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JP2007305427A - 高分子電解質形燃料電池 - Google Patents

高分子電解質形燃料電池 Download PDF

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JP2007305427A JP2006132917A JP2006132917A JP2007305427A JP 2007305427 A JP2007305427 A JP 2007305427A JP 2006132917 A JP2006132917 A JP 2006132917A JP 2006132917 A JP2006132917 A JP 2006132917A JP 2007305427 A JP2007305427 A JP 2007305427A
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Abstract

【課題】初期電圧が高く、電池電圧が長期にわたって維持可能であり、特に運転・停止時の急激な電位の変化にも優れた耐久性を有する高分子電解質型燃料電池を実現し得るカソード触媒層を提供すること。
【解決手段】水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜11と高分子電解質膜11を挟むアノード16及びカソード15からなる膜電極接合体20においてカソード触媒層12を少なくとも2層で構成し、高分子電解質膜11側に接する側の第1触媒層に含まれる金属触媒の粒径を、高分子電解質膜11に接しない側の第2触媒層に含まれる金属触媒の粒径より大きくし、かつ第1触媒層の金属触媒に合金触媒を用いる。
【選択図】図2

Description

本発明は、高分子電解質形燃料電池用のカソード触媒層、当該カソード触媒層を含む膜触媒層接合体、ガス拡散電極および膜電極接合体、ならびにこれらを含む高分子電解質形燃料電池に関する。
高分子電解質形燃料電池は、都市ガスなどの原料ガスを改質して得られる水素を含む燃料ガスと、空気などの酸素を含有する酸化剤ガスと、を電気化学反応(酸化還元反応)させることで、外部回路に電子を取り出すものである。このような高分子電解質形燃料電池に搭載される単電池(セル)は、水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜および一対のガス拡散電極(アノード及びカソード)で構成される膜電極接合体(MEA)と、ガスケットと、一対の導電性のセパレータと、を有している。
上記膜電極接合体のガス拡散電極は、燃料である水素や酸素ガスの透過・拡散および発電により発生した水の排出を担うガス拡散層と、実際の電気化学反応を担う触媒層と、で構成されている。上記触媒層は、導電性の微粒子からなる担体と、当該担体に担持された活性の高い金属触媒と、これら担体または金属触媒に付着した水素イオン伝導性を有する高分子電解質と、を含んでおり、がガスが透過し得る空間を保って構成されている。
上記セパレータのうちの上記ガス拡散電極と当接する面には、燃料ガス又は酸化剤ガス(これらを反応ガスという)を流すためのガス流路が設けられており、一対の当該セパレータにより、周縁部にガスケットが配置された膜電極接合体を挟むことによって、単電池が構成されている。このような構造を有する高分子電解質形燃料電池の単電池から得られる電圧は低いため、単電池複数個を積層してスタックを得、当該スタックを締結して隣接する膜電極接合体を互いに電気的に直列に接続することにより、必要な出力電圧を得ている。
ところで、高分子電解質形燃料電池の電池性能低下の原因としては、例えばガス拡散電極を構成する触媒の劣化、ガス流路におけるフラッディングの進行による反応ガスのガス拡散電極への透過の妨げ、および反応ガスのクロスオーバー等による単電池の破損等が挙げられ、これらの原因となる現象を抑制することによって電池寿命の向上を図ることが重要であり、かつ種々検討されている。
なかでも、高分子電解質形燃料電池の起動および停止による電池性能の低下は深刻である。一般的に高分子電解質形燃料電池は60℃〜100℃の比較的低い温度範囲で起動するという特徴を有しており、必要の無いときにはその運転を停止し、燃料の利用効率を低下させないような設計がなされている。しかしながら、運転の停止時において、膜電極接合体のガス拡散電極は、運転時には無い電位の変化を受けることになる。
例えば定置形の高分子電解質形燃料電池は、運転時に単電池当たり0.6V〜0.9V付近(ほぼカソードの電位と同等)の電圧で発電されるが、停止時には不活性ガスをアノードおよびカソードに供給してパージすることにより、カソードの電位は0V(vs.RHE)付近まで低下する。また、運転を再開する時は、酸化剤ガスを供給してパージし、負荷が無いOCV(開回路電圧)のため、カソードの電位は+1.0V(vs.RHE)付近まで上昇する。
このように起動および停止を繰り返すと、触媒層に含まれる金属触媒は急激な電位の変化により凝集し、活性な反応面が減少することで電池性能の低下をもたらしてしまう。このような問題に対し、活性金属触媒(金属触媒)の凝集を防ぐことを意図して、例えば特許文献1では、担体の比表面積を小さくし、かつ担持された活性金属触媒の粒径を大きくすることで、活性金属触媒の比表面積の低下を抑制することが提案されている。また、特許文献2および3においては、担持された活性金属触媒として、単金属よりも安定な合金を使用することが開示されている。
特開平5−94823号公報 特公平7−63627号公報 特開2001−68120号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されている触媒層では、始めから50オングストローム以上の粒径を有する活性金属触媒が使用されており、当該活性金属触媒の比表面積は、例えば40オングストロームの小さい粒径を有する活性金属触媒よりも初期から小さく、初期の電圧が低下してしまい未だ改善の余地があった。また、特許文献2および3に開示されている触媒層では、3nm以下の粒径または35m2/g以上の電気化学的な比表面積を有する合金触媒が使用されており、単体金属と同様に凝集してしまい未だ改善の余地があった。
そこで、本発明は、以上の課題を鑑みてなされたものであり、初期の電圧が高くかつ高分子電解質形燃料電池の急激な運転(起動)および停止による劣化ならびに電圧低下の抑制された高分子電解質形燃料電池を実現することができるカソード触媒層を提供することを目的とする。
また本発明は、上記カソード触媒層を用いることにより、初期の電圧が高くかつ高分子電解質形燃料電池の運転および停止による劣化ならびに電圧低下の抑制された高分子電解質形燃料電池を実現することができる、膜触媒層接合体および膜電極接合体を提供することを目的とする。
さらに本発明は、上記膜電極接合体を用いることにより、初期の電圧が高くかつ高分子電解質形燃料電池の運転および停止による劣化ならびに電圧低下の抑制された高分子電解質形燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、高分子電解質膜に接するカソード触媒層部分に担持された金属触媒の粒径を、高分子電解質膜に接しないカソード触媒層部分に担持された金属触媒の粒径よりも大きくし、さらに高分子電解質膜に接するカソード触媒層部分に担持された金属触媒に合金を用いることが、上述した本発明の目的を達成する上で極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、上記課題を解決するために、本発明は、
水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜と高分子電解質膜を挟むアノード及びカソードとを有する高分子電解質形燃料電池用のカソード触媒層であって、
担体および担体に担持された金属触媒を含む触媒担持粒子と、水素イオン伝導性を有する高分子電解質と、を含む少なくとも2層の触媒層で構成されており、
高分子電解質膜側に接する側に位置する第1触媒層のうちの金属触媒の粒径R1と、高分子電解質膜に接しない側に位置する第2触媒層のうちの金属触媒の粒径R2と、が関係式:R1>R2を満たし、
少なくとも第1触媒層に含まれる金属触媒が合金からなること、
を特徴とする高分子電解質形燃料電池用のカソード触媒層を提供する。
以上の本発明の構成によれば、高分子電解質膜に接する第1触媒層に含まれる金属触媒の粒径が大きいことから、当該第1触媒層において活性化金属触媒が凝集したり溶解したりすることによる触媒能の劣化を抑制することができる。また、高分子電解質膜に接しない第2触媒層に含まれる金属触媒の粒径が小さいことから、当該第2触媒層における触媒能をより確実に発揮させることができ、電池電圧を向上させることができる。
即ち、本発明によれば、初期の電圧が高くかつ高分子電解質形燃料電池の運転および停止による劣化ならびに電圧低下の抑制された高分子電解質形燃料電池を実現することができる、カソード触媒層を提供することができる。
ここで、本発明のカソード触媒層の構成を上記のような構成とすることにより、上述のような本発明の効果が得られることについての明確なメカニズムは解明されていないが、本発明者らは以下のように推察している。
即ち、高分子電解質形燃料電池の起動時および停止時における0〜+1.0V(vs.RHE)付近の急激な電位の変化が起こり、高電位では金属触媒が溶解し、低電位では金属触媒が析出して凝集するものと考えられる。金属触媒の溶解には金属イオンが溶け出す媒体である液体が必要であり、高分子電解質形燃料電池の膜電極接合体中では、金属触媒に接する高分子電解質に含まれる水分などの液体がこれに相当する。なぜなら、一対のガス拡散電極に挟まれた高分子電解質膜は、多くの水分などの液体を保持し、かかる液体を含有してはじめて水素イオン伝導性を発揮し得るからである。
したがって、高分子電解質膜に接する触媒層部分において、金属触媒の溶解量が多いと考えられる。これと同様に、高分子電解質膜の分解を抑制するために触媒層に含まれる高分子電解質の質量を増加させた部分においても、金属触媒の溶解量は大きいと考えられる。このように金属触媒が溶解および析出を繰り返し、ある程度金属触媒が凝集した状態が形成されると、当該金属触媒の比表面積が小さくなり、当該金属触媒と高分子電解質との接触面積も小さくなり、溶解量が減少して凝集が抑制されると考えられる。このことから、特に高分子電解質膜と接する触媒層部分や、金属触媒の担体の質量に対する高分子電解質の質量の比が大きな触媒層部分においては、粒径が大きく溶解しにくい合金からなる金属触媒を使用することで劣化を抑制できると考えられる。一方、関係式:R1>R2を満たさない場合には上述した本発明の劣化抑制効果が得られないことが後述する実験等により確認されている。
なお、燃料電池に使用される合金担持触媒(PtCo合金触媒など)は一般的にPt単体の担持触媒に比べてコストが高くなる。例えば、合金(PtCo合金など)はPtに比べ、製造工程が複雑になる(例えば、合金化の焼成工程、酸による合金の洗浄工程が必要となる)からである。例えば、上述した劣化抑制効果を得ること期待して、安易にPt単体の担持触媒の代わりに合金担持触媒(PtCo合金触媒など)をカソード触媒層全体に含有させるとコストが高くなることが懸念される。しかしながら、後述する実験等により確認されているように、本発明では、上述のカソード触媒層の構造を採用することによって、合金担持触媒(PtCo合金触媒など)の使用によるMEAのコストアップを十分に抑制しつつ、合金担持触媒(PtCo合金触媒など)をカソード触媒層全体に含有させた場合と同等の劣化抑制効果を得ることができる。
ここで、本発明において、合金からなる金属触媒の「合金」とは、一般的な合金(例えば、岩波理化学辞典(第5版)に記載の「合金」)に加え、担体粒子上において合金の構成成分となる金属の単体粒子が互いに接触した状態で担持されている状態を含む。例えば、PtCo合金触媒を使用した場合、担体粒子上においてPt単体粒子とCo単体粒子とが接触した状態で担持されている状態を含む。そして、本発明のカソード触媒層には上記状態の金属触媒が含まれていてもよい。更に、本発明においては、カソード触媒層中に、担体粒子上において金属触媒の表面が酸素と結合して一部酸化した状態となっている金属触媒が含まれていてもよい。
また、本発明は、
アノード触媒層と、カソード触媒層と、水素イオン伝導性を有しており上記アノード触媒層と上記カソード触媒層との間に配置される高分子電解質膜と、を少なくとも含む高分子電解質形燃料電池用の膜触媒接合体であって、
上記カソード触媒層として、先に述べた本発明のカソード触媒層が搭載されており、当該カソード触媒層のうちの上記第1触媒層が上記高分子電解質膜と接していること、
を特徴とする高分子電解質形燃料電池用の膜触媒接合体を提供する。
このような構成を有する本発明の膜触媒層接合体は、アノード触媒層を含んでいてもよい。かかるアノード触媒層としては、先に述べたカソード触媒層と同じものを用いることもできるが、当該分野において従来公知のアノード触媒層を用いることもできる。
このような構成を有する本発明の膜触媒層接合体は、先に述べたカソード触媒層を含んでいるため、初期の電圧が高くかつ高分子電解質形燃料電池の運転および停止による劣化ならびに電圧低下の抑制された高分子電解質形燃料電池を実現することができる。
さらに本発明は、
先に述べた本発明のカソード触媒層と、
上記カソード触媒層のうちの上記第2触媒層と接するガス拡散層と、
を少なくとも具備していること、
を特徴とする高分子電解質形燃料電池用のカソードガス拡散電極を提供する。
このような構成を有する本発明のカソードガス拡散電極は、先に述べたカソード触媒層を含んでいるため、初期の電圧が高くかつ高分子電解質形燃料電池の運転および停止による劣化ならびに電圧低下の抑制された高分子電解質形燃料電池を実現することができる。
さらにまた本発明は、
アノードと、カソードと、水素イオン伝導性を有しており上記アノードと上記カソードとの間に配置される高分子電解質膜と、を有する高分子電解質形燃料電池用の膜電極接合体であって、
上記カソードが、先に述べた本発明のカソード触媒層を含み、
上記カソード触媒層は、上記第1触媒層が上記高分子電解質膜に接するように配置されていること、
を特徴とする高分子電解質形燃料電池用の膜電極接合体を提供する。
このような構成を有する本発明の膜電極接合体は、先に述べたカソード触媒層を含んでいるため、初期の電圧が高くかつ高分子電解質形燃料電池の運転および停止による劣化ならびに電圧低下の抑制された高分子電解質形燃料電池を実現することができる。
さらにまた、本発明は、
上記膜電極接合体を含むこと、を特徴とする高分子電解質形燃料電池を提供する。
このような構成を有する本発明の高分子電解質形燃料電池は、先に述べた本発明の膜電極接合体を含んでいるため、初期の電圧が高くかつ高分子電解質形燃料電池の運転および停止による劣化ならびに電圧低下の抑制された高分子電解質形燃料電池を実現することができる。
本発明によれば、初期の電圧が高くかつ高分子電解質形燃料電池の運転および停止による劣化ならびに電圧低下の抑制された高分子電解質形燃料電池を実現することができるカソード触媒層を提供することができる。また、本発明によれば、上記カソード触媒層を用いることにより、初期の電圧が高くかつ高分子電解質形燃料電池の運転および停止による劣化ならびに電圧低下の抑制された高分子電解質形燃料電池を実現することができる、膜触媒層接合体および膜電極接合体を提供することができる。さらに本発明によれば、上記膜電極接合体を用いることにより、初期の電圧が高くかつ高分子電解質形燃料電池の運転および停止による劣化ならびに電圧低下の抑制された高分子電解質形燃料電池を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の高分子電解質形燃料電池の好適な一実施形態に搭載される単電池の基本構成の一例を示す概略断面図である。また、図2は、図1に示す単電池1に搭載される膜電極接合体(MEA:Membrane-electrode assembly)の基本構成の一例を示す概略断面図である。まず、本発明の高分子電解質形燃料電池の構成要素について説明する。
図1に示すように、本実施形態の高分子電解質形燃料電池(単電池)1は、膜電極接合体20と、これを挟持する一対の板状のセパレータ2と、で構成されている。また、膜電極接合体20は、図2に示すように、水素イオン(陽イオン)を選択的に輸送する高分子電解質膜11と、高分子電解質膜11の両面にそれぞれ配置されたカソード触媒層12およびアノード触媒層13と、それぞれカソード触媒層12およびアノード触媒層13の外側に配置された一対のガス拡散層14と、で構成されている。
カソード触媒層12およびアノード触媒層13は、それぞれ金属触媒(例えば白金系の金属触媒)をカーボン粒子などの担体に担持させて得られる触媒担持粒子と、当該触媒担持粒子(金属触媒および/または担体)に付着した水素イオン伝導性を有する高分子電解質と、を含んでおり、特にカソード触媒層12は、詳細は後述するが、高分子電解質膜11に接する側に位置する第1触媒層12aと、高分子電解質膜11に接しない側に位置する第2触媒層12bと、で構成されている点に特徴を有する。
高分子電解質膜11としては、特に限定されるものではなく、通常の固体高分子形燃料電池に搭載される高分子電解質膜を使用することができる。例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸からなる高分子電解質膜(例えば、米国DuPont社製のNafion(商品名)、旭化成(株)製のAciplex(商品名)、ジャパンゴアテックス(株)製のGSIIなど)を使用することができる。また、高分子電解質膜11を構成する高分子電解質としては、陽イオン交換基として、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、およびスルホンイミド基を有するものなどが好ましく挙げられる。水素イオン伝導性の観点から、スルホン酸基を有するものが特に好ましい。
カソード触媒層12は少なくとも2層で構成されており、高分子電解質膜11に接する第1触媒層12aに含まれる金属触媒の粒径R1が、高分子電解質膜11に接しない第2触媒層12bに含まれる金属触媒の粒径R2よりも大きく、かつ第1触媒層12aに含まれる金属触媒が合金で構成されている。このような構成にすることで、初期電圧が高くて、運転・停止時の劣化が少ないカソード触媒層を実現することができる。
さらに、第1触媒層12aに含まれる合金からなる金属触媒の粒径が、例えば5nm以上であると、金属触媒の凝集は非常に遅くなり、特に運転・停止時の劣化が少ない触媒層を実現することができ、高分子電解質形燃料電池の性能を維持することができる。第1触媒層12aに含まれる金属触媒には、例えばPtなどの貴金属触媒と、当該貴金属触媒の活性を向上させる元素成分とを含む合金などの合金触媒を使用するのが好ましく、添加する元素成分としてはCoなどの遷移金属元素が挙げられる。Pt−Co合金触媒は入手が容易で活性が高く好ましい。
一方、第2触媒層12bには、高分子電解質形燃料電池の初期の電圧を向上させるために、第1触媒層12aに含まれる金属触媒の粒径より小さい粒径(例えば2〜4nm程度)を有する金属触媒を使用するのが好ましい。かかる金属触媒としては、Ptなどの貴金属触媒、また、さらに活性を向上させるために合金触媒を使用することができる。
ここで、本実施形態においては、上記触媒担持粒子の担体の質量Wcatと上記触媒担持粒子に付着した高分子電解質の質量Wpとの比Wp/Wcatが、第2触媒層12bから第1触媒層12aにかけて増加しており、第1触媒層12aにおける前記比Wp/Wcatが0.8〜3.0であり、かつ第2触媒層12bにおける前記比Wp/Wcatが0.2〜0.8であること、が好ましい。このような構成にすることで、初期電圧が高く、運転・停止時の劣化が少なく、さらに高分子電解質膜の分解が抑制された、電池性能を維持することのできる高分子電解質形燃料電池を実現し得るカソード触媒層をより確実に実現することができる。
ここで、「カソード触媒層12において、触媒担持粒子の担体の質量Wcatと触媒担持粒子に付着した高分子電解質の質量Wpとの比Wp/Wcatが、第2触媒層12bから第1触媒層12aにかけて増加している」状態とは、カソード触媒層12が2層以上の層(複数の層)で構成されていることを前提として、当該カソード触媒層12の一端において高分子電解質膜11に接する最内層(第1触媒層12a)における比Wp/Wcatが、当該カソード触媒層12の他端において高分子電解質膜11に接しない最外層(第2触媒層12b)における比Wp/Wcatよりも最終的に大きくなっており、複数の層を全体としてみた場合に各層における比Wp/Wcatが上記最外層から上記最内層にかけて概略的に増加している状態を示す。
例えば、上記最外層から上記最内層にかけて上記比Wp/Wcatが単調に増加している状態であってもよい。また、カソード触媒層12が3層以上で構成される場合には、例えば最内層と最外層との間に配置される層のうち、一部の隣り合う層同士の比Wp/Wcatが同じ値をとる状態であってもよい。さらに、最内層と最外層との間に配置される層のうち、一部の隣り合う層同士の比Wp/Wcatを比較した場合、最外層の側に位置する層の比Wp/Wcatが最内層の側に位置する層の比Wp/Wcatよりも大きい場合があってもよい。ただし、ガス拡散性の観点から、最外層から最内層にかけて上記比Wp/Wcatが単調に増加している状態、または、最内層と最外層との間に配置される層のうち、一部の隣り合う層同士の比Wp/Wcatが同じ値をとる状態が好ましい。
アノード触媒層13に含まれる金属触媒としては、当該分野において公知の物を用いることができるが、例えばPtなどの貴金属触媒、または燃料改質器などによって都市ガスを改質して得られるガスに含まれるCOなどに耐性を有する合金触媒(例えばPt−Ru合金)などを用いることができる。
なお、カソード触媒層12およびアノード触媒層13に含まれる高分子電解質の量は、水素ガスの透過およびプロトンの移動を妨げない程度であればよい。また、カソード触媒層12およびアノード触媒層13においては、上記高分子電解質が、金属触媒と、当該金属触媒を担持するカーボン粒子と、を含む触媒担持粒子の表面に部分的に付着していればよい。即ち、上記高分子電解質は、触媒担持粒子の少なくとも一部を被覆していればよく、必ずしも触媒担持粒子の全体を被覆していなくともよい。もちろん、上記高分子電解質が、触媒担持粒子の表面全体を被覆していてもよい。
カソード触媒層12およびアノード触媒層13における担体としては、主としてカーボン粒子(導電性炭素粒子)を用いる。かかるカーボン粒子は、導電性を有する細孔の発達したカーボン材料であるのが好ましく、例えばカーボンブラック、活性炭、カーボンファイバーおよびカーボンチューブなどを使用することができる。カーボンブラックとしては、例えばチャネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックおよびアセチレンブラックなどが挙げられる。また、活性炭は、種々の炭素原子を含む材料を炭化処理および賦活処理することによって得ることができる。
また、カーボン粒子の比表面積は50〜1500m2/gであることが好ましい。比表面積50m2/g以上であると、金属触媒の担持率を向上させ易く、カソード触媒層12およびアノード触媒層13の触媒性能が低下するおそれがないことから好ましく、比表面積が1500m2/g以下であると、細孔が微細すぎずに高分子電解質による被覆がより容易となり、カソード触媒層12およびアノード触媒層13の出力特性が低下するおそれがないことから好ましい。比表面積は200〜900m2/gが特に好ましい。
担持される金属触媒の触媒担持率(担体の全質量に対する、担持されている金属触媒の質量の割合)は、20〜80質量%であればよく、特に40〜60質量%であるのが望ましい。この範囲であれば、高い電池出力を得ることができる。上述のように触媒担持率が20質量%以上であると、十分な電池出力をより確実に得ることができ、80質量%以下であると、金属触媒の粒子を分散性よくカーボン粉末に担持させることができ、触媒有効面積をより増大させることができる。
カソード触媒層12およびアノード触媒層13に含有されて、上記触媒に付着させる水素イオン伝導性を有する高分子電解質としては、高分子電解質膜11を構成する高分子電解質を用いればよい。なお、カソード触媒層12、アノード触媒層13および高分子電解質膜11を構成する高分子電解質は、同じ種類であっても、異なる種類であってもかまわない。例えば、米国DuPont社製のNafion(商品名)、旭硝子(株)製のFlemion(商品名)、旭化成(株)製のAciplex(商品名)等の市販品であってもかまわない。
つぎに、図2に示すように、カソード触媒層12およびアノード触媒層13それぞれの外側に、例えば撥水処理を施したカーボンペーパーを用いて、通気性および電子伝導性を併せ持つガス拡散層14が形成される。カソード触媒層12とガス拡散層13との組合せによりカソード15が構成され、アノード触媒層13とガス拡散層14との組合せによりアノード16が構成される。
ガス拡散層14としては、ガス透過性を持たせるために、発達したストラクチャー構造を有するカーボン微粉末、造孔材、カーボンペーパーまたはカーボンクロスなどを用いて作製された、多孔質構造を有する導電性基材を用いることができる。また、排水性を持たせるために、フッ素樹脂を代表とする撥水性高分子などがガス拡散層14の中に分散されていてもよい。電子伝導性を持たせるために、カーボン繊維、金属繊維またはカーボン微粉末などの電子伝導性材料でガス拡散層14が構成されていてもよい。
さらに、ガス拡散層14のカソード触媒層12またはアノード触媒層13と接する面には、撥水性高分子とカーボン粉末とで構成される撥水カーボン層を設けてもよい。なお、カソード側およびアノード側において同じガス拡散層を用いても異なるガス拡散層を用いてもよい。
図1に示すように、本実施形態の高分子電解質形燃料電池の基本単位である単電池10は、膜電極接合体20と、一対のガスケット1と、一対のセパレータ2とで構成される。
ガスケット1は、供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスの外部へのリーク防止や混合を防止するため、カソード15およびアノード16(図2参照)の周囲に高分子電解質膜11を挟んで配置される。ガスケット1は、カソード15またはアノード16および高分子電解質膜11とあらかじめ一体化され、これらすべてを組み合わせたものを膜電極接合体20と呼ぶこともある。
膜電極接合体20の外側には、膜電極接合体20を機械的に固定するための一対のセパレータ2が配置される。セパレータ2の膜電極接合体20と接触する部分には、カソード15に酸化剤ガスを供給し、アノード16に燃料ガスを供給し、電極反応生成物、未反応の反応ガスを含むガスを反応場からカソード15およびアノード16外部に運び去るためのガス流路3が形成されている。ガス流路3はセパレータ2と別に設けることもできるが、図1においては、セパレータ2の表面に溝を設けてガス流路3が形成されている。また、セパレータ2の膜電極接合体20と反対の側にも、溝からなる冷却水流路4が設けられている。
このように、一対のセパレータ2で膜電極接合体20が固定され、アノード側のセパレータ2のガス流路3に燃料ガスを供給し、カソード側のセパレータ2のガス流路3に酸化剤ガスを供給することで、数十から数百mA/cm2の実用電流密度通電時において、一つの単電池1で0.6〜0.9V程度の起電力を発生させることができる。ただし、通常、高分子電解質型燃料電池を電源として使うときは、数ボルトから数百ボルトの電圧が必要とされるため、実際には、単電池1を必要とする個数だけ直列に連結してスタック(図示せず)として使用する。
ガス流路3に反応ガスを供給するためには、反応ガスを供給する配管を、使用するセパレータ2の枚数に対応する数に分岐し、それらの分岐先を直接セパレータ2上のガス流路3につなぎ込む部材であるマニホールドが必要となるが、本実施形態においては具体的には図示しないが、外部マニホールドと内部マニホールドのいずれを採用することも可能である。
つぎに、本実施形態の高分子電解質形燃料電池の製造方法について説明する。
まず、上記のような高分子電解質膜11の両面にそれぞれカソード触媒層12およびアノード触媒層13を配置する。カソード触媒層12(第1触媒層12aおよび第2触媒層12b)ならびにアノード触媒層13は、本発明における触媒層の構成を実現可能な成分組成に調製された複数の触媒層形成用インクを用いて形成することができる。
触媒層形成用インクを調製するために用いる分散媒としては、高分子電解質を溶解可能または分散可能(高分子電解質の一部が溶解し、他の一部が溶解せずに分散している状態を含む)であるアルコールを含む液体を用いることが好ましい。分散媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコールおよびtert―ブチルアルコールのうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。これらの水およびアルコールは単独でも使用してもよく、2種以上混合してもよい。アルコールは、分子内にOH基を1つ有する直鎖のものが特に好ましく、エタノールが特に好ましい。このアルコールには、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル結合を有するものも含まれる。
また、触媒層形成用インクの組成は、カソード触媒層12(第1触媒層12aおよび第2触媒層12b)ならびにアノード触媒層13の構成に応じて、適宜調整すればよいが、固形分濃度0.1〜20質量%であることが好ましい。固形分濃度が0.1質量%以上であると、触媒層形成用インクの噴霧または塗布により触媒層を作製するにあたり、何回も繰り返し噴霧または塗布しなくても所定の厚さの触媒層が得られ生産効率が良い。また、固形分濃度が20質量%以下であると、混合液の粘度を適度に保持することができ、得られる触媒層を均一とし易い。固形分濃度で1〜10質量%であることが特に好ましい。
触媒層形成用インク(カソード触媒層12形成用インクおよびアノード触媒層12形成用インク、さらには、第1触媒層12a形成用インクおよび第2触媒層12b形成用インク)は、従来公知の方法に基づいて調製することができる。具体的には、ホモジナイザ、ホモミキサ等の撹拌機を使用する方法、高速回転ジェット流方式を使用するなどの高速回転を使用する方法、高圧乳化装置などの高圧をかけて狭い部分から分散液を押出すことで分散液にせん断力を付与する方法などが挙げられる。
上記触媒層形成用インクを用いてカソード触媒層12(第1触媒層12aおよび第2触媒層12b)ならびにアノード触媒層13を形成する際には、高分子電解質膜11に対して、直接形成する直接塗布法であっても間接的に形成する間接塗布方法のいずれを採用することも可能である。塗布法としては、スクリーン印刷法、ダイコート法、スプレー法およびインクジェット法などが挙げられる。このように直接塗布することによって膜触媒接合体を形成することができる。
間接塗布法としては、例えばポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタラート製の支持体上に、上記の方法で触媒層12を形成した後、熱転写により、高分子電解質膜11または先に形成した触媒層12上に形成する方法が挙げられる。このような支持体に触媒層を塗布することで触媒層単体を形成することができる
また、ガス拡散層14上へカソード触媒層12およびアノード触媒層13を形成した後、高分子電解質膜11と接合してもかまわない。このようにガス拡散層14に塗布することでガス拡散電極を形成することができる。
また、特に第1触媒層12aおよび第2触媒層12bの高分子電解質は、上記触媒担持粒子の担体の質量Wcatと、上記触媒担持粒子に付着した水素イオン伝導性を有する高分子電解質の質量Wpとの比Wp/Wcatが異なる場合、第1触媒層12a形成用インクおよび第2触媒層12b形成用インクを調製し、それぞれをスプレー法などにより塗布することで得られる。
上記のようにして、本実施形態の膜触媒層接合体またはガス拡散電極を得ることができる。
つぎに、上記のようにして得られた膜触媒層接合体を、図2に示すように、一対のガス拡散層14で挟持することにより、膜電極接合体20を得ることができる。この際、ホットプレスなどで膜触媒層接合体と一対のガス拡散層14とを接合すればよい。
さらに、上記膜電極接合体20のうちの高分子電解質膜11の周縁部に、当該周縁部を挟持するように一対のガスケット1を配置し、全体を一対のセパレータ2で挟持ことにより、本実施形態の高分子電解質形燃料電池(単電池)10を得ることができる。
単電池10複数個を含むスタックを構成する場合には、常法により、単電池10複数個を積層して積層体を得、当該積層体の両端に、集電体、絶縁板および端板を配置し、全体を締結してスタックからなる高分子電解質形燃料電池を作製することができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、カソード触媒層12は3以上の層で構成してもよく、アノード触媒層13をカソード触媒層12と同じ構成としてもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
《実施例1》
本実施例では、まず図2に示す構造を有する膜触媒接合体を作製した。
まず第1触媒層形成用インクを調製した。平均粒径が約5nmの白金コバルト合金粒子をカーボン粒子上に担持させた触媒担持粒子(PtCo触媒担持カーボン)(田中貴金属工業(株)製、50質量%が白金コバルト合金)と、水素イオン伝導性を有する高分子電解質溶液(旭硝子(株)製の商品名「Flemion」)とを、エタノールと水との混合分散媒(質量比1:1)に分散させた。さらに、触媒担持粒子の担体の質量Wcatに対する高分子電解質の質量Wpの比Wp/Wcatが2.0となるように、第1触媒層形成用インクを調製した。この第1触媒層形成用インクを用いて、総白金担持量が0.12mg/cm2で、寸法が60mm×60mmの第1触媒層12aを高分子電解質膜11(ジャパンゴアテックス(株)製の商品名「GSII」、150mm×150mm)の一方の面にスプレー法によって塗布し、形成した。
次いで、第2触媒層形成用インクを作製した。平均粒径が約2nmの白金コバルト粒子をカーボン粒子上に担持させた触媒担持粒子(Pt触媒担持カーボン)(田中貴金属工業(株)製、50質量%が白金コバルト合金)と、水素イオン伝導性を有する高分子電解質溶液(旭硝子(株)製の商品名「Flemion」)とを、エタノールと水との混合分散媒(質量比1:1)に分散させた。さらに、触媒担持粒子の担体の質量Wcatに対する高分子電解質の質量Wpの比Wp/Wcatが0.8となるように、第2触媒層形成用インクを調製した。この第2触媒層形成用インクを用いて、総白金担持量が0.48mg/cm2で、寸法が60mm×60mmの第2触媒層12bを第1触媒層12aの上にスプレー法によって塗布し、形成した。
次に、白金ルテニウム合金(物質量比;白金:ルテニウム=1:1.5モル比)粒子をカーボン粒子上に担持させた触媒担持粒子(PtRu触媒担持カーボン)(田中貴金属工業(株)製、50質量%がPt−Ru合金)と、水素イオン伝導性を有する高分子電解質溶液(旭硝子(株)製の商品名「Flemion」)とを、エタノールと水との混合分散媒(質量比1:1)に分散させた。さらに、触媒担持粒子の担体の質量Wcatに対する高分子電解質の質量Wpの比Wp/Wcatが0.8となるようにしてアノード触媒層形成用インクを調製した。このアノード触媒層形成用インクを、高分子電解質膜11のカソード触媒層12が形成された面とは反対側の面に、スプレー法によって塗布し、単層(1層)構造を有しかつ白金担持量が0.35mg/cm2で寸法が60mm×60mmのアノード触媒層を形成した。
このようにしてアノード触媒層13を形成することにより、図2に示す構造を有する本発明の膜触媒層接合体を作製した。
撥水処理が施されたカーボンクロスと、上記カーボンクロスの一方の面に設けられたフッ素樹脂およびカーボンを含有する撥水カーボン層と、を含むガス拡散層(ジャパンゴアテックス(株)製の商品名「CARBEL−CL」)を用意し、上記撥水カーボン層の中央部分がカソード触媒層12およびアノード触媒層13に接するように、2枚のガス拡散層で上記膜触媒層接合体を挟み、全体をホットプレスで熱圧着(120℃、30分、10kgf/cm2)し、図1に示す構造を有する本発明の膜電極接合体20を得た。
最後に、上記のようにして得た膜電極接合体を用い、図1に示す構造を有する高分子電解質型燃料電池(単電池)10を作製した。上記膜電極接合体20を、燃料ガス供給用のガス流路3および冷却水流路4を有するセパレータ2と、酸化剤ガス供給用のガス流路および冷却水流路を有するセパレータ2とで挟持し、両セパレータ間でカソードおよびアノードの周囲にフッ素ゴム製のガスケットを配置し、有効電極(アノードまたはカソード)面積が36cm2である単電池(本発明の高分子電解質型燃料電池)を得た。
《比較例1》
第1触媒層12aに含まれる金属触媒として平均粒径が2nmのPt触媒を用いた以外は、実施例1と同様にして膜触媒層接合体、膜電極接合体および単電池を作製した。
《比較例2》
第2触媒層13に含まれる金属触媒として平均粒径が5nmのPtCo触媒を用いた以外は、実施例1と同様にして膜触媒層接合体、膜電極接合体および単電池を作製した。
[評価試験]
上記実施例1ならびに比較例1及び比較例2で得られた単電池10のセル温度を70℃に制御し、アノード側のガス流路に燃料ガスとして水素ガスを供給し、カソード側のガス流路に空気をそれぞれ供給した。この際、水素ガス利用率を70%に設定し、空気利用率を40%に設定し、水素ガスおよび空気の露点がそれぞれ約70℃となるように加湿してから単電池に供給した。そして、電流密度0.3mA・cm-2で12時間、単電池を運転してエージングを行った。
(1)カソード触媒層の電気化学的比表面積(ECSA:Electro Chemical Surface Area )測定による評価
カソード触媒層12のECSAを評価するために、負荷電流密度を停止し、カソードに供給するガスを窒素ガスに変化させることでカソードを不活性雰囲気に完全に置換した。さらにカソードおよびアノードに流すガスの流量を、それぞれ300ccmに設定した。それ以外の条件は上記エージングの条件と同じとした。この状態において電気化学測定装置(北斗電工(株)製のHZ−3000)で、カソードを作用極、アノードを対極および参照極として、カソード電位をREST〜+1.0V(vs.RHE)、三角波の掃引速度を10mV/secで、カソードのサイクリックボルタンメトリー(CV)を測定した。
得られたCVの結果からH2の酸化波の電荷量を計算し、Ptに吸着したH2の量からカソード触媒のECSAを導き出した。
(2)電池出力特性評価試験
一定条件下の電池出力特性を評価するために、上記カソードのCV測定後、負荷電流密度0.2mA・cm-2とし、それ以外の条件は、上記エージングと同じ条件下で各単電池を運転し、10hr経過後の出力電圧を記録した。
(3)カソード電位サイクル試験
カソードの担持された金属触媒の凝集に対する耐性を評価するために、上記カソード触媒層のECSAの評価と同様の条件で、アノード電位を基準としてカソード電位を+0.1V〜+1.0Vまで数千回、サイクルさせた。このようなサイクル試験は電位が0V付近から+1V付近まで急激に変化することから燃料電池の運転・停止をほぼ単電池で模擬している。また、このような触媒材料の劣化はスタックにしても隣のセルの影響を受けずに単独で劣化することから単セルでの評価についても特に問題は無い。このようなサイクル試験の任意の回数においてサイクル試験を停止し、上述の(1)カソード触媒層のECSAおよび(2)電池出力の測定を行いカソード触媒層の劣化状態を把握した。この結果を表1にまとめた。なお、表1にはカソードの構成についても併せて記載した。
Figure 2007305427
表1の結果から明らかなように、実施例1における初期電圧は、粒径が2nmのPtを用いた比較例1の初期電圧と同等であり、粒径が5nmのPtCoを用いた比較例2の初期電圧に比べて上昇している。また、カソード電位サイクル試験における3000サイクル後のECSAの低下率は、比較例1に比べて実施例1および比較例2では抑制されており、電圧の低下も少ない。以上の結果から、実施例1は比較例1及び比較例2に比べて初期電圧を向上させ、さらに運転・停止時の劣化も抑制し得ることが確認された。
また、実施例1は比較例2に比較して、Pt触媒のみを使用する場合に比較し、PtCo合金触媒を使用することによるMEAのコストアップを十分に抑制できることが確認された。
本発明によれば、初期の電圧が高くかつ高分子電解質形燃料電池の急激な運転(起動)および停止による劣化ならびに電圧低下の抑制された高分子電解質形燃料電池を実現することができるカソード触媒層を提供することができる。また、本発明によれば、上記カソード触媒層を用いることにより、初期の電圧が高くかつ高分子電解質形燃料電池の運転および停止による劣化ならびに電圧低下の抑制された高分子電解質形燃料電池を実現することができる、膜触媒層接合体および膜電極接合体を提供することができる。さらに本発明によれば、上記膜電極接合体を用いることにより、初期の電圧が高くかつ高分子電解質形燃料電池の運転および停止による劣化ならびに電圧低下の抑制された高分子電解質形燃料電池を提供することができる。かかる本発明の高分子電解質形燃料電池は、高耐久の定置形および移動形の燃料電池として有用である。
本発明の高分子電解質型燃料電池の好適な一実施形態に搭載される単電池の基本構成の一例を示す概略断面図である。 図1に示す単電池1に搭載される膜電極接合体の基本構成の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1・・・ガスケット、2・・・セパレータ、3・・・ガス流路、4・・・冷却水流路、10・・・単電池、11・・・高分子電解質膜、12・・・カソード触媒層、12a・・・第1触媒層、12b・・・第2触媒層、13・・・アノード触媒層、14・・・ガス拡散層、15・・・カソード、16・・・アノード、20・・・膜電極接合体。

Claims (8)

  1. アノードと、カソードと、水素イオン伝導性を有しており前記アノードと前記カソードとの間に配置される高分子電解質膜と、を有する構成を含む高分子電解質形燃料電池用のカソード触媒層であって、
    担体および前記担体に担持された金属触媒を含む触媒担持粒子と、水素イオン伝導性を有する高分子電解質と、を含む少なくとも2層の触媒層で構成されており、
    前記高分子電解質膜側に接する側に位置する第1触媒層のうちの前記金属触媒の粒径R1と、前記高分子電解質膜に接しない側に位置する第2触媒層のうちの前記金属触媒の粒径R2と、が関係式:R1>R2を満たし、
    少なくとも前記第1触媒層に含まれる前記金属触媒が合金からなること、
    を特徴とする高分子電解質形燃料電池用のカソード触媒層。
  2. 前記第1触媒層のうちの前記金属触媒の粒径R1が5nm以上であること、を特徴とする請求項1に記載の高分子電解質形燃料電池用のカソード触媒層。
  3. 前記合金触媒がPt−Co合金であること、を特徴とする請求項1または2に記載の高分子電解質形燃料電池用のカソード触媒層。
  4. 前記第1触媒層における、前記触媒担持粒子の担体の質量Wcatと前記触媒担持粒子に付着した前記高分子電解質の質量Wpとの比Wp/Wcatが、前記第2触媒層から前記第1触媒層にかけて増加しており、
    前記第1触媒層における前記比Wp/Wcatが0.8〜3.0であり、かつ前記第2触媒層における前記比Wp/Wcatが0.2〜0.8であること、
    を特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の高分子電解質形燃料電池用のカソード触媒層。
  5. アノード触媒層と、カソード触媒層と、水素イオン伝導性を有しており前記アノード触媒層と前記カソード触媒層との間に配置される高分子電解質膜と、を少なくとも含む高分子電解質形燃料電池用の膜触媒接合体であって、
    前記カソード触媒層として、請求項1〜4のうちのいずれかに記載のカソード触媒層が搭載されており、当該カソード触媒層のうちの前記第1触媒層が前記高分子電解質膜と接していること、
    を特徴とする高分子電解質形燃料電池用の膜触媒接合体。
  6. 請求項1〜4のうちのいずれかに記載のカソード触媒層と、
    前記カソード触媒層のうちの前記第2触媒層と接するガス拡散層と、
    を少なくとも具備していること、
    を特徴とする高分子電解質形燃料電池用のカソードガス拡散電極。
  7. アノードと、カソードと、水素イオン伝導性を有しており前記アノードと前記カソードとの間に配置される高分子電解質膜と、を有する高分子電解質形燃料電池用の膜電極接合体であって、
    前記カソードが、請求項1〜4のうちのいずれかに記載のカソード触媒層を含み、
    前記カソード触媒層は、前記第1触媒層が前記高分子電解質膜に接するように配置されていること、
    を特徴とする高分子電解質形燃料電池用の膜電極接合体。
  8. 請求項7に記載の膜電極接合体を含むこと、を特徴とする高分子電解質形燃料電池。
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