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JP2007320429A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置 Download PDF

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JP2007320429A JP2006152531A JP2006152531A JP2007320429A JP 2007320429 A JP2007320429 A JP 2007320429A JP 2006152531 A JP2006152531 A JP 2006152531A JP 2006152531 A JP2006152531 A JP 2006152531A JP 2007320429 A JP2007320429 A JP 2007320429A
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Abstract

【課題】操舵アシスト制御の解除時に、より適切にキックバックを抑制する電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】操舵系に運転者の操舵負担を軽減する操舵補助力を付与する3相ブラシレスモータ12を備え、少なくとも操舵トルクTに応じた操舵補助力を発生させるべく、モータ回転角θを参照して前記モータ12を駆動制御する。このとき、回転角検出手段で検出したモータ回転角θの異常を検出した場合には、前記モータ回転角θの参照角度を、異常発生直前の前記モータ12の回転状態を維持するように変更する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、操舵系に操舵補助力を付与する電動モータを有する操舵補助機構を備え、操舵補助機構の作動停止時のキックバック現象の発生を抑制する電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来の電動パワーステアリング装置として、操舵アシスト中にモータを停止するとき、当該モータの端子間を所定時間短絡することで、操舵系の捩れの戻り力が急激にステアリングホイールに作用する所謂キックバック現象の発生を抑制し、運転者の操舵負担を軽減するというものが知られている(例えば、特許文献1)。
特許第3399226号明細書
しかしながら、上記特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置にあっては、操舵アシスト状態からマニュアルステアリングへの移行時に、操舵系の捩りの戻り力に起因する急激なハンドル戻りを抑制するだけであるので、ステアリングホイールは緩やかに中立位置に戻されることになり、上記キックバック現象の発生を完全に防止することはできない。
そこで、本発明は、操舵アシスト制御の解除時に、より適切にキックバックを抑制する電動パワーステアリング装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、操舵系に運転者の操舵負担を軽減する操舵補助力を付与する電動モータを備える電動パワーステアリング装置であって、前記電動モータのモータ回転角を検出する回転角検出手段と、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルクに応じた操舵補助力を発生させるべく、前記モータ回転角を参照して前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段と、前記回転角検出手段で検出したモータ回転角の異常を検出する異常検出手段とを備え、前記モータ制御手段は、前記異常検出手段で前記モータ回転角の異常を検出したとき、異常発生直前の前記電動モータの回転状態を維持するように前記モータ回転角の参照角度を変更する参照角度変更手段を備えることを特徴としている。
また、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記参照角度変更手段は、前記異常検出手段で前記モータ回転角の異常を検出したとき、異常発生直前のモータ回転角を前記参照角度に設定することを特徴としている。
さらに、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、請求項2に係る発明において、前記参照角度変更手段は、異常発生直前の操舵系の捩れ力を基準値とし、現在の操舵系の捩れ力が前記基準値と同一符号且つ前記基準値以下であるとき、そのときの参照角度を保持することを特徴としている。
また、請求項4に係る電動パワーステアリング装置は、請求項3に係る発明において、前記参照角度変更手段は、現在の操舵系の捩れ力が前記基準値と同一符号且つ前記基準値より大きいとき、前記参照角度を、そのときの参照角度に対してステアリング中立方向とは逆方向へ変更することを特徴としている。
さらに、請求項5に係る電動パワーステアリング装置は、請求項3又は4に係る発明において、前記参照角度変更手段は、現在の操舵系の捩れ力が前記基準値と異符号であるとき、前記参照角度を、そのときの参照角度に対してステアリング中立方向へ変更することを特徴としている。
また、請求項6に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜5の何れか1項に係る発明において、前記参照角度変更手段は、前記異常検出手段で前記モータ回転角の異常を検出したとき、異常発生直前のモータ回転角速度を基準角速度とし、当該基準角速度に基づいて前記参照角度を設定することを特徴としている。
さらにまた、請求項7に係る電動パワーステアリング装置は、請求項6に係る発明において、前記参照角度変更手段は、前記基準角速度を徐々に減少させる基準角速度減少手段を備えることを特徴としている。
また、請求項8に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜7の何れか1項に係る発明において、前記モータ制御手段は、前記異常検出手段で前記モータ回転角の異常を検出したとき、前記電動モータの出力を徐々に減少させる徐変処理手段を備えることを特徴としている。
さらに、請求項9に係る電動パワーステアリング装置は、請求項8に係る発明において、前記徐変処理手段は、操舵系の捩れ力に応じて前記電動モータの出力の減少率を決定することを特徴としている。
本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、回転角検出手段で検出したモータ回転角の異常を検出したとき、モータ回転角の参照角度を異常発生直前の電動モータの回転状態を維持するように変更してモータの駆動制御を行うので、モータが反力によって戻ることを防止することができ、キックバック現象の発生を抑制することができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施形態を示す全体構成図である。
図中、符号1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は操舵トルク検出手段としてのトルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント4を介してロアシャフト5に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8aとこのピニオン8aに噛合するラック8bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで直進運動に変換している。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結した減速ギヤ11と、この減速ギヤ11に連結されて操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータとしての3相ブラシレスモータ12とを備えている。
トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介装した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を例えばポテンショメータで検出するように構成されている。
また、3相ブラシレスモータ12は、図2に示すように、U相コイルLu、V相コイルLv及びW相コイルLwの一端が互いに接続されてスター結線とされ、各コイルLu、Lv及びLwの他端が操舵補助制御装置20に接続されて個別にモータ駆動電流Iu、Iv及びIwが供給される。また、3相ブラシレスモータ12は、ロータの回転位置を検出するレゾルバ、エンコーダ等で構成される回転角検出手段としてのロータ位置検出回路13を備えている。
ロータ位置検出回路13は、所定の周波数を有する搬送波信号sinωtをレゾルバに供給して、この搬送波信号sinωtを正弦波sinθで振幅変調した波形を有する正弦波信号(sinωt・sinθ)及び搬送波信号sinωtを余弦波cosθで振幅変調した波形を有する余弦波信号(sinωt・cosθ)を発生させる。そして、これら正弦波信号(sinωt・sinθ)及び余弦波信号(sinωt・cosθ)をA/D変換すると共に、搬送波sinωtの例えば正のピーク時期(ピーク検出パルスPp)を検出し、ピーク検出パルスPpが検出される毎に図示しないモータ回転角算出処理を実行して、sinθ及びcosθを算出し、算出したsinθ及びcosθからモータ回転角(ロータ回転角)θを算出するようになっている。
操舵補助制御装置20には、図2に示すように、トルクセンサ3で検出された操舵トルクT及び車速センサ21で検出された車速検出値Vsが入力されると共に、ロータ位置検出回路13で検出されたロータ回転角θが入力され、さらに3相ブラシレスモータ12の各相コイルLu、Lv及びLwに供給されるモータ駆動電流Iu、Iv及びIwを検出するモータ電流検出回路22から出力されるモータ駆動電流検出値Iud、Ivd及びIwdが入力される。
この操舵補助制御装置20は、操舵トルクT、車速検出値Vs及びロータ回転角θに基づいて操舵補助目標電流値を演算して、モータ電圧指令値Vu、Vv及びVwを出力する例えばマイクロコンピュータで構成される制御演算装置23と、3相ブラシレスモータ12を駆動する電界効果トランジスタ(FET)で構成されるモータ駆動回路24と、制御演算装置23から出力される相電圧指令値Vu、Vv及びVwに基づいてモータ駆動回路24の電界効果トランジスタのゲート電流を制御するFETゲート駆動回路25とを備えている。この操舵補助制御装置20がモータ制御手段に対応している。
制御演算装置23は、図3に示すように、ベクトル制御の優れた特性を利用してベクトル制御d、q成分の電流指令値を決定した後、この電流指令値を各励磁コイルLu〜Lwに対応した各相電流指令値Iu*、Iv*及びIw*に変換して出力するベクトル制御相指令値算出回路30と、このベクトル制御装置指令値算出回路30から出力される各相電流指令値Iu*、Iv*及びIw*とモータ電流検出回路22で検出したモータ電流検出値Iud、Ivd及びIwdとで電流フィードバック処理を行う電流制御回路40とを備えている。
ベクトル相指令値算出回路30は、図3に示すように、トルクセンサ3で検出した操舵トルクTと車速センサ21で検出した車速Vsとが入力され、これらに基づいて操舵補助電流指令値IM *を算出する操舵補助電流指令値演算部31と、ロータ回転角検出回路13で検出したロータ回転角θをもとに制御角度(電気角θe及び電気角速度ωe)及び制御量(操舵補助電流指令値IM *の電流制限値)を出力する制御信号出力部32と、上記制御量で制限された操舵補助電流指令値IM *と電気角速度ωeとに基づいてd軸指令電流Id*を算出するd軸指令電流算出部34と、電気角θeに基づいてd軸電圧ed(θ)及びq軸電圧eq(θ)を算出するd−q軸電圧算出部35と、d軸電圧ed(θ)及びq軸電圧eq(θ)とd軸指令電流Id*と操舵補助電流指令値IM *とに基づいてq軸指令電流Iq*を算出するq軸指令電流算出部36と、d軸指令電流算出部34から出力されるd軸指令電流Id*とq軸指令電流算出部36から出力されるq軸指令電流Iq*とを3相電流指令値Iu*、Iv*及びIw*に変換する2相/3相変換部37とを備えている。
上述した操舵補助電流指令値演算部31は、操舵トルクT及び車速Vsをもとに図4に示す操舵補助電流指令値算出マップを参照して操舵補助電流指令値IM *を算出する。ここで、操舵補助電流指令値算出マップは、図4に示すように、横軸に操舵トルクTをとり、縦軸に操舵補助指令値IM *をとると共に、車速検出値Vをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTが“0”からその近傍の設定値Ts1までの間は操舵補助指令値IM *が“0”を維持し、操舵トルクTが設定値Ts1を超えると最初は操舵補助指令値IM *が操舵トルクTの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTが増加すると、その増加に対して操舵補助指令値IM *が急峻に増加するように設定され、この特性曲線が、車速が増加するに従って傾きが小さくなるように設定されている。
また、操舵補助指令値IM *には制限値が設けられており、この電流制限値は、通常時には通常制限値IMAX0に設定されている。そして、この電流制限値は、制御信号出力部32で変更可能となっており、当該制御信号出力部32から制御量として出力されるようになっている。
本実施形態において、制御信号出力部32から出力される制御量は、当該制御量を減少させることでモータが発生する操舵系の捩れ力が減少するようなものとし、ここではモータの電流制限値を用いているが、操舵系の捩れ力に乗算するゲイン(アシスト制御ゲイン)を用いることもできる。
また、電流制御回路40は、ベクトル制御相指令値算出部30から供給される電流指令値Iu*,Iv*,Iw*から電流検出回路22で検出した各相コイルLu、Lv、Lwに流れるモータ相電流検出値Iud、Ivd、Iwdを減算して各相電流誤差ΔIu、ΔIv、ΔIwを求める減算器41u、41v及び41wと、求めた各相電流誤差ΔIu、ΔIv、ΔIwに対して比例積分制御を行って指令電圧Vu、Vv、Vwを算出するPI制御部42と、算出された指令電圧Vu、Vv、Vwに基づいてモータ駆動回路24の電界効果トランジスタQua〜Qwbに対応するパルス幅変調(PWM)信号PWMua〜PWMwbを形成するPWM制御部43とを備えている。
そして、PWM制御部43から出力されるパルス幅変調信号PWMua〜PWMwbがFETゲート駆動回路25に供給される。
このように、操舵トルクT及び車速検出値Vsに応じた操舵補助力を発生させるべく、ロータ回転角θを参照してモータを駆動制御する操舵補助力制御が行われる。ロータ回転角θの参照角度は制御信号出力部32から制御角度として出力されるものであって、本実施形態では、制御信号出力部32で後述する制御信号出力処理を実行し、操舵補助力制御の解除条件が成立していない場合には、制御角度を通常角度に設定し、これをもとにモータを駆動制御する。一方、操舵補助力制御の解除条件が成立している場合には、制御角度を通常角度に対して変更し、変更した制御角度をもとにモータを駆動制御する異常発生時制御を実施する。
図5は、制御信号出力部32で実行される制御信号出力処理手順を示すフローチャートである。この制御信号出力処理は、所定時間毎のタイマ割込み処理として実行され、先ず、ステップS1で、制御信号出力部32は、操舵補助力制御の解除条件が成立しているか否かを判定する。ここでは、異常発生時制御フラグFLが異常発生時制御を実施していることを意味する“1”にセットされているか否かを判定する。そして、FL=0であり解除条件が成立していない場合にはステップS2に移行し、FL=1であり解除条件が成立している場合には後述するステップS13に移行する。
ステップS2では、制御信号出力部32は、ロータ位置検出回路13の異常を検出する異常検出処理を実施する。具体的には、図示しないモータ回転角算出処理で算出された正弦波sinθ及び余弦波cosθを読込み、sinθ及びcosθが正常であるか否かを判定する。ここで、(sinθ)2+(cosθ)2を演算し、(sinθ)2+(cosθ)2≠1である場合に異常であると判定したり、予め格納した異常判定用マップを参照し、sinθ及びcosθの組み合わせが所定の正常領域内に存在しない場合に異常であると判定したりする。
次に、ステップS3に移行して、制御信号出力部32は、前記ステップS2の判定結果をもとに、ロータ位置検出回路13が正常であるか否かを判断する。そして、正常であると判断した場合にはステップS4に移行し、異常であると判断した場合には後述するステップS10に移行する。
ステップS4では、制御信号出力部32は、ロータ位置検出回路13で検出したロータ回転角θ、及びロータ回転角θを微分して得られるロータ回転角速度θ′をメモリに保存する。
次に、ステップS5では、制御信号出力部32は、ロータ位置検出回路13以外(トルクセンサ3、車速センサ15等)の異常検出処理を実施し、ステップS6に移行する。
ステップS6では、制御信号出力部32は、前記ステップS5の判定結果をもとに、ロータ位置検出回路13以外も正常であるか否かを判断する。そして、正常であると判断した場合には、操舵補助力制御の解除条件が不成立であるものとしてステップS7に移行し、通常の操舵補助力制御を実施するための制御角度及び制御量を設定する。具体的には、前記ステップS4でメモリに保存した現在のロータ回転角θを電気角θeに変換すると共に、この電気角θeを微分して電気角速度ωeを算出し、これらを制御角度(通常角度)として設定する。また、予め設定された通常制限値IMAX0を制御量として設定する。
次に、ステップS8に移行して、制御信号出力部32は、設定された制御角度及び制御量を出力して制御信号出力処理を終了する。
一方、前記ステップS6で、制御信号出力部32がロータ位置検出回路13以外に異常があると判断した場合には、ステップS9に移行して、ロータ位置検出回路13以外に異常が発生したときの操舵補助力制御(その他異常時処理)を実施してから制御信号出力処理を終了する。
ステップS10では、制御信号出力部32は、異常発生時制御フラグFLを、異常発生時における操舵補助力制御を実施することを意味する“1”にセットし、ステップS11に移行する。
ステップS11では、制御信号出力部32は、前記ステップS4でメモリに保存したロータ回転角θを電気角θeに変換すると共に、この電気角θeを微分して電気角速度ωeを算出し、これらを異常発生時制御の初期制御角度に設定してステップS12に移行する。
ステップS12では、制御信号出力部32は、通常制限値IMAX0を異常発生時制御の初期制御量に設定し、前記ステップS8に移行する。
ステップS13では、制御信号出力部32は、トルクセンサ3の異常検出処理を実施し、ステップS14に移行する。
ステップS14では、制御信号出力部32は、前記ステップS13の判定結果をもとに、トルクセンサ3が正常であるか否かを判定し、異常であると判断した場合にはステップS15に移行し、トルク異常時の操舵補助力制御を実施してから制御信号出力処理を終了する。
一方、前記ステップS14で、制御信号出力部32が、トルクセンサ3が正常であると判断した場合には、ステップS16に移行して、操舵トルクTを検出する。
次に、ステップS17で、制御信号出力部32は、操舵系の捩れ力に応じて制御角度の更新処理を実施する。本実施形態では、操舵補助力制御の解除条件が成立した時点での操舵系の捩れ力を基準とし、その基準値と現在の捩れ力との偏差及び符号に応じて制御角度を更新するものとする。
基準値と現在の捩れ力とが同一符号であり、且つ基準値より現在の捩れ力の方が大きい場合には、制御角度をハンドルの中立方向とは逆方向に進める。また、基準値と現在の捩れ力とが同一符号であり、且つ基準値より現在の捩れ力の方が小さい場合には、制御角度を保持する。
また、操舵系の捩れ力が、操舵補助力制御の解除条件が成立してから一度でも0となった場合には、基準値を“0”に変更すると共に、その後は基準値“0”をもとに制御角度を更新する。このとき、操舵系の捩れ力の符号が異常発生時の基準値の符号に対して反転した場合には、制御角度をハンドルの中立方向に進めるものとする。
ここで、制御角度を進める速度は、現在の捩れ力と基準値との偏差に応じて、図6に示すように決定する。つまり、現在の捩れ力と基準値との偏差が大きいほど、制御角度を進める速度を大きくする。なお、制御角度を進める速度には、所定のリミッタを設けるものとする。
次に、ステップS18で、制御信号出力部32は、制御量の更新(減少)処理を実施する。制御量の減少割合は、現在の捩れ力と基準値との偏差の絶対値に応じて、図7に示すように決定する。ここでは、現在の捩れ力と基準値との偏差の絶対値が大きいほど、制御量の減少割合を小さくして、異常発生時制御の制御時間が長くなるように設定する。
なお、前記減少割合の低減の方法は、直線や2次曲線など様々な関数により決めることができる。また、制御量の減少割合を常に一定とすることもできる。
この制御量の減少処理は、操舵系の捩れ力が基準値より大きくなるように切り増し操舵中である場合及び保舵中には実行せず、制御量を保持するものとする。
次に、ステップS19で、制御信号出力部32は、制御量が所定の制御終了判定閾値(例えば、0)より大きいか否かを判定する。そして、制御量が“0”より大きいときには異常発生時制御を継続するものと判断して前記ステップS8に移行し、制御量が“0”以下であるときには、そのまま制御信号出力処理を終了する。
図5において、ステップS2及びS3の処理が異常検出手段に対応し、ステップS11及びS17の処理が参照角度変更手段に対応し、ステップS12及びS18の処理が徐変処理手段に対応している。
次に、第1の実施形態の動作について、図8に示すタイムチャートをもとに説明する。図8において、Aは操舵系の捩れ力、Bは制御角度である。
今、自車両が右カーブ路を保舵状態で旋回走行中であり、トルクセンサ3等に異常が発生しておらず操舵補助力制御の解除条件が成立していないものとする。この場合には、制御信号出力部32は、図5のステップS3でロータ位置検出回路13が正常であると判断してステップS4に移行し、ロータ回転角θ及びロータ回転角速度θ′をメモリに保存する。また、トルクセンサ3や車速センサ15も正常であることから、ステップS6からステップS7に移行するので、通常の操舵補助力制御が実行される。
したがって、操舵演算装置23は、トルクセンサ3で検出した操舵トルクT、車速センサ15で検出した車速Vs及びロータ位置検出回路13で検出したロータ回転角θに基づいて、各相電流指令値Iu*、Iv*及びIw*を演算し、この各相電流指令値Iu*、Iv*及びIw*とモータ電流検出回路22で検出したモータ電流検出値Iud、Ivd及びIwdとで電流フィードバック処理を行って、相電圧指令Vu、Vv及びVwを算出する。そして、その相電圧指令Vu、Vv及びVwに基づいて算出したPWM信号PWMua〜PWMwbをFETゲート駆動回路25へ出力する。
FETゲート駆動回路25は、上記PWM信号に基づいて、モータ駆動回路24の電界効果トランジスタのゲート電流を制御する。その結果、3相ブラシレスモータ12の発生トルクが減速ギヤ11を介してステアリングシャフト2の回転トルクに変換されて、運転者の操舵力がアシストされる。
この状態から、図8の時刻t1でロータ位置検出回路13に異常が発生し、操舵保助力制御の解除条件が成立したものとする。この場合には、操舵演算装置13は、図5のステップS3でロータ位置検出回路13に異常が発生していると判断して、ステップS10に移行し、異常発生時制御フラグFL=1にセットする。そして、前回のサンプリング処理においてメモリに保存したロータ回転角θをもとに得られる電気角θe及び電気角速度ωeを初期制御角度に設定すると共に電流制限値IMAX0を初期制御量に設定し、これらを出力する。これにより、異常発生直前のロータ回転角θをもとに算出された電気角θe及び電気角速度ωeに基づいて操舵補助力制御が実施される。
したがって、ロータ回転角は異常発生直前のロータ回転角に固定され、ロータの回転状態が異常発生直前のロータの回転状態に維持される。
その後、運転者が右方向に切り増し操舵を行い、時刻t1から時刻t2の間で、操舵系の捩れ力が、基準値となる時刻t1での捩れ力と同一符号且つ基準値より大きくなったものとすると、ステップS17で、制御信号出力部32は、現在の操舵系の捩れ力と基準値との偏差に応じて、図6に示す速度で制御角度を進める。つまり、図8に示すように、時刻t1から時刻t2の間で制御角度は徐々に増加することになる。また、運転者は切り増し操舵中であるので、ステップS18では、制御量の減少処理は行われない。そして、このようにして更新された制御角度及び制御量に基づいて異常発生時の制御補助力制御が継続される。
また、時刻t2から時刻t3の間で、操舵系の捩れ力が、基準値と同一符号且つ基準値以下となったものとすると、ステップS17で、制御信号出力部32は、時刻t2での制御角度を保持する。また、ステップS18では、制御信号出力部32は、現在の操舵系の捩れ力と基準値との偏差の絶対値に応じて、図7に示す減少割合で制御量である電流制限値を減少する。そして、このようにして設定された制御角度及び制御量に基づいて異常発生時の制御補助力制御が継続される。
このように、操舵系の捩れ力に応じた操舵角度の変更処理及び制御量の減少処理を繰り返し、時刻t4で操舵系の捩れ力が0となると基準値が0に変更される。その後、操舵系の捩れ力の符号が反転して時刻t1での基準値と異符号となると、現在の捩れ力と基準値“0”との偏差に応じて、図6に示す速度で制御角度がハンドルの中立方向に進められることになる。
そして、制御量が制御終了判定閾値以下となると、ステップS19でNoと判定され、異常発生時の操舵補助力制御が終了されて、マニュアルステアリングに移行する。
ところで、図9に示すように、ステアリングホイールを操舵している状態で、操舵補助機構10に異常が発生するなどにより時刻t0で操舵補助力制御が解除された場合、本実施形態のような異常発生時制御を行わないと、図9(b)に示すように、モータによる操舵補助トルクが急になくなるため、タイヤの捩れ等、操舵系の弾性変形の戻り力により、ステアリングシャフトに対してこれを中立位置に戻そうとする力が作用する、所謂キックバック現象が生じる。このとき、図9(a)の実線に示すように、運転者による手入力トルクが小さい場合、図9(c)の実線に示すように、急激なハンドル戻りが発生する。また、この急激なハンドル戻りを回避して、図9(c)の破線に示すような保舵状態を確保するためには、図9(a)の破線に示すように、運転者による大きな手入力トルクが急激に必要となり、運転者の操舵負担が大きくなってしまう。
そこで、上記運転者の操舵負担を軽減するために、操舵アシスト中にモータを停止するとき、当該モータの端子間を所定時間短絡することでキックバック現象の発生を抑制するというものが知られている。
しかしながら、この場合、図10の時刻t0で操舵補助機構10に異常が発生してモータを停止させる必要が生じたとき、操舵系の捩りの戻り力に起因する急激なハンドル戻りを抑制するだけであるので、運転者による修正操舵を行わないと、図10(c)の実線に示すようにステアリングホイールは緩やかに中立位置に戻されることになる。したがって、このハンドル戻りを回避して、図10(c)の破線に示すような保舵状態を確保するためには、運転者による手入力トルクが必要不可欠である。このとき、図10(b)に示すように操舵補助トルクは緩やかに低下しているため、図10(a)の破線に示すように、急激な手入力トルクが必要としないが、上述した図9の場合と同様に大きな手入力トルクが必要となる。
これに対して、本実施形態では、異常発生時に通常の操舵補助力制御を解除する場合には、操舵系の捩れ力に応じて、異常発生直前のモータ回転角を維持するようにモータ回転角の参照角度を変更するので、キックバック現象の発生を効果的に抑制することができる。
図11は、本実施形態における効果を説明するタイムチャートである。図11において、(a)は運転者による手入力トルク、(b)は操舵アシストトルク、(c)はモータ制御角度、(d)はアシスト制御量、(e)はステアリング角度である。
この図11に示すように、時刻t11で何らかの異常が発生して通常の操舵補助力制御の解除条件が成立した場合、時刻t12まで異常発生時の操舵補助力制御を行う。このとき、異常発生直前の制御角度を初期制御角度として設定し、操舵系の捩れ力が基準値と同一符号且つ基準値より小さい場合には、そのときの制御角度を保持してロータ回転角を異常発生直前のロータ回転角に固定するので、ハンドル角度の急変を防止するという作用を得ることができる。
また、操舵系の捩れ力が基準値と同一符号且つ基準値より大きい場合には、ステアリング中立方向とは逆方向に制御角度を進めるので、マニュアルステアリングへの移行に伴って必要とされる操舵負担が軽減され、図9及び図10に示すような保舵状態を維持するための大きな手入力トルクが不要となる。
さらに、異常発生後、操舵系の捩れ力が0となった後は、制御角度をステアリング中立方向に進めてモータの通電を停止するようにするため、速やかにマニュアルステアリングに移行することができる。
このように、異常発生後も操舵アシストトルクを操舵系の捩れ力(運転者による手入力トルク)に応じて付与することができる。その結果、異常発生時に操舵アシストトルクが急になくなることを防止することができ、急激なハンドル戻りを確実に防止することができる。
したがって、上記第1の実施形態では、回転角検出手段で検出したモータ回転角の異常を検出したとき、モータ回転角の参照角度を異常発生直前の電動モータの回転状態を維持するように変更してモータの駆動制御を行うので、モータが反力によって戻ることを防止することができ、キックバック現象の発生を抑制することができる。特に、車両重量が重いなどによりマニュアルステアリングにおける操舵系の捩れ力が大きい車両であるほど、その効果は大きい。
また、異常発生直前のモータ回転角を参照角度に設定するので、ロータ回転角を異常発生直前のロータ回転角に固定することでハンドル角度の急変を防止するという作用を得ることができ、適切にキックバック現象の発生を抑制することができる。
さらに、異常発生直前の操舵系の捩れ力を基準値とし、現在の操舵系の捩れ力が前記基準値と同一符号且つ前記基準値以下であるとき、そのときの参照角度を保持するので、異常発生直前のモータ回転角を維持して適切にハンドル戻りを抑制することができる。
また、現在の操舵系の捩れ力が前記基準値と同一符号且つ前記基準値より大きいとき、前記参照角度を、そのときの参照角度に対してステアリング中立方向とは逆方向へ変更するので、運転者の切り増し操舵の負担を軽減して、マニュアルステアリングへの移行の際の大きな手入力トルクを不要とすることができる。
さらにまた、現在の操舵系の捩れ力が前記基準値と異符号であるとき、前記参照角度を、そのときの参照角度に対してステアリング中立方向へ変更するので、保舵状態及び切り増し操舵状態では電動モータの通電を継続し、運転者の手入力トルクがなくなってから電動モータの通電を解除していくことができ、適切な異常発生時制御を実施することができる。
また、前記異常検出手段でモータ回転角の異常を検出したとき、前記電動モータの出力を徐々に減少させるので、操舵補助力が急激に0になることを防止することができる。
さらに、操舵系の捩れ力に応じて前記電動モータの出力の減少率を決定するので、操舵系の捩れ力が大きいほど当該減少率を小さくして、異常発生時制御の継続時間を長く設定することができる。
なお、上記第1の実施形態においては、異常発生直前のロータ回転角に基づいて所期制御角度を設定する場合について説明したが、異常発生前の所定時間におけるロータ回転角の平均値に基づいて所期制御角度を設定することもできる。
次に、本発明における第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、異常発生直前のモータ回転角速度を維持するように制御角度を変更するようにしたものである。
図12は、第2の実施形態における制御信号出力部32で実行される制御信号出力処理手順を示すフローチャートであり、前述した図5の制御信号出力処理において、ステップS10の後にロータ回転角速度θ′が所定の閾値より大きいか否かを判定するステップS31と、ステップS31でYESのとき異常発生直前のロータ回転角速度θ′に応じて初期制御角度を設定するステップS32とを追加し、ステップS16の後にロータ回転角速度θ′が所定の閾値より大きいか否かを判定するステップS33と、ステップS33でYESのときモータ角速度減算処理を行うステップS34と、モータ角速度減算処理の結果に基づいて制御角度を更新するステップS35とを追加したことを除いては図5と同様の処理を行うため、同一処理を行う部分には同一符号を付し、処理の異なる部分を中心に説明する。
ステップS31で、制御信号出力部32は、前記ステップS4で保存したロータ回転角速度θ′が所定の角速度閾値θ′THより大きいか否かを判定し、θ′≦θ′THであるときには前記ステップS11に移行し、θ′>θ′THであるときにはステップS32に移行する。ここで、角速度閾値θ′THは、運転者が保舵状態にあると判断することができる程度の値に設定する。
ステップS32では、制御信号出力部32は、前記ステップS4で保存したロータ回転角速度θ′を基準角速度とし、これに基づいて電気角θe及び電気角速度ωeを設定し、前記ステップS12に移行する。具体的には、ロータ回転角速度が、前記ステップS4で保存した異常発生直前のロータ回転角速度θ′に一致するように電気角θeを設定する。
また、ステップS33では、制御信号出力部32は、ロータ回転角速度θ′(基準角速度)が所定の角速度閾値θ′THより大きいか否かを判定し、θ′≦θ′THであるときには前記ステップS17に移行し、θ′>θ′THであるときにはステップS34に移行する。
ステップS34では、制御信号出力部32は、基準角速度を減少させるモータ角速度減算処理を行う。このモータ角速度減算処理は、操舵系の捩れ力をもとに図13に示す減少率算出マップを参照して基準角速度の減少率を算出し、その減少率で基準角速度を減少する。
図13に示す減少率算出マップは、横軸に操舵系の捩れ力、縦軸に基準角速度の減少率をとり、異常発生時の操舵補助力制御開始時における操舵系の捩れ力の方向を正とし、操舵系の捩れ力が大きいほど前記減少率が小さくなるように設定されている。なお、減少率の低減の方法は、直線や2次曲線など様々な関数によって決めることができる。また、減少率を一定とすることもできる。
また、本実施形態では、図13に示す減少率算出マップを参照して基準角速度の減少率を算出する場合について説明したが、図14に示すような減少率算出マップを参照することもできる。図14の減少率算出マップは、横軸に車速Vs、縦軸に基準角速度の減少率をとり、車速Vsが速くなるほど基準角速度の減少率が大きくなるように設定されている。
なお、このステップS34のモータ角速度減算処理は、手入力トルクが一定値以上であるときには実行せず、基準角速度を保持するものとする。
ステップS35では、制御信号出力部32は、前記ステップS34のモータ角速度減算処理で更新した基準角速度に基づいて電気角θe及び電気角速度ωeを更新し、前記ステップS8に移行する。
図12において、ステップS34の処理が基準角速度減少手段に対応している。
次に、第2の実施形態の動作について、図15のタイムチャートをもとに説明する。図15において、(a)は運転者による手入力トルク、(b)は操舵アシストトルク、(c)はモータ制御角速度、(d)はアシスト制御量、(e)はステアリング角度である。
運転者が比較的急な操舵を行っているときに、時刻t21で何らかの異常が発生して通常の操舵補助力制御の解除条件が成立した場合、制御信号出力部32は、図12のステップS31からステップS32に移行して、異常発生直前のロータ回転角速度θ′を基準角速度に設定し、この基準角速度を維持するように電気角θe及び電気角速度ωeを設定する。そして、この電気角θe及び電気角速度ωeに基づいて異常発生時の操舵補助力制御が開始される。
このように、異常発生直前のロータ回転角速度に基づいて制御角度を設定するので、異常発生時に急激なモータ制御角速度変化が発生することを抑制することができ、ハンドルの急激な角加速度変化が発生することを抑制することができる。
その後は、ステップS34のモータ角速度減算処理にて基準角速度が図13に示す減少率で減少され、逐次減少される基準角速度に基づいて更新される電気角θe及び電気角速度ωeで異常発生時の操舵補助力制御が継続される。
そして、時刻t22で手入力トルクが一定値α以上となると、基準角速度が保持される。したがって、図15(c)に示すようにモータ制御角速度は保持され、ステアリング角度は図15(e)に示すように一定の速度で増加することになる。
ステアリング角度が運転者の意図した角度に近づいたことにより、時刻t23で運転者が手入力トルクを弱め、時刻t24で手入力トルクが一定値αより小さくなると、ステップS34のモータ角速度減算処理にて基準角速度の減少制御が再開される。
その後、ロータ回転角速度θ′(基準角速度)が所定の角速度閾値θ′TH以下となると、制御信号出力部32は、ステップS33でNoと判定し、ステップS17の制御角度更新処理及びステップS18の制御量減少処理を施す。したがって、図15(d)に示すように、アシスト制御量は徐々に低下していくことになる。これに伴って、図15(b)に示すように、操舵補助トルクも徐々に低下し、時刻t25で操舵補助トルク(制御量)が0となるとマニュアルステアリングに完全に移行する。
このように、上記第2の実施形態では、異常発生直前のモータ回転角速度を基準角速度とし、当該基準角速度に基づいてモータ回転角の参照角度を設定するので、通常の操舵補助力制御が解除されたときのハンドルの急激な角加速度変化が発生することを抑制することができる。
また、前記基準角速度を徐々に低下させるので、ステアリング角度の変化率を徐々に低下することができ、操舵における違和感を抑制することができると共に車両の走行安定性の向上を図ることができる。
なお、上記第2の実施形態においては、異常発生直前のロータ回転角速度に基づいて所期制御角度を設定する場合について説明したが、異常発生前の所定時間におけるロータ回転角速度の平均値に基づいて所期制御角度を設定することもできる。
次に、本発明における第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、異常発生直前のモータ回転角を所定時間保持するように制御角度を固定するようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態の制御信号出力部32では、前述した第1の実施形態における図5の制御信号出力処理において、ステップS17の制御角度の更新処理を削除し、それ以外は図5と同様の処理を実行する。
本実施形態では、制御量として前述した電流制限値に代えてアシスト制御ゲインを適用するものとする。
このアシスト制御ゲインは、例えば、PI制御部42における比例積分制御に対して乗算するゲインとし、通常時はゲイン=1に設定し、ステップS18の制御量の減算処理で1より小さい値に減少制御するものとする。ここで、アシスト制御ゲインの減少率は、前述した図7に示すように直線や二次曲線など様々な関数によって決定することができる。
次に、第3の実施形態の動作について、図16に示すタイムチャートをもとに説明する。図16において、(a)はアシストトルク、(b)はモータ制御角度、(c)はアシスト制御ゲイン、(d)はステアリング角度である。
時刻t31で、何らかの異常が発生して通常の操舵補助力制御の解除条件が成立した場合、制御信号出力部32は、ステップS11で、異常発生直前のモータ回転角θに基づいて電気角θe及び電気角速度ωeを設定し、異常発生時の操舵補助力制御を開始する。これにより、異常発生直前のモータ回転角θが保持される。
その後は、この異常発生時の操舵補助力制御を終了するまで制御角度の更新処理を行わないことから、図16(b)に示すように、モータ制御角度は異常発生直前のモータ回転角θに基づいて設定された制御角度に固定される。
一方、時刻t31以降は、制御信号出力部32は、ステップS18で制御量の減少処理を実行し、図7に示す減少割合で制御量を減少していく。したがって、図10(c)に示すように、アシスト制御ゲインは時刻t31から徐々に低下し、これに伴って、操舵補助力も徐々に低下していくことになる。これにより、ステアリング角度は、アシスト制御ゲインの低下に伴って、図10(d)に示すように徐々に中立位置に戻されることになる。
このとき、アシスト制御ゲインの減少率は、操舵系の捩れ力と基準値(異常発生時の操舵系の捩れ力)との偏差の絶対値が大きいほど、アシスト制御ゲインの減少率が小さく設定されて操舵補助力の減少が抑制されるので、例えば車両重量が重いなどにより操舵系の捩れ力が大きい車両であっても、効果的にハンドル戻りを抑制することができる。
そして、時刻t32で制御量(アシスト制御ゲイン)が0となると、異常発生時の操舵補助力制御を終了し、マニュアルステアリングに移行する。
このように、上記第3の実施形態では、異常発生時には、モータ回転角の参照角度を異常発生直前の参照角度に固定すると共に、操舵系の捩れ力に応じて電動モータの出力を徐々に減少させるので、比較的簡易な構成で急激にハンドルが戻されることを防止することができる。
なお、上記各実施形態においては、異常発生時の制御角度を初期制御角度に設定する場合について説明したが、予め設定された任意の角度に設定することもできる。
また、上記各実施形態においては、異常発生時におけるアシストトルクが0近傍である場合には、キックバックの影響が小さいと判断して異常発生時制御を行わないようにすることもできる。
さらに、上記各実施形態においては、電動モータとして3相ブラシレスモータを適用する場合について説明したが、ブラシモータシステムを適用することもできる。この場合、操舵角センサの検出値からモータ回転角及びモータ回転角速度を算出したり、モータの逆起電力からモータ回転角及びモータ回転角速度を推定したりすればよい。
本発明の実施形態における車両の概略構成図である。 操舵補助制御装置の一例を示すブロック図である。 図2の制御演算装置の具体的構成を示すブロック図である。 操舵補助電流指令値算出マップを示す特性線図である。 第1の実施形態における制御信号出力部で実行される制御信号出力処理のフローチャートである。 制御角度を進める速度を算出するためのマップである。 制御量の減少割合を算出するためのマップである。 第1の実施形態の動作を説明するタイムチャートである。 従来装置の動作を説明するタイムチャートである。 従来装置の動作を説明するタイムチャートである。 第1の実施形態の効果を説明するタイムチャートである。 第2の実施形態における制御信号出力部で実行される制御信号出力処理のフローチャートである。 モータ角速度の減少率を算出するためのマップである。 モータ角速度の減少率を算出するためのマップである。 第2の実施形態の動作を説明するタイムチャートである。 第3の実施形態の動作を説明するタイムチャートである。
符号の説明
1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、3…トルクセンサ、10…操舵補助機構、11…減速ギヤ、12…3相ブラシレスモータ、13…ロータ位置検出回路、20…操舵補助制御装置、21…車速センサ、31…操舵補助電流指令値演算部、32…制御信号出力部、34…d軸指令電流算出部、35…d−q軸電圧算出部、36…q軸指令電流算出部、37…2相/3相変換部、42…PI制御部、43…PWM制御部

Claims (9)

  1. 操舵系に運転者の操舵負担を軽減する操舵補助力を付与する電動モータを備える電動パワーステアリング装置であって、
    前記電動モータのモータ回転角を検出する回転角検出手段と、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルクに応じた操舵補助力を発生させるべく、前記モータ回転角を参照して前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段と、前記回転角検出手段で検出したモータ回転角の異常を検出する異常検出手段とを備え、前記モータ制御手段は、前記異常検出手段で前記モータ回転角の異常を検出したとき、異常発生直前の前記電動モータの回転状態を維持するように前記モータ回転角の参照角度を変更する参照角度変更手段を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記参照角度変更手段は、前記異常検出手段で前記モータ回転角の異常を検出したとき、異常発生直前のモータ回転角を前記参照角度に設定することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記参照角度変更手段は、異常発生直前の操舵系の捩れ力を基準値とし、現在の操舵系の捩れ力が前記基準値と同一符号且つ前記基準値以下であるとき、そのときの参照角度を保持することを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記参照角度変更手段は、現在の操舵系の捩れ力が前記基準値と同一符号且つ前記基準値より大きいとき、前記参照角度を、そのときの参照角度に対してステアリング中立方向とは逆方向へ変更することを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記参照角度変更手段は、現在の操舵系の捩れ力が前記基準値と異符号であるとき、前記参照角度を、そのときの参照角度に対してステアリング中立方向へ変更することを特徴とする請求項3又は4に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記参照角度変更手段は、前記異常検出手段で前記モータ回転角の異常を検出したとき、異常発生直前のモータ回転角速度を基準角速度とし、当該基準角速度に基づいて前記参照角度を設定することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記参照角度変更手段は、前記基準角速度を徐々に減少させる基準角速度減少手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の電動パワーステアリング装置。
  8. 前記モータ制御手段は、前記異常検出手段で前記モータ回転角の異常を検出したとき、前記電動モータの出力を徐々に減少させる徐変処理手段を備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  9. 前記徐変処理手段は、操舵系の捩れ力に応じて前記電動モータの出力の減少率を決定することを特徴とする請求項8に記載の電動パワーステアリング装置。
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