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JP2007218822A - 絶対操舵位置検出装置 - Google Patents

絶対操舵位置検出装置 Download PDF

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JP2007218822A
JP2007218822A JP2006041952A JP2006041952A JP2007218822A JP 2007218822 A JP2007218822 A JP 2007218822A JP 2006041952 A JP2006041952 A JP 2006041952A JP 2006041952 A JP2006041952 A JP 2006041952A JP 2007218822 A JP2007218822 A JP 2007218822A
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Abstract

【課題】簡易な構成で広い範囲の絶対操舵位置を検出する絶対操舵位置検出装置を提供する。
【解決手段】絶対操舵位置検出装置90において、第1レゾルバ18および第2レゾルバ20は、0°以上360°未満の範囲でステアリングホイール12の回転位置を検出する。モータレゾルバ30は、ステアリングホイール12の操舵を補助するモータ28の電気角を検出する。変位センサ60は、ステアリングホイール12の操舵方向を検出する。EPSECU100は、検出されたステアリングホイール12の回転位置と検出されたモータ28の電気角とによりステアリングホイール12の絶対操舵位置が確定できない範囲において、検出されたステアリングホイール12の回転位置、検出されたモータの電気角、および検出された操舵方向を利用してステアリングホイール12の絶対操舵位置を検出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶対操舵位置検出装置に関し、特に車両におけるステアリングホイールの絶対操舵位置を検出する絶対操舵位置検出装置に関する。
近年、ステアリングホイールの回転位置は車両における様々な制御に利用されている。ステアリングホイールの回転位置は、車両が直進するステアリングホイールの位置を中立位置とし、この中立位置から左右何度の回転位置にステアリングホイールが位置しているかを示す絶対操舵位置によって表される。このため、絶対操舵位置を正確に検出することは車両における制御を正確に実行する上で重要である。
この絶対操舵位置を検出する技術として、たとえば特許文献1では、トルクセンサを構成する第1レゾルバと第2レゾルバ、および電気式動力舵取装置のモータの電気角を検出するモータレゾルバの検出結果を利用して絶対操舵位置を検出する絶対操舵位置検出装置が提案されている。また、たとえば特許文献2では、ラック棒に設けられた第1のみぞの対向面までの距離を検出する第1の変位センサと、ラック棒に設けられた第2のみぞの対向面までの距離を検出する第2の変位センサを備える操舵角検出装置が提案されている。また、たとえば特許文献3では、駆動ロッドに、直径が長手方向に沿って直線的に漸変する被検出面と対向するホール素子式センサが設けられ、操舵車輪を転舵するときの電気信号から絶対転舵量を取得する転舵量検出装置が提案されている。
特開2005−145404号公報 実開平5−6304号公報 特開2004−163274号公報
特許文献1に記載される技術では、ステアリングホイールの操舵位置によっては操舵方向を特定することができないため絶対操舵位置を確定することは困難である。イグニッションスイッチがオンにされている状態では、たとえば絶対操舵位置を確定することができる範囲で特定された操舵方向を利用して絶対操舵位置を確定することは可能である。しかし、たとえばイグニッションスイッチがオフにされた後、再びイグニッションスイッチがオンにされたときに、ステアリングホイールの操舵位置が操舵方向を特定することができない位置にあった場合、利用できる操舵方向に関する情報がないため、絶対操舵位置を確定することは困難である。また、特許文献2および特許文献3に記載される技術では、ステアリングホイールが操舵可能な回転角度のすべての範囲で絶対操舵位置を検出するためには、直径が長手方向に沿って直線的に漸変する被検出面を長く設ける必要がある。このような被検出面を長手方向に沿って直径が減少するよう駆動ロッドを形成すると駆動ロッドが徐々に細くなり駆動ロッドの強度を高めることが困難となる。一方、長手方向に沿って直径が増加するよう駆動ロッドを形成すると、スペースを低減することが困難となる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、簡易な構成で広い範囲の絶対操舵位置を検出する絶対操舵位置検出装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の絶対操舵位置検出装置は、1回転より多く回転可能なステアリングホイールの回転位置を、0°以上360°未満の角度の繰り返しとして検出する操舵位置検出部と、ステアリングホイールの操舵を補助するモータの電気角を検出するモータ電気角検出部と、ステアリングホイールの操舵方向を検出する操舵方向検出部と、検出されたステアリングホイールの回転位置と、検出されたモータの電気角と、検出された操舵方向と、を利用してステアリングホイールの絶対操舵位置を特定する絶対操舵位置特定部と、を備える。
この態様によれば、たとえばイグニッションスイッチがオフにされた後、再びイグニッションスイッチがオンにされたときに、ステアリングホイールの回転位置とモータ電気角によって絶対操舵位置を特定することができない範囲にステアリングホイールが位置していた場合でも、絶対操舵位置を確定することが可能となる。このため、舵角センサを設けない簡易な構成においても広い範囲で絶対操舵位置を検出することが可能となる。
前記絶対操舵位置特定部は、所定範囲内における絶対操舵位置を、検出されたステアリングホイールの回転位置と、検出されたモータの電気角とを利用して特定し、所定範囲外における絶対操舵位置を、検出されたステアリングホイールの回転位置と、検出されたモータの電気角と、検出された操舵方向とを利用して特定してもよい。
この態様によれば、たとえばステアリングホイールの回転位置とモータ電気角とによって絶対操舵位置を確定することが可能な範囲ではこれらを利用して絶対操舵位置を確定し、これらを利用しても絶対操舵位置を確定することが困難な範囲では、これらと検出された操舵方向とを利用して絶対操舵位置を確定することが可能となる。このため、所定範囲では簡易な構成によって絶対操舵位置を確定することができる。また、所定範囲外では検出された操舵方向を利用して絶対操舵位置を確定することにより広い範囲で絶対操舵位置を検出することが可能となる。
ステアリングホイールの操舵方向に応じて変位する被検出面と、前記被検出面の変位を検出する変位センサと、をさらに備えてもよい。前記操舵方向検出部は、検出された被検出面の変位を利用してステアリングホイールの操舵方向を検出してもよい。この態様によれば、簡易な構成でステアリングホイールの操舵方向を検出することができる。
ステアリングシャフトが1回転する間に複数の周期が繰り返されるステアリングシャフトの電気角を検出する第1電気角検出部と、ステアリングシャフトが1回転する間に、前記第1電気角検出部によって繰り返される周期数と異なる数の周期が繰り返されるステアリングシャフトの電気角を検出する第2電気角検出部と、をさらに備えてもよい。前記操舵位置検出部は、前記第1電気角検出部により検出された電気角および前記第2電気角検出部により検出された電気角を利用して、0°以上360°未満の範囲でステアリングホイールの回転位置を検出してもよい。
たとえば、トルクセンサは複数の電気角検出部を有しているものがある。この態様によれば、このような電気角検出部の検出結果を利用してステアリングホイールの絶対操舵位置を検出することも可能となる。この場合、別途舵角センサを設ける場合に比べ、コストの増加を抑制することができる
本発明の別の態様もまた、絶対操舵位置検出装置である。この装置は、1回転より多く回転可能なステアリングホイールの回転位置を、0°以上360°未満の角度の繰り返しとして検出する操舵位置検出部と、ステアリングホイールの操舵を補助するモータの電気角を検出するモータ電気角検出部と、ステアリングホイールの操舵位置に応じて変位する被検出面と、被検出面の変位を検出する変位センサと、所定範囲内における絶対操舵位置を、検出されたステアリングホイールの回転位置と、検出されたモータの電気角とを利用して特定し、所定範囲外における絶対操舵位置を、検出された前記被検出面の変位を利用して特定する絶対操舵位置特定部と、を備える。
この態様によれば、所定範囲外ではステアリングホイールの回転位置および検出されたモータの電気角を利用しなくても絶対操舵位置を検出することができるため、容易にステアリングホイールの絶対操舵位置を検出することができる。
本態様に係る前記操舵位置検出部も、ステアリングシャフトが1回転する間に複数の周期が繰り返されるステアリングシャフトの電気角を検出する第1電気角検出部と、ステアリングシャフトが1回転する間に、前記第1電気角検出部によって繰り返される周期数と異なる数の周期が繰り返されるステアリングシャフトの電気角を検出する第2電気角検出部と、をさらに備えてもよい点は前述と同様である。また、前記操舵位置検出部は、前記第1電気角検出部により検出された電気角および前記第2電気角検出部により検出された電気角を利用して、0°以上360°未満の範囲でステアリングホイールの回転位置を検出してもよい点も前述と同様である。
本発明によれば、簡易な構成で広い範囲の絶対操舵位置を検出する絶対操舵位置検出装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という。)について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るステアリングシステム10の全体構成図である。本図は、ステアリングシステム10を車両上方から下方に向かって見た図である。ステアリングシステム10は、ステアリング装置80および転舵ユニット40を有する。
ステアリング装置80は、ステアリングホイール12、ステアリングシャフト14、イグニッションセンサ24、トルクセンサ16、電動パワーステアリング機構32、連結軸36、EPSECU(EPS:Electric Power Steering、ECU:Electronic Control Unit(電子制御ユニット))100を有する。
ステアリングホイール12は、車両室内に設けられ、運転者によって回転操作される。ステアリングシャフト14は、ステアリングホイール12と共に回転するように一端がステアリングホイール12に連結される。
イグニッションセンサ24は、ユーザによるイグニッションスイッチのオンおよびオフの操作を検出する。イグニッションセンサ24はEPSECU100に接続されており、その検出結果はEPSECU100に出力される。
トルクセンサ16は、ステアリングシャフト14に設けられる。トルクセンサ16は、第1レゾルバ18、第2レゾルバ20、およびトーションバー22を有する。第1レゾルバ18および第2レゾルバ20は、複数のヨークおよびこれらに巻回される複数のコイルによって構成される。第1レゾルバ18および第2レゾルバ20はEPSECU100に接続されており、これらの検出値はEPSECU100に出力される。
第1レゾルバ18および第2レゾルバ20は、軸方向の異なる位置でトーションバー22の回転位置を検出する。ステアリングホイール12がユーザによって操舵され、ステアリングシャフト14にトルクが与えられると、トーションバー22が捻れることにより第1レゾルバ18と第2レゾルバ20は異なる回転位置を検出する。トーションバー22の弾性係数などは、EPSECU100内に設けられた記憶部としてのメモリに格納されている。EPSECU100は、第1レゾルバ18および第2レゾルバ20から入力された検出値を利用してトーションバー22の捻れ角度を算出し、この捻れ角度およびトーションバー22の弾性係数を利用してステアリングホイール12の操舵トルクを算出する。
電動パワーステアリング機構32は、本実施形態ではいわゆるコラムアシスト式のものが採用されており、トルクセンサ16の転舵ユニット側に設けられる。電動パワーステアリング機構32は、モータ28、減速機構26、およびモータレゾルバ30を有する。モータ28のモータ軸は減速機構26に接続される。減速機構26にはギヤが設けられ、ステアリングホイール14に設けられたギヤ部と噛合する。モータ28が作動すると、その回転運動が減速機構26によって減速され、ステアリングシャフト14が回転駆動される。
モータ28は駆動回路62を介してEPSECU100に接続されている。駆動回路62にはバッテリ64が接続されている。EPSECU100は、駆動回路62に制御電流を供給してバッテリ64からモータ28に供給される電流を制御し、モータ28の作動を制御する。EPSECU100は、第1レゾルバ18および第2レゾルバ20の検出値を利用してステアリングホイール12の操舵トルクを算出する。EPSECU100は、算出した操舵トルクに応じた操舵アシストトルクを発生するよう、モータ28を作動させる。こうしてユーザは、ステアリングホイール12を操舵するに際して、操舵トルクに応じた操舵アシストトルクを得ることができる。
モータレゾルバ30はモータ28の回転位置を電気角として検出する。したがって、モータレゾルバ30は、モータ28の電気角を検出するモータ電気角検出部として機能する。モータレゾルバ30はEPSECU100に接続され、モータレゾルバ30から出力される検出値は第3電気角θT3としてEPSECU100に入力される。
ステアリングシャフト14の他端は、ユニバーサルジョイント34を介して連結軸36の一端に連結される。連結軸36の他端にはピニオンギヤ(図示せず)が設けられている。
転舵ユニット40は、ギヤボックス44、操舵軸46、タイロッド48、ナックルアーム50、変位センサ60を含む。ギヤボックス44は略円筒形状に形成され、軸方向が車両左右方向と平行となるように配置される。ギヤボックス44の内部には操舵軸46が挿通される。操舵軸46は、両端がギヤボックス44から突出するよう配置される。操舵軸46にはラックギヤが設けられている。連結軸36のピニオンギヤと操舵軸46のラックギヤがギヤボックス44内部において噛合し、ラックアンドピニオン機構42が構成される。ラックアンドピニオン機構42によって、ステアリングホイール12の回転が操舵軸46の軸方向の推進に変換される。
操舵軸46の端部にはそれぞれタイロッド48の一端が連結される。タイロッド48の他端は、前輪54を支持するナックルアーム50に連結される。ナックルアーム50は、キングピン52を中心に回動可能に車両に取り付けられる。操舵軸46が軸方向に推進すると、タイロッド48を介してナックルアーム50が回動され、前輪54が転舵される。
ステアリングホイールの回転位置は車両における様々な制御に利用される。ステアリングホイールの回転位置は、「車両が直進するステアリングホイールの位置」を中立位置とし、この中立位置から左右何度の回転位置にステアリングホイールが位置しているかを示す絶対操舵位置によって表される。以下、「右方向の操舵位置」とは、中立位置からステアリングホイール12が右回転方向に操舵された場合の操舵位置をいうものとし、「左方向の操舵位置」とは、ステアリングホイール12が中立位置から左回転方向に操舵された場合の操舵位置をいうものとする。
ステアリングホイール12の絶対操舵位置を検出するため、本実施形態のステアリングシステム10には絶対操舵位置検出装置90が設けられている。絶対操舵位置検出装置90は、イグニッションセンサ24、第1レゾルバ18、第2レゾルバ20、モータレゾルバ30、EPSECU100、および変位センサ60を有する。絶対操舵位置検出装置90は、コストの増加を抑制するため舵角センサを利用せずステアリングホイール12の絶対操舵位置を検出する。
第1レゾルバ18は、ステアリングホイール12の電気角を検出する。第1レゾルバ18は、ステアリングホイール12が1回転する間に、ステアリングホイール12の電気角を検出する周期を複数回(本実施形態では5回)繰り返す。したがって、第1レゾルバ18は対極数5を有し、電気的には5組のN極、S極を有するいわゆる「5x」のレゾルバである。このため、第1レゾルバ18は、ステアリングホイール12の機械角360°に対して電気角1800°を出力する。このため、第1レゾルバ18は、ステアリングホイール12の機械角360°に対して電気角360°を出力するレゾルバに比べ、5倍の分解能を有する。以下、第1レゾルバ18から出力される検出値を第1電気角θT1として説明する。
第2レゾルバ20も、ステアリングホイール12の電気角を検出する。第1レゾルバ18は、ステアリングホイール12が1回転する間に、ステアリングホイール12の電気角を検出する周期を、第1レゾルバ18が繰り返す周期数と異なる周期数(本実施形態では6回)繰り返す。したがって、第2レゾルバ20は対極数6を有し、電気的には5組のN極、S極を有するいわゆる「6x」のレゾルバである。このため、第1レゾルバ18は、ステアリングホイール12の機械角360°に対して電気角2160°を出力する。このため、第1レゾルバ18は、ステアリングホイール12の機械角360°に対して電気角360°を出力するレゾルバに比べ、6倍の分解能を有する。以下、第2レゾルバ20から出力される検出値を第2電気角θT2として説明する。
このように第1レゾルバ18の対極数と第2レゾルバ20の対極数を異ならせることによって、本実施形態では機械角が0°以上360°未満では第1レゾルバ18および第2レゾルバ20から同じ検出値は出力されない。EPSECU100は、第1レゾルバ18によって検出された第1電気角θT1、および第2レゾルバ20によって検出された第2電気角θT2を利用してステアリングホイール12の0°以上360°未満の角度によって表されるステアリングホイール機械角θTmを算出する。
したがって、EPSECU100は、1回転より多く回転可能なステアリングホイール12の回転位置を、0°以上360°未満の角度であるステアリングホイール機械角θTmの繰り返しとして検出する。たとえば、ステアリングホイールが右方向に420°操舵された場合、ステアリングホイール機械角θTmは60°となる。
ステアリングホイール12の絶対操舵位置θAmは、中立位置からのステアリングホイール12の回転角度によって表される。ステアリングホイール12は左右に1回転より多く回転することができる。このため、ステアリングホイール12が左右どちら側に操舵されているか、および中立位置から何回転目かが分からなければ、ステアリングホイール12の絶対操舵位置θAmを特定することができない。このため、EPSECU100は、モータレゾルバ30から入力された第3電気角θT3を利用して絶対操舵位置θAmを特定する。
EPSECU100は、ステアリングホイール機械角θTmおよび第3電気角θT3を利用して、絶対操舵位置θAmを特定するための計算値Yを算出する。図2は、この計算値Yとステアリングホイール12の操舵位置θとの関係を示す図である。本図の横軸は操舵位置θを表し、θがゼロの場合はステアリングホイール12が中立位置にあることを表す。本図の横軸における中立位置から右は、中立位置から右方向の操舵位置を表し、中立軸から左は中立軸から左方向の操舵位置を表す。また、本図の縦軸は計算値Yの値を表す。
ステアリングホイール12は、ストッパ機構(図示せず)によって、右回りおよび左周りに回転可能な範囲が規制される。本図に示されるSは、ストッパ機構により規制されるステアリングホイール12の回転可能な範囲である物理回転可能範囲を表す。
本図に示されるNは、ステアリングホイール機械角θTmおよび第3電気角θT3を利用して検出可能な所定回転範囲を表す。N3型の絶対操舵位置検出装置90が採用されている場合には、所定回転範囲Nは3回転に設定され、N4型の絶対操舵位置検出装置90が採用されている場合には所定回転範囲Nは4回転に設定される。N3型およびN4型の絶対操舵位置検出装置については公知の技術と同様であることから詳細な説明は省略する。
N3型およびN4型の絶対操舵位置検出装置のいずれを採用するかは、電動パワーステアリング機構32の減速機構26の減速比などによって決定される。しかし、現実的には、減速機構26における減速ギヤ比は設定自由度は低く、N3型およびN4型のいずれを採用するかを自由に決定することは困難である。また、N4型の絶対操舵位置検出装置を採用するために条数の多いネジ部を減速機構26に用いると、減速機構26の強度が低下する恐れがある。このため本実施形態に係る絶対操舵位置検出装置90ではN3型が採用されている。
本実施形態では、物理回転可能範囲Sは3.5回転に設定される。中立位置は物理回転可能範囲Sの略中央となるため、θはステアリングホイール12を右方向に約1.75回転した操舵位置を示し、θは左方向に約1.75回転した操舵位置を示す。所定回転範囲Nは上述のように3回転に設定される。中立位置は所定回転範囲Nの略中央となるため、θはステアリングホイール12を右方向に約1.5回転した操舵位置を示し、θは左方向に約1.5回転した操舵位置を示す。
このように、本実施形態では、物理回転可能範囲Sよりも所定回転範囲Nが小さく設定される。この場合、θからθまでの間、およびθからθまでの間は、物理回転可能範囲Sの範囲内であって、所定回転範囲Nの範囲外となる。θからθまでの間では、操舵位置θと計算値Yとの関係は、θにおいて下限値をとり、θにおいて上限値をとり、中立位置においてゼロとなる連続した直線となる。この直線をYとする。
θからθまでの間では、操舵位置θと計算値Yとの関係は、計算値Yが再び下限値から操舵位置θが増加するにしたがって増加する直線となる。この直線をYとする。直線Yのうち、θとθとの操舵位置の差と同様の操舵位置の差を有するθとθとの間の直線Yと直線Yは、同じ計算値となる場合がある。
同様に、θからθまでの間では、操舵位置θと計算値Yとの関係は、計算値Yが再び上限値から操舵位置θが減少するにしたがって減少する直線となる。この直線をYとする。直線Yのうち、θとθとの操舵位置の差と同様の操舵位置の差を有するθとθとの間の直線Yと直線Yは、同じ計算値となる場合がある。このように、所定回転範囲Nの中で所定回転範囲Nの範囲外と同じ計算値と成り得る点は公知の技術と同様であることから、同じ計算値となる要因については説明を省略する。
このように計算値Yが重複するため、物理回転可能範囲Sの範囲内であっても、θからθまでの間、およびθからθまでの間では、EPSECU100は、ステアリングホイール12が左右いずれに操舵されているかを検出することは困難である。したがって、EPSECU100は、計算値Yのみによって絶対操舵位置θAmを確定することは困難である。逆に、θ以上θ以下では、計算値Yによって絶対操舵位置θAmを確定することが可能である。
計算値Yによって絶対操舵位置θAmを確定可能な範囲である、θ以上、θ以下の範囲を確定可能範囲Dとする。前述の通り、θとθとの差と、θとθとの差は略同一である。また、θとθとの差と、θとθとの差は略同一である。ステアリングホイール12の中立位置は物理回転可能範囲Sおよび所定回転範囲Nの略中央となるため、物理回転可能範囲Sおよび所定回転範囲Nにおいて操舵可能な角度をそれぞれS、Nとすると、θ=S/2、θ=−S/2、θ=N/2、θ=−N/2となる。したがって、確定可能範囲Dを画定するθおよびθは、
θ=θ−(θ−θ)×2=2・θ−θ=N−S/2
θ=θ+(θ−θ)×2=2・θ−θ=−N+S/2
となる。したがって、本実施形態においては、θは1.25となり、ステアリングホイール12が右方向に約1.25回転した操舵位置となる。また、θは−1.25となり、ステアリングホイール12が左方向に約1.25回転した操舵位置となる。
イグニッションスイッチがオンにされている状態では、ステアリングホイール12が確定可能範囲Dを通って確定可能範囲Dの範囲外に操舵される。このため、確定可能範囲Dの範囲外にステアリングホイール12が操舵された場合においても、EPSECU100は、確定可能範囲Dの範囲外に操舵される直前の操舵方向を利用して、ステアリングホイール12が左右いずれに操舵されているかを特定することができる。このため、イグニッションスイッチがオンにされている状態では、確定可能範囲Dの範囲外にステアリングホイール12が操舵されている場合においても、EPSECU100は絶対操舵位置θAmを確定することができる。
しかし、ステアリングホイール12が確定可能範囲Dの範囲外に操舵された状態でイグニッションスイッチがオンにされた場合、EPSECU100は計算値Yのみでステアリングホイール12が左右いずれに操舵されているかを特定することができない。したがって、このような場合、EPSECU100が計算値Yのみで絶対操舵位置θAmを確定することは困難である。
このため、絶対操舵位置検出装置90は、変位センサ60を備える。EPSECU100は、変位センサ60から入力される検出値を利用して、確定可能範囲Dの範囲外においてステアリングホイール12が左右いずれに操舵されているかを示す操舵方向を検出する。本実施形態における変位センサ60はレーザによる非接触式変位センサが採用されている。変位センサ60は、レーザが照射される被検出面の変位を非接触で検出する。なお、変位センサ60に渦電流式の非接触式の非接触変位センサが採用されてもよいとは勿論である。
図3は、第1の実施形態に係る操舵軸46の変位センサ60の周辺における形状を示す図である。本図は、変位センサ60周辺のギヤボックス44の軸方向と平行な平面による断面図である。ギヤボックス44内には、操舵軸46が内包されている。本図は、ステアリングホイール12が中立位置にある場合を示す。たとえばステアリングホイール12が右方向に操舵された場合、操舵軸46は本図の右方向に推進する。ステアリングホイール12が左方向に操舵された場合、操舵軸46は本図の左方向に推進する。
変位センサ60の周辺では操舵軸46は円柱状に形成される。本実施形態に係る操舵軸46には、第1被検出面66および第2被検出面67が設けられている。第1被検出面66および第2被検出面67は、操舵軸46の外周が均一の深さに削られた形状の凹部の表面として形成される。第1被検出面66は、ステアリングホイール12が左方向に所定角度操舵された場合に変位センサ60によって変位が検出される位置に形成される。第2被検出面67は、ステアリングホイール12が右方向に所定角度操舵された場合に変位センサ60によって変位センサ60との距離が検出される位置に形成される。
図4は、第1の実施形態に係る操舵軸46の変位センサ60の周辺における詳細な形状を示す図である。本図では、変位センサ60周辺における操舵軸46の中心軸を含む断面の外形が示されている。なお、ステアリングホイール12の操舵方向と本図における操舵軸46の推進方向との関係は図3における説明と同様であることから説明を省略する。以下、操舵軸46における「範囲」とは、操舵軸46における軸方向の長さおよび軸方向の位置をいうものとして説明する。
確定可能範囲Dの範囲でステアリングホイール12が操舵され操舵軸46が軸方向に推進した場合に変位センサ60によって距離が検出される範囲をRとする。また、物理回転可能範囲Sの範囲でステアリングホイール12が操舵され操舵軸46が軸方向に推進した場合に変位センサ60によって距離が検出される範囲をRとする。範囲Rおよび範囲Rは、ステアリングホイール12が中立位置にある場合に変位センサ60によって距離が検出される操舵軸46外面上の位置(以下、「中立点N」という)から軸方向両側に略同一の長さ延在する。前述したように、本実施形態では範囲Rは範囲Rに含まれる。
操舵軸外面65の範囲Rは、範囲Rに含まれるように形成される。したがって範囲Rの軸方向の長さよりも範囲Rの軸方向の長さは短い。範囲Rも中立点Nから軸方向両側に略同位置の長さ延在する。
第1被検出面66の範囲Rは、ステアリングホイール12が左方向に操舵された場合に変位センサ60によって距離が検出される方向(本図において右側)における確定可能範囲Dの境界から物理回転可能範囲Sの境界までの範囲を含むように形成される。範囲Rは、本図右側の確定可能範囲Dの境界から物理回転可能範囲Sの境界までの範囲の両側に、タイヤの摩耗などによって中立点Nが軸方向に移動した場合を考慮した余裕分の領域が加えられてその範囲が画定されている。
第2被検出面67の範囲Rは、ステアリングホイール12が右方向に操舵された場合に変位センサ60によって距離が検出される方向(本図において左側)における確定可能範囲Dの境界から物理回転可能範囲Sの境界までの範囲を含むように形成される。範囲Rは、本図左側の確定可能範囲Dの境界から物理回転可能範囲Sの境界までの範囲の両側に、前述のように中立点Nが軸方向に移動した場合を考慮した余裕分の領域が加えられてその範囲が画定されている。
操舵軸外面65、第1被検出面66、および第2被検出面67は、操舵軸46の中心軸と平行に形成される。変位センサ60操舵軸外面65との間には基準距離Hの間隔が設けられている。また、第1被検出面66は、操舵軸外面65よりも径方向内向きに第1被検出面深さdだけ凹んでいる。第2被検出面67は、操舵軸外面65よりも径方向内向きに第2被検出面深さdだけ凹んでいる。したがって、変位センサ60第1被検出面66との距離は、(基準距離H)+(第1被検出面深さd)となる。また、変位センサ60第2被検出面67との距離は、(基準距離H)+(第2被検出面深さd)となる。第1被検出面深さdは第2被検出面深さdと異なる値となるよう第1被検出面66および第2被検出面67が形成されている。このため、ステアリングホイール12が左右に操舵されることによって、変位センサ60に検出される被検出面は操舵方向に応じて変位センサ60から離間する方向に変位する。
図5は、第1の実施形態に係る絶対操舵位置検出装置90における操舵位置θと変位センサ出力Vhとの関係を示す図である。本図において、横軸はステアリングホイール12の操舵位置θ、縦軸は変位センサ60から出力される電圧値Vを示す。操舵位置θは、ステアリングホイール12が中立位置にある場合にゼロとなり、ステアリングホイール12が右方向に操舵された場合にプラスの値となり、左方向に操舵された場合にマイナスの値となる。
θは、ステアリングホイール12が右方向に、操舵軸外面65の範囲Rの境界まで操舵されたときの操舵位置である。また、θは、ステアリングホイール12が左方向に範囲Rの境界まで操舵されたときの操舵位置である。
変位センサ60は、変位センサ60から被検出面までの距離に応じた電圧を出力する。操舵位置がθ以上、θ以下の場合、変位センサ60は、被検出面として操舵軸外面65を検出する。このとき変位センサ出力VhはVとなる。操舵位置がθより大きくなると、変位センサ60は被検出面として第2被検出面67を検出する。このとき変位センサ出力VhはVとなる。変位センサ60と操舵軸外面65との距離よりも変位センサ60と第2被検出面67との距離の方が長いため、VはVよりも大きな値となる。
操舵位置がθより小さくなると、変位センサ60は、被検出面として第1被検出面66を検出する。このとき変位センサ出力VhはVとなる。変位センサ60と操舵軸外面65との距離よりも変位センサ60と第1被検出面66との距離の方が長いため、VはVよりも大きな値となる。また、変位センサ60と第2被検出面67との距離よりも変位センサ60と第1被検出面66との距離の方が短いため、VはVよりも小さい値となる。
以上により、ステアリングホイール12が確定可能範囲Dの範囲外に操舵された場合、変位センサ60は、ステアリングホイール12が右方向に操舵されている場合にはVを出力し、左方向に操舵されている場合にはVを出力する。したがって、変位センサ出力Vhを利用すれば、ステアリングホイール12の操舵方向を判定することが可能となる。
図6は、第1の実施形態に係るEPSECU100の機能ブロック図である。EPSECU100は、操舵位置算出部102、確定可否判定部104、操舵位置確定部106、オフセット補正部108、および記憶部110を有する。
操舵位置算出部102は、第1レゾルバ18、第2レゾルバ20、モータレゾルバ30、およびイグニッションセンサ24から出力された検出結果を受信する。操舵位置算出部102は、イグニッションセンサ24から出力された検出結果を利用して、ユーザによってイグニッションセンサ24がオンからオフへ、およびオフからオンへ操作されたか否かを判定する。
操舵位置算出部102は、まず第1レゾルバ18により検出された第1電気角θT1および第2レゾルバ20により検出された第2電気角θT2を利用して、0°以上360°未満の範囲でステアリングホイール機械角θTmを検出する。このため、操舵位置算出部102は、0°以上360°未満の範囲でステアリングホイール12の回転位置を検出する操舵位置検出部として機能する。なお、第1電気角θT1および第2電気角θT2を利用してステアリングホイール12の回転位置を検出する工程は公知の技術と同様であることから説明を省略する。
また、操舵位置算出部102は、検出されたステアリングホイール12の回転位置と、モータレゾルバ30により検出された第3電気角θT3とを利用して、確定前の絶対操舵位置θBmを算出する。したがって、操舵位置算出部102は、確定前の絶対操舵位置θBmを算出する算出部としても機能する。
記憶部110には、オフセット補正後のステアリングホイール12の中立位置が格納されている。オフセット補正部108は、記憶部110に格納されたステアリングホイール12の中立位置を参照し、オフセット補正を施してステアリングホイール12の中立位置を特定する。
確定可否判定部104は、図2において説明した計算値Yが所定の閾値より大きいか、または小さいかを判定することにより、操舵位置θが確定可能範囲Dの範囲内にあるか否かを判定する。
操舵位置確定部106は、ステアリングホイール12の絶対操舵位置θAmを確定する。具体的には、操舵位置θが確定可能範囲Dの範囲内にあると判定された場合、操舵位置確定部106は、算出された確定前の絶対操舵位置θBmを、絶対操舵位置θAmとして確定する。操舵位置θが確定可能範囲Dの範囲外にあると判定された場合、操舵位置確定部106は、変位センサ60から入力された検出値を利用して、ステアリングホイール12が左右いずれに操舵されているかを示す操舵方向を検出する。操舵位置確定部106は、算出された確定前の絶対操舵位置θBmと検出されたステアリングホイール12の操舵方向とを利用して、絶対操舵位置θAmを確定する。したがって、操舵位置確定部106は、ステアリングホイール12の絶対操舵位置θAmを特定する絶対操舵位置特定部として機能する。
図7は、第1の実施形態に係る絶対操舵位置検出装置90の動作手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、イグニッションスイッチがオフにされたときに開始する。
操舵位置算出部102は、イグニッションスイッチがオンにされたか否かを判定する(S11)。EPSECU100は、イグニッションスイッチがオフにされた際に、イグニッションフラグをゼロに設定し、記憶部110に格納する。EPSECU100は、イグニッションスイッチが再びオンにされた際に、イグニッションフラグを1に設定する。操舵位置算出部102は、このイグニッションフラグを参照し、イグニッションフラグがゼロから1に変化した場合に、イグニッションスイッチがオンにされたと判定する。イグニッションスイッチがオフのままと判定した場合(S11のN)、EPSECU100は、イグニッションスイッチがオンと判定されるまでS11の判定を繰り返す。
イグニッションスイッチがオンにされたと判定された場合(S11のY)、オフセット補正部108は、オフセット補正を施してステアリングホイール12の中立位置を特定する(S12)。オフセット補正が終了すると、操舵位置算出部102は、第1電気角θT1および第2電気角θT2を利用してステアリングホイール機械角θTmを算出する(S13)。操舵位置算出部102は、モータレゾルバ30から入力された検出値を利用して第3電気角θT3を算出し(S14)、算出されたステアリングホイール機械角θTmおよび第3電気角θT3を利用して確定前の絶対操舵位置θBmを算出する(S15)。
確定前の絶対操舵位置θBmが算出されると、確定可否判定部104は、算出された確定前の絶対操舵位置θBmが確定可能範囲Dの範囲内にあるか否かを判定する(S16)。確定前の絶対操舵位置θBmは確定可能範囲Dの範囲内にあると判定された場合(S16のY)、操舵位置確定部106は、確定前の絶対操舵位置θBmをθAmとして確定する(S17)。
記憶部110には、閾値電圧Vthが格納されている。閾値電圧Vthは、変位センサ60によって第2被検出面67が検出された場合の電圧Vより小さく、第1被検出面66が検出された場合の電圧Vより大きな値に設定される。確定前の絶対操舵位置θBmは確定可能範囲Dの範囲外にあると判定された場合(S16のN)、操舵位置確定部106は、変位センサ60から出力された変位センサ出力Vhが閾値電圧Vth以上か否かを判定する(S19)。
変位センサ出力Vhが閾値電圧Vth以上であると判定された場合(S19のY)、操舵位置確定部106は、変位センサ60によって第2被検出面67が検出されていると判定する。このため操舵位置確定部106は、ステアリングホイール12が右方向に操舵されていると判定し、右操舵範囲における確定前の絶対操舵位置θBmを絶対操舵位置θAmとして確定する(S20)。
変位センサ出力Vhが閾値電圧Vthより小さいと判定された場合(S19のN)、操舵位置確定部106は、変位センサ60によって第2被検出面67が検出されていると判定する。このため操舵位置確定部106は、ステアリングホイール12が左方向に操舵されていると判定し、左操舵範囲の確定前の絶対操舵位置θBmを絶対操舵位置θAmとして確定する(S21)。
確定前の絶対操舵位置θBmが絶対操舵位置θAmとして確定されると、EPSECU100は、車両制御のために絶対操舵位置θAmを必要とする別のECUなどに、絶対操舵位置θAmを出力する(S18)。このように、確定された絶対操舵位置θAmは、各種の車両制御に利用される。
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る操舵軸46の変位センサ60の周辺の形状を示す図である。本図は、変位センサ60周辺のギヤボックス44の軸方向と平行な平面による断面図である。本図は、ステアリングホイール12が中立位置にある場合を示す。ステアリングホイール12の操舵方向と本図における操舵軸46の推進方向との関係は図3における説明と同様であることから説明を省略する。
本実施形態に係る操舵軸46も、変位センサ60の周辺において円柱状に形成される。本実施形態に係る操舵軸46には、第1被検出面68、第2被検出面69、および第3被検出面70が設けられている。第1被検出面68、第2被検出面69、および第3被検出面70は、本図における左側から右側に向かって第3被検出面70、第1被検出面68、第2被検出面69の順に操舵軸46に設けられる。第1被検出面68、第2被検出面69、および第3被検出面70は、操舵軸46の外面に対し、円周方向に均一の深さを有し、本図左方向にむかって徐々に深さが深くなるよう凹んだ凹部の表面として形成される。
第1被検出面68は、ステアリングホイール12が中立位置にある場合に変位センサ60によって変位が検出される位置に形成される。第2被検出面69は、ステアリングホイール12が左方向に所定角度操舵された場合に変位センサ60によって変位が検出される位置に形成される。第3被検出面70は、ステアリングホイール12が右方向に所定角度操舵された場合に変位センサ60によって変位センサ60との距離が検出される位置に形成される。
図9は、第2の実施形態に係る操舵軸46の変位センサ60の周辺における詳細な形状を示す図である。本図では、変位センサ60周辺における操舵軸46の中心軸を含む断面の外形が示されている。また、理解を容易なものとするため、第1被検出面68、第2被検出面69、および第3被検出面70の傾斜角度は大きく表示している。なお、ステアリングホイール12の操舵方向と本図における操舵軸46の推進方向との関係は図3における説明と同様であることから説明を省略する。また、範囲R、範囲R、および中立点Nについても第1の実施形態における説明と同様であることから説明を省略する。
第1被検出面68の範囲Rは、車両出荷時における中立点Nの両側に、中立点Nが軸方向に移動した場合を考慮した余裕分の領域を設けることによりその範囲が確定されている。
第2被検出面69の範囲Rは、ステアリングホイール12が左方向に操舵された場合に変位センサ60によって距離が検出される方向(本図において右側)における確定可能範囲Dの境界から物理回転可能範囲Sの境界までの範囲を含むように形成される。範囲Rは、本図右側における、確定可能範囲Dの境界から物理回転可能範囲Sの境界までの範囲の両側に、中立点Nが軸方向に移動した場合を考慮した余裕分の領域が加えられてその範囲が画定されている。
第3被検出面70の範囲Rは、ステアリングホイール12が右方向に操舵された場合に変位センサ60によって距離が検出される方向(本図において左側)における確定可能範囲Dの境界から物理回転可能範囲Sの境界までの範囲を含むように形成される。範囲Rは、本図左側における、確定可能範囲Dの境界から物理回転可能範囲Sの境界までの範囲の両側に、中立点Nが軸方向に移動した場合を考慮した余裕分の領域が加えられてその範囲が画定されている。
第1被検出面68の断面は、操舵軸46の外面から第1被検出面最大深さd1maxになるまで、本図における左方向に進むにしたがって径方向内向きに直線的に徐々に凹むよう傾斜した傾斜部となる。第2被検出面69の断面は、第2被検出面最小深さd2minから第2被検出面最大深さd2maxになるまで、本図における左方向に進むにしたがって径方向内向きに直線的に徐々に凹むよう傾斜した傾斜部となる。第3被検出面70の断面は、第3被検出面最小深さd3minから第3被検出面最大深さd3maxになるまで、本図における左方向に進むにしたがって径方向内向きに直線的に徐々に凹むよう傾斜した傾斜部となる。
変位センサ60と操舵軸46の外面との間には基準距離Hの間隔が設けられている。したがって、変位センサ60によって第1被検出面68が検出される場合、基準距離Hより大きい距離から、(基準距離H+第1被検出面最大深さd1max)より小さい距離までの変位が検出される。また、変位センサ60によって第2被検出面69が検出される場合、(基準距離H+第2被検出面最小深さd2min)よりも大きい距離から(基準距離H+第2被検出面最大深さd2max)よりも小さい距離までの変位が検出される。また、変位センサ60によって第3被検出面70が検出される場合、(基準距離H+第3被検出面最小深さd3min)よりも大きい距離から(基準距離H+第3被検出面最大深さd3max)よりも小さい距離までの変位が検出される。
第1被検出面最大深さd1maxは、第2被検出面最小深さd2minよりも小さな値とされている。また、第2被検出面最大深さd2maxは第3被検出面最小深さd3minよりも小さな値とされている。このため、変位センサ60と第1被検出面68、第2被検出面69、および第3被検出面70との距離は同一の値となることはなく、これらの検出面はステアリングホイール12の操舵位置に応じて変位する。したがって変位センサ60は、これらの検出面を検出する場合、操舵位置に応じて異なる検出値を出力する。なお、それぞれの傾斜角度が同一となるよう、それぞれの被検出面の最小深さおよび最大深さが設定されている。
図10は、第2の実施形態に係る絶対操舵位置検出装置90における操舵位置θと変位センサ出力Vhとの関係を示す図である。本図における縦軸および横軸は、図5における説明と同様であることから説明を省略する。
θ11は、変位センサ60の被検出箇所が第1被検出面68の範囲Rの境界に来るまでステアリングホイール12が右方向に操舵されたときの操舵位置である。また、θ12は、変位センサ60の検出箇所が範囲Rの境界に来るまでまでステアリングホイール12が左方向に操舵されたときの操舵位置である。θ13は、変位センサ60による被検出箇所が第2被検出面69の範囲Rの境界に来るまでステアリングホイール12が操舵されたときの操舵位置である。θ14は、変位センサ60による被検出箇所が第2被検出面69の範囲Rの境界に来るまでステアリングホイール12が操舵されたときの操舵位置である。
操舵位置がθ11より大きくθ13より小さい範囲、またはθ14より大きくθ12より小さい範囲にある場合では、変位センサ60は、操舵軸46の外面を検出する。このとき、変位センサ出力VhはV10となる。操舵位置がθ12以上、θ11以下の範囲にある場合では、変位センサ60は、第1被検出面68を検出する。このとき、変位センサ出力Vhは、転舵角度がθ12のときにV10となり、それからステアリングホイール12が右方向に操舵されるにしたがって直線的に徐々に増加する。
変位センサ出力Vhは、操舵位置がθ11のときにV10よりも大きな値のV12になるまで増加する。変位センサ出力Vhは、ステアリングホイール12が中立位置にあるときはV10より大きくV12よりも小さい値であるV11となる。
操舵位置がθ14より小さい範囲にある場合、変位センサ60は、第2被検出面69を検出する。変位センサ出力Vhは、操舵位置がθ14の場合にV12よりも大きい値であるV13となり、操舵位置がθ14にある状態からステアリングホイール12が左に操舵されるにしたがって直線的に徐々に減少する。また、操舵位置がθ14より大きくなると、変位センサ60は、第3被検出面70を検出する。この場合、変位センサ出力Vhは、θ13においてV13よりもわずかに大きな値となり、θ13からステアリングホイール12が右に操舵されるにしたがって直線的に徐々に増加する。
以上により、ステアリングホイール12が確定可能範囲Dの範囲外に操舵された場合、変位センサ出力Vhは、ステアリングホイール12の操舵位置θに応じた値となる。したがって変位センサ出力Vhを利用すれば確定可能範囲Dの範囲外において絶対操舵位置θAmを算出することが可能となる。
図11は、第2の実施形態に係る絶対操舵位置検出装置90の動作手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、イグニッションスイッチがオフにされたときに開始する。なお、S31、S33及至S38は、図7におけるS11、S13及至S18と同様であることから説明を省略する。
記憶部110には、オフセット補正前の中立位置にステアリングホイール12がある状態のV11が格納されている。また、記憶部110には、オフセット補正前の操舵位置θと変位センサ出力Vhとの関係が格納されている。オフセット補正部108は、オフセット補正後の中立位置にステアリングホイール12がある状態のV11を、θ12以上、θ11以下での変位センサ出力Vhの傾きを利用して算出する。オフセット補正部108は、オフセット補正後のV11からオフセット補正前のV11を引き、求めた差を、オフセット補正前の操舵位置θと変位センサ出力Vhとの関係における変位センサ出力Vhに加える。EPSECU100は、こうしてオフセット補正後の操舵位置θと変位センサ出力Vhとの関係を新たに作成する(S32)。これによって、オフセット補正後も、検出された変位センサ出力Vhからステアリングホイール12の絶対操舵位置θAmを正確に算出することが可能となる。
また、確定前の確定前操舵位置θBmは確定可能範囲Dの範囲外にあると判定された場合(S36のN)、操舵位置確定部106は、検出された変位センサ出力Vh、およびS32において作成したオフセット補正後の操舵位置θと変位センサ出力Vhとの関係を利用して、絶対操舵位置θAmを算出し、確定する(S39)。これによって、確定可能範囲Dの範囲外では、変位センサ60の検出結果によって容易に絶対操舵位置θAmを算出することができる。
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
なお、本実施形態では、第1レゾルバ18、第2レゾルバ20、およびモータレゾルバ30のいずれかに代わって、アブソリュート光学式エンコーダ、アブソリュート磁気式エンコーダ、ポテンショメータを位置検出器など、が採用されてもよい。これらによってもステアリングホイール機械角θTmやモータの電気角などを検出することができる。
また、本実施形態に係るステアリングシステム10では、コラムアシスト式の電動パワーステアリング機構が採用されているが、これに代わっていわゆるラックアシスト式またはピニオンアシスト式の電動パワーステアリング機構が採用されてもよい。このようなタイプの電動パワーステアリング機構が採用された場合においても、舵角センサを設けることによるコストの増大を抑制しながら、広い範囲でステアリングホイール12の絶対操舵位置を確定することが可能となる。
第1の実施形態に係るステアリングシステムの全体構成図である。 ステアリングホイール機械角および第3電気角を利用して算出された計算値Yとステアリングホイールの操舵位置との関係を示す図である。 第1の実施形態に係る操舵軸の変位センサの周辺における形状を示す図である。 第1の実施形態に係る操舵軸の変位センサの周辺における詳細な形状を示す図である。 第1の実施形態に係る絶対操舵位置検出装置における操舵位置と変位センサ出力との関係を示す図である。 第1の実施形態に係るEPSECUの機能ブロック図である。 第1の実施形態に係る絶対操舵位置検出装置の動作手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係る操舵軸の変位センサの周辺の形状を示す図である。 第2の実施形態に係る操舵軸の変位センサの周辺における詳細な形状を示す図である。 第2の実施形態に係る絶対操舵位置検出装置における操舵位置と変位センサ出力との関係を示す図である。 第2の実施形態に係る絶対操舵位置検出装置の動作手順を示すフローチャートである。
符号の説明
10 ステアリングシステム、 12 ステアリングホイール、 14 ステアリングシャフト、 16 トルクセンサ、 18 第1レゾルバ、 20 第2レゾルバ、 22 トーションバー、 24 イグニッションセンサ、 28 モータ、 30 モータレゾルバ、 32 電動パワーステアリング機構、 40 転舵ユニット、 60 変位センサ、 65 操舵軸外面、 66 第1被検出面、 67 第2被検出面、 68 第1被検出面、 69 第2被検出面、 70 第3被検出面、 80 ステアリング装置、 90 絶対操舵位置検出装置、 100 EPSECU。

Claims (6)

  1. 1回転より多く回転可能なステアリングホイールの回転位置を、0°以上360°未満の角度の繰り返しとして検出する操舵位置検出部と、
    ステアリングホイールの操舵を補助するモータの電気角を検出するモータ電気角検出部と、
    ステアリングホイールの操舵方向を検出する操舵方向検出部と、
    検出されたステアリングホイールの回転位置と、検出されたモータの電気角と、検出された操舵方向と、を利用してステアリングホイールの絶対操舵位置を特定する絶対操舵位置特定部と、
    を備えることを特徴とする絶対操舵位置検出装置。
  2. 前記絶対操舵位置特定部は、
    所定範囲内における絶対操舵位置を、検出されたステアリングホイールの回転位置と、検出されたモータの電気角とを利用して特定し、
    所定範囲外における絶対操舵位置を、検出されたステアリングホイールの回転位置と、検出されたモータの電気角と、検出された操舵方向とを利用して特定することを特徴とする請求項1に記載の絶対操舵位置検出装置。
  3. ステアリングホイールの操舵方向に応じて変位する被検出面と、
    前記被検出面の変位を検出する変位センサと、をさらに備え、
    前記操舵方向検出部は、検出された被検出面の変位を利用してステアリングホイールの操舵方向を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の絶対操舵位置検出装置。
  4. ステアリングシャフトが1回転する間に複数の周期が繰り返されるステアリングシャフトの電気角を検出する第1電気角検出部と、
    ステアリングシャフトが1回転する間に、前記第1電気角検出部によって繰り返される周期数と異なる数の周期が繰り返されるステアリングシャフトの電気角を検出する第2電気角検出部と、をさらに備え、
    前記操舵位置検出部は、前記第1電気角検出部により検出された電気角および前記第2電気角検出部により検出された電気角を利用して、0°以上360°未満の範囲でステアリングホイールの回転位置を検出することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の絶対操舵位置検出装置。
  5. 1回転より多く回転可能なステアリングホイールの回転位置を、0°以上360°未満の角度の繰り返しとして検出する操舵位置検出部と、
    ステアリングホイールの操舵を補助するモータの電気角を検出するモータ電気角検出部と、
    ステアリングホイールの操舵位置に応じて変位する被検出面と、
    被検出面の変位を検出する変位センサと、
    所定範囲内における絶対操舵位置を、検出されたステアリングホイールの回転位置と、検出されたモータの電気角とを利用して特定し、所定範囲外における絶対操舵位置を、検出された前記被検出面の変位を利用して特定する絶対操舵位置特定部と、
    を備えることを特徴とする絶対操舵位置検出装置。
  6. ステアリングシャフトが1回転する間に複数の周期が繰り返されるステアリングシャフトの電気角を検出する第1電気角検出部と、
    ステアリングシャフトが1回転する間に、前記第1電気角検出部によって繰り返される周期数と異なる数の周期が繰り返されるステアリングシャフトの電気角を検出する第2電気角検出部と、をさらに備え、
    前記操舵位置検出部は、前記第1電気角検出部により検出された電気角および前記第2電気角検出部により検出された電気角を利用して、0°以上360°未満の範囲でステアリングホイールの回転位置を検出することを特徴とする請求項5に記載の絶対操舵位置検出装置。
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