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JP2007326736A - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】無転位化に必要なネック部長さの短縮を図り、優れた結晶品質を得るシリコン単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】CZ法またはMCZ法により、坩堝内の結晶原料を融解させ、種結晶を坩堝内に保持される溶融液に浸漬させて種結晶をなじませた後、種結晶を引き上げてネック部を形成するネック工程に次いで、単結晶のショルダー部およびボディー部を形成する単結晶製造方法において、ネック工程で所定長さのネック部を形成した後、ネック部を溶融液になじませて、引き続きネック部を形成するシリコン単結晶の製造方法。ネック工程において最初に形成されるネック部の長さが20mm以上にする。
【選択図】図2

Description

本発明は、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」という)による、またはCZ法の引き上げ装置に磁場を印加させるMCZ法(Magnetic field applied Czochralski crystal growthmethod)によるシリコン単結晶の製造方法に関し、さらに詳しくは、種結晶を溶融液に浸漬させるディップ工程に次ぐ、ネック部を形成すネック工程での改善により、無転位化に必要なネック部の形成長さを短縮するとともに、結晶品質の向上を図ることができるシリコン単結晶の製造方法に関するものである。
通常、CZ法に用いられる単結晶の製造装置では、高耐圧気密チャンバ内を10torr程度に減圧して不活性ガス(Ar)ガスを流すとともに、チャンバ内の下方に設けられた坩堝内の結晶原料を融解させ、この溶融液の表面に種結晶を上方から浸漬し、種結晶と溶融液を収容した坩堝を回転、上下移動させながら種結晶を引き上げることにより、種結晶の下方に円錐形のショルダー部、円柱状のボディー部および下端が突出した円錐形のテール部からなるシリコン単結晶を成長させるように構成されている。
この成長方法においては、引上げ初期の段階において、種結晶を溶融液に浸漬させるディップ工程に次いで、種結晶を引き上げてネック部を形成するネック工程が行われている。
図1は、CZ法の引上げ初期段階で行われるディップ工程、ネック工程およびショルダー部形成の工程を模式的に示した部分拡大図であり、(a)はディップ工程、(b)はネック工程、および(c)はショルダー部形成の工程を示している。
図1(a)に示すディップ工程では、種結晶1を回転させながら降下させて、その先端部を溶融液2の表面に浸漬させる。種結晶1の先端部を浸漬した後、種結晶1の下降を停止して、溶融液2と十分になじませる。
通常、種結晶1を溶融液2に接触させる際に、これらの接触界面には溶融液2の表面張力によりメニスカスが形成される。ところが、結晶原料を融解した直後の溶融液温度は局部的な温度変動が大きく、溶融液全体としては温度バラツキが著しく大きく、不安定な状態となる。
このため、ディップ工程は、結晶原料を融解して所定の時間経過した後に実施されるが、種結晶1を溶融液2に接触させた際の融液表面温度が高すぎる場合には、種結晶1の先端部が溶けてしまい溶融液2から切り離れてしまう。逆に、融液表面温度が低すぎる場合には、種結晶1の先端部から結晶が成長し、融液2の表面側に結晶が張り出した状態になり、このような状態でディップ工程からネック工程(b)に移行すると、ネック部に新たな転位を生ずることになる。
このため、ディップ工程(a)からネック工程(b)に移行する際には、溶融液温度が安定化した状態であることが必要であり、種結晶1の先端部を溶融液2の表面に浸漬させて、溶融液2と十分になじませ、溶融液温度が安定化したのを確認した後、移行させる。
したがって、「なじませ」とは、種結晶1を溶融液2に接触させた際の接触界面の形状を観察することで融液表面温度を推定し、これに基づいてヒータ電力を制御して溶融液2への入熱量を調整することである。言い換えると、「なじませ」とは、種結晶1の成長速度が0(ゼロ)の状態において、種結晶1の先端部の周囲に所定形状のメニスカス3が形成されるように、ヒーターパワーを調整して融液表面温度を調整し安定化させる操作である。なお、メニスカス3はなじませ時だけに形成されるものではなく、なじませに続くネック工程などの結晶成長時にも結晶と溶融液の界面に形成される。
図1(b)に示すネック工程は、無転位の単結晶を得るためのプロセスであり、種結晶1を回転させながら速い速度で上方に引き上げることによって、種結晶1の先端部に溶融液2を凝固させつつ、略円柱形状部の直径をできるだけ細くしたネック部4を形成する。製造装置の熱環境により、必要とされる直径は異なるが、通常、結晶直径を3〜6mm程度に細くしたネック部4を形成することにより、転位を除去することができる。この方法はダッシュ法(またはダッシュネック法)と呼ばれている。
図1(c)に示すショルダー部5形成の工程では、種結晶1の引き上げ速度を低下させて、ネック部4の直径をボディー部の直径まで成長させてショルダー部5を形成する。さらに、ショルダー部5の形成に続くボディー部の形成過程を経て、テール部の形成に至る単結晶の引上げを行う。
このダッシュ法においては、単結晶を細い直径で引き上げるために、製造装置内の熱環境の影響を受け易く、急激な溶融液温度の変動に引上速度等の育成条件の制御が対応できず、ネック部破断等のトラブルが発生したり、無転位化を図ることができない場合もある。このため、従来から、種々のシリコン単結晶の製造方法が提案されている。
例えば、特許文献1では、種結晶を引き上げる際に、種結晶に続くテーパー状の絞り込み部の長さを種結晶の太さ寸法の2.5倍〜15倍の長さに保ち、絞り込み部に続く長尺な略円柱形状の絞り部の直径を種結晶の太さ寸法の0.09倍〜0.9倍の太さとし、その絞り部の直径の変動幅を1mm以下で、絞り部の長さを200mm〜600mmの範囲に保って引き上げを行う方法を提案している。
しかし、特許文献1で提案する方法は、シリコン単結晶の大口径化、高重量化の要請に対応するものであり、ネック部の破断による結晶落下の危険性を抑制するため、ネック部の直径を太くしても無転位化できるようにするものである。したがって、特許文献1の製造方法では、種結晶部分からネック部下端までを特定の形状にし、ネック部を形成する長さを確保する必要があるため、ネック部の形成に長時間を要することになる。さらに、ネック部の長さに拘束されて、単結晶のボディー部を充分に確保できないという問題も生じることになる。
特許第2822904号公報
前述の通り、ダッシュ法では単結晶を細い直径で引き上げるために、ネック工程で融液温度の変動が大きいと、急激な変動に対する引上速度の適切な制御が困難であり、ネック部で切り離れを生じるようなトラブルが発生することがある。このため、ネック部を安定して形成するには、ネック工程における融液温度の変動を抑制することが必要になる。
製造装置の大型化にともなって溶融液量が増加してくると、坩堝内の溶融液に自然対流が強く発生することになり、ネック工程における融液温度の変動がより顕著になる。この融液温度の変動を抑制するには、例えば、溶融液に対して横磁場などの磁場を印加し、溶融液の対流を抑制する方法が効果的である。すなわち、溶融液に対して横磁場を印加させることにより、自然対流を抑制し融液温度の変動を抑制することができ、ネック部を安定して形成することができる。
ところが、坩堝内の溶融液に対して横磁場を印加した場合には、原因は明確にされていないが、ネック工程において無転位化し難くなり、無転位化を達成するために、ネック部を形成する長さを、磁場を印加していない場合に比べ長くする必要がある。
製造装置を構成するプルチャンバーは、引き上げられた単結晶を収納する長さが有限であるため、ネック部を所定長さ以上に長く形成する場合に、引き上げられた単結晶を収納することができないことになる。また、生産効率の観点から、単結晶当たりの製品ウェーハ枚数を増加させるため、引き上げられる単結晶を長尺化する要求があるが、ネック部を長く形成することになると、単結晶の長尺化に制限が生じるという問題がある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、シリコン単結晶の引上げに際し、種結晶を溶融液に浸漬させるディップ工程で充分に種結晶をなじませた後、ネック部を形成すネック工程で改善を加えることにより、CZ法またはMCZ法にかかわらず、無転位化に必要なネック部の形成長さを短縮するとともに、結晶品質の向上を図ることができるシリコン単結晶の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記の課題を解決するため種々の検討を重ねた結果、前記図1に示すダッシュ法において、種結晶を溶融液に充分になじませることができない場合には、無転位化が困難であることに着目した。その結果、CZ法またはMCZ法にかかわらず、ディップ工程で種結晶を溶融液になじませ、ネック工程で所定長さのネック部を形成した後、形成されたネック部を再び溶融液になじませて、引き続きネック部を形成することにより、無転位化に必要なネック長さを短くでき、無転位化率を向上できることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、下記のシリコン単結晶の製造方法を要旨としている。
(1)CZ法により、坩堝内の結晶原料を融解させ、種結晶を坩堝内に保持される溶融液に浸漬させて種結晶をなじませた後、種結晶を引き上げてネック部を形成するネック工程に次いで、単結晶のショルダー部およびボディー部を形成する単結晶製造方法において、前記ネック工程で所定長さのネック部を形成した後、当該ネック部を溶融液になじませて、引き続きネック部を形成することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。
(2)MCZ法により、坩堝内の結晶原料を融解させ、種結晶を坩堝内に保持される溶融液に浸漬させて種結晶をなじませた後、種結晶を引き上げてネック部を形成すネック工程に次いで、単結晶のショルダー部およびボディー部を形成する単結晶製造方法において、前記ネック工程で所定長さのネック部を形成した後、当該ネック部を溶融液になじませて、引き続きネック部を形成することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。
MCZ法を適用する場合には、溶融液に印加する横磁場を2000〜4000Gの範囲で行うのが望ましい。
(3)上記(1)、(2)のシリコン単結晶の製造方法では、ネック工程において最初に形成されるネック部の長さが20mm以上にするのが望ましい。また、前記ネック工程において、ネック部を形成させた際の溶融液温度よりも高い温度に上昇させた後、当該ネック部を溶融液になじませるようにするのがよい。さらに、坩堝内の結晶原料を融解させるヒータ温度を測温して、当該測温結果に基づきヒータ温度を制御して溶融液温度を調整することが望ましい。
本発明で規定する「種結晶なじませ」、「ネック部なじませ」は、結晶を溶融液に接触させた際の接触界面のメニスカス形状、例えば、晶癖線の張り出しを観察することで、溶融液表面の温度を推定し、これに基づいてヒーターパワー(電力)を制御し、溶融液への入熱量を調整して、溶融液表面の温度を安定化させる操作である。
本発明のシリコン単結晶の製造方法によれば、シリコン単結晶の引上げに際し、「種結晶なじませ」および「ネック部なじませ」と2回に亘るディップ工程を施すことにより、無転位化に必要なネック部の形成長さの短縮を図るとともに、無転位化率の向上による結晶品質の改善を達成することができる。これにより、大幅な製造コストの低減が図れ、CZ法またはMCZ法にかかわらず、効率的なダッシュ法として広く適用できる。
図2は、本発明のシリコン単結晶の製造方法におけるディップ工程とネック工程を説明する流れ図である。図2に示す「ディップ温度」は「種結晶なじませ」や「ネック部なじませ」よって溶融液温度を安定化させた状態での融液温度であり、「ネック温度」はネック工程で細い直径のネック部を引き上げるのに適した融液温度である。
図2から明らかなように、本発明のシリコン単結晶の製造方法では、CZ法により、坩堝内の結晶原料を融解させ、種結晶を坩堝内に保持される溶融液に浸漬させて種結晶をなじませた後、種結晶を引き上げてネック部を形成するネック工程に次いで、単結晶のショルダー部およびボディー部を形成する単結晶製造方法を対象にしており、ネック工程で所定長さのネック部を形成した後、再び、当該ネック部を溶融液になじませて、引き続きネック部を形成することを特徴としている。
本発明の製造方法では、坩堝内の結晶原料を融解させてディップ工程に移行後、種結晶を溶融液に接触させて種結晶をなじませる。種結晶を充分になじませることにより、溶融液温度の安定化を行う。
ディップ工程からネック工程に移行する際には、溶融液がディップ温度、すなわち、種結晶なじませによって溶融液の温度分布が安定化した状態の温度のままでは、融液温度が高くネック部を育成することはできないことから、ネック温度、すなわちネック形成に適した温度に降温する必要がある。このため、ヒーターパワー(電力)を下げて、ヒータ温度を制御し融液温度を4〜5℃の範囲で低下させるとともに、種結晶を速い速度で引き上げ、種結晶の下方の先端部に溶融液を凝固させつつ、最初のネック部を所定長さ形成する。通常、結晶直径を3〜6mm程度に細くしたネック部を形成することにより、転位を除去することができる。
本発明の製造方法では、「種結晶なじませ」、「ネック部なじませ」操作により、融液表面温度の安定化をはかるが、この溶融液の表面温度が安定化する際の融液表面温度は一義的に定めることができない。すなわち、使用する引き上げ装置が異なれば、溶融液温度が安定化する温度は異なり、また、同一装置であっても使用する種結晶(直径)や目標とするネック径が異なれば、溶融液が安定化する際の融液表面温度は異なることになる。
したがって、本発明の製造方法では、上記「なじませ」操作を行ったときの溶融液温度を正確に把握して溶融液温度を制御する必要がある。一般的に、溶融液温度を制御する手段としては、溶融液温度を光学的に測定したデーターに基づいて、ヒーターパワー(電力)の調整によりヒータ温度を制御し溶融液温度を制御する方法などがある。
ところが、単色温度計や2色温度計のような光学的な測温手段で溶融液表面の温度を検出する方法では、測定温中、結晶育成時に発生するSiO蒸発などの外乱要因の影響を受けやすく、溶融液表面の測定箇所によっても溶融液熱対流の影響から測定温度が異なる。このため、測定温度の信頼性に乏しく、正確な温度制御が要求されるネック工程には適用できない。
このため、本発明の製造方法では、後述する制御プロセスを示すように、坩堝内の結晶原料を融解させるヒータ温度を測温して、当該測温結果に基づきヒーターパワー(電力)の調整によりヒータ温度を制御して溶融液温度を調整するのが望ましい。ヒータ温度と溶融液温度は1対1で対応し、ヒータ温度を放射温度計や2色温度計で測温しても、SiO蒸発などの外乱要因の影響や、溶融液熱対流の影響などを受けないので、溶融液温度を正確に制御することができる。
本発明の製造方法では、最初に形成されるネック部の長さを20mm以上とするのが望ましい。20mm未満では転位を除去する効果がなく、ネック部の長さを短くすることができない。より確実に転位を除去するには、形成されるネック部の長さを50mm以上とするのがさらに望ましい。それ以上にネック部を長く形成しても転位を除去する効果が飽和し、ネック部を長く形成するのは、徒にネック部の形成時間を要することになることから、上限を100mmにするのが望ましい。
また、最初に形成するネック部はかならずしも直径を3〜6mm程度まで細くする必要はない。通常、種結晶の直径は20〜10mmであり、これを引き上げ長20mm程度で直径を3〜6mmまで細くするには高度な技術が要求されるからである。
したがって、最初のネック部の直径は、種結晶の直径よりも定常的に太くならず、かつ目標とするネック直径(3〜6mm)に近似するような直径範囲であればよい。ここで「定常的に太くならず」とは、ネック形成開始直後における溶融液温度や引上げ速度が安定していない状態では、一時的にネック部の直径が種結晶の直径を超えることを許容する意味である。
本発明の製造方法では、ネック工程において、ネック部を形成させた際の溶融液温度よりも高い温度に上昇させた後、最初のネック部を溶融液になじませる。シリコン単結晶の引上げ初期段階において、2回に亘る結晶のなじませを施すことにより、ネック部に新たな転位を発生させることなく、無転位化に必要とされるネック部の形成長さを短縮することが可能になる。
最初に形成させたネック部を溶融液になじませたのち、再び、溶融液をネック温度に降温するため、ヒーターパワー(電力)を下げて、融液温度を4〜5℃の範囲で低下させる。本発明の製造方法では、溶融液の安定化が図れた後、新たにネック部の形成が開始され、ネック部での無転位化を図り、引き続き単結晶の直径が漸増するショルダー部を経過して、製品直径に相当するボディー部の引上に移行していく。
本発明の製造方法では、MCZ法によりネック部を形成するシリコン単結晶の製造方法において、さらに顕著な効果を発揮することができる。ネック部を安定して形成するには、融液変動を抑制するため、溶融液に対して横磁場を印加し、溶融液の対流を抑制するMCZ法を適用するのが有効であるが、MCZ法を適用した場合には、ネック工程において無転位化しにくくなり、長いネック部を形成する必要があった。しかし、本発明の製造方法を適用することにより、無転位化に必要なネック部の形成長さの短縮を図るとともに、無転位化率の向上を達成することができる。
本発明で適用するMCZ法は、溶融液を収容する坩堝の外周に電導コイルを設けて、溶融液に横磁場を印加させる方法である。印加する横磁場は、坩堝の大きさや溶融液の量によっても変動があるが、特に2000〜4000Gである場合に、自然対流の発生を効果的に抑制できるので、この範囲で印加するのが望ましい。
前述の通り、本発明の製造方法では、CZ法またはMCZ法に拘わらず、坩堝内の結晶原料を融解させるヒータ温度を測温して、当該測温結果に基づきヒータ温度を制御して溶融液温度を調整するのが望ましい。このヒータ温度制御による溶融液温度を調整について、以下に、具体的に運用可能な制御プロセスを詳述する。
通常、CZ法およびMCZ法において、プロセス制御の指標温度としてヒータ温度を用いることができる。このヒータ温度は、ヒータまたはヒータにより加熱された炉内構造物の温度を炉外に設置した放射温度計や2色温度計などで、炉壁に設置した計測用窓を通して計測される。
計測用窓を通して計測する場合に、坩堝内の溶融液の温度測定に比べ、計測位置の関係からSiO等の汚れを避ける場所に計測用窓を設置できることや、ヒータに比較的近いところから計測できることから、測定精度を確保でき、炉内構造が同一であれば、炉間やバッチ間において共通して用いられる測定データを得ることができる。
すなわち、得られたヒータ温度は、坩堝内の溶融液量や坩堝位置が同一の条件である場合に、ヒーターパワーを変更した直後の過渡期を除き、同一バッチ間または近似したバッチ間ではほぼ1対1の対応となる。また、このヒータ温度は、数分から数十分間の時間平均により熱対流による変動分を平坦化した溶融液温度とも対応している。
このようなヒータ温度と溶融液温度との対応関係を前提とすれば、(1)ディップ工程の「種結晶なじませ」でのヒーター温度を記録し、(2)次に、過去の実施例から経験的に得たネック温度になるようにヒーター温度を変更し、(3)変更後に、所定のネック部を育成し、(4)引き上げ速度を停止し、「ネック部なじませ」のために前記(1)で記録したヒータ温度に変更するようにすれば、効率的に坩堝内の溶融液温度を調整できる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法による効果を、具体的な実施例1および2に基づいて説明する。
(実施例1)
実施例1では、MCZ法による本発明例、並びにCZ法による比較例1およびMCZ法による比較例2を用いて、無転位化に必要なネック部の形成長さについて試験を実施した。
図3は、実施例1で作製したネック部の形成サンプルを示す図であり、(a)は本発明例で形成したサンプル、(b)は比較例1で形成したサンプル、(c)は比較例2で形成したサンプルを示している。
本発明例では、横磁場を4000Gで印加するMCZ法によって8インチのシリコン単結晶を育成した。まず、24インチ石英坩堝内に結晶原料の多結晶シリコンを140Kg充填し、坩堝内の結晶原料を融解した。ディップ工程では種結晶を回転させながら下降させて溶融液に浸漬した後、種結晶の下降を停止し、なじませ操作を行って溶融液温度の安定化を図った。種結晶下端に所定のメニスカス形状が形成されていることを目視確認した後、融液温度を4〜5℃低下させてネック温度になるようにヒーターパワーを調整した。
ネック工程では種結晶を引き上げてネック部の形成を開始し、ネック部を50mm成長させて種結晶の引き上げを停止し、融液温度がディップ温度になるようにヒーターパワーを変更し、再び種結晶を溶融液になじませた。図3(a)において、最初に形成したネック部長さをLで示す。
次に、融液温度を4〜5℃低下させてネック温度になるようにヒーターパワーを調整した後、再度、種結晶を引き上げてネック部の形成を開始し、図3(a)に示すネック部の形成サンプルを引き上げた。
比較例1では、CZ法によって8インチのシリコン単結晶を育成した。本発明例と同様に、24インチ石英坩堝内に結晶原料の多結晶シリコンを充填し、坩堝内の結晶原料を融解した。ディップ工程では種結晶を回転させながら下降させて溶融液に浸漬した後、種結晶の下降を停止し、なじませ操作を行って溶融液温度の安定化を図った。種結晶下端に所定のメニスカス形状が形成されていることを目視確認した後、融液温度を4〜5℃低下させてネック温度になるようにヒーターパワーを調整した後、種結晶を引き上げてネック部の形成を開始し、図3(b)に示すネック部の形成サンプルを引き上げた。
比較例2では、横磁場を4000Gで印加するMCZ法によって8インチのシリコン単結晶を育成した。本発明例と同様に、24インチ石英坩堝内に結晶原料の多結晶シリコンを充填し、坩堝内の結晶原料を融解した。ディップ工程では種結晶を回転させながら下降させて溶融液に浸漬した後、種結晶の下降を停止し、なじませ操作を行って溶融液温度の安定化を図った。種結晶下端に所定のメニスカス形状が形成されていることを目視確認した後、融液温度を4〜5℃低下させてネック温度になるようにヒーターパワーを調整した後、種結晶を引き上げてネック部の形成を開始し、図3(b)に示すネック部の形成サンプルを引き上げた。
結晶引上げ終了後にネック部を採取し、エッチング処理を行い、ネック部における無転位化となっている部位を観察し、それに要するネック部の形成長さNを判断した。本発明例、並びに比較例1および比較例2による無転位化に必要なネック部の形成長さNを表1に示した。
Figure 2007326736
(実施例2)
実施例2では、MCZ法による本発明例、およびCZ法による比較例1を用いて、ボディー部の引上げを行い、無転位化率の試験を実施した。
本発明例では、横磁場を4000Gで印加するMCZ法によって8インチのシリコン単結晶を育成した。まず、24インチ石英坩堝内に結晶原料の多結晶シリコンを140Kg充填し、坩堝内の結晶原料を融解した。ディップ工程では種結晶を回転させながら下降させて溶融液に浸漬した後、種結晶の下降を停止し、なじませ操作を行って溶融液温度の安定化を図った。種結晶下端に所定のメニスカス形状が形成されていることを目視確認した後、融液温度を4〜5℃低下させてネック温度になるようにヒーターパワーを調整した。
ネック工程では種結晶を引き上げてネック部の形成を開始し、ネック部を50mm成長させて種結晶の引き上げを停止し、融液温度がディップ温度になるようにヒーターパワーを変更し、再び種結晶を溶融液になじませた。
次に、融液温度を4〜5℃低下させてネック温度になるようにヒーターパワーを調整した後、再度、種結晶を引き上げてネック部の形成を開始し、ネック部を250mm形成し、引き続きショルダー部、ボディー部およびテール部を引き上げた。
試験は引上げ本数20本について実施したが、無転位化率は90%(18本/20本)であった。
比較例1では、CZ法によって8インチのシリコン単結晶を育成した。本発明例と同様に、24インチ石英坩堝内に結晶原料の多結晶シリコンを充填し、坩堝内の結晶原料を融解した。ディップ工程では種結晶を溶融液になじませ、融液温度を4〜5℃低下させてネック温度になるようにヒーターパワーを調整した後、種結晶を引き上げてネック部の形成を開始し、ネック部を500mm形成し、引き続きショルダー部、ボディー部およびテール部を引き上げた。
試験は引上げ本数18本について実施したが、無転位化率は56%(10本/18本)であった。
本発明のシリコン単結晶の製造方法によれば、シリコン単結晶の引上げに際し、「種結晶なじませ」および「ネック部なじませ」と2回に亘るディップ工程を施すことにより、無転位化に必要なネック部の形成長さの短縮を図るとともに、無転位化率の向上による結晶品質の改善を達成することができる。これにより、大幅な製造コストの低減が図れ、CZ法またはMCZ法にかかわらず、効率的なダッシュ法として広く適用できる。
CZ法の引上げ初期段階で行われるディップ工程、ネック工程およびショルダー部形成の工程を模式的に示した部分拡大図であり、(a)はディップ工程、(b)はネック工程、および(c)はショルダー部形成の工程を示している。 本発明のシリコン単結晶の製造方法におけるディップ工程とネック工程を説明する流れ図である。 実施例1で作製したネック部の形成サンプルを示す図であり、(a)は本発明例で形成したサンプル、(b)は比較例1で形成したサンプル、(c)は比較例2で形成したサンプルを示している。
符号の説明
1:種結晶、 2:溶融液
3:メニスカス、 4:ネック部
5:ショルダー部

Claims (6)

  1. チョクラルスキー法により、坩堝内の結晶原料を融解させ、種結晶を坩堝内に保持される溶融液に浸漬させて種結晶をなじませた後、種結晶を引き上げてネック部を形成するネック工程に次いで、単結晶のショルダー部およびボディー部を形成する単結晶製造方法において、
    前記ネック工程で所定長さのネック部を形成した後、当該ネック部を溶融液になじませて、引き続きネック部を形成することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. 横磁場を印加して引上げを行うチョクラルスキー法により、坩堝内の結晶原料を融解させ、種結晶を坩堝内に保持される溶融液に浸漬させて種結晶をなじませた後、種結晶を引き上げてネック部を形成すネック工程に次いで、単結晶のショルダー部およびボディー部を形成する単結晶製造方法において、
    前記ネック工程で所定長さのネック部を形成した後、当該ネック部を溶融液になじませて、引き続きネック部を形成することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  3. 前記横磁場が2000〜4000Gの範囲で印加されることを特徴とする請求項2に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  4. 前記ネック工程において最初に形成されるネック部の長さが20mm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシリコン単結晶の製造方法。
  5. 前記ネック工程において、ネック部を形成させる際の溶融液温度よりも高い温度に上昇させた後、当該ネック部を溶融液になじませることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシリコン単結晶の製造方法。
  6. 前記坩堝内の結晶原料を融解させるヒータ温度を測温して、当該測温結果に基づきヒータ温度を制御して溶融液温度を調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシリコン単結晶の製造方法。
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