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JP2007336651A - 回転電機の固定子および回転電機の固定子の製造方法 - Google Patents

回転電機の固定子および回転電機の固定子の製造方法 Download PDF

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JP2007336651A JP2006163893A JP2006163893A JP2007336651A JP 2007336651 A JP2007336651 A JP 2007336651A JP 2006163893 A JP2006163893 A JP 2006163893A JP 2006163893 A JP2006163893 A JP 2006163893A JP 2007336651 A JP2007336651 A JP 2007336651A
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Yasuharu Taketsuna
靖治 竹綱
Toshiaki Katsu
敏明 勝
Kenji Harada
健司 原田
Shingo Yukibuki
晋吾 雪吹
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Abstract

【課題】固定子の絶縁性の悪化を抑制する。
【解決手段】 固定子は、回転電機の回転軸に平行な方向に複数のスロット106を有するステータコア102と、少なくとも片面側に絶縁フィルムが付着された複数枚のコイルプレートが径方向に積層されて形成されるコイルプレート積層体138と、異なるスロットに挿入されたコイルプレート積層体間を接続する渡り部材160,162とを含む。有機物により被覆された銀ナノ粒子と有機溶媒とを含む、ペースト状の接合材を用いて、コイルプレートと渡り部材160,162との端部同士が接合される。コイルプレート積層体138には、コイルプレートと渡り部材160,162との接合時に、スロット106内において、コイルプレート積層体138とステータコア102との間の絶縁距離を確保する絶縁バンド300が設けられる。
【選択図】図21

Description

本発明は、回転電機の固定子および回転電機の固定子の製造方法に関し、特に、絶縁性を改善する構造を有する固定子の構造および固定子の製造方法に関する。
従来、固定子と回転子とからなる回転電機の固定子において、固定子鉄心に設けられた複数の歯部(以下、ティースという)間の溝(以下、スロットという)に、一体形の積層コイルを挿入して形成される固定子が開示されている。一体形の積層コイルは、たとえば、直線状の薄板状導体が複数枚積層された2組のコイル積層体を樹脂モールド成形により一体的に形成されるものである。回転軸に直交する方向のスロットの断面積に近づくように薄板状導体を積層することにより、スロットの断面積に対するコイルが占有する断面積の面積比(以下、占積率という)を向上させることができる。このような回転電機の固定子の構造に関して、以下の公報に開示された技術がある。
特開2001−178053号公報(特許文献1)は、コイルエンド部の長さを短くして、小型化できるとともに、作業性の向上した回転電機の固定子を開示する。この回転電機の固定子は、固定子鉄心と、この固定子鉄心の歯部と歯部の間に形成される複数のスロットに装着される固定子コイルを有する回転電機の固定子において、固定子コイルは、積層された2組の直線状の薄板状導体を絶縁樹脂により一体モールド成形して形成され、導体の両端部に接続端部が形成された積層コイル片と、積層された薄板状導体を絶縁樹脂により一体モールド成形して形成された第1及び第2の接続コイル片とから構成され、歯部を挟んで固定子鉄心の複数のスロット内にそれぞれ挿入された積層コイル片の薄板状導体の一方の端部を、歯部を挟むようにして第1の接続コイル片の薄板状導体により接続し、他方の端部を、歯部を挟むようにして、かつ、固定子鉄心の半径方向に積層された薄板状導体を半径方向に一つずつずらすようにして第2の接続コイルの薄板状導体により接続して、歯部に巻回された固定子コイルを形成することを特徴とする。
この公報に開示された回転電機の固定子によると、コイルエンド部の長さを短くして、小型化できるとともに、作業性を向上することができる。
特開2001−178053号公報
しかしながら、上述した公報に開示された回転電機の固定子において、異なるスロット間の薄板状導体間を接続する接続部材は溶接により接続される。接続部材は、銅などの熱伝導性の高い材質であるため、溶接などにより高温に加熱されると、薄板状導体に伝熱される場合がある。薄板状導体に高温の熱が伝熱されると、薄板状導体間の絶縁部材が溶融する可能性がある。そのため、絶縁性能が悪化するという問題がある。特に、薄板状導体間は、占積率を上昇させようとすると、より間隙が小さくなる傾向にあるため、有機絶縁材料が用いられる場合がある。そのため、溶接により有機絶縁材料が溶融する可能性がある。
接合部分を溶接に代えて比較的低温(350度)での接合が可能な銀ろうはんだを用いることも考えられるが、回転電機の使用環境下(200度前後)においては、接合強度を維持することが困難になる場合がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、絶縁部材を溶融させることなく、十分な接合強度を有する回転電機の固定子および固定子の製造方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、絶縁性の悪化を抑制する回転電機の固定子および固定子の製造方法を提供することである。
第1の発明に係る回転電機の固定子は、回転子と固定子とからなる回転電機の固定子である。この固定子は、回転電機の回転軸に平行な方向に複数のスロットを有する固定子鉄心と、少なくとも片面側に絶縁部材が付着された複数枚のコイルプレートが径方向に積層されて形成されるコイルプレート積層体と、異なるスロットに挿入されたコイルプレート積層体間を接続する接続部材とを含む。有機物により被覆された金属ナノ粒子と有機溶媒とを含む、ペースト状の接合材を用いて、コイルプレートと接続部材との端部同士が接合される。コイルプレート積層体には、コイルプレートと接続部材との接合時に、スロット内において、コイルプレート積層体と固定子鉄心との間の絶縁距離を確保する部分が設けられる。
第1の発明によると、コイルプレートの端部と接続部材(たとえば、渡り部材あるいはバスバー)との間の接合部分は、有機物により被覆された金属ナノ粒子と有機溶媒とを含む、ペースト状の接合材を用いて接合される。この接合材は、加熱により保護層である有機物が分解すると、金属ナノ粒子が低温で焼結を開始する。そのため、焼結温度を絶縁材料の溶融温度よりも低くすることができる。一方、焼結後においては、金属ナノ粒子は、金属結合状態となり、金属とコイルプレートの材質との共晶温度(たとえば、銀と銅との共晶温度であれば約1000℃前後)付近になるまで溶融しない。このような接合材を用いて接合部分を接合すると、接合時の温度が絶縁材料の溶融温度よりも低くなるため、絶縁部材が溶融することに起因する絶縁性能の悪化を抑制することができる。さらに、接合後においては、接合部分の溶融温度が回転電機の作動時に発生する熱よりも十分高くなるため、接合強度の悪化を抑制することができる。したがって、絶縁部材を溶融させることなく、十分な接合強度を有する回転電機の固定子を提供することができる。また、ペースト状の接合材を用いてコイルプレートと接続部材とを接合させる場合においては、接合部分は加温および加圧することにより接合される。そのため、コイルプレート積層体が加圧されると、コイルプレート積層体が変形して、変形部分が固定子鉄心に接触する可能性がある。あるいは、変形によりコイルプレート積層体と固定子鉄心とが接近して絶縁距離が確保できない可能性がある。コイルプレート積層体と固定子鉄心とが接触した状態あるいは接近した状態で接合が行われて固定子が完成すると、コイルプレート積層体と固定子鉄心との間における絶縁距離が確保されないため、絶縁性能が悪化する可能性がある。そこで、コイルプレート積層体には、コイルプレートと接続部材との接合時に、スロット内において、コイルプレート積層体と固定子鉄心との間の絶縁距離を確保する部分(たとえば、絶縁バンド)が設けられる。これにより、接合時においてもコイルプレート積層体と固定子鉄心との絶縁距離を確保することができる。したがって、絶縁性の悪化を抑制する回転電機の固定子を提供することができる。
第2の発明に係る回転電機の固定子においては、第1の発明の構成に加えて、コイルプレートは、スロットに挿入される部分がI字形状のコイルプレートである。絶縁距離を確保する部分は、スロットの開口部に設けられ、回転軸と平行な方向に貫通する中空の形状であって、内側にコイルプレート積層体が挿入されることにより、コイルプレート積層体を、固定子鉄心から離隔するように保持する一対の絶縁保持部材と、コイルプレート積層体における、一対の絶縁保持部材間の位置に巻回される帯状絶縁部材とを含む。
第2の発明によると、一対の絶縁保持部材は、スロットの開口部にそれぞれ設けられる。そのため、コイルプレート積層体の両端部が接続部材との接合時に加圧される場合においては、一対の絶縁保持部材が支点となって、コイルプレート積層体がスロット内で弓なりに変形する可能性がある。そこで、コイルプレート積層体における、一対の絶縁保持部材間の位置に帯状絶縁部材を巻回することにより、コイルプレート積層体の変形部分が固定子鉄心に接近しても、あるいは接近する方向に力が働いても、帯状絶縁部材が変形部分と固定子鉄心との絶縁距離を確保する。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第3の発明に係る回転電機の固定子においては、第2の発明の構成に加えて、帯状絶縁部材は、スロットの開口部間の中央に対応する位置に巻回される。
第3の発明によると、コイルプレート積層体の両端部が接続部材との接合時に加圧される場合においては、スロットの開口部間の中央付近で変形量が最大となる。したがって、スロットの開口部間の中央位置に対応する位置に帯状絶縁部材を巻回することにより、コイルプレート積層体の変形部分が固定子鉄心に接近しても、帯状絶縁部材が変形部分と固定子鉄心との絶縁距離を確保する。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第4の発明に係る回転電機の固定子においては、第1の発明の構成に加えて、コイルプレートは、スロットに挿入される部分がI字形状のコイルプレートである。絶縁距離を確保する部分は、スロットの開口部に設けられ、回転軸と平行な方向に貫通する中空の形状であって、内側にコイルプレート積層体が挿入されることにより、コイルプレート積層体を、固定子鉄心から離隔するように保持する一対の絶縁保持部材と、コイルプレート積層体と固定子鉄心との間であって、接合時にコイルプレート積層体の、スロット内における変形を抑制する位置に設けられる絶縁板とを含む。
第4の発明によると、接合時にコイルプレート積層体の、スロット内における変形を抑制する位置に絶縁板を設けることにより、コイルプレート積層体の変形部分が固定子鉄心に接近しても、あるいは接近する方向に力が働いても、絶縁板が変形部分と固定子鉄心との絶縁距離を確保する。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第5の発明に係る回転電機の固定子においては、第4の発明の構成に加えて、位置は、コイルプレート積層体のバックヨーク側である。
第5の発明によると、たとえば、接続部材との接合時に、径方向外側からコイルプレート積層体の両端部を加圧する場合においては、コイルプレート積層体の軸方向の中央部分は、バックヨーク側に凸形状になるように弓なりに変形する。したがって、コイルプレート積層体のバックヨーク側に絶縁板を設けることにより、コイルプレート積層体の変形部分が固定子鉄心に接近しても、あるいは接近する方向に力が働いても、絶縁板が変形部分と固定鉄心との絶縁距離を確保する。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第6の発明に係る回転電機の固定子においては、第1の発明の構成に加えて、コイルプレートは、スロットに挿入される部分がI字形状のコイルプレートである。絶縁距離を確保する部分は、スロットの開口部に設けられ、回転軸と平行な方向に貫通する中空の形状であって、内側にコイルプレート積層体が挿入されることにより、コイルプレート積層体を、固定子鉄心から離隔するように保持する一対の絶縁保持部材と、コイルプレートの積層方向に凸形状になるように、コイルプレート積層体に形成された湾曲部分とを含む。
第6の発明によると、コイルプレートと接続部材との接合時においては、コイルプレートの積層方向に加圧される。このとき、コイルプレート積層体の中央部分はコイルプレート積層方向に凸形状になるように弓なり変形する。そのため、たとえば、変形方向と逆方向に凸形状になるように湾曲部分を予めコイルプレート積層体に形成しておくようにすると、コイルプレート積層体が略直立状態に変形したときに、変形しようとする力とコイルプレート積層体が元の形に復元しようとする弾性力とが釣り合うようにすることができる。釣り合った状態のまま接合が完了すると、コイルプレート積層体の形状は、略直立状態となるため、コイルプレート積層体と固定子鉄心との絶縁距離が確保される。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第7の発明に係る回転電機の固定子においては、第6の発明の構成に加えて、コイルプレート積層体は、第1のコイルプレート群と第2のコイルプレート群とを有する。湾曲部分は、第1および第2のコイルプレート群のうちの少なくともいずれか一方に設けられる。
第7の発明によると、たとえば、第1および第2のコイルプレート群のうちの少なくともいずれか一方に、加圧による変形方向と逆方向に凸形状になるように湾曲部分を形成しておくようにすると、加圧時にコイルプレート積層体が略直立状態に変形したときに、変形しようとする力と、湾曲部分が形成されたコイルプレート群が元の形に復元しようとする弾性力とが釣り合うようにすることができる。釣り合った状態のまま接合が完了すると、コイルプレート積層体の形状は略直立状態となるため、コイルプレート積層体と固定子鉄心との絶縁距離が確保される。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第8の発明に係る回転電機の固定子においては、第7の発明の構成に加えて、湾曲部分は、第1および第2のコイルプレート群の両方に設けられる。第1のコイルプレート群の湾曲方向は、第2のコイルプレート群の湾曲方向と異なる。
第8の発明によると、第1および第2のコイルプレート群の両方に湾曲部分を設けることにより、加圧時にコイルプレート積層体が略直立状態に変形したときに、変形しようとする力および第1および第2のコイルプレート群の弾性力を含む力を釣り合うようにすることができる。釣り合った状態のまま接合が完了すると、コイルプレート積層体の形状は略直立状態となるため、コイルプレート積層体と固定子鉄心との絶縁距離が確保される。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第9の発明に係る回転電機の固定子は、第6〜8のいずれかの発明の構成に加えて、湾曲部分の曲率は、接合時にコイルプレート積層体と固定子鉄心との間で絶縁距離が確保できる予め定められた曲率である。
第9の発明によると、湾曲部分の曲率は、接合時にコイルプレート積層体と固定鉄心との間で絶縁距離が確保できる予め定められた曲率である。たとえば、予め定められた曲率を、加圧時に変形しようとする力およびコイルプレート積層体における弾性力を含む力が、コイルプレート積層体が略直立状態に変形したときに釣り合うよう設定するようにすると、コイルプレート積層体と固定子鉄心と絶縁距離を確保することができる。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第10の発明に係る固定子の製造方法は、回転子と固定子とからなる回転電機の固定子の製造方法である。固定子は、回転電機の回転軸に平行な方向に複数のスロットを有する固定子鉄心を含む。この製造方法は、導体平板を、少なくとも片面側に絶縁部材が付着されたコイルプレートに加工する加工ステップと、各コイルプレート間に絶縁部材が介在するようにして、径方向に複数枚積層して、積層されたコイルプレート積層体をスロットに挿入する挿入ステップと、異なるスロットに挿入されたコイルプレート積層体間を接続する接続部材を組付けるステップと、接合面の予め定められた範囲内に、有機物により被覆された金属ナノ粒子と有機溶媒とを含む、ペースト状の接合材を塗布する塗布ステップと、コイルプレートと接続部材との接合部分を、予め定められた時間が経過するまで加圧および加温して接合する接合ステップと、コイルプレートと接続部材とを接合する際に、スロット内において、コイルプレート積層体と固定子鉄心との間の絶縁距離が確保される部分をコイルプレート積層体に設けるステップとを含む。
第10の発明よると、コイルプレートの端部と接続部材(たとえば、渡り部材あるいはバスバー)との間の接合部分は、有機物により被覆された金属ナノ粒子と有機溶媒とを含む、ペースト状の接合材を用いて接合される。この接合材は、加熱により保護層である有機物が分解すると、金属ナノ粒子が低温で焼結を開始する。そのため、焼結温度を絶縁材料の溶融温度よりも低くすることができる。一方、焼結後においては、金属ナノ粒子は、金属結合状態となり、金属とコイルプレートの材質との共晶温度(たとえば、銀と銅との共晶温度であれば約1000℃前後)付近になるまで溶融しない。このような接合材を用いて接合部分を接合すると、接合時の温度が絶縁材料の溶融温度よりも低くなるため、絶縁部材が溶融することに起因する絶縁性能の悪化を抑制することができる。さらに、接合後においては、接合部分の溶融温度が回転電機の作動時に発生する熱よりも十分高くなるため、接合強度の悪化を抑制することができる。したがって、絶縁部材を溶融させることなく、十分な接合強度を有する回転電機の固定子の製造方法を提供することができる。また、ペースト状の接合材を用いてコイルプレートと接続部材とを接合させる場合においては、接合部分を加温および加圧することにより接合される。そのため、コイルプレート積層体が加圧されると、コイルプレート積層体が変形して、変形部分が固定子鉄心に接触する可能性がある。あるいは、変形によりコイルプレート積層体と固定子鉄心とが接近して絶縁距離が確保できない可能性がある。コイルプレート積層体と固定子鉄心とが接触した状態あるいは接近した状態で接合が行われて固定子が完成すると、コイルプレート積層体と固定子鉄心との間における絶縁距離が確保されないため、絶縁性能が悪化する可能性がある。そこで、コイルプレート積層体には、コイルプレートと接続部材との接合時に、スロット内において、コイルプレート積層体と固定子鉄心との間の絶縁距離を確保する部分(たとえば、絶縁バンド)が設けられる。これにより、接合時においてもコイルプレート積層体と固定子鉄心との絶縁距離を確保することができる。したがって、絶縁性の悪化を抑制する回転電機の固定子の製造方法を提供することができる。
第11の発明に係る固定子の製造方法においては、第10の発明の構成に加えて、絶縁距離を確保する部分を設けるステップは、スロットの開口部に設けられ、回転軸と平行な方向に貫通する中空の形状であって、保持対象物を固定子鉄心から離隔するように一体的に保持する一対の絶縁保持部材の内側に、コイルプレート積層体を挿入するステップと、一対の絶縁保持部材間の位置に帯状絶縁部材を巻回するステップとを含む。
第11の発明によると、コイルプレート積層体における、一対の絶縁保持部材間の位置に帯状絶縁部材を巻回することにより、コイルプレート積層体の変形部分が固定子鉄心に接近しても、あるいは接近する方向に力が働いても、帯状絶縁部材が変形部分と固定子鉄心との絶縁距離を確保する。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第12の発明に係る固定子の製造方法においては、第11の発明の構成に加えて、帯状絶縁部材を巻回するステップは、スロットの開口部間の中央に対応する位置に巻回するステップを含む。
第12の発明によると、コイルプレート積層体の両端部が接続部材との接合時に加圧される場合においては、スロットの開口部間の中央付近で変形量が最大となる。したがって、スロットの開口部間の中央位置に対応する位置に帯状絶縁部材を巻回することにより、コイルプレート積層体の変形部分が固定子鉄心に接近しても、帯状絶縁部材が変形部分と固定子鉄心との絶縁距離を確保する。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第13の発明に係る固定子の製造方法においては、第10の発明の構成に加えて、絶縁距離を確保する部分を設けるステップは、スロットの開口部に設けられ、回転軸と平行な方向に貫通する中空の形状であって、保持対象物を固定子鉄心から離隔するように一体的に保持する一対の絶縁保持部材の内側に、コイルプレート積層体を挿入するステップと、コイルプレート積層体と固定子鉄心との間であって、接合時にコイルプレート積層体の、スロット内における変形を抑制する位置に絶縁板を設けるステップとを含む。
第13の発明によると、接合時にコイルプレート積層体の、スロット内における変形を抑制する位置に絶縁板を設けることにより、コイルプレート積層体の変形部分が固定子鉄心に接近しても、あるいは接近する方向に力が働いても、絶縁板が変形部分と固定子鉄心との絶縁距離を確保する。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第14の発明に係る固定子の製造方法においては、第13の発明の構成に加えて、絶縁板を設けるステップは、コイルプレート積層体のバックヨーク側の、コイルプレート積層体と固定子鉄心との間に絶縁板を設けるステップを含む。
第14の発明によると、たとえば、接続部材との接合時に、径方向外側からコイルプレート積層体の両端部を加圧する場合においては、コイルプレート積層体の軸方向の中央部分は、バックヨーク側に凸形状になるように弓なりに変形する。したがって、コイルプレート積層体のバックヨーク側に絶縁板を設けることにより、コイルプレート積層体の変形部分が固定子鉄心に接近しても、あるいは接近する方向に力が働いても、絶縁板が変形部分と固定鉄心との絶縁距離を確保する。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第15の発明に係る固定子の製造方法においては、第10の発明の構成に加えて、絶縁距離を確保する部分を設けるステップは、スロットの開口部に設けられ、回転軸と平行な方向に貫通する中空の形状であって、保持対象物を固定子鉄心から離隔するように一体的に保持する一対の絶縁保持部材の内側に、コイルプレート積層体を挿入するステップと、コイルプレートの積層方向に凸形状になるように、コイルプレート積層体に湾曲部分を形成するステップとを含む。
第15の発明によると、コイルプレートと接続部材との接合時においては、コイルプレートの積層方向に加圧される。このとき、コイルプレート積層体の中央部分はコイルプレート積層方向に凸形状になるように弓なりに変形する。そのため、たとえば、変形方向と逆方向に凸形状になるように湾曲部分を予めコイルプレート積層体に形成しておくようにすると、コイルプレート積層体が略直立状態に変形したときに、変形しようとする力とコイルプレート積層体が元の形に復元しようとする弾性力とが釣り合うようにすることができる。釣り合った状態のまま接合が完了すると、コイルプレート積層体の形状は、略直立状態となるため、コイルプレート積層体と固定子鉄心との絶縁距離が確保される。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第16の発明に係る固定子の製造方法においては、第15の発明の構成に加えて、コイルプレート積層体は、第1のコイルプレート群と第2のコイルプレート群とを含む。湾曲部分を設けるステップは、第1および第2のコイルプレート群のうちの少なくともいずれか一方に湾曲部分を設けるステップを含む。
第16の発明によると、たとえば、第1および第2のコイルプレート群のうちの少なくともいずれか一方に、加圧による変形方向と逆方向に凸形状になるように湾曲部分を形成しておくようにすると、加圧時にコイルプレート積層体が略直立状態に変形したときに、変形しようとする力と、湾曲部分が形成されたコイルプレート群が元の形に復元しようとする弾性力とが釣り合うようにすることができる。釣り合った状態のまま接合が完了すると、コイルプレート積層体の形状は略直立状態となるため、コイルプレート積層体と固定子鉄心との絶縁距離が確保される。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第17の発明に係る固定子の製造方法においては、第16の発明の構成に加えて、湾曲部分を設けるステップは、第1および第2のコイルプレート群の両方に、互いに湾曲方向が異なる湾曲部分を設けるステップを含む。
第17の発明によると、第1および第2のコイルプレート群の両方に湾曲部分を設けることにより、加圧時にコイルプレート積層体が略直立状態に変形したときに、変形しようとする力および第1および第2のコイルプレート群の弾性力を含む力を釣り合うようにすることができる。釣り合った状態のまま接合が完了すると、コイルプレート積層体の形状は略直立状態となるため、コイルプレート積層体と固定子鉄心との絶縁距離が確保される。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第18の発明に係る固定子の製造方法においては、第15〜17のいずれかの発明の構成に加えて、湾曲部分を設けるステップは、接合時に前記コイルプレート積層体と固定子鉄心との間で絶縁距離が確保できる予め定められた曲率になるように湾曲部分を設けるステップを含む。
第18の発明によると、湾曲部分の曲率は、接合時にコイルプレート積層体と固定鉄心との間で絶縁距離が確保できる予め定められた曲率である。たとえば、予め定められた曲率を、加圧時に変形しようとする力およびコイルプレート積層体における弾性力を含む力が、コイルプレート積層体が略直立状態に変形したときに釣り合うよう設定するようにすると、コイルプレート積層体と固定子鉄心と絶縁距離を確保することができる。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第19の発明に係る回転電機の固定子は、第10〜18のいずれかの発明の製造方法により製造された回転電機の固定子である。
第19の発明によると、固定子の製造方法により、絶縁部材を溶融させることなく、十分な接合強度を有し、さらに、絶縁性が改善された固定子を製造することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
本実施の形態に係る固定子は、固定子と永久磁石からなる回転子とから構成される回転電機の固定子である。本実施の形態においては、固定子は、極数が21である三相交流同期回転電機の固定子であるが、本発明は、コイルが巻回される固定子に適用されるべきものであって、特に極数が21に限定されるものではなく、さらに、三相交流同期回転電機の固定子に限定して本発明が適用されるものでもない。
図1に示すように、固定子100は、固定子鉄心(以下、ステータコアという)102と、コイルサブアッシー108と、渡り部材の積層体110,112と、バスバー114とから構成される。
ステータコア102は、中空円筒形状に形成される。ステータコア102には、回転軸と平行な方向に貫通する溝(以下、スロットという)106がステータコア102の周方向に沿って予め定められた個数だけ形成される。さらに、ステータコア102のスロット106間には、回転軸の軸中心に対向するように歯部(以下、ティースという)104が予め定められた個数だけ形成される。予め定められた個数は、極数に対応しており、本実施の形態においては、スロット106およびティース104は、それぞれ21個形成される。また、本実施の形態において、ステータコア102は、複数の電磁鋼板が積層されて形成される。
ステータコア102に形成されたスロット106には、コイルサブアッシー108が挿入されている。コイルサブアッシー108は、2組のコイルプレート積層体(図示せず)が樹脂インシュレータ(図示せず)により一体的に保持されて構成される。コイルプレート積層体は、複数枚のI字形状のコイルプレートが径方向に積層されて形成される。なお、コイルプレート積層体は、ステータコア102のバックヨーク側から軸中心側に向けて積層されればよく、特に径方向に限定して積層されるものではない。たとえば、コイルプレート積層体は、複数枚のI字形状のコイルプレートがコイルプレートの幅方向がスロット内のティース壁面に直交するように積層されて構成されるようにしてもよい。また、本実施の形態においてコイルプレートは、I字形状を有するとして説明するが、スロット106に挿入される部分がI字形状のコイルプレートであれば、特にI字形状に限定されるものではなく、たとえば、U字形状であってもよい。
また、本実施の形態において、コイルサブアッシー108は、2組の異なる相のコイルプレート積層体が樹脂インシュレータにより一体的に保持されて構成されるとしたが、特に2組に限定されるものではなく、たとえば、1組のコイルプレート積層体が樹脂インシュレータにより一体的に保持されて構成されるとしてもよい。
ステータコア102の円筒形状の外周面には、径方向外側に突出した突出部128,130,132が形成される。突出部128,130,132には、それぞれ回転軸方向に貫通する貫通穴が形成される。ステータコア102は、貫通穴に挿入されたボルトの締結により、回転電機の筐体に固定される。
ティース104の両脇のスロットに挿入された2つのコイルサブアッシー108のうち、同一のティースに隣接するコイルプレート積層体同士が、渡り部材の積層体110,112により接続される。ティース104の図1の紙面上方側には、渡り部材の積層体110が組付けられる。ティース104の図1の紙面下方向側には、渡り部材の積層体112が組付けられる。渡り部材の積層体110,112によりコイルエンドが形成される。
渡り部材の積層体110,112は、それぞれ渡り部材が複数枚積層されて構成される。渡り部材は、ティース104の両脇に位置する(すなわち、異なるスロットに挿入された)2つのコイルプレート積層体を構成するコイルプレートの端部間を接続する。
渡り部材の積層体110,112がティース104の両脇に位置する2つのコイルプレート積層体に組付けられることにより、ティース104に予め定められたターン数(本実施の形態においては14ターン)のコイルが螺旋状に巻回された状態となる。なお、各ティースに巻回されたコイルの巻回方向はすべて同じ方向である。
このとき、ティース104に巻回された14ターンのコイルの端部は、最も軸中心側であって、渡り部材が接続されないコイルプレートの端部、および、最も軸中心から離れている側であって、渡り部材が接続されないコイルプレートの端部である。
これらの端部には、バスバー114の一方端がそれぞれ接続される。バスバー114の他方端は、他のティースに巻回された同一相のコイル(すなわち、異なるスロットに挿入されたコイルプレート積層体)の端部に接続される。このようにして、ステータコア102には、U相、V相およびW相の各相に対応する14ターンのコイルが各ティースに巻回された状態となる。
各相のコイルの端部には、端子部材116〜126が設けられる。ここで、端子部材116と端子部材122とがU相のコイルの端部に対応し、端子部材118と端子部材124とがV相のコイルの端部に対応し、端子部材120と端子部材126とがW相のコイルの端部に対応する。
以下に、本実施の形態に係る固定子100の製造方法の手順について、図2のフローチャートを用いて詳細に説明する。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、I字形状のコイルプレートがプレス加工により形成される。
図3に示すように、コイルプレート136は、プレス工程において銅圧延素材の金属平板を加工してI字形状に形成される。コイルプレート136は、たとえば、シャーリング加工によりI字形状に加工される。コイルプレート136の材質として銅を用いることにより、高い熱伝達率によりコイルプレート136の放熱性を向上させることができる。また、銅は内部抵抗が低く、導体としても伝導率も高い。そのため、電流密度を向上させたときの発熱も低減させることができる。
また、コイルプレート136の両端部には、接合面を有する段差が形成される。本実施の形態においては、接合面を有する段差は、たとえば、切削加工等により形成されるものとする。また、コイルプレート136の接合面には、予め定められた塗布範囲134に接合材が塗布される。本実施の形態において、接合材は、有機物により被覆された金属ナノ粒子と有機溶媒とを含む、ペースト状の接合材(以下、金属ナノ粒子ペーストという)である。金属ナノ粒子は、たとえば、金、銀、銅およびプラチナのうちのいずれかの金属のナノ粒子であるが、本実施の形態においては、たとえば、有機物により被覆された銀ナノ粒子と有機溶媒とを含む、ペースト状の接合材(以下、銀ナノ粒子ペーストという)を用いるものとして説明する。銀ナノ粒子ペーストは、加熱により保護層である有機物が分解すると、銀ナノ粒子が低温で焼結を開始する。そのため、焼結温度が約260℃前後と低く、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の絶縁材料の溶融温度よりも低い。一方、焼結後においては、銀ナノ粒子は、金属結合状態となり、金属銀とコイルプレートの材質である銅との共晶温度(約1000度前後)付近になるまで溶融しない。なお、金属ナノ粒子を含む接合材については、公知の技術であるため、その詳細な説明は行なわない。
接合面に付着された銀ナノ粒子ペーストは、タックフリー状態になるまで乾燥される。これにより、接合面に付着された銀ナノ粒子ペーストの表面は硬化して、流動が抑制される。
さらに、コイルプレート136の少なくとも片面側には、絶縁フィルムが付着される。なお、絶縁フィルムに代えて絶縁塗装の塗装膜を付着させるようにしてもよい。絶縁フィルムは、コイルプレート間の絶縁が確保できる厚さを有していれば、特に材質などは限定されるものではないが、たとえば、ポリイミドフィルムである。絶縁フィルムは、コイルプレート136の厚さ方向の対向する2面のうちの少なくともいずれか一方の面に貼付される。本実施の形態において、絶縁フィルムは、接合面が形成されない側の面をすべて覆うようにコイルプレート136に貼付されるものとする。
さらに、コイルプレートの厚さおよび幅を含む断面形状は、積層されたときのコイルプレートの位置に応じた寸法になるように形成される。
より具体的には、ステータコア102のバックヨーク側に位置するコイルプレートであるほど、幅が大きくなり厚さが小さくなるような寸法の形状に形成される。このように積層されたときのコイルプレートの位置に応じて断面形状を変更することにより、スロットに挿入されるコイルプレート積層体の断面形状を自由に設定することができる。すなわち、コイルプレート積層体の断面形状の面積をスロットの断面形状の面積に近づけることにより、占積率を向上させることができる。
図2に戻って、S102にて、I字形状のコイルプレートが積層化されて、コイルサブアッシー108が組み立てられる。
図4に示すように、複数枚のコイルプレートにより構成されるコイルプレート積層体138,144が樹脂インシュレータ140の内側に、樹脂インシュレータ140の長手方向に向けて挿入されることにより、図5に示すコイルサブアッシー108が組み立てられる。このとき、コイルプレート積層体138,144において、各コイルプレート間に絶縁フィルムが介在するように、コイルプレートが積層される。
複数枚のコイルプレートが樹脂インシュレータ140の内側に挿入されると、樹脂インシュレータ140により位置が制限される。樹脂インシュレータ140は、スロットの内壁面に当接するように形成される中空の絶縁部材である。なお、樹脂インシュレータ140は、少なくともコイルプレート積層体138,144の位置を制限して、コイルプレート積層体138,144を一体的に保持できればよく、特に中空の形状であることに限定されるものではない。
樹脂インシュレータ140の材質は、たとえば、エポキシ、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等であって、予め定められた形状に成形される。なお、樹脂インシュレータ140の材質は、樹脂成形が可能な絶縁材料であれば、特に上記した材質に限定されるものではない。
さらに、樹脂インシュレータ140の中央部には、コイルプレート積層体138,144を分断するように絶縁板142が形成される。絶縁板142は、同一スロット内の2つの異なる相のコイルプレート積層体同士の当接を抑制する。絶縁板142により、同一スロット内に挿入されるコイルプレート積層体間(相間)を絶縁することができる。
さらに、樹脂インシュレータ140の長手方向の端部のいずれか一方には、樹脂インシュレータ140の外周方向に沿って突出部146が形成される。
図6に、図5の矢視Aを視点としたコイルサブアッシーの外観を示す。図6に示すように、樹脂インシュレータ140の断面形状は、その外周面がスロットの内壁面に当接するように形成された略扇形である。絶縁板142は、略扇形の中心角を2等分するように樹脂インシュレータ140の内側の空間を2分割する。
図6の紙面上方の樹脂インシュレータ140の内壁面には、樹脂インシュレータ140の長手方向に沿って形成された複数の突出部150により溝が設けられる。突出部150は、径方向に沿って予め定められた間隔を空けて形成される。各突出部150間の溝の幅は、挿入されるコイルプレートの厚さに対応する。したがって、径方向に沿って略扇形の中心側になるほど、溝の幅が大きくなるように突出部150が形成される。この溝によりコイルプレート(斜線部)の厚さ方向の位置が制限される。
また、図6の紙面上方の内壁面に対向する位置の絶縁板142の表面には、階段状の突出部152が形成される。突出部152は、溝の底面と平行な面を有する。突出部152は、樹脂インシュレータ140の長手方向に沿って形成される。このとき、溝の底面から絶縁板142に形成された突出部152の面までの距離は、挿入されるコイルプレートの幅に対応する。したがって、径方向に沿って略扇形の中心側になるほど、溝の底面から突出部152の面までの長さが短くなる。絶縁板142に形成された突出部152の面によりコイルプレートの幅方向の位置が制限される。
本実施の形態においては、コイルプレート積層体138は、14枚のコイルプレートにより構成される。したがって、樹脂インシュレータ140には、突出部150により14個の溝が形成される。さらに、絶縁板142においても14個の突出部152が形成される。
なお、絶縁板142の紙面下方の空間においても同様に、突出部154,156が形成され、コイルプレート144を構成する14枚の積層されたコイルプレートの厚さ方向および幅方向の位置を制限する。その詳細については繰り返さない。
また、コイルプレート積層体138,144を構成する複数枚のコイルプレートは、それぞれの断面形状に対応した位置の溝に摺動して挿入される。挿入された複数枚のコイルプレートは、樹脂インシュレータ140および絶縁板142の内壁面により挿入方向の位置を制限される。
すなわち、樹脂インシュレータ140は、コイルプレート積層体138が挿入されると、突出部150、突出部150間の溝および絶縁板142に形成された突出部152によりコイルプレート積層体138を狭持する。そのため、摩擦力によりコイルプレート積層体138の挿入方向の位置が制限される。なお、コイルプレート積層体を構成するコイルプレートの端部のそれぞれに、L字形状に屈曲した部分あるいは突起部を形成することにより、挿入方向の位置を制限するようにしてもよい。
図2に戻って、S104にて、コイルサブアッシー108がスロット106に挿入される。図7に示すように、樹脂インシュレータ140の突出部146が形成されている端部を下側にして、ステータコア102の紙面下方向側からスロット106に挿入される。
ステータコア102には、突出部146に嵌合可能な凹形状の部分(図示せず)がスロット106の紙面下方向側に開くように形成される。すなわち、コイルサブアッシー108がステータコア102に挿入されると、突出部146と凹形状とが嵌合する。これにより、コイルサブアッシー108の紙面上方への移動が制限される。ステータコア102に形成されるすべてのスロット(21箇所)にコイルサブアッシー108が挿入される。
図8に示すように、コイルサブアッシー108がステータコア102に挿入されると、コイルプレート積層体138,144は、樹脂インシュレータ140により径方向、周方向、軸方向の位置が制限される。さらに、コイルプレート積層体138,144は、樹脂インシュレータ140によりステータコア102に直接接触することが抑制される。
図2に戻って、S106にて、コイルプレート積層体138,144を構成する各コイルプレートの端部間を接続するように渡り部材を挿入する。
図9に示すように、ティース104の両脇に対向して挿入されるコイルプレート積層体138,144間を接続するように、ティース104の上部に渡り部材の積層体112が組付けられ、ティース104の下部に渡り部材の積層体110が組付けられる。
図9の紙面下方側において、ティース104を挟んで対向する位置関係にある2つのコイルプレートの端部間は、渡り部材の積層体110を構成する渡り部材により接続される。
一方、図9の紙面上方側において、ティース104を挟んで対向する位置関係にある2つのコイルプレートの端部のうちいずれか一方の端部と、他方の端部のバックヨーク側に隣接するコイルプレートの端部との間が、渡り部材の積層体112を構成する渡り部材により接続される。
上述した位置関係にある、各コイルプレートの端部間が、渡り部材により接続されると、ティース104にコイルが螺旋状に予め定められたターン数(本実施の形態においては、14ターン)だけ巻回された状態となる。
渡り部材の積層体110,112は、複数枚の渡り部材(以下、コイルエンドプレートともいう)が複数枚積層されて、絶縁材料で形成された保持部材158により一体的に保持される。保持部材158は、積層された複数枚の渡り部材の中央部を樹脂モールド等により一体成形するものであってもよいし、積層された複数枚の渡り部材の中央部を狭持して一体的に保持する部材であってもよい。
図10(A)に示す渡り部材160は、渡り部材の積層体112を構成するコイルエンドプレートである。渡り部材160は、バスバー114の一方端に接続されるコイルプレートの端部を有する側(リード側)のコイルエンドプレートである。
渡り部材160の両端には、接合面184,186を有する段差が形成される。渡り部材160の両端部の接合面184,186には、予め定められた塗布範囲に銀ナノ粒子ペーストが付着される。銀ナノ粒子ペーストは、渡り部材160のプレス加工工程において付着される。なお、渡り部材160の端部およびコイルプレートの端部のうちのいずれか一方の接合面に銀ナノ粒子ペーストが付着されるようにしてもよい。
一方、図10(B)に示す渡り部材162は、渡り部材の積層体110を構成するコイルエンドプレートである。渡り部材162は、バスバー114に接続されるコイルプレートの端部を有しない側(反リード側)のコイルエンドプレートである。
渡り部材162の両端には、接合面188,190を有する段差が形成される。渡り部材162の両端部の接合面188,190には、予め定められた塗布範囲に銀ナノ粒子ペーストが付着される。銀ナノ粒子ペーストは、渡り部材162のプレス加工工程において付着される。なお、渡り部材162の端部およびコイルプレートの端部のうちのいずれか一方の接合面に銀ナノ粒子ペーストが付着されるようにしてもよい。
図11(A)のコイルプレートと渡り部材との接合部分を模式的に示す図のように、渡り部材160の両端部の接合面184,186は、いずれか一方の接合面が他方の接合面の同一平面から予め定められた距離だけ平行移動した位置関係を有する。したがって、渡り部材160は、コイルプレート194の端部を、ティース104を挟んで対向する位置関係のコイルプレート196のバックヨーク側に隣接するコイルプレート192の端部とを接合する。
なお、積層されたコイルエンドプレートの厚さはスロット内の径方向の位置に応じて異なる。そのため、渡り部材160の両端部の接合面184,186間の距離は、接続されるコイルプレートの厚さに応じて異なる。
渡り部材の積層体112は、13枚の渡り部材160が積層されて構成される。13枚の渡り部材160は、保持部材158によりその各々が対応するコイルプレートの端部のそれぞれに当接するように位置決めされて、一体的に保持される。
一方、図11(B)に示す図のように、渡り部材162の両端部の接合面188,190は、同一平面となる。したがって、渡り部材162は、ティース104を挟んで対向する位置関係の2つのコイルプレート194,196の端部間を接続する。
渡り部材の積層体110は、14枚の渡り部材162が積層されて構成される。14枚の渡り部材162は、保持部材によりティース104を挟んで対向する位置関係の2つのコイルプレートの端部にそれぞれ当接するように位置決めされて、一体的に保持される。
したがって、上下各21個の渡り部材の積層体110,112がステータコア102に組み付けられると、所定の位置関係にあるコイルプレートと渡り部材とにおいて、コイルプレート積層体138,144のコイルプレートの所定の接合面と渡り部材の両端部の接合面とが当接する。なお、本実施の形態においては、コイルプレートの端部の接合面は、ステータコア102の径方向外側に向いており、渡り部材の接合面は、径方向内側に向いているものとする。
図2に戻って、S108にて、バスバー114がコイルプレートの端部に挿入される。図12に示すように、すべてのコイルサブアッシー108間(上下各21箇所)に渡り部材の積層体110,112が組付けられた後、バスバー114がコイルサブアッシー108に組付けられる。
より具体的には、バスバー114は、棒状の形状を有する。バスバー114の両端には、それぞれ接合面198,200を有する突出部がL字形状に形成される。バスバー114は、両端の接合面198,200がコイルプレート積層体138,144のそれぞれのコイルプレートの端部の接合面に当接するように予め定められた形状に屈曲される。
18本のバスバー114が、3ティース間隔毎のティースに巻回されたコイルを接続する。バスバー114の一方端は、ティース104に巻回されたコイルを構成するコイルプレートのうち最も軸中心側のコイルプレートの端部164に当接するように組付けられる。すなわち、バスバー114の一方端は、コイルプレート積層体144の最も軸中心側のコイルプレートの端部164に当接するように組付けられる。コイル端部164は、渡り部材160が接続されない端部である。
バスバー114の他方端は、ティース104から3ティース分だけ離れたティース168に巻回されたコイルのうち最も軸中心から離れた側のコイルプレートの端部166に当接するように組付けられる。すなわち、バスバー114の他方端は、コイルプレート積層体138の最も軸中心から離れた側のコイルプレートの端部166に当接するように組付けられる。端部166は、渡り部材160が接続されない端部である。
図2に戻って、S110にて、端子部材116〜126がコイル端部に組付けられる。図13に示すように、ステータコア102に挿入されたコイルサブアッシー108のうち最も軸中心側であって、バスバー114も渡り部材160も接続されないコイルプレートの端部170,172,174には、端子部材116,118,120がそれぞれ組付けられる。なお、最も軸中心側のコイルプレートの端部170,172,174の接合面は、径方向外側に向いている。そのため、端子部材116,118,120の接合面は、端部170,172,174と、径方向に隣接するコイル端部との間に挿入して組付けられる。
また、最も軸中心から離れた側であって、バスバー114も渡り部材160も接続されないコイルプレートの端部176,178,180には、端子部材122,124,126がそれぞれ組付けられる。最も軸中心から離れた側のコイルプレートの端部の接合面は、径方向外側に向いている。そのため、端子部材122,124,126が仮止め等により位置決めされて組付けられる。
以上のようにして、ステータコア102のスロット106にコイルサブアッシー108が組付けられ、コイルサブアッシー108間に渡り部材の積層体110,112が組付けられ、バスバー114および端子部材116〜126が組付けられると、図14に示すような接合前の固定子100が組み立てられる。
図2に戻って、S112にて、多点同時接合処理が実施される。具体的には、組み立てられた固定子100において、当接した各接合面同士を接合させる処理が実施される。すなわち、図15に示すように、バスバー114あるいは端子部材116〜126および渡り部材の積層体110,112が組付けられたすべてのコイルプレート積層体のコイル端部を径方向から挟みこむように(図15の矢印の方向)に加圧した上で温度を上昇させることにより、多点同時接合処理が実施される。
温度が上昇することにより、銀ナノ粒子ペーストに含まれる銀ナノ粒子を被覆する保護層が分解して銀ナノ粒子が焼結する。また、加圧することにより、保護層が分解する際に生じるペースト内のガス等が接合部分から排除される。接合部分は、銀ナノ粒子ペーストが焼結して、金属結合により接合される。そのため、接合処理後においては、金属銀の融点約1000℃付近まで加熱しないと接合部分は溶融しない。なお、銀ナノ粒子を被覆する保護層は、約260℃前後で分解するため、金属ナノ粒子は、約260℃前後で保護層が分解された後に低温で焼結する。したがって、加温は、コイルプレートに貼付された絶縁フィルムあるいは樹脂インシュレータ140が溶融する温度よりも小さい約260℃前後の予め定められた温度になるまで行なわれる。そのため、絶縁フィルムおよび樹脂インシュレータ140が溶融することはない。
図2に戻って、S114にて、樹脂モールド処理が実施される。図16に示すように、接合面同士の接合が完了した固定子100のコイルエンド部に対して樹脂等の射出成形によりモールド処理が実施される。このとき、ステータコア102の外周面および端子部材116〜126の端子以外の部分が樹脂182により覆われる。
以上のようにして完成した固定子100と回転子(図示せず)とからなる回転電機においては、端子部材116〜126のそれぞれに交流電力が供給されると、供給された電力に応じた磁界が発生する。回転子は、発生した磁界に基づいて回転力を得ることにより回転する。
以上のように構成された固定子100においては、多点同時接合処理時に、コイルプレートと渡り部材160,162およびバスバー114との接合部分は加温および径方向外側からの加圧により接合される。そのため、コイルプレート積層体138,144が加圧されると、コイルプレート積層体138,144が変形して、変形部分がステータコア102に接触する可能性がある。あるいは、変形によりコイルプレート積層体138,144とステータコア102とが接近して絶縁距離が確保できない可能性がある。コイルプレート積層体138,144とが接触した状態あるいは接近した状態で接合が行われて固定子100が完成すると、コイルプレート積層体138,144とステータコア102との間における絶縁距離が確保されないため、コイルプレート積層体138,144−ステータコア102間で放電が生じるなどして絶縁性能が悪化する可能性がある。
そこで、本発明は、コイルプレート積層体に、コイルプレートとバスバーおよび渡り部材を含む接続部材との接合時に、スロット内において、コイルプレート積層体と固定子鉄心との間の絶縁距離を確保する部分が設けられる点にさらに特徴を有する。
具体的には、本実施の形態において、絶縁距離を確保する部分は、樹脂インシュレータ140である。すなわち、樹脂インシュレータ140は、スロット106の内壁に軸方向に沿って形成される。コイルプレート積層体138,144は、樹脂インシュレータ140の内側に挿入される。
したがって、コイルプレート積層体138,144の両端部が径方向外側から加圧されても、コイルプレート積層体138,144は樹脂インシュレータ140によりその形状の変化が抑制される。したがって、コイルプレート積層体138,144とステータコああ102との接触および接近が受信インシュレータ140により抑制される。また、コイルプレート積層体138,144とステータコア102との距離は、樹脂インシュレータ140の厚みにより管理される。したがって、コイルプレート積層体138,144と渡り部材160,162およびバスバー114との接合時において、コイルプレート積層体138,144とステータコア102との間の絶縁距離が確保される。
なお、本実施の形態においては、樹脂インシュレータ140により多点同時接合処理時におけるコイルプレート積層体138,144とステータコア102との絶縁距離を確保するようにしたが、スロット内において、連続的にコイルプレート積層体138,144とステータコア102との距離が確保できれば特に、樹脂インシュレータ140を用いる事に限定されるものではない。すなわち、樹脂インシュレータ140に代えて、接着層付きの帯状の絶縁フィルムを、コイルプレート積層体138,144のスロット106に挿入される部分に巻回するようにしてもよい。すなわち、コイルプレート積層体138,144の、軸周りの周囲の面とスロット106の内壁面とが対向する位置に絶縁フィルムが介在するように帯状の絶縁フィルムをコイルプレート積層体138,144に巻回するようにしてもよい。好ましくは、絶縁フィルムは、樹脂インシュレータ140と同等の厚みあるいは、コイルプレート積層体138,144とステータコア103との絶縁距離が確保できる厚みであることが望ましい。このようにすると、接合時において、コイルプレート積層体138,144とステータコア102との間の絶縁距離が確保される。
以上のようにして、本実施の形態に係る回転電機の固定子および固定子の製造方法によると、コイルプレートの端部と渡り部材あるいはバスバーとの間の接合部分は、有機物により被覆された銀ナノ粒子と有機溶媒とを含む、ペースト状の接合材を用いて接合される。この接合材は、加熱により保護層である有機物が分解すると、銀ナノ粒子が低温で焼結を開始する。そのため、焼結温度を絶縁材料の溶融温度よりも低くすることができる。一方、焼結後においては、銀ナノ粒子は、金属結合状態となり、銀とコイルプレートの材質との共晶温度(約1000℃前後)付近になるまで溶融しない。このような接合材を用いて接合部分を接合すると、接合時の温度が絶縁材料の溶融温度よりも低くなるため、絶縁部材が溶融することに起因する絶縁性能の悪化を抑制することができる。さらに、接合後においては、接合部分の溶融温度が回転電機の作動時に発生する熱よりも十分高くなるため、接合強度の悪化を抑制することができる。したがって、絶縁部材を溶融させることなく、十分な接合強度を有する回転電機の固定子および固定子の製造方法を提供することができる。
また、コイルプレート積層体には、コイルプレートと渡り部材部材との接合時に、スロット内において、コイルプレート積層体とステータコアとの間の絶縁距離を確保する樹脂インシュレータが設けられる。これにより、接合時においてもコイルプレート積層体とステータコアとの絶縁距離を確保することができる。したがって、絶縁性の悪化を抑制する回転電機の固定子および固定子の製造方法を提供することができる。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る回転電機の固定子について説明する。本実施の形態に係る回転電機の固定子は、上述の第1の実施の形態に係る回転電機の固定子の構成と比較して、コイルサブアッシー108に代えてコイルサブアッシー286を含む点が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係る回転電機の固定子100の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
図17に示すように、本実施の形態に係る回転電機の固定子において、コイルサブアッシー286は、樹脂キャップ288,292と、絶縁フィルム290,298と、コイルプレート積層体138,144と、帯状の絶縁部材(以下、絶縁バンドという)300とから構成される。樹脂キャップ288,292には、それぞれ、コイルプレート積層体138,144を分離する絶縁板294,296が設けられる。
絶縁フィルム290は、同一相のコイルプレート積層体138の、回転軸と平行な方向周りの周囲を覆うように巻回される。絶縁フィルム298は、同一相のコイルプレート積層体144の、回転軸と平行な方向周りの周囲を覆うように巻回される。絶縁フィルム290,298は、薄膜のフィルムであって、たとえば、接着層付きのPPSあるいはカプトン等の絶縁フィルムである。
樹脂キャップ288,292は、絶縁フィルム290が巻回されたコイルプレート積層体138および絶縁フィルム298が巻回されたコイルプレート積層体144を、スロット106内でステータコア102から離隔するように複数箇所で保持する保持部材である。本実施の形態においては、樹脂キャップ288,292によりコイルプレート積層体138,144は、スロット106内でステータコア102から離隔するように2箇所で保持される。樹脂キャップ288,292は、ステータコア102のスロット106の両端の開口部にそれぞれ設けられる。
樹脂キャップ288,292は、絶縁材料により予め定められた形状に形成されるものであって、ステータコア102に当接する部分には、スロット106の内壁面に当接する嵌合部が形成される。樹脂キャップ288,292に形成された嵌合部は、スロット106の断面形状に合致するように形成される。また、樹脂キャップ288,292の嵌合部の反対側の部分には、スロット106の断面形状の外縁よりも大きい突出部が形成される。したがって、樹脂キャップ288,292の嵌合部がスロット106に嵌合すると、突出部がステータコア102に当接した位置で挿入方向の位置が固定される。さらに、嵌合部により樹脂キャップ288,292の挿入方向と直交する方向の位置が固定される。また、樹脂キャップ288,292は、内側にコイルプレート積層体138,144が挿入される2つの開口部を有する中空形状である。開口部は、挿入されたコイルプレート積層体138,144が分離されるように形成され、かつ、樹脂キャップ288,292により、コイルプレート積層体138,144がスロット106内において、回転電機の回転軸に平行な方向に保持される。
すなわち、コイルプレート積層体138,144が挿入された樹脂キャップ288,292の嵌合部がステータコア102のスロット106に嵌合すると、コイルプレート積層体138,144が絶縁板294,296により分離され、さらに、コイルプレート積層体138,144は、樹脂キャップ288,292によりステータコア102と離隔するように保持される。
絶縁バンド300は、コイルプレート積層体138,144の中央付近に巻回される。絶縁バンド300は、予め定められた幅の帯状の絶縁フィルムが複数回巻回されることにより形成されるようにしてもよいし、あるいは、環状に成形された樹脂部品を嵌合することにより形成されるようにしてもよい。帯状の絶縁フィルムは、コイルプレート積層体138,144のそれぞれに巻回される絶縁フィルムと同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよく、特に限定されるものではない。また、絶縁バンド300の厚みは、ステータコア102とコイルプレート積層体138,144との間において絶縁が確保される距離以上であって、ステータコア102とコイルプレート積層体138,144との間隙以下の厚みを有していれば特に限定されるものではない。絶縁バンド300には接着層が形成され、絶縁バンド300はコイルプレート積層体138,144に巻回されると固定される。
また、絶縁バンド300は、コイルプレート積層体138,144において樹脂キャップ288,292の間の位置に設けられれば、特に中央付近に限定されるものではないが、好ましくは、スロット106の両端の開口部間の中央に対応する位置に設けられることが望ましい。コイルプレート積層体138,144は、同時多点接合処理時にその両端部が径方向外側から加圧されると、樹脂キャップ288,292を支点として、径方向外側(バックヨーク側)に凸形状になるように弓なりに変形する。このとき、スロット106の両端の開口部間の中央に対応する位置において、径方向外側への変位量が大きくなる。すなわち、コイルプレート積層体138,144の基準位置(直立状態)から最も変形量の大きい部位に絶縁バンド300を巻回することにより、コイルプレート積層体138,144とステータコア102との絶縁距離が確実に確保される。
以下、図17に示すコイルサブアッシー286が組み立てられる手順について図18を用いて説明する。
コイルプレート136はプレス加工により形成される。図3を用いて説明したように、コイルプレート136の少なくとも一方の面には、絶縁フィルム(図示せず)が貼付される。
図18(A)に示すように、予め定められた組合せの寸法を有するコイルプレートが予め定められた順序で、複数枚積層されて、コイルプレート積層体144が形成される。たとえば、コイルプレート積層体144は、コイルプレートの端面の面積に基づいた順序で複数枚積層されて形成される。同様に、コイルプレート積層体138が形成される。
図18(B)に示すように、形成されたコイルプレート積層体144の、回転軸と平行な方向周りの周囲を覆うように絶縁フィルム298が巻回される。また、同様に、コイルプレート積層体138の周囲にも絶縁フィルム290が巻回される。絶縁フィルム290,298には接着層が形成されている。コイルプレート積層体138,144に絶縁フィルム290,298が巻回されると、接着剤がコイルプレート積層体138,144と絶縁フィルム290,298との間に充填される。そのため、コイルプレート積層体138,144と絶縁フィルム290,298との間に空隙が生じない。
図18(C)に示すように、コイルプレート積層体138,144をスロットに挿入される形に組み合わされた状態で絶縁バンド300が巻回される。そして、樹脂キャップ288,292のうちのいずれか一方がステータコア102に組付けられた後、コイルプレート積層体138,144が、ステータコア102に組付けられた樹脂キャップの開口部にそれぞれ挿入される。さらに、他方の樹脂キャップが、内側の開口部にコイルプレート積層体138,144が挿入されるようにして、スロット106の開口部に組付けられる。このようにして、図18(D)に示すように、コイルサブアッシー286が組み立てられる。
コイルサブアッシー286が上述のような構成を有することにより、渡り部材160,162およびバスバー114との接合時にコイルプレート積層体138,144とステータコア102との絶縁距離が確保される。
たとえば、図19に示すように、コイルサブアッシー286に絶縁バンド300を設けない場合を想定する。多点同時接合処理時において、コイルサブアッシー286に渡り部材160,162およびバスバー114が組付けられた状態で、ステータコア102の径方向外側からコイルプレート積層体138の両端部が加圧されると、コイルプレート積層体138は、樹脂キャップ288,292のティース側の端面に押し付けられる。樹脂キャップ288,292間には空間を有するため、コイルプレート積層体138は、樹脂キャップ288,292を支点として、図20に示すように、バックヨーク側に凸形状になるように弓なりに変形する。そして、図20の実線枠に示すように、スロット106の両端の開口部の中央付近において、コイルプレート積層体138の径方向の変位量が最も大きい部分、すなわち、最も基準位置からの変形量の大きい部分とステータコア102とが接近あるいは接触する可能性がある。
一方、本実施の形態において、コイルプレート積層体138,144の中央付近に絶縁バンド300が巻回される場合、図21に示すように、径方向外側から両端部が加圧されると、同様に、樹脂キャップ288,292を支点としてバックヨーク側に凸形状になるように弓なりに変形しようとする。しかしながら、コイルプレート積層体138の中央付近に絶縁バンド300が巻回されるため、コイルプレート積層体138の基準位置からの変形量は、多くとも絶縁バンド300とステータコア102との間隙に留まる。すなわち、コイルプレート積層体138の変形は絶縁バンド300に抑制される。これにより、コイルプレート積層体138とステータコア102との間においては、接合時においても少なくとも絶縁バンド300の厚み分の距離が確保される。したがって、コイルプレート積層体138とステータコア102との絶縁距離が確保される。なお、コイルプレート積層体144についても同様に加圧に起因する変形は絶縁バンド300により抑制される。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。
以上のようにして、本実施の形態に係る回転電機の固定子および固定子の製造方法によると、上述の第1の実施の形態に係る回転電機の固定子および固定子の製造方法により奏する効果に加えて、コイルプレート積層体における、一対の樹脂キャップ間の位置に絶縁バンドを巻回することにより、渡り部材およびバスバーとの接合時において、コイルプレート積層体の変形部分がステータコアに接近しても、あるいは接近する方向に力が働いても、絶縁バンドが変形部分とステータコアとの絶縁距離を確保する。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態に係る回転電機の固定子について説明する。本実施の形態に係る回転電機の固定子は、上述の第2の実施の形態に係る回転電機の固定子の構成と比較して、帯状の絶縁バンド300に代えて絶縁板302,304を含む点が異なる。それ以外の構成は、上述の第2の実施の形態に係る回転電機の固定子100の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態に係る回転電機の固定子において、コイルサブアッシー286は、樹脂キャップ288,292と、絶縁フィルム290,298と、コイルプレート積層体138,144と、絶縁板302,304とから構成される。
絶縁板302は、図22に示すように、コイルプレート積層体138とステータコア102との間であって、樹脂キャップ288,292間に設けられる。絶縁板302の材質は、特に限定されるものではないが、平板形状であるため、成形性を重視する必要がないため、好ましくは熱伝導の高い材質を選択することが望ましい。このようにすると、回転電機の冷却性能の向上させることができる。また、絶縁板302の厚みは、ステータコア102とコイルプレート積層体138,144との間において絶縁が確保される距離以上であって、ステータコア102とコイルプレート積層体138との間隙以下の厚みを有していれば特に限定されるものではない。さらに、絶縁板302の軸方向の長さについては、樹脂キャップ288,292間距離以下であれば特に限定されるものではない。
図23に図22の23−23断面を示す。図23に示すように、絶縁板302は、バックヨーク側の、コイルプレート積層体138とステータコア102との間に挿入される。本実施の形態においては、コイルプレート積層体138のバックヨーク側を絶縁板302のの挿入位置としたが、加圧方向に応じて絶縁板302の挿入位置を決めればよく、特にこれに限定されるものではない。好ましくは、絶縁板302は、加圧に起因したコイルプレート積層体138の変形を抑制する位置を挿入位置とすることが望ましい。
なお、絶縁板304は、コイルプレート144のバックヨーク側を挿入位置とするものであって、挿入位置以外の構造については、絶縁板302と同様である。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。
図22および図23に示すコイルサブアッシー286が組み立てられる手順については、図18(A)−(D)を用いて説明した、第2の実施の形態に係るコイルサブアッシー286の組み立て手順と比較して、絶縁バンド300に代えて絶縁板302,304を組付ける点が異なる。それ以外の手順については、第2の実施の形態におけるコイルサブアッシー286の組み立て手順と同じ手順である。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。
樹脂キャップ288,292のうちのいずれか一方がステータコア102に組付けられた後、コイルプレート積層体138,144がステータコア102に組付けられた樹脂キャップの開口部にそれぞれ挿入される。さらに、コイルプレート積層体138,144のバックヨーク側の間隙に絶縁板302,304が挿入される。そして、他方の樹脂キャップが、内側の開口部にコイルプレート積層体138,144が挿入されるようにして、スロット106の開口部に組付けられる。このようにして、コイルサブアッシー286が組み立てられる。なお、絶縁板302,304は、コイルプレート積層体138,144に絶縁フィルムが巻回された後に接着剤等によりバックヨーク側の面に貼付するようにしてもよい。
コイルサブアッシー286が上述のような構成を有することにより、渡り部材160,162およびバスバー114との接合時にコイルプレート積層体138,144とステータコア102との絶縁距離が確保される。
図22に示すように、多点同時接合処理時において、渡り部材160,162およびバスバー114がコイルサブアッシー286に組付けられた状態で、ステータコア102の径方向外側からコイルプレート積層体138の両端部が加圧されると、コイルプレート積層体138は、樹脂キャップ288,292のティース側の端面に押し付けられる。このとき、コイルプレート積層体138は、樹脂キャップ288,292を支点として、バックヨーク側に凸形状になるように弓なりに変形しようとする。しかしながら、コイルプレート積層体138のバックヨーク側には絶縁板302が挿入されているため、コイルプレート積層体138の基準位置からの変形量は、多くとも絶縁板302とステータコア102との間隙および絶縁板302とコイルプレート積層体との間隙の和に留まる。すなわち、コイルプレート積層体138の変形は絶縁板302により抑制される。これにより、コイルプレート積層体138とステータコア102との間においては、接合時においても少なくとも絶縁板302の厚み分の距離が確保される。したがって、コイルプレート積層体138とステータコア102との絶縁距離が確保される。なお、コイルプレート積層体144についても同様に加圧に起因する変形は絶縁板304により抑制される。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。
以上のようにして、本実施の形態に係る回転電機の固定子および固定子の製造方法によると、渡り部材およびバスバーとの接合時に、径方向外側からコイルプレート積層体の両端部を加圧する場合においては、コイルプレート積層体の軸方向の中央部分は、バックヨーク側に凸形状になるように弓なりに変形する。したがって、コイルプレート積層体のバックヨーク側に絶縁板を設けることにより、コイルプレート積層体の変形部分がステータコアに接近しても、あるいは接近する方向に力が働いても、絶縁板が変形部分とステータコアとの絶縁距離を確保する。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
<第4の実施の形態>
以下、本発明の第4の実施の形態に係る回転電機の固定子について説明する。本実施の形態に係る回転電機の固定子は、上述の第2の実施の形態に係る回転電機の固定子の構成と比較して、帯状の絶縁バンド300を含まない点が異なる。それ以外の構成は、上述の第2の実施の形態に係る回転電機の固定子100の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態に係る回転電機の固定子において、コイルサブアッシー286は、樹脂キャップ288,292と、絶縁フィルム290,298と、コイルプレート積層体138,144とから構成される。
本実施の形態においては、コイルプレート積層体138,144のそれぞれに、コイルプレート積層体の積層方向に凸形状に湾曲する湾曲部分が予め設けられる点に特徴を有する。
具体的には、図24に示すように、コイルプレート積層体138は、積層方向に凸形状になるように湾曲した部分が予め形成される。本実施の形態においては、コイルプレート積層体138には、ティース側に凸形状になるように湾曲した部分が形成されることとしたが、多点同時接合処理時に加圧される方向に応じて設定すればよく、特にこれに限定されるものではない。好ましくは、加圧方向と略同じ方向に凸形状にあるように湾曲する部分が形成されることが望ましい。また、湾曲した部分の曲率は、予め定められた曲率であって、実験等により適合されるものである。
図24に示すコイルサブアッシー286が組み立てられる手順については、図18(A)−(D)を用いて説明した、第2の実施の形態に係るコイルサブアッシー286の組み立て手順と比較して、絶縁バンド300の組付けが不要である点が異なる。それ以外の手順については、第2の実施の形態におけるコイルサブアッシー286の組み立て手順と同じ手順である。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。
コイルサブアッシー286が上述のような構成を有することにより、渡り部材160,162およびバスバー114との接合時にコイルプレート積層体138,144とステータコア102との絶縁距離が確保される。
図24に示すように、多点同時接合処理時において、渡り部材160,162およびバスバー114がコイルサブアッシー286に組付けられた状態で、ステータコア102の径方向外側からコイルプレート積層体138の両端部が加圧されると、コイルプレート積層体138は、樹脂キャップ288,292のティース側の端面に押し付けられる。このとき、コイルプレート積層体138は、樹脂キャップ288,292を支点として、中央部分がバックヨーク側に変形する。すなわち、コイルプレート積層体138は、図25に示すように、ティース側に凸形状の湾曲した状態から略直立状態になるように変形する。
このとき、加圧によりコイルプレート積層体138の中央部分がバックヨーク側に変形しようとする力と、コイルプレート積層体138が元の湾曲部分を有する状態に復元しようとする弾性力とが釣り合うと、コイルプレート積層体138は略直立状態を維持する。そのため、接合時におけるコイルプレート積層体138が略直立状態となることにより、コイルプレート積層体138とステータコア102との絶縁距離が確保されることとなる。
したがって、好ましくは、湾曲部分の曲率は、接合時に加圧による力とコイルプレート積層体138の弾性力とが釣り合うときにコイルプレート積層体138が略直立状態となる曲率であることが望ましい。
なお、コイルプレート積層体144についても同様に接合時に略直立状態とすることにより、コイルプレート積層体144とステータコア102との絶縁距離が確保される。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。
以上のようして、本実施の形態に係る回転電機の固定子および固定子の製造方法によると、変形方向と逆方向に凸形状になるように湾曲部分を予めコイルプレート積層体に形成しておくようにすると、渡り部材およびバスバーとの接合時において、コイルプレート積層体が略直立状態に変形したときに、変形しようとする力とコイルプレート積層体が元の形に復元しようとする弾性力とが釣り合うようにすることができる。釣り合った状態のまま接合が完了すると、コイルプレート積層体の形状は、略直立状態となることにより、コイルプレート積層体とステータコアとの絶縁距離が確保される。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
なお、本実施の形態においては、コイルプレート積層体138,144には、それぞれコイルプレート積層体を構成するコイルプレートすべてに対して予め定められた曲率の湾曲部分を形成するようにしたが、コイルプレート積層体の一部のコイルプレートにのみ湾曲部分を形成するようにしてもよいし、コイルプレート積層体を第1のコイルプレート群と第2のコイルプレート群とに分けて、それぞれ異なる方向に凸形状になるように湾曲部分を形成するようにしてもよい。
たとえば、図26(A)に示すように、コイルプレート積層体138は、図26(A)の紙面右方向(たとえば、ティース側)に凸形状の湾曲部分を有する第1のコイルプレート群306と、図26(A)の紙面左方向(たとえば、バックヨーク側)に凸形状の湾曲部分を有する第2のコイルプレート群308とから構成されるようにしてもよい。
このようにすると、多点同時接合処理時において、コイルプレート積層体138の径方向外側(図26(A)の紙面左側)から両端部が加圧されたときに、第1のコイルプレート群306には、元の形に戻ろうとする弾性力がコイルプレート積層体138の両端部において図26(A)の紙面左方向に発生する。第1のコイルプレート群306の中央部分は第2のコイルプレート群308の中央部分を押す方向に力を加える。第2のコイルプレート群308は、中央部分が押されることにより、樹脂キャップ288,292を支点として両端部が図26(A)の紙面左方向に変形する。このようにして、図26(B)に示すように、コイルプレート積層体138は略直立状態となる。
第1のコイルプレート群306および第2のコイルプレート群308の曲率は、それぞれ多点同時接合処理の完了後にコイルプレート積層体138が略直立状態となるように実験等により適合される。
あるいは、図27(A)に示すように、コイルプレート積層体138は、図27(A)の紙面右方向(たとえば、ティース側)に凸形状の湾曲部分を有するコイルプレート群310と、図27(A)の紙面左方向(たとえば、バックヨーク側)に凸形状の湾曲部分を有するコイルプレート312とから構成されるようにしてもよい。なお、コイルプレート312は、コイルプレート群310を構成する各コイルプレートの厚みよりも大きい厚みを有するようにしてもよい。
このようにしても、多点同時接合処理の完了後において、図27(B)に示すように、コイルプレート積層体138は、略直立状態とすることができる。
コイルプレート312の厚みあるいは曲率、コイルプレート群310の曲率は、それぞれ多点同時接合処理の完了後にコイルプレート積層体138が略直立状態となるように実験等により適合される。
このように、第1および第2のコイルプレート群のうちの少なくともいずれか一方に、加圧による変形方向と逆方向に凸形状になるように湾曲部分を形成しておくようにすると、加圧時にコイルプレート積層体が略直立状態に変形したときに、変形しようとする力と、湾曲部分が形成されたコイルプレート群が元の形に復元しようとする弾性力とが釣り合うようにすることができる。釣り合った状態のまま接合が完了すると、コイルプレート積層体の形状は略直立状態となるため、コイルプレート積層体とステータコアとの絶縁距離が確保される。これにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本実施の形態に係る固定子の斜視図である。 本実施の形態に係る固定子の製造方法の手順を示すフローチャートである。 コイルプレートの斜視図である。 コイルプレート積層体の組付け過程を示す図である。 コイルサブアッシーの斜視図である。 図5の矢視Aを視点としたコイルサブアッシーの外観図である。 コイルサブアッシーをステータコアに組付ける過程を示す図である。 ステータコアへの組付け後のコイルサブアッシーの斜視図である。 渡り部材積層体をコイルサブアッシーに組付ける過程を示す図である。 渡り部材の斜視図である。 コイルプレートと渡り部材との接合部分を模式的に示す図である。 バスバーをコイルサブアッシーに組付ける過程を示す図である。 端子部材をコイルサブアッシーに組付ける過程を示す図である。 接合前の固定子の斜視図である。 コイルサブアッシーへの加圧方向を示す図である。 樹脂モールド処理が実施された固定子の斜視図である。 第2の実施の形態におけるコイルサブアッシーの斜視図である。 第2の実施の形態におけるコイルサブアッシーの組み立て過程を示す図でる。 絶縁バンドがない場合のコイルサブアッシーの断面図である。 加圧されたときのコイルサブアッシーの変化を示す図である。 第2の実施の形態におけるコイルサブアッシーの断面図である。 第3の実施の形態におけるコイルサブアッシーの断面図である。 図22の23−23断面を示す図である。 第4の実施の形態におけるコイルサブアッシーの断面図である。 第4の実施の形態における、加圧されたときのコイルサブアッシーの変化を示す図である。 互いに異なる方向の湾曲部分を有する第1のコイルプレート群と第2のコイルプレート群とを示す図である。 互いに異なる方向の湾曲部分を有するコイルプレート群とコイルプレートとを示す図である。
符号の説明
100 固定子、102 ステータコア、104,168 ティース、106 スロット、108,286 コイルサブアッシー、110,112 渡り部材の積層体、114 バスバー、116,118,120,122,124,126 端子部材、128,130,132,146,150,152,154,156 突出部、134,184,186,188,190,198,200 接合面、136,192,194,196,312 コイルプレート、138,144 コイルプレート積層体、140 樹脂インシュレータ、142,294,296,302,204 絶縁板、158 保持部材、160,162 渡り部材、164,166,170,172,174,176,178,180 端部、182 樹脂、288,292 樹脂キャップ、290,298 絶縁フィルム、300 絶縁バンド、306,308,310 コイルプレート群。

Claims (19)

  1. 回転子と固定子とからなる回転電機の固定子であって、
    前記回転電機の回転軸に平行な方向に複数のスロットを有する固定子鉄心と、
    少なくとも片面側に絶縁部材が付着された複数枚のコイルプレートが径方向に積層されて形成されるコイルプレート積層体と、
    異なるスロットに挿入されたコイルプレート積層体間を接続する接続部材とを含み、
    有機物により被覆された金属ナノ粒子と有機溶媒とを含む、ペースト状の接合材を用いて、前記コイルプレートと前記接続部材との端部同士が接合され、
    前記コイルプレート積層体には、前記コイルプレートと前記接続部材との接合時に、前記スロット内において、前記コイルプレート積層体と前記固定子鉄心との間の絶縁距離を確保する部分が設けられる、回転電機の固定子。
  2. 前記コイルプレートは、前記スロットに挿入される部分がI字形状のコイルプレートであって、
    前記絶縁距離を確保する部分は、
    前記スロットの開口部に設けられ、前記回転軸と平行な方向に貫通する中空の形状であって、内側に前記コイルプレート積層体が挿入されることにより、前記コイルプレート積層体を、前記固定子鉄心から離隔するように保持する一対の絶縁保持部材と、
    前記コイルプレート積層体における、前記一対の絶縁保持部材間の位置に巻回される帯状絶縁部材とを含む、請求項1に記載の回転電機の固定子。
  3. 前記帯状絶縁部材は、前記スロットの開口部間の中央に対応する位置に巻回される、請求項2に記載の回転電機の固定子。
  4. 前記コイルプレートは、前記スロットに挿入される部分がI字形状のコイルプレートであって、
    前記絶縁距離を確保する部分は、
    前記スロットの開口部に設けられ、前記回転軸と平行な方向に貫通する中空の形状であって、内側に前記コイルプレート積層体が挿入されることにより、前記コイルプレート積層体を、前記固定子鉄心から離隔するように保持する一対の絶縁保持部材と、
    前記コイルプレート積層体と前記固定子鉄心との間であって、前記接合時に前記コイルプレート積層体の、スロット内における変形を抑制する位置に設けられる絶縁板とを含む、請求項1に記載の回転電機の固定子。
  5. 前記位置は、前記コイルプレート積層体のバックヨーク側である、請求項4に記載の回転電機の固定子。
  6. 前記コイルプレートは、前記スロットに挿入される部分がI字形状のコイルプレートであって、
    前記絶縁距離を確保する部分は、
    前記スロットの開口部に設けられ、前記回転軸と平行な方向に貫通する中空の形状であって、内側に前記コイルプレート積層体が挿入されることにより、前記コイルプレート積層体を、前記固定子鉄心から離隔するように保持する一対の絶縁保持部材と、
    前記コイルプレート積層体に、前記コイルプレートの積層方向に凸形状になるように形成された湾曲部分とを含む、請求項1に記載の回転電機の固定子。
  7. 前記コイルプレート積層体は、第1のコイルプレート群と第2のコイルプレート群とを有し、
    前記湾曲部分は、前記第1および前記第2のコイルプレート群のうちの少なくともいずれか一方に設けられる、請求項6に記載の回転電機の固定子。
  8. 前記湾曲部分は、前記第1および前記第2のコイルプレート群の両方に設けられ、
    前記第1のコイルプレート群の湾曲方向は、前記第2のコイルプレート群の湾曲方向と異なる、請求項7に記載の回転電機の固定子。
  9. 前記湾曲部分の曲率は、前記接合時に前記コイルプレート積層体と前記固定子鉄心との間で絶縁距離が確保できる予め定められた曲率である、請求項6〜8のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  10. 回転子と固定子とからなる回転電機の固定子の製造方法であって、前記固定子は、前記回転電機の回転軸に平行な方向に複数のスロットを有する固定子鉄心を含み、
    導体平板を、少なくとも片面側に絶縁部材が付着されたコイルプレートに加工する加工ステップと、
    各コイルプレート間に前記絶縁部材が介在するようにして、径方向に複数枚積層して、積層されたコイルプレート積層体を前記スロットに挿入する挿入ステップと、
    異なるスロットに挿入されたコイルプレート積層体間を接続する接続部材を組付けるステップと、
    前記接合面の予め定められた範囲内に、有機物により被覆された金属ナノ粒子と有機溶媒とを含む、ペースト状の前記接合材を塗布する塗布ステップと、
    前記コイルプレートと前記接続部材との接合部分を、予め定められた時間が経過するまで加圧および加温して接合する接合ステップと、
    前記コイルプレートと前記接続部材とを接合する際に、前記スロット内において、前記コイルプレート積層体と前記固定子鉄心との間の絶縁距離が確保される部分を前記コイルプレート積層体に設けるステップとを含む、固定子の製造方法。
  11. 前記絶縁距離を確保する部分を設けるステップは、
    前記スロットの開口部に設けられ、前記回転軸と平行な方向に貫通する中空の形状であって、保持対象物を前記固定子鉄心から離隔するように一体的に保持する一対の絶縁保持部材の内側に、前記コイルプレート積層体を挿入するステップと、
    前記一対の絶縁保持部材間の位置に帯状絶縁部材を巻回するステップとを含む、請求項10に記載の固定子の製造方法。
  12. 前記帯状絶縁部材を巻回するステップは、前記スロットの開口部間の中央に対応する位置に巻回するステップを含む、請求項11に記載の固定子の製造方法。
  13. 前記絶縁距離を確保する部分を設けるステップは、
    前記スロットの開口部に設けられ、前記回転軸と平行な方向に貫通する中空の形状であって、保持対象物を前記固定子鉄心から離隔するように一体的に保持する一対の絶縁保持部材の内側に、前記コイルプレート積層体を挿入するステップと、
    前記コイルプレート積層体と前記固定子鉄心との間であって、前記接合時に前記コイルプレート積層体の、スロット内における変形を抑制する位置に絶縁板を設けるステップとを含む、請求項10に記載の固定子の製造方法。
  14. 前記絶縁板を設けるステップは、前記コイルプレート積層体のバックヨーク側の、前記コイルプレート積層体と前記固定子鉄心との間に絶縁板を設けるステップを含む、請求項13に記載の固定子の製造方法。
  15. 前記絶縁距離を確保する部分を設けるステップは、
    前記スロットの開口部に設けられ、前記回転軸と平行な方向に貫通する中空の形状であって、保持対象物を前記固定子鉄心から離隔するように一体的に保持する一対の絶縁保持部材の内側に、前記コイルプレート積層体を挿入するステップと、
    前記コイルプレートの積層方向に凸形状になるように、前記コイルプレート積層体に湾曲部分を形成するステップとを含む、請求項10に記載の固定子の製造方法。
  16. 前記コイルプレート積層体は、第1のコイルプレート群と第2のコイルプレート群とを含み、
    前記湾曲部分を設けるステップは、前記第1および前記第2のコイルプレート群のうちの少なくともいずれか一方に湾曲部分を設けるステップを含む、請求項15に記載の固定子の製造方法。
  17. 前記湾曲部分を設けるステップは、前記第1および前記第2のコイルプレート群の両方に、前記互いに湾曲方向が異なる湾曲部分を設けるステップを含む、請求項16に記載の固定子の製造方法。
  18. 前記湾曲部分を設けるステップは、前記接合時に前記コイルプレート積層体と前記固定子鉄心との間で絶縁距離が確保できる予め定められた曲率になるように湾曲部分を設けるステップを含む、請求項15〜17のいずれかに記載の固定子の製造方法。
  19. 請求項10〜18のいずれかに記載の固定子の製造方法により製造された回転電機の固定子。
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