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JP2007224482A - 紡績糸用耐炎繊維および不織布用耐炎繊維およびその製造方法 - Google Patents

紡績糸用耐炎繊維および不織布用耐炎繊維およびその製造方法 Download PDF

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JP2007224482A
JP2007224482A JP2007007067A JP2007007067A JP2007224482A JP 2007224482 A JP2007224482 A JP 2007224482A JP 2007007067 A JP2007007067 A JP 2007007067A JP 2007007067 A JP2007007067 A JP 2007007067A JP 2007224482 A JP2007224482 A JP 2007224482A
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flame resistant
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Daisuke Kawakami
大輔 川上
Tomihiro Ishida
富弘 石田
Koichi Yamaoka
孝一 山岡
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】
紡績糸や不織布製造時の工程通過性に優れ、製品である紡績糸や不織布が高品位となる耐炎繊維を得る。
【解決手段】
広角X線測定で得られる002相当面間隔が0.35nm以上である紡績糸用耐炎繊維、および広角X線測定で得られる002相当面間隔が0.35nm以上である不織布用耐炎繊維、ならびにそれらの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、紡績糸用耐炎繊維および不織布用耐炎繊維に関する。詳しくは、紡績糸や不織布製造時の工程通過性に優れる耐炎繊維およびその製造方法に関する。
耐炎繊維は優れた耐熱性を利用した各種の防炎布や防炎綿、または摺動性を利したブレーキパッド、あるいは電極材の前駆体として使用されている(例えば、非特許文献1〜3参照)。その形態の大部分は紡績糸織布や不織布である。これらの紡績糸織布や不織布は、フィラメントをカットしてステープル、チョップドファイバー、ミルドファイバーなどにし、次にこれらをほぐすためにカードやコーム工程を通過する。紡績糸ではこのあと一本一本の糸を一軸に並べる練条、粗紡、精紡工程などがある。また、不織布製造ではニードルパンチやスパンレース法が一般的に適用され、それぞれバーブや水流によってお互いの繊維を絡合させる。これらの工程では単繊維が様々な変形を受けるため、単繊維の破断が原因で工程中の製品が損傷したり、製品が破断して連続性を失い装置を止める必要が生じたり、単糸が空中を舞って作業環境を悪化させることがあった。
このような問題を解決するために、混紡(例えば、特許文献1参照)や複合繊維技術(例えば、特許文献2参照)、膜で固定する方法(例えば、特許文献3参照)などの技術が開示されている。しかし、これらの方法では耐炎繊維以外の成分が最終製品に残って耐炎性能を低下させたり、コストアップするなどの問題があった。
このような混紡や複合技術に頼らずに工程通過性の向上を図るためには、耐炎繊維自体を改良する必要がある。しかし、これまでの技術では繊維の破断強度を高めて工程通過性を向上することが基本的な技術思想であり、これを達成するために分子配向を高める努力がなされてきたにすぎず、また、耐炎繊維は炭素繊維製造の途中過程で得られる製品として位置づけられていたため、紡績糸や不織布の製造に適するように耐炎繊維の微細構造を積極的に制御したものはなかった。
例えば、ポリアクリロニトリル繊維を特定の有機化合物の存在下で熱処理することで、広角X線測定で得られる002相当面間隔が0.351nm以上の耐炎繊維が知られているが(例えば、特許文献4参照)、かかる文献に記載の耐炎繊維は、炭素繊維前駆体として使用が述べられているに過ぎず、紡績糸や不織布への応用について述べられていない。
また、アミン変性された耐炎ポリマーとその製造方法を提案されており、新しい一次分子構造を持つ耐炎繊維であるが(例えば、特許文献5参照)、特別な工夫無しには紡績糸や不織布の製造工程で十分な通過性を持っていなかった。
実開平01−002083号公報 特開昭59−043133号公報 特開昭59−020651号公報 特開2005−113305号公報 国際公開第05/080448号パンフレット ゾルテック社、「パイロン」パンフレット、[平成18年1月25日検索]、インターネット<URL: http://www.zoltek.com/pyron_products/yarns.shtml> SGLカーボンジャパン株式会社、「パノックス」パンフレット、[平成18年1月25日検索]、インターネット<URL:http://www.sglcarbon.com/sgl_t/fibers/panox.html> 東邦テナックス株式会社、「パイロメックス」パンフレット、[平成18年1月25日検索]、インターネット<URL: http://www.tohotenax.com/tenax/jp/products/pyromex.php>
本発明の目的は、上記背景技術に鑑み、特定の耐炎繊維の微細構造を実現することによって優れた力学特性を達成し、紡績糸や不織布製造時の工程通過性に優れる耐炎繊維を得ることである。
本発明の耐炎繊維は、上記目的を達成するために次の構成を有する。すなわち、広角X線測定で得られる002相当面間隔が0.35nm以上である紡績糸用耐炎繊維であるか、広角X線測定で得られる002相当面間隔が0.35nm以上である不織布用耐炎繊維である。
本発明の耐炎繊維の製造方法は、上記目的を達成するために次の構成を有する。すなわち、アミン変性された耐炎ポリマー溶液を湿式または乾湿式紡糸し、延伸後に80℃以上200℃未満で熱処理して上記耐炎繊維を得る耐炎繊維の製造方法である。
本発明の耐炎繊維は002相当面間隔が0.35nm以上であるため分子間相互作用が低く、引張り変形に対して応力が上昇しにくい。従って紡績糸や不織布の製造工程での急な変形によっても破断が起きにくく、工程通過性に優れる。
本発明における耐炎繊維は、広角X線測定で得られる002相当面間隔が0.35nm以上である紡績糸用耐炎繊維である。また、広角X線測定で得られる002相当面間隔が0.35nm以上である不織布用耐炎繊維である。
本発明の耐炎繊維は、X線回折により測定される002面に対応する面間隔が0.35nm以上である。X線回折により測定される002面に対応する面間隔は、環化構造の平均的な距離に対応しており、002が広いほど分子間の距離が長く、したがって相互作用が小さい。このような微細構造を持った耐炎繊維は引張り変形に対して分子同士がすべりを生じ、応力が増加しにくい。したがって紡績糸や不織布の製造工程で引張りの変形を受けても破断が起こりにくく、工程通過性が安定するのである。これまでの工程安定化に関する技術思想は単に強度を上げて単繊維の破断を防止するというものであったが、分子間の相互作用を低下することによって、意外にも工程通過性が飛躍的に向上することを見出し本発明に至った。このような繊維構造はポリアクリロニトリル系繊維を空気で耐炎化する従来の方法では得ることができず、たとえば以下に述べるアミン化合物変性耐炎繊維や特許文献4記載の方法によって達成可能なものである。ただし、特許文献4の方法はポリアクリロニトリル系繊維の耐炎化を有機化合物にて処理し、有機化合物が繊維と化学反応して増量することを特徴としている。このような方法は後工程で有機化合物を洗浄する必要が生じるために耐炎糸製造工程が煩雑化するため、以下に述べるようなアミン変性耐炎ポリマーを湿式または乾湿式紡糸する方法を採用することが好ましい。002面の面間隔は0.352nm以上であることが好ましく、0.354nm以上がより好ましい。さらに好ましくは0.355nm以上である。その上限は0.37nm程度である。0.35nmを下回ると、工程通過性の向上効果が不十分となる。該面間隔は、測定対象の耐炎繊維 を、CuKα線をX線源としX線回折し、赤道方向にスキャンして得られるスペクトルについて、2θ=24〜26°付近に現れる002面のピークに対応する回折角度2θから下記式により求めることができる。
面間隔d(nm)=λ/{2×sinθ}
λ:CuKα線の波長=0.15418nm
θ:ブラッグ角
本発明の耐炎繊維はアミン系化合物によって変性されていることが好ましい。「アミン系化合物によって変性され」とは、アミン系化合物で変性された耐炎ポリマーにより一部または全部が構成されてなり、具体的にはアミン系化合物が原料前駆体ポリマーと化学反応を起こした状態、または水素結合若しくはファンデルワールス力等の相互作用によりポリマー中に取り込まれた状態が例示される。アミン系化合物によって変性された耐炎ポリマーからなる耐炎繊維ということであり、耐炎ポリマーまたは耐炎繊維がアミン系化合物によって変性されているか否かは、以下の方法でわかる。
A.分光学的方法、例えばNMRスペクトルや赤外吸収(IR)スペクトル等を用い、変性されてないポリマーとの構造との差を解析する手段(以下、A法ともいう)。
B.後述する方法により耐炎ポリマー含有溶液中の耐炎ポリマー重量を測定し、原料とした前駆体ポリマーに対して重量増加しているか否かによって確認する手段(以下、B法ともいう)。
A法の場合、通常空気酸化によって得られたポリマー(アミン変性なし)のスペクトルに対し、アミンで変性された耐炎ポリマーのスペクトルには変性剤として用いたアミン化合物の由来する部分が新たなスペクトルとして追加される。
B法の場合、通常、一般に空気酸化によっては前駆体繊維の重量に対して、耐炎繊維は同程度の重量が得られるが、アミンで変性されることにより前駆体ポリマーに対して、1.1倍以上、さらに1.2倍以上に増加していることが好ましい。かかる重量変化が1.1倍未満であると、耐炎ポリマー溶液の安定性が低下して溶液のゲル化が起こる結果、口金詰まりを起こしたり耐炎繊維中で異物となる場合がありうる。またかかる増加量は、3倍以下が好ましく、2.5倍以下が拠り好ましく、2倍以下が更に好ましい。かかる重量変化が3倍を超えると耐炎繊維の耐炎性を損なう場合がある。
本発明において、耐炎とは、「防炎」という用語と実質的に同義であり、「難撚」という用語の意味を含んで使用する。具体的に耐炎とは燃焼が継続しにくい、すなわち燃えにくい性質を示す総称である。耐炎繊維の耐炎性能の具体的評価手段として、例えばJIS L 1091(1977)の燃焼試験方法を用いることができる。該方法により燃焼試験を行い、炭化長や残炎時間を測定することで耐炎性の有無を判定することができる。本発明の耐炎繊維は耐炎性能の度合いも非常に高度で全く着火しない耐炎性を持つものから、着火後に燃焼がある程度継続するものまで広範囲にまたがるものであるが、例えば、1500本の単繊維が合糸された耐炎繊維束の場合には、試料長を30cmとし、燃焼試験箱に設置した45°に傾斜した試験片支持わく内にセットし、高さ160mm、内径20mmのメッケルバーナーの火で10秒加熱し、残炎時間および炭化長を求めて、その値から耐炎性を評価することができる。本発明の耐炎繊維は少なくとも「耐炎性あり」(残炎時間10秒以下、15cm以下)であることが好ましく、「耐炎性良好」(残炎時間10秒以下、炭化長10cm以下)であることがより好ましく、「耐炎性能が優秀」(残炎時間が10秒以下、炭化長5cm以下)であることが更に好ましい。
本発明の耐炎繊維は、広角X線測定による分子配向が40%以上、65%未満であることが好ましい。分子配向を40%以上とすることで、繊維の強度を十分高くすることができ、紡績糸や不織布製造の工程中で単繊維切れが起きにくくなり、工程通過性が安定する。より好ましい分子配向度は45%以上であり、さらに好ましくは50%以上である。また、分子配向を65%未満とすることで、繊維の伸度を十分残すことができる。分子配向が65%以上であると急な伸長変形で繊維に働く応力が急増大し、単繊維の破断と工程不安定化の原因となることがある。より好ましくは63%以下、さらに好ましくは60%以下である。
本発明の耐炎繊維の比重は1.35以上であることが好ましい。耐炎繊維の比重は耐炎繊維を構成する耐炎ポリマーの分子量や残存ニトリル量によって変化するが、1.35未満であると単位重量あたりの耐炎繊維で比較した場合に糸が太くなり、紡績糸や不織布製造工程で単繊維の急な曲げ変形が起こったときに破断しやすくなる。より好ましくは1.40以上であり、更に好ましくは1.43以上であり、高ければ高いほど好ましいが、1.60を越える耐炎繊維を得ることは難しい。かかる比重は、JIS Z 8807(1976)に従った液浸法や浮沈法を利用して測定することができる。
本発明の耐炎繊維は、長繊維状であっても短繊維状であってもかまわないが、長繊維状の場合には後の工程でカットされ、紡績糸や不織布の製造に供される。捲縮はかかっていてもかかっていなくても構わないが、後の工程で捲縮されることが好ましい。捲縮糸として織物、編物、不織布等の布帛として用いる場合などに好適である。
また、本発明の耐炎繊維は、単繊維でも、単繊維の集合体でもよく、束状の繊維(以下、繊維束ともいう)が集合体の一例である。本発明の耐炎繊維が、集合体である場合には、その集合体における単繊維の断面積の変動係数は好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。単繊維断面積の変動係数が小さくなる、すなわち単繊維断面積のバラツキが小さくなることによって、高物性な耐炎繊維となる。ここで、単繊維断面積の変動係数は次のようにして求めることができる。すなわち、集合体を構成する単繊維が束状となるよう整列させ、その全体を樹脂で包埋し、その切片を顕微鏡観察し1000倍に拡大して写真をとり、単繊維全数が500本程度の場合は全数、1000本以上の場合でも全体の最低20%の本数をサンプリングし、単繊維断面積を例えば画像処理を用いて求め、その変動係数を計算で求めるのである。
また束状の繊維とする場合には、1束中の単繊維本数は使用目的によって適宜決められるが、高次加工性の点では、50〜100000本/束が好ましく、100〜80000本/束がより好ましく、200〜60000本/束が更に好ましい。
また、各単繊維の繊度は、0.00001〜100dtexが好ましく、0.01〜10dtexがより好ましい。
また、各単繊維の断面形状は、円、楕円、まゆ型、三角、中空、場合によっては不定形であってもよい。また、二重構造を有していても良い。
また、耐炎繊維に含まれる溶媒成分の残存量は10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下が更に好ましい。かかる溶媒残存率が10重量%を超えると耐炎性が損なわれる場合がある。
次に本発明の耐炎繊維の製造方法を説明する。本発明の製造方法は、アミン系化合物で変性されてなる耐炎ポリマー含有溶液を湿式または乾湿式で紡糸した後、水存在下で加熱延伸することが好ましい。
ここでいう「耐炎」とは前記の定義の通りであるが、耐炎ポリマーの耐炎性は、例えばJIS Z 2150(1966)(薄い材料の防炎試験方法(45°メッケルバーナー法))に基づいて測定することができる。すなわち評価すべき試料をバーナーで特定時間加熱し、着火後の残炎時間や炭化長等を評価することで判定できる。ポリマー段階では単離条件によってポリマー形状が変化し耐炎性の測定結果にばらつきがでやすいので、一定形状に成形して測定することが好ましい。具体的には不定形のポリマーの場合は粉砕して20μm程度の粒子とし、加圧成形機(圧力10MPa)を用いて直径20mm、厚さ1mmの円盤状ディスクを作製し、このディスクを、燃焼試験箱に設置した45°に傾斜した試験片支持わく内にセットし、高さ160mm、内径20mmのメッケルバーナーの火で10秒加熱し、残炎時間と燃焼後炭化物として残存するかどうか評価する。この方法により、試料の形状を保持したまま炭化物を含む全面積を測定し測定前の40%以上残存するものを用いるのが好ましく、70%以上残存するものを用いることがより好ましい。かかる方法で測定した残存量が40%未満のポリマーでは、得られる繊維の耐炎性が不十分な場合がある。
本発明に用いる耐炎ポリマー含有溶液中の「耐炎ポリマー」とは通常耐炎繊維や安定化繊維と呼称されるものの化学構造と同一または類似するものであり、ポリアクリロニトリル系ポリマーを前駆体とし空気中で加熱したもの、石油や石炭等をベースとするピッチ原料を酸化させたものやフェノール樹脂系の前駆体等が例示される。溶液化が容易な点からポリアクリロニトリルを前駆体として得られる耐炎ポリマーが好ましい。
ポリアクリロニトリル系ポリマーを前駆体とする場合であれば、耐炎ポリマーの構造は完全には明確となっていないが、アクリロニトリル系耐炎繊維を解析した文献(ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス,パートA:ポリマー・ケミストリー・エディション」(J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.Ed.),1986年,第24巻,p.3101)では、ニトリル基の環化反応あるいは酸化反応によって生じるナフチリジン環やアクリドン環、水素化ナフチリジン環構造を有すると考えられており、構造から一般的にはラダーポリマーと呼ばれている。
本発明に用いる耐炎ポリマー含有溶液は、耐炎ポリマー自体またはその溶液について核磁気共鳴(NMR)装置により13−Cを測定した場合、ポリマーに起因して150〜200ppmにシグナルを有する構造であることが好ましい。該範囲に吸収を示すことで、耐炎性が良好となる。
耐炎ポリマーの分子量は特に限定されず、紡糸方法に応じた粘性を有する分子量とすればよい。
また、本発明に用いる耐炎ポリマーとしては、アミン系化合物によって変性されたものが使用されることが好ましい。ここでいう「アミン系化合物によって変性された」状態としては、アミン系化合物が原料前駆体ポリマーと化学反応を起こした状態、または水素結合若しくはファンデルワールス力等の相互作用によりポリマー中に取り込まれた状態が例示される。耐炎ポリマー含有溶液中の耐炎ポリマーがアミン系化合物によって変性されているか否かは、前述の耐炎繊維の「アミン系化合物によって変性された」状態を確認すると同様の方法で確認することができる。
A法により確認して、通常空気酸化によって得られたポリマー(アミン変性なし)のスペクトルに対し、アミンで変性された耐炎ポリマーのスペクトルには変性剤として用いたアミン化合物の由来する部分が新たなスペクトルとして追加されている耐炎ポリマーを紡糸に用いることが好ましい。
或いはB法によって、通常、一般に空気酸化によっては前駆体繊維の重量に対して、耐炎繊維は同程度の重量が得られるが、アミンで変性されることにより前駆体ポリマーに対して、1.1倍以上、さらに1.2倍以上に増加している耐炎ポリマーを紡糸に用いることが好ましい。なお、B法により測定した増加量は、3倍以下が好ましく、2.5倍以下がより好ましく、さらには2倍以下であることが好ましい。かかる重量変化が1.1未満であると、耐炎ポリマーの溶解が不十分となる傾向があり、耐炎繊維とした時に、ポリマー成分が異物となる場合がありうる。一方、かかる重量変化が3倍を超えると得られる耐炎繊維の耐炎性を損なう場合がある。
耐炎ポリマーを得るためのアミン変性に用いることのできるアミン系化合物は1級〜4級のアミノ基を有する化合物であればいずれでもよいが、具体的にはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン等のエタノールアミン類やエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−アミノエチルピペラジン等のポリエチレンポリアミン等やオルト、メタ、パラのフェニレンジアミン等が挙げられる。
特にアミノ基以外にも水酸基等の酸素、窒素、硫黄などの元素を有する官能基を有していることも好ましく、アミノ基とこのようなアミン以外の官能基とも含め2以上の官能基を有する化合物であることが反応性等の観点から好ましい。これらは1種または2種以上併用して用いることができる。アミノ基以外の官能基を有する化合物、例えば水酸基を有する場合、水酸基が耐炎ポリマーを変性することもあり得る。
本発明において、耐炎ポリマーは、有機溶媒を溶媒とする溶液として用いることが好ましい。溶液とすることにより、耐炎ポリマーを湿式または乾湿式紡糸して繊維化することが可能となる。ここで耐炎ポリマー含有溶液とは、耐炎ポリマーを主とする成分が有機溶媒に溶解している溶液として定義する。ここで、溶液としては粘性流体であり、配管でポリマー溶液を輸送する時や口金からポリマーを押し出して賦形する際に流動性を有するものであればよく、室温で流動性を有するものはもちろんのこと、ある温度で流動性のない固体やゲル状物であっても、加熱やせん断力により加工温度付近で流動性を有するもの全てを含む。耐炎ポリマー含有溶液において、含まれる耐炎ポリマーは、5%重量以上、20重量%以下が好ましく、10重量%以上、15重量%以下がより好ましい。濃度が低い場合、本発明自体の効果を損じるわけではないが、生産性が低い場合があり、濃度が高い場合、流動性に乏しく口金から吐出しにくい場合がある。ここで耐炎ポリマー濃度は下記式で求められる。
耐炎ポリマー濃度(重量%)=100×耐炎ポリマー重量/耐炎ポリマー含有溶液重量
なお、耐炎ポリマー重量は熱重量分析装置(TG)を用いて、耐炎ポリマー含有溶液を窒素ガス中、50℃/分で300℃まで昇温した際に残存する固形成分の重量として求められる。また、適当な凝固剤(沈殿剤)を用いて固形ポリマーを分離できる場合は直接凝固ポリマーの重量から求めることができる。具体的には水不溶性ポリマーの場合、水中に耐炎ポリマー含有溶液を投入し、90℃の温水で水溶性成分を十分ポリマー中から洗浄除去し、乾燥した後の固形ポリマーの重量として求められる。
本発明で用いる耐炎ポリマーを溶解する有機溶媒には極性有機溶媒を使用することが好ましい。この溶媒には、アミン系溶媒を含むことができる。アミン系溶媒で変性された耐炎ポリマーは極性が高く、極性有機溶媒が該ポリマーをよく溶解するためである。このようなアミン溶媒としては、1級〜4級のアミン構造を有する化合物であればいずれであってもよい。かかるアミン系溶媒を用いることによって、耐炎ポリマーが均一に溶解した耐炎ポリマー含有溶液となり、かつ良好な成形性を兼ね備えた耐炎ポリマー含有溶液が実現するものである。
ここで極性有機溶媒とは水酸基、アミノ基、アミド基、スルホニル基、スルホン基等を有するもので、さらに水との相溶性が良好なもので、具体例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量200〜1000程度のポリエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等やアミン系有機溶媒として前記したモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン等のエタノールアミン類やエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−アミノエチルピペラジン等のポリエチレンポリアミン等やオルト、メタ、パラのフェニレンジアミン等をアミン変性剤と兼用して用いることができる。これらは1種だけで用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
とりわけ、ジメチルスルホキシドは耐炎ポリマーが水中で凝固しやすく、また緻密で硬いポリマーとなりやすいため、湿式紡糸にも適用可能な点から好ましい。
アミン化合物としては、アミノ基以外にも水酸基等の酸素、窒素、硫黄などの元素を有する官能基を有していることも好ましく、アミノ基とこのようなアミン以外の官能基とも含め2以上の官能基を有する化合物であることが溶解性の観点から好ましい。耐炎ポリマーがより均一に溶解した耐炎ポリマー含有溶液とすることで、異物の少ない耐炎繊維を得ることができる。
また、本目的を妨げない範囲で、例えば耐炎ポリマーが水溶性の場合には、水等の他の溶媒(例えば、水溶性溶媒)を極性有機溶媒と組み合わせて用いることで均一な溶液としてもよい。水を用いることは、後述する紡糸工程での溶媒除去が比較的容易である点やコストの観点から好ましい。水を添加する場合の添加量は耐炎ポリマー100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましく、20重量部以上が更に好ましい。水の添加量が5重量部未満であると溶媒除去を容易にする効果が十分でない場合がある。水の添加量が多すぎると耐炎ポリマーの安定性が不十分となる場合があるので、300重量部以下が好ましく、200重量部以下がより好ましく、150重量部以下が更に好ましい。
また、アミン系溶媒の場合、その他混合される少量成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量200〜1000程度のポリエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性有機溶媒が含まれていてもよい。かかる化合物をアミン系有機溶媒と併用することにより低コストで耐炎ポリマー含有溶液を得られるばかりでなく、後述する紡糸工程での溶媒除去が容易になり好ましい。
本発明における耐炎ポリマー含有溶液の粘度は、ポリマーを用いての紡糸温度、紡糸口金の種類等によってそれぞれ好ましい範囲とすることができる。一般的には50℃、剪断速度1s-1での測定において10〜100Pa・sの範囲が好ましく、20〜50Pa・sであればより好ましい。かかる粘度は各種粘度測定器、例えば回転式粘度計、レオメーターやB型粘度計等により測定することができる。いずれか1つの測定方法により上記範囲に入ればよい。また、かかる範囲外であっても紡糸時に加熱あるいは冷却することにより適当な粘度として用いることもできる。
次に、本発明に用いる耐炎ポリマー含有溶液を製造する方法の例を説明する。本発明における耐炎ポリマー含有溶液を得る方法としては、以下の方法が例示される。
A.前駆体ポリマーを溶液中で耐炎化する方法。
B.耐炎ポリマー成分溶媒に直接溶解する方法。
前記いずれの方法であっても原料となる前駆体ポリマーとしては、例えば、ポリアクリロニトリル系ポリマー、石油または石炭を原料とするピッチを原料とするポリマー、フェノール樹脂等を用いることができる。中でもポリアクリロニトリル系ポリマーは溶解性の点から好ましい。
ポリアクリロニトリル系ポリマーとしては耐炎化反応の進行しやすさおよび溶解性の点から、アクリロニトリル由来の構造を有するアクリル系共重合体からなるものが好ましい。かかるアクリル系共重合体の場合は、アクリロニトリル由来の構造単位を好ましくは85モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは99モル%以上含むアクリロニトリルとその他の共重合成分からなる共重合体からなるものが好ましい。かかるアクリロニトリル系共重合体を重合する方法としては、特に限定されないが溶液重合法、懸濁重合法、スラリー重合法、乳化重合法等が適用できる。
具体的な共重合成分として、アリルスルホン酸金属塩、メタリルスルホン酸金属塩、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルやアクリルアミドなどが挙げられる。また上述の共重合成分以外にも、耐炎化を促進する成分として、ビニル基を含有する化合物、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸を共重合することもでき、これらの一部又は全量を、アンモニア等のアルカリ成分で中和してもよい。アクリロニトリル系ポリマーの数平均分子量は1000〜1000000程度の任意のものを選択できる。数平均分子量は希薄溶液の極限粘度の測定等から求めることができる。
前駆体ポリマーを極性有機溶媒に溶解する場合には、前駆体ポリマーの形状・形態は粉末、フレーク、繊維状いずれでもよい。また、重合中や紡糸時に発生するポリマー屑や糸屑等もリサイクル原料として用いることもできる。好ましくは粉末状、とりわけ100μm以下の微粒子となっていることが、溶媒への溶解性の観点から特に好ましい。また、予めモノマーの段階から溶媒に溶解しておき、適当な重合方法によりポリマー化したポリマー溶液をそのまま用いることもできる。
耐炎ポリマーを直接極性有機溶媒に溶解する場合には、ポリマーとしては前記前駆体ポリマーを酸素雰囲気下、適当な温度、例えば200〜300℃で酸化したものを用いることができる。かかる耐炎化が進行したポリマーは、形状は特に限定されず、繊維状であっても、粒子状であっても、粉末状であっても、多孔質状であってもよい。かかる耐炎ポリマーとして、予め前記形状にした前駆体ポリマーを耐炎化したものを用いても良いし、例えば長繊維状前駆体ポリマーを耐炎化した後に、切断、加工するなどして適当な形状にしてもよい。また、市販の耐炎製品を用いても良いし、かかる耐炎製品を製造する過程で発生した屑類を用いても良い。かかる方法によれば、一旦発生した耐炎繊維屑を再利用して耐炎繊維を製造することが可能になる。
前駆体ポリマーをアミン系溶媒、あるいはアミン系化合物存在下、極性有機溶媒に溶解させる場合であっても、耐炎ポリマーをアミン系溶媒、あるいはアミン系化合物存在下、極性有機溶媒に溶解させる場合であっても、溶解は常圧下で行ってもよいし、場合によっては加圧下あるいは減圧下で行ってもよい。溶解に用いる装置としては通常の撹拌機付き反応容器以外にエクストルーダーやニーダ等のミキサー類を単独もしくは組み合わせて用いることができる。
この場合、アクリロニトリル系ポリマー100重量部に対して、アミン系溶媒、あるいはアミン系化合物と極性有機溶媒の合計を好ましくは100〜1900重量部、より好ましくは150〜1500重量部用いて溶解することがよい。
前駆体ポリマーをアミン系溶媒、あるいはアミン系化合物の存在下、極性有機溶媒に溶解した後に、耐炎化する場合に、耐炎化を十分進めるには酸化剤を用いることが好ましい。また耐炎化が進んだポリマーの耐炎化度をさらに上げるために、酸化剤を用いることができる。かかる酸化剤としては、有機若しくは無機の酸化剤を用いることができる。中でも空気を加えることは取扱いおよびコストの面で好ましい。また、耐炎化および溶液化を液相で均一的に進行させるためには溶媒系に混合しやすい酸化剤を用いることが好ましい。具体的にはニトロ系、ニトロキシド系、キノン系等の酸化剤が挙げられる。中でも、特に好ましいのはニトロベンゼン、o,m,p−ニトロトルエン、o,m,p−ニトロフェノール、ニトロキシレン等の芳香族ニトロ化合物を挙げることができる。これら酸化剤の添加量は特に限定されないが、前駆体ポリマー100重量部に対して、1〜80重量部が好ましく、3〜30重量部がより好ましく、5〜19重量部が更に好ましい。かかる配合比とすることで最終的に得られる耐炎ポリマー含有溶液の濃度を前記した好ましい範囲に制御することが容易となる。
前駆体ポリマーをアミン系溶媒、あるいはアミン系化合物の存在下、極性有機溶媒に溶解した後に、耐炎化する場合において、アミン系溶媒と酸化剤、あるいはアミン系化合物および極性有機溶媒と酸化剤は、前駆体ポリマーを加える前に混合していてもよく、前駆体ポリマーと同時に混合してもよい。先に前駆体ポリマーとアミン系化合物および極性有機溶媒、酸化剤を同時に添加し耐炎ポリマーを得る方法が不溶性物が少ない点で好ましい。もちろん、前駆体ポリマー、酸化剤、アミン系化合物、極性有機溶媒以外の成分をかかる溶液に混合することが妨げられるものではない。
かかる前駆体ポリマーとアミン系化合物および極性有機溶媒等の混合液を適当な温度で加熱することにより前駆体ポリマーの溶解および耐炎化を進行させる。この際、温度は用いる溶剤や酸化剤によって異なるが、120〜250℃が好ましく、140〜180℃がより好ましい。もちろん、予め耐炎化が進行した前駆体を溶解させた場合であっても加熱により更に耐炎化を進行させてもよい。
上記方法により得られた本発明で用いる耐炎ポリマー含有溶液中には未反応物や不溶性物やゲル等はない方が好ましいが、微量残存することもありうる。従って、繊維化の前に、焼結フィルターや金属または耐薬品性の金網、不織布、織布等を用いて未反応物や不要物をろ過・分散することが好ましい。また、フィルトレーションは少なくとも1回行うことが好ましく、複数回行うことがより好ましい。複数回フィルトレーションを行う場合には、焼結フィルターなど目が粗いフィルターを上流側、不織布や織布フィルターなど目の細かいものを下流に配置することが好ましい。
なお、本発明で用いる耐炎ポリマー含有溶液中にはシリカ、アルミナ、ゼオライト等の無機粒子、カーボンブラック等の顔料、シリコーン等の消泡剤、リン化合物等の安定剤・難燃剤、各種界面活性剤、その他の添加剤を含ませても構わない。また耐炎ポリマーの溶解性を向上させる目的で塩化リチウム、塩化カルシウム等の無機化合物を含有させることもできる。これらは、耐炎化を進行させる前に添加してもよいし、耐炎化を進行させた後に添加してもよい。
また、前記した極性化合物であるエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を含ませる場合には、アミン系有機溶媒にこれら化合物を添加しておいても良いし、前駆体ポリマーにこれらの化合物を含ませておいてもよい。
最終的に得られた耐炎ポリマー含有溶液の粘度はポリマー濃度や耐炎性の進行度合、溶媒の種類等によって、前記した好ましい範囲に適宜調整することができる。
本発明の耐炎繊維の製造方法は、前記耐炎ポリマー含有溶液を紡糸する工程と、水存在下で加熱延伸する工程、熱処理する工程を有することが好ましい。
耐炎ポリマー含有溶液を繊維状に紡糸する方法としては、プロセスの生産性を上げるために湿式紡糸法あるいは乾湿式紡糸法を採用することが好ましい。耐炎ポリマーとして水不溶性のものを選択すれば、水を凝固浴の1成分として用いることができる。
具体的に紡糸は前記した耐炎ポリマー含有溶液を紡糸原液とし、配管を通しブースターポンプ等で昇圧し、ギアポンプ 等で計量押出し、口金から吐出することによって行うことができる。ここで、口金の材質としてはSUSあるいは金、白金等を適宜使用することができる。
また、耐炎ポリマー含有溶液が口金孔に流入する前に、前記した無機繊維の焼結フィルターあるいは合成繊維例えばポリエステルやポリアミドからなる織物、編物、不織布などをフィルターとして用いて、耐炎ポリマー含有溶液をろ過あるいは分散させることが、得られる耐炎繊維において単繊維断面積のバラツキを低減される面から好ましい。
口金孔径(D)としては直径0.01〜0.5mm、孔長(L)としては0.01〜1mmの任意のものを使用できる。また、口金孔数としては10〜1000000までのものを好適に使用できる。孔配列としては千鳥配列など任意とすることができるし、分繊しやすいように予め分割しておいても良い。
口金から直接または間接に凝固浴中に紡糸原液を吐出し、凝固糸を得る。凝固浴液は、
紡糸原液に使用する溶媒と凝固促進成分とから構成するのが、簡便性の点から好ましく、凝固促進成分として水を用いるのがさらに好ましい。凝固浴中の紡糸溶媒と凝固促進成分の割合、および凝固浴液温度は、得られる凝固糸の緻密性、表面平滑性および可紡性などを考慮して適宜選択して使用されるが、特に凝固浴濃度としては溶媒/水=0/100〜95/5範囲が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜60/40が特に好ましい。また、凝固浴の温度は0〜100℃が好ましく、0〜50℃がより好ましく、0〜40℃が更に好ましく、0〜30℃が特に好ましい。また、凝固浴としてはプロパノールやブタノール等の水との親和性を低減させたアルコールなら100%浴として用いることができる。
得られた凝固糸の膨潤度は、好ましくは100〜1000重量%、より好ましくは200〜900重量%、さらに好ましくは300〜800重量%とする。可紡性の観点だけでなく、後工程の浴延伸性の観点からもかかる範囲が好ましく、かかる範囲であれば、得られる耐炎繊維集合体において単繊維断面積の変動係数をより小さくできる。また、かかる膨潤度であれば、凝固糸は、通常、結晶化度5%以下(非晶性)とすることができる。ここで、非晶性かどうかは広角X線回折により見出すことができる。
さらに凝固糸を追加浴に導くことが好ましい。この追加浴の役割は糸の集束性を保ちながら繊維中の溶媒を徐々に抽出するのが目的であり、必ずしも延伸する必要はない。追加浴液の組成は紡糸原液(耐炎ポリマー含有溶液)の溶媒と凝固液の混合物であることが好ましく、凝固液の濃度が工程を経るに従って高くなるように設定することが好ましい。また、凝固液としては水が好ましい。追加浴の数は1つであっても構わないが、2つ以上設置する方が繊維構造をより緻密なものにするのに有利であり、好ましい。浴の数に特に上限はないが、2つもあれば十分な性能の繊維を得ることができる。また、追加浴の温度は、40℃以上90℃以下が好ましく、50℃以上80℃以下がより好ましく、60℃以上70℃以下がさらに好ましい。40℃未満の温度では繊維構造を緻密化することが十分でない場合があり、製糸性が低下する。また、90℃を超える温度であると、繊維にマクロボイドが生成して繊維の物理的強度が低下する傾向にある。追加浴を複数設置する場合、その温度は段階的に上昇させることが好ましい。追加浴の後には、水洗浴を設置して水洗することが好ましい。水洗には温水を用いることが好ましく、温度は40℃以上90℃以下が好ましく、50℃以上80℃以下がより好ましく、60℃以上70℃以下がさらに好ましい。40℃未満の温度では水洗による溶媒除去が不十分となり、後工程で融着などが発生して製糸性が低下する場合がある。また、90℃を超える温度であると、繊維にマクロボイドが生成して繊維の物理的強度が低下する場合がある。なお、追加浴が水である場合には、追加浴を省略することができる。
また、追加浴中で繊維を延伸しても構わない。その延伸倍率は、1.0〜5倍、好ましくは1.1〜3倍、より好ましくは1.15〜2.5倍とするのがよい。この段階の繊維をあまり強く延伸すると、繊維が破断したり、繊度ムラが発生する場合があるが、上記範囲の延伸は張力によって繊維内部の溶媒を外部に絞り出す働きがあり、好ましい。
かかる抽出や延伸、水洗を経由した場合、そこで得られる繊維は、通常、結晶化度10%以下の非晶性となっている。ここで、非晶性か否かは先に記したように広角X線回折で確認できる。
上記のような方法で得られた水膨潤状態の繊維に、後述するような油剤を付与するのが好ましい。付与方法としては、繊維束内部まで均一に付与できることを勘案し、適宜選択して使用すればよいが、具体的には、繊維束の油剤浴中への浸漬、走行繊維束への噴霧および滴下などの手段が採用される。
ここで付与する際の油剤濃度は0.01〜20重量%が好ましい。ここで油剤とは、例えばシリコーンなどの主油剤成分とそれを希釈する希釈剤成分からなるものであり、油剤濃度とは主油剤成分の油剤全体に対する含有比率である。
かかる油剤成分の付着量は、繊維の乾燥重量に対する純分の割合が、0.1〜5重量%が好ましく、0.5〜4重量%がより好ましく、1〜3重量%がさらに好ましい。油剤成分の付着量が少なすぎると、単繊維同士の融着が生じ、得られる耐炎繊維の引張強度が低下することがあり、多すぎると、本発明の効果が得にくくなることがある。
凝固糸は乾燥されることが好ましく、油剤が付与された後に、乾燥されることがより好ましい。乾燥することによって繊維が緻密化し、工程通過性が向上する。乾燥方法としては乾燥加熱された複数のローラーや熱板に直接接触させることや熱風や水蒸気を送る、赤外線や高周波数の電磁波を照射する、減圧状態とする等を適宜選択し組み合わせることができる。熱風を送る場合、繊維の走行方向に並行あるいは直交方向に送風することができる。輻射加熱方式の赤外線は遠赤外線、中赤外線、近赤外線を用いることができるし、マイクロ波を照射することも選択できる。乾燥温度は50〜450℃程度の範囲で任意にとることができるが、 一般的に低温の場合には長時間、高温の場合には短時間で乾燥でき、また接触式乾燥は低温短時間、非接触乾燥の場合には高温長時間の処理となる。接触式乾燥の具体的な方法としてはローラーや熱板などが挙げられ、エネルギー効率の観点から有利である。非接触式乾燥の場合には高温長時間処理となるが、繊維へのダメージが少なく、繊維束の収束性が高くなるというメリットがあり、目的によってこの非接触式乾燥方式を用いても構わない。非接触式乾燥方法としては、乾熱装置を用いることが好ましい。乾熱装置による乾燥温度としては150℃以上280℃以下が好ましく、180℃以上250℃以下がより好ましい。処理時間は繊維束の単繊維繊度や総繊度に依存するので適宜調整される。また、接触式乾燥と組み合わせてそれぞれの利点を活かすこともできる。
乾燥に際しては、繊維が結晶化しないように温度を制御することが重要である。繊維が結晶化すると、後工程で延伸熱処理する場合に延伸性が低下することがある。結晶化の程度は温度や張力(延伸比)等で制御することができる。乾燥工程では延伸することもできる。ただし、繊維構造が緻密化する乾燥工程で高倍率の延伸をすると単繊維切れがおきやすく、毛羽が発生する場合がある。従って乾燥工程での延伸は工程通過性を改善するための補助的なものにすることが好ましく、延伸倍率は1.05倍以上2倍以下が好ましく、1.1倍以上1.5倍以下であることがより好ましい。
乾燥後の繊維の比重は、1.2以上であることが好ましい。比重が1.2未満である繊維はボイドを含んで脆弱であったり、分子間の相互作用が低いことがある。比重が1.2以上であれば、ボイドが少なく工程通過性が十分に保たれ、後の延伸工程での糸切れも少ない。また、分子間の相互作用が十分であるので、延伸を行うことで分子の配向が向上する。ボイドがなく、分子間相互作用が十分であれば好ましく延伸できるので比重は高いほど好ましく、上限は特にないが、1.5以下であることが好ましい。比重が1.5を超えると延伸に伴う張力が高くなりすぎ、十分に分子配向を高められないまま糸切れに至ることがある。また、それをカバーするために、例えば後述するスチーム延伸温度を高くすると水の蒸発が早くなりすぎ、分子を可塑化する水が不足して延伸効果が低減することがある。比重のより好ましい範囲は1.25〜1.45である。なお、比重は液浸法や浮沈法によって測定できる。
乾燥後の繊維のアクリル基残存率は10%以上、50%以下であることが好ましい。ここでいうアクリル基残存率とは、繊維を構成する耐炎ポリマー分子において、酸化反応によって酸化されなかったアクリル基の割合を言う。具体的な評価方法としては、赤外分光法を使用することができる。凍結粉砕などで細かく粉砕した繊維試料を2mg秤量し、300mgのKBrと共に乳鉢などでさらに粉砕・混合する。これを減圧下で錠剤化し、赤外分光を測定する。2240cm-1付近に現れるピークがアクリル基のピークであり、これのピーク面積を測定する。一方、同様にしてポリアクリルニトリルを赤外分光にて測定し、2240cm-1付近に現れる面積を測定する。測定サンプルのピーク面積をポリアクリルニトリルのピーク面積で除したものに100を掛け、アクリル基残存率と定義する。アクリル基残存率が10%以上であることにより、分子のフレキシビリティーが確保され、スムーズな延伸が可能となる。より好ましいアクリル基残存率は20%以上、さらに好ましくは25%以上である。また、アクリル基残存率は50%以下が好ましい。これよりもアクリル基が多く残存すると、後の工程で行う熱処理工程が高温または長時間の処理となり、設備的な負担が大きくなってしまう。より好ましいアクリル基残存率は40%以下、さらに好ましくは35%以下である。
乾燥後の繊維における単繊維の断面積の変動係数は、好ましくは5〜30%、より好ましくは7〜28%、さらに好ましくは10〜25%である。単繊維断面積の変動係数が小さい、すなわち単繊維断面積のバラツキが小さいことによって、かかる耐炎繊維は、後に述べる延伸工程や必要に応じて行われる乾燥工程や熱処理工程での延伸性が向上し、より高倍率での延伸が可能となるため、高物性な耐炎繊維が得られるようになる。ここで、単繊維断面積の変動係数は次のようにして求めることができる。すなわち、集合体を構成する単繊維が束状となるよう整列させ、その全体を樹脂で包埋し、その切片を顕微鏡観察し1000倍に拡大して写真をとり、単繊維全数が500本程度の場合は全数、1000本以上の場合でも全体の最低20%の本数をサンプリングし、単繊維断面積を例えば画像処理を用いて求め、その変動係数を計算で求めるのである。また、乾燥後の繊維集合体における単繊維の伸度は0.5〜5%であることが好ましい。さらに、乾燥後の繊維集合体は、示差走査熱分析(DSC)で求めた酸化発熱量(J/g)が50〜400であることが好ましい。場合によって連続乾燥ではなくバッチ的な乾燥を行うこともできる。
本発明の製造方法は、前記耐炎ポリマー含有溶液を紡糸して得られた凝固糸を、好ましくは上記のような乾燥工程等を経た後、水存在下で加熱延伸を行うことが好ましい。かかる工程を経ることにより、前記した広角X線による分子配向度が40%以上、65%未満の耐炎繊維を容易に得ることができるのである。
かかる延伸工程には、温水または熱水を用いた浴延伸、またはスチームを用いた延伸、あらかじめ繊維に水を付与した後に乾熱装置やロールで加熱延伸するなど、繊維が水を含んだ状態で加熱する方法を用いることが好ましく、スチーム延伸によって加熱・延伸することが特に好ましい。これはアミン変性された本発明の耐炎ポリマーが、水によって著しく可塑化するという発見に基づくものである。一般に本発明の耐炎ポリマーように剛直な化学構造を持つ分子からなる繊維を延伸配向することには困難である。なぜなら、一般に剛直な分子鎖を持つポリマーは融点やガラス転移点が高く、温度をかけただけでは可塑化せずに熱分解が起こってしまうことが多い。このような剛直なポリマーを配向するために、例えばパラ系アラミドなどはポリマーを液晶状態に調整して紡糸口金の中で配向させるなど、特別な工夫が必要である。しかし、我々は鋭意検討の末、本発明のアミン変性耐炎繊維が特定の水分と温度条件で延伸が可能であることを発見したのである。気相酸化反応によって得られた耐炎繊維は一般に5%以上の水分率を含有することは知られているが、酸素のランダムな酸化反応によって分子間に架橋が形成されているために延伸は困難である。一方、本発明のアミン変性ポリマーは分子間に架橋を持たないと推定され、分子間相互作用を切断すれば分子が可塑化すると考えられる。従って、前記した耐炎ポリマー含有溶液を用いてこれを湿式または乾湿式紡糸するという本発明の特徴によって初めて、水による延伸が可能となり、高緻密度でかつ高配向度の耐炎繊維が得られるのである。
浴延伸を用いる場合、その温度は好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、さらには90℃以上で延伸することが好ましい。この段階では繊維構造は既に緻密化しており、温度を上げてもマクロボイドを発生する心配はなく、可能な限り高温で延伸した方が分子配向の効果が高く、好ましい。浴には水を用いるのが好ましいが、溶媒やその他の化合物を添加してさらに延伸性を高めても構わない。
延伸温度は高い方が好ましいが、浴延伸では100℃が基本的に上限となる。そこで、スチームを用いた延伸がより好ましく用いられる。その温度は高い方が良いが、飽和蒸気を用いる場合には装置の内圧が高いため、蒸気の吹き出しによって繊維がダメージを受けることがある。配向度として40%以上65%未満の耐炎繊維を得る目的からは100℃以上150℃以下の飽和蒸気圧を用いればよい。温度が150℃を超えるとその可塑化効果は徐々に頭打ちとなり、蒸気吹き出しによる繊維のダメージの方が大きくなる。飽和蒸気を用いた延伸処理装置としては繊維入口及び出口に複数の絞りを設けて処理装置内部を加圧する工夫をした装置が好ましく用いられる。
蒸気の吹き出しによる繊維のダメージを防ぐために、スーパーヒートした常圧高温スチームを使用することも可能である。これは常圧スチームを電熱や水蒸気、誘導加熱などを用いて加熱した後に延伸処理機に導入することによって可能となる。その温度は100℃以上170℃以下が可能であるが、110℃以上150℃以下が好ましい。温度が高すぎるとスチームが包含する水分が低下し、繊維の可塑化効果が得にくくなる。
浴延伸、スチームによる延伸倍率は、所望の分子配向が得られるように適正化される。延伸倍率は延伸直前の繊維の微細構造によって変化するために一義に決定することは難しいが、1.2倍以上、2倍以下が好ましく、1.5倍以上、1.8倍以下がさらに好ましい。
また、本発明の本質は水分による耐炎繊維の可塑化効果を利用することにあり、浴延伸やスチーム延伸に手段は限定されない。例えば、水分を付与した後に乾熱炉やホットローラーで加熱延伸することなども可能である。
乾熱炉を用いた非接触式延伸機、さらに接触板やホットローラーなどの接触式延伸機も使用可能である。しかし、接触式延伸機の場合には水分の蒸発が速く、また延伸が起こるポイントで繊維が機械的に擦過される可能性が高い。また、非接触式延伸機の場合には必要とされる温度が250℃以上となり、場合によっては空気中の酸素によってポリマーの熱分解や002面間隔が必要以上に小さくなる恐れがある。さらに、延伸効果は低く、高配向の耐炎繊維を得ることは水分を用いた延伸方法より低い。これらの理由から、浴延伸やスチーム延伸がより好ましく、もし乾熱装置を使用する場合には不活性ガスで内部を充満することが好ましい。
こうして延伸された繊維は、必要に応じて再度乾燥させることが好ましい。繊維の水分率は10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。この乾燥方法としては乾燥加熱された複数のローラーや熱板に直接接触させることや熱風や水蒸気を送る、赤外線や高周波数の電磁波を照射する、減圧状態とする等を適宜選択し組み合わせることができるが、効率的な乾燥を行うために、ローラーによる乾燥が好ましい。この工程での乾燥が不十分であると、その後の熱処理工程で繊維に張力を与える際に繊維切れの原因となることがある。
本発明において、耐炎ポリマーから好ましくは湿式または乾湿式し、乾燥、延伸、乾燥工程を経た繊維は、80℃以上200℃未満の温度で酸素存在下、熱処理されることが好ましい。本発明で用いる耐炎ポリマーは分子間に架橋が少なく、これを製糸、乾燥、延伸しただけの繊維を使用すると、条件によっては最終製品が高温や薬品に曝された時に配向緩和が起こることがある。これを防止するためには延伸工程の後に熱処理を行う必要がある。その温度は熱処理の効果を十分発揮するために80℃以上である必要があり、120℃以上がより好ましく、150℃以上が更に好ましい。また、002面間距離を0.35nm以上に制御するためには200℃未満とすることが好ましい。より好ましくは190℃以下、更に好ましくは180℃以下である。この熱処理方法には特に制限はなく、加熱された複数のローラーや熱板に直接接触させることや熱風や水蒸気を送る、赤外線や高周波数の電磁波を照射する、減圧状態とする等を適宜選択し組み合わせることができるが、化学反応の制御や繊維構造のムラを抑制するために、乾熱装置を用いることが好ましい。
処理時間は短い方が、生産効率が高いので好ましいが、製品の必要特性に応じて適宜調整される。具体的には、処理時間は0.01〜60分の任意の値を取ることができる。また、熱処理を施す際には延伸を施すことが好ましい。延伸処理を施すことによってさらに分子配向を高めることができる。その延伸倍率は1.05〜4倍が好ましい。延伸倍率は必要とされる耐炎繊維の微細構造や強度・伸度、繊度、工程通過性、あるいは熱処理温度から設定される。
熱処理する際には、上記の微細構造を実現するために酸素存在下で行うことが好ましい。その濃度は10モル%以上であることが好ましく、15モル%以上がより好ましい。この条件であれば十分に微細構造の形成を進めることができる。一方、上限は特に無いが80モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、40モル%以下がさらに好ましい。酸素濃度が高すぎると、酸化反応の暴走によって生産が安全に行われない可能性がある。もっとも好ましい熱処理に使用される気体は、空気である。
こうして得られた繊維は炎をつけても燃焼を起こさないことが好ましく、そのLOI(最低酸素指数)が40以上であることが好ましい。さらに本発明の耐炎繊維は高配向・高密度であり、機械的特性が高く、薬品や熱などに対する環境耐性が高い。
機械的特性として、本発明の耐炎繊維を構成する単繊維引張強度は1.2g/dtex以上とすることができる。強度は1.5g/dtexがより好ましく、2g/dtexがさらに好ましい。残留伸度は10%以上であることが好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上であれば更に好ましい。
本発明の耐炎繊維は強度(g/dtex)と伸度(%)の積で定義されるタフネスを高くすることも可能である。タフネスは20g/dtex・%が好ましく、30g/dtex・%がより好ましい。かかる引張強度・弾性率・伸度は万能引張試験器(例えばインストロン社製 モデル1125)を用いて、JIS L1013(1999)に準拠して測定できる。
本発明の耐炎繊維には高次加工の必要性に応じて油剤成分を適宜付与することができる。油剤成分の種類としては特に限定されず、ポリエーテル系、ポリエステルの界面活性剤、シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンを単独あるいは混合して付与することができるし、その他の油剤成分を付与してもよい。
耐炎繊維集合体が複数本の単繊維からなる束状である場合には、1束に含まれる単繊維の数は、使用目的に合わせて適宜選べるが、前記した好ましい本数とするには、口金孔数によって調整することもできるし、複数本の繊維束を合糸してもよい。
また、単繊維の断面形状は前記した様々な形状とすることができるが、これは丸孔、楕円孔、スリット等の口金吐出孔の形状と溶媒除去する際の条件によって制御することができる。
こうして得られた耐炎繊維は、紡績糸または不織布用途に供される。本発明の耐炎繊維は通常長繊維状の形態で得られるため、必要に応じて捲縮され、次にカットされてステープル化することが好ましい。ステープル化された耐炎繊維は定法に従ってカード、必要によりコーム工程を通ることが好ましい。このとき、本発明の耐炎繊維は空中に飛散する単繊維が少なく、本工程で繊維の破断や脱落が少ない効果が顕著である。通常の紡績糸工程ではさらに練条、粗紡、精紡工程と進み、この間耐炎繊維糸条は徐々に引き揃えられ、撚りがかかるなどの外部変形を与えられる。例えばこれらの工程においても耐炎繊維は断糸することが従来の耐炎繊維に比べて少なく、工程通過性が良好である。また、不織布製造にはインターレース加工やニードルパンチが好ましく用いられ、前者ではウオータージェットパンチ後の回収水に混じる破断単繊維が極めて少なく、後者ではバーブによる単繊維切れが少なく、効率的に絡合が行われるという効果がある。得られた製品の品位も格段に高く、製品からの短い単繊維の脱落がなく、また工程途中での断糸が少ないので力学的特性も外観もすぐれたものとなる。
こうして得られた紡績糸や不織布は、耐熱材料として広く使用することができる。最終製品は紡績工程や不織布工程でのトラブルが少ないため、製品に欠陥が少ない高品位のものとなる。また、紡績工程や不織布工程だけでなく最終製品への加工工程での工程通過性に優れるため、低コストを実現することができる。
具体的な用途としては、耐熱フェルト、耐熱服、防炎服、断熱材、摩擦材、耐熱性濾布などに好適に用いることができる。本発明の耐炎糸は従来の耐炎繊維よりも分子配向を制御しやすいので弾性率を適切に調整することができ、所望の風合いや嵩密度を実現ことができる。
また、耐炎繊維をさらに炭化して耐熱ブレーキパッド、各種炭素/炭素コンポジットや電極に用いることも可能である。
次に実施例により本発明をより具体的に説明する。なお実施例では、各物性値または特性は以下の方法により測定した。各実施例、比較例の製造条件、得られた耐炎繊維の特性等は表1にそれぞれまとめて示した。
<<ポリマーの評価>>
<耐炎ポリマー含有溶液の濃度>
耐炎ポリマー含有溶液約15mgを精秤し、熱重量天秤装置(略称TG装置)を用いて、25℃より20℃/分で300℃まで加熱した時点での残存固形分を耐炎ポリマー量として測定し、かかる耐炎ポリマー量を耐炎ポリマー含有溶液量で除して百分率で耐炎ポリマー濃度(重量%)を求めた。なお、熱重量天秤装置としてはセイコーインスツルメンツ(株)製 TG−DTA2000SAを用いた。
また、水中にて完全に凝固する耐炎ポリマーの場合は耐炎ポリマー含有溶液5gを90℃に加熱した水1Lで30分処理を3回繰り返し、固形成分だけを集め120℃で1時間乾燥し耐炎ポリマーを分離した。その重さを測定し、かかる耐炎ポリマー量を耐炎ポリマー含有溶液量で除して百分率で耐炎ポリマー濃度(重量%)を求めた。
<耐炎ポリマー含有溶液の粘度>
ソリキッドメータ(レオロジ社製)のプレート−プレート型レオメーターを用いて、条件として周波数0.1Hz、振幅1゜で測定した。測定温度は25℃〜150℃まで測定し、50℃の値を代表値とした。
<アクリル基残存量>
凍結粉砕で細かく粉砕した繊維試料を2mg秤量し、300mgのKBrと共に乳鉢でさらに粉砕・混合した。これを減圧下で錠剤化し、Perkin Elmer社製FT−IR装置 PARAGON1000にて赤外分光を行った。2240cm-1付近に現れたピーク面積を測定し、ポリアクリロニトリルのピーク面積を以下の計算式、
アクリル基残存率(%)=測定サンプルのIRピーク面積/ポリアクリロニトリルのIRピーク面積×100
によって比較しアクリル基残存率を定義した。
<<繊維の評価>>
<耐炎性の評価法>
繊維の耐炎性は合糸による24000本のフィラメントで試料長を30cmとし、JIS L 1091(1977)に準じて、高さ160mm、内径20mmメッケルバーナーの炎で10秒間加熱し、残炎時間および炭化長を求めその値から耐炎性を評価した。耐炎性は、「耐炎性優秀」(残炎時間が10秒以下、炭化長5cm以下)、あるいは「耐炎性良好」(残炎時間10秒以下、炭化長10cm以下)、「耐炎性あり」(残炎時間10秒以下、炭化長15cm以下)、「不良」(残炎時間が10秒を超える、炭化長が15cmを越える)と判定した。測定数はn=5とし、もっとも該当数が多かった状態をその試料の耐炎性とした。評価が決まらない場合にはさらにn=5の評価を追加し、評価が決まるまで繰り返し測定した。
<膨潤度>
膨潤糸の表面の付着水を吸い取り紙で十分除去した後の重量(WB)と、これを180℃×2時間熱風乾燥機で乾燥した後の重量(WB0)から、以下の計算式、
B(重量%)={(WB−WB0)/WB0}×100
を用いて求めた。
<水分率>
繊維の重量(WW)と、これを180℃×2時間熱風乾燥機で乾燥した後の重量(WW0)から、以下の計算式、
W(重量%)={(WW−WW0)/WW0}×100
を用いて求めた。
<各種繊維集合体における単繊維引張強度、伸度、弾性率、タフネス>
いずれも、JIS L1013(1999)に従って引張試験を行った。表面が滑らかで光沢のある紙片に5mm幅毎に25mmの長さの単繊維を1本ずつ試料長が約20mmとなるよう両端を接着剤で緩く張った状態で固着した。試料を単繊維引張試験器のつかみに取り付け、上部のつかみの近くで紙片を切断し、初期試料長20mm、引張速度20mm/分で測定した。測定数はn=20とし、破断時の平均強力を引張強力(cN)、平均試料長を伸び(mm)とした。
別に1m当たりの繊維重量を測定し、以下の式、
繊度(dtex)=1m当たりの重量(g/m)・10000
で繊度を計算した。
単繊維強度は以下の式、
強度(cN/dtex)=引張強力(cN)/(繊度(dtex)/1000(本))
で計算した。
伸度は以下の式、
伸度(%)=伸び(mm)/初期試料長(mm)・100
で計算した。
<各種繊維集合体における比重測定>
電子天秤を付属した液浸法により、JIS Z 8807(1976)に従って測定を行った。液としてはエタノールを用い、この中に試料を投入し測定した。なお、予め投入前にエタノールを用い別浴で試料を十分濡らし、泡抜き操作を実施した。
<各種繊維の002面間隔の測定>
繊維を、長さ4cmに切断し、金型とコロジオンのアルコール溶液を用いて固め角柱を作り測定試料とした。理学電気社((株))製広角X線回折装置を用い、X線源としてCuKα(Niフィルター)、出力40kV20mAで測定した。回折角2θ=24〜26°付近のピーク位置を測定し、ブラッグの式、
d=λ/(2×sinθ)
を適用して面間隔d(nm)を計算した。ここでλ(nm)はX線波長であり、0.15418nmである(CuKα線)。
<各種繊維の配向の測定>
繊維を、長さ4cmに切断し、金型とコロジオンのアルコール溶液を用いて固め角柱を作り測定試料とした。理学電気社((株))製広角X線回折装置を用い、X線源としてCuKα(Niフィルター)、出力40kV20mAで測定した。回折角2θ=24°付近のピーク位置を測定した。このピーク位置における方位角方向のスキャンを行い、得られたピークの半値幅H(°)を求めた後、以下の式、
π=100×(180−H)/180
で配向度π(%)を計算した。
<単繊維断面積の変動係数>
単繊維断面積の変動係数は次のように求めた。単繊維が整列した繊維束を、任意の場所で5cmサンプリングしエポキシ樹脂で繊維束全体を包埋し固定化した。この繊維束をミクロトームによってきれいに断面を露出させ、その切片全体を光学顕微鏡で観察し1000倍に拡大して写真をとった。単繊維全数の単繊維断面積の写真を画像データとして白黒2値化し、画像解析から変動係数を計算し確定した。
<<紡績糸の評価>>
<紡績糸強力>
クロスヘッドスピード500mm/min、初期テンション0.5cN/tex、試長500mmで1ロットあたり、50サンプルを測定しその平均値を示した。本実施例では、STATIMAT ME(計測器製)を使用して測定した。
<風綿量>
製織時の緯糸チーズ下に、布(大きさ0.5m×1.0m)を引き、チーズから解舒されるときに発生する風綿と緯糸糸道擦過部で溜まる風綿の合計量(A)を計量し、織り長さ(B)で除した値、
風綿量(g/m)=(A)/(B)
として求めた。
<織機停台頻度>
糸切れに起因する製織機の停台回数をカウント(C)し、織り長さ(D)で除した値、
織機停台頻度(回/m)=(C)/(D)
を織機停台頻度として示した。経糸切れ起因と緯糸切れ起因のそれぞれを合計し、製織機の停台回数C(回)とした。
<<不織布の評価>>
<厚み t(mm)>
JIS L 1096(1999)記載の方法に従った。試料から20cm×20cmの試験片を1枚採取し、平滑な台上に置き、平坦な直径5mmのマイクロメーター圧子を上から下ろした。圧子に荷重を加えて面圧23.5kPaにして厚みを測定し、異なる5カ所の測定値の平均値を用いた。
<目付 W(g/m2 )>
試料から20cm×20cmの試験片を3枚採取し、それぞれの重量を量り、3枚の平均値を用い、1m2当たりの重量で示した。
<布帛の引っ張り強さS(kgf/cm)>
長さ6cm、幅1cmにカットした布帛を試験片として用い、万能材料試験機により、スパン間距離3cm、引っ張り速度3mm/分で測定し、n数=3の平均値を用いた。
なお、万能材料試験機としてはテンシロン(登録商標)試験機を用いた。
(実施例1)
アクリロニトリル100重量部、ジメチルスルホキシド371重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、オクチルメルカプタン1重量部を反応容器に仕込み、窒素置換後に65℃で5時間、75℃で7時間加熱し重合し、ジメチルスルホキシド(DMSO)を溶媒とするアクリロニトリル100モル%からなるポリアクリロニトリル(PAN)を含む溶液を調製した。系全体をポンプを用いて排気により30hPaまで減圧することで脱モノマーした後に160℃に加温しDMSO、モノエタノールアミン(MEA)、オルトニトロトルエン(ONT)を加え160℃で60分間反応させ、黒色の耐炎ポリマー含有溶液を得た。この際の仕込み重量比はPAN/DMSO/MEA/ONT=10/74/8/8であった。
冷却して得た耐炎ポリマー含有溶液の粘度は25℃で50Pa・s、50℃では20Pa・sであった。
また、この耐炎ポリマーを温水中に投入し、凝固したポリマーをろ過によって分離し、120℃で乾燥させ耐炎ポリマーを単離した。アクリル基残存率は40%であった。
この耐炎ポリマー含有溶液中の耐炎ポリマーの濃度を測定したところ12.5重量%であった。該耐炎ポリマーの耐炎性を評価したところ、残炎時間は8秒と短く、ほとんど100%円盤状のディスク形状を保持しており、耐炎性が優秀であることがわかった。
この耐炎ポリマー含有溶液を湿式紡糸装置で繊維化した。耐炎ポリマー含有溶液を焼結フィルターを通した後、0.06mmの孔径を24000ホール有する口金から20℃のDMSO/水=40/60浴中に吐出した。この際、凝固糸の膨潤度は700重量%であった。
さらに60℃のDMSO/水=30/70浴、続いてさらに70℃のDMSO/水=20/80浴を通して1.3倍に延伸しつつ徐々に糸内部のDMSOを水に置換し、最後に70℃の温水浴中において、溶媒類をほとんど水に置換した。
その後、工程油剤としてアミンシリコーン油剤を付与し、200℃の乾熱装置にて3分間乾燥した。乾燥工程での延伸倍率は1.2倍であった。乾燥糸の比重は1.27で伸度は3.8%であった。また、アクリル基の残存率は35%であった。単繊維の断面積の変動率は12%であった。DSCによる発熱量は86J/gであった。
乾燥した繊維束は、次にスチームにて延伸を行った。スチームは40cmのチューブ状の処理部分にスチームを導入し、このチューブの両端にそれぞれ円形絞りを有するユニットを5つ設置し、さらにドレン処理部を設けた。チューブ状の処理部分の周囲にはヒーターを設置して内部にドレンが溜まらないようにした。スチームの圧力は0.8kg/cm2、スチーム温度は110℃であった。延伸倍率は1.7倍であった。
延伸後の繊維束は120℃のローラーによって乾燥し、水分率を2.1%とした。
さらに繊維束を熱風循環炉に導き、炉中170℃で1.1倍に延伸し、同時に20分間熱処理して耐炎繊維束を得た。
得られた耐炎繊維の強度は2.0cN/dtex、伸度18%、配向度57%、002面間距離は0.354nmであった。
かかる耐炎繊維を8本合糸し、この耐炎繊維束にラウリルアルコールエチレンオキサイド化合物を0.7重量部付与した。
湿熱条件下で該繊維束温度70℃に昇温し、捲縮数3山/cmの捲縮を付与したのち、10%の水分率になるまで乾燥した。
得られた耐炎繊維束を3段牽切機で4倍に牽切延伸し、スライバーを得た。得られたスライバーを600T/mに加燃しつつ25倍延伸し、303dtex(1/33)の紡績糸を得た。この紡績糸強度は1.13cN/dtexであった。
経糸に糊剤を5%付与し、経糸22本×緯糸20本/cmでレピア製織機を用いて製織し、幅1.3m×長さ25m×厚さ1mm、目付150g/m3の耐炎繊維 布帛を得た。
織機停台頻度は0.51回/m、風綿量0.04g/mであり良好であった。
また、耐炎繊維を繊維長51mmにカットし、フェラー社のランダムカードK12を用いウェブにした。得たウエブの片面から大和機工株式会社製NL-380を用いてニードルパンチングを約1000回/cm2行い、耐炎繊維フェルトを製造した。この不織布の強伸度を測定した。得られた不織布の強力は12.0kgf/cmで良好であった。
(実施例2)
スチーム延伸倍率を2.0倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施した。得られた耐炎繊維の強度は2.2cN/dtex、伸度15%、配向度63%、002面間距離は0.352nmであった。
得られた紡績糸の強度は0.72cN/dtexであり、織機停台頻度は0.94回/m、風綿量0.08g/mであり良好であった。
得られた不織布の強力は8.4kgf/cmで良好であった。
(実施例3)
スチーム延伸倍率を1.2倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施した。得られた耐炎繊維の強度は1.8cN/dtex、伸度24%、配向度43%、002面間距離は0.358nmであった。
得られた紡績糸の強度は0.77cN/dtexであり、織機停台頻度は0.96回/m、風綿量0.08g/mであり良好であった。
得られた不織布の強力は8.1kgf/cmで良好であった。
(実施例4)
スチーム温度を140℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施した。得られた耐炎繊維の強度は2.0cN/dtex、伸度18%、配向度52%、002面間距離は0.353nmであった。
得られた紡績糸の強度は1.04cN/dtexであり、織機停台頻度は0.67回/m、風綿量0.05g/mであり良好であった。
得られた不織布の強力は11.1kgf/cmで良好であった。
(実施例5)
スチーム延伸を浴延伸に変更し、その温度を90℃、延伸倍率を1.4倍とした以外は、実施例1と同様の方法で実施した。得られた耐炎繊維の強度は1.9cN/dtex、伸度20%、配向度55%、002面間距離は0.354nmであった。
得られた紡績糸の強度は0.99cN/dtexであり、織機停台頻度は0.73回/m、風綿量0.06g/mであり良好であった。
得られた不織布の強力は10.2kgf/cmで良好であった。
(実施例6)
熱処理温度を190℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施した。得られた耐炎繊維の強度は2.3cN/dtex、伸度15%、配向度64%、002面間距離は0.350nmであった。
得られた紡績糸の強度は0.65cN/dtexであり、織機停台頻度は1.01回/m、風綿量0.10g/mであり良好であった。
得られた不織布の強力は6.3kgf/cmで良好であった。
(実施例7)
熱処理温度を100℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施した。得られた耐炎繊維の強度は1.5cN/dtex、伸度16%、配向度52%、002面間距離は0.362nmであった。
得られた紡績糸の強度は0.60cN/dtexであり、織機停台頻度は1.13回/m、風綿量0.11g/mであり良好であった。
得られた不織布の強力は6.6kgf/cmで良好であった。
(実施例8)
熱処理方法をロールとし、その温度を100℃とした以外は、実施例1と同様の方法で実施した。得られた耐炎繊維の強度は1.7cN/dtex、伸度25%、配向度55%、002面間距離は0.363nmであった。
得られた紡績糸の強度は0.81cN/dtexであり、織機停台頻度は0.82回/m、風綿量0.07g/mであり良好であった。
得られた不織布の強力は9.7kgf/cmで良好であった。
(実施例9)
不織布の製造方法をインターレースに変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施した。耐炎繊維を繊維長51mmにカットし、フェラー社のランダムカードK12を用いウェブにし、このウエブに対し、50kg/cm2(ゲージ圧)の高圧水を0.15mmφ、ピッチ0.4mmのノズルよりウオータージェットの柱状流処理を行ない繊維を交絡させ、厚さ0.38mm、目付け55g/m2の不織布を得た。この不織布の強力は10.3kgf/cmで良好だった。
(実施例10)
酸化剤としてONTをオルトニトロフェノール(ONP)に変更するとともに、仕込み重量比をPAN/DMSO/MEA/ONP=10/74/2.5/1.5に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施した。
得られた耐炎繊維の強度は2.8cN/dtex、伸度22%、配向度63%、002面間距離は0.353nmであった。
得られた紡績糸の強度は1.33cN/dtexであり、織機停台頻度は0.74回/m、風綿量0.06g/mであり良好であった。
得られた不織布の強力は13.1kgf/cmで良好であった。
(比較例1)
東レ株式会社製“トレロン(登録商標)”を用い、230℃、60分熱処理した以外は実施例1と同様の方法で実施した。熱処理時の延伸倍率は1.05倍だった。得られた耐炎繊維の強度は2.1cN/dtex、伸度19%、配向度74%、002面間距離は0.348nmであった。
得られた紡績糸の強度は0.31cN/dtexであり、織機停台頻度は1.53回/m、風綿量0.14g/mと不良であった。
得られた不織布の強力は4.1kgf/cmで不良であった。
(比較例2)
東レ株式会社製“トレロン(登録商標)”を用い、250℃、60分熱処理した以外は比較例1と同様の方法で実施した。熱処理時の延伸倍率は1.05倍だった。得られた耐炎繊維の強度は2.2cN/dtex、伸度16%、配向度76%、002面間距離は0.345nmであった。
得られた紡績糸の強度は0.25cN/dtexであり、織機停台頻度は1.66回/m、風綿量0.16g/mと不良であった。
得られた不織布の強力は3.2kgf/cmで不良であった。
Figure 2007224482
本発明における耐炎繊維は紡績糸や不織布に好適に利用される。さらには、バグフィルター、ファイヤーブロッキングレイヤー、スパッターシート、電極材、ブレーキパッドなど、防炎繊維製品等の原料として広く利用することができる。

Claims (4)

  1. 広角X線測定で得られる002相当面間隔が0.35nm以上である紡績糸用耐炎繊維。
  2. 広角X線測定で得られる002相当面間隔が0.35nm以上である不織布用耐炎繊維。
  3. 配向度が40%以上65%未満である請求項1または2記載の耐炎繊維。
  4. アミン変性された耐炎ポリマー溶液を湿式または乾湿式紡糸し、延伸後に80℃以上200℃未満で熱処理して請求項1ないし3のいずれかに記載の耐炎繊維を得る耐炎繊維の製造方法。
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