JP2007223282A - 樹脂成形体及びその成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ソリッド領域部の膨張領域部との境界に亀裂が発生しないようにする。
【解決手段】成形時にキャビティ容積を拡大させて繊維入り熱可塑性樹脂を膨張させることにより、樹脂密度の高いスキン層39が表面に形成されるとともに多数の空隙を有しスキン層39に比べて樹脂密度の低い膨張層41が内部に形成されたプレート本体15の膨張領域部Aと、膨張領域部Aに隣接し成形時にキャビティ容積を拡大させずに膨張層41を有することなく樹脂密度の高いソリッド層43に形成された取付部37(ソリッド領域部B)とで構成されたパネル状のキャリアプレート9において、取付部37の膨張領域部Aとの境界に、ソリッド層43からなる厚肉部45をキャビティ容積拡大方向に厚くなるように一体に形成する。
【選択図】図1
【解決手段】成形時にキャビティ容積を拡大させて繊維入り熱可塑性樹脂を膨張させることにより、樹脂密度の高いスキン層39が表面に形成されるとともに多数の空隙を有しスキン層39に比べて樹脂密度の低い膨張層41が内部に形成されたプレート本体15の膨張領域部Aと、膨張領域部Aに隣接し成形時にキャビティ容積を拡大させずに膨張層41を有することなく樹脂密度の高いソリッド層43に形成された取付部37(ソリッド領域部B)とで構成されたパネル状のキャリアプレート9において、取付部37の膨張領域部Aとの境界に、ソリッド層43からなる厚肉部45をキャビティ容積拡大方向に厚くなるように一体に形成する。
【選択図】図1
Description
この発明は、樹脂密度の高いスキン層が表面に形成されるとともに多数の空隙を有し上記スキン層に比べて樹脂密度の低い膨張層が内部に形成された膨張領域部と、該膨張領域部に隣接し上記膨張層を有することなく樹脂密度の高いソリッド層に形成されたソリッド領域部とで構成されたパネル状の樹脂成形体及びその成形方法に関するものである。
特許文献1には、可動型を内部に収容した移動型と固定型とからなる成形型を型閉じした状態で、キャビティ内に繊維入り熱可塑性樹脂を射出充填し、該キャビティ内で上記繊維入り熱可塑性樹脂が固化する過程で、上記移動型内で可動型をキャビティ容積拡大方向に後退させて繊維入り熱可塑性樹脂を膨張させることにより、スキン層が表面に形成されるとともに多数の空隙を有する膨張層が内部に形成された樹脂成形体を成形する技術が開示されている。そして、成形された樹脂成形体では、樹脂成形体の厚み方向に非膨張あるいは低膨張率の樹脂層の凹状部を形成して局部的な応力、捻じれの防止を図っている。
特開平11−156881号公報(第3頁、図1)
ところで、上述の如く膨張層が内部全域に形成されている樹脂成形体に例えば部品を取り付ける場合、部品取付箇所を膨張層を有することなくソリッド層に形成されたソリッド領域部とすることが剛性を高める観点から望ましい。そのやり方として、まず、例えば、成形型の固定型にソリッド領域部形成箇所に対応してスライド型を進退可能に配置し、該スライド型を先端成形面が上記固定型の成形面と同一になるように位置付けた状態で、繊維入り熱可塑性樹脂をキャビティ内に射出充填する。次いで、上記繊維入り熱可塑性樹脂の固化進行により上記成形型の成形面近傍における繊維入り熱可塑性樹脂にスキン層が生成された時点で、可動型をキャビティ容積拡大方向に後退させて繊維入り熱可塑性樹脂を膨張させるとともに、スライド型対応箇所のキャビティ容積が拡大しないように上記スライド型を可動型のキャビティ容積拡大方向への後退動作に追従させてキャビティ内に進出させる。これにより、スキン層が表面に形成されるとともに膨張層が内部に形成された膨張領域部に、膨張層がなくソリッド層に形成されたソリッド領域部が隣接した樹脂成形体を成形することが考えられる。
しかし、スライド型は硬い金属製や硬質樹脂製で成形面外周縁が鋭く角張っているため、上述のようにして樹脂成形体を成形すると、スライド型がキャビティ内に進出しても、スライド型対応箇所の固化進行状態にある繊維入り熱可塑性樹脂はスライド型に押されないが、スライド型の鋭く角張った成形面外周縁がその周りの固化進行状態にある繊維入り熱可塑性樹脂に切り込んだ状態となり、その結果、ソリッド領域部の膨張領域部との境界に亀裂が発生し、成形された樹脂成形体の剛性強度が低下することになる。
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、膨張成形された樹脂成形体において、ソリッド領域部の膨張領域部との境界に亀裂が発生しないようにすることである。
上記の目的を達成するため、この発明は、ソリッド領域部の膨張領域部との境界の剛性強度を高めたことを特徴とし、具体的には、次のような解決手段を講じた。
すなわち、請求項1に記載の発明は、成形型のキャビティ内に射出充填した繊維入り熱可塑性樹脂の固化進行により上記成形型の成形面近傍における繊維入り熱可塑性樹脂にスキン層が生成された時点で、キャビティ容積を拡大させて上記繊維入り熱可塑性樹脂を膨張させることにより、樹脂密度の高いスキン層が表面に形成されるとともに多数の空隙を有し上記スキン層に比べて樹脂密度の低い膨張層が内部に形成された膨張領域部と、該膨張領域部に隣接し成形時にキャビティ容積を拡大させずに上記膨張層を有することなく樹脂密度の高いソリッド層に形成されたソリッド領域部とで構成されたパネル状の樹脂成形体であって、上記ソリッド領域部の膨張領域部との境界には、当該箇所に対応するキャビティに繊維入り熱可塑性樹脂をソリッド領域部側よりもキャビティ容積拡大方向に多く充填した状態で当該外周りのキャビティ容積を拡大させることにより、上記ソリッド層からなる厚肉部がキャビティ容積拡大方向に厚くなるように一体に形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の樹脂成形体の成形方法であって、先端外周縁部に面取部が形成されたスライド型がソリッド領域部形成箇所に対応するように進退可能に配置された成形型を用意し、上記成形型の型閉じ状態で、上記スライド型の面取部に対応するキャビティの樹脂充填量が該面取部を除く先端成形面よりもキャビティ容積拡大方向に多くなるように繊維入り熱可塑性樹脂をキャビティ内に充填し、次いで、上記繊維入り熱可塑性樹脂の固化進行により上記成形型の成形面近傍における繊維入り熱可塑性樹脂にスキン層が生成された時点で、スライド型対応箇所のキャビティ容積を拡大させずにその外周りのキャビティ容積を拡大させて当該キャビティ箇所の繊維入り熱可塑性樹脂を膨張させることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、膨張領域部の表面にスキン層が形成されるとともに、内部に多数の空隙を有する膨張層が形成され、樹脂成形体の軽量化を図ることができる。また、ソリッド領域部が膨張層のない樹脂密度の高いソリッド層に形成されていることに加え、上記ソリッド領域部の膨張領域部との境界にソリッド層からなる厚肉部が形成されているため、ソリッド領域部の剛性強度の強化、特に圧縮強度の強化を確固たるものにすることができる。さらに、上記ソリッド領域部の膨張領域部との境界におけるソリッド層からなる厚肉部は、当該箇所に対応するキャビティの樹脂充填量をソリッド領域部側よりもキャビティ容積拡大方向に多くすることで形成されるため、膨張成形時に上記膨張領域部に対応するキャビティ容積を拡大させた際、未だ固化状態にないゲル状の樹脂の一部が拡大したキャビティ内に流出し、この際、ゲル状の樹脂は固化進行状態にある樹脂であり、硬い金属製や硬質樹脂製のスライド型に比べて格段に柔らかいため、ゲル状の樹脂がクッション(緩衝)作用をしてスライド型の先端周辺部の進出力は吸収緩和される。したがって、ソリッド領域部の膨張領域部との境界に亀裂が発生せず、成形された樹脂成形体の剛性強度を確保することができる。
請求項2に係る発明によれば、スライド型に面取部を形成するだけで、型構造を大幅に改変することなく簡素な型構造で上述の如き亀裂がなく優れた強度剛性を有する樹脂成形体を安価に成形することができる。
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図3は自動車のサイドドア1の断面図である。該サイドドア1はドアアウタパネル3とドアインナパネル5とからなる金属製のドア本体7を備え、該ドア本体7の上記ドアインナパネル5にパネル状の樹脂成形体としての樹脂製キャリアプレート(ドアモジュールプレート)9がシール材11を介して取り付けられ、ドアトリム13が上記キャリアプレート9を車室内側から被うように上記ドアインナパネル5に取り付けられている。
上記キャリアプレート9は、繊維入り熱可塑性樹脂で成形され、その主体をなす後述する膨張領域部Aとソリッド領域部Bとを有するプレート本体15を備えている。該プレート本体15の車室外側面側の外周縁部には、図2にも示すように、上記シール材11を収容するシール溝部17が形成されている。また、上記プレート本体15の外周縁部近傍(シール溝部17内側)には、平面視円形状の取付部19が複数個所定間隔をあけて全周に亘って一体に隣接して突設され、該各取付部19には締結用の貫通孔19aがプレート本体15を貫通するように形成されている。そして、キャリアプレート9をドアインナパネル5に重ねて上記各取付部19の貫通孔19aをドアインナパネル5の開口周縁部5aに形成された複数個のボルト挿通孔5bに対応させた状態で、ボルト21を車室内側から各貫通孔19a及びボルト挿通孔5bに挿通し、ドアインナパネル5の車室外側面に溶着されたウェルドナット23に螺合させることにより、キャリアプレート9をドアインナパネル5に取り付けている(図3参照)。
上記プレート本体15の車室外側面側における上端縁及び下端縁には、平面視円形状の筒状取付座25が2個ずつ車幅方向に間隔をあけて一体に隣接して突設され、ウインドガラスを昇降案内する金属製のガイドレール27を上記取付座25にボルト29及びナット31により取り付けている(図2参照)。上記ガイドレール27の両端には、ウインドガラス昇降用ワイヤ(図示せず)を案内するローラ33が軸35により回転可能に軸支されている。
上記プレート本体15の図2中程には、図示しないウインドガラスを昇降させるモータを取り付けるための上記ソリッド領域部Bである平面視略三角形の取付部37が一体に隣接して形成され、該取付部37には円形状のモータ取付孔37aがプレート本体15を貫通するように形成されているとともに、該モータ取付孔37aの周りには3個のネジ挿通用の貫通孔37bが三角形の頂点の位置に対応してプレート本体15を貫通するように形成されている。
上記プレート本体15の上記膨張領域部Aは、上記ソリッド領域部B(取付部37)を包囲するように形成され、後述する成形型47のキャビティ53内に射出充填した繊維入り熱可塑性樹脂Rの固化進行により上記成形型47(固定型49、スライド型51、可動型55)の成形面49b,51c,55a近傍における繊維入り熱可塑性樹脂Rにスキン層39が生成された時点で、上記プレート本体15に対応するキャビティ容積を拡大させて上記繊維入り熱可塑性樹脂Rを膨張させることにより、図1に示すように、空隙がなく樹脂密度の高い堅いスキン層39が表面に形成されるとともに、多数の空隙(図示せず)を有し上記スキン層39に比べて樹脂密度の低い膨張層41が内部に形成されている。図3では作図上の都合によりプレート本体15を単一層として表している。これに対し、上記取付部37は、図1及び図5に示すように、成形時にキャビティ容積を拡大させずに上記膨張層41を有することなく樹脂密度の高いソリッド層43に形成されている。また、上記取付部37の膨張領域部Aとの境界には、本発明の特徴とする当該箇所に対応するキャビティに繊維入り熱可塑性樹脂Rをソリッド領域部B側よりもキャビティ容積拡大方向に多く充填した状態で当該外周りのキャビティ容積を拡大させることにより、上記ソリッド層43からなる平面視略三角形の環状厚肉部45がキャビティ容積拡大方向に厚くなるように一体に形成されている。また、上記厚肉部45と膨張領域部Aとの間にはスリット状の環状溝46が形成されている。なお、図示しないが、上記取付部19及び取付座25も上記取付部37と同様に、成形時にキャビティ容積を拡大させずに膨張層41を有することなく樹脂密度の高いソリッド層43に形成されている。
次に、キャリアプレート9の成形要領について説明する。ここでは、取付部37周りの型構造を示す図4及び図5に基づいて説明するが、取付部19及び取付座25周りも基本的には同様の型構造になっているので説明を省略する。
まず、図4に示すように、成形型47を型閉じする。固定型49には取付部37形成用のスライド型51が油圧シリンダ(図示せず)の伸長作動により進出方向に付勢された状態で収容孔49aに収容されて配置されている。この状態で、上記スライド型51は油圧シリンダ(図示せず)の伸長作動により進出方向に付勢されているが、スライド型51の先端に形成されたモータ取付孔37a形成用の大径凸部51a及び貫通孔37b形成用の小径凸部51bがキャビティ53内に進出して可動型55の成形面55aに当接し、スライド型51の進出動作が規制されているとともに、スライド型51の成形面51cが固定型49の成形面49bと面一になっていて、スライド型51の先端外周縁部に直角に切り欠いて形成された面取部51d全体が両成形面49b,51cから下方に位置付けられている。なお、スライド型51の成形面51cは、型閉じ状態で固定型49の成形面49bよりもキャビティ53内へ突出するようにしてもよいが、この場合、スライド型51の面取部51dは、固定型49の成形面49bよりスライド型51の後退方向に所定寸法だけ延びるように形成することが好ましい。
次いで、成形型47のキャビティ53内に射出機(図示せず)からガラス繊維等の繊維入り熱可塑性樹脂R(例えば繊維入りポリプロピレン樹脂)を射出充填する。図5はこの射出充填状態を示している。この状態で、繊維入り熱可塑性樹脂Rはスライド型51の面取部51dに対応するキャビティの樹脂充填量が該面取部51dを除く先端成形面51cよりもキャビティ容積拡大方向に多くなっている。
その後、成形型47のキャビティ53内に射出充填された繊維入り熱可塑性樹脂Rが固化する過程で、すなわち、繊維入り熱可塑性樹脂Rの固化進行により上記成形型47の成形面49b,51c,55a近傍における繊維入り熱可塑性樹脂Rにスキン層39が生成された時点で、図5に示すように、可動型55をキャビティ容積拡大方向Y1(型開き方向)に後退させる。つまり、可動型55を固定型49から僅かに離れさせ、キャビティ容積を例えば2倍もしくはそれ以上に拡大させる。これに伴い、スライド型51が可動型55の後退動作に矢印Y2方向へと追従してキャビティ53内に進出し、このため、スライド型対応箇所のキャビティ容積は拡大しない。この段階で、繊維入り熱可塑性樹脂Rは、成形型47の成形面49b,51c,55aと接触する部分が型温の影響により早期に冷却されているため、空隙がなく堅いスキン層39となって表面層を構成する。一方、繊維入り熱可塑性樹脂Rの内側部分は型温の影響を受け難く、粘度の高いゲル状態になっている。したがって、キャビティ容積の拡大により、それまで固定型49及び可動型55で圧縮されている繊維入り熱可塑性樹脂Rが可動型55の成形面55aに引っ張られて膨張する。この際、繊維入り熱可塑性樹脂R中の繊維も上記圧縮が軽減されて弾性的に復元し、この弾性復元力(スプリングバック現象)によっても上記熱可塑性樹脂Rが膨張する。
このことにより、空隙がなく堅いスキン層39が表面に形成されるとともに、内部に多数の空隙(図示せず)を有する膨張層41を有する膨張領域部Aが形成されたプレート本体15が成形される。また、取付部37に対応するキャビティ53内の繊維入り熱可塑性樹脂Rは、可動型55がキャビティ容積拡大方向Y1に後退しても、この後退動作にスライド型51が矢印Y2方向へと追従してキャビティ53内に進出するので、当該キャビティ空間は拡大せず、したがって、可動型55の成形面55aに引っ張られずに動かないため、取付部37が膨張領域部Aに隣接して堅いソリッド層43に形成されている。そして、上記取付部37にはモータ取付孔37a及び貫通孔37bが形成されているとともに、取付部37(ソリッド領域部B)の膨張領域部Aとの境界には、上記ソリッド層43からなる厚肉部45がキャビティ容積拡大方向Y1に厚くなるように一体に形成され、かつ上記厚肉部45と膨張領域部Aとの間にはスリット状の環状溝46が形成されている。同様に、キャリアプレート取付用の取付部19や、ウインドガラスを昇降案内するガイドレール取付用の取付座25も堅いソリッド層43に形成されている。
このようにしてソリッド領域部B、取付部19及び取付座25を除くプレート本体15は、表面にスキン層39が形成されるとともに、内部に多数の空隙を有する膨張層41が形成されているため、プレート本体15が膨張層41を有しないソリッド層のみからなりかつ本実施形態のプレート本体15と同一肉厚である場合に比べて、軽量化を図ることができる。
また、上記取付部19,37及び取付座25が膨張層41のない樹脂密度の高いソリッド層43に形成されているため、これらの剛性強度の強化、特に圧縮強度の強化を確固たるものにすることができる。加えて、上記取付部37の膨張領域部Aとの境界にソリッド層43からなる厚肉部45が形成されているため、取付部37の剛性強度、特に圧縮強度をさらに向上させることができる。
さらに、繊維入り熱可塑性樹脂Rの射出充填時にスライド型51の先端成形面51cと固定型49の成形面49bとが面一になっている状態から、上記スライド型51が膨張成形時にキャビティ53内に進出するが、その際、スライド型51には面取部51dが形成されているため、該面取部51dが形成されていないものに比べてスライド型51先端(スライド型成形面51c)近傍の樹脂充填量が多く、これにより膨張成形の際スライド型51が進出すると、未だ固化状態にないゲル状の樹脂の一部が拡大したキャビティ53内に流出する。この際、ゲル状の樹脂は固化進行状態にある樹脂であり、硬い金属製や硬質樹脂製のスライド型に比べて格段に柔らかいため、ゲル状の樹脂がクッション(緩衝)を作用してスライド型51の先端周辺部の進出力は吸収緩和される。したがって、取付部37の膨張領域部Aとの境界に亀裂が発生せず、成形されたキャリアプレート9の剛性強度を確保することができる。
さらにまた、スライド型51に面取部51dを形成するだけで、型構造を大幅に改変することなく簡素な型構造で上述の如き亀裂がなく優れた強度剛性を有するキャリアプレート9を安価に成形することができる。
なお、上記の実施形態では、スライド型51の面取部51dを直角に切り欠いた形状に構成したが、上記面取部51dは斜めに直線的に切り欠いた傾斜面にしたり、あるいは凸状湾曲面や凹状湾曲面等で構成してもよい。また、上記スライド型51及びこれにより形成される取付部19,37及び取付座25は、実施形態に挙げた形状に限らず、上記取付部19及び取付座25は横断面が円形状以外に楕円形状や矩形状等であってもよく、ウインドガラス昇降用モータ取付用の取付部37も平面視略三角形に限らない。
さらに、上記の実施形態において、繊維入り熱可塑性樹脂Rに発泡材を含有させれば、可動型55の後退量すなわち膨張倍率を大きくしてプレート本体15の可動型後退方向の肉厚(板厚)を厚くした場合、繊維入り熱可塑性樹脂Rの膨張量が不足しても、発泡材の発泡力(膨張圧)がそれを補完して空隙を確実に形成することができて好ましい。これらの場合、発泡材としては、化学反応によりガスを発生させる化学的発泡材や、二酸化炭素ガス及び窒素ガス等の不活性ガスを用いる物理的発泡材等がある。
加えて、上記の実施形態では、膨張成形時に、スライド型51を固定型49側に設けて可動型55の後退動作に追従させてキャビティ53内に進出させることにより、取付座19,37及び取付座25をソリッド層43に形成したが、スライド型51を可動型55側に設けて膨張成形工程で可動型55のみを後退させてスライド型51は後退させないようにすることにより、取付座19,37及び取付座25をソリッド層43に形成するようにしてもよい。
さらにまた、上記の実施形態では、樹脂成形体が自動車のサイドドアのキャリアプレート9である場合を示したが、インストルメントパネル、ドアトリム、トランクボード等の他の自動車用パネルや自動車以外の家電製品、住宅用パネル等にも適用することができるものである。
この発明は、樹脂密度の高いスキン層が表面に形成されるとともに多数の空隙を有し上記スキン層に比べて樹脂密度の低い膨張層が内部に形成された膨張領域部と、該膨張領域部に隣接し上記膨張層を有することなく樹脂密度の高いソリッド層に形成されたソリッド領域部とで構成されたパネル状の樹脂成形体について有用である。
9 キャリアプレート(樹脂成形体)
15 プレート本体
37 取付部
39 スキン層
41 膨張層
43 ソリッド層
45 厚肉部
47 成形型
49 固定型
49b 固定型の成形面
51 スライド型
51c スライド型の成形面
53 キャビティ
55 可動型
55a 可動型の成形面
A 膨張領域部
B ソリッド領域部
R 繊維入り熱可塑性樹脂
15 プレート本体
37 取付部
39 スキン層
41 膨張層
43 ソリッド層
45 厚肉部
47 成形型
49 固定型
49b 固定型の成形面
51 スライド型
51c スライド型の成形面
53 キャビティ
55 可動型
55a 可動型の成形面
A 膨張領域部
B ソリッド領域部
R 繊維入り熱可塑性樹脂
Claims (2)
- 成形型のキャビティ内に射出充填した繊維入り熱可塑性樹脂の固化進行により上記成形型の成形面近傍における繊維入り熱可塑性樹脂にスキン層が生成された時点で、キャビティ容積を拡大させて上記繊維入り熱可塑性樹脂を膨張させることにより、樹脂密度の高いスキン層が表面に形成されるとともに多数の空隙を有し上記スキン層に比べて樹脂密度の低い膨張層が内部に形成された膨張領域部と、
該膨張領域部に隣接し成形時にキャビティ容積を拡大させずに上記膨張層を有することなく樹脂密度の高いソリッド層に形成されたソリッド領域部とで構成されたパネル状の樹脂成形体であって、
上記ソリッド領域部の膨張領域部との境界には、当該箇所に対応するキャビティに繊維入り熱可塑性樹脂をソリッド領域部側よりもキャビティ容積拡大方向に多く充填した状態で当該外周りのキャビティ容積を拡大させることにより、上記ソリッド層からなる厚肉部がキャビティ容積拡大方向に厚くなるように一体に形成されていることを特徴とする樹脂成形体。 - 請求項1に記載の樹脂成形体の成形方法であって、
先端外周縁部に面取部が形成されたスライド型がソリッド領域部形成箇所に対応するように進退可能に配置された成形型を用意し、
上記成形型の型閉じ状態で、上記スライド型の面取部に対応するキャビティの樹脂充填量が該面取部を除く先端成形面よりもキャビティ容積拡大方向に多くなるように繊維入り熱可塑性樹脂をキャビティ内に充填し、
次いで、上記繊維入り熱可塑性樹脂の固化進行により上記成形型の成形面近傍における繊維入り熱可塑性樹脂にスキン層が生成された時点で、スライド型対応箇所のキャビティ容積を拡大させずにその外周りのキャビティ容積を拡大させて当該キャビティ箇所の繊維入り熱可塑性樹脂を膨張させることを特徴とする樹脂成形体の成形方法。
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---|---|---|---|---|
JP2011025472A (ja) * | 2009-07-23 | 2011-02-10 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 発泡成形体、発泡成形体の製造方法および発泡成形体製造用金型 |
JP2018183911A (ja) * | 2017-04-25 | 2018-11-22 | アイシン精機株式会社 | 樹脂成形品及びドアモジュール |
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