損失が最少化されるべきであるという事実である。今まで、これらの乳化剤、特にAPFOは連鎖移動特性を示さないので必要不可欠であった。従って、それぞれPFOAまたはAPFOは、フッ素化界面活性剤、特にカルボン酸基を有するフッ素化界面活性剤の全クラスに関するまさに際だった例である。
フルオロポリマーは基材を被覆して、例えば耐薬品性、耐候性、撥水撥油性などの望ましい特性を基材に提供するために用いることが可能である。例えば、フルオロポリマーの水性分散液は、キッチンウェアを被覆するため、布地または織物、例えばガラス布地に染み込ませるため、紙基材または高分子基材を被覆するために用いることが可能である。経済性および利便性のために、フルオロポリマー分散液は、典型的には35重量%〜70重量%の間のフルオロポリマー固形物を有し、それは濃縮プロセスを用いて典型的に達成される。あるいは、幾つかの用途に関しては、フルオロポリマーは粒状または粉末状で提供される。フルオロポリマーの粒状物または粉末を得るために、フルオロポリマーは典型的には凝集され、得られた凝集物は、所望の純度レベルを得るために一回以上水で洗浄することが可能である。
フルオロポリマーの最終商用形態にフルオロポリマーを製造中に、フッ素化界面活性剤を含有する廃水ストリームが生じる。例えば、廃水ストリームは、分散液の濃縮、重合容器および装置の洗浄、分散液の凝集およびフルオロポリマーの粒状物または粉末を得るための洗浄から生じる場合がある。更に、フッ素化界面活性剤を含有する廃水はフルオロポリマーの利用中に生じる場合がある。しばしば、廃水ストリームはフッ素化界面活性剤を含むのみでなく、少量のフルオロポリマー粒子などの他の成分も含有する。
水性媒体からPFCAを除去する幾つかの方法が知られている。例えば、逆浸透を用いる方法は(特許文献16)に記載されている。塩素化炭化水素を用いて低いpHレベルで水溶液からPFCAを抽出し、有機層をアルミナに接触させてPFCAを回収する組み合わせ法は(特許文献17)および(特許文献18)に記載されている。(特許文献19)には、水溶液からPFCAを分離するためにシリカゲルの使用が開示されている。
PFCA汚染水の処理は、(非特許文献2)において記載された逆浸透の利用、その後のエタノールによる活性炭の再生を含む活性炭床吸収によって行うことが可能である。ロシア国の著者によって報告されたように、PFCA汚染水(リットル当たり40〜4000mgのPFCA)は、初期工程の逆浸透によって精製され、リットル当たり20mg未満のPFCAを含有する水をもたらす。この濃度は、活性炭床を用いる追加の精製工程において更に下げることが可能である。PFCAの破過点で、付着された活性炭床は再生される。幾つかの異なる方法が試みられたけれども、溶媒、特にエタノール−水混合物によるソックスレー抽出は最善の結果を示した。しかし、この場合でさえも、吸収されたPFCAの65%のみを除去することが可能であった。こうして再生された活性炭は25〜40%の範囲内で活性の低下を示した。この結果に基づいて、活性炭を廃棄する前に活性炭を2〜3回しか再使用できないことが記載されている。
高価なフッ素化界面活性剤を重合プロセスにおいて再使用でき、吸着性粒子を廃水の精製において再使用できるように、吸着性粒子からフッ素化界面活性剤を回収することが一般に望ましい。吸着性粒子の効率が再使用後に低下しうる一方で、許容できない低い効率レベルのゆえに吸着性粒子を廃棄する必要がある前に吸着性粒子をより頻繁に再使用することができるように吸着性粒子を再生することが望ましいであろう。
さらに別の方法は、フルオロポリマー粒子含有廃水からPFCAを回収するためにアニオン交換樹脂の使用に関連する。こうした方法は(特許文献20)および(特許文献21)で開示されている。(特許文献20)によると、廃水をアニオン交換樹脂に接触させる前にフルオロポリマー粒子は廃水から除去される。(特許文献21)によると、廃水を交換樹脂に接触させる前に非イオン界面活性剤が廃水に添加される。従って、この方法において、PFCAはアニオン交換メカニズムを経由して交換樹脂に結合されるが、樹脂粒子への物理吸着も除去プロセスにおいて起きることが考えられる。これらの国際公開特許出願の教示によると、フッ素化界面活性剤は、アニオン交換樹脂からフッ素化界面活性剤を解放する適切な再生流体によりアニオン交換樹脂を溶離することによりアニオン交換樹脂から回収することが可能である。アニオン交換樹脂からフッ素化界面活性剤を回収する方法の欠点は大量の再生が一般に必要であり、それは再生のコストを増すとともに、いっそう不便であることである。
フッ素化界面活性剤が付着した吸着性粒子からフッ素化酸性界面活性剤を回収する更なる方法を見出すことが従って望ましいであろう。望ましくは、こうした方法は効率的であり、最少量の再生流体を用い、好ましくは便利であり、好ましくは、多数回再使用することが可能である再生済み吸着性粒子をもたらす。
EP1059342号明細書 EP712882号明細書 EP752432号明細書 EP816397号明細書 米国特許第6,025,307号明細書 米国特許第6,103,843号明細書 米国特許第6,126,849号明細書 米国特許第5,229,480号明細書 米国特許第5,763,552号明細書 米国特許第5,688,884号明細書 米国特許第5,700,859号明細書 米国特許第5,804,650号明細書 米国特許第5,895,799号明細書 国際公開第00/22002号パンフレット 国際公開第00/71590号パンフレット 国際公開第02/139593号パンフレット EP194692号明細書 EP194691号明細書 DE2407834号明細書 国際公開第99/62858号パンフレット 国際公開第99/62830号パンフレット 国際公開第00/35971号パンフレット 米国特許第4,396,266号明細書 「近代のフルオロポリマー(Modern Fluoropolymers)」、ジョン・シェアズ(John Scheirs)編、ウィリーサイエンス(Wiley Science)、1997年 ビストロフ(G.A.Bystrov)ら、Plasticheskie Massy、(1990年)、(4)、75−8頁(CA113、11571) 「ポリマー化学・工学エンサイクロペディア(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、1985年、第8巻、347頁 「カーク・オスマー(Kirk−Othmer)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、第3版、第13巻、687頁
本発明は、フッ素化酸性界面活性剤またはその塩を前記フッ素化酸性界面活性剤が吸着されている吸着性粒子から回収する方法を提供する。本方法は、前記吸着されたフッ素化酸性界面活性剤またはその塩を有する吸着性粒子とアルコールおよび任意に酸とを混合する工程を含む。前記混合物を一般に加熱して、前記フッ素化酸性界面活性剤またはその塩の前記アルコールによるエステル化を引き起こして、前記フッ素化酸性界面活性剤のエステル誘導体を形成させる。本方法は、前記混合物を蒸留して前記エステル誘導体を含む留出物を形成させる工程と、前記エステル誘導体を前記留出物から分離する工程と、任意に前記留出物の残りを前記混合物に戻す工程を更に含む。
本発明に関連した「フッ素化酸性界面活性剤」という用語は、フッ素化炭化水素基および酸基を有する界面活性剤を意味する。便宜上、この用語は、発明の説明の残りにおいて酸形態および塩形態を示すために用いられる。
本発明に関連した「吸着性粒子」という用語は、物理吸着を引き起こすイオン相互作用に限定されないが、それらを含む物理吸着のいかなるメカニズムによってもフッ素化界面活性剤を物理吸着できる粒子を意味する。従って、「吸着性粒子」という用語は、イオン交換プロセスの結果としてイオン基を有するフッ素化界面活性剤を典型的に結合するイオン交換樹脂を含む。但し、交換樹脂への吸着はイオン交換プロセス以外の物理吸着プロセスによっても起きることが可能である。
吸着性粒子
適する吸着性粒子には、カーボンブラック、シリカゲル、白土およびゼオライトが挙げられる。カーボンブラック粒子は便利に用いられる。吸着性粒子の形状は特に決定的ではない。例えば、吸着性粒子は板形状を有してもよく、球状、円柱状であることが可能であり、または棒状であることが可能である。様々な異なる形状を有する吸着性粒子は混合物として用いてもよい。吸着性粒子のサイズは、典型的には0.05mm〜20mmの間、一般には0.1〜10mmの間である。実用的な範囲は0.5〜5mmの間である。吸着性粒子は、フッ素化酸性界面活性剤を粒子表面上に典型的に吸着し、粒子の比表面積、すなわち重量の単位当たりの表面の量を最適化することが従って一般に好ましい。吸着性粒子の比表面積は、典型的には10〜5000m2/gの間、一般には100〜3000m2/gの間であり、実用的な範囲は300〜2000m2/gである。
更に、アニオン交換樹脂粒子は吸着性粒子として用いることが可能である。本発明のプロセスを適用してもよいフッ素化酸性界面活性剤を上に吸着させるために用いることができるアニオン交換樹脂の例には、強塩基性アニオン交換樹脂、中強塩基性アニオン交換樹脂および弱塩基性アニオン交換樹脂が挙げられる。強塩基性アニオン交換樹脂、中塩基性アニオン交換樹脂および弱塩基性アニオン交換樹脂という用語は、(非特許文献3)および(非特許文献4)において定義されている。強塩基性アニオン交換樹脂は典型的には第四アンモニウム基を含み、中強樹脂は通常第三アミン基を有し、弱塩基性樹脂は通常アニオン樹脂官能基として第二アミンを有する。本発明において用いるために市販されているアニオン交換樹脂の例には、ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)からすべて入手できる「アンバーライト(AMBERLITE)」(登録商標)IRA−402、「アンバージェット(AMBERJET)」(登録商標)4200、「アンバーライト(AMBERLITE)」(登録商標)IRA−67および「アンバーライト(AMBERLITE)」(登録商標)IRA−92、「プロライト(PUROLITE)」(登録商標)A845(プロライト(Purolite GmbH))および「レワチット(LEWATIT)」(登録商標)MP−500(バイエル(Bayer AG))が挙げられる。
驚くべきことに、アニオン交換樹脂粒子は本発明の回収プロセスに悪影響を及ぼさず、例えば廃水からフッ素化酸性界面活性剤を吸着する際に再使用することが可能である。
吸着性粒子は、フッ素化酸性界面活性剤をいかなる度合までも付着させてよいが、一般に、本プロセスは吸着性粒子の付着度合が高ければ高いほど、より効率的である。吸着性粒子は、吸着性粒子の公称付着能力の典型的には5〜100%、一般には30〜95%の量でフッ素化酸性界面活性剤を付着させている。吸着性粒子の公称付着能力は、破過点が認められるまでフッ素化酸性界面活性剤の0.1%水溶液を「新鮮」吸着性粒子に付着させることにより決定してもよい。破過点は、水溶液中に含まれるフッ素化界面活性剤の量の少なくとも10%が水溶液を吸着性粒子に接触させた後にまだ存在する点として定義される。
付着した吸収剤粒子は様々な回収プロセスから由来してもよい。例えば、付着した吸収剤粒子は、フルオロポリマーの製造、取り扱いおよび加工において発生した廃水ストリームからフッ素化酸性界面活性剤を除去することから由来してもよい。あるいは、吸収剤粒子は、例えば(特許文献22)で開示されたようにフルオロポリマー分散液からフッ素化界面活性剤を除去するプロセスにおいてフッ素化酸性界面活性剤を付着されていてもよいか、または(特許文献23)で開示されたように限外濾過から生じる透過物からフッ素化界面活性剤を除去することから由来してもよい。
フッ素化酸性界面活性剤
フッ素化酸性界面活性剤は、少なくとも1個の酸基を有するフッ素化炭化水素界面活性剤である。一般に、本界面活性剤は過フッ素化炭化水素界面活性剤である。界面活性剤中に含まれる酸基の例には、カルボン酸基、スルホン酸基および燐酸基が挙げられる。本発明の方法は界面活性剤が吸着されている吸着性粒子から(過)フッ素化脂肪族酸界面活性剤またはその塩を回収するために特に適する。本発明の方法は、式
Q−Rf−Z−Ma(I)
(式中、Qは水素、ClまたはFを表し、それによってQは末端位置に存在してもよいか、または末端位置に存在しなくてもよく、Rfは4〜15個の炭素原子を有する直鎖または分岐の過フッ素化アルキレンを表し、ZはCOO-を表し、MaはH+、アルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンを含むカチオンを表す)で表されるフッ素化界面活性剤を回収するために便利に用いることが可能である。式(I)で表されるフッ素化界面活性剤の代表的な例は、パーフルオロオクタン酸およびその塩、特にアンモニウム塩などのパーフルオロアルカン酸およびそれらの塩である。
再生流体
本発明によると、吸着性粒子からフッ素化酸性界面活性剤を回収するために、フッ素化酸性界面活性剤が付着した吸着性粒子はアルコール、任意に酸および一般に水も含む再生流体と混合される。再生流体は前もって調製してもよく、吸着性粒子と混合してもよいか、または個々の成分を吸着性粒子と別個に混合してもよい。添加の順序は特に重要ではないけれども、最終成分として酸を添加することが一般に好ましい。フッ素化酸性界面活性剤がアルコールによるエステル化を自己触媒作用する場合があるので酸の添加は必須ではない。しかしながら、典型的には酸は再生流体中に添加される。
用いてもよい適するアルコールには、メタノール、エタノールおよびプロパノールなどの1〜5個の炭素原子を有する特により低級の脂肪族アルコールが挙げられる。しかし、芳香族アルコールも用いてよい。更に、アルコールはアルコールの前駆体の形態下で添加してもよい。しかし、こうした前駆体は、エステル化を引き起こすために用いられる条件下でアルコールを形成するのがよい。アルコールの適する前駆体は、再生流体または再生流体と吸着性粒子との混合物中に存在する酸性条件下で対応するアルコールを容易に形成するケタールなどの化合物を含んでもよい。再生流体と合わせて用いられる酸は、好ましくは無機酸であるが、有機酸の使用は排除されない。また、酸は好ましくは例えばスルホン酸、塩酸、燐酸または硝酸などの強酸である。用いられる酸の量および性質は、典型的には4未満のpH、好ましくは3以下のpH、より好ましくは2以下のpHを再生流体と吸着性粒子の混合物中で達成するようなものである。
再生流体とその組成物の全量は、再生されるべき付着した吸着性粒子の量と実際の粒子装填量に基づいて典型的に決定される。一般に、再生流体は、再生のために提示された吸着性粒子上に付着したフッ素化酸性界面活性剤の量の化学量論量または化学量論過剰のアルコールを含むのがよい。このデータが入手できない場合、大過剰の再生液を一般に利用するのがよい。これは再生プロセスに悪影響を及ぼさないが、非最適量の再生液を用いるという欠点を有する。過剰の再生液は、再生プロセスが終了後に再生された吸着性粒子から容易に排出することが可能である。排出された液は、排出された再生液の実量と組成を決定するために秤量し分析することが可能である。その後、排出された再生液の組成および量は、排出された再生液を再使用できるように、その成分の適切な量を添加することによって調節することが可能である。再生液の再使用は、より少ない廃棄物を生じ、環境に優しく、そしてコストを下げる。
再生流体対吸着性粒子の体積比は、好ましくは少なくとも2である。但し、より低い体積比を用いてもよい。しかし、より低い体積比は、より低い体積比で発生する応力のゆえに吸着性粒子に損傷を引き起こす場合がある。より高い体積比は実用的でありうるが、大きすぎる体積比は一般に不経済である。典型的な体積比は2〜4の間である。
回収プロセス
本発明のプロセスの実施形態によると、吸着性粒子と再生流体の混合物は、フッ素化酸性界面活性剤のエステル化を引き起こすために典型的に加熱され、混合物は蒸留される。一実施形態において、加熱および蒸留は同時に行ってもよい。すなわち、吸着性粒子と再生流体を混合した直後に、混合物を蒸留する。あるいは、混合物は蒸留が開始されるまで一般に沸点に多少の時間にわたり加熱してもよい。また、エステル化は、例えば多少の時間にわたり周囲温度で混合物を攪拌することにより混合物を加熱せずに引き起こしてもよい。しかし、エステル化を引き起こすために混合物を加熱することが一般により効率的である。
回収プロセスは、周囲圧力、陽圧および減圧下で行うことが可能である。本プロセスは、典型的には0.1〜2気圧の間、便利には周囲圧力、すなわち約1気圧で行われる。混合物は混合物の沸点に典型的に加熱されるが、より低い温度もフッ素化酸性界面活性剤をそのエステル誘導体に転化するために用いることが可能である。本プロセスは、典型的には30〜100℃の間、一般に50〜85℃の間の温度で行われる。
吸着性粒子とフッ素化酸性界面活性剤のエステル誘導体を含む混合物は蒸留される。生じる留出物はエステル誘導体を含有する。十分な量の水が留出物中に存在することで、エステル誘導体は留出物の残りからの分離相として一般に容易に分離される。留出物は再生流体中に実質的な量の水が含まれるなら十分な水を含有する。あるいは、水は分離を引き起こすために留出物に添加してもよい。典型的には、エステル誘導体は下方相を形成する。従って、エステル誘導体は留出物から容易に分離することが可能であり、留出物の残りは蒸留されている混合物に再導入してもよい。従って、こうした実施形態は最少量の再生液を必要とするフッ素化界面活性剤の便利な回収を可能にする。また、再生流体のその後の連続再使用で、蒸留は再生流体と吸着性粒子を混合した直後に容易に開始することが可能である。
回収プロセスが非常に効率的であり、多数回の吸着性粒子の再使用を可能にする、すなわち、その点で吸着性粒子を処理する必要がある不経済レベルより下に吸着性粒子の効率が低下する前に吸着性粒子を数回再生することが可能であることが見出された。更に、本プロセスは、吸着性粒子の失われた効率のゆえに吸着性粒子を処理する必要がある時でさえ、吸着性粒子中のフッ素化界面活性剤の残留レベルが非常に低いように、吸着性粒子からフッ素化界面活性剤を除去する際に非常に効率的である。また、フルオロポリマー粒子などのフッ素化酸性界面活性剤に加えて吸着性粒子上に吸着されてもよい他のあらゆる物質はフッ素化酸性界面活性剤の回収および吸着性粒子の再生を一般に妨げない。本回収プロセスが吸着性粒子からこれらのフルオロポリマー粒子も大幅に解放することができることが見出された。
当業者によって認められるように、蒸留すると、本プロセスはフッ素化酸性界面活性剤のエステル誘導体をもたらす。このエステル誘導体は、当業者に知られているように前記エステル誘導体を加水分解することにより対応するフッ素化酸性界面活性剤またはその塩に転化して戻ることが可能である。こうして得られたフッ素化酸性界面活性剤またはその塩は、フッ素化モノマーを重合に再使用してフルオロポリマーを製造できるように十分に高い品質のものである。
以下の実施例に関して本発明を今から更に説明する。但し、本発明を実施例に限定する意図はない。
実施例1〜3
吸着性粒子として用いた活性炭に付着させるために水性パーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)を用いた。再生工程の前に水で一回洗浄することにより残留遊離APFOを除去した。水相のサンプルの物質収支を分析した。
活性炭を試験において用いた。活性炭は1.5mmの粒度を有する粒状形態でメルク(Merck)から受領した。
回収プロセス
以下の実施例において、用いられた回収プロセスは次の通りであった。
120g(230ml)の乾燥活性炭(水で処理後の湿り重量:277g)および水性パーフルオロオクタン酸アンモニウム(濃度25000ppmのAPFO)を室温で攪拌して付着工程を行う。混合物は付着工程後に濁ったように見えるけれども、僅少量の微粉のみが検出された。付着した活性炭を水で1回洗浄し、メカニカルスターラー、温度計、蒸気ラインおよびコンデンサが装着されたフラスコからなる蒸留装置に移した。メタノール、水および硫酸からなる再生液を添加した。混合物を蒸留が始まるまで所望の圧力で加熱した。凝縮した蒸気を2つの液相に分離した。上方相を蒸留フラスコに戻しつつ下方相を取り出した。90%を上回る下方相を最初の数時間後に分離する。下方相の増加が認められなくなると直ぐに蒸留を止めた。留出物の下方相はパーフルオロオクタン酸メチルからなっていた。再び、微量の微粉のみが検出された。
実施例1
34.4gのAPFOを初期サイクルにおいて炭素上に付着させた。これは、乾燥活性炭を基準にして28.6重量%の付着を表している。再生は30.8gのPFOAメチルエステルをもたらした。これは、付着したAPFOの89.5%の回収に相当する。
実施例2
実施例1の再生された活性炭を水(湿り重量:289g)で洗浄した。第2の付着において、35.5gのAPFOを吸着させた。付着した炭素の再生は34.5gのPFOAメチルエステルをもたらした。これは、付着したAPFOの97.2%の回収に相当する。
実施例3
実施例2の再生された活性炭を用いて再生を本質的に前の手順のように行った。35.6gのAPFOを吸着した。再生は34gのPFOAメチルエステル(95.5%の回収率)をもたらした。
実施例4
2つのガラスカラム(直径4.5cm)に乾燥活性炭を付着させた。第1のカラムは201gの活性炭を含み、第2のカラムは205gの活性炭を含んでいた。各床の体積は約400mlである。カラムを接続し、すべてのガスが除去されるまで水をポンプで通した。1200ppmのAPFOおよび30ppmの「ゲナポール(Genapol)」(商標)X080(クラリアント(Clariant GmbH)から入手できる非イオン界面活性剤)をpH5.9で含む水溶液を底からトップにカラムを通過させた。流速を時間当たり1床体積に調節した。サンプルを採取し、サンプルの残留APFOを分析した。
以下のAPFO含量を第1のカラムのエフルエント中に検出した(表参照)。予想通り、AFPOは第2のカラムのエフルエント中に検出されなかった。
Figure 2007520552
カラムを5リットルの脱イオン水で洗浄した。第1のカラムの内容物をフラスコに移し、再生を上で記載したように行った。50.6gのPFOAメチルエステルを受けた。これは、91%の付着したAPFOに相当する。
実施例5〜18
以下で明示するアニオン交換樹脂に付着させるために水性パーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)を用いた。完全に付着したアニオン交換樹脂を望む場合、製造業者によって開示されたアニオン交換樹脂の能力を基準にして過剰のAPFOを用いた。残留遊離APFOを水で1回洗浄することにより除去した。
以下のアニオン交換樹脂を用いた。
A.「アンバーライト(AMBERLITE)」(商標)IRA 402Cl(ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)、塩化物形態)≧1.3eq/リットル、強塩基性。
B.「アンバーライト(AMBERLITE)」(商標)IRA 92(ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas))≧1.6eq/リットル、弱塩基性。
C.「アンバーリスト(AMBERLYST)」(商標)A 26OH(ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas、水酸化物形態)≧0.8eq/リットル、強塩基性。
付着プロセスおよび再生プロセスの一般的説明
湿りアニオン交換樹脂および水性APFOを室温で攪拌して付着プロセスを行った。アニオン交換樹脂がパーフルオロオクタン酸(PFOA)で飽和されるまでAPFOを添加した。飽和したアニオン交換樹脂を水で1回洗浄し、メカニカルスターラー、温度計、蒸気ラインおよびコンデンサが装着されたフラスコからなる蒸留装置に移した。メタノール、水および硫酸からなる再生液を添加した。混合物を蒸留が始まるまで所望の圧力で加熱した。凝縮した蒸気を2つの液相に分離した。上方相を蒸留フラスコに戻しつつ下方相を取り出した。90%を上回る下方相を最初の数時間後に分離した。下方相の増加が認められなくなると直ぐに蒸留を終わらせた。留出物の下方相はパーフルオロオクタン酸メチル(Me−PFOA)からなっていた。アニオン交換樹脂を濾過またはデカンテーションによってフラスコ中の残留混合物から分離した。例えば、消費されたメタノールおよび硫酸の添加後に液体を次の再生バッチのために再使用できた。アニオン交換樹脂を水で洗浄後に、アニオン交換樹脂を次の付着のために再使用できた。
Figure 2007520552
Figure 2007520552

Claims (1)

  1. フッ素化酸性界面活性剤またはその塩を前記フッ素化酸性界面活性剤が吸着されている吸着性粒子から回収する方法であって、前記吸着されたフッ素化酸性界面活性剤またはその塩を有する吸着性粒子とアルコールとを混合する工程と、前記フッ素化酸性界面活性剤またはその塩の前記アルコールによるエステル化を引き起こして、前記フッ素化酸性界面活性剤のエステル誘導体を形成させる工程と、前記混合物を蒸留して前記エステル誘導体を含む留出物を形成させる工程と、前記エステル誘導体を前記留出物から分離する工程と
    み、
    前記フッ素化酸性界面活性剤またはその塩は、カルボン酸基、スルホン酸基および燐酸基のうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つの酸基を有する完全フッ素化炭化水素であり、前記アルコールは、1〜5個の炭素原子を有する脂肪族アルコールである、前記方法
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