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JP2007227841A - エッチング方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法 - Google Patents

エッチング方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法 Download PDF

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JP2007227841A
JP2007227841A JP2006049972A JP2006049972A JP2007227841A JP 2007227841 A JP2007227841 A JP 2007227841A JP 2006049972 A JP2006049972 A JP 2006049972A JP 2006049972 A JP2006049972 A JP 2006049972A JP 2007227841 A JP2007227841 A JP 2007227841A
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Abstract

【課題】エッチング時に発生するガスによる表面置換性の低下を防ぎ、エッチングムラをなくし、ウエハを均一にエッチングすることができるエッチング方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るエッチング方法は、エッチング液61によってウエハ60の表面をエッチングするエッチング方法であって、エッチング液61を貯えるエッチング処理槽62内に、エッチング液61の液面に対してウエハ60の被エッチング面が水平となるように配置し、ウエハ60を水平方向に所定の周期で揺動することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ウエットエッチングにより微細幅かつ高アスペクト比のトレンチ構造部を加工形成することができるエッチング方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法に関する。
液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドとして、たとえばインクジェット記録装置に搭載されるインクジェットヘッドが知られている。一般に、このインクジェットヘッドは、インク滴を吐出するための複数のノズル孔が形成されたノズル基板と、このノズル基板に接合されノズル孔に連通する吐出室や、リザーバ等のインク流路が形成されたキャビティ基板とを備え、吐出室に圧力を加えることによりインク滴を選択されたノズル孔より吐出するように構成されている。このようにインク滴を吐出させる手段としては、静電気力を利用する静電アクチュエータによる静電駆動方式や、圧電素子による圧電方式、発熱素子を利用するバブルジェット(登録商標)方式等が存在する。
このうち、静電駆動方式のアクチュエータを使用したインクジェットヘッドにおいては、吐出室の底部を振動板としたキャビティ基板と、この振動板に所定のギャップ(空隙)を介して対向する個別電極を形成した電極ガラス基板とを接合させた構成となっている。この個別電極は、振動板の変位を可能とするよう所定のギャップ長を確保するために、たとえば電極ガラス基板の表面に形成されたガラス溝の底面にITO(Indium Tin Oxide)等をスパッタして形成されている。
そして、インク滴を吐出する際には、個別電極に駆動電圧を印加してプラスに帯電させ、対応する振動板に駆動電圧を印加してマイナスに帯電させる。そうすると、この時に生じる静電引力により振動板が個別電極側に弾性変形する。この駆動電圧をオフにすると、振動板が復元する。このとき、吐出室の内部の圧力が急激に上昇し、吐出室内のインクの一部をインク滴としてノズル孔から吐出されることになる。このような静電駆動方式は、圧電素子による圧電方式、発熱素子を利用するバブルジェット(登録商標)方式等と比較して、消費電力が少ないという特徴を有している。
近年、このような静電駆動方式のアクチュエータを使用したインクジェットヘッドにおいては、高解像度画像の高速印字に対応するために、インクジェットヘッドの多ノズル化及び小型化が進行している。つまり、高印字性能を追求するために、液滴を吐出するためのノズル及び吐出室の高密度化が求められている。アクチュエータを高密度化する場合、ウエットエッチングにより基板を加工することが一般的となっている。
そのようなものとして、「所定のシリコン部材の表面に、所定のパターンを形成するに際し、エッチング液を含む処理槽内に、当該シリコン部材の被エッチング表面が当該エッチング液の液面に対して垂直或いは略垂直となるように配置し、当該エッチング液を静止状態に維持したままで、当該シリコン部材の中心部を通り、当該シリコン部材表面に対して直交する仮想中心線を中心として、当該シリコン部材を低速度で回転させる様に構成されたエッチング方法」が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
また、「アルカリ溶液を入れるエッチング槽と、前記エッチング槽の底部及び側部全面を覆う加熱槽と、前記加熱槽内に入れられた加熱流体を加熱するヒータと、前記エッチング槽内に出入り可能に設けられ、上面に半導体ウェーハを横向きに載せて保持する複数のチャック手段とで構成した半導体製造装置」が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
特開2000−340541号公報(第5頁及び第1図) 特開平6−224177号公報(第3頁及び第1図)
特許文献1に記載のエッチング方法は、容易なエッチング量の制御、鏡面性の高いエッチング面、選択比の向上により高精度なシリコン等方性エッチングを実現する手段として、エッチング処理槽内で被エッチング表面がエッチング液面に対して垂直或いは略垂直となるように配置し、当該エッチング液を静止状態に維持したままで、シリコン部材を低速回転させるようになっている。
しかしながら、微細幅のパターンにおいては、エッチングの深さが増すにつれ、反応ガスのエッチング溝内部の対流が起こり易くなり、エッチング液の表面置換性が低下してウエハ面内での均一なエッチングが困難となってしまうという問題があった。また、固定治具を用いてウエハを真空で吸着保持することが提案されているが、機構が複雑となってしまい、それと共に装置としても大きくなってしまうという問題があった。さらに、エッチング槽内のおける熱分布(温度のバラツキ)を拡大させることになり、ウエハの均一なエッチングを阻害してしまうという問題もあった。
特許文献2に記載の半導体製造装置は、エッチング処理槽内に半導体ウエハを横向きに並べた状態でエッチング用アルカリ溶液に浸けてエッチングを行うために、半導体ウエハの面内は同じ高さに保たれ、面内で温度差を生じないようになっている。したがって、反応に伴う気泡の発生量も面内で同じとなり、エッチングによるバラツキが生じないようになっていた。また、超音波発生器でエッチング槽を振動させて、発生するエッチングガスの表面滞在を抑制するようになっている。したがって、半導体ウエハの泡ぎれが良くなり、面内全域に亘って均一な異方性エッチングを行うことができるようになっていた。
しかしながら、エッチング槽内にチャック手段を複数設け、そのチャック手段で半導体ウエハを横向きに保持するようにしているため、半導体ウエハの処理枚数を増やすためには半導体製造装置を大型化しなければならないという問題があった。また、超音波発生器によってエッチング槽自体を振動させてエッチングを行なうために、超音波によって半導体ウエハの微細なパターンにダメージを与えかねないという問題もあった。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、エッチング時に発生するガスによる表面置換性の低下を防ぎ、エッチングムラをなくし、ウエハを均一にエッチングすることができるエッチング方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るエッチング方法は、エッチング液によって基板の表面をエッチングするエッチング方法であって、エッチング液を貯えるエッチング処理槽内に、該エッチング液の液面に対して基板の被エッチング面が水平となるように配置し、該基板を水平方向に所定の周期で揺動することを特徴とする。したがって、エッチング時に発生するガスによる表面置換性の低下を防ぎ、エッチングムラをなくし、基板を均一にエッチングすることができる。
本発明に係るエッチング方法は、基板を水平保持する治具に固定し、この治具に基板を固定した状態でエッチング液が貯えられているエッチング処理槽内に浸すことを特徴とする。したがって、基板を均一にエッチングすることができると共に、特別な吸着機構や複雑な手順、操作を必要としないで治具に基板を固定することができるので、エッチング処理に係るコストを低減することが可能になる。
本発明に係るエッチング方法は、治具に基板を固定し、基板が固定された複数枚の治具をカセットキャリアにセットした状態でエッチング液が貯えられているエッチング処理槽内に浸すことを特徴とする。したがって、比較的小さな容積のエッチング処理槽を使用することができるので、エッチングをする装置が大規模とならない。また、複数枚の基板を同時にエッチングできるので、生産効率が向上する。
本発明に係るエッチング方法は、基板がシリコン基板であり、このシリコン基板をエッチング液でエッチングすることを特徴とする。したがって、シリコン基板に高精度かつ高密度にパターンを形成することができる。つまり、エッチング処理されたシリコン基板を使用する装置の省スペース化や小型化に寄与することが可能になり、更に精度の高い装置を提供することができる。
本発明に係るエッチング方法は、エッチング液が水酸化カリウム水溶液であることを特徴とする。また、本発明に係るエッチング方法は、エッチング液が水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液であることを特徴とする。このように、エッチングする基板に応じてエッチング液を選択することができ、高精度かつ高密度なエッチングをすることにより高精度かつ高密度なパターン形成が実現できる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、シリコン基板と、シリコン基板に形成される振動板を駆動する個別電極が形成された電極ガラス基板とをシリコン基板の片面と個別電極との間にギャップを隔てて接合した接合基板の表面をエッチング液によってエッチングする液滴吐出ヘッドの製造方法であって、エッチング液を貯えたエッチング処理槽内に、該エッチング液の液面に対して接合基板の被エッチング面が水平となるように配置し、該接合基板を水平方向に所定の周期で揺動してエッチングし、該接合基板のシリコン基板上に流路を形成してキャビティ基板とすることを特徴とする。したがって、高精度かつ高密度な流路が形成されたキャビティ基板を作製できる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、接合基板を水平保持する治具に固定し、接合基板が固定された複数枚の治具をカセットキャリアにセットした状態でエッチング液が貯えられているエッチング処理槽内に浸すことを特徴とする。したがって、高精度かつ高密度な流路が形成されたキャビティ基板を同時に複数作製できるので、生産効率が向上する。
本発明に係る液滴吐出装置の製造方法は、上記の液滴吐出ヘッドの製造方法を含むことを特徴とする。したがって、上記の液滴吐出ヘッドの製造方法が有する効果を同様に有することになる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るエッチング方法の具体例な構成例を示す説明図である。図1に基づいて、実施の形態1に係るエッチング方法について説明する。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1では、エッチング方法がウエハ60の表面をエッチングによって所定のパターンを形成する場合を例に説明する。なお、ウエハ60は、後に説明するシリコン単結晶基板で構成される半導体基板であるキャビティ基板20やノズル基板10を想定したものである。たとえば、キャビティ基板20となるシリコン基板と電極ガラス基板30とを接合した接合基板をエッチングし、キャビティ基板20を完成させるようにするとよい。
エッチング処理槽62内には、所定のエッチング液(エッチャント)61を貯えておく。このエッチング液61は、エッチングする基板や目的に応じて決定すればよく、特に種類を限定するものではない。たとえば、エッチング液61としては、水酸化カリウム水溶液(KOH)や水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)等のアルカリ溶液であることが望ましい。
このエッチング処理槽62内のエッチング液61にウエハ60を浸す。ウエハ60は、ウエハホルダー63に保持されて、エッチング液61の液面に対して水平となるようにエッチング液の中に配置されるようになっている。このウエハ60は、ウエハホルダー63の先端に設けられている治具64に固定されるようになっている。この治具64は、ウエハ60を固定できるようになっていればよく、特に構造を限定するものではない。たとえば、ウエハ60と治具64とを真空吸着してもよく、ネジ等の部材を使用して固定してもよい。
ウエハ60のエッチングを行なう際には、ウエハホルダー63がウエハ60を水平方向に所定の周期で揺動するようになっている。ウエハ60への外的ストレスを低減するために、ウエハ60は、低速で揺動させるのが望ましい。ウエハ60を低速で揺動させれば、薄膜ダイアフラム構造のような外的ストレス耐性の低いものを形成する場合でも、高精度でエッチングすることができるのである。
また、ウエハ60は、エッチング液61の液面に対して水平に配置されるようになっているので、エッチングにより発生するガスが液面に対して垂直方向に移動するようになっている。さらに、ウエハ60を水平方向に揺動するので、そのガスを効果的にパターン形成部分から逃すことができるようになっている。つまり、エッチングで発生するガスの影響による表面置換性の低下を防ぐので、エッチングムラがなくなり、微細幅かつ高アスペクト比のパターン形成が実現できるのである。
ウエハ60を低速で揺動させれば、その影響によってエッチング処理槽62内のエッチング液61の撹拌作用にもなる。このように、エッチング処理槽62内のエッチング液61が撹拌されれば、エッチング処理槽61内でのエッチング液の濃度や温度の均一性を向上させることができる。したがって、ウエハ60を更に均一にエッチングすることが可能となり、微細幅かつ高アスペクト比のパターンが形成できるようになる。
実施の形態2.
図2は、本発明の実施の形態2に係るエッチング方法の具体例な構成例を示す説明図である。図2に基づいて、実施の形態2に係るエッチング方法について説明する。なお、実施の形態2では実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。この実施の形態2は、複数枚のウエハ60を同時にエッチングすることを可能にしたものである。
ウエハホルダー63の先端には、複数枚のウエハ60がセット可能なカセットキャリア66が設けられている。このカセットキャリア66は、底面の中央部が開口してある場合を例に示しているが、これい限定するものではない。また、カセットキャリア66の内部に5枚のウエハ60がセットされている場合を例に示しているが、これに限定するものではない。なお、実施の形態1で説明した治具64にウエハ60を固定し、この治具64をカセットキャリア66内にセットしてもよい。
カセットキャリア66は、内部に凸部68が形成されており、その凸部68にウエハ60を載置するようになっている。また、カセットキャリア66の側面には、エッチングにより発生するガスを効果的にカセットキャリア66の外部に逃す貫通穴67が複数形成されている。この貫通穴67は、ガスだけでなく、エッチング液61も出入り可能になっており、エッチング液61がエッチング処理槽62内で循環することによりエッチング液61のウエハ60表面における置換効率を高めることができるので、エッチング液61の濃度や温度の均一性を向上させることができるようになっている。
実施の形態2でも、複数枚のウエハ60がエッチング液61の液面に対して水平となるように保持されるようになっている。つまり、ウエハ60をセットするカセットキャリア66は、各ウエハ60を水平方向に載置可能な構造となっているのである。そして、ウエハホルダー63は、カセットキャリア66を水平方向に所定の周期で揺動することにより、ウエハ60のエッチングが行なわれる。
従来から、複数枚のウエハをセットできるカセットキャリアが存在しているが、ウエハ60をエッチング液61の液面に対して垂直となるような構造であることが多く、微細幅かつ高アスペクト比のパターン形成を行なう場合にエッチングムラができてしまう等の問題があった。また、エッチングにより発生するガスをパターン形成部分から効果的に逃すことについては配慮されておらず、このガスの影響によって発生するエッチングムラを解決するようのものではなかった。
さらに、エッチング処理槽62内でのエッチング液61を循環させないと、エッチング液61の温度にバラツキが生じてしまったり、エッチング液61の濃度に高低差が生じてしまったりして、これらによって更にエッチングムラが発生してしまうことになる。しかしながら、エッチング処理槽62やウエハ60を振動させてエッチング液61を撹拌するだけであり、各ウエハ60の間のエッチング液61が十分循環している状態ではなかった。
そこで、実施の形態2に係るエッチング方法では、複数枚のウエハ60を同時にエッチングする場合であっても、各ウエハ60が均一にエッチングされるようにして、微細幅かつ高アスペクト比のパターン形成ができるようになっている。つまり、ウエハ60をエッチング液61の液面に対して水平配置となるようなカセットキャリア66を使用し、カセットキャリア66を所定の周期で揺動することにより、微細幅かつ高アスペクト比のパターン形成を各ウエハ60に施すことが可能になっているのである。
実施の形態2では、複数枚のウエハ60を同時にセットできるカセットキャリア66を使用することが可能なので、エッチング処理槽62の容積を比較的小さいものとすることができる。つまり、大きな装置によらずともウエハ60をエッチングすることができる共に、エッチング処理槽62に貯えるエッチング液61も少量で済むことになる。したがって、ウエハ60のエッチングに要するコストを低減することができる。また、複数枚のウエハ60を同時に同様なエッチングが可能であるので、生産性の高いエッチング方法を提供することができる。
また、実施の形態2で使用するカセットキャリア66には複数の貫通穴67が形成されているので、カセットキャリア66を所定の周期で揺動させる場合に、エッチング液61の抵抗を低減することができる。したがって、カセットキャリア66を所定の周期で揺動させる場合に、揺動に必要なパワーを抑制することができるので、消費電力を効果的に節約することもできる。
実施の形態3.
図3は、実施の形態3に係る液滴吐出ヘッド100の分解斜視図である。図4は、液滴吐出ヘッド100が組み立てられた状態の概略構成を示す断面図である。図3及び図4に基づいて、実施の形態1または実施の形態2のエッチング方法を使用して得た液滴吐出ヘッド100の構成及び動作について説明する。なお、実施の形態3では、静電駆動方式で駆動する静電アクチュエータを搭載したデバイスの代表として、ノズル基板の表面側に設けられたノズル孔から液滴を吐出するフェイスイジェクトタイプの液滴吐出ヘッドを例に説明するものとする。
なお、実施の形態3では、フェイスイジェクトタイプの液滴吐出ヘッドである場合を例に説明するが、これに限定するものではない。たとえば、ノズル基板又はキャビティ基板の側面側に設けられたノズル孔から液滴を吐出するサイドイジェクトタイプの液滴吐出ヘッドでもよい。また、実施の形態3では、実施の形態1または実施の形態2のエッチング方法を適用して得た液滴吐出ヘッド100を例に説明するものとする。
図3に示すように、この液滴吐出ヘッド100は、ノズル基板10、キャビティ基板20及び電極ガラス基板30の3つの基板が順に積層されるように接合された3層構造を特徴としている。このキャビティ基板20の一方の面(上面)にはノズル基板10が接合されており、他方の面(下面)には電極ガラス基板30が接合されている。すなわち、キャビティ基板20を電極ガラス基板30とノズル基板10とが上下から挟む構造となっている。
この実施の形態では、電極ガラス基板30とキャビティ基板20とは陽極接合により接合するものとし、キャビティ基板20とノズル基板10とはエポキシ樹脂等の接着剤を用いて接合するものとして説明する。また、液滴吐出ヘッド100の電極ガラス基板30に形成する個別電極31には、図示省略のドライバIC等の電力供給手段によって駆動信号(パルス電圧)が供給されるようになっている。
[電極ガラス基板30]
電極ガラス基板30は、たとえば、厚さ1mmのホウ珪酸ガラス等のガラスを主要な材料として形成するとよい。ここでは、電極ガラス基板30がホウ珪酸ガラスで形成されている場合を例に示すが、電極ガラス基板30をシリコン単結晶で形成してもよい。この電極ガラス基板30の表面には、後述するキャビティ基板20の吐出室21の形状に合わせて複数のガラス溝32が、たとえば0.3μm(マイクロメートル)で形成されている。
また、このガラス溝32の内部(特に底部)には、固定電極となる個別電極31が、一定の間隔を有してキャビティ基板20の各吐出室21(振動板22)と対向するように作製されている。そして、このガラス溝32は、その一部が個別電極31を装着できるように、これらの形状に類似したやや大きめの形状にパターン形成されている。この個別電極31は、たとえばITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)を0.1μmの厚さでスパッタして作製するとよい。
また、個別電極31には、リード部33及び端子部34が作製されている。そして、個別電極31は、端子部34で図示省略のFPC(Flexible Print Circuit)等の電力供給手段と接続されており、その電力供給手段から個別電極31に駆動信号が供給されるようになっている。リード部33は、個別電極31と端子部34とを接続する部分である。なお、特に区別する必要がない場合は、リード部33及び端子部34を合わせて個別電極31として説明する。また、この電力供給手段と端子部34とが接続される部分を接続部35というものとする。
なお、電極ガラス基板30には、図示省略の外部のインクタンクから供給される液体を取り入れる流路となるインク供給穴25が設けられている。このインク供給穴25は、キャビティ基板20に形成するインク供給穴25と連通し、リザーバ23にインクを供給するようになっている。また、電極ガラス基板30には、封止剤40を充填するための封止剤注入穴を形成してもよい。この封止剤40は、たとえばエポキシ樹脂等であるとよい。
この封止剤40は、個別電極31と振動板22との間に形成されるギャップを封止して、そのギャップ内にエッチャント等の処理液を浸入させないようにするためのものである。また、図6では、個別電極31の短辺方向に伸びる2つの電極列を示している。なお、個別電極31の短辺が長辺に対して斜めに形成されており、個別電極31が細長い平行四辺形状になっている場合には、長辺方向に直角方向に伸びる電極列を形成するようにすればよい。
[キャビティ基板20]
キャビティ基板20は、たとえば厚さ約50μmのシリコン単結晶基板(以下、単にシリコン基板と称する)を主要な材料として構成されている。そして、このキャビティ基板20が、実施の形態1または実施の形態2のエッチング方法によって作製されるのである。このキャビティ基板20には、底壁が振動板22となる吐出室(または、圧力室)21が複数形成されている。この吐出室21は、個別電極31の電極列に対応して形成されるようになっている。また、キャビティ基板20には、各吐出室21に液滴を供給するためのリザーバ23が形成されている。
キャビティ基板20の下面(電極ガラス基板30と対向する面)には、振動板22と個別電極31との間を電気的に絶縁するためのTEOS膜(ここでは、Tetraethyl orthosilicate Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン(珪酸エチル)を用いてできるSiO2 膜をいう)からなる図示省略の絶縁膜をプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:TEOS−pCVDともいう)法を用いて、0.1μm成膜している。これは、振動板22の駆動時における絶縁破壊及びショートを防止するためと、インク等の液滴によるキャビティ基板20のエッチングを防止するためのものである。
ここでは、絶縁膜がTEOS膜である場合を示しているが、これに限定するものではなく、絶縁性能が向上する物質であればよい。たとえば、Al23(酸化アルミニウム(アルミナ))を用いてもよい。また、キャビティ基板20にも、インク供給穴25が設けられている(電極ガラス基板30に設けられたインク供給穴25と連通するようになっている)。さらに、電力供給手段から振動板22に個別電極31と反対の極性の電荷を供給する際の端子となる共通電極端子27を備えている。
なお、振動板22は、高濃度のボロンドープ層で形成するようにしてもよい。水酸化カリウム水溶液や水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液等のアルカリ溶液による単結晶シリコンのエッチングにおけるエッチングレートは、ドーパントがボロンの場合、約5×1019atoms/cm3 以上の高濃度の領域において、非常に小さくなる。このため、振動板22の部分を高濃度のボロンドープ層とし、アルカリ溶液による異方性エッチングによって吐出室21を形成する際に、ボロンドープ層が露出してエッチングレートが極端に小さくなる、いわゆるエッチングストップ技術を用いることにより、振動板22を所望の厚さに形成することができる。
[ノズル基板10]
ノズル基板10は、たとえば厚さ約100μmのシリコン基板を主要な材料として構成されている。そして、このノズル基板10も、実施の形態1または実施の形態2のエッチング方法で作製することができるのである。このキャビティ基板20の上面(電極ガラス基板30を接合する面の反対面)と接合している。このノズル基板10には、吐出室21と連通するノズル孔11が複数形成されている。各ノズル孔11は、吐出室21から移送された液滴を外部に吐出するようになっている。なお、ノズル孔11を複数段(たとえば、2段)で形成すると、液滴を吐出する際の直進性を向上できる。
ここでは、ノズル孔11を有するノズル基板10を上面とし、電極ガラス基板30を下面として説明するが、実際に用いられる場合には、ノズル基板10の方が電極ガラス基板30よりも下面となることが多い。また、ノズル基板10には、キャビティ基板20に形成する吐出室21とリザーバ23とを連通するオリフィス12が形成されている。さらに、ノズル基板10には、振動板22によりリザーバ23側の液体に加わる圧力を緩衝するためのダイヤフラム13が形成されている。なお、オリフィス12は、ノズル基板10ではなくキャビティ基板20に形成してもよい。
ここで、液滴吐出ヘッド100の動作について簡単に説明する。リザーバ23には、インク供給穴25を介して外部からインク等の液滴が供給されている。また、吐出室21には、オリフィス24を介してリザーバ23から液滴が供給されている。そして、ドライバIC等の図示省略の発信回路によって選択された個別電極31には、0V〜40V程度のパルス電圧が印可され、その個別電極31を正に帯電させる。
このとき、共通電極端子27を介してキャビティ基板20には負の極性を有する電荷が供給され、正に帯電された個別電極31に対応する振動板22を相対的に負に帯電させる。そのため、選択された個別電極31と振動板22との間では静電気力が発生することになる。そうすると、振動板22は、静電気力によって個別電極31側に引き寄せられて撓むことになる。
その後、個別電極31への電荷の供給を止めると、振動板22と個別電極31との間の静電気力がなくなり、振動板22はその弾性力により元の状態に復元する。このとき、吐出室21の容積が急激に減少するため、吐出室21内部の圧力が急激に上昇する。これにより、吐出室21内のインクの一部がインク滴としてノズル孔11より吐出されることになる。この液滴が、たとえば記録紙に着弾することによって印刷等が行なわれるようになっている。その後、液滴がリザーバ23から供給口32を通じて吐出室21内に補給され、初期状態に戻る。
実施の形態3では、キャビティ基板20と電極ガラス基板30とが接合されて接合基板であるウエハ60を形成するようになっている。そして、このウエハ60は、実施の形態1及び実施の形態2で説明したように、エッチング処理槽62内のエッチング液61の液面に対して水平配置となるように保持される。そして、キャビティ基板20に吐出室21やリザーバ23等をエッチングにより形成し、その後の製造工程に遷移するようになっている。つまり、キャビティ基板20は、高い加工精度が要求される部分であるために、実施の形態1または実施の形態2で説明したようなエッチング方法でパターン形成するのが望ましいのである。
実施の形態3に係る液滴吐出ヘッド100が電極ガラス基板30、キャビティ基板20及びノズル基板10からなる3層構造である場合を例に説明したが、これに限定するものではない。たとえば、液滴吐出ヘッドが電極ガラス基板、キャビティ基板、リザーバ基板及びノズル基板からなる4層構造であってもよい。また、実施の形態3では、キャビティ基板20と電極ガラス基板30とを陽極接合により接合しウエハ60を形成した場合を例に説明したが、これに限定するものではなく、陽極接合以外の接合方法でウエハ60を形成してもよい。
また、実施の形態3では、ウエハ60がキャビティ基板20と電極ガラス基板30とを接合して形成した場合を例に説明したが、これに限定するものではない。たとえば、ウエハ60は、エッチングにより表面処理が施される基板であればよく、特に限定するものではない。たとえば、キャビティ基板20と電極ガラス基板30とを積層させたものでなく、一枚の基板であってもよい。
実施の形態4.
図5は、液滴吐出ヘッド100を搭載した液滴吐出装置150の一例を示した斜視図である。図5に示す液滴吐出装置150は、一般的なインクジェットプリンタである。なお、この液滴吐出装置150は、周知の製造方法によって製造することができるが、実施の形態1または実施の形態2のエッチング方法を適用して得た液滴吐出ヘッド100を搭載しているので、キャビティ基板20の加工精度が高いものである。
なお、実施の形態3で得られた液滴吐出ヘッド100は、図5に示す液滴吐出装置150の他に、液滴を種々変更することで、液晶ディスプレイのカラーフィルタの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、生体液体の吐出等にも適用することができる。また、本発明の実施の形態に係るエッチング方法、液滴吐出ヘッド100及び液滴吐出装置150は、上述の実施の形態で説明した内容に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において変更することができる。
実施の形態1に係るエッチング方法の具体例な構成例を示す説明図である。 実施の形態2に係るエッチング方法の具体例な構成例を示す説明図である。 実施の形態3に係る液滴吐出ヘッドの分解斜視図である。 液滴吐出ヘッドが組み立てられた状態の概略構成を示す断面図である。 液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置の一例を示した斜視図である。
符号の説明
10 ノズル基板、11 ノズル孔、12 オリフィス、13 ダイヤフラム、20 キャビティ基板、21 吐出室、22 振動板、23 リザーバ、25 インク供給穴、27 共通電極端子、30 電極ガラス基板、31 個別電極、32 ガラス溝、33 リード部、34 端子部、35 接続部、40 封止剤、60 ウエハ、61 エッチング液、62 エッチング処理槽、63 ウエハホルダー、64 治具、66 カセットキャリア、67 貫通穴、68 凸部、100 液滴吐出ヘッド、150 液滴吐出装置。

Claims (9)

  1. エッチング液によって基板の表面をエッチングするエッチング方法であって、
    前記エッチング液を貯えるエッチング処理槽内に、
    該エッチング液の液面に対して前記基板の被エッチング面が水平となるように配置し、 該基板を水平方向に所定の周期で揺動する
    ことを特徴とするエッチング方法。
  2. 前記基板を水平保持する治具に固定し、
    この治具に前記基板を固定した状態で前記エッチング液が貯えられている前記エッチング処理槽内に浸す
    ことを特徴とする請求項1に記載のエッチング方法。
  3. 側面に複数の貫通穴が形成されているカセットキャリアに複数枚の基板をセットした状態で前記エッチング液が貯えられている前記エッチング処理槽内に浸す
    ことを特徴とする請求項1に記載のエッチング方法。
  4. 前記基板がシリコン基板であり、
    このシリコン基板を前記エッチング液でエッチングする
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエッチング方法。
  5. 前記エッチング液が水酸化カリウム水溶液である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエッチング方法。
  6. 前記エッチング液が水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエッチング方法。
  7. シリコン基板と、前記シリコン基板に形成される振動板を駆動する個別電極が形成された電極ガラス基板とを前記シリコン基板の片面と前記個別電極との間にギャップを隔てて接合した接合基板の表面をエッチング液によってエッチングする液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記エッチング液を貯えたエッチング処理槽内に、
    該エッチング液の液面に対して前記接合基板の被エッチング面が水平となるように配置し、
    該接合基板を水平方向に所定の周期で揺動してエッチングし、
    該接合基板のシリコン基板上に流路を形成してキャビティ基板とする
    ことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記接合基板を水平保持する治具に固定し、
    前記接合基板が固定された複数枚の前記治具を、側面に複数の穴が形成されているカセットキャリアにセットした状態で前記エッチング液が貯えられている前記エッチング処理槽内に浸す
    ことを特徴とする請求項7に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  9. 前記請求項7または8に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法を含む
    ことを特徴とする液滴吐出装置の製造方法。
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