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JP2007217642A - 2液硬化型ガスバリア性ポリウレタン系樹脂及び積層フィルム - Google Patents

2液硬化型ガスバリア性ポリウレタン系樹脂及び積層フィルム Download PDF

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JP2007217642A
JP2007217642A JP2006042617A JP2006042617A JP2007217642A JP 2007217642 A JP2007217642 A JP 2007217642A JP 2006042617 A JP2006042617 A JP 2006042617A JP 2006042617 A JP2006042617 A JP 2006042617A JP 2007217642 A JP2007217642 A JP 2007217642A
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Japan
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group
hydrocarbon group
weight
polyurethane
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Application number
JP2006042617A
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English (en)
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Takashi Uchida
隆 内田
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Mitsui Chemicals Polyurethanes Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Polyurethanes Inc
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Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Polyurethanes Inc filed Critical Mitsui Chemicals Polyurethanes Inc
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Abstract

【課題】高湿度下であっても、酸素、水蒸気、香気成分などに対するガスバリア性に優れた2液硬化型ポリウレタン系樹脂を提供する。
【解決手段】ポリイソシアネート成分(A)と、ポリオール成分及び/又はポリアミン成分(B)とを含む2液硬化型ガスバリア性ポリウレタン系樹脂において、樹脂中に架橋環式炭化水素基と芳香脂肪族炭化水素基とを含むように調製する。前記架橋環式炭化水素基の割合は10重量%以上であってもよい。架橋環式炭化水素基と芳香脂肪族炭化水素基との割合(重量比)は、架橋環式炭化水素基/芳香脂肪族炭化水素基=99/1〜20/80程度であってもよい。また、ポリイソシアネート成分(A)及び活性水素含有成分(B)のうち、3官能以上の成分の割合が、(A)成分及び(B)成分の合計量に対して5重量%以上であってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガスバリア性が高く、可使時間(ポットライフ)の長い2液硬化型ポリウレタン樹脂及びこのポリウレタン系樹脂を基材にコーティング又は積層したコーティングフィルム(又は積層フィルム)に関する。
ガスバリア性フィルムおよびそれを用いた包装材は既に知られている。最も優れた酸素ガスバリア性を有する包装材としてはアルミニウム箔が知られているが、アルミニウム箔単独では耐ピンホール性が弱いため、特殊な用途を除いては使用できず、殆どラミネートフィルムの中間層として使用される。アルミニウム箔を含むラミネートフィルムのガスバリア性は非常に優れているが、不透明のため内容物を視認できないだけでなく、確実にヒートシールされたか否か判断するのが難しい。
酸素ガスバリア性フィルムとして、ポリ塩化ビニリデン又は塩化ビニリデン共重合体(以下、単にPVDCという)のフィルムおよびコーティングフィルムが知られている。特にPVDCのコーティングフィルムは、酸素ガスおよび水蒸気のバリア性の高い積層フィルムとして知られている。PVDCは吸湿性が殆どなく、高湿度下でも高いガスバリア性を有するため、湿度に関係なく種々のコーティング用の基材フィルムが使用できる。例えば、二軸延伸ポリプロピレン(以下、単にOPPという)、二軸延伸ナイロン(以下、単にONという)、二軸延伸ポリエステル(以下、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを単にOPETという)、セロハンなどのフィルムが使用されている。そして、ラミネートされたフィルムはガスバリア性を生かし、乾燥品及び水物(湿潤収容物)を問わず、種々の食品包装に利用されている。これらの包装材料は利用された後、通常、家庭からは一般廃棄物として廃棄されるが、PVDCは燃焼により有害なガスを生じ、さらには低温での焼却により発ガン性の強い有機塩素化合物を発生させる原因ともなっている。このことから、PVDCから他の材料への移行が強く望まれている。しかし、性能やコスト面から、このPVDCに代わる素材はまだ現れていないのが現状である。
例えば、酸素ガスバリアフィルムとして、ポリビニルアルコール(以下、単にPVAという)系フィルムも知られている。PVAフィルムは吸湿の少ない状態では非常に優れた酸素ガスバリア性を有する。しかし、吸湿性が大きく、相対湿度が70%を越えると、酸素ガスバリア性は急激に低下し、内容物が乾燥物に限定されている。PVAの吸湿性を改良するため、エチレンと共重合させてエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、単にEVOHという)を形成する方法、PVAのアルコールの一部を変性して耐水化する方法などが検討されている。特開平4−345841号公報(特許文献1)には、アルコキシシラン、シランカップリング剤およびPVAをゾル−ゲル法によって重縮合させ、生成した複合ポリマーを、熱可塑性樹脂の基材フィルムに積層した積層フィルムが提案されている。しかし、何れの方法で得られた樹脂も満足する性能には至っていない。
また、特開平1−252631号公報(特許文献2)には、脂肪族ジカルボン酸と4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)とを反応させて得られるポリアミドで構成されたガスバリア性包装材が開示され、このフィルムが高湿度側で優れたガスバリア性を示すことが開示されている。特開平10−140072号公報(特許文献3)には、ポリアリルアルコールで構成されたガスバリアコーティング用水性分散液、および基材に前記水性分散液の皮膜層を形成した多層構造体が開示され、優れたガスバリア性及び透明性を示すことが開示されている。しかし、これらのフィルムでも、高湿度下におけるガスバリア性や耐水性において充分に満足する性能に至っていない。
最近、無機酸化物のフィルムへの蒸着により高度な酸素ガスバリア性を有するフィルムも生産されている。例えば、特公昭53−12953号公報(特許文献4)には、フレキシブルプラスチックフィルムの少なくとも片面に酸化珪素を厚さ100〜3000Åに蒸着して透明薄膜層を形成し、耐透湿気性と耐透湿性を有する透明フィルムが開示されている。特開昭62−179935号公報(特許文献5)には、透明プラスチック基体上に、非結晶性の酸化アルミニウム薄層を形成した包装用フィルムが開示されている。しかし、無機酸化物系のフィルムは、物理蒸着や化学蒸着などの方法を利用するため、基材フィルム自身に耐久性が要求され、限られた基材にしか適用されていない。また、無機酸化物であるため柔軟性が低く、フィルムの二次加工に伴ってクラックなどが生じやすくガスバリア性の低下を生じるケースもある。
特開平6−220221号公報(特許文献6)には、ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸とを重量比95:5〜20:80で含有する混合物から形成されたフィルムであり、30℃及び80%相対湿度の条件下で測定した酸素透過係数が1.25×10−3ml(STP)・cm/m・h・atm(Pa)以下であるガスバリア性フィルムが開示されている。この文献には、前記混合物からフィルムを形成し、次いでフィルムを特定の条件(例えば、100〜250℃)で熱処理し、ガスバリア性フィルムを得ることも記載されている。しかし、高温で熱処理する必要があるため、前記混合物を塗布する基材が大きく制約され、例えば、汎用的に使用されているポリプロピレンフィルムなどには適用できない。
特許第3275432号明細書(特許文献7)には、(A)アミノ基含有シラン化合物と、(B)このシラン化合物のアミノ基又はアルコキシ基と反応しうる官能基を分子内に2個以上有する有機化合物との反応生成物で構成された反応性化合物、陰イオン性界面活性剤及び水を含むガスバリア用水系表面処理用組成物が開示されている。この文献には、(A)アミノ基含有シラン化合物と(B)前記有機化合物と(C)有機金属化合物との反応生成物を用いてもよいこと、これらの反応生成物の加水分解反応生成物を用いてもよいことも記載されている。しかし、この組成物は陰イオン性界面活性剤を含むため、ガスバリア性を大きく向上させることが困難である。
特開2001−98047号公報(特許文献8)には、ジイソシアネート成分とC2−8アルキレングリコールとの反応で得られ、ウレタン基およびウレア基濃度の合計が15重量%以上であるガスバリア性ポリウレタン樹脂が開示されている。この文献には、ジメチロールプロピオン酸などのジヒドロキシカルボン酸とアルキレングリコールとを反応させ、生成したプレポリマーをアミンで中和し、ジアミンやヒドラジンなどの鎖伸長剤で鎖伸長させ、水性分散体を得ることも記載されている。この文献に記載のウレタン系樹脂を用いると、環境汚染の虞がなく、ガスバリア性を向上できる。しかし、前記水系ウレタン樹脂には、良好なガスバリア性はもちろんのこと、コーティング剤としての分散安定性、製膜後の透明性、基材に対する密着性などのフィルムコート適正も要望されている。
特開2004−10656号公報(特許文献9)には、活性水素含有化合物(A)および有機ポリイソシアネート化合物(B)を反応させてなる樹脂硬化物を含む熱硬化型ガスバリア性ポリウレタン樹脂であって、樹脂硬化物中にキシリレン骨格構造が20重量%以上含有され、かつ前記(A)および(B)の内、三官能以上の化合物の占める割合が、(A)と(B)の総量に対して7重量%以上である熱硬化型ガスバリア性ポリウレタン樹脂が開示されている。このポリウレタン樹脂は、基材フィルムへの密着性が高く、ガスバリア性にも優れている。しかし、このポリウレタン樹脂は、高湿度下でのガスバリア性が低く、可使時間も短い。
特開平4−345841号公報(特許請求の範囲) 特開平1−252631号公報(特許請求の範囲、発明の効果の欄) 特開平10−140072号公報(特許請求の範囲、発明の効果の欄) 特公昭53−12953号公報(特許請求の範囲) 特開昭62−179935号公報(特許請求の範囲) 特開平6−220221号公報(特許請求の範囲) 特許第3275432号明細書(特許請求の範囲) 特開2001−98047号公報(特許請求の範囲、段落番号[0035]〜[0039]、[0076]〜[0079]) 特開2004−10656号公報(請求項1)
従って、本発明の目的は、高湿度下であっても、酸素、水蒸気、香気成分などに対するガスバリア性に優れた2液硬化型ポリウレタン系樹脂、およびこの樹脂を用いた積層フィルム(又は積層体)を提供することにある。
本発明の他の目的は、可使時間(ポットライフ)の長い2液硬化型ポリウレタン系樹脂、およびこの樹脂を用いた積層フィルム(又は積層体)を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリイソシアネート成分(A)と、ポリオール成分及び/又はポリアミン成分(B)とを含む2液硬化型ポリウレタン系樹脂において、樹脂が架橋環式炭化水素基と芳香脂肪族炭化水素基とを含有すると、高湿度下におけるガスバリア性を著しく向上できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の2液硬化型ガスバリア性ポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分及びポリアミン成分から選択された少なくとも一種の活性水素含有成分(B)とを含む2液硬化型ポリウレタン系樹脂であって、樹脂中に架橋環式炭化水素基と芳香脂肪族炭化水素基とを有している。前記架橋環式炭化水素基の割合は10重量%以上であってもよい。架橋環式炭化水素基と芳香脂肪族炭化水素基との割合(重量比)は、架橋環式炭化水素基/芳香脂肪族炭化水素基=99/1〜10/90程度であってもよい。さらに、前記架橋環式炭化水素基が下記式(1)で表される基であり、かつ芳香脂肪族炭化水素基がキシリレン基であってもよい。
Figure 2007217642
(式中、A及びAは直接結合、又は直鎖もしくは分岐鎖アルキレン基、jは1以上の整数、nは同一又は異なって0又は1以上の整数を示す)
また、ポリイソシアネート成分(A)及び活性水素含有成分(B)のうち、3官能以上の成分の割合が、(A)成分及び(B)成分の合計量に対して5重量%以上であってもよい。3官能以上の成分は、ジイソシアネートと3官能以上のC3−12脂肪族ポリオールとのアダクト体で構成されたポリイソシアネート成分であってもよい。本発明のポリウレタン系樹脂は、ウレタン基およびウレア基濃度の合計が15重量%以上であってもよい。
本発明には、基材フィルムの少なくとも片面に、前記ポリウレタン系樹脂で構成された被覆層が積層されている積層フィルムも含まれる。さらに、本発明には、前記ポリウレタン系樹脂を含有するガスバリア性ラミネート用接着剤も含まれる。
本発明では、2液硬化型ポリウレタン系樹脂が架橋環式炭化水素基と芳香脂肪族炭化水素基とを有しているため、高湿度下であっても、高いガスバリア性(酸素、水蒸気、香気成分などに対するガスバリア性)を実現できる。また、溶解性及び安定性高いため、可使時間(ポットライフ)が長く、低分子成分の析出も抑制できる。従って、本発明の組成物をコーティング剤として用いると、塗布の作業性に優れている。
本発明の2液硬化型ガスバリア性ポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート成分(A)と、ポリオール成分及びポリアミン成分から選択された少なくとも一種の活性水素含有成分(B)とを含んでいる。
[ポリイソシアネート成分(A)]
ポリイソシアネート成分(A)には、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート誘導体などが含まれる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−、または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが例示できる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどが例示できる。
脂環族ジイソシアネートには、単環式脂環族ジイソシアネート、架橋環式脂環族ジイソシアネートが含まれる。単環式脂環族ジイソシアネートとしては、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート)、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート、IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4′−、2,4′−又は2,2′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)もしくはこれらの混合物)(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物)(水添XDI)などを挙げることができる。
架橋環式脂環族ジイソシアネートにおいて、架橋環式炭化水素基に対応する架橋環式炭化水素は、飽和炭化水素であってもよく、不飽和炭化水素であってもよい。このような架橋環式炭化水素としては、例えば、ビシクロアルカン類{例えば、ノルボルナン、ノルピナン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなどのC6−20ビシクロアルカン、好ましくはC6−15ビシクロアルカン、さらに好ましくはC7−10ビシクロアルカン}、ビシクロアルケン類(ノルボルネンなどのC6−20ビシクロアルケン、好ましくはC6−15ビシクロアルケンなど)、トリシクロアルカン類(アダマンタンなどのC8−20トリシクロアルカン)などの架橋2乃至4環式炭化水素などが挙げられる。なお、前記架橋環式炭化水素は、通常、非隣接位に位置する炭素原子が直接結合して又は炭化水素基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン−2,2−ジイル基などのアルキレン又はアルキリデン基)を介して結合して環(炭化水素環)を形成した架橋環式炭化水素環を少なくとも含み、単に隣接する炭素原子が環を形成した縮合環のみを有する縮合環式炭化水素(例えば、デカリンなど)でない場合が多い。
前記架橋環式炭化水素は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−6アルキル基、好ましくはC1−4アルキル基、さらに好ましくはC1−2アルキル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基などのC6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基)などの炭化水素基;アルコキシ基(例えば、メトキシ基などのC1−4アルコキシ基);アシル基(例えば、アセチル基などのC1−6アシル基);アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシカルボニル基);ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子など);ニトロ基;シアノ基などが挙げられる。好ましい置換基には、アルキル基(C1−6アルキル基)などが含まれる。置換基は、単独で又は2種以上組みあわせて架橋環式炭化水素に置換していてもよい。また、置換基の置換数は、0又は1以上の整数(例えば、1〜10、好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4程度)であってもよい。
また、架橋環式炭化水素は、少なくとも架橋環式炭化水素基(架橋環式炭化水素環ユニット)を有していればよく、隣接する炭素原子が縮合[オルソ縮合(ortho縮合)など]した環(縮合環)を1又は複数(例えば、2〜4程度)有していてもよい。
代表的な架橋環式炭化水素としては、置換基を有していてもよいビシクロアルカン類(例えば、ノルボルナン、2,2−ジメチルノルボルナン、ボルナンなどのアルキル基を有していてもよいビシクロアルカン)、縮合環を有するビシクロアルカン類(又は縮合環を形成したビシクロアルカン)(例えば、4,7−メタノパーヒドロインデン)などが挙げられる。
架橋環式脂環族ポリイソシアネートにおいて、イソシアネート基(−NCO)は、前記架橋環式炭化水素に直接的に結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、二価の炭化水素基、例えば、アルキレン基又はアルキリデン基(例えば、メチレン基、エチレン基などのC1−10アルキレン又はアルキリデン基、好ましくはC1−6アルキレン又はアルキリデン基、さらに好ましくはC1−4アルキレン又はアルキリデン基など)などが挙げられる。
また、イソシアネート基(又はイソシアネート基が結合した連結基、例えば、イソシアネートメチル基など)の数は、複数(例えば、2〜4)であればよく、通常2〜3(特に2)である(すなわち、ジイソシアネートである)。なお、イソシアネート基(又はその連結基)の置換位置は、特に限定されないが、通常、架橋環式炭化水素の橋頭位であってもよい。例えば、ノルボルナン環では、2,3,5,6,7位の少なくとも2つの炭素原子(例えば、2および5位、2および6位など)に置換している場合が多い。
代表的な架橋環式炭化水素基を有するポリイソシアネートには、下記式(2)で表される化合物などが含まれる。
Figure 2007217642
(式中、A及びAは直接結合、又は直鎖もしくは分岐鎖アルキレン基、jは1以上の整数、nは同一又は異なって0又は1以上の整数を示す)
上記式(2)において、A及びAにおける直鎖もしくは分岐鎖アルキレン基としては、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖アルキレン基などが挙げられる。A及びAとしては、好ましくは直接結合、直鎖もしくは分岐鎖C1−4アルキレン基、さらに好ましくは直鎖もしくは分岐鎖C1−2アルキレン基(特にメチレン基)である。また、jは、1以上の整数であればよく、例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1又は2、特に1である。縮合環の数nは、0又は1以上の整数であればよく、例えば、0〜4、好ましくは0〜3、さらに好ましくは0〜2、特に0である。
上記式(2)で表される具体的なポリイソシアネートには、A及びAがメチレン基、jが1〜2、及びnが0又は1である化合物、例えば、2,5−ジイソシアナトメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン(2,5−ジイソシアナトメチルノルボルナン)、2,6−ジイソシアナトメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン(2,6−ジイソシアナトメチルノルボルナン)、2,5−ジイソシアナトメチルビシクロ[2.2.2]オクタン、2,6−ジイソシアナトメチルビシクロ[2.2.2]オクタン、3(4),8(9)−ジ(シアナトメチル)トリシクロ[5.2.1.02、6]デカン、3(4),8(9)−ジ(シアナトメチル)トリシクロ[5.2.2.02、6]ウンデカンなどが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエートなどを挙げることができる。
これらのポリイソシアネート誘導体としては、例えば、前記ポリイソシアネート単量体の多量体(2量体、3量体、5量体、7量体など)、ウレタン変性体(例えば、前記ポリイソシアネート単量体又は多量体におけるイソシアネート基の一部をモノオールやポリオールで変性又は反応したウレタン変性体など)、ビウレット変性体(例えば、前記ポリイソシアネート単量体と水との反応により生成するビウレット変性体など)、アロファネート変性体(例えば、前記ポリイソシアネート単量体と、モノオール又はポリオール成分との反応より生成するアロファネート変性体など)、ウレア変性体(例えば、前記ポリイソシアネート単量体とジアミンとの反応により生成するウレア変性体など)、オキサジアジントリオン(例えば、前記ポリイソシアネート単量体と炭酸ガス等との反応により生成するオキサジアジントリオンなど)などが例示できる。
これらの誘導体のうち、3官能以上のイソシアネート基を形成できる誘導体、例えば、3個以上の活性水素原子を有する成分と前記ジイソシアネートとのアダクト体が好ましい。3個以上の活性水素原子を有する成分としては、3官能以上のポリオール、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどのC3−12脂肪族ポリオールなどが挙げられる。なお、このようなアダクト体は、未反応モノマーの含有量が少ないアダクト体が好ましい。未反応モノマー含有量の少ないアダクト体は、反応生成物を慣用の分離精製方法、例えば、薄膜蒸留や抽出などを用いて製造できる。アダクト体のイソシアネート基濃度は、例えば、1〜30重量%、好ましくは3〜25重量%、さらに好ましくは5〜20重量%程度である。
これらのポリイソシアネートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、ガスバリア性の点から、炭化水素環を有する化合物を含むポリイソシアネート化合物(TDI、MDI、NDIなどの芳香族ポリイソシアネート、XDI、TMXDIなどの芳香脂肪族ポリイソシアネート、IPDI、水添XDI、水添MDIなどの脂環族ポリイソシアネート)、特に、高湿度下でのガスバリア性と製膜性とを向上できる点から、架橋環式脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート(例えば、XDIなど)が好ましい。なかでも、樹脂の安定性及び溶解性を向上できる点から、架橋環式脂環族ポリイソシアネート、例えば、2,5−ジイソシアナトメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,6−ジイソシアナトメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンから選択された少なくとも1種の化合物(ノルボルナンジイソシアネート)が好ましい。
さらに、ガスバリア性を向上できる点から、これらのポリイソシアネート(特に、架橋環式脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート)と、3官能以上のポリオール(C3−12脂肪族ポリオール)とのアダクト体が特に好ましい。具体的には、ノルボルナンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体などが挙げられる。
[活性水素含有成分(B)]
活性水素含有成分(B)は、複数の活性水素原子を有する成分であり、具体的には、ポリオール成分及びポリアミン成分から選択された少なくとも一種である。
ポリオール成分としては、低分子量のポリオール成分からオリゴマーまたはプレポリマー(ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオールなど)まで用いることができるが、ガスバリア性の観点から、低分子量ポリオールが好ましい。
低分子量ポリオールとしては、例えば、脂肪族ポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、ポリエーテルポリオール、ウレタン基含有ポリオール、ポリアミンのアルキレンオキサイド付加物、アミド基含有ポリオールなどが挙げられる。これらのポリオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
脂肪族ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオールなどの直鎖状又は分岐鎖状C2−10アルカンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどのC3−12脂肪族ポリオールなどが挙げられる。
芳香族ポリオールとしては、例えば、例えば、ビスフェノールA、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、1,3−又は1,4−キシリレンジオールもしくはその混合物などが挙げられる。
脂環族ジオールとしては、例えば、水添ビスフェノールA、水添キシリレンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのポリC2−4アルキレングリコールなどが挙げられる。
ウレタン基含有ポリオールとしては、例えば、複数の活性水素原子を有する化合物(エチレングリコールなどのアルカンジオールなど)とポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートや、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネートなど)との反応物、アルキレンカーボネート(エチレンカーボネート(炭酸エチレン)、プロピレンカーボネートなどのC2−4アルキレンカーボネートなど)とポリアミン化合物又はヒドロキシ基を有するアミン化合物(エタノールアミンなどのアルカノールアミンなど)との反応物などが挙げられる。
ポリアミンのアルキレンオキサイド付加物としては、後述するポリアミン化合物(例えば、エチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環族ジアミンなど)に対して、1〜10モル(好ましくは2〜6モル、さらに好ましくは3〜4モル)程度のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどC2−4アルキレンオキサイド)を付加した化合物などが挙げられる。特に、ポリアミン化合物として、架橋環式脂環族ジアミン(架橋環式炭化水素基を有するポリアミン)、例えば、2,5−ジアミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,6−ジアミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンから選択された少なくとも1種の化合物(ノルボルナンジアミン)などの前記架橋環式炭化水素基を有するジアミンが好ましい。
アミド基含有ポリオールとしては、ヒドロキシカルボン酸(乳酸、リンゴ酸、メチロールプロピオン酸、メチロールブタン酸、メチロールヘキサン酸などのヒドロキシC2−10アルカン−カルボン酸など)と、ヒドロキシ基を有するアミン化合物(エタノールアミンなどのアルカノールアミンなど)との反応物や、ポリアミン化合物及びヒドロキシ基を有するアミン化合物(エタノールアミンなどのアルカノールアミンなど)と、環状エステル類(ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトンなど)との反応物などが挙げられる。
ポリアミン成分には、ジアミン、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体などが含まれる。これらのポリアミン成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジアミンとしては、アルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ブタンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどのC2−10アルキレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのジ乃至テトラアルキレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミンなど)、N−アルキル置換アルキレンジアミン類(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N−ジメチル−1,2−エチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンなど)、芳香族アミン(例えば、m−又はp−フェニレンジアミン、1,3−又は1,4−キシリレンジアミンもしくはその混合物、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなど)、単環式脂環族アミン[例えば、水添キシリレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、メンセンジアミン、N−アミノエチルピペラジンなど]、スピロ環式脂環族アミン[例えば、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなど]、架橋環式脂環族ジアミン[例えば、ノルボルナンジアミンやなどの前記架橋環式炭化水素基を有するジアミンなど]、ヒドロキシル基含有ジアミン(2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール、2−アミノエチルアミノプロパノール、3−アミノプロピルアミノエタノールなどのアミノC2−6アルキルアミノC2−3アルキルアルコールなど)、酸基含有ジアミン(例えば、3,4−ジアミノ安息香酸などのジアミノ芳香族カルボン酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジアミノトルエン−5−スルホン酸などのジアミノスルホン酸など)などが挙げられる。
ヒドラジン、ヒドラジン誘導体としては、ヒドラジン、ヒドロキシル基含有ヒドラジン(2−ヒドラジドエタノールなどのヒドラジドC2−3アルキルアルコールなど)、ジカルボン酸ヒドラジド[脂肪族ジカルボン酸ヒドラジド(コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジドなどのC4−20アルカン−ジカルボン酸ジヒドラジドなど)、芳香族ジカルボン酸ヒドラジド(イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジドなどのC6−10アレーン−ジカルボン酸ヒドラジドなど)など]などが挙げられる。
これらの活性水素含有成分のうち、ガスバリア性の点から、3官能以上のポリオール成分[ポリアミン(キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンやノルボルナンジアミンなどの架橋環式脂環族ジアミンなど)に3〜6モル程度のアルキレンオキシド(エチレンオキシドなど)を付加した化合物]、ウレタン基を有するポリオール[複数の活性水素原子を有する化合物(エチレングリコールなど)とポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートやノルボルナンジイソシアネートなど)との反応物、アルキレンカーボネート(エチレンカーボネートなど)とヒドロキシ基を有するアミン化合物(エタノールアミンなど)との反応物など]、ポリアルキレンポリアミン類(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのジ乃至テトラアルキレンポリアミンなど)などが好ましい。
活性水素含有成分の官能基(ヒドロキシル基又はアミノ基)の濃度は、ヒドロキシル基の場合、例えば、例えば、水酸基価10〜900mgKOH/g、好ましくは50〜850mgKOH/g、さらに好ましくは100〜800mgKOH/g程度である。
ポリイソシアネート成分(A)と活性水素含有成分(B)との割合(モル比)は、例えば、イソシアネート基/活性水素原子=2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.3/1〜1/1.3(特に1.15/1〜1/1.15)程度である。
[他の成分]
本発明の2液硬化型ポリウレタン系樹脂には、さらに、溶媒、例えば、エステル類(酢酸エチル、ギ酸エチルなど)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、炭酸エステル類(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)などが添加されてもよい。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶媒のうち、メチルエチルケトンなどのケトン類や、酢酸エチルなどのエステル類などが汎用される。溶媒の割合は、ポリウレタン系樹脂100重量部に対して、例えば、10〜2000重量部、好ましくは50〜1000重量部、さらに好ましくは100〜800重量部(特に150〜400重量部)程度である。
なお、これらの溶媒は、ポリイソシアネート成分(A)、活性水素原子を有する成分(B)のそれぞれに対して、2液を混合する前に添加してもよい。例えば、固形分が5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは15〜85重量%(特に20〜80重量%)程度となるように、前記溶媒を添加することができる。
本発明の2液硬化型ポリウレタン系樹脂には、必要に応じてガスバリア性を損なわない範囲で、さらに、慣用の添加剤、例えば、鎖伸長剤(例えば、前記ポリアミン、水、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体など)、カップリング剤(シランカップリング剤、チタンカップリング剤など)、硬化促進剤(鉛又はズズ化合物など)、充填剤(シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの平板状無機粒子など)、チクソトロピー性賦与剤、粘度調整剤、分散剤、湿潤剤、可塑剤、脱泡剤、架橋剤、着色剤、レベリング剤、滑剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤)、帯電防止剤、結晶核剤などを添加してもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの添加剤の添加量は、その種類に応じて適宜選択できるが、例えば、ポリウレタン系樹脂(固形分)100重量部に対して、30重量部以下(例えば、0.1〜30重量部)、好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部程度である。
[2液硬化型ポリウレタン系樹脂]
ポリイソシアネート成分(A)と活性水素含有成分(B)とを含む2液硬化型ポリウレタン系樹脂は、樹脂中に架橋環式炭化水素基と芳香脂肪族炭化水素基とを有している。
架橋環式炭化水素基、芳香脂肪族炭化水素基は、それぞれ、(A)成分及び(B)成分のいずれの成分に由来してもよい。
架橋環式炭化水素基は前記架橋環式脂環族ジイソシアネートの項で例示された架橋環式炭化水素基であり、好ましくは下記式(1)で表される基である。
Figure 2007217642
(式中、A及びAは直接結合、又は直鎖もしくは分岐鎖アルキレン基、jは1以上の整数、nは同一又は異なって0又は1以上の整数を示す)
架橋環式炭化水素基の割合は、ポリウレタン系樹脂中10重量%以上(例えば、10〜90重量%)であればよく、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは25〜75重量%(特に30〜70重量%)程度である。
芳香脂肪族炭化水素基としては、例えば、キシリレン基(1,3−又は1,4−キシリレン基)、テトラメチルキシリレン基(1,3−又は1,4−テトラメチルキシリレン基)、1,4−ジエチルベンゼン基などが挙げられる。これらのうち、キシリレン基が好ましい。
架橋環式炭化水素基と芳香脂肪族炭化水素基との割合(重量比)は、例えば、架橋環式炭化水素基/芳香脂肪族炭化水素基=99/1〜10/90程度であり、好ましくは97/3〜20/80、さらに好ましくは95/5〜30/70(特に90/10〜40/60)程度である。両者の割合がこの範囲にあると、ポリウレタン系樹脂は、高湿度下でのガスバリア性が高く、安定性及び溶解性が向上して、コーティング剤としての作業性が向上する。特に、高湿度下でのガスバリア性を重視する場合は、例えば、両者の割合(重量比)は、架橋環式炭化水素基/芳香脂肪族炭化水素基=99/1〜50/50程度であり、好ましくは97/3〜70/30、さらに好ましくは95/5〜80/20程度であってもよい。
また、本発明の2液硬化型ポリウレタン系樹脂において、ポリイソシアネート成分(A)及び活性水素含有成分(B)のうち、3官能以上の成分が含まれているのが好ましい。3官能以上の成分も、(A)成分及び(B)成分のいずれの成分に由来してもよい。
3官能以上の成分は、例えば、3官能以上のポリイソシアネート成分[ジイソシアネートと3官能以上のC3−12脂肪族ポリオールとのアダクト体など]、3官能以上のポリオール成分[ポリアミン(キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンやノルボルナンジアミンなどの架橋環式脂環族ジアミンなど)に3〜6モル程度のアルキレンオキシド(エチレンオキシドなど)を付加した化合物など]などが挙げられる。これらの3官能以上の成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの3官能以上の成分のうち、3官能以上のポリイソシアネート成分(ノルボルネンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体など)が好ましい。
3官能以上の成分の割合は、(A)成分及び(B)成分の合計量に対して5重量%以上(5〜100重量%)であり、好ましくは10〜99重量%、さらに好ましくは20〜95重量%(特に30〜90重量%)程度である。3官能以上の成分の割合が多いと、高湿度下におけるガスバリア性が向上する。
本発明の2液硬化型ポリウレタン系樹脂は、ガスバリア性の観点から、通常、ウレタン基およびウレア基の合計濃度が高いのが好ましい。具体的には、ポリウレタン樹脂のウレタン基およびウレア基の合計濃度は、例えば、15重量%以上(例えば、20〜60重量%)、好ましくは20重量%以上(25〜55重量%)、さらに好ましくは30重量%以上(例えば、35〜50重量%)程度である。なお、ウレタン基濃度及び尿素基(ウレア基)濃度とは、ウレタン基の分子量(59g/当量)又は尿素基の分子量(一級アミノ基(アミノ基):58g/当量、二級アミノ基(イミノ基):57g/当量)として、反応全成分の仕込量をベースとして算出する。なお、混合物を用いる場合、ウレタン基およびウレア基の濃度は、反応成分の仕込みベース、すなわち、各成分の使用割合をベースとして算出できる。
[2液硬化型ポリウレタン系樹脂の調製方法]
本発明の2液硬化型ポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート成分(A)と活性水素含有成分(B)と必要に応じて有機溶媒や添加剤とを混合することにより調製できる。混合方法としては、慣用の方法、例えば、ミキサーや攪拌機を用いた方法などが挙げられる。
このように調製された2液硬化型ポリウレタン系樹脂は、基材などに対してコーティングした後、加熱して硬化される。加熱温度は、例えば、40〜180℃、好ましくは60〜160℃、さらに好ましくは80〜150℃程度である。
本発明の2液硬化型ポリウレタン系樹脂の硬化物は、ガスバリア性(特に高湿度下でのガスバリア性)が著しく高く、例えば、前記ポリウレタン系樹脂の酸素透過度(単位ml/m・atm・day)は、温度20℃および湿度65%RHの条件下、厚み5μmにおいて、例えば、100以下(例えば、1〜80)、好ましくは60以下、さらに好ましくは40以下程度である。
特に、前記ポリウレタン系樹脂は、著しく高湿度においても高いガスバリア性を有しており、例えば、前記ポリウレタン系樹脂の酸素透過度(単位ml/m・atm・day)は、温度20℃及び湿度90%RHの条件下、厚み5μmにおいて、120以下(例えば、1〜100)、好ましくは80以下、さらに好ましくは60以下程度である。
本発明の2液硬化型ポリウレタン系樹脂は、可使時間(例えば、室温での可使時間)が長く、基材(木材、紙、布帛、金属、ガラスなどのセラミックス、プラスチックなど)に対する密着性およびガスバリア性が高いので、種々のコーティング剤用樹脂として有用であり、例えば、塗料、印刷インキ、コーティング剤、接着剤などとして利用できる。特に、高いガスバリア性を示すため、バリア性樹脂成形体を形成するのに有用であり、例えば、ポリウレタン系樹脂は単独でフィルム成形品として用いてもよい。好ましい形態では、2液硬化型ポリウレタン系樹脂は、フィルムや容器などの基材に対して高いガスバリア性を付与するためのガスバリア性コーティング剤として有用である。特に、本発明の2液硬化型ポリウレタン系樹脂は、基材フィルムの少なくとも片面に、ポリウレタン系樹脂で構成された被覆層が積層された積層フィルム(又は積層体)を形成するのに適している。
積層フィルム(積層体)の基材フィルムとしては、通常、熱可塑性樹脂で構成されたフィルムが使用される。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリC2−10オレフィン系樹脂など)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアミド系樹脂(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66の脂肪族系ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミドなどの芳香族ポリアミドなど)、ビニル系樹脂(例えば、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、アクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体)、セロファンなどが例示できる。これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
基材フィルムとしては、単一の樹脂で構成された単層フィルムや複数の樹脂を用いた単層又は積層フィルムが使用できる。また、基材としては、これらの樹脂を他の基材(金属、木材、紙、セラミックスなど)に積層した積層基材を使用してもよい。
好ましい基材フィルムとしては、ポリオレフィン系樹脂フィルム(特にポリプロピレンなど)、ポリエステル系樹脂フィルム(特にポリエチレンテレフタレート系樹脂)、ポリアミド系樹脂フィルム(特にナイロン(登録商標)フィルム)が例示できる。
このような基材フィルムは、未延伸フィルムであってもよく、一軸又は二軸延伸配向フィルムであってもよく、表面処理(コロナ放電処理など)やアンカーコート又はアンダーコート処理したフィルムであってもよい。さらに、基材フィルムは複数の樹脂や金属などを積層した積層フィルムであってもよい。特に、前記ポリウレタン系樹脂を基材フィルムのアンカーコート剤又アンダーコート剤として用い、アルミニウムなどの金属、アルミナ、シリカなどの金属酸化物を蒸着やスパッタリングなどで無機質層を積層した複合フィルムや、基材フィルムに形成された前記金属や金属酸化物の無機質層を前記ポリウレタン系樹脂でトップコート又はオーバーコートした複合フィルムでは、ガスバリア性をより一層向上させることができる。無機蒸着層の厚みは、例えば、100〜3000オングストローム、好ましくは200〜2000オングストローム、さらに好ましくは300〜1500オングストローム程度であってもよい。
基材フィルムの厚みは、1〜200μm、好ましくは5〜120μm、さらに好ましくは10〜100μm程度である。
2液硬化型ポリウレタン系樹脂を含む被覆層(乾燥後の塗布層)の厚みは、例えば、0.1〜50μm、好ましくは0.2〜40μm、さらに好ましくは0.5〜30μm(例えば、1〜20μm)程度であり、通常、2〜10μm程度である。
基材フィルムなどへの積層方法は特に制限されず、例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ロールコート法、バーコート法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ディッピング法などの慣用の方法が採用でき、これらを適当に組み合わせて積層することもできる。ポリウレタン系樹脂を基材に塗布又は積層した後、乾燥工程で溶媒を除去して製膜することにより積層フィルム(又は積層体)を形成できる。
なお、ポリウレタン樹脂を基材プラスチックフィルムへ積層した後、少なくとも一方向に延伸することにより、延伸効果による結晶化度を向上させてガスバリア性を向上することもできる。
また、2液硬化型ポリウレタン系樹脂は、種々の態様で使用でき、例えば、複合フィルムにおいて、複合フィルムの表面層を構成するためのオーバーコート剤や、基材フィルム層と樹脂層との間や複数の樹脂層の間に介在するアンカーコート剤としてコーティングしてもよい。さらに、ポリウレタン系樹脂自身が接着力を有する場合は接着剤としてコーティングしてもよい。
本発明では、ガスバリア性(特に高湿度下におけるガスバリア性)の高く、可使時間の長い2液硬化型ポリウレタン系樹脂およびこれを積層したガスバリア性積層体を得ることができる。また、前記ポリウレタン系樹脂は、プラスチックや金属酸化物の積層された基材フィルムに対して、密着性が優れ、印刷や接着などの加工適性に優れているため、各種包装材料や成形材料などの種々の分野に利用することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り、「%」は重量%を示す。
(ポリイソシアネート成分1の合成例)
ノルボルナンジイソシアネート(2,5−ジイソシアナトメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン及び2,6−ジイソシアナトメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンの混合物、NBDI)446.3g及びトリメチロールプロパン33.7gを混合し、窒素雰囲気下70℃で10時間反応させた。この反応液を、薄膜蒸留装置を用いて未反応のノルボルナンジイソシアネートを留去することにより、トリメチロールプロパンのノルボルナンジイソシアネートアダクト体(NBDI−TMPアダクト体)を得た。このNBDI−TMPアダクト体を酢酸エチルで固形分75%になるよう溶解し、ポリイソシアネート成分1を得た。このポリイソシアネート成分1のNCO%は10.9%であった。
(ポリイソシアネート成分2の合成例)
1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシリレンジイソシアネート、XDI)463.3gおよびトリメチロールプロパン36.7gを混合し、窒素雰囲気下70℃で6時間反応させた。この反応液を、薄膜蒸留装置を用いて未反応のキシリレンジイソシアネートを留去することにより、トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネートアダクト体(XDI−TMPアダクト体)を得た。このXDI−TMPアダクト体を酢酸エチルで固形分75%になるよう溶解し、ポリイソシアネート成分2を得た。このポリイソシアネート成分2のNCO%は11.8%であった。
(ポリイソシアネート成分3の合成例)
イソホロンジイソシアネート(IPDI)468.6gおよびトリメチロールプロパン31.4gを混合し、窒素雰囲気下70℃で10時間反応させた。この反応液を、薄膜蒸留装置を用いて未反応のイソホロンジイソシアネートを留去することにより、トリメチロールプロパンのイソホロンジイソシアネートアダクト体(IPDI−TMPアダクト体)を得た。このIPDI−TMPアダクト体を酢酸エチルで固形分75%になるよう溶解し、ポリイソシアネート成分3を得た。このポリイソシアネート化合物3のNCO%は10.3%であった。
(ポリイソシアネート成分4の合成例)
1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添キシリレンジイソシアネート、H6XDI)464.4gおよびトリメチロールプロパン35.6gを混合し、窒素雰囲気下70℃で10時間反応させた。この反応液を、薄膜蒸留装置を用いて未反応の水添キシリレンジイソシアネートを留去することによりトリメチロールプロパンの水添キシリレンジイソシアネートアダクト体(H6XDI−TMPアダクト体)を得た。このH6XDI−TMPアダクト体を酢酸エチルで固形分75%になるよう溶解し、ポリイソシアネート成分4を得た。このポリイソシアネート成分4のNCO%は11.5%であった。
(ポリオール成分1)
ポリオール成分1としては、ブラウノンMXDA−EO−4(青木油脂工業(株)製、水酸基価701.4mgKOH/g)を用いた。
(ポリオール成分2の合成例)
モノエタノールアミン202.4g、炭酸エチレン297.6gを混合し、70℃で8時間開環反応させ、ウレタン基含有ポリオール成分2(MEAEC)を得た。このウレタン基含有ポリオール成分2の水酸基価は748.1mgKOH/gであった。
(ポリオール成分3の合成例)
ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)258.8g、エチレングリコール116.2g、MEK125gを混合し、75℃で8時間反応させ、固形分75%のポリオール成分3(EG−NBDI)を得た。このポリオール成分3の水酸基価は138.5mgKOH/gであった。
実施例1
ポリイソシアネート成分1を6.41重量部、ポリオール成分1を1.44重量部、及びメチルエチルケトン17.15重量部を充分に混合し、塗工液を作製した。この塗工液を2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm、PET、以下「♯12PET」という)のコロナ放電処理面上に乾燥厚み5μmとなるようにマイヤーバーで塗布した後、130℃で30秒間乾燥した後、40℃で2日間エージングすることにより積層フィルム1を得た。この塗工液のポットライフは8時間であった(ポットライフは塗工液に濁りが生じるか、濁りが生じない場合、液が固化するまでの時間とした)。この積層フィルム1のウレタン樹脂層のウレタン基濃度は35.9重量%、NBDI含有量は62.6重量%であった。ノルボルナン基とキシリレン基との比は、ノルボルナン/キシリレン=約83/17であった。ついで、この積層フィルム1の酸素ガスバリア性を酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製、MOCON OXTRAN10/50A)を用い、温度20℃、相対湿度65%および90%雰囲気下での酸素透過度を測定したところ、それぞれ23.1ml/m・day、18.9ml/m・dayであった。結果を表1に示す。
実施例2
ポリイソシアネート成分1を3.54重量部、ポリイソシアネート成分2を3.3重量部、ポリオール成分2を1.49重量部、及びメチルエチルケトン18.16重量部を充分に混合し、塗工液を作製した。この塗工液を2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(♯12PET)のコロナ放電処理面上に、乾燥厚み5μmとなるようにマイヤーバーで塗布した後、130℃で30秒間乾燥した後、40℃で2日間エージングすることにより積層フィルム2を得た。この塗工液のポットライフは6時間であった。この積層フィルム2のウレタン樹脂層のウレタン基濃度は37.4重量%、NBDI含有量は32.7重量%であった。ノルボルナン基とキシリレン基との比は、ノルボルナン/キシリレン=約54/46であった。ついで、この積層フィルム2の酸素ガスバリア性を酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製、MOCON OXTRAN10/50A)を用い、温度20℃、相対湿度65%および90%雰囲気下での酸素透過度を測定したところ、それぞれ16.7ml/m・day、27.7ml/m・dayであった。結果を表1に示す。
実施例3
ポリイソシアネート成分2を3.75重量部、ポリオール成分3を4.59重量部、及びメチルエチルケトン16.66重量部を充分に混合し、塗工液を作製した。この塗工液を2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(♯12PET)のコロナ放電処理面上に乾燥厚み5μmとなるようにマイヤーバーで塗布した後、130℃で30秒間乾燥した後、40℃で2日間エージングすることにより積層フィルム3を得た。この塗工液のポットライフは6時間であった。この積層フィルム3のウレタン樹脂層のウレタン基濃度は44.2重量%、NBDI含有量は38重量%であった。ノルボルナン基とキシリレン基との比は、ノルボルナン/キシリレン=約53/47であった。ついで、この積層フィルム3の酸素ガスバリア性を酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製、MOCON OXTRAN10/50A)を用い、温度20℃、相対湿度65%および90%雰囲気下での酸素透過度を測定したところ、それぞれ23.1ml/m・day、27.7ml/m・dayであった。結果を表1に示す。
比較例1
ポリイソシアネート成分3を6.5重量部、ポリオール成分1(MXDA−EO−4)を1.37重量部、及びメチルエチルケトン17.13重量部を充分に混合し、塗工液を作製した。この塗工液を2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(♯12PET)のコロナ放電処理面上に乾燥厚み5μmとなるようにマイヤーバーで塗布した後、130℃で30秒間乾燥した後、40℃で2日間エージングすることにより積層フィルム4を得た。この塗工液のポットライフは12時間であった。この積層フィルム4のウレタン樹脂層のウレタン基濃度は34.2重量%、NBDI含有量は0重量%であった。ついで、この積層フィルム4の酸素ガスバリア性を酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製、MOCON OXTRAN10/50A)を用い、温度20℃、相対湿度65%および90%雰囲気下での酸素透過度を測定したところ、それぞれ83.3ml/m・day、79.7ml/m・dayであった。結果を表1に示す。
比較例2
ポリイソシアネート成分4を6.34重量部、ポリオール成分1(MXDA−EO−4)を1.49重量部、及びメチルエチルケトン17.17重量部を充分に混合し、塗工液を作製した。この塗工液を2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(♯12PET)のコロナ放電処理面上に乾燥厚み5μmとなるようにマイヤーバーで塗布した後、130℃で30秒間乾燥した後、40℃で2日間エージングすることにより積層フィルム5を得た。この塗工液のポットライフは4時間であった。この積層フィルム5のウレタン樹脂層のウレタン基濃度は37.2重量%、NBDI含有量は0重量%であった。ついで、得られた積層フィルム5の酸素ガスバリア性を酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製、MOCON OXTRAN10/50A)を用い、温度20℃、相対湿度65%および90%雰囲気下での酸素透過度を測定したところ、それぞれ44.4ml/m・day、47.4ml/m・dayであった。結果を表1に示す。
比較例3
ポリイソシアネート成分2を6.3重量部、ポリオール成分1(MXDA−EO−4)を1.52重量部、及びメチルエチルケトン17.18重量部を充分に混合し、塗工液を作製した。この塗工液を2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(♯12PET)のコロナ放電処理面上に乾燥厚み5μmとなるようにマイヤーバーで塗布した後、130℃で30秒間乾燥した後、40℃で2日間エージングすることにより積層フィルム6を得た。この塗工液のポットライフは2時間であった。この積層フィルム6のウレタン樹脂層のウレタン基濃度は37.9重量%、NBDI含有量は0重量%であった。ついで、得られた積層フィルム6の酸素ガスバリア性を酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製、MOCON OXTRAN10/50A)を用い、温度20℃、相対湿度65%および90%雰囲気下での酸素透過度を測定したところ、それぞれ13.0ml/m・day、42.4ml/m・dayであった。
比較例4
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(♯12PET)の温度20℃、相対湿度65%および90%雰囲気下での酸素透過度は、それぞれ100ml/m・day、90ml/m・dayであった。
Figure 2007217642
表1から明らかなように、比較例に比べ、実施例では高湿度環境下でもガスバリア性が高い。

Claims (9)

  1. ポリイソシアネート成分(A)と、ポリオール成分及びポリアミン成分から選択された少なくとも一種の活性水素含有成分(B)とを含む2液硬化型ポリウレタン系樹脂であって、樹脂中に架橋環式炭化水素基と芳香脂肪族炭化水素基とを有している2液硬化型ガスバリア性ポリウレタン系樹脂。
  2. 架橋環式炭化水素基の割合が樹脂中10重量%以上である請求項1記載のポリウレタン系樹脂。
  3. 架橋環式炭化水素基と芳香脂肪族炭化水素基との割合(重量比)が、架橋環式炭化水素基/芳香脂肪族炭化水素基=99/1〜10/90である請求項1記載のポリウレタン系樹脂。
  4. 架橋環式炭化水素基が下記式(1)で表される基であり、かつ芳香脂肪族炭化水素基がキシリレン基である請求項1記載のポリウレタン系樹脂。
    Figure 2007217642
    (式中、A及びAは直接結合、又は直鎖もしくは分岐鎖アルキレン基、jは1以上の整数、nは同一又は異なって0又は1以上の整数を示す)
  5. ポリイソシアネート成分(A)及び活性水素含有成分(B)のうち、3官能以上の成分の割合が、(A)成分及び(B)成分の合計量に対して5重量%以上である請求項1記載のポリウレタン系樹脂。
  6. 3官能以上の成分が、ジイソシアネートと3官能以上のC3−12脂肪族ポリオールとのアダクト体で構成されたポリイソシアネート成分である請求項5記載のポリウレタン系樹脂。
  7. ウレタン基およびウレア基濃度の合計が15重量%以上である請求項1記載のポリウレタン系樹脂。
  8. 基材フィルムの少なくとも片面に、請求項1記載のポリウレタン系樹脂で構成された被覆層が積層されている積層フィルム。
  9. 請求項1記載のポリウレタン系樹脂を含有するガスバリア性ラミネート用接着剤。
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