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JP2007211593A - 潤滑装置 - Google Patents

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JP2007211593A
JP2007211593A JP2006029229A JP2006029229A JP2007211593A JP 2007211593 A JP2007211593 A JP 2007211593A JP 2006029229 A JP2006029229 A JP 2006029229A JP 2006029229 A JP2006029229 A JP 2006029229A JP 2007211593 A JP2007211593 A JP 2007211593A
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reflux
reservoir chamber
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chamber
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Application number
JP2006029229A
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English (en)
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Katsuhiko Arisawa
克彦 蟻沢
Hideo Kobayashi
日出夫 小林
Yoshio Yamashita
芳雄 山下
Kenichi Yamada
賢一 山田
Kunihiko Hayashi
邦彦 林
Taiichi Mori
泰一 森
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】 暖機運転時間が短縮され得る2槽式オイルパン構造を備えるとともに、貯留されているオイルが可及的に偏りなく使用されることで当該オイルの耐久性の悪化が抑制されたオイル貯留装置を提供する。
【解決手段】 オイル貯留装置130の内側には、インナープレート160が収容されている。インナープレート160は、オイル貯留装置130の内側に、メイン貯留室131と、その外側のリザーバー室132と、当該リザーバー室132の上側の還流オイル貯留部133と、を形成するように構成・配置されている。リザーバー室132と還流オイル貯留部133とを仕切る還流オイルセパレーター162には、還流オイル誘導堰162bが設けられている。還流オイル誘導堰162bは、シリンダブロック120から還流して来たオイルを第二サーモスタット弁装置166に向かって誘導するように構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被潤滑機構(例えば、エンジンブロックや自動変速機構等)の潤滑のためのオイルを貯留し得るように構成されたオイル貯留装置に関する。
一般に、この種の被潤滑機構は、前記オイル貯留装置に貯留されている前記オイルを吸入して、当該被潤滑機構内に配置された被潤滑部材(例えば、ギヤ、カムシャフト、ピストン等)に供給し得るように構成されている。また、前記オイル貯留装置は、前記被潤滑部材にて潤滑及び冷却作用を奏した前記オイルを、重力の作用で回収し得るように構成されている。
従来、この種の被潤滑機構における暖機運転の進行を促進し得るような前記オイル貯留装置の構造として、いわゆる2槽式オイルパン構造が広く知られている。この2槽式オイルパン構造の従来技術の代表例として、特開2003−222012号公報(特許文献1)に記載されたものを挙げることができる。
特開2003−222012号公報
この従来の2槽式オイルパン構造においては、オイルを貯留可能なオイルパンの内側の空間内に、オイルパンセパレーターが配置されている。このオイルパンセパレーターは、前記オイルパンの内側の空間を、吸込口が配置される主室と、前記吸込口が配置されない副室とに仕切るように構成されている。前記主室は、前記エンジンブロックの内部と連通するように形成されていて、前記エンジンブロックにて熱を受け取った前記オイルが前記主室内に優先的に集められ得るようになっている。前記副室は、前記主室の全周囲(側方及び下方)に形成されている。
前記オイルパンセパレーターには、前記主室を形成する凹部が設けられている。この凹部には、前記主室と前記副室とを連通させる連通孔が形成されている。この連通孔は、暖機運転中の低温で高粘度の前記オイルが通過困難な、直径2mm程度の貫通孔として形成されている。すなわち、この連通孔は、前記オイルの粘度変化を利用して、前記副室と前記主室との間の前記オイルの交流を制御し得るように構成されている。
かかる構成においては、前記エンジンブロックにて熱を受け取った前記オイルが前記主室内に優先的に集められることにより、前記主室内の前記オイルが早期に昇温される。ここで、エンジンの冷間始動後しばらくは、前記副室内の前記オイルは低温で粘度が高いので、前記副室から前記主室への前記オイルの流入は困難である。また、前記吸込口は、前記主室内に配置されている。よって、冷間始動後の暖機運転中は、前記主室内にて早期に昇温された前記オイルが優先的に前記被潤滑機構内にて循環され、このオイルが再び前記主室に還流する。これにより、前記主室内の前記オイルの昇温がより一層促進され、以て暖機運転がより一層促進され得る。
上述した従来の2槽式オイルパン構造において、前記副室から前記連通孔を介して前記主室へ流入して前記吸込口に吸い込まれるオイル流路を想定した場合の、当該オイル流路における前記オイルの流動抵抗をR2-1とする。また、前記主室内に予め貯留されている前記オイルが前記吸込口に吸い込まれるオイル流路を想定した場合の、当該オイル流路における前記オイルの流動抵抗をR1-1とする。このとき、明らかに、R2-1の方がR1-1よりも大きい。よって、暖機運転終了後であっても、暖機運転中と同様に、主として前記主室内の前記オイルが前記吸込口によって吸い込まれて、前記被潤滑機構に供給されることになる。
このように、従来の2槽式オイルパン構造においては、前記副室内の前記オイルが当該副室内にて滞留したままとなって前記被潤滑機構になかなか供給されない一方、前記主室内の前記オイルが集中的に使用されることで当該主室内のオイルの劣化が促進されてしまう、という問題があった。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、暖機運転時間が短縮され得る2槽式オイルパン構造を備えるとともに、貯留されているオイルが可及的に偏りなく使用されることで当該オイルの耐久性の悪化が抑制されたオイル貯留装置を提供することにある。
本発明の対象となるオイル貯留装置は、オイルパンと、オイルパンセパレーターと、を備えていて、前記被潤滑機構の潤滑のためのオイルを貯留し得るように構成されている。前記オイルパンは、前記オイルを内側の空間内にて貯留し得るように構成されている。前記オイルパンセパレーターは、前記オイルパンの内側の、前記オイルを貯留し得る前記空間を、メイン貯留室とリザーバー室とに分割するように、当該空間内に配置されている。ここで、前記メイン貯留室は、前記被潤滑機構に向けて開口するように設けられている。前記リザーバー室は、前記メイン貯留室に隣接するように設けられている。
かかる構成を有するオイル貯留装置と接続される前記被潤滑機構には、前記メイン貯留室内に貯留された前記オイルを前記被潤滑機構に向けて送出し得るように構成されたオイルポンプが設けられている。そして、前記メイン貯留室の底部には、オイル吸込口が設けられている。このオイル吸込口は、前記メイン貯留室の底部に貯留された前記オイルを吸い込み得るように構成されている。このオイル吸込口を通過したオイルが、前記オイルポンプに向けて送出され得るようになっている。
(1)上述した目的を達成するため、本発明の特徴は、前記オイル貯留装置が、第一制御弁と、還流オイルセパレーターと、第二制御弁と、還流オイル誘導部と、を備えたことにある。
前記第一制御弁は、前記リザーブオイルセパレーターに設けられている。この第一制御弁は、前記被潤滑機構における運転状態に応じて開弁されることで、前記リザーバー室から前記メイン貯留室の底部への前記オイルの流入を許可し得るように構成されている。前記還流オイルセパレーターは、還流オイル貯留部を、前記リザーバー室の上方に形成し得るように構成されている。この還流オイル貯留部は、前記被潤滑機構から前記オイルパンに向けて還流して来る還流オイルのうちの、前記メイン貯留室に直接還流する部分以外の残部を貯留し得るように形成されている。前記第二制御弁は、前記還流オイルセパレーターに設けられている。この第二制御弁は、前記被潤滑機構における運転状態に応じて開弁されることで、前記還流オイル貯留部から前記リザーバー室への前記オイルの流入を許可し得るように構成されている。前記還流オイル誘導部は、前記第二制御弁に向けて前記還流オイルを誘導し得るように構成されている。
かかる構成を備えた本発明のオイル貯留装置と接続された前記被潤滑機構が運転されると、前記オイルポンプが作動する。このオイルポンプの作動により、前記オイル吸込口を介して、前記メイン貯留室内の前記オイルが吸い込まれる。このオイルは、前記オイルポンプによって前記被潤滑機構に向けて送出されることで、当該被潤滑機構に供給される。この被潤滑機構に供給された前記オイルは、当該被潤滑機構にて潤滑及び冷却作用を奏した後、前記還流オイルとして前記オイルパンに向けて還流する。
この還流オイルの一部は、前記被潤滑機構に向けて開口する前記メイン貯留室に、直接的に流入する。これにより、当該メイン貯留室内のオイルの昇温が促進される。また、当該還流オイルのうちの残部は、前記還流オイルセパレーターによって形成された前記還流オイル貯留部に貯留される。ここで、当該還流オイル貯留部に還流して来た前記還流オイルは、前記還流オイル誘導部によって、前記第二制御弁に向けて誘導される。これにより、当該第二制御弁の近傍における前記還流オイルの貯留量が或る程度確保される。
前記被潤滑機構における冷間始動後の暖機運転中には、前記第一制御弁及び前記第二制御弁が閉弁状態となる。これにより、前記被潤滑機構に供給されて潤滑・冷却作用を奏する前記オイルが、前記メイン貯留室内のものに限定され得る。これにより、暖機運転の進行が促進される。
暖機運転が所定程度進行した後は、暖機運転が終了する。例えば、前記メイン貯留室内の前記オイルの温度、又は前記被潤滑機構内の各部の温度が、所定の暖機運転終了温度に達した場合に、暖機運転が終了する。あるいは、冷間始動時から、当該始動時の外気温等の所定のパラメータによって決定された所定の暖機運転時間が経過した後に、暖機運転が終了する。この暖機運転終了時においては、前記第一制御弁及び前記第二制御弁が開弁状態となる。
前記第一制御弁の開弁により、前記メイン貯留室の底部と前記リザーバー室とが、比較的小さな流路抵抗で連通する。これにより、前記リザーバー室内に貯留されている前記オイルが、前記メイン貯留室内に比較的容易に流入して、前記オイル吸込口によって吸い込まれ、前記被潤滑機構に供給され得るようになる。
また、前記第二制御弁の開弁により、前記リザーバー室の上部と前記還流オイル貯留部とが、比較的小さな流路抵抗で連通する。すると、当該第二制御弁の近傍に貯留されていた前記還流オイルが、前記リザーバー室の上部に流入する。これにより、前記リザーバー室と前記メイン貯留室とのオイルレベルの差が大きくなる。このオイルレベルの差に起因する、前記リザーバー室と前記メイン貯留室との差圧により、前記リザーバー室内に貯留されている前記オイルが、前記メイン貯留室内に勢いよく流入する。
以上の通り、本発明によれば、前記第二制御弁の近傍における前記還流オイルの貯留量が或る程度確保されて、かかる還流オイルが当該第二制御弁の開弁によって前記リザーバー室内に流入することで、前記第一制御弁を介しての前記リザーバー室から前記メイン貯留室内への前記オイルの流入がより促進され得る。したがって、本発明によれば、暖機運転の進行の促進という、2槽式オイルパン構造の効果を減殺させることなく、前記リザーバー室と前記メイン貯留室との間の前記オイルの交流を盛んに行わせることができる。すなわち、前記オイルパンの内部に貯留されている前記オイルが、可及的に偏りなく使用される。これにより、当該オイルの耐久性の悪化が抑制され得る。
(1’)前記オイルパンセパレーターと前記還流オイルセパレーターとは、一体に形成されていてもよい。これにより、暖機運転が良好に促進され且つ前記オイルが可及的に偏りなく使用され得る前記オイル貯留装置が、安価な製造コストで実現され得る。
(2)前記還流オイル誘導部は、前記還流オイルセパレーターから上方に延びるように設けられた還流オイル誘導堰から構成されていてもよい。この還流オイル誘導堰は、前記還流オイルセパレーターと一体に形成されていることが好ましい。
これにより、前記還流オイル誘導部が、より簡略な構成で実現され得る。すなわち、前記第一制御弁を介しての前記リザーバー室から前記メイン貯留室への前記オイルの流入がより促進され得るような、前記第二制御弁の開弁時の前記還流オイル貯留部から前記リザーバー室の上部への前記還流オイルの流入状態が、より簡略な装置構成で実現される。
(3)前記オイルパンがオイル収容部とスロープ部とを備えていて、前記還流オイル案内部を構成する還流オイル案内部が前記スロープ部に形成されていてもよい。ここで、前記オイル収容部は、前記メイン貯留室及び前記リザーバー室が形成される前記空間を囲むように構成されている。また、前記スロープ部は、前記被潤滑機構と対向するように配置されている。このスロープ部は、前記還流オイルを受け止めて前記オイル収容部に流入させ得るように形成されている。さらに、前記還流オイル案内部は、前記スロープ部によって受け止められた前記還流オイルを前記還流オイル誘導部に向けて案内し得るように構成されている。
かかる構成において、前記還流オイルの一部は、前記スロープ部によって受け止められ、当該スロープ部の上で、前記オイル収容部に向かって流動する。この還流オイルのうちの一部は、前記オイル収容部に流入し、残部は前記還流オイル案内部によって前記還流オイル誘導部に向けて案内される。そして、前記還流オイル誘導部に向けて案内された前記還流オイルは、当該還流オイル誘導部によって、前記第二制御弁に向けて誘導される。
かかる構成によれば、可及的に多くの量の前記還流オイルが、前記第二制御弁の近傍に誘導される。これにより、前記オイルパンの内部に貯留されている前記オイルがより偏りなく使用されるような、前記第二制御弁の開弁時の前記還流オイル貯留部から前記リザーバー室の上部への前記還流オイルの流入状態が、より良好に形成され得る。
(4)前記還流オイル案内部が、前記スロープ部から上方に延びるように設けられた還流オイル案内堰から構成されていてもよい。これにより、可及的に多くの前記還流オイルを前記還流オイル誘導部に案内し得る前記還流オイル案内部が、より簡略な装置構成で実現される。
(5)前記還流オイル誘導堰及び前記還流オイル案内堰が、以下のように構成されていてもよい:鉛直方向及び前記還流オイル誘導堰の長手方向と直交する方向から透視した場合に、前記還流オイル案内堰の長手方向における一端部と、前記還流オイル誘導堰の前記長手方向における一端部とが重なるように、前記還流オイル誘導堰及び前記還流オイル案内堰が配置されている。
かかる構成によれば、前記還流オイル案内堰によって前記還流オイル誘導堰に向けて案内された前記還流オイルが、当該還流オイル案内堰と前記還流オイル誘導堰とが重なる箇所を介して、当該還流オイル誘導堰に受け渡される。よって、可及的に多くの前記還流オイルが、前記還流オイル誘導堰及び前記還流オイル案内堰を介して、前記第二制御弁の近傍に案内される。したがって、前記オイルパンの内部に貯留されている前記オイルがより偏りなく使用されるような、前記還流オイル案内部が、より簡略な装置構成で実現される。
(6)前記オイル貯留装置が、以下のように構成されていてもよい:本オイル貯留装置は、筒状部材からなるオイルレベルゲージガイド筒をさらに備えている。このオイルレベルゲージガイド筒は、棒状部材からなるオイルレベルゲージを収容することで、当該オイルレベルゲージの着脱をガイドし得るように構成されている。また、前記還流オイルセパレーターには、前記オイルレベルゲージが挿入されるオイルレベルゲージ挿入用貫通孔が形成されている。そして、前記オイルレベルゲージガイド筒の下端部は、前記還流オイルセパレーターにおける前記オイルレベルゲージ挿入用貫通孔の周囲の部分と液密的に接続されている。
かかる構成において、前記オイルレベルゲージが前記オイル貯留装置に装着される場合、当該オイルレベルゲージの先端部が前記オイルレベルゲージガイド筒に収容される。続いて、前記オイルレベルゲージの前記先端部が、前記オイルレベルゲージ挿入用貫通孔を通過する。
ここで、本構成においては、前記オイルレベルゲージガイド筒の下端部と、前記還流オイルセパレーターにおける前記オイルレベルゲージ挿入用貫通孔の周囲の部分とは、液密的に接続されている。すなわち、前記還流オイル貯留部内に貯留されている前記還流オイルの、前記オイルレベルゲージ挿入用貫通孔を介しての前記リザーバー室への流入が、前記オイルレベルゲージガイド筒によって抑制されている。
かかる構成によれば、可及的に多くの量の前記還流オイルが、前記リザーバー室へ流出することなく、前記第二制御弁の近傍に誘導される。よって、前記第二制御弁の開弁前における、当該第二制御弁の近傍の前記還流オイルの貯留量が充分に確保され得る。したがって、前記第一制御弁を介して前記リザーバー室から前記メイン貯留室に充分な量の前記オイルが流入し得るような、前記還流オイル貯留部から前記リザーバー室の上部への充分な量の前記還流オイルの流入が、より簡略な装置構成で実現される。
(6’)前記オイルレベルゲージガイド筒が、前記還流オイルセパレーターと一体に成形されていてもよい。これにより、前記オイルレベルゲージガイド筒と前記還流オイルセパレーターの本体部分との接合箇所におけるシール性がより向上する。すなわち、前記還流オイル貯留部内に貯留されている前記還流オイルが前記オイルレベルゲージガイド筒の内部及び前記オイルレベルゲージ挿入用貫通孔に流入することが、可及的に抑制され得る。また、前記オイルレベルゲージガイド筒を備えた前記還流オイルセパレーターが、より低コストで形成され得る。
(6”)前記オイルレベルゲージ挿入用貫通孔が、前記リザーバー室における最高位置に形成されていて、前記オイルレベルゲージガイド筒の下端が前記リザーバー室内に突出しないように当該オイルレベルゲージガイド筒及び前記還流オイルセパレーターが構成されていてもよい。この場合、(前記オイルレベルゲージガイド筒の下端部を構成する)前記オイルレベルゲージ挿入用貫通孔における下側の開口端部には、前記リザーバー室における前記最高位置から空気を上方に向かって容易に排出し得るような空気排出ガイド面が形成されていることが好ましい。この空気排出ガイド面は、例えば、前記オイルレベルゲージガイド筒の内側面の下端部であって、下方に向かって開口面積が広がるように形成され得る。
かかる構成によれば、前記リザーバー室内の空気が、前記オイルレベルゲージ挿入用貫通孔及び前記オイルレベルゲージガイド筒を介して、上方にスムーズに排出され得る。
(7)前記オイルレベルゲージガイド筒の高さが、前記還流オイル誘導部の高さよりも高くなるように、当該オイルレベルゲージガイド筒が構成されていることが好適である。これにより、前記還流オイル貯留部内に貯留されている前記還流オイルが前記オイルレベルゲージガイド筒の内部及び前記オイルレベルゲージ挿入用貫通孔に流入することが、より効果的に抑制され得る。
(8)前記第一制御弁及び前記第二制御弁は、前記オイルの温度に応じて変形する感温変形部と、その感温変形部の変形状態に応じて移動する弁体と、を備え、所定の開弁温度以上の温度で開弁するように構成されていてもよい。
かかる構成においては、暖機運転の終了の際に、前記メイン貯留室内の前記オイルの昇温により、前記第一制御弁における前記感温変形部が変形する。これにより、当該第一制御弁における前記弁体が移動し、当該第一制御弁が開弁する。この第一制御弁の開弁によって、上述のように、前記メイン貯留室の底部と前記リザーバー室とが比較的小さな流路抵抗で連通する。
また、前記還流オイル貯留部内における、前記第二制御弁の近傍に貯留された前記還流オイルの昇温により、前記第二制御弁における前記感温変形部が変形する。これにより、当該第二制御弁における前記弁体が移動し、当該第二制御弁が開弁する。この第二制御弁の開弁によって、上述のように、前記リザーバー室の上部と前記還流オイル貯留部とが、比較的小さな流路抵抗で連通することで、前記還流オイル貯留部における前記第二制御弁の近傍に貯留された前記還流オイルが、前記リザーバー室に流入する。この第二制御弁の開弁及び前記還流オイル室から前記リザーバー室の上部への前記還流オイルの流入によって、前記オイルパン内に貯留された前記オイルの循環が盛んに行われるようになる。
かかる構成によれば、前記オイルパンの内部に貯留されている前記オイルが可及的に偏りなく使用され得る前記オイル貯留装置が、より簡略な装置構成で実現され得る。
(9)前記第一制御弁は、前記第二制御弁の開弁温度よりも低い開弁温度で開弁するように構成されていてもよい。
かかる構成において、暖機運転が終了する際、まず、前記第一制御弁が開弁する。この第一制御弁の開弁により、前記メイン貯留室の底部と前記リザーバー室とが、比較的小さな流路抵抗で連通する。これにより、前記リザーバー室内に貯留されている前記オイルが、前記メイン貯留室内に比較的容易に流入して、前記オイルストレーナーの前記吸込口によって吸い込まれ、前記被潤滑機構に供給され得るようになる。
続いて、前記第二制御弁が開弁する。この第二制御弁の開弁により、前記リザーバー室の上部と前記還流オイル貯留部とが、比較的小さな流路抵抗で連通する。これにより、暖機運転中に前記還流オイル貯留部に貯留された前記還流オイルが、前記リザーバー室に流入する。この還流オイルの前記リザーバー室への流入により、当該リザーバー室と前記メイン貯留室とのオイルレベルの差が大きくなる。このオイルレベルの差に起因する、前記リザーバー室と前記メイン貯留室との差圧により、前記リザーバー室内に貯留されている前記オイルが、前記メイン貯留室内に勢いよく流入する。
かかる構成によれば、前記第一制御弁が前記第二制御弁よりも先に開弁されることで、前記リザーバー室内に貯留されていた前記オイルが、当該メイン貯留室に対して、より早期に供給され得る。これにより、当該メイン貯留室内のオイルレベルの極端な低下が可及的に抑制され得る。すなわち、前記被潤滑機構への前記オイルの供給量の不足の発生が、可及的に抑制され得る。
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について図面を参照しつつ説明する。
<1.エンジンの概略構成>
図1は、本発明の一実施形態のオイル貯留装置を備えた多気筒のエンジン100の一部を切り欠いてエンジン長手方向(気筒配列方向)に沿った方向から見た場合の断面図である。
被潤滑機構としてのシリンダヘッド110の本体部は、アルミニウム合金を所定の形状に鋳造することによって形成されている。このシリンダヘッド110の本体部の内部には、被潤滑部材としてのカムシャフト111が、回転可能に収容されている。このシリンダヘッド110の下端面には、シリンダブロック120が接合されている。
被潤滑機構としてのシリンダブロック120の本体部は、アルミニウム合金を所定の形状に鋳造することによって形成されている。このシリンダブロック120の本体部の内部には、被潤滑部材としての略円筒形状のシリンダライナー121が収容されている。このシリンダライナー121の内側には、被潤滑部材としてのピストン122が、図中上下方向に往復移動可能に収容されている。このピストン122の下方には、被潤滑部材としてのクランクシャフト123が、前記エンジン長手方向と平行に配置されている。ピストン122と、クランクシャフト123とは、被潤滑部材としてのコネクティングロッド124を介して互いに接続されている。
シリンダブロック120の下端部には、シリンダブロック下側フランジ125が設けられている。このシリンダブロック下側フランジ125の下方には、オイルストレーナー126が配置されている。オイルストレーナー126は、シリンダブロック120に備えられた図示しないオイルポンプと接続されている。このオイルストレーナー126の下端部には、上述のオイルポンプが作動している際にオイルをオイルストレーナー126内に吸い込むための吸込口126aが形成されている。
オイル貯留装置130は、その内側の空間にオイルを貯留可能に構成されている。このオイル貯留装置130は、メイン貯留室131と、リザーバー室132と、還流オイル貯留部133と、の3つの空間を備えている。
メイン貯留室131は、オイルストレーナー126が収容される空間であって、オイル貯留装置130の最も内側に形成されている。リザーバー室132は、メイン貯留室131と隣接する空間であって、メイン貯留室131の下方及び側方を囲むように設けられている。還流オイル貯留部133は、被潤滑機構としてのシリンダヘッド110及びシリンダブロック120から重力の作用で還流して来た還流オイルの一部を受け止めて一時的に貯留するための空間であって、リザーバー室132の上方に設けられている。
<2.実施形態のオイル貯留装置の構成>
本実施形態のオイル貯留装置130は、本発明のオイルパンを構成する第一オイルパン140及び第二オイルパン150と、インナープレート160と、を備えている。
<2−1.第一オイルパン>
第一オイルパン140は、シリンダブロック120の前記本体部と同様に、アルミニウム合金を所定の形状に鋳造することによって形成されている。この第一オイルパン140は、第一オイルパン筒状部141と、第一オイルパン上側フランジ142と、第一オイルパン下側フランジ143と、を備えている。
図2は、図1に示されている本実施形態のオイル貯留装置130を斜め上方から見た場合の斜視図である。図2に示されているように、筒状に形成された第一オイルパン筒状部141の、前記エンジン長手方向における一端側の下方に形成された第一オイルパン開口部141aは、第二オイルパン150によって下方から覆われている。すなわち、第二オイルパン150は、前記エンジン長手方向における前記一端側に偏った位置に配置されている。
第一オイルパン筒状部141の、前記エンジン長手方向における他端側には、スロープ部141bが形成されている。スロープ部141bは、筒状に形成された第一オイルパン筒状部141の、前記エンジン長手方向における前記他端側(第一オイルパン開口部141aが設けられていない側)を下方から覆うように設けられている。すなわち、スロープ部141bは、上方に配置された被潤滑機構としてのシリンダブロック120(図1参照)と対向するように配置されている。
スロープ部141bは、前記エンジン長手方向における前記他端側から前記一端側に向かって低くなるような斜面状に形成されている。すなわち、スロープ部141bは、上方から重力の作用で還流してきた前記還流オイルを、一旦受け止めて、第一オイルパン開口部141aに向かって流動させ、第二オイルパン150内の空間に流入させ得るように構成されている。
スロープ部141bの上には、還流オイル案内堰141cが形成されている。還流オイル案内堰141cは、スロープ部141bから上方に延びるように(突出するように)設けられている。この還流オイル案内堰141cは、スロープ部141bによって受け止められた前記還流オイルの一部を、所定の位置に向かって案内し得るように構成及び配置されている。
ここで、本実施形態においては、還流オイル案内堰141cは、前記エンジン長手方向に沿って配置されている。また、還流オイル案内堰141cは、エンジン幅方向(前記エンジン長手方向及び鉛直方向と直交する方向)における中心よりも端部側にオフセットした位置に配置されている。この還流オイル案内堰141cの、前記エンジン幅方向における位置は、後述するような、前記還流オイルの各部への適切な配分が行われるように、適宜設定されている。
再び図1を参照すると、第一オイルパン筒状部141の上端には、第一オイルパン上側フランジ142が形成されている。この第一オイルパン上側フランジ142は、シリンダブロック下側フランジ125と接合されている。第一オイルパン筒状部141の下端には、第一オイルパン下側フランジ143が形成されている。この第一オイルパン下側フランジ143には、第二オイルパン150及びインナープレート160が、ボルトによって固定されている。
<2−2.第二オイルパン>
本発明のオイル収容部を構成する第二オイルパン150は、上方のシリンダブロック120に向かって開口するように、バスタブ状に形成されている。具体的には、第二オイルパン150は、第二オイルパン底板151と、第二オイルパン側板152と、第二オイルパン端部フランジ153と、から構成されている。この第二オイルパン150は、鋼板をプレス加工することによって、一体に成形されている。
第二オイルパン底板151の周縁には、当該第二オイルパン底板151を外側から囲むように、第二オイルパン側板152が設けられている。そして、この第二オイルパン150は、第二オイルパン底板151と第二オイルパン側板152とによって囲まれた空間内に、オイルが貯留される空間である上述のメイン貯留室131及びリザーバー室132が形成され得るように構成されている。
第二オイルパン底板151の最低位置には、ドレインボルト孔154が設けられている。このドレインボルト孔154の内縁部には、ドレインボルト155が捩じ込まれ得るように、ネジ山が形成されている。なお、「最低位置」とは、エンジン100を含む所定の装置(例えば自動車等)が水平な地面に置かれた場合の、重力作用方向における最も低い位置をいうものとする。一方、エンジン100を含む所定の装置(例えば自動車等)が水平な地面に置かれた場合の、重力作用方向における最も高い位置を、以下、「最高位置」と称する。
この第二オイルパン150は、第二オイルパン底板151及び第二オイルパン側板152の上を、オイルがドレインボルト孔154に向かって重力の作用で淀みなくスムーズに流れ落ち得るような形状に構成されている。すなわち、ドレインボルト孔154からドレインボルト155を取り外すことにより、第二オイルパン150の内側の空間(特にリザーバー室132)内に貯留されたオイルの全量が、重力の作用によって当該ドレインボルト孔154を通してオイル貯留装置130の外部に流出し得るようになっている。
第二オイルパン側板152の上端側における周縁部には、第二オイルパン端部フランジ153が形成されている。第二オイルパン端部フランジ153は、第二オイルパン側板152の上端から外側に延びるように立設されている。この第二オイルパン端部フランジ153は、第一オイルパン下側フランジ143と接合されている。
<2−3.インナープレート>
インナープレート160は、第一オイルパン140及び第二オイルパン150の内側に形成された空間内に配置されている。このインナープレート160は、前記空間を、上述のメイン貯留室131、リザーバー室132、及び還流オイル貯留部133に分割し得るように構成されている。具体的には、インナープレート160は、オイルパンセパレーター161と、還流オイルセパレーター162と、から構成されている。
インナープレート160は、熱伝導性の低い合成樹脂製の板材によって一体に形成されている。本実施形態においては、インナープレート160は、耐油性及び耐熱性が高い、ガラス繊維を重量%で30%含有することで強化された6ナイロン樹脂の、厚さ2〜3mmの薄板から構成されている。
<2−3−1.オイルパンセパレーター>
オイルパンセパレーター161は、オイルパンセパレーター底板161aと、オイルパンセパレーター側板161bと、を備えている。オイルパンセパレーター底板161aの周縁には、当該オイルパンセパレーター底板161aを外側から囲むように、オイルパンセパレーター側板161bが設けられている。
このオイルパンセパレーター161は、第二オイルパン150の内側の空間をメイン貯留室131とリザーバー室132とに分割し得るように構成されている。すなわち、オイルパンセパレーター底板161aとオイルパンセパレーター側板161bとで囲まれた空間によって、上述のメイン貯留室131が形成されている。また、メイン貯留室131の下方及び側方の空間であって、第二オイルパン150とオイルパンセパレーター161とで挟まれた空間によって、上述のリザーバー室132が形成されている。
このメイン貯留室131は、シリンダブロック120に向けて開口するように形成されている。すなわち、シリンダブロック120から重力の作用により落下してきた前記還流オイルの一部が、還流オイル貯留部133に一旦受け止められることなく直接メイン貯留室131に還流し得るように、当該メイン貯留室131が形成されている。
オイルパンセパレーター側板161bの上端における周縁部には、オイルパンセパレーター端部フランジ161cが形成されている。オイルパンセパレーター端部フランジ161cは、オイルパンセパレーター側板161bの上端から外側に向かって延びるように立設されている。このオイルパンセパレーター端部フランジ161cは、第一オイルパン下側フランジ143と接合されていて、当該第一オイルパン下側フランジ143に対してボルトによって固定されている。
オイルパンセパレーター側板161bは、その上端が所定のオイルレベル「F」に対応する高さとなるように形成されている。ここで、オイルレベル「F」は、所定のオイルレベル「L」におけるオイル貯留量に適当な量のオイルを加えた場合のオイルレベルに設定されている。
本実施形態においては、オイルレベル「L」は、過酷な運転条件下でもオイルストレーナー126の吸込口126aからオイルが良好に吸い込まれる最低限のオイルレベルに相当する高さに設定されている。すなわち、オイルレベル「L」は、極低温(例えば−30℃程度)における始動時にて、オイルストレーナー126の吸込口126aから空気が吸入されないような始動前の最低限のオイルレベルに設定されている。
具体的には、本実施形態においては、メイン貯留室131内のオイルレベルが「F」の場合の、当該メイン貯留室131内のオイルの貯留量が、略2.8リットルに設定されている。また、メイン貯留室131内のオイルレベルが「L」の場合の、当該メイン貯留室131内のオイルの貯留量が、略1.6リットルに設定されている。さらに、オイルレベル「F」とオイルレベル「L」との高さの差は略10〜50mmに設定されている。
<2−3−1(a).オイルパン内部のオイルの循環のための構成>
オイルパンセパレーター側板161bの底部には、第一サーモスタット弁装置163が、当該オイルパンセパレーター側板161bを貫通するように設けられている。第一サーモスタット弁装置163は、オイルレベル「L」よりも低く、且つオイルストレーナー126の吸込口126aよりも高い位置に配置されている。
この第一サーモスタット弁装置163によって、メイン貯留室131とリザーバー室132との間でのオイルの交流状態がオイルの温度に応じて変化するオイル連通路が構成されている。すなわち、この第一サーモスタット弁装置163は、エンジン100の運転状態に応じて開弁されることで、リザーバー室132からメイン貯留室131の底部へのオイルの流入を許可し得るように構成されている。
図3は、図2に示されている第一サーモスタット弁装置163を拡大した側断面図である。ここで、図3(A)は、低温時における開弁状態を示し、図3(B)は、高温時における閉弁状態を示している。
第一サーモスタット弁装置163は、メイン貯留室131内のオイルの温度に応じて形状が変化する感温変形部としてのワックス163aを備えている。この第一サーモスタット弁装置163は、上述の感温変形部としてのワックス163aがメイン貯留室131側に位置するように配置されている。
ワックス163aは、金属製の弁体163bの内部に封入されている。この弁体163bは、中心に貫通孔を有する略円板状の連通路開閉弁163b1と、内部にワックス163aが封入された空洞部を有する略円柱形状の本体部163b2と、連通路開閉弁163b1及び本体部163b2を接続する略円筒形状の接続部163b3とから構成されている。
連通路開閉弁163b1に形成された上述の貫通孔は、接続部163b3を構成する円筒の内側の空間と接続されている。これらの貫通孔及び空間の内側には、ロッド163cが配置されている。このロッド163cは、ワックス163aが封入された前記空洞部内にその一端が露出するように配置されている。また、このロッド163cは、前記一端と反対側の他端が連通路開閉弁163b1から弁体163bの外部に露出するように配置されている。さらに、連通路開閉弁163b1に形成された前記貫通孔には、シール部材163eが挿入されている。このシール部材163eは、弁体163b内に封入されているワックス163aの、当該弁体163bの外部への漏出を抑制し得るように構成されている。
弁体163bにおける本体部163b2の周囲は、金属製の略円筒状の部材である筐体163dによって囲まれている。この筐体163dには、貫通孔としてのメイン貯留室側開口部163d1が形成されている。このメイン貯留室側開口部163d1は、当該筐体163dの内側の空間と外側の空間(メイン貯留室131)とを連通させ得るように構成されている。
筐体163dにおける、メイン貯留室131側の端部には、貫通孔163d2が形成されている。この貫通孔163d2は、その内側を弁体163bにおける本体部163b2が移動(摺動)し得るように構成されている。筐体163dにおける、リザーバー室132側の端部には、円板状のフランジ部163fが、外側(図中上下方向)に向かって延びるように形成されている。このフランジ部163fが、オイルパンセパレーター側板161bに対してボルトB及びナットNによって固定されることにより、第一サーモスタット弁装置163がオイルパンセパレーター側板161bに装着されている。
フランジ部163fよりもリザーバー室132側には、当該リザーバー室132側に露出した板状部材からなるリザーバー室側カバー163gが設けられている。このリザーバー室側カバー163gには、貫通孔であるリザーバー室側開口部163g1が形成されている。また、リザーバー室側カバー163gには、上述のロッド163cにおける前記他端が固着されている。そして、当該リザーバー室側カバー163gと連通路開閉弁163b1とが当接した場合に、筐体163dの内側の空間とリザーバー室側カバー163gの内側の空間との連通が当該連通路開閉弁163b1によって遮断され得るように、当該リザーバー室側カバー163g(及び連通路開閉弁163b1)の形状が設定されている。
筐体163dの内側の空間には、弁体163bの周囲を囲むように、コイルスプリング163hが配置されている。このコイルスプリング163hは、その一端側が連通路開閉弁163b1に当接し、他端側が筐体163dにおける前記一端側に当接するように配置されている。
上述のような構造を有する第一サーモスタット弁装置163は、ワックス163aが封入されている弁体163bの周囲のオイルの温度が所定の開弁温度(略60℃)よりも低温の場合に、図3(A)に示されているように、リザーバー室側カバー163gと連通路開閉弁163b1とが当接することで、メイン貯留室131とリザーバー室132との連通を遮断した状態(前記閉弁状態)となるように構成されている。また、第一サーモスタット弁装置163は、弁体163bの周囲のオイルの温度が前記開弁温度以上である場合に、図3(B)に示されているように、弁体163bがメイン貯留室131側(図中右方向)に移動することで、メイン貯留室131とリザーバー室132とが連通した状態(前記開弁状態)となるように構成されている。
さらに、第一サーモスタット弁装置163は、温度上昇に応じて開弁率(前記オイル連通路における最大流路断面積に対する現在の流路断面積の割合)が高くなるように構成されている。すなわち、ワックス163aの膨張によって弁体163bがメイン貯留室131側に押し出される力と、前記コイルスプリング163hによる押圧力とが釣り合うような所定の位置に、当該弁体163bが位置することで、前記開弁率が前記オイル温度に応じて変化するように、第一サーモスタット弁装置163が構成されている。なお、第一サーモスタット弁装置163は、前記最大流路断面積が略8cm2となるように構成されている。
<2−3−1(b).ドレイン孔及びフロート弁>
再び図1を参照すると、オイルパンセパレーター底板161aには、ドレイン孔161dが形成されている。ドレイン孔161dは、オイルパンセパレーター底板161aの最低位置、すなわち、メイン貯留室131の最低位置であって、オイルストレーナー126の近傍位置に設けられている。このドレイン孔161dは、低温(例えば0℃程度)の高粘度のオイルであってもメイン貯留室131の外部(リザーバー室132側)に流出させ得る程度の充分な大きさ(例えば直径20mm程度の円形)に形成されている。
オイルパンセパレーター161の底部に形成された上述のドレイン孔161dには、フロート弁164が装着されている。このフロート弁164は、メイン貯留室131内のオイルレベルに応じてドレイン孔161dを開閉し得るように構成されている。
図4は、図1に示されているフロート弁164の周辺を拡大した側断面図である。ここで、図4(A)においては、メイン貯留室131内のオイルレベルが高くフロート弁164が上昇することでドレイン孔161dが閉塞された状態が示されている。また、図4(B)においては、メイン貯留室131内のオイルレベルが低くフロート弁164が下降することでドレイン孔161dが開放された状態が示されている。
図4を参照すると、フロート弁164は、弁体164aと、フロート164bと、接続バー164cと、を備えている。
弁体164aは、リザーバー室132側(オイルパンセパレーター底板161aの下側)に配置されている。この弁体164aは、その上面であるドレイン孔対向面164a1がドレイン孔161dの開口端縁と当接することで、当該ドレイン孔161dを下方から閉鎖し得るように構成されている。
フロート164bは、メイン貯留室131内(オイルパンセパレーター底板161aの上側)に配置されている。すなわち、フロート164bは、ドレイン孔161dを挟んで弁体164aと対向するように配置されている。このフロート164bは、オイル内にて浮力により上昇し得るような材質及び/又は構造に形成されている。
接続バー164cは、弁体164aとフロート164bとを接続する棒状部材であって、略上下方向に沿って配置されている。
本実施形態においては、弁体164aの上側表面であって、ドレイン孔161dと対向する面である、上述のドレイン孔対向面164a1が、外側(上側)に凸の球面状に形成されている。そして、メイン貯留室131内に充分な量のオイルが収容されていて、フロート弁164が図4(A)に示されている上昇位置にある場合に、図中二点鎖線で示されているようにフロート弁164が傾いても、ドレイン孔対向面164a1がドレイン孔161dの開口端(ドレイン開口端部161d1)に良好に密着するように、当該フロート弁164が構成されている。
また、本実施形態においては、ドレイン開口端部161d1は、曲面形状に形成されている。このドレイン開口端部161d1は、弁体164aにおけるドレイン孔対向面164a1と対向する面であって、球面形状を有するドレイン孔対向面164a1と密着し得るように形成されている。
再び図1を参照すると、かかるフロート弁164は、メイン貯留室131内のオイルレベルが、所定のフロート下降開始レベル以上となった場合に、浮力によって上昇することで、ドレイン孔161dを下方から塞ぎ得るように構成されている。また、フロート弁164は、メイン貯留室131内のオイルレベルが、前記フロート下降開始レベルより下となって、メイン貯留室131内のオイル量の不足が生じた場合に、下降することで、ドレイン孔161dを開放し、リザーバー室132の底部のオイルをメイン貯留室131内に流入させ得るように構成されている。ここで、前記フロート下降開始レベルは、本実施形態においては、第一サーモスタット弁装置163の高さ方向における中央部に設定されている。
<2−3−1(c).注油弁>
オイルパンセパレーター側板161bにおける、還流オイルセパレーター162と近接する部分には、平坦部161eが形成されている。この平坦部161eは、その外側の表面(リザーバー室132側の表面)における法線が上方を向くように設けられている(これに対し、オイルパンセパレーター側板161bにおける第一サーモスタット弁装置163が装着された部分は、その外側の表面における法線が下方を向くように設けられている。)。
すなわち、図1に示されているように、平坦部161eは、還流オイルセパレーター162の下方に位置するリザーバー室132に向かってメイン貯留室131を拡張させ得るように形成されている。そして、平坦部161eは、還流オイルセパレーター162の下方に位置するリザーバー室132に向かって突出したメイン貯留室131の天板を構成するように配置されている。この平坦部161eは、オイルレベル「L」に相当する高さに設けられている。
平坦部161eには、貫通孔としての注油孔161fが形成されている。この注油孔161fは、低温(例えば0℃程度)の高粘度のオイルであっても通過し得る程度の充分な大きさ(例えば直径40mm程度の円形)に形成されている。
平坦部161eには、当該オイル貯留装置130内のオイルレベルに応じて注油孔161fを開閉し得るように構成された注油弁165が設けられている。この注油弁165は、メイン貯留室131内のオイルレベルとリザーバー室132内のオイルレベルとの差によって作動するように構成されている。そして、この注油弁165は、実質的にメイン貯留室131からリザーバー室132へのオイルの流出のみを許可し得るように構成されている。
図5は、図1に示されている注油弁165の周辺を拡大した断面図である。ここで、図5(A)においては、注油弁165が下降することで注油孔161fが閉塞された状態が示されている。また、図5(B)においては、注油弁165が上昇することで注油孔161fが開放された状態が示されている。
図5を参照すると、注油弁165は、注油孔閉塞弁体165aと、ガイドピン165bと、ストッパー165cと、を備えている。
注油孔閉塞弁体165aは、オイル内で自重により下降することで、注油孔161fを平坦部161eの上方から閉塞し得るように構成されている。本実施形態においては、注油孔閉塞弁体165aは、オイルの比重(0.85〜0.98)よりも若干高い比重(好ましくは略1.2倍ないし略2倍程度)を有する材質から構成されている。具体的には、本実施形態における注油孔閉塞弁体165aは、オイルパンセパレーター161と同じ材質である、ガラス繊維を重量%で30%含有することで強化された6ナイロン樹脂(比重1.37程度)から構成されている。
注油孔閉塞弁体165aの外縁部の下面であって、注油孔161fと対向する面である注油弁表面165a1は、球面状に形成されている。そして、注油孔161fの内縁が注油弁表面165a1と線接触するように、当該注油孔161fの内縁である注油孔開口端161f1が所定の形状に形成されている。具体的には、図5に示されているように、本実施形態においては、注油孔開口端161f1の形状は、断面視にて鋭角に形成されている。また、注油孔161fの内縁部の上面は、円錐凹部(conical depression)状に形成されている。
注油孔閉塞弁体165aから下方に突出するように、ガイドピン165bが設けられている。このガイドピン165bは、平坦部161eの下面から突出するように設けられた舌片状の注油弁ガイド161gによって支持されている。すなわち、注油弁ガイド161gは、注油弁165を支持するとともに、オイルレベルの変化に伴う注油弁165の上下動をガイドし得るように構成されている。
注油弁ガイド161gには、貫通孔であるガイド孔161g1が形成されている。このガイド孔161g1には、ガイドピン165bが挿通されている。ガイドピン165bの下端には、ガイド孔161g1の内径よりも大きな外径を有するストッパー165cが形成されている。このストッパー165cは、注油弁165の平坦部161eからの離脱を防止するとともに、当該注油弁165(注油孔閉塞弁体165a)の上昇位置を規制し得るように構成されている。
<2−3−2.還流オイルセパレーター>
再び図1を参照すると、還流オイルセパレーター162は、リザーバー室132の上端を画定するように設けられている。この還流オイルセパレーター162は、リザーバー室132と、そのリザーバー室132の上方に位置する還流オイル貯留部133とを仕切るように設けられている。
すなわち、還流オイル貯留部133は、還流オイルセパレーター162の上側に形成されている。この還流オイル貯留部133は、シリンダヘッド110及びシリンダブロック120からオイル貯留装置130に向けて還流して来る前記還流オイルのうちの、メイン貯留室131に直接流入する部分以外の残部を、(特に暖機運転中に)所定量貯留し得るように構成されている。
本実施形態における還流オイルセパレーター162は、オイルパンセパレーター161と同材質の合成樹脂によって構成されていて、当該オイルパンセパレーター161と一体に形成されている。すなわち、還流オイルセパレーター162の一端部は、オイルパンセパレーター側板161bの上端と結合されている。また、還流オイルセパレーター162の他端部は、第一オイルパン下側フランジ143と接合されていて、当該第一オイルパン下側フランジ143に対してボルトによって固定されている。
本実施形態においては、還流オイルセパレーター162は、第一サーモスタット弁装置163が設けられたオイルパンセパレーター側板161bと、前記エンジン幅方向における対角位置(最も離れた位置)に配置されている。
還流オイルセパレーター162の本体部をなす水平仕切板162aは、オイルレベル「F」に相当する高さにて、略水平に配置されている。この水平仕切板162aには、第二サーモスタット弁装置166が設けられている。すなわち、本実施形態においては、第二サーモスタット弁装置166は、第一サーモスタット弁装置163と、前記エンジン幅方向における対角位置に配置されている。この第二サーモスタット弁装置166は、下側に位置するリザーバー室132に向けて突出するように形成された第二サーモスタット固定凹部162a1の最低位置を貫通するように配置されている。
第二サーモスタット弁装置166は、上述の第一サーモスタット弁装置163と同様の構成を備えていて、還流オイル貯留部133におけるオイルの温度に応じて開閉し得るように構成されている。本実施形態においては、第二サーモスタット弁装置166は、第一サーモスタット弁装置163よりも後から開弁するように構成されている。すなわち、本実施形態においては、第二サーモスタット弁装置166は、その開弁温度が第一サーモスタット弁装置163における前記開弁温度よりも若干(数℃程度)高い温度となるように構成されている。
水平仕切板162aから上方に向かって延びるように(突出するように)、還流オイル誘導堰162bが形成されている。この還流オイル誘導堰162bは、当該還流オイルセパレーター162(水平仕切板162a)によって受け止められた前記還流オイルを第二サーモスタット弁装置166(第二サーモスタット固定凹部162a1)に向かって誘導し得るように構成されている。
図2を参照すると、還流オイル誘導堰162bは、還流オイル案内堰141cによって案内されてきた前記還流オイルを受容し得るように構成されている。また、前記エンジン幅方向から透視した場合に、還流オイル誘導堰162bの長手方向における一端部と、還流オイル案内堰141cの長手方向における一端部とが重なるように、還流オイル誘導堰162b(及び還流オイル案内堰141c)が構成及び配置されている。
ここで、本実施形態においては、還流オイル誘導堰162bは、前記エンジン長手方向と略平行に配置されている。また、還流オイル誘導堰162bは、前記エンジン幅方向における中心よりも端部側にオフセットした位置であって、第二サーモスタット固定凹部162a1と重なるように配置されている。さらに、還流オイル誘導堰162bは、第二サーモスタット固定凹部162a1を挟んで、前記エンジン長手方向について2つに分割されている。そして、還流オイル誘導堰162bの前記一端部と、還流オイル案内堰141cの前記一端部との間には、前記エンジン幅方向について隙間が形成されている。
このような、還流オイル誘導堰162b(及び還流オイル案内堰141c)の構成・配置は、後述するような、前記還流オイルの各部への適切な配分が行われるように、適宜設定されている。
再び図1を参照すると、水平仕切板162aには、オイルレベルゲージ貫通孔162cが設けられている。オイルレベルゲージ貫通孔162cは、棒状のオイルレベルゲージ171が挿通され得るように形成されている。
図6は、図1に示されている水平仕切板162aを拡大した断面図である。図1及び図6を参照すると、オイルレベルゲージ貫通孔162cは、リザーバー室132における最高位置に形成されている。このオイルレベルゲージ貫通孔162cにおける、リザーバー室132側の開口端部には、リザーバー室132内の空気が上方にスムーズに抜け得るような曲面である空気排出ガイド面162c1が形成されている。
オイルレベルゲージ貫通孔162cを外側から囲むように、筒状部材からなるオイルレベルゲージガイド筒162dが、水平仕切板162aから上方に向かって突出するように設けられている。オイルレベルゲージガイド筒162dは、棒状部材からなるオイルレベルゲージ171を収容することで、当該オイルレベルゲージ171を支持し得るように構成されている。
オイルレベルゲージガイド筒162dの下端は、リザーバー室132内に突出しないように構成されている。すなわち、上述の空気排出ガイド面162c1によって、オイルレベルゲージガイド筒162dの下端が構成されている。換言すれば、上述の空気排出ガイド面162c1は、オイルレベルゲージガイド筒162dの内側面における下端部を構成する曲面であって、下方に向かって開口面積が広がるように形成されている。
オイルレベルゲージガイド筒162dは、円筒形状の支持筒本体部162d1と、その支持筒本体部162d1の上端に接続されたゲージガイド部162d2と、を備えている。ゲージガイド部162d2は、上方に向かうにつれて開口面積が広がるようなラッパ状に形成されている。すなわち、ゲージガイド部162d2の内側面であるゲージガイド面162d3は、オイルレベルゲージ貫通孔162cに向けて移動中のオイルレベルゲージ171の先端部が支持筒本体部162d1内にスムーズに収容さることで、当該オイルレベルゲージ171の装着がガイドされ得るように、略円錐面状に形成されている。
オイルレベルゲージガイド筒162dは、その上端が還流オイル誘導堰162bの上端よりも高い位置となるように形成されている。また、オイルレベルゲージガイド筒162dの下端部は、水平仕切板162aと継ぎ目なく一体に形成されている。すなわち、オイルレベルゲージガイド筒162dの下端部は、還流オイルセパレーター162におけるオイルレベルゲージ貫通孔162cの周囲の部分と液密的に接続されている。さらに、オイルレベルゲージ貫通孔162c及びオイルレベルゲージガイド筒162dと、オイルレベルゲージ171との間には、暖機運転中の低温で高粘度のオイルの通過が困難である反面、空気及び暖機運転終了後の比較的高温(例えば60℃以上)で低粘度のオイルの通過が容易な程度の隙間が形成されている。
すなわち、オイルレベルゲージガイド筒162dは、第二サーモスタット弁装置166が閉弁状態にある場合に、還流オイル貯留部133に貯留されている前記還流オイルが、当該オイルレベルゲージガイド筒162dの上端部及び下端部から当該オイルレベルゲージガイド筒162dの内部に侵入して、オイルレベルゲージ貫通孔162cを通ってリザーバー室132内に流入することを、可及的に抑制し得るように構成されている。
水平仕切板162aには、リザーバー室132から空気を上方に抜くための空気排出孔162eが設けられている。空気排出孔162eは、直径略20mmの円形の貫通孔として形成されている。この空気排出孔162eの近傍には、空気排出孔包囲堰162fが設けられている。この空気排出孔包囲堰162fは、図2に示されているように、空気排出孔162eの周囲を囲むように形成されている。
ここで、再び図1を参照すると、本実施形態においては、第一オイルパン140、及びインナープレート160、エンジン100のあらゆる運転状態において、前記還流オイルがメイン貯留室131、リザーバー室132、及び還流オイル貯留部133に適切に配分されるとともに、オイル貯留装置130内にてエンジン運転状態に応じてオイルの循環状態が適切に設定され得るような、適宜の形状に形成されている。
すなわち、暖機運転中にて、適切な量の前記還流オイルが還流オイル貯留部133に貯留され、且つ適切な量の前記還流オイルが直接的にメイン貯留室131内に還流することで、極低温始動時のメイン貯留室131内のオイル不足が防止されつつ、当該メイン貯留室131内のオイルの昇温による暖機運転が充分に促進されるように、還流オイル案内堰141c、水平仕切板162a、還流オイル誘導堰162b、オイルレベルゲージ貫通孔162c、オイルレベルゲージガイド筒162d、空気排出孔162e、及び空気排出孔包囲堰162fが形成されている。
具体的には、本実施形態のオイル貯留装置130は、前記還流オイルのうちの略30〜60%がメイン貯留室131に直接還流し、前記還流オイルのうちの略40〜70%が、還流オイル貯留部133に一旦受容されるように構成されている。
<3.第一の実施形態の装置構成の動作説明>
以下、本実施形態のオイル貯留装置130を備えたエンジン100の動作について、各図面を参照しつつ説明する。
まず図1を参照すると、本実施形態におけるエンジン100が始動されると、クランクシャフト123が回転駆動される。このクランクシャフト123の回転によって、図示しないオイルポンプが作動する。このオイルポンプの作動により、メイン貯留室131の底部に配置されたオイルストレーナー126の吸込口126aを介して、当該メイン貯留室131の底部からオイルが吸い出される。そして、このオイルは、ピストン122やクランクシャフト123等の被潤滑部材に供給される。
ピストン122やクランクシャフト123等の被潤滑部材に供給されたオイルは、当該被潤滑部材にて潤滑作用を奏するとともに、当該被潤滑部材から摩擦熱等の熱を吸収する。その後、当該オイルは、重力の作用で、オイル貯留装置130に向かって還流する。
この還流オイルの一部は、オイルパンセパレーター側板161bの上端によって形成された開口部を介して、直接的にメイン貯留室131に還流する。この直接的にメイン貯留室131に還流するオイルは、シリンダブロック120の内壁面を伝って、あるいは、シリンダブロック120の内側の空間を自由落下して、前記開口部から直接的にメイン貯留室131に流入する。
図1及び図2を参照すると、一方、前記還流オイルのうちの、直接的にメイン貯留室131に還流した一部を除く残部は、スロープ部141bや還流オイルセパレーター162に一旦受け止められる。スロープ部141bによって受け止められた前記還流オイルは、当該スロープ部141bの上面の傾斜により、第一オイルパン開口部141aに向かって流動する。
ここで、本実施形態の構成においては、スロープ部141bによって受け止められた前記還流オイルの一部が、還流オイル案内堰141cによって、還流オイル誘導堰162bに向かって案内される。この還流オイル案内堰141cによって案内されてきた前記還流オイルは、さらに、還流オイル誘導堰162bによって、第二サーモスタット固定凹部162a1に誘導される。そして、この還流オイル誘導堰162bによって誘導されたオイルは、還流オイル貯留部133における第二サーモスタット弁装置166の近傍の位置にて貯留される。
なお、還流オイルセパレーター162上の前記還流オイルのうちの一部は、オイルパンセパレーター側板161bの上端によって形成された開口部を介して、メイン貯留室131に還流する。
また、スロープ部141b及び還流オイルセパレーター162によって受け止められた前記還流オイルの一部は、空気排出孔162eに向かって流動する。もっとも、この空気排出孔162eの周囲を囲む空気排出孔包囲堰162fによって、前記還流オイルの空気排出孔162eへの流入(リザーバー室132への流入)が抑制される。
<3−1.暖機運転中>
ここで、暖機運転中においては、メイン貯留室131内のオイルの温度が、第一サーモスタット弁装置163における上述の開弁温度よりも低温である。
この場合、図3(A)を参照すると、ワックス163aが収縮状態となる。すると、コイルスプリング163hの弾性力によって連通路開閉弁163b1が図中左方に付勢されることで、ワックス163aの封入されている空洞部内にロッド163cが押し込まれた状態となる。これにより、リザーバー室側カバー163gと連通路開閉弁163b1とが当接する。このようにして、メイン貯留室131とリザーバー室132との間の前記オイル連通路を構成する第一サーモスタット弁装置163が閉弁状態となる。
再び図1を参照すると、メイン貯留室131内のオイルレベルが極端に下がっていない場合、フロート弁164はメイン貯留室131内のオイル中で浮力により上昇している。したがって、当該フロート弁164の弁体164a(ドレイン孔対向面164a1)によってドレイン孔161dが閉塞されている。
このように、暖機運転中においては、第一サーモスタット弁装置163及びフロート弁164の閉弁によって、リザーバー室132内(の底部)の低温のオイルのメイン貯留室131の底部への流入が抑制される。これにより、シリンダヘッド110やシリンダブロック120に供給され得るオイルの量、すなわち、シリンダヘッド110やシリンダブロック120とオイル貯留装置130との間で循環するオイルの量が、メイン貯留室131内に貯留されている量に制限される。そして、このオイル供給・循環量の制限と、前記還流オイルの流入によるメイン貯留室131内のオイルの昇温により、暖機運転の進行が促進される。
また、暖機運転中においては、還流オイル貯留部133には、前記還流オイルが少量しか貯留されておらず、その温度も比較的低温である。よって、第二サーモスタット弁装置166も閉弁状態となる。さらに、還流オイル貯留部133によって受け止められた前記還流オイルの、リザーバー室132内への流入は、オイルレベルゲージ貫通孔162cを覆う背の高いオイルレベルゲージガイド筒162d、及び空気排出孔162eを取り囲む空気排出孔包囲堰162fによって制限される。ただし、還流オイルセパレーター162上の前記還流オイルのうちの一部は、上述の通り、オイルパンセパレーター側板161bの上端によって形成された開口部を介して、メイン貯留室131に還流する。
上述のような、リザーバー室132内への前記還流オイルの流入の制限と、リザーバー室132からメイン貯留室131へのオイルの流入の制限とによって、暖機運転中に、メイン貯留室131とリザーバー室132との間でオイルレベルの差が生じる。
さらに、第二サーモスタット弁装置166の閉弁と、還流オイル案内堰141c及び還流オイル誘導堰162bによる第二サーモスタット弁装置166の近傍への前記還流オイルの誘導によって、還流オイル貯留部133における前記還流オイルの貯留量が次第に増加する。
<3−2.暖機運転終了>
第一サーモスタット弁装置163の近傍の、メイン貯留室131内のオイルの温度が、前記開弁温度に達すると、暖機運転が終了する。すなわち、メイン貯留室131とリザーバー室132との間の前記オイル連通路を構成する第一サーモスタット弁装置163が開弁する。
具体的には、図3(B)に示されているように、第一サーモスタット弁装置163の近傍のオイルの前記開弁温度に達する昇温により、ワックス163aが溶融される。このワックス163aの溶融により、当該ワックス163aの体積が膨張し、ワックス163aの封入されている空洞部内からロッド163cの前記一端が押し出される。すると、弁体163bが、コイルスプリング163hの押圧力に抗してメイン貯留室131側に押し出される。これにより、リザーバー室側カバー163gと連通路開閉弁163b1との間に隙間が生じる。この隙間の形成により、メイン貯留室側開口部163d1とリザーバー室側開口部163g1との間で、筐体163dの内部を通る前記オイル連通路が形成される。
再び図1を参照すると、第一サーモスタット弁装置163の開弁によって、メイン貯留室131とリザーバー室132との間の前記オイル連通路が開通すると、上述のオイルレベルの差に伴う差圧によって、リザーバー室132内のオイルがメイン貯留室131の底部に確実に流入する。なお、本実施形態の第一サーモスタット弁装置163においては、温度上昇に応じて開弁率が高くなる。これにより、前記オイル連通路におけるオイルの交流状態がオイルの温度に応じて変化する。
その後、第二サーモスタット弁装置166が開弁する。これにより、還流オイル貯留部133に貯留された前記還流オイルが、重力の作用で勢いよくリザーバー室132の上部に流入する。このリザーバー室132の上部への前記還流オイルの流入により、メイン貯留室131とリザーバー室132とのオイルレベルの差が瞬間的に生じ、リザーバー室132内のオイルがメイン貯留室131の底部に流入する。
<3−3.メイン貯留室内のオイルレベルの急激な低下時>
エンジン100の運転中に、何らかの理由で、メイン貯留室131内のオイルレベルが急激に低下する場合が生じ得る。
例えば、極低温環境下における冷間始動時において、始動時点のオイル貯留量がオイルレベル「L」近辺であった場合、始動直後にメイン貯留室131内のオイルが大量に吸い出される。一方、低温で高粘度のオイルは、なかなかメイン貯留室131に還流して来ない。
このような場合、メイン貯留室131内のオイルレベルが、フロート弁164の前記フロート下降開始レベルよりも低くなることがあり得る。このとき、図4(B)に示されているように、フロート弁164が下降し、ドレイン孔161dが開放される。このドレイン孔161dの開放により、メイン貯留室131の底部とリザーバー室132の底部とが、当該ドレイン孔161dを介して連通する。
再び図1を参照すると、ドレイン孔161dは、上述の通り、オイルストレーナー126における吸込口126aの近傍に形成されている。よって、当該吸込口126aにて生じている負圧の影響が、ドレイン孔161dに充分に及ぶ。これにより、リザーバー室132の底部のオイルが、ドレイン孔161dを介して、メイン貯留室131の底部に流入し、オイルストレーナー126の吸込口126aに供給される。
その後、比較的多量の前記還流オイルが、オイル貯留装置130に還流して来る。この場合、暖機運転中は、前記還流オイルの温度は比較的低温であるので、第二サーモスタット弁装置166は閉弁状態にある。また、オイルレベルゲージガイド筒162d及び空気排出孔包囲堰162fによって、前記還流オイルのリザーバー室132への流入が制限されている。
よって、前記還流オイルの大部分は、還流オイル貯留部133から溢れ出して、メイン貯留室131内に還流する。これにより、メイン貯留室131内のオイルレベルが、フロート弁164の前記フロート下降開始レベルよりも高くなり、図4(A)に示されているように、フロート弁164が前記上昇位置まで上昇する。なお、前記還流オイルの一部は、空気排出孔162eを介して、リザーバー室132に若干量流入し得る。
特に、前記還流オイルが大量にオイル貯留装置130に還流して来ることで、メイン貯留室131内のオイルレベルが、リザーバー室132よりも高くなることがあり得る。このような大量の前記還流オイルのメイン貯留室131への還流によって、メイン貯留室131内のオイルレベルがリザーバー室132よりも高くなるようなオイルレベルの差が生じた場合、注油弁165が開弁される(図5(B)参照)。
すなわち、メイン貯留室131とリザーバー室132とのオイルレベルの差によって生じた差圧により、注油孔閉塞弁体165a(図5参照)が押し上げられることで、注油孔161fが開放される。これにより、注油孔161fを介して、メイン貯留室131からリザーバー室132へオイルが流出する。
この場合、前記還流オイルのメイン貯留室131の上部への集中的な還流によって生じた、メイン貯留室131とリザーバー室132との差圧により、メイン貯留室131の底部の比較的低温のオイルが、優先的に、注油孔161fを介してリザーバー室132へ流出する。すなわち、メイン貯留室131内の比較的低温のオイルがリザーバー室132へ流出し、比較的高温の前記還流オイルが優先的にメイン貯留室131に残留する。
また、リザーバー室132へ流出したオイルも、極低温始動当初よりリザーバー室132に貯留されているオイルよりも比較的高温である。よって、注油孔161fを介してリザーバー室132に流入したオイルにより、リザーバー室132内のオイルの温度も若干上昇する。
このように、前記還流オイルのメイン貯留室131への集中的な還流によって、注油孔161fを介してのオイルの循環が生じることで、暖機運転の進行がさらに促進され得る。
その後、メイン貯留室131とリザーバー室132との間で、オイルレベルがある程度平均化された時点で、注油弁165が閉弁される(図5(A)参照)。
<3−4.オイル排出時>
再び図1を参照すると、ドレインボルト155が取り外されて、ドレインボルト孔154が開放されると、リザーバー室132内のオイルが、ドレインボルト孔154を介して外部に排出される。これにより、リザーバー室132内のオイルレベルが低下する。
ここで、多くの場合、オイル交換作業は、エンジン停止後しばらくしてから行われる。よって、このオイル交換作業におけるオイル排出時には、第一サーモスタット弁装置163は閉弁状態となっている。また、メイン貯留室131内には多量のオイルが残留している。よって、フロート弁164が前記上昇位置にあり、オイルパンセパレーター161におけるドレイン孔161dは閉塞されている。
したがって、オイル排出の初期においては、ドレイン孔161d及び第一サーモスタット弁装置163を介しての、メイン貯留室131とリザーバー室132との連通が、実質的に遮断されている。これにより、オイルの排出によるリザーバー室132内のオイルレベルの低下に伴って、メイン貯留室131とリザーバー室132との間で、メイン貯留室131の方が高くなるようなオイルレベルの差が、わずかに且つ瞬間的に生じる。
このようなオイルレベルの差が生じた場合、メイン貯留室131とリザーバー室132との差圧が生じる。この差圧によって、図5(B)に示されているように、注油孔閉塞弁体165aが押し上げられる。これにより、注油孔161fが開放され、当該注油孔161fを介してメイン貯留室131からリザーバー室132へオイルが排出される。
このようにして、オイル排出の初期から、メイン貯留室131とリザーバー室132とのオイルレベルの調整が行われつつ、メイン貯留室131及びリザーバー室132からオイルが速やかに外部に排出される。
メイン貯留室131内のオイルレベルが下がって、前記フロート下降開始レベルよりも下になると、フロート弁164が下降する。あるいは、リザーバー室132内のオイルが急速に排出されて、メイン貯留室131とリザーバー室132とで大きなオイルレベルの差が生じると、フロート弁164が下降する。これにより、ドレイン孔161dが開放され、ドレイン孔161dを介して、メイン貯留室131からリザーバー室132へオイルが排出される。
<3−5.オイル注入時>
オイル貯留装置130内のすべてのオイルが、ドレインボルト孔154を介して外部に排出された後、当該ドレインボルト孔154にドレインボルト155が捩じ込まれることで、ドレインボルト孔154が閉塞される。この状態で、新鮮なオイルが、オイル貯留装置130の上方から注入される。この新鮮なオイルは、まずメイン貯留室131内に集中的に流入する。
もっとも、オイル注入の初期においては、フロート弁164が下降していて、ドレイン孔161dが開放されている。よって、メイン貯留室131に注入されたオイルは、ドレイン孔161dを介して、リザーバー室132にも流入する。このように、オイル注入の初期においては、メイン貯留室131及びリザーバー室132の双方に新鮮なオイルが注入される。
メイン貯留室131内のオイルレベルが、フロート弁164の前記フロート下降開始レベルよりも高くなると、ドレイン孔161dがフロート弁164によって閉塞される。この場合、新鮮な注入オイルは、メイン貯留室131内に集中的に注入されることになる。
もっとも、メイン貯留室131内のオイルレベルが、平坦部161eよりも高くなると、メイン貯留室131内のオイルによって、注油弁165が押し上げられる。すなわち、図1及び図5を参照すると、注油孔閉塞弁体165aが押し上げられことで、注油孔161fが開放される。これにより、メイン貯留室131内に注入されたオイルが、当該注油孔161fを介してリザーバー室132にも注入される。
この注油孔閉塞弁体165aを構成する材質の比重は、オイルよりも若干高いだけである。よって、メイン貯留室131へのオイルの注入が継続している間は、注油孔161fを通って上方に向けて流れるオイルの勢いによって、注油孔閉塞弁体165aは浮上した状態が維持される。
そして、メイン貯留室131へのオイルの注入が終了すると、注油孔閉塞弁体165aが自重により下降することで、注油孔161fが閉塞される。
<4.第一の実施形態の装置構成による作用・効果>
・図1及び図2を参照すると、本実施形態の構成においては、前記還流オイルを一旦受け止め得るようにシリンダブロック120と対向して配置されたスロープ部141bに、還流オイル案内堰141cが設けられている。また、第二サーモスタット弁装置166に向けて前記還流オイルを誘導し得るように構成された還流オイル誘導堰162bが、還流オイルセパレーター162から上方に突出するように設けられている。そして、前記エンジン幅方向から透視した場合に、還流オイル誘導堰162bの長手方向における一端部と、還流オイル案内堰141cの長手方向における一端部とが重なるように、還流オイル誘導堰162b及び還流オイル案内堰141cが構成及び配置されている。
したがって、本実施形態の構成によれば、暖機運転中にオイル貯留装置130に還流して来た前記還流オイルが、還流オイル案内堰141c及び還流オイル誘導堰162bによって、第二サーモスタット固定凹部162a1に向けて良好に誘導される。これにより、暖機運転終了の際にリザーバー室132からメイン貯留室131へのオイルの流入が良好に促進され得る程度に、暖機運転中における第二サーモスタット弁装置166の近傍の前記還流オイルの貯留量が充分に確保され得る。
このように、本実施形態の構成によれば、暖機運転の進行の促進という、2槽式オイルパン構造の効果を減殺させることなく、リザーバー室132とメイン貯留室131との間のオイルの交流を盛んに行わせることができる。すなわち、暖機運転終了後において、オイル貯留装置130の内部に貯留されているオイルが、可及的に偏りなく使用される。これにより、メイン貯留室131内の限られた量のオイルのみが集中的に使用されて早期にオイルが劣化するという従来技術の問題点が解決され、当該オイルの耐久性の悪化が抑制され得る。
・図2、及び図6を参照すると、本実施形態の構成においては、オイルレベルゲージガイド筒162dが、還流オイル誘導堰162bよりも高く形成されている。また、空気排出孔包囲堰162fが、空気排出孔162eの周囲を囲むように形成されている。
よって、オイルレベルゲージ貫通孔162c及び空気排出孔162eを介しての、還流オイル貯留部133に貯留されている前記還流オイルの、リザーバー室132への流出が、効果的に抑制される。特に、エンジン100を搭載した車両の旋回時・登降坂時・加減速時に油面の変動が生じた場合であっても、還流オイル貯留部133からリザーバー室132への前記還流オイルの流出が抑制される。一方、オイルレベルゲージガイド筒162d及び空気排出孔包囲堰162fによっては、前記還流オイルのメイン貯留室131(図1参照)への流入は阻害されない。
したがって、本実施形態の構成によれば、暖機運転中における第二サーモスタット弁装置166の近傍の前記還流オイルの貯留量が、より確実に確保され得る。
・図6を参照すると、本実施形態の構成においては、オイルレベルゲージガイド筒162dの下端部が、水平仕切板162aと継ぎ目なく一体に成形されている。よって、オイルレベルゲージガイド筒162dと還流オイルセパレーター162の本体部分をなす水平仕切板162aとの接合箇所におけるシール性がより向上する。また、オイルレベルゲージガイド筒162dを備えた還流オイルセパレーター162が、より低コストで形成され得る。
・図1及び図6を参照すると、本実施形態の構成においては、オイルレベルゲージ貫通孔162cが、リザーバー室132の最高位置に形成されている。よって、オイル交換作業の際の、リザーバー室132の上端部からの空気抜きが、より良好に行われ得る。
・図2を参照すると、本実施形態の構成においては、還流オイル案内堰141cと還流オイル誘導堰162bとの間に隙間が形成されている。よって、適切に前記還流オイルが分配され得る。
・図1を参照すると、本実施形態の装置構成おいては、第一サーモスタット弁装置163が第二サーモスタット弁装置166よりも先に開弁される。これにより、リザーバー室132内に貯留されていたオイルが、メイン貯留室131に対して、より早期に供給され得る。したがって、メイン貯留室131内のオイルレベルの極端な低下が可及的に抑制され得る。すなわち、シリンダヘッド110やシリンダブロック120へのオイルの供給量の不足の発生が、可及的に抑制され得る。
・図1を参照すると、本実施形態の装置構成においては、第一サーモスタット弁装置163が、還流オイル貯留部133とリザーバー室132との連通部である第二サーモスタット弁装置166と、前記エンジン幅方向における対角位置(最も離れた位置)に配置されている。
これにより、第一サーモスタット弁装置163と対角位置にて生じたリザーバー室132における一時的なオイルレベルの上昇によって、当該第一サーモスタット弁装置163近傍のリザーバー室132内のオイルが、当該第一サーモスタット弁装置163を介してメイン貯留室131内に流入する。よって、オイル貯留装置130内のオイルの循環が盛んに行われ得る。したがって、オイルの耐久性の悪化がよりいっそう抑制され得る。
・図1、図3、及び図6を参照すると、本実施形態においては、メイン貯留室131とリザーバー室132との間の前記オイル連通路が、第一サーモスタット弁装置163によって構成されている。また、還流オイル貯留部133からリザーバー室132への前記還流オイルの流入の可否を制御するために、上述の第一サーモスタット弁装置163と同様の構成を有する第二サーモスタット弁装置166によって構成されている。
よって、本実施形態によれば、エンジン100の運転状態に基づくオイルの温度それ自体によって、第一サーモスタット弁装置163及び第二サーモスタット弁装置166の開閉状態が設定される。したがって、極めて簡略な装置構成に基づいて、エンジン100内の良好な潤滑状態が実現され得る。
・図1及び図4を参照すると、本実施形態においては、フロート弁164が備えられている。これにより、エンジン100の運転中に、何らかの理由で、メイン貯留室131内のオイルレベルが急激に低下した場合に、ドレイン孔161dが開放される。よって、エンジン100の運転中におけるシリンダヘッド110やシリンダブロック120へのオイル供給量の不足の発生が可及的に抑制され得る。また、オイル交換の際の作業性が向上する。
・図1及び図5を参照すると、本実施形態においては、注油弁165が備えられている。これにより、オイル交換の際の作業性が向上する。特に、オイル注入の際に、メイン貯留室131とリザーバー室132との間のオイルレベル調整が適切に行われ得る。
<5.いくつかの変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の実施形態等を単に例示したものにすぎないのであって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。よって、当然に、上述の実施形態に示された構成に対しては、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、さらに種々の変形が施され得る。
以下、先願主義の下で本願の出願の際に追記し得る程度で、変形例について幾つか例示する。もっとも、変形例とて、下記のものに限定されるものではないことはいうまでもない。本願発明を、上述の実施形態や下記変形例の記載に基づいて限定解釈することは、先願主義の下で出願を急ぐ出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
また、下記の各変形例は、技術的に矛盾しない範囲において、適宜複合して適用され得ることは、いうまでもない。
(i)本発明は、上述の実施形態にて開示されたエンジンの他、例えば、自動変速機等、オイルパンを備えた各種の装置にも適用可能である。
(ii)第一サーモスタット弁装置163と第二サーモスタット弁装置166とは、どちらが先に開弁するようにしてもよいし、同時に開弁するようにしてもよい。
(iii)第一サーモスタット弁装置163及び/又は第二サーモスタット弁装置166における感温変形部(図3におけるワックス163a)を強制的に加温するためのヒータが設けられていてもよい。かかるヒータの発熱動作は、エンジンコントロールコンピュータ(ECU)によって制御され得る。
あるいは、第一サーモスタット弁装置163及び/又は第二サーモスタット弁装置166に代えて、電磁弁、油圧作動弁、空気圧作動弁等、ECUによって開閉や開度を制御可能な構造の弁装置が用いられ得る。
これにより、エンジン100の運転状態に応じた、第一サーモスタット弁装置163及び/又は第二サーモスタット弁装置166の、よりきめの細かい動作制御が可能になる。
(iv)フロート弁164及び注油弁165の構成や配置も、上述の実施形態で開示されているものに限定されない。あるいは、フロート弁164及び/又は注油弁165は、省略され得る。
(v)その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の範囲内に含まれることは当然である。
例えば、上述の各実施形態の説明において、一体に形成されていた構成要素は、継ぎ目なく一体成形されていてもよいし、複数の別体のパーツを接着・溶着・ネジ止め等により接合することによって形成されていてもよいことは当然である。
具体的には、例えば、第一オイルパン140と第二オイルパン150とが、一体に構成されていてもよい。あるいは、第一オイルパン140は、いわゆるロワーケースとして、シリンダブロック120と一体に形成されていてもよい。
また、還流オイル案内堰141cと還流オイル誘導堰162bとが一体に形成されていてもよい。
また、オイルパンセパレーター161と、還流オイルセパレーター162とが、別部材として独立に構成されていて、接着やネジ止め等によって接続されていてもよい。
(vi)また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態・実施例や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能な、いかなる構造をも含む。
本発明の一実施形態のオイル貯留装置を備えた多気筒エンジンの一部を切り欠いてエンジン長手方向(気筒配列方向)に沿った方向から見た場合の断面図である。 図1に示されている本実施形態のオイル貯留装置を斜め上方から見た場合の斜視図である。 図2に示されている第一サーモスタット弁装置を拡大した側断面図である。ここで、図3(A)は、低温時における閉弁状態を示し、図3(B)は、高温時における開弁状態を示している。 図1に示されているフロート弁の周辺を拡大した側断面図である。ここで、図4(A)は、フロート弁が上昇した状態を示し、図4(B)は、フロート弁が下降した状態を示している。 図1に示されている注油弁の周辺を拡大した断面図である。ここで、図5(A)は、注油弁が下降した状態を示し、図5(B)は、注油弁が上昇した状態を示している。 図1に示されている水平仕切板を拡大した断面図である。
符号の説明
100…エンジン、 110…シリンダヘッド、
120…シリンダブロック、 126…オイルストレーナー、
130…オイル貯留装置、 131…メイン貯留室、
132…リザーバー室、 133…還流オイル貯留部、
140…第一オイルパン、 141b…スロープ部、
141c…還流オイル案内堰、 150…第二オイルパン、
160…インナープレート、 161…オイルパンセパレーター、
162…還流オイルセパレーター、 162a…水平仕切板、
162a1…第二サーモスタット固定凹部、162b…還流オイル誘導堰、
162c…オイルレベルゲージ貫通孔、 162c1…空気排出ガイド面、
162d…オイルレベルゲージガイド筒、 163…第一サーモスタット弁装置、
163a…ワックス、 163b…弁体、
166…第二サーモスタット弁装置、 171…オイルレベルゲージ

Claims (7)

  1. 被潤滑機構の潤滑のためのオイルを貯留し得るように構成されたオイル貯留装置において、
    前記オイルを内側の空間内にて貯留可能なオイルパンと、
    前記オイルパンの内側の前記空間を、前記被潤滑機構に向けて開口するメイン貯留室と当該メイン貯留室に隣接するリザーバー室とに分割するように、当該空間内に配置されたオイルパンセパレーターと、
    前記リザーブオイルセパレーターに設けられていて、前記被潤滑機構における運転状態に応じて開弁されることで、前記リザーバー室から前記メイン貯留室の底部への前記オイルの流入を許可し得るように構成された第一制御弁と、
    前記被潤滑機構から前記オイルパンに向けて還流して来る還流オイルのうちの前記メイン貯留室に直接還流する部分以外の残部を貯留するための還流オイル貯留部を、前記リザーバー室の上方に形成し得るように構成された還流オイルセパレーターと、
    前記還流オイルセパレーターに設けられていて、前記被潤滑機構における運転状態に応じて開弁されることで、前記還流オイル貯留部から前記リザーバー室への前記オイルの流入を許可し得るように構成された第二制御弁と、
    前記第二制御弁に向けて前記還流オイルを誘導し得るように構成された還流オイル誘導部と、
    を備えたことを特徴とするオイル貯留装置。
  2. 請求項1に記載のオイル貯留装置であって、
    前記還流オイル誘導部は、前記還流オイルセパレーターから上方に延びるように設けられた還流オイル誘導堰からなることを特徴とするオイル貯留装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のオイル貯留装置であって、
    前記オイルパンは、
    前記メイン貯留室及び前記リザーバー室が形成される前記空間を囲むように構成されたオイル収容部と、
    前記被潤滑機構と対向するように配置されていて、前記還流オイルを受け止めて前記オイル収容部に流入させ得るように形成されたスロープ部と、
    を備え、
    前記スロープ部によって受け止められた前記還流オイルを前記還流オイル誘導部に向けて案内し得るように構成された還流オイル案内部が、当該スロープ部に形成されていて、
    前記還流オイル誘導部は、前記還流オイル案内部を備えたことを特徴とするオイル貯留装置。
  4. 請求項3に記載のオイル貯留装置であって、
    前記還流オイル案内部は、前記スロープ部から上方に延びるように設けられた還流オイル案内堰からなることを特徴とするオイル貯留装置。
  5. 請求項4に記載のオイル貯留装置であって、
    鉛直方向及び前記還流オイル誘導堰の長手方向と直交する方向から透視した場合に、前記還流オイル案内堰の長手方向における一端部と、前記還流オイル誘導堰の前記長手方向における一端部とが重なるように、前記還流オイル誘導堰及び前記還流オイル案内堰が配置されていることを特徴とするオイル貯留装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のオイル貯留装置において、
    棒状部材からなるオイルレベルゲージを収容することで当該オイルレベルゲージの着脱をガイドし得るように構成された、筒状部材からなるオイルレベルゲージガイド筒をさらに備え、
    前記還流オイルセパレーターには、前記オイルレベルゲージが挿入されるオイルレベルゲージ挿入用貫通孔が形成されていて、
    前記オイルレベルゲージガイド筒の下端部は、前記還流オイルセパレーターにおける前記オイルレベルゲージ挿入用貫通孔の周囲の部分と液密的に接続されていることを特徴とするオイル貯留装置。
  7. 請求項6に記載のオイル貯留装置であって、
    前記オイルレベルゲージガイド筒の高さが、前記還流オイル誘導部の高さよりも高くなるように、当該オイルレベルゲージガイド筒が構成されていることを特徴とするオイル貯留装置。
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