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JP2007305821A - 投影光学系、露光装置、およびデバイス製造方法 - Google Patents

投影光学系、露光装置、およびデバイス製造方法 Download PDF

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JP2007305821A
JP2007305821A JP2006133245A JP2006133245A JP2007305821A JP 2007305821 A JP2007305821 A JP 2007305821A JP 2006133245 A JP2006133245 A JP 2006133245A JP 2006133245 A JP2006133245 A JP 2006133245A JP 2007305821 A JP2007305821 A JP 2007305821A
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Yasuhiro Omura
泰弘 大村
Tomoyuki Matsuyama
知行 松山
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利治 中島
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Abstract

【課題】 境界光学素子の固有複屈折の影響を抑えて、大きな像側開口数および良好な結像性能を確保することのできる液浸型の投影光学系。
【解決手段】 第1面(R)の像を第2面(W)に形成する本発明の投影光学系では、第2面との間の光路が液体(Lm)で満たされている。本発明の投影光学系は、第2面側の面が液体に接し且つ第1面側の面が気体に接し、立方晶系の結晶材料により形成されて、光軸が結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位とほぼ平行になるように配置された境界光学素子(L315;Lb)と、投影光学系の瞳位置またはその近傍の位置に配置されて、投影光学系の光軸に関して回転非対称な形状の開口部を有する開口絞り(AS)とを備えている。
【選択図】 図7

Description

本発明は、投影光学系、露光装置、およびデバイス製造方法に関し、特に半導体素子や液晶表示素子などのデバイスをフォトリソグラフィ工程で製造する際に使用される露光装置に好適な投影光学系に関するものである。
半導体素子等を製造するためのフォトリソグラフィ工程において、マスク(またはレチクル)のパターン像を、投影光学系を介して、感光性基板(フォトレジストが塗布されたウェハ、ガラスプレート等)上に投影露光する露光装置が使用されている。露光装置では、半導体素子等の集積度が向上するにつれて、投影光学系に要求される解像力(解像度)が益々高まっている。
投影光学系の解像力に対する要求を満足するには、照明光(露光光)の波長λを短くするとともに、投影光学系の像側開口数NAを大きくする必要がある。具体的には、投影光学系の解像度は、k・λ/NA(kはプロセス係数)で表される。また、像側開口数NAは、投影光学系と感光性基板との間の媒質(通常は空気などの気体)の屈折率をnとし、感光性基板への最大入射角をθとすると、n・sinθで表される。
この場合、最大入射角θを大きくすることにより像側開口数の増大を図ろうとすると、感光性基板への入射角および投影光学系からの射出角が大きくなり、光学面での反射損失が増大して、大きな実効的な像側開口数を確保することはできない。そこで、投影光学系と感光性基板との間の光路中に屈折率の高い液体のような媒質を満たすことにより像側開口数の増大を図る液浸技術が知られている(たとえば特許文献1)。
国際公開第WO2004/019128号パンフレット
特許文献1に開示された従来の液浸型の投影光学系では、浸液として純水を用い、物体側の面が気体に接し且つ像側の面が純水に接する境界レンズとして石英レンズを用いている。この従来の構成では、例えばArFエキシマレーザ光を用いる場合、浸液としての純水の屈折率が1.5程度であるため、1.3程度の像側開口数を確保するのが限界であった。
そこで、液浸型の投影光学系において像側開口数の増大を図るために、浸液として純水よりも屈折率の高い液体を用いることが考えられる。しかしながら、浸液としての液体の屈折率だけを単に大きく設定すると、境界レンズの物体側の凸面の曲率が大きくなり過ぎて、レンズ設計が不可能になるだけでなく、像面上において十分に大きな有効結像領域(露光装置の場合には有効な静止露光領域)を確保することが困難になる。
そのため、液浸型の投影光学系において像側開口数の増大を図るには、浸液として純水よりも屈折率の高い液体を用い、石英よりも屈折率の高い結晶材料を用いて境界レンズを形成することが考えられる。ただし、ArFエキシマレーザ光のような200nm以下の波長域の光を用いる場合、異方性結晶材料のみならず立方晶系(等軸晶系)の結晶材料であっても固有複屈折(真性複屈折)を呈する。この場合、境界レンズ(境界光学素子)の固有複屈折の影響により、投影光学系の結像性能が低下する恐れがある。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、境界光学素子の固有複屈折の影響を抑えて、大きな像側開口数および良好な結像性能を確保することのできる液浸型の投影光学系を提供することを目的とする。また、本発明は、大きな像側開口数および良好な結像性能を有する高解像な投影光学系を用いて、微細なパターンを高精度に投影露光することのできる露光装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、第1面の像を第2面に形成する投影光学系において、
前記投影光学系と前記第2面との間の光路は1.1よりも大きい屈折率を有する液体で満たされ、
前記第2面側の面が前記液体に接し且つ前記第1面側の面が気体に接し、立方晶系の結晶材料により形成されて、光軸が結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位とほぼ平行になるように配置された境界光学素子と、
前記境界光学素子の固有複屈折が前記第2面上での結像に及ぼす影響を低減するために、前記投影光学系の瞳位置またはその近傍の位置において光束を部分的に減衰させるための減衰部材とを備えていることを特徴とする投影光学系を提供する。
本発明の第2形態では、第1面の像を第2面に形成する投影光学系において、
前記投影光学系と前記第2面との間の光路は1.1よりも大きい屈折率を有する液体で満たされ、
前記第2面側の面が前記液体に接し且つ前記第1面側の面が気体に接し、立方晶系の結晶材料により形成されて、光軸が結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位とほぼ平行になるように配置された境界光学素子と、
前記投影光学系の瞳位置またはその近傍の位置に配置されて、前記投影光学系の光軸に関して回転非対称な形状の開口部を有する開口絞りとを備えていることを特徴とする投影光学系を提供する。
本発明の第3形態では、前記第1面に設定された所定のパターンからの光に基づいて、前記パターンの像を前記第2面に設定された感光性基板上に投影するための第1形態または第2形態の投影光学系を備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
本発明の第4形態では、第3形態の露光装置を用いて前記所定のパターンを前記感光性基板に露光する露光工程と、前記露光工程を経た前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするデバイスの製造方法を提供する。
本発明の液浸型の投影光学系では、境界光学素子の光軸が結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位とほぼ平行になるように配置されているので、境界光学素子の固有複屈折が結像に与える影響を比較的小さく抑えることができる。また、境界光学素子の固有複屈折に起因して発生するリターデーションの比較的小さい領域に対応して、投影光学系の光軸に関して回転非対称な形状の開口部を有する開口絞りを備えているので、投影光学系の瞳位置またはその近傍の位置において結像に有害な光束(リターデーションの影響を比較的大きく受ける光束)を遮ることができる。
その結果、境界光学素子の固有複屈折が結像に及ぼす影響を低減して、投影光学系の良好な結像性能を確保することができる。すなわち、本発明では、境界光学素子の固有複屈折の影響を抑えて、大きな像側開口数および良好な結像性能を確保することのできる液浸型の投影光学系を実現することができる。また、本発明の露光装置では、大きな像側開口数および良好な結像性能を有する高解像な投影光学系を用いて、微細なパターンを高精度に投影露光することができ、ひいては良好なデバイスを高精度に製造することができる。
本発明の投影光学系は、いわゆる液浸型の光学系であって、像側(第2面側)の面が液体(浸液)に接し且つ物体側(第1面側)の面が気体に接する境界光学素子(境界レンズ)が、立方晶系の結晶材料により形成されている。そして、境界光学素子の固有複屈折が像面(第2面)上での結像に与える影響を比較的小さく抑えるために、境界光学素子の光軸が結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位とほぼ平行になるように配置されている。
図1は、立方晶系の結晶材料の結晶方位について説明する図である。図1を参照すると、立方晶系の結晶材料の結晶方位は、立方晶系の結晶軸a123に基づいて規定される。すなわち、結晶軸+a1に沿って結晶方位[100]が、結晶軸+a2に沿って結晶方位[010]が、結晶軸+a3に沿って結晶方位[001]がそれぞれ規定される。また、a13平面において結晶方位[100]および結晶方位[001]と45度をなす方向に結晶方位[101]が、a12平面において結晶方位[100]および結晶方位[010]と45度をなす方向に結晶方位[110]が、a23平面において結晶方位[010]および結晶方位[001]と45度をなす方向に結晶方位[011]がそれぞれ規定される。
さらに、結晶軸+a1、結晶軸+a2および結晶軸+a3に対して等しい鋭角をなす方向に結晶方位[111]が規定される。図1では、結晶軸+a1、結晶軸+a2および結晶軸+a3で規定される空間における結晶方位のみを図示しているが、他の空間においても同様に結晶方位が規定される。本願明細書中において、「ある結晶方位と光学的に(結晶構造上)等価な結晶方位」とは、ある結晶方位に対して、当該結晶方位の指数の順序を入れ替えた結晶方位、さらにそれらの各指数の少なくとも一部についての符号を反転した結晶方位である。
本発明では、境界光学素子の光軸が結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位とほぼ平行になるように配置されているので、境界光学素子の固有複屈折の影響は比較的小さく抑えられるが、投影光学系の光軸に関してほぼ4回回転対称な複屈折分布が発生する。この場合、後述するように、例えば石英レンズに故意に内部歪を残し、この内部歪に起因して発生する複屈折の影響により、境界光学素子の固有複屈折の影響を低減(補償)することが好ましい。
しかしながら、石英レンズの内部歪に起因して発生する複屈折の影響により境界光学素子の固有複屈折の影響を低減しても、レンズ開口上(投影光学系の瞳上)には、図2に示すような進相固有ベクトルを持つリターデーション(偏光収差)が残存する。図2において、線の方向が進相軸の方向を示し、線の長さが複屈折量を示している。
本発明では、境界光学素子の固有複屈折が像面上での結像に及ぼす影響を低減するために、投影光学系の瞳位置またはその近傍の位置において光束を部分的に遮るための遮光部材を備えている。換言すれば、本発明では、投影光学系の瞳位置またはその近傍の位置に配置されて、境界光学素子の固有複屈折に起因して発生するリターデーションの比較的小さい領域に対応する形状(一般には投影光学系の光軸に関して回転非対称な形状)の開口部(光透過部)を有する開口絞りを備えている。ここで、回転非対称な形状とは、無限回回転対称でない形状を指す。
具体的には、図3(a)に示すように、リターデーションの比較的小さい十字状の領域に対応して十字状の形状の開口部ASaを有する開口絞りASを備えている。なお、十字状の開口部に限定されることなく、例えば図3(b)に示すような変形十字状の形状の開口部ASbを有する開口絞りASを用いることもできる。このように、開口絞りASの開口部の形状については様々な変形例が可能であるが、リターデーションの比較的小さい領域の形状に対応して、光軸に関してほぼ4回回転対称な形状であることが好ましい。
本発明では、境界光学素子と第2面(投影光学系の像面;露光装置の場合には感光性基板)との間の光路中に充填される液体として、例えば純水や、純水よりも屈折率の高い様々な高屈折率液体を用いることができる。純水よりも屈折率の高い高屈折率液体として、例えばグリセノール(CH2[OH]CH[OH]CH2[OH])、ヘプタン(C716)、H+、Cs-、K+、Cl-、SO4 2-、PO4 2-を入れた水、アルミニウム酸化物の微粒子を混ぜた水、イソプロパノール、ヘキサン、ヘプタン、デカン、三井化学株式会社によるデルファイ(環状炭化水素骨格を基本とする化合物)、JSR株式会社によるHIF−001、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーによるIF131、IF132、IF175などを用いることができる。
純水よりも屈折率の高い高屈折率液体を用いて像側開口数の増大を図る場合、例えば石英よりも屈折率の高い立方晶系の結晶材料を用いて境界光学素子を形成することにより、境界光学素子の設計が可能になり、像面上において十分に大きな有効結像領域を確保することが可能になる。例えば石英よりも屈折率の高い立方晶系の結晶材料として、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、バリウム・リチウム・フローライド(BaLiF3)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット([Lutetium Aluminum Garnet]LuAG)、スピネル([crystalline magnesium aluminum spinel] MgAl24)などの結晶材料、あるいはこれらを主成分とする混晶を用いることができる。
以上のように、本発明では、境界光学素子の光軸が結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位とほぼ平行になるように配置されているので、境界光学素子の固有複屈折が結像に与える影響を比較的小さく抑えることができる。また、境界光学素子の固有複屈折に起因して発生するリターデーションの比較的小さい領域に対応して、例えば投影光学系の光軸に関してほぼ4回回転対称な形状の開口部を有する開口絞りを備えているので、投影光学系の瞳位置またはその近傍の位置において結像に有害な光束(リターデーションの影響を比較的大きく受ける光束)を遮ることができる。その結果、境界光学素子の固有複屈折が結像に及ぼす影響を低減して、投影光学系の良好な結像性能を確保することができる。すなわち、本発明の液浸型の投影光学系では、境界光学素子の固有複屈折の影響を抑えて、大きな像側開口数および良好な結像性能を確保することができる。
なお、本発明では、結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位が矩形状の有効結像領域(露光装置の露光領域に対応)を規定する2つの隣り合う辺のうちの一辺とほぼ平行になるように配置することが好ましい。すなわち、走査型の露光装置の場合には、結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位が、走査方向またはこれと直交する走査直交方向とほぼ平行になるように配置することが好ましい。この場合、いわゆる横方向に細長く延びるH線の結像に対する固有複屈折の影響と縦方向に細長く延びるV線の結像に対する固有複屈折の影響とが互いにほぼ等しくなり、主としてH線とV線とを含むパターンの投影露光を良好に行うことができる。
あるいは、本発明では、結晶方位[111]またはこれと光学的に等価な結晶方位の像面(第2面)への射影が、矩形状の有効結像領域を規定する2つの隣り合う辺に対して約45度の角度をなすように配置することが好ましい。すなわち、走査型の露光装置の場合には、結晶方位[111]またはこれと光学的に等価な結晶方位の像面への射影が、走査方向に対して約45度の角度をなすように配置することが好ましい。この場合、H線の結像に対する固有複屈折の影響とV線の結像とに対する固有複屈折の影響とが互いにほぼ等しくなり、主としてH線とV線とを含むパターンの投影露光を、上述の結晶方位の配置例よりもさらに良好に行うことができる。
また、本発明では、例えば石英のような非晶質材料により形成されて光軸に関してほぼ回転対称な内部歪を有する屈折光学素子を備え、この内部歪に起因して発生する複屈折の影響により境界光学素子の固有複屈折の影響を補償することが好ましい。ちなみに、光軸に関してほぼ回転対称な内部歪を有する石英レンズの製造方法については、特開2003−161882号、国際公開第WO03/007045号パンフレットなどを参照することができる。
また、本発明では、投影光学系の開口数を規定する(開口数を変化させる)ために、投影光学系の瞳位置またはその近傍の位置に配置されて、投影光学系の光軸に関してほぼ回転対称な形状の可変開口部を有する可変開口絞りを備えていることが好ましい。投影光学系が物体面と像面との間に中間像を形成する再結像光学系である場合、結像に有害な光束を遮る開口絞りと投影光学系の開口数を規定する可変開口絞りとは、中間像の形成位置を挟んで配置されていることが好ましい。この構成により、他の光学部材と機械的に干渉することなく、開口絞りおよび可変開口絞りを容易に配置することができる。
また、本発明の投影光学系は、屈折型の第1結像系と、凹面反射鏡を含む反射屈折型の第2結像系と、屈折型の第3結像系とを備えていることが好ましい。この反射屈折型の構成は、像側開口数の増大を図るのに有利である。また、本発明では、あらゆる微細パターンへの対応力の観点から、有効視野および有効結像領域が光軸を含まない軸外視野型の構成を採用することが望ましい。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図4は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。図4では、X軸およびY軸がウェハWに対して平行な方向に設定され、Z軸がウェハWに対して直交する方向に設定されている。さらに具体的には、XY平面が水平面に平行に設定され、+Z軸が鉛直方向に沿って上向きに設定されている。
本実施形態の露光装置は、図4に示すように、たとえば露光光源であるArFエキシマレーザ光源を含み、オプティカル・インテグレータ(ホモジナイザー)、視野絞り、コンデンサレンズ等から構成される照明光学系1を備えている。光源から射出された波長193nmの紫外パルス光からなる露光光(露光ビーム)ILは、照明光学系1を通過し、レチクル(マスク)Rを照明する。レチクルRには転写すべきパターンが形成されており、パターン領域全体のうちX方向に沿って長辺を有し且つY方向に沿って短辺を有する矩形状(スリット状)のパターン領域が照明される。
レチクルRを通過した光は、液浸型で反射屈折型の投影光学系PLを介して、フォトレジストが塗布されたウェハ(感光性基板)W上の露光領域に所定の投影倍率でレチクルパターンを形成する。すなわち、レチクルR上での矩形状の照明領域に光学的に対応するように、ウェハW上ではX方向に沿って長辺を有し且つY方向に沿って短辺を有する矩形状の静止露光領域(実効露光領域;有効結像領域)にパターン像が形成される。
図5は、本実施形態においてウェハ上に形成される矩形状の静止露光領域と基準光軸との位置関係を示す図である。本実施形態では、図5に示すように、基準光軸AXを中心とした半径Bを有する円形状の領域(イメージサークル)IF内において、基準光軸AXからY方向に軸外し量Aだけ離れた位置に所望の大きさを有する矩形状の静止露光領域ERが設定される。ここで、静止露光領域ERのX方向の長さはLXであり、そのY方向の長さはLYである。したがって、図示を省略したが、レチクルR上では、矩形状の静止露光領域ERに対応して、基準光軸AXからY方向に軸外し量Aに対応する距離だけ離れた位置に静止露光領域ERに対応した大きさおよび形状を有する矩形状の照明領域が形成される。
レチクルRはレチクルステージRST上においてXY平面に平行に保持され、レチクルステージRSTにはレチクルRをX方向、Y方向および回転方向に微動させる機構が組み込まれている。レチクルステージRSTは、レチクルレーザ干渉計(不図示)によってX方向、Y方向および回転方向の位置がリアルタイムに計測され、且つ制御される。ウェハWは、ウェハホルダ(不図示)を介してZステージ9上においてXY平面に平行に固定されている。
また、Zステージ9は、投影光学系PLの像面と実質的に平行なXY平面に沿って移動するXYステージ10上に固定されており、ウェハWのフォーカス位置(Z方向の位置)および傾斜角を制御する。Zステージ9は、Zステージ9上に設けられた移動鏡12を用いるウェハレーザ干渉計13によってX方向、Y方向および回転方向の位置がリアルタイムに計測され、且つ制御される。また、XYステージ10は、ベース11上に載置されており、ウェハWのX方向、Y方向および回転方向を制御する。
一方、本実施形態の露光装置に設けられた主制御系14は、レチクルレーザ干渉計により計測された計測値に基づいてレチクルRのX方向、Y方向および回転方向の位置の調整を行う。即ち、主制御系14は、レチクルステージRSTに組み込まれている機構に制御信号を送信し、レチクルステージRSTを微動させることによりレチクルRの位置調整を行う。また、主制御系14は、オートフォーカス方式及びオートレベリング方式によりウェハW上の表面を投影光学系PLの像面に合わせ込むため、ウェハWのフォーカス位置(Z方向の位置)および傾斜角の調整を行う。
即ち、主制御系14は、ウェハステージ駆動系15に制御信号を送信し、ウェハステージ駆動系15によりZステージ9を駆動させることによりウェハWのフォーカス位置および傾斜角の調整を行う。更に、主制御系14は、ウェハレーザ干渉計13により計測された計測値に基づいてウェハWのX方向、Y方向および回転方向の位置の調整を行う。即ち、主制御系14は、ウェハステージ駆動系15に制御信号を送信し、ウェハステージ駆動系15によりXYステージ10を駆動させることによりウェハWのX方向、Y方向および回転方向の位置調整を行う。
露光時には、主制御系14は、レチクルステージRSTに組み込まれている機構に制御信号を送信すると共に、ウェハステージ駆動系15に制御信号を送信し、投影光学系PLの投影倍率に応じた速度比でレチクルステージRSTおよびXYステージ10を駆動させつつ、レチクルRのパターン像をウェハW上の所定のショット領域内に投影露光する。その後、主制御系14は、ウェハステージ駆動系15に制御信号を送信し、ウェハステージ駆動系15によりXYステージ10を駆動させることによりウェハW上の別のショット領域を露光位置にステップ移動させる。
このように、ステップ・アンド・スキャン方式によりレチクルRのパターン像をウェハW上に走査露光する動作を繰り返す。すなわち、本実施形態では、ウェハステージ駆動系15およびウェハレーザ干渉計13などを用いてレチクルRおよびウェハWの位置制御を行いながら、矩形状の静止露光領域および静止照明領域の短辺方向すなわちY方向に沿ってレチクルステージRSTとXYステージ10とを、ひいてはレチクルRとウェハWとを同期的に移動(走査)させることにより、ウェハW上には静止露光領域の長辺LXに等しい幅を有し且つウェハWの走査量(移動量)に応じた長さを有する領域に対してレチクルパターンが走査露光される。
図6は、本実施形態の各実施例における境界レンズとウェハとの間の構成を模式的に示す図である。本実施形態では、図6に示すように、境界レンズLbとウェハWとの間の光路が、純水よりも高い屈折率を有する液体Lmで満たされている。境界レンズLbは、レチクルR側に凸面を向け且つウェハW側に平面を向けた正レンズである。本実施形態では、図4に示すように、給排水機構21を用いて、境界レンズLbとウェハWとの間の光路中において液体Lmを循環させている。
投影光学系PLに対してウェハWを相対移動させつつ走査露光を行うステップ・アンド・スキャン方式の露光装置において、走査露光の開始から終了まで投影光学系PLの境界レンズLbとウェハWとの間の光路中に液体Lmを満たし続けるには、たとえば国際公開番号WO99/49504号公報に開示された技術や、特開平10−303114号公報に開示された技術などを用いることができる。国際公開番号WO99/49504号公報に開示された技術では、液体供給装置から供給管および排出ノズルを介して所定の温度に調整された液体を境界レンズLbとウェハWとの間の光路を満たすように供給し、液体供給装置により回収管および流入ノズルを介してウェハW上から液体を回収する。
一方、特開平10−303114号公報に開示された技術では、液体を収容することができるようにウェハホルダテーブルを容器状に構成し、その内底部の中央において(液体中において)ウェハWを真空吸着により位置決め保持する。また、投影光学系PLの鏡筒先端部が液体中に達し、ひいては境界レンズLbのウェハ側の光学面が液体中に達するように構成する。このように、浸液としての液体を微小流量で循環させることにより、防腐、防カビ等の効果により液体の変質を防ぐことができる。また、露光光の熱吸収による収差変動を防ぐことができる。
本実施形態の各実施例において、非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸に沿った距離(サグ量)をzとし、頂点曲率半径をrとし、円錐係数をκとし、n次の非球面係数をCnとしたとき、以下の数式(a)で表される。後述の表(1)および(2)において、非球面形状に形成されたレンズ面には面番号の右側に*印を付している。
z=(y2/r)/[1+{1−(1+κ)・y2/r21/2]+C4・y4+C6・y6
+C8・y8+C10・y10+C12・y12+C14・y14+C16・y16 (a)
また、本実施形態の各実施例において、投影光学系PLは、物体面(第1面)に配置されたレチクルRのパターンの第1中間像を形成するための第1結像系G1と、第1中間像からの光に基づいてレチクルパターンの第2中間像(第1中間像の像であってレチクルパターンの二次像)を形成するための第2結像系G2と、第2中間像からの光に基づいて像面(第2面)に配置されたウェハW上にレチクルパターンの最終像(レチクルパターンの縮小像)を形成するための第3結像系G3とを備えている。ここで、第1結像系G1および第3結像系G3はともに屈折光学系であり、第2結像系G2は凹面反射鏡CMを含む反射屈折光学系である。
第1結像系G1と第2結像系G2との間の光路中には第1平面反射鏡(第1偏向鏡)M1が配置され、第2結像系G2と第3結像系G3との間の光路中には第2平面反射鏡(第2偏向鏡)M2が配置されている。こうして、各実施例の投影光学系PLでは、レチクルRからの光が、第1結像系G1を介して、第1平面反射鏡M1と第2結像系G2との間の光路中において第1平面反射鏡M1の近傍にレチクルパターンの第1中間像を形成する。第1中間像からの光は、第2結像系G2を介して、第2平面反射鏡M2と第2結像系G2との間の光路中において第2平面反射鏡M2の近傍にレチクルパターンの第2中間像を形成する。第2中間像からの光は、第3結像系G3を介して、レチクルパターンの最終像をウェハW上に形成する。
また、各実施例の投影光学系PLでは、第1結像系G1および第3結像系G3が鉛直方向に沿って直線状に延びる光軸AX1および光軸AX3を有し、光軸AX1および光軸AX3は基準光軸AXと一致している。一方、第2結像系G2は水平方向に沿って直線状に延びる(基準光軸AXに垂直な)光軸AX2を有する。こうして、レチクルR、ウェハW、第1結像系G1を構成するすべての光学部材および第3結像系G3を構成するすべての光学部材は、重力方向と直交する面すなわち水平面に沿って互いに平行に配置されている。さらに、第1平面反射鏡M1および第2平面反射鏡M2は、レチクル面に対して45度の角度をなすように設定された反射面をそれぞれ有し、第1平面反射鏡M1と第2平面反射鏡M2とは1つの光学部材として一体的に構成されている。また、各実施例において、投影光学系PLは、物体側および像側の双方にほぼテレセントリックに構成されている。
[第1実施例]
図7は、本実施形態の第1実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。図7を参照すると、第1実施例にかかる投影光学系PLにおいて第1結像系G1は、レチクル側から順に、平行平面板P1と、両凸レンズL11と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、レチクル側に非球面形状の凸面を向けた正メニスカスレンズL14と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15と、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL16と、レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズL17と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL18と、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL19と、両凸レンズL110と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL111とにより構成されている。
また、第2結像系G2は、光の進行往路に沿って光の入射側から順に、入射側に凹面を向けた負メニスカスレンズL21と、入射側に凹面を向けた負メニスカスレンズL22と、入射側に凹面を向けた凹面反射鏡CMとにより構成されている。また、第3結像系G3は、レチクル側(すなわち光の入射側)から順に、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL31と、両凸レンズL32と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL33と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL34と、両凹レンズL35と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた両凹レンズL36と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL37と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL38と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた負メニスカスレンズL39と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL310と、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL311と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL312と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL313と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL314と、ウェハ側に平面を向けた平凸レンズL315(境界レンズLb)とにより構成されている。
第1実施例では、境界レンズLbとウェハWとの間の光路に、使用光(露光光)であるArFエキシマレーザ光(中心波長λ=193.306nm)に対して1.64の屈折率を有する高屈折率液体が満たされている。境界レンズLbは、使用光の中心波長に対して1.64の屈折率を有するバリウム・リチウム・フローライド(BaLiF3)により形成されている。第2結像系G2中の負メニスカスレンズL21およびL22は、使用光の中心波長に対して1.5014548の屈折率を有する蛍石(CaF2)により形成されている。境界レンズLb、およびレンズL21,L22以外の光透過部材(平行平面板P1、レンズL11〜L111,レンズL31〜L314)は、使用光の中心波長に対して1.5603261の屈折率を有する非晶質材料の石英(SiO2)により形成されている。
境界レンズLbは、その光軸(ひいては基準光軸AX)が結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位と平行になるように配置されている。また、境界レンズLbは、結晶方位[111]またはこれと光学的に等価な結晶方位の像面への射影がX方向およびY方向に45度の角度をなすように配置されている。あるいは、境界レンズLbは、結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位がX方向またはY方向と平行になるように配置されている。
第1実施例では、第3結像系G3の瞳位置またはその近傍の位置、すなわち正メニスカスレンズL312と正メニスカスレンズL313との間に、境界レンズLbの固有複屈折に起因して発生するリターデーションの影響を比較的大きく受ける有害な光束を遮るための開口絞りASが配置されている。開口絞りASは、図3(a)に示すような十字状の形状の開口部ASaまたは図3(b)に示すような変形十字状の形状の開口部ASbを有する。また、第1結像系G1の瞳位置またはその近傍の位置、すなわち正メニスカスレンズL15と正メニスカスレンズL16との間に、投影光学系PLの開口数を規定する(開口数を変化させる)ための可変開口絞りVASが配置されている。可変開口絞りVASは、光軸AX1(ひいては基準光軸AX)に関してほぼ回転対称な形状(すなわち円形状)の可変開口部を有する。
次の表(1)に、第1実施例にかかる投影光学系PLの諸元の値を掲げる。表(1)の主要諸元において、λは露光光の中心波長を、βは投影倍率(全系の結像倍率)の大きさ(絶対値)を、NAは像側(ウェハ側)開口数を、BはウェハW上でのイメージサークルIFの半径(最大像高)を、Aは静止露光領域ERの軸外し量を、LXは静止露光領域ERのX方向に沿った寸法(長辺の寸法)を、LYは静止露光領域ERのY方向に沿った寸法(短辺の寸法)をそれぞれ表している。
また、表(1)の光学部材諸元において、面番号は物体面(第1面)であるレチクル面から像面(第2面)であるウェハ面への光線の進行する経路に沿ったレチクル側からの面の順序を、rは各面の曲率半径(非球面の場合には頂点曲率半径:mm)を、dは各面の軸上間隔すなわち面間隔(mm)を、nは中心波長に対する屈折率をそれぞれ示している。面間隔dの符号は、凹面反射鏡CMから第2平面反射鏡M2へ至る光路中では負とし、その他の光路中では正としている。
第1結像系G1では、レチクル側(光の入射側)に向かって凸面の曲率半径を正とし、レチクル側に向かって凹面の曲率半径を負としている。第2結像系G2では、光の進行往路に沿って光の入射側に向かって凹面の曲率半径を負とし、光の入射側に向かって凸面の曲率半径を正としている。第3結像系G3では、レチクル側(光の入射側)に向かって凸面の曲率半径を正とし、レチクル側に向かって凹面の曲率半径を負としている。なお、表(1)における表記は、以降の表(2)においても同様である。
表(1)
(主要諸元)
λ=193.306nm
β=1/4
NA=1.45
B=15.3mm
A=3mm
LX=26mm
LY=5mm

(光学部材諸元)
面番号 r d n 光学部材
(レチクル面) 116.5071
1 ∞ 8.0000 1.5603261 (P1)
2 ∞ 6.0000
3 406.85472 47.0827 1.5603261 (L11)
4 -395.94539 1.0000
5 150.30351 52.5640 1.5603261 (L12)
6 383.70596 9.1449
7 142.69868 22.9790 1.5603261 (L13)
8 161.64387 20.7697
9* 226.51237 19.4210 1.5603261 (L14)
10 488.60882 1.0000
11 76.55758 37.9175 1.5603261 (L15)
12 95.84479 52.2835
13 -76.35741 16.6281 1.5603261 (L16)
14 -74.13948 9.1627
15 -63.35135 25.6992 1.5603261 (L17)
16 -358.35683 19.3717
17* -263.05959 47.6987 1.5603261 (L18)
18 -115.46788 1.0000
19 -404.56107 75.0138 1.5603261 (L19)
20 -160.00349 1.0000
21 414.07183 36.9867 1.5603261 (L110)
22 -590.38786 1.0000
23 166.42762 34.0922 1.5603261 (L111)
24* 384.13522 72.0000
25 ∞ 193.8607 (M1)
26 -146.04062 15.0000 1.5014548 (L21)
27 -279.94696 40.9861
28 -100.31875 18.0000 1.5014548 (L22)
29 -346.07004 35.4136
30 -163.99194 -35.4136 (CM)
31 -346.07004 -18.0000 1.5014548 (L22)
32 -100.31875 -40.9861
33 -279.94696 -15.0000 1.5014548 (L21)
34 -146.04062 -193.8607
35 ∞ 72.0000 (M2)
36 -410.38572 26.6159 1.5603261 (L31)
37 -192.28974 1.0000
38 398.82659 35.2762 1.5603261 (L32)
39 -714.60096 1.0000
40 222.92390 41.1412 1.5603261 (L33)
41 6500.40219 1.0000
42 161.46952 36.5765 1.5603261 (L34)
43* 353.05872 20.3939
44 -1544.17124 17.5148 1.5603261 (L35)
45 99.92820 53.7049
46 -205.39348 11.0000 1.5603261 (L36)
47* 192.12739 24.8434
48* -1347.92689 43.9675 1.5603261 (L37)
49 -204.27126 1.0000
50 269.03736 48.7854 1.5603261 (L38)
51* 1619.14477 9.1430
52 2991.50000 22.0000 1.5603261 (L39)
53* 926.16604 53.8594
54* -675.95428 21.9205 1.5603261 (L310)
55 -346.57260 1.0000
56 -663.59601 74.5685 1.5603261 (L311)
57 -212.40394 2.0000
58 286.10700 59.8486 1.5603261 (L312)
59 1892.34041 1.0000
60 193.96591 69.7438 1.5603261 (L313)
61* 525.08598 1.0000
62 113.10539 57.5599 1.5603261 (L314)
63* 307.32635 1.0000
64 59.50352 52.2145 1.64 (L315:Lb)
65 ∞ 3.0000 1.64 (Lm)
(ウェハ面)

(非球面データ)
9面
κ=0
4=−1.32034×10-7 6=1.58880×10-12
8=−7.60811×10-1610=1.11131×10-19
12=−2.15924×10-2414=−3.37891×10-28
16=1.49798×10-32

17面
κ=0
4=−2.61773×10-9 6=−1.96068×10-12
8=−7.92852×10-1810=1.23366×10-20
12=−1.55846×10-2414=1.01652×10-28
16=−3.52796×10-33

24面
κ=0
4=2.01636×10-8 6=−3.89446×10-14
8=5.00850×10-1810=−3.56079×10-22
12=4.37987×10-2614=−2.65946×10-30
16=6.84900×10-35

43面
κ=0
4=8.78732×10-9 6=−5.80612×10-13
8=1.02166×10-1710=−1.49331×10-21
12=1.56833×10-2514=−1.28687×10-29
16=3.62698×10-34

47面
κ=0
4=−5.70006×10-8 6=4.02832×10-12
8=−5.90953×10-1610=3.66756×10-20
12=−3.43695×10-2414=2.09740×10-28
16=−5.07793×10-33

48面
κ=0
4=−2.29772×10-8 6=2.69888×10-12
8=−4.07037×10-1710=−4.91049×10-21
12=1.80358×10-2614=−6.03867×10-29
16=−4.32372×10-34

51面
κ=0
4=−2.24446×10-8 6=7.01178×10-13
8=1.20952×10-1610=−4.17919×10-21
12=−6.84028×10-2614=5.33818×10-30
16=−7.49042×10-35

53面
κ=0
4=3.80878×10-8 6=1.35958×10-12
8=−1.60634×10-1610=3.14614×10-21
12=8.16507×10-2614=−4.15455×10-30
16=4.98564×10-35

54面
κ=0
4=−2.91600×10-8 6=7.79814×10-13
8=−2.48110×10-1710=8.18642×10-22
12=−2.64616×10-2614=6.21728×10-31
16=−8.44740×10-36

61面
κ=0
4=−4.02336×10-8 6=2.50155×10-12
8=−1.44204×10-1610=6.92158×10-21
12=−2.19021×10-2514=4.00249×10-30
16=−3.21318×10-35

63面
κ=0
4=3.20681×10-8 6=4.00802×10-12
8=−2.65338×10-1610=4.37348×10-21
12=9.16931×10-2514=−8.67273×10-29
16=1.97135×10-33
図8は、第1実施例の投影光学系における横収差を示す図である。収差図において、Yは像高を示している。図8の収差図から明らかなように、第1実施例では、非常に大きな像側開口数(NA=1.45)および比較的大きい矩形状の静止露光領域ER(26mm×5mm)を確保しているにもかかわらず、波長が193.306nmのArFエキシマレーザ光に対して収差が良好に補正されていることがわかる。
[第2実施例]
図9は、本実施形態の第2実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。図9を参照すると、第2実施例にかかる投影光学系PLにおいて第1結像系G1は、レチクル側から順に、平行平面板P1と、両凸レンズL11と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、レチクル側に非球面形状の凸面を向けた両凸レンズL14と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15と、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL16と、レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズL17と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL18と、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL19と、両凸レンズL110と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL111とにより構成されている。
また、第2結像系G2は、光の進行往路に沿って光の入射側から順に、入射側に凹面を向けた負メニスカスレンズL21と、入射側に凹面を向けた負メニスカスレンズL22と、入射側に凹面を向けた凹面反射鏡CMとにより構成されている。また、第3結像系G3は、レチクル側(すなわち光の入射側)から順に、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL31と、両凸レンズL32と、両凸レンズL33と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL34と、両凹レンズL35と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた両凹レンズL36と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL37と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL38と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた負メニスカスレンズL39と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL310と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL311と、両凸レンズL312と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL313と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL314と、ウェハ側に平面を向けた平凸レンズL315(境界レンズLb)とにより構成されている。
第2実施例では、境界レンズLbとウェハWとの間の光路に、使用光(露光光)であるArFエキシマレーザ光(中心波長λ=193.306nm)に対して1.64の屈折率を有する高屈折率液体が満たされている。境界レンズLbは、使用光の中心波長に対して1.58の屈折率を有するフッ化バリウム(BaF2)により形成されている。第2結像系G2中の負メニスカスレンズL22は、使用光の中心波長に対して1.5014548の屈折率を有する蛍石により形成されている。境界レンズLb、およびレンズL22以外の光透過部材(平行平面板P1、レンズL11〜L111,レンズL21,レンズL31〜L314)は、使用光の中心波長に対して1.5603261の屈折率を有する石英により形成されている。
第2実施例においても第1実施例と同様に、境界レンズLbは、その光軸(ひいては基準光軸AX)が結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位と平行になるように配置されている。また、境界レンズLbは、結晶方位[111]またはこれと光学的に等価な結晶方位の像面への射影がX方向およびY方向に45度の角度をなすように配置されている。あるいは、境界レンズLbは、結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位がX方向またはY方向と平行になるように配置されている。
第2実施例では、第3結像系G3の瞳位置またはその近傍の位置、すなわち両凸レンズL312と正メニスカスレンズL313との間に、境界レンズLbの固有複屈折に起因して発生するリターデーションの影響を比較的大きく受ける有害な光束を遮るための開口絞りASが配置されている。また、第1結像系G1の瞳位置またはその近傍の位置、すなわち正メニスカスレンズL15と正メニスカスレンズL16との間に、投影光学系PLの開口数を規定する(開口数を変化させる)ための可変開口絞りVASが配置されている。次の表(2)に、第2実施例にかかる投影光学系PLの諸元の値を掲げる。
表(2)
(主要諸元)
λ=193.306nm
β=1/4
NA=1.4
B=15.3mm
A=3mm
LX=26mm
LY=5mm

(光学部材諸元)
面番号 r d n 光学部材
(レチクル面) 99.9387
1 ∞ 8.0000 1.5603261 (P1)
2 ∞ 6.0000
3 377.01752 52.0000 1.5603261 (L11)
4 -418.47527 1.0000
5 292.64506 27.0079 1.5603261 (L12)
6 929.70556 1.0000
7 123.71472 29.1991 1.5603261 (L13)
8 144.82271 41.4228
9* 265.85422 23.5470 1.5603261 (L14)
10 -1302.48251 1.0000
11 83.02333 52.7865 1.5603261 (L15)
12 108.88870 46.7020
13 -71.74061 16.9076 1.5603261 (L16)
14 -70.14088 6.9150
15 -63.37475 42.2308 1.5603261 (L17)
16 -535.93010 8.6577
17* -299.08510 46.7026 1.5603261 (L18)
18 -116.90652 1.0000
19 -584.91148 88.6658 1.5603261 (L19)
20 -165.06620 1.0000
21 411.95826 36.0185 1.5603261 (L110)
22 -672.60386 1.0000
23 165.61187 34.8433 1.5603261 (L111)
24* 377.17346 72.0000
25 ∞ 185.9383 (M1)
26 -171.03074 15.0000 1.5603261 (L21)
27 -578.98313 52.5834
28 -98.62406 18.0000 1.5014548 (L22)
29 -267.95318 31.4998
30 -164.57860 -31.4998 (CM)
31 -267.95318 -18.0000 1.5014548 (L22)
32 -98.62406 -52.5834
33 -578.98313 -15.0000 1.5603261 (L21)
34 -171.03074 -185.9383
35 ∞ 72.0000 (M2)
36 -410.73809 24.5592 1.5603261 (L31)
37 -197.43830 1.0000
38 897.60910 30.5793 1.5603261 (L32)
39 -397.66576 1.0000
40 264.83610 36.5079 1.5603261 (L33)
41 -1947.87373 1.0000
42 161.56770 37.7620 1.5603261 (L34)
43* 460.13611 14.4568
44 -1457.47605 29.3517 1.5603261 (L35)
45 102.43304 59.1297
46 -218.41931 11.0000 1.5603261 (L36)
47* 189.99992 32.7969
48* -391.38024 30.9316 1.5603261 (L37)
49 -183.22980 1.0000
50 272.30997 34.8283 1.5603261 (L38)
51* 1874.62507 13.0201
52 2897.14903 22.0000 1.5603261 (L39)
53* 819.00753 39.1471
54* -1248.51739 40.5244 1.5603261 (L310)
55 -322.37736 1.0000
56* -551.94949 65.5602 1.5603261 (L311)
57 -219.97008 2.0000
58 286.10700 77.9312 1.5603261 (L312)
59 -2368.41994 1.0000
60 191.85740 69.7835 1.5603261 (L313)
61* 574.37924 1.0000
62 111.11538 51.9825 1.5603261 (L314)
63* 277.07201 1.0000
64 58.33733 47.6023 1.58 (L315:Lb)
65 ∞ 3.0000 1.64 (Lm)
(ウェハ面)

(非球面データ)
9面
κ=0
4=−1.13222×10-7 6=4.05974×10-13
8=−3.68394×10-1610=2.54297×10-20
12=4.27123×10-2414=−4.83294×10-28
16=1.36114×10-32

17面
κ=0
4=1.71898×10-9 6=−2.71150×10-12
8=4.70517×10-1710=1.00372×10-20
12=−1.78667×10-2414=1.28638×10-28
16=−5.13098×10-33

24面
κ=0
4=2.06187×10-8 6=−4.54450×10-14
8=3.76663×10-1810=2.95504×10-23
12=−4.10074×10-2714=3.66027×10-31
16=−9.54676×10-36

43面
κ=0
4=3.38481×10-9 6=−4.03879×10-13
8=3.78928×10-1810=−7.08122×10-22
12=1.00097×10-2514=−8.09388×10-30
16=2.39334×10-34

47面
κ=0
4=−3.80331×10-8 6=2.91337×10-12
8=−3.76066×10-1610=3.11923×10-21
12=−1.52980×10-2414=1.38951×10-28
16=−1.88618×10-33

48面
κ=0
4=−7.25204×10-10 6=2.90876×10-12
8=2.45435×10-1710=−3.15155×10-21
12=−3.33203×10-2514=−1.87058×10-29
16=−1.95056×10-33

51面
κ=0
4=−3.96102×10-9 6=1.48703×10-12
8=7.16156×10-1710=−4.16294×10-21
12=6.55598×10-2614=1.12055×10-30
16=−5.42590×10-35

53面
κ=0
4=4.28886×10-8 6=7.86227×10-13
8=−1.29204×10-1610=2.76202×10-21
12=3.08000×10-2614=−2.13605×10-30
16=2.50401×10-35

54面
κ=0
4=−1.62450×10-8 6=6.97318×10-13
8=−1.94143×10-1710=7.42225×10-22
12=−8.23506×10-2714=3.59578×10-31
16=−1.56049×10-35

56面
κ=0
4=−2.81011×10-9 6=1.38604×10-13
8=−4.51824×10-1910=5.53673×10-23
12=−5.65041×10-2714=1.39344×10-31
16=0

61面
κ=0
4=−3.18378×10-8 6=2.23411×10-12
8=−1.41095×10-1610=7.34893×10-21
12=−2.45339×10-2514=4.66436×10-30
16=−3.82746×10-35

63面
κ=0
4=3.36055×10-8 6=6.92914×10-12
8=−6.38702×10-1610=6.83579×10-20
12=−5.08425×10-2414=3.01499×10-28
16=−8.07805×10-33
図10は、第2実施例の投影光学系における横収差を示す図である。収差図において、Yは像高を示している。図10の収差図から明らかなように、第2実施例においても第1実施例と同様に、非常に大きな像側開口数(NA=1.4)および比較的大きい矩形状の静止露光領域ER(26mm×5mm)を確保しているにもかかわらず、波長が193.306nmのArFエキシマレーザ光に対して収差が良好に補正されていることがわかる。
以上のように、本実施形態の投影光学系PLでは、純水よりも屈折率の高い高屈折率液体Lmを浸液として用いるとともに、石英よりも屈折率の高い立方晶系の結晶材料を用いて境界レンズLbを形成しているので、1.3よりも大きな像側開口数の増大を図るとともに、像面上において十分に大きな有効結像領域を確保することができる。具体的に、中心波長が193.306nmのArFエキシマレーザ光に対して、1.45または1.4という高い像側開口数を確保するとともに、26mm×5mmの矩形形状の静止露光領域ERを確保することができ、たとえば26mm×33mmの矩形状の露光領域内に回路パターンを高解像度で走査露光することができる。
また、本実施形態の投影光学系PLでは、境界レンズLbの光軸が結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位とほぼ平行になるように配置されているので、境界レンズLbの固有複屈折が結像に与える影響を比較的小さく抑えることができる。さらに、境界レンズLbの固有複屈折に起因して発生するリターデーションの比較的小さい十字状の領域に対応して、十字状の形状の開口部ASaまたは変形十字状の形状の開口部ASbを有する開口絞りASを設けているので、リターデーションの影響を比較的大きく受ける有害な光束を遮ることができる。その結果、境界レンズLbの固有複屈折が結像に及ぼす影響を低減して、投影光学系の良好な結像性能を確保することができる。
なお、上述の各実施例では、液体Lmとして使用光の中心波長に対して1.64の屈折率を有する高屈折率液体を用いている。このような高屈折率液体としては、例えばJSR株式会社によるHIF−001(ArFエキシマレーザ光に対する屈折率が1.64)、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーによるIF131(ArFエキシマレーザ光に対する屈折率が1.642)やIF132(ArFエキシマレーザ光に対する屈折率が1.644)などを用いることができる。また、例えば三井化学株式会社によるデルファイ(環状炭化水素骨格を基本とする化合物でArFエキシマレーザ光に対する屈折率が1.63)、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーによるIF175(ArFエキシマレーザ光に対する屈折率が1.664)なども用いることができる。
また、本実施形態の露光装置では、ウェハWに照射される光がS偏光を主成分とする偏光状態になるように、所要の直線偏光状態の光でレチクル(マスク)Rのパターンを照明することが好ましい。ここで、S偏光とは、入射面に対して垂直な方向に偏光方向を有する直線偏光(入射面に垂直な方向に電気ベクトルが振動している偏光)のことである。また、入射面は、光が媒質の境界面(ウェハWの表面)に達したときに、その点での境界面の法線と光の入射方向とを含む面として定義される。このように、ウェハWに照射される光がS偏光を主成分とする偏光状態になるように所要の直線偏光状態の光でレチクルパターンを照明することにより、投影光学系PLの光学性能(焦点深度など)の向上を図ることができ、ウェハW上において高いコントラストのレチクルパターン像を得ることができる。
具体的には、たとえばレチクルRにおいてY方向に沿って細長く延びる一方向パターンが支配的である場合、図11(a)に示すようなX方向2極照明を行い、照明光学系1の照明瞳においてX方向に間隔を隔てて形成される2極状の二次光源を形成する光束(二次光源を通過する光束)をY方向に偏光方向を有する直線偏光状態に設定する。その結果、最終的な被照射面としてのウェハWに照射される光がS偏光を主成分とする偏光状態になり、ウェハW上において高いコントラストのレチクルパターン像を得ることができる。
同様に、たとえばレチクルRにおいてX方向に沿って細長く延びる一方向パターンが支配的である場合、図11(b)に示すようなY方向2極照明で、照明光学系1の照明瞳においてY方向に間隔を隔てて形成される2極状の二次光源を形成する光束をX方向に偏光方向を有する直線偏光状態に設定する。その結果、ウェハWに照射される光がS偏光を主成分とする偏光状態になり、ウェハW上において高いコントラストのレチクルパターン像を得ることができる。
また、たとえばレチクルRにおいてY方向に沿って細長く延びるパターンとX方向に沿って細長く延びるパターンとが混在する場合、図11(c)に示すような4極照明または図11(d)に示すような輪帯照明を行い、4極状または輪帯状の二次光源を形成する光束を周方向偏光状態に設定する。その結果、ウェハWに照射される光がS偏光を主成分とする偏光状態になり、ウェハW上において高いコントラストのレチクルパターン像を得ることができる。
なお、上述の実施形態では、第3結像系G3中に有害な光束を遮るための開口絞りASを配置し、第1結像系G1中に開口数を規定するための可変開口絞りVASを配置している。しかしながら、これに限定されることなく、開口絞りASおよび可変開口絞りVASの配置位置については様々な変形例が可能である。すなわち、第1結像系G1中の瞳またはその近傍、第2結像系G2中の瞳またはその近傍(凹面反射鏡CMと負メニスカスレンズL22との間)、第3結像系G3中の瞳またはその近傍のいずれか適当な位置に、開口絞りASや可変開口絞りVASを配置することができる。なお、投影光学系の射出瞳と光学的に共役な位置であって第1結像系G1中の位置を第1結像系G1中の瞳と称し、投影光学系の射出瞳と光学的に共役な位置であって第2結像系G2中の位置を第2結像系G2中の瞳と称し、投影光学系の射出瞳と光学的に共役な位置であって第3結像系G3中の位置を第3結像系G3中の瞳と称している。
また、上述の実施形態では、図3(a)または図3(b)に示したように、投影光学系の瞳位置(投影光学系の射出瞳位置と光学的に共役な位置であって投影光学系の光路中の位置)における光束を部分的に遮光あるいは通過させる開口絞りを用いたが、光束を完全に遮光しなくとも良く、例えば投影光学系の瞳位置における光束を部分的に減光(減衰)させても良い。また、開口絞りの4回回転対称な光通過部も100%の光量を通過させるものには限定されず、開口絞りにおける遮光部(または減光部)よりも透過率が高ければ良く、この光透過部においてある程度減光する構成であっても良い。このように、投影光学系の瞳透過率分布を考えたときに、これが投影光学系の光軸に関して4回回転対称な分布であれば良い。なお、投影光学系の瞳透過率分布については、米国特許公開第2005/018277A号公報に開示されている。
また、上述の実施形態では、反射屈折型で3回結像型の投影光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、屈折型の投影光学系や、1回結像型または3回以外の複数回結像型の投影光学系に対して本発明を適用することもできる。また、上述の実施形態では、走査型の露光装置に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、投影光学系に対してレチクル(マスク)およびウェハ(感光性基板)を静止させた状態で投影露光を行う一括露光型の露光装置に対しても本発明を適用することができる。
上述の実施形態の露光装置では、照明装置によってレチクル(マスク)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、本実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図12のフローチャートを参照して説明する。
先ず、図12のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、その1ロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、本実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。
その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。なお、ステップ301〜ステップ305では、ウェハ上に金属を蒸着し、その金属膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチングの各工程を行っているが、これらの工程に先立って、ウェハ上にシリコンの酸化膜を形成後、そのシリコンの酸化膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチング等の各工程を行っても良いことはいうまでもない。
また、本実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図13のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図13において、パターン形成工程401では、本実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列されたりしたカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
なお、上述の実施形態では、ArFエキシマレーザ光源を用いているが、これに限定されることなく、たとえばF2 レーザ光源のような他の適当な光源を用いることもできる。また、上述の実施形態では、露光装置に搭載される投影光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、他の一般的な液浸型の投影光学系に対して本発明を適用することができる。
立方晶系の結晶材料の結晶方位について説明する図である。 石英レンズの内部歪に起因して発生する複屈折の影響により境界光学素子の固有複屈折の影響を低減した後にレンズ開口上に残存するリターデーションを模式的に示す図である。 投影光学系の瞳位置またはその近傍の位置に配置される開口絞りの構成を概略的に示す図であって、(a)は十字状の開口部を有する開口絞りを、(b)は変形十字状の開口部を有する開口絞りを示している。 本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。 本実施形態においてウェハ上に形成される矩形状の静止露光領域と基準光軸との位置関係を示す図である。 本実施形態の各実施例における境界レンズとウェハとの間の構成を模式的に示す図である。 本実施形態の第1実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。 第1実施例の投影光学系における横収差を示す図である。 本実施形態の第2実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。 第2実施例の投影光学系における横収差を示す図である。 S偏光を主成分とする偏光状態で結像するように所要の直線偏光状態の光でパターンを照明する様子を示す図であって、(a)はX方向2極照明を、(b)はY方向2極照明を、(c)は4極照明を、(d)は輪帯照明を示している。 マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフローチャートである。 マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
符号の説明
R レチクル
RST レチクルステージ
PL 投影光学系
Lb 境界レンズ
Lm 液体
W ウェハ
1 照明光学系
9 Zステージ
10 XYステージ
14 主制御系
21 給排水機構

Claims (17)

  1. 第1面の像を第2面に形成する投影光学系において、
    前記投影光学系と前記第2面との間の光路は1.1よりも大きい屈折率を有する液体で満たされ、
    前記第2面側の面が前記液体に接し且つ前記第1面側の面が気体に接し、立方晶系の結晶材料により形成されて、光軸が結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位とほぼ平行になるように配置された境界光学素子と、
    前記境界光学素子の固有複屈折が前記第2面上での結像に及ぼす影響を低減するために、前記投影光学系の瞳位置またはその近傍の位置において光束を部分的に減衰させるための減衰部材とを備えていることを特徴とする投影光学系。
  2. 前記減衰部材は、前記投影光学系の瞳位置またはその近傍の位置において光束を部分的に遮るための遮光部材であることを特徴とする請求項1に記載の投影光学系。
  3. 前記減衰部材は、前記投影光学系の瞳位置またはその近傍の位置における前記光束の光強度分布を、前記投影光学系の光軸に関してほぼ4回回転対称な分布にすることを特徴とする請求項1または2に記載の投影光学系。
  4. 第1面の像を第2面に形成する投影光学系において、
    前記投影光学系と前記第2面との間の光路は1.1よりも大きい屈折率を有する液体で満たされ、
    前記第2面側の面が前記液体に接し且つ前記第1面側の面が気体に接し、立方晶系の結晶材料により形成されて、光軸が結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位とほぼ平行になるように配置された境界光学素子と、
    前記投影光学系の瞳位置またはその近傍の位置に配置されて、前記投影光学系の光軸に関して回転非対称な形状の開口部を有する開口絞りとを備えていることを特徴とする投影光学系。
  5. 前記開口絞りは、前記投影光学系の光軸に関してほぼ4回回転対称な形状の開口部を有することを特徴とする請求項4に記載の投影光学系。
  6. 前記境界光学素子は、結晶方位[100]またはこれと光学的に等価な結晶方位が、前記第2面上の矩形状の有効結像領域を規定する2つの隣り合う辺のうちの一辺とほぼ平行になるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の投影光学系。
  7. 前記境界光学素子は、結晶方位[111]またはこれと光学的に等価な結晶方位の前記第2面への射影が、前記第2面上の矩形状の有効結像領域を規定する2つの隣り合う辺に対して約45度の角度をなすように配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の投影光学系。
  8. 非晶質材料により形成されて、光軸に関してほぼ回転対称な内部歪を有する屈折光学素子をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の投影光学系。
  9. 前記投影光学系の瞳位置またはその近傍の位置に配置されて、前記投影光学系の光軸に関してほぼ回転対称な形状の可変開口部を有する可変開口絞りをさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の投影光学系。
  10. 前記投影光学系は、前記第1面からの光に基づいて前記第1面の中間像を形成する再結像光学系であり、
    前記開口絞りと前記可変開口絞りとは、前記中間像の形成位置を挟んで配置されていることを特徴とする請求項9に記載の投影光学系。
  11. 前記投影光学系は、
    屈折光学素子のみから構成されて、前記第1面からの光に基づいて前記第1面の第1中間像を形成する第1結像系と、
    凹面反射鏡を有し、前記第1中間像からの光に基づいて前記第1面の第2中間像を形成する第2結像系と、
    屈折光学素子のみから構成されて、前記第2中間像からの光に基づいて前記第1面の最終像を前記第2面上に形成する第3結像系とを備えていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の投影光学系。
  12. 前記投影光学系は、前記第1面上において光軸から離れた有効視野および前記第2面上において光軸から離れた有効結像領域を有することを特徴とする請求項11に記載の投影光学系。
  13. 前記投影光学系は、所定の直線偏光状態の光に基づいて前記第1面の像を前記第2面上に形成することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の投影光学系。
  14. 前記所定の直線偏光状態は、前記第2面に対してS偏光となる直線偏光状態であることを特徴とする請求項13に記載の投影光学系。
  15. 前記第1面に設定された所定のパターンからの光に基づいて、前記パターンの像を前記第2面に設定された感光性基板上に投影するための請求項1乃至14のいずれか1項に記載の投影光学系を備えていることを特徴とする露光装置。
  16. 所定の直線偏光状態の光で前記パターンを照明する照明系を備えていることを特徴とする請求項15に記載の露光装置。
  17. 請求項15または16に記載の露光装置を用いて前記所定のパターンを前記感光性基板に露光する露光工程と、
    前記露光工程を経た前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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