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JP2007335355A - 燃料電池 - Google Patents

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JP2007335355A
JP2007335355A JP2006168525A JP2006168525A JP2007335355A JP 2007335355 A JP2007335355 A JP 2007335355A JP 2006168525 A JP2006168525 A JP 2006168525A JP 2006168525 A JP2006168525 A JP 2006168525A JP 2007335355 A JP2007335355 A JP 2007335355A
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porous body
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cathode
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fuel cell
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JP2006168525A
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Kazuaki Ezaka
和明 江坂
Ikuyasu Katou
育康 加藤
Seiji Sano
誠治 佐野
Takashi Kajiwara
▲隆▼ 梶原
Naohiro Takeshita
直宏 竹下
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Toyota Motor Corp
Soken Inc
Original Assignee
Nippon Soken Inc
Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】単セル内における、低湿度の状態にある部分においても、電解質膜の湿潤状態を適正に保つことができるようにする。
【解決手段】カソード側の上流部において、カソード側多孔体122、および、セパレータ126の多孔体側表面に、それぞれ撥水処理を施すと共に、アノード側の上流部においても、同様に、アノード側多孔体124、および、セパレータ128の多孔体側表面に、それぞれ撥水処理を施す。
【選択図】図1

Description

本発明は、反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池に関するものである。
水素と酸素との電気化学反応によって発電する燃料電池が、エネルギ源として注目されている。この燃料電池には、電解質膜としてプロトン導電性を有する固体高分子膜を用いた固体高分子型燃料電池がある。そして、この固体高分子型燃料電池では、所望の発電性能を得るために、電解質膜を適正な湿潤状態に維持し、電解質膜のプロトン伝導性を適正に保つ必要がある。
このような燃料電池は、複数の単セルを積層したスタック構造を有しており、各単セルは、例えば、下記の特許文献1に記載されているように、電解質膜の両面に、それぞれ触媒層から成るカソードおよびアノードを接合して膜電極接合体を形成し、その両面に、それぞれカソード側ガス拡散層およびアノード側ガス拡散層を接合し、さらに、それらの両面に、それぞれカソード側多孔体およびアノード側多孔体を配置して、それらを1対のセパレータで挟持することによって構成されている。
そして、各単セルにおいて、燃料ガスとして水素ガスをアノード側多孔体に供給して、アノード側多孔体内を上流側から下流側に向かって流すことにより、その水素ガスを、アノード側多孔体からアノード側ガス拡散層内を介して、アノード側触媒層に供給し、一方、酸化ガスとして空気をカソード側多孔体に供給して、カソード側多孔体内を上流側から下流側に向かって流すことにより、その空気を、カソード側多孔体からカソード側ガス拡散層を介して、カソード側触媒層に供給している。こうして、アノード側触媒層に、燃料ガスとしての水素ガスを、カソード側触媒層に、酸化ガスとしての空気を、それぞれ供給すると、電気化学反応として、アノード側触媒層では式(1)の反応が、カソード側触媒層では式(2)の反応がそれぞれ起こり、電力が発生すると共に、水が生成される。
2 → 2H++2e- …(1)
2H++2e-+(1/2)O2 → H2O …(2)
なお、この種の燃料電池として、関連するものには、例えば、下記の特許文献2〜4に記載のものが知られている。
特開2004−87318号公報 特開平8−255619号公報 特開平7−22037号公報 特開平11−339815号公報
しかしながら、一般に、アノード側多孔体およびカソード側多孔体は、内部に多数の細孔を備えた金属の多孔体からなり、親水性を有するため、ガス拡散層,触媒層を介して、電解質膜から積極的に水を吸い出すことになる。
このため、単セル内において、低湿度の状態(すなわち、生成された水が気化しやすい状態)にある部分では、このように、多孔体が電解質膜から積極的に水を吸い出すと、電解質膜が乾燥してしまい、電解質膜のプロトン導電性が落ち、燃料電池の発電性能が低下してしまうという問題があった。
上述したとおり、燃料ガスはアノード側多孔体内を、酸化ガスはカソード側多孔体内を、それぞれ、上流側から下流側に向かって流れるため、気化した水もその流れに乗って流れることになる。それ故、単セル内では、ガスの流れに対して、特に、上流側の部分の方が、下流側の部分に比較して、低湿度の状態になりやすいため、多孔体によって、電解質膜がより乾燥しやすい。
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、単セル内における、低湿度の状態にある部分においても、電解質膜の湿潤状態を適正に保つことができる燃料電池を提供することある。
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の第1の燃料電池は、反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池であって、
固体高分子膜から成る電解質膜と、該電解質膜の両面にそれぞれ接合されるアノードおよびカソードと、で構成される膜電極接合体と、
少なくとも前記膜電極接合体を両側より挟持する1対のセパレータと、
前記膜電極接合体と前記セパレータとの間にそれぞれ配置され、その内部に多数の細孔を有し、供給された前記反応ガスを所定方向に流しつつ、前記アノードおよびカソードに前記反応ガスを供給する1対の多孔体と、
を備え、
前記アノード側およびカソード側の少なくとも一方において、前記多孔体、および前記セパレータの前記多孔体側表面のうち、少なくとも一方は、部分的に撥水処理が施されていることを要旨とする。
このように、部分的に撥水処理が施されていると、その撥水処理が施されている部分では、多孔体による電解質膜側からの水の吸い出しが阻害されるため、単セル内において、その部分の近傍が、例え、低湿度の状態にあったとしても、電解質膜が乾燥してしまうことはない。
よって、本発明の第1の燃料電池によれば、単セル内における、低湿度の状態にある部分においても、電解質膜の湿潤状態を適正に保つことができるため、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
本発明の第2の燃料電池は、反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池であって、
固体高分子膜から成る電解質膜と、該電解質膜の両面にそれぞれ接合されるアノードおよびカソードと、で構成される膜電極接合体と、
少なくとも前記膜電極接合体を両側より挟持する1対のセパレータと、
前記膜電極接合体と前記セパレータとの間にそれぞれ配置され、その内部に多数の細孔を有し、供給された前記反応ガスを所定方向に流しつつ、前記アノードおよびカソードに前記反応ガスを供給する1対の多孔体と、
を備え、
前記アノード側およびカソード側の少なくとも一方において、前記多孔体、および前記セパレータの前記多孔体側表面のうち、少なくとも一方は、前記多孔体を流れる前記反応ガスの流れ方向において、上流側の部分に撥水処理が施されていることを要旨とする。
上述したとおり、反応ガスの流れに対して、上流側の部分の方が、下流側の部分に比較して、低湿度の状態になりやすいが、このように、上流側の部分に撥水処理が施されていることにより、その部分では、多孔体による電解質膜側からの水の吸い出しが阻害されるため、例え、その部分が低湿度の状態になったとしても、電解質膜が乾燥してしまうことはない。
よって、本発明の第2の燃料電池によれば、単セル内における、低湿度の状態になりやすい上流側の部分においても、電解質膜の湿潤状態を適正に保つことができるため、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
本発明の燃料電池において、前記多孔体に撥水処理が施されている場合は、前記多孔体における少なくとも前記膜電極接合体側の部分に前記撥水処理が施されていることが好ましい。
このように、多孔体における、電解質膜に最も近い部分である膜電極接合体側の部分に、撥水処理が施されていれば、多孔体による電解質膜側からの水の吸い出しをより効果的に阻害することができる。
本発明の第3の燃料電池は、反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池であって、
固体高分子膜から成る電解質膜と、該電解質膜の両面にそれぞれ接合されるアノードおよびカソードと、で構成される膜電極接合体と、
少なくとも前記膜電極接合体を両側より挟持する1対のセパレータと、
前記膜電極接合体と前記セパレータとの間にそれぞれ配置され、その内部に多数の細孔を有し、供給された前記反応ガスを所定方向に流しつつ、前記アノードおよびカソードに前記反応ガスを供給する1対の多孔体と、
を備え、
前記アノード側およびカソード側の少なくとも一方において、前記多孔体、および前記セパレータの前記多孔体側表面のうち、少なくとも一方は、一部分における撥水性が他の部分と比較して高いこと要旨とする。
このように、一部分における撥水性が他の部分に比較して高いと、その撥水性が高い部分では、多孔体による電解質膜側からの水の吸い出しが阻害されるため、単セル内において、その部分の近傍が、例え、低湿度の状態にあったとしても、電解質膜が乾燥してしまうことはない。
よって、本発明の第3の燃料電池においても、第1の燃料電池と同様に、単セル内における、低湿度の状態にある部分においても、電解質膜の湿潤状態を適正に保つことができるため、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
本発明の第4の燃料電池は、反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池であって、
固体高分子膜から成る電解質膜と、該電解質膜の両面にそれぞれ接合されるアノードおよびカソードと、で構成される膜電極接合体と、
少なくとも前記膜電極接合体を両側より挟持する1対のセパレータと、
前記膜電極接合体と前記セパレータとの間にそれぞれ配置され、その内部に多数の細孔を有し、供給された前記反応ガスを所定方向に流しつつ、前記アノードおよびカソードに前記反応ガスを供給する1対の多孔体と、
を備え、
前記アノード側およびカソード側の少なくとも一方において、前記多孔体、および前記セパレータの前記多孔体側表面のうち、少なくとも一方は、前記多孔体を流れる前記反応ガスの流れ方向において、上流側の部分における撥水性が下流側の部分に比較して高いことを要旨とする。
このように、上流側の部分における撥水性が下流側の部分に比較して高いと、その撥水性の高い部分では、多孔体による電解質膜側からの水の吸い出しが阻害されるため、例え、その部分が低湿度の状態になったとしても、電解質膜が乾燥してしまうことはない。
よって、本発明の第4の燃料電池においても、第2の燃料電池と同様に、単セル内における、低湿度の状態になりやすい上流側の部分において、電解質膜の湿潤状態を適正に保つことができるため、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
本発明の燃料電池において、前記多孔体がガス拡散性を有する中間部材を介して前記膜電極接合体に接合される場合、
撥水性が高い前記部分における撥水性は、前記中間部材における多孔体側の部分に比較しても高いことが好ましい。
膜電極接合体と多孔体との間に中間部材が介在する場合、電解質膜内の水は中間部材を介して多孔体に吸い出されることになるが、このように、撥水性が高い部分の撥水性が、中間部材における多孔体側の部分に比較しても高いと、水は中間部材から多孔体へ移動しにくくなるため、多孔体による電解質膜側からの水の吸い出しをより効果的に阻害することができる。
本発明の第5の燃料電池は、反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池であって、
固体高分子膜から成る電解質膜と、該電解質膜の両面にそれぞれ接合されるアノードおよびカソードと、で構成される膜電極接合体と、
少なくとも前記膜電極接合体を両側より挟持する1対のセパレータと、
前記膜電極接合体と前記セパレータとの間にそれぞれ配置され、その内部に多数の細孔を有し、供給された前記反応ガスを所定方向に流しつつ、前記アノードおよびカソードに前記反応ガスを供給する1対の多孔体と、
を備え、
前記アノード側およびカソード側の少なくとも一方において、前記多孔体は、前記膜電極接合体側の部分に撥水処理が施されていることを要旨とする。
このように、多孔体における、電解質膜に最も近い部分である膜電極接合体側の部分に、撥水処理が施されていると、多孔体による電解質膜側からの水の吸い出しがより効果的に阻害されるため、単セル内において、低湿度の状態にある部分があったとしても、電解質膜が乾燥してしまうことはない。
よって、本発明の第5の燃料電池においても、単セル内における、低湿度の状態にある部分においても、電解質膜の湿潤状態を適正に保つことができるため、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
本発明は、上述の燃料電池としての構成の他、この燃料電池を備える燃料電池システムの発明として構成することもできる。
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1の実施例:
B.第2の実施例:
C.変形例:
A.第1の実施例:
図1は本発明の第1の実施例としての燃料電池を構成する単セル10Aの断面構造を模式的に示す説明図であり、反応ガスの流れ方向に沿った断面を示している。
本実施例の燃料電池は、固体高分子型燃料電池であって、複数の単セル10Aを積層したスタック構造を有しており、反応ガスとして、酸化ガスである空気と、燃料ガスである水素ガスがそれぞれ供給される。
単セル10Aは、図1に示すように、膜電極接合体(Membrance Electrode Assembly)110の両面に、それぞれカソード側ガス拡散層118およびアノード側ガス拡散層120を接合し、さらに、それらの両面に、それぞれカソード側多孔体122およびアノード側多孔体124を配置して、それらを1対のセパレータ126,128で挟持することによって構成されている。
このうち、膜電極接合体110は、プロトン伝導性を有する電解質膜112の両面に、それぞれカソード側触媒層114およびアノード側触媒層116を接合することにより構成されている。電解質膜112は、プロトン伝導性を有し、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す固体高分子材料の薄膜であり、本実施例では、ナフィオン(登録商標)等の固体高分子膜を用いるものとした。カソード側触媒層114およびアノード側触媒層116は、それぞれ水素と酸素との電気化学反応を促進するための触媒(例えば、白金)を担持した層であり、カソード側触媒層114は、カソードとして機能し、アノード側触媒層116は、アノードとして機能する。なお、カソード側触媒層114は、請求項におけるカソードに、アノード側触媒層116は、請求項におけるアノードに、それぞれ相当する。
カソード側ガス拡散層118は、供給された酸化ガスである空気を拡散させつつ、カソード側触媒層114に供給するための層である。また、アノード側ガス拡散層120は、供給された燃料ガスである水素ガスを拡散させつつ、アノード側触媒層116に供給するための層である。これらカソード側ガス拡散層118およびアノード側ガス拡散層120は、カーボンクロスやカーボンペーパなど、内部に多数の細孔を備えたカーボン製の多孔体で構成されている。その気孔径は、例えば、0.01〜10μmである。なお、これらカソード側ガス拡散層118およびアノード側ガス拡散層120は、請求項における中間部材に相当する。
カソード側多孔体122は、空気が流れる流路を構成し、供給された空気(Air)を矢印の方向に流しつつ、その厚み方向に拡散して、カソード側ガス拡散層118の全面にその空気を供給している。また、アノード側多孔体124は、水素ガスが流れる流路を構成し、供給された水素ガス(H2)を矢印の方向に流しつつ、その厚み方向に拡散して、アノード側ガス拡散層120の全面にその水素ガスを供給している。カソード側多孔体122およびアノード側多孔体124は、ステンレス鋼やチタン,チタン合金等の発泡金属や金属メッシュなど、内部に多数の細孔を備えた金属の多孔体で構成されている。その気孔経は、例えば、10〜1000μmである。これらカソード側多孔体122およびアノード側多孔体124は、請求項における多孔体に相当する。
セパレータ126,128は、ステンレス鋼やチタン,チタン合金など、導電性の金属材料から構成されており、多孔体側の表面は平坦な形状を成している。
なお、本実施例においては、図示されていないが、燃料電池におけるスタック構造の外周部に、単セル10Aの積層方向に沿って、酸化ガスである空気を流す酸化ガス供給/排出マニホールドと、燃料ガスである水素ガスを流す燃料ガス供給/排出マニホールドと、を備えている。
酸化ガス供給マニホールドを流れる空気は、各単セル10Aに分配されて、各単セル10Aにおいて、図1におけるカソード側多孔体122の左側の側方より、カソード側多孔体122に供給される。供給された空気は、カソード側多孔体122を流れつつ、カソード側多孔体122からカソード側ガス拡散層118を介してカソード側触媒層114に到達し、カソード側触媒層114において、前述の式(2)に示した電気化学反応に供された後、再び、カソード側ガス拡散層118を介してカソード側多孔体122に戻り、図1におけるカソード側多孔体122の右側の側方より排出されて、酸化ガス排出マニホールドに集合される。
一方、燃料ガス供給マニホールドを流れる水素ガスも、各単セル10Aに分配されて、各単セル10Aにおいて、図1におけるアノード側多孔体124の左側の側方より、アノード側多孔体124に供給される。供給された水素ガスは、アノード側多孔体124を流れつつ、アノード側多孔体124からアノード側ガス拡散層120を介してアノード側触媒層116に到達し、アノード側触媒層116において、前述の式(1)に示した電気化学反応に供された後、再び、アノード側ガス拡散層120を介してアノード側多孔体124に戻り、図1におけるアノード側多孔体124の右側の側方より排出され、その後、燃料ガス排出マニホールドに集合される。
こうして、カソード側多孔体122に供給された空気は、図1における左側を上流、右側を下流として、電気化学反応に供されつつ、上流から下流に向かって流れ、また、アノード側多孔体124に供給された水素ガスも、図1における左側を上流、右側を下流として、電気化学反応に供されつつ、上流から下流に向かって流れることになる。そこで、図1における左側の部分を上流部、右側の部分を下流部と呼ぶことにする。
ところで、カソード側触媒層114における電気化学反応では、式(2)に示したように、水が生成される。生成されたその水の一部は、電解質膜112に吸収され、電解質膜112を適正な湿潤状態に維持するために用いられる。また、生成された水の残りは、カソード側触媒層114から、電気化学反応に酸素が供された後の空気と共に、カソード側ガス拡散層118を介してカソード側多孔体122に移動する。電解質膜112に吸収された水の一部は、電解質膜112からアノード側触媒層116にしみ出して、アノード側触媒層116から、電気化学反応に供されずに残った水素ガスと共に、アノード側ガス拡散層120を介してアノード側多孔体124に移動する。
こうして、カソード側多孔体122に移動した水は、気化されて、カソード側多孔体122を流れる空気に乗って、上流側から下流側に向かって流れることになる。同様に、アノード側多孔体124に移動した水も、気化されて、アノード側多孔体124を流れる水素ガスに乗って、上流側から下流側に向かって流れることになる。
そのため、カソード側もアノード側も、上流部では、移動した水が気化されて次々に下流部に向かって運び去れるため、上流部の方が、下流部に比較して、低湿度の状態(すなわち、生成された水がより気化しやすい状態)になりやすい。
一方、カソード側多孔体122およびアノード側多孔体124は、上述したとおり、発泡金属や金属メッシュなどの金属多孔体で構成されているため、そのままの状態では、親水性を有している。従って、カソード側多孔体122およびアノード側多孔体124は、ガス拡散層,触媒層を介して、電解質膜112から積極的に水を吸い出す傾向にある。
このため、上述のごとく低湿度の状態になりやすい上流部では、このように、カソード側多孔体122およびアノード側多孔体124が電解質膜112から積極的に水を吸い出してしまうと、電解質膜112が乾燥してしまい、電解質膜112のプロトン導電性が落ち、燃料電池の発電性能が低下してしまう恐れがある。
そこで、本実施例においては、上流部において、多孔体による電解質膜側からの水の吸い出しを阻害するために、次に述べるような撥水処理を施すようにしている。
すなわち、本実施例においては、カソード側の上流部において、カソード側多孔体122、および、セパレータ126の多孔体側表面に、それぞれ撥水処理を施すと共に、アノード側の上流部においても、同様に、アノード側多孔体124、および、セパレータ128の多孔体側表面に、それぞれ撥水処理を施すようにしている。
具体的には、カソード側多孔体122およびアノード側多孔体124については、多孔体を高分子処理剤に浸漬したり、多孔体に高分子処理剤を霧吹きまた塗布することにより、撥水処理を施すようにしている。一方、セパレータ126,128については、セパレータの表面に高分子処理剤を塗布することにより、撥水処理を施すようにしている。
このように、カソード側の上流部において、カソード側多孔体122、および、セパレータ126の多孔体側表面に、それぞれ撥水処理を施すことによって、カソード側多孔体122、および、セパレータ126の多孔体側表面は、上流部が下流部に比較して、撥水性が高くなり、同様に、アノード側の上流部において、アノード側多孔体124、および、セパレータ128の多孔体側表面に、それぞれ撥水処理を施すことによって、アノード側多孔体124、および、セパレータ128の多孔体側表面は、上流部が下流部に比較して、撥水性が高くなる。
なお、撥水性が高いとは、例えば、上流部における水滴の接触角が、下流部における水滴の接触角に比較して大きいことを意味する。ここで、接触角とは、固体表面に水滴が付着した場合において、その水滴の接触部分がつくる角度をいう。
また、カソード側の上流部では、このように、カソード側多孔体122、および、セパレータ126の多孔体側表面に、それぞれ撥水処理を施すことによって、カソード側多孔体122、および、セパレータ126の多孔体側表面は、カソード側ガス拡散層118に比較して、撥水性が高くなり、同様に、アノード側の上流部でも、このように、アノード側多孔体124、および、セパレータ128の多孔体側表面に、それぞれ撥水処理を施すことによって、アノード側多孔体124、および、セパレータ128の多孔体側表面は、アノード側ガス拡散層120に比較して、撥水性が高くなる。
従って、カソード側の上流部では、カソード側多孔体122およびセパレータ126の多孔体側表面の撥水性が、カソード側ガス拡散層118に比較して、高いため、カソード側ガス拡散層118からカソード側多孔体122への水の移動がしにくくなり、それにより、カソード側多孔体122による電解質膜側からの水の吸い出しが阻害されることになる。同様に、アノード側の上流部では、アノード側多孔体124およびセパレータ128の多孔体側表面の撥水性が、アノード側ガス拡散層120に比較して、高いため、アノード側ガス拡散層120からアノード側多孔体124への水の移動がしにくくなり、アノード側多孔体124による電解質膜側からの水の吸い出しが阻害されることになる。
このように、低湿度の状態になりやすい上流部においては、多孔体による電解質膜側からの水の吸い出しが阻害されるため、例え、その上流部が、低湿度の状態になったとしても、電解質膜112が乾燥してしまうことはない。
よって、本実施例によれば、単セル10A内における、低湿度の状態になりやすい上流部においても、電解質膜112の湿潤状態を適正に保つことができるため、電解質膜112のプロトン導電性を落とすことなく、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
B.第2の実施例:
図2は本発明の第2の実施例としての燃料電池を構成する単セル10Bの断面構造を模式的に示す説明図であり、反応ガスの流れ方向に沿った断面を示している。
本実施例の燃料電池も、上記した第1の実施例と同様に、固体高分子型燃料電池であって、複数の単セル10Bを積層したスタック構造を有しており、反応ガスとして、酸化ガスである空気と、燃料ガスである水素ガスがそれぞれ供給される。図2に示すように、単セル10Bも、その基本的な構成は、第1の実施例における単セル10Aと同様であり、従って、構成上、異なっている部分のみ説明する。
上記した第1の実施例においては、カソード側の上流部において、カソード側多孔体122、および、セパレータ126の多孔体側表面に、アノード側の上流部においても、同様に、アノード側多孔体124、および、セパレータ128の多孔体側表面に、それぞれ撥水処理を施すようにしていたが、本実施例においては、図2に示すように、カソード側の上流部において、カソード側多孔体122におけるガス拡散層側の部分のみに、アノード側の上流部において、アノード側多孔体124におけるガス拡散層側の部分のみに、それぞれ、撥水処理を施すようにしている。
具体的には、カソード側多孔体122におけるガス拡散層側の表面、および、アノード側多孔体124におけるガス拡散層側の表面に、それぞれ、高分子処理剤を霧吹きまた塗布することにより、それらのガス拡散層側の部分のみに、撥水処理を施すようにしている。
このように、カソード側の上流部では、カソード側多孔体122におけるガス拡散層側の部分に撥水処理を施すことによって、その部分の撥水性が、カソード側ガス拡散層118に比較して高くなるため、カソード側ガス拡散層118からカソード側多孔体122への水の移動がしにくくなり、それにより、カソード側多孔体122による電解質膜側からの水の吸い出しが阻害されることになる。同様に、アノード側の上流部では、アノード側多孔体124におけるガス拡散層側の部分に撥水処理を施すことによって、その部分の撥水性が、アノード側ガス拡散層120に比較して高くなるため、アノード側ガス拡散層120からアノード側多孔体124への水の移動がしにくくなり、アノード側多孔体124による電解質膜側からの水の吸い出しが阻害されることになる。
このように、低湿度の状態になりやすい上流部においては、多孔体による電解質膜側からの水の吸い出しが阻害されるため、例え、その上流部が、低湿度の状態になったとしても、電解質膜112が乾燥してしまうことはない。
よって、本実施例においても、単セル10B内における、低湿度の状態になりやすい上流部においても、電解質膜112の湿潤状態を適正に保つことができるため、電解質膜112のプロトン導電性を落とすことなく、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
C.変形例:
以上、本発明のいくつかの実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、以下のような変形が可能である。
上記した実施例においては、カソード側,アノード側の両方に、撥水処理を施すようにしたが、何れか一方のみに、撥水処理を施すようにしてもよい。
上記した実施例においては、低湿度の状態になりやすい上流部について、撥水処理を施すようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、反応ガスの流れの方向において、部分的に撥水処理を施すようにしてもよい。
上記した第1の実施例においては、多孔体、および、セパレータの多孔体側表面に、それぞれ撥水処理を施すようにしていたが、多孔体のみに撥水処理を施してもよいし、セパレータの多孔体側表面のみに撥水処理を施すようにしてもよい。
上記した実施例では、撥水性を高めるために、撥水処理を施すようにしていたが、代わりに、撥水性の高い材料を用いるようにしてもよい。
上記した実施例においては、膜電極接合体110とカソード側多孔体122との間にカソード側ガス拡散層118を、膜電極接合体110とアノード側多孔体124との間にアノード側ガス拡散層120を、それぞれ配置するようにしていた。一般に、ガス拡散層には、カーボンクロスやカーボンペーパなどに撥水ペーストなどを塗布して、撥水性が高めてあるが、カソード側多孔体122およびアノード側多孔体124に部分的もしくは全体的に撥水処理を施して、その撥水性を高めた場合には、カソード側ガス拡散層118およびアノード側ガス拡散層120をなくすようにしてもよい。
上記した実施例において、図1または図2では、カソード側多孔体122を流れる空気と、アノード側多孔体124を流れる水素ガスと、は、同じ向きに流れるように記載されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、互いに反対の向きに流れるようにしてもよいし、互いに垂直となる向きに流れるようにしてもよい。なお、それらの場合、カソード側の上流部,下流部は、カソード側多孔体122を流れる空気の流れの方向において定められ、アノード側の上流部,下流部は、アノード側多孔体124を流れる水素ガスの流れの方向において定められることは言うまでもない。
上記した実施例においては、酸化ガスとしては、空気を用いるようにしたが、純度の高い酸素ガスを用いるようにしてもよい。また、燃料ガスとしては、純度の高い水素ガスを用いるようにしたが、炭化水素系燃料を改質して得られる水素リッチガスを用いるようにしてもよい。
上記した実施例においては、多孔体に対し、空気,水素ガスなどの反応ガスを、多孔体の一方の側方より供給し、他方の側方より排出するようにしていたが、例えば、セパレータ内に反応ガスの流路が形成されている場合には、セパレータの多孔体側平面に設けられた供給口から、反応ガスを多孔体に供給して、同じくセパレータの多孔体側平面に設けられた排出口から排出するようにしても良い。
本発明の第1の実施例としての燃料電池を構成する単セル10Aの断面構造を模式的に示す説明図である。 本発明の第2の実施例としての燃料電池を構成する単セル10Bの断面構造を模式的に示す説明図である。
符号の説明
10A…単セル
10B…単セル
110…膜電極接合体
112…電解質膜
114…カソード側触媒層
116…アノード側触媒層
118…カソード側ガス拡散層
120…アノード側ガス拡散層
122…カソード側多孔体
124…アノード側多孔体
126…セパレータ
128…セパレータ

Claims (7)

  1. 反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池であって、
    固体高分子膜から成る電解質膜と、該電解質膜の両面にそれぞれ接合されるアノードおよびカソードと、で構成される膜電極接合体と、
    少なくとも前記膜電極接合体を両側より挟持する1対のセパレータと、
    前記膜電極接合体と前記セパレータとの間にそれぞれ配置され、その内部に多数の細孔を有し、供給された前記反応ガスを所定方向に流しつつ、前記アノードおよびカソードに前記反応ガスを供給する1対の多孔体と、
    を備え、
    前記アノード側およびカソード側の少なくとも一方において、前記多孔体、および前記セパレータの前記多孔体側表面のうち、少なくとも一方は、部分的に撥水処理が施されていることを特徴とする燃料電池。
  2. 反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池であって、
    固体高分子膜から成る電解質膜と、該電解質膜の両面にそれぞれ接合されるアノードおよびカソードと、で構成される膜電極接合体と、
    少なくとも前記膜電極接合体を両側より挟持する1対のセパレータと、
    前記膜電極接合体と前記セパレータとの間にそれぞれ配置され、その内部に多数の細孔を有し、供給された前記反応ガスを所定方向に流しつつ、前記アノードおよびカソードに前記反応ガスを供給する1対の多孔体と、
    を備え、
    前記アノード側およびカソード側の少なくとも一方において、前記多孔体、および前記セパレータの前記多孔体側表面のうち、少なくとも一方は、前記多孔体を流れる前記反応ガスの流れ方向において、上流側の部分に撥水処理が施されていることを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料電池において、
    前記多孔体に撥水処理が施されている場合は、前記多孔体における少なくとも前記膜電極接合体側の部分に前記撥水処理が施されていることを特徴とする燃料電池。
  4. 反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池であって、
    固体高分子膜から成る電解質膜と、該電解質膜の両面にそれぞれ接合されるアノードおよびカソードと、で構成される膜電極接合体と、
    少なくとも前記膜電極接合体を両側より挟持する1対のセパレータと、
    前記膜電極接合体と前記セパレータとの間にそれぞれ配置され、その内部に多数の細孔を有し、供給された前記反応ガスを所定方向に流しつつ、前記アノードおよびカソードに前記反応ガスを供給する1対の多孔体と、
    を備え、
    前記アノード側およびカソード側の少なくとも一方において、前記多孔体、および前記セパレータの前記多孔体側表面のうち、少なくとも一方は、一部分における撥水性が他の部分と比較して高いことを特徴とする燃料電池。
  5. 反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池であって、
    固体高分子膜から成る電解質膜と、該電解質膜の両面にそれぞれ接合されるアノードおよびカソードと、で構成される膜電極接合体と、
    少なくとも前記膜電極接合体を両側より挟持する1対のセパレータと、
    前記膜電極接合体と前記セパレータとの間にそれぞれ配置され、その内部に多数の細孔を有し、供給された前記反応ガスを所定方向に流しつつ、前記アノードおよびカソードに前記反応ガスを供給する1対の多孔体と、
    を備え、
    前記アノード側およびカソード側の少なくとも一方において、前記多孔体、および前記セパレータの前記多孔体側表面のうち、少なくとも一方は、前記多孔体を流れる前記反応ガスの流れ方向において、上流側の部分における撥水性が下流側の部分に比較して高いことを特徴とする燃料電池。
  6. 請求項4または請求項5に記載の燃料電池において、
    前記多孔体がガス拡散性を有する中間部材を介して前記膜電極接合体に接合される場合、
    撥水性が高い前記部分における撥水性は、前記中間部材における多孔体側の部分に比較しても高いことを特徴とする燃料電池。
  7. 反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池であって、
    固体高分子膜から成る電解質膜と、該電解質膜の両面にそれぞれ接合されるアノードおよびカソードと、で構成される膜電極接合体と、
    少なくとも前記膜電極接合体を両側より挟持する1対のセパレータと、
    前記膜電極接合体と前記セパレータとの間にそれぞれ配置され、その内部に多数の細孔を有し、供給された前記反応ガスを所定方向に流しつつ、前記アノードおよびカソードに前記反応ガスを供給する1対の多孔体と、
    を備え、
    前記アノード側およびカソード側の少なくとも一方において、前記多孔体は、前記膜電極接合体側の部分に撥水処理が施されていることを特徴とする燃料電池。
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