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JP2007218408A - 回転式流体機械 - Google Patents

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JP2007218408A JP2006042972A JP2006042972A JP2007218408A JP 2007218408 A JP2007218408 A JP 2007218408A JP 2006042972 A JP2006042972 A JP 2006042972A JP 2006042972 A JP2006042972 A JP 2006042972A JP 2007218408 A JP2007218408 A JP 2007218408A
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Takeyoshi Okawa
剛義 大川
Hisashi I
尚志 井
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Daikin Industries Ltd
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Abstract

【課題】軸(33)と軸受(22a,23a)とを備えたスイング式圧縮機(1)において、軸(33)と軸受(22a,23a)との摺動面に対する耐摩耗性を向上させることにより、スイング式圧縮機(1)に対する軸受(22a,23a)の信頼性を高める。
【解決手段】軸(33)が摺接する軸受(22a,23a)の表面に樹脂層(22a,23a)を形成するだけでなく、その軸受(22a,23a)が摺接する軸(33)の表面にも樹脂層(33b,33c)を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、軸と軸受と備えた回転式流体機械に関し、特に、軸受の表面に樹脂層が形成されている回転式流体機械に関するものである。
従来より、回転式流体機械には、軸や軸受などの摺動部材が用いられている。この摺動部材は、所要の機械的強度が必要であると同時に、その摺動面において摺動性あるいは耐摩耗性が必要である。このため、該摺動面に潤滑剤を供給して潤滑膜を形成し、摺動部材同士が直接触れ合わないようにして、膜摺動性あるいは耐摩耗性を高める方法もある。一方、該摺動面に摺動性あるいは耐摩耗性を具備させる技術が非常に多く提案されている。その中で、軸が摺接する軸受の表面に摺動部材用組成物から成る樹脂層を形成した例として特許文献1が挙げられる。
又、特許文献2では、摺動部材用組成物の評価試験を行っている。具体的には、摺動部材用組成物の引張強度と、摺動部材用組成物の耐摩耗性との関係について実験的に評価している。この検討結果によると、例えばポリアミドイミド樹脂から成るバインダと、固体潤滑剤及び耐摩耗剤が包含されている摺動部材用組成物において、所定の条件を満たせば耐摩耗性が向上することが示されている。
特開2004−251226号公報 特開2002−53883号公報
ところで、特許文献1における回転式流体機械では、該回転式流体機械の軸が摺接する軸受の表面、いわゆる軸受側の摺動面に摺動部材用組成物からなる樹脂層が形成されている。この樹脂層は、摺動面の耐摩耗性を向上させるだけでなく、摺動面に混入するゴミなどの異物を該樹脂層の内部へ埋没させる効果も備えている。この効果を利用すれば、そのゴミなどの異物により摺動面が削り取られるアブレシブ摩耗を低下させ、耐摩耗性を向上させることができる。
しかし、特許文献1における回転式流体機械のように、軸受だけに樹脂層を形成し、軸には樹脂層を形成しない場合、摺動面に混入したゴミなどの異物は、軸受の樹脂層だけで捉えられ埋没することになり、該樹脂層にそのゴミなどの異物を埋没できたとしても、耐摩耗性を向上させるには限界があると思われる。
これに対して、軸にも樹脂層を形成すると摺動面の耐摩耗性が向上すると考えられるが、軸側に樹脂層を形成する場合、軸受側に形成する場合とは異なり、軸たわみによる樹脂層の剥離等のおそれがある。そこで、剥離が起こらないように、該樹脂層の組成や膜厚を決定しなければ、摺動面の耐摩耗性を向上させることができない可能性がある。本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸と軸受とを備えた回転式流体機械において、軸と軸受との摺動面に対する耐摩耗性を向上させるために、軸受側だけでなく軸側にも良好に(剥離しないように)樹脂層を形成させることにより、回転式流体機械に対する軸受の信頼性を高めることである。
第1の発明は、軸(33)と軸受(22a,23a)とを備え、上記軸(33)が摺接する軸受(22a,23a)の表面に、ポリアミドイミド樹脂から成るバインダと、ポリテトラフルオロエチレンから成る固体潤滑剤とを含む樹脂層(33b,33c)が形成されている回転式流体機械を前提としている。
そして、上記回転式流体機械の軸受(22a,23a)が摺接する軸(33)の表面に、ポリアミドイミド樹脂から成るバインダと、ポリテトラフルオロエチレンから成る固体潤滑剤とを含む摺動部材用組成物から成る樹脂層(33b,33c)が構成され、上記摺動部材用組成物のポリアミドイミド樹脂の質量組成比が50%以上であることを特徴としている。尚、このポリアミドイミド樹脂の組成比は90%以下、特に70%以下であることが望ましい。
この第1の発明では、上記回転式流体機械において、軸(33)が摺接する軸受(22a,23a)の表面に、ポリアミドイミド樹脂とポリテトラフルオロエチレンとを含む樹脂層(22a,23a)が形成されているだけでなく、軸受(22a,23a)が摺接する軸(33)の表面にも、軸受(22a,23a)と同様の樹脂層(33b,33c)が形成されているので、軸(33)と軸受(22a,23a)との表面の間にゴミなどの異物が混入した場合、そのゴミなどの異物を両方の樹脂層(22b,23b,33b,33c)で捉えて埋没させることができる。又、軸(33)の表面に形成されている樹脂層(33b,33c)におけるポリアミドイミド樹脂の質量組成比が50%以上であるので、例えば、図4の表に示すように、軸(33)の表面と樹脂層(33b,33c)との密着性が向上し、軸たわみによる該樹脂層(33b,33c)の剥離を抑制することもできる。
第2の発明は、第1の発明において、上記軸(33)と上記軸受(22a,23a)との少なくとも一方の樹脂層(22b,23b,33b,33c)に耐摩耗剤が含まれていることを特徴としている。
この第2の発明では、上記軸(33)と上記軸受(22a,23a)との少なくとも一方に形成される樹脂層(22b,23b,33b,33c)の機械的強度を向上させることができる。
第3の発明は、第1の発明において、上記軸受(22a,23a)の樹脂層(22b,23b)の膜厚が、50μm以上70μm以下であり、上記軸(33)の樹脂層(33b,33c)の膜厚が、20μm以上50μm以下であることを特徴としている。
この第3の発明では、最小膜厚を規定することで、樹脂層のゴミ等の埋没効果や樹脂層の剥離防止効果を確保することができ、最大膜厚を規定することで、余分な樹脂量を削減することができる。
本発明によれば、軸受(22a,23a)だけでなく、軸受(22a,23a)が摺接する軸(33)の摺動面にも同じポリアミドイミド樹脂とポリテトラフルオロエチレンとを含む樹脂層(33b,33c)を形成することにより、アブレシブ摩耗を減少させることができる。その理由は、軸受(22a,23a)と軸(33)の両方の樹脂層(22b,23b,33b,33c)で、アブレシブ摩耗の原因となるゴミなどの異物を捉えて埋没させることができるからである。このアブレシブ摩耗の減少により、軸(33)と軸受(22a,23a)との摺動面の耐摩耗性を向上させることができ、回転式流体機械における軸受(22a,23a)の信頼性を高めることができる。又、軸(33)に形成される樹脂層(33b,33c)におけるポリアミドイミド樹脂の質量組成比を50%以上としているので、軸(33)に対する(33b)の密着性が向上し、軸たわみの影響による該樹脂層(33b,33c)の剥離を抑えることもできる。また、ポリアミドイミド樹脂の質量組成比を90%以下(好ましくは70%以下)にすれば、回転式流体機械における軸受(22a,23a)の信頼性を、より一層高めることができる。
また、上記第2の発明によれば、軸(33)と軸受(22a,23a)との少なくとも一方に形成される樹脂層(22b,23b,33b,33c)に耐摩耗剤を含ませることにより、回転式流体機械における軸受の信頼性を高めたうえで、該樹脂層(22b,23b,33b,33c)の機械的強度を向上させることができる。
また、上記第3の発明によれば、軸(33)と軸受(22a,23a)とに形成される樹脂量(33b,22b,23b)を限定することにより製造コストを低く抑えることができる。ここで、軸に形成される樹脂層(33b,33c)の最小膜厚である20μmは、厚みが薄すぎると基材の表面粗さの影響で、該基材が露出してしまうのを防ぐために限定し、最大膜厚である50μmは、厚みが厚すぎると軸たわみの影響で、樹脂層(33b,33c)が剥がれてしまうのを防ぐために限定している。一方、軸受(22a,23a)に形成される樹脂層(22b,23b)の膜厚は、製造上において容易に形成できる範囲として限定している。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態は、図1及び図2に示すように、揺動ピストン型のスイング圧縮機(回転式流体機械)(1)である。上記スイング圧縮機(1)は、冷凍装置の冷媒回路に設けられ、流体であるガス冷媒を圧縮するために用いられる。このスイング圧縮機(1)は、ドーム型のケーシング(10)内に、圧縮機構(20)と電動機(30)とが収納され、全密閉型に構成されている。
上記ケーシング(10)は、円筒状の胴部(11)と、該胴部(11)の上下にそれぞれ設けられた上部鏡板(12)及び下部鏡板(13)とを備えている。上記胴部(11)の下部には、吸入管(41)が設けられ、上部鏡板(12)には、吐出管(15)と、電動機(30)に電力を供給するターミナル(16)とが設けられている。
上記圧縮機構(20)は、ケーシング(10)内の下部に配置され、シリンダ(21)と該シリンダ(21)のシリンダ室(25)に収納された揺動ピストン(28)とを備えている。
上記シリンダ(21)は、円筒形に形成したものである。該シリンダ(21)の上部及び下部には、フロントヘッド(22)及びリヤヘッド(23)が設けられている。このようにして、該フロントヘッド(22)及びリヤヘッド(23)が、シリンダ(21)の上下を閉塞することにより、上記シリンダ(21)の円筒内部がシリンダ室(25)を構成している。
上記電動機(30)は、固定子(31)と回転子(32)とを備えている。該固定子(31)は、圧縮機構(20)の上方でケーシング(10)の胴部(11)に固定され、回転子(32)には軸(33)が連結されている。
上記軸(33)は、シリンダ室(25)を上下方向に貫通し、フロントヘッド(22)とリヤヘッド(23)には、軸(33)を支持するための主軸受部(軸受)(22a)と副軸受部(軸受)(23a)とがそれぞれ形成されている。
そして、軸(33)が摺接する主軸受部(22a)の表面には、第1樹脂層(樹脂層)(22b)が形成され、上記軸(33)が摺接する副軸受部(23a)の表面には、第2樹脂層(樹脂層)(23b)が形成されている。一方、主軸受部(22a)と副軸受部(23a)とが摺接する軸(33)の表面にも、樹脂層(33b,33c)が形成されている。
各樹脂層(22b,23b,33b,33c)は、バインダに対して固体潤滑剤及び耐摩耗剤を分散して調合したスラリーを、軸(33)と軸受(22a,23a)との各摺動面に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を焼成等で硬化させることで得られる。この樹脂層(22b,23b,33b,33c)では、バインダとしてポリアミドイミド樹脂(PAI)が、固体潤滑剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が、耐摩耗剤としてフッ化カルシウム(CaF2)及び酸化アルミニウム(Al23)が用いられる。また、樹脂層(22b,23b,33b,33c)は、その組成比(質量%)が、PAI/PTFE/CaF2/Al23=60/20/15/5となるように配合される。軸(33)の表面に形成されている樹脂層(33b,33c)の膜厚は20μm以上50μm以下の膜厚であればよく、主軸受部(22a)と副軸受部(23a)との樹脂層(22b,23b)の膜厚は50μm以上70μm以下の膜厚であればよい。
上記軸(33)には、シリンダ室(25)の中央部分に偏心部(33a)が形成されている。この偏心部(33a)は、軸(33)よりも大径に形成されている。
上記揺動ピストン(28)は、ピストン本体(28a)と、該ピストン本体(28a)に一体に形成され且つピストン本体(28a)から突出する仕切り部材であるブレード(27)とを備えている。該ピストン本体(28a)は円筒形に形成され、その円筒内部に上記偏心部(33a)が挿入されている。このようにして、軸(33)が回転すると、ピストン(28)が、シリンダ(21)のシリンダ室(25)内を偏心回転するように構成されている。
上記シリンダ(21)には、ブッシュ孔(26)が形成されている。該ブッシュ孔(26)には、一対のブッシュ(51)が挿入されている。該一対のブッシュ(51)は、鉄系材料かなり、それぞれ、断面が略半円形状に構成され、フラット面と円弧状の外周面とを備えている。そして、該一対のブッシュ(51)は、互いのフラット面同士が対向するように配置され、この対向したフラット面の間がブレード溝(29)を構成している。該ブレード溝(29)には、上記ブレード(27)が挿入されている。このように、上記ピストン(28)のブレード(27)は、表面(27a)がブッシュ(51)のフラット面と対面し、上記シリンダ(21)は、ブッシュ孔(26)の表面(26a)がブッシュ(51)対面している。上記シリンダ(21)には、ブレード(27)の先端を収容するためのブッシュ背部室(50)が、ブッシュ孔(26)の外側に形成されている。
そして、上記一対のブッシュ(51)は、ブレード(27)を挟んだ状態で、ブレード(27)がブレード溝(29)を進退するように構成されると共に、ブレード(27)と一体的にブッシュ孔(26)の中で揺動するように構成されている。
また、上記ブレード(27)は、シリンダ室(25)を吸入側空間(25a)と圧縮側空間(25b)とに区画している。上記シリンダ(21)には、上記吸入側空間(25a)と連通する吸入口(14)が形成されている。該吸入口(14)には、吸入管(41)が接続されている。また、上記フロントヘッド(22)には吐出口(42)が形成されている。さらに、シリンダ(21)の内周面には、吐出路(43)が、吐出口(42)に連通して形成されている。尚、上記フロントヘッド(22)の上面には、吐出口(15)を開閉する吐出弁(45)が設けられている。
−運転動作−
次に、上記スイング圧縮機(1)の運転動作について説明する。
冷凍装置の冷媒回路では、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。その際、上記スイング圧縮機(1)は、蒸発器から低圧のガス冷媒を吸入して圧縮し、圧縮後の高圧のガス冷媒を凝縮器へ送り出す。
電動機(30)を起動して回転子(32)が回転すると、該回転子(32)の回転が軸(33)を介して圧縮機構(20)の揺動ピストン(28)に伝達される。これによって、揺動ピストン(28)のブレード(27)がブッシュ(51)に対して往復直線運動の摺動を行い、且つブッシュ(51)が上記ブッシュ孔(26)内で往復回転運動を行うことで、揺動ピストン(8)はブレード(27)がブッシュ孔(26)を中心として揺動しながらピストン本体(28a)がシリンダ室(25)内で軸(33)を中心として公転し、圧縮機構(20)が所定の圧縮動作を行う。
具体的に、図2に示すように、シリンダ室(25)は、該シリンダ室(25)の内周面と揺動ピストン(28)の外周面とが接する接点位置(60)とブレード(27)とによって、図2の右側と左側の部屋とに分けられる。そして、右側の部屋が、吸入口(14)に連通した吸入室(25a)となり、左側の部屋が、吐出口(42)と連通した圧縮室(25b)となる。
上記揺動ピストン(28)は、図の右回りに公転し、吸入室(25a)の容積が徐々に拡大し、該吸入室(25a)に低圧の冷媒ガスが吸入口(14)を介して吸入される一方、圧縮室(25b)の容積が減少し、該圧縮室(25b)では冷媒が圧縮される。圧縮室(25b)の圧力が所定値となって圧縮機構(20)の外側空間との差圧が設定値に達すると、圧縮室(25b)の高圧冷媒によって吐出弁(46)が開き、高圧冷媒が圧縮室(25b)からケーシング(10)の内部に吐出される。この動作が繰り返される。その際、軸(33)は樹脂層(22b,23b,33b,33c)を介して軸受(22a,23a)に滑らかに摺動する。
〈耐摩耗性の評価試験〉
次に、軸(33)と軸受(22a,23a)との摺動面に形成される樹脂層(22b,23b,33b,33c)の耐摩耗性に関する評価試験について説明する。
本願発明者らは、軸受(22a,23a)のみに樹脂層(22b,23b)を形成しただけでは耐摩耗性を向上させるには限界があると考え、軸受(22a,23a)だけでなく、軸(33)にも樹脂層(33b,33c)を形成することにより、軸受(22a,23a)の摺動面における樹脂層(22b,23b)の耐摩耗性が向上することを試験で確認した。本試験では、軸(33)に形成される樹脂層(33b,33c)の成分としてPAIに着目し、PAIの組成比を変化させて試験を行った。具体的には、軸(33)のサンプルとして、図4に示すように、樹脂層を形成しないサンプル1、PAI/FEP/PTFE=40/50/10のサンプル2、サンプル2に対してPAIの組成比率を上げたPAI/FEP/PTFE=50/40/10のサンプル3、サンプル3に対してさらにPAIの組成比率を上げ、CaF2とAl23とを添加して軸受(22a,23a)の組成比と同等としたPAI/PTFE/CaF2/Al23=60/20/15/5のサンプル4、サンプル4に対してPAIの組成比率を上げたPAI/PTFE/CaF2/Al23=80/10/5/5のサンプル5、サンプル5に対してPAIの組成比をさらに上げるとともにCaF2とAl23とを除去したPAI/PTFE=95/5のサンプル6の6種類の組成比の樹脂層(22b,23b)を形成した軸(101)を用い検討した。
評価試験の方法は、図3に示すようなジャーナル試験により行った。先ず、FCD600からなる軸(101)を適用し、この軸(101)の表面にリン酸マンガンを用いた化成処理によりRa(算術表面粗さ)が3.7μmの粗面化処理を施した。そして、その表面に上記3種類の樹脂層(22b,23b)を膜厚20μmとして形成した。なお、樹脂層(22b,23b)は上記3種類の組成物を塗布した後に200℃で焼成し、その後に表面を研磨して形成した。一方、S45Cからなる軸受(100)の表面には、PAI/PTFE/CaF2/Al23=60/20/15/5の組成比の樹脂層(33b,33c)を膜厚50μmとして形成した。そして、軸(101)を上記軸受(100)に貫挿し、該軸(101)を一定速度で回転させる。試験は、軸(101)と軸受(100)との摺動速度を1.6m/sとし、軸受(100)には0.8MPaの荷重を与えて固定し、1時間保持後、軸(101)の樹脂層(22b,23b)の状態、軸受(100)と軸(101)との合計摩耗量及び軸受(100)と軸(101)との間の平均摩擦係数とを測定することにより、耐摩耗性と耐剥離性とを評価した。なお、今回の試験は大気中で行い、かつ、軸(101)と軸受(100)の摺動面には潤滑油(出光エーテル油FVC46)を塗布した。
図4は、ジャーナル試験による耐摩耗評価の結果である。軸(101)に樹脂層(33b,33c)を形成しないサンプル1の場合、軸受(100)と軸(101)との合計摩耗量は10μmであるのに対し、樹脂層(33b,33c)を形成したサンプル2の場合、合計摩耗量は8μmであり、軸(101)側の樹脂層(33b,33c)が剥離を起こしている。そこで、樹脂層の密着力を高めるためにPAIの比率を50%としたサンプル3の場合、樹脂層(33b,33c)は剥離を起こさず、合計摩耗量は2μmと大幅に低減している。さらに、軸(101)の樹脂層(33b,33c)の組成比を軸受(100)の樹脂層(22b,23b)の組成比と同じにしても、合計摩耗量は、PAIの組成比が50%の場合の場合と変わらないこともわかる。また、PAIの比率を80%としたサンプル5では、合計摩耗量が4μmとサンプル3に比べて増加しているが、これは、サンプル1との比較において、この合計摩耗量の増加は許容範囲であると考える。しかし、サンプル6のようにPAIの比率を95%とすると、合計摩耗量は9μmとなり、許容範囲外と考える。これは、PAIの比率の増加により樹脂層(33b,33c)の密着力自体は向上するが、PTFEなどの固体潤滑剤の比率は減少するために合計摩耗量が増加したものと思われる。つまり、PAIとPTFEなどの固体潤滑剤のバランスが重要であることがわかる。
また、平均摩擦係数においても、合計摩耗量とほぼ同傾向である。
上記結果から明らかなように、本実施形態では、軸受(100)だけでなく軸(101)にも樹脂層(33b,33c)を形成することにより、軸受(100)と軸(101)との合計摩耗量や、軸受(100)と軸(101)との間の平均摩擦係数が減少する。その効果を得るためには、PAIの組成比は50%以上であればよいが、80%において若干、試験結果が下がることを考慮すれば、特に70%以下が好ましい。
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、上記軸受(22a,23a)だけでなく、上記軸受(22a,23a)が摺接する軸(33)の摺動面にも、軸受(22a,23a)と同じ組成比の樹脂層(33b,33c)を形成することにより、このアブレシブ摩耗を減少させることができる。これにより、軸(33)と軸受(22a,23a)との摺動面に対する耐摩耗性を向上させることができ、上記スイング圧縮機(1)における軸受(22a,23a)の信頼性を高めることができる。
また、軸(33)の樹脂層(33b,33c)を構成するPAIの組成比を50%以上(90%以下)とし、膜圧を20μmとすることで、軸(33)と樹脂層(33b,33c)との密着性が増し、該樹脂層(33b,33c)の剥離が抑制された。これにより、上記スイング圧縮機(1)における軸受(22a,23a)の信頼性をより一層高めることができる。
《その他の実施形態》
実施形態については、以下のような構成としてもよい。
実施形態のスイング式圧縮機(1)の構成は特に限定されず、例えば、シリンダ室(25)が複数個上下に配置された圧縮機であってもよい。さらに、上記実施形態のスイング式圧縮機(1)は、冷媒回路に用いられ、冷媒を圧縮する流体機械であったが、回転式流体機械は、圧縮機に限られない。例えば、回転式流体機械は、流体を搬送するためのポンプや流体を膨張させて動力を回収する膨張機であってもよい。
また、軸受(22a,23a)の樹脂層(22b,23b)の組成は、本実施形態の組成に限定する必要はなく、少なくともPAIとPTFEとが含まれていればよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、軸と軸受と備えた回転式流体機械について有用である。
実施形態に係るスイング圧縮機の断面図である。 実施形態に係るスイング圧縮機の圧縮機構の構造を示す横断面図である。 実施形態に係るスイング圧縮機の耐摩耗評価試験の方法を示す概略図である。 実施形態に係るスイング圧縮機の耐摩耗性評価試験の結果を示す表である。
符号の説明
1 スイング式圧縮機(回転式流体機械)
22 フロントヘッド
23 リアヘッド
22a 主軸受部(軸受)
23a 副軸受部(軸受)
22b 第1樹脂層(樹脂層)
23b 第2樹脂層(樹脂層)
33 軸
33b 樹脂層
33c 樹脂層

Claims (3)

  1. 軸(33)と軸受(22a,23a)とを備え、
    上記軸(33)が摺接する軸受(22a,23a)の表面に、ポリアミドイミド樹脂から成るバインダと、ポリテトラフルオロエチレンから成る固体潤滑剤とを含む樹脂層(22b,23b)が形成されている回転式流体機械であって、
    上記軸受(22a,23a)が摺接する軸(33)の表面に、ポリアミドイミド樹脂から成るバインダと、ポリテトラフルオロエチレンから成る固体潤滑剤とを含む摺動部材用組成物から成る樹脂層(33b,33c)が構成され、
    上記摺動部材用組成物のポリアミドイミド樹脂の質量組成比が50%以上であることを特徴とする回転式流体機械。
  2. 請求項1において、
    上記軸(33)と上記軸受(22a,23a)との少なくとも一方の樹脂層(22b,23b,33b,33c)に耐摩耗剤が含まれていることを特徴とする回転式流体機械。
  3. 請求項1において、
    上記軸受(22a,23a)の樹脂層(22b,23b)の膜厚が、50μm以上70μm以下であり、
    上記軸(33)の樹脂層(33b,33c)の膜厚が、20μm以上50μm以下であることを特徴とする回転式流体機械。
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