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JP2007210544A - 伝達比可変装置 - Google Patents

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JP2007210544A
JP2007210544A JP2006034807A JP2006034807A JP2007210544A JP 2007210544 A JP2007210544 A JP 2007210544A JP 2006034807 A JP2006034807 A JP 2006034807A JP 2006034807 A JP2006034807 A JP 2006034807A JP 2007210544 A JP2007210544 A JP 2007210544A
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transmission ratio
ratio variable
shaft
variable device
hydraulic oil
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JP2006034807A
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Toshio Kakuzen
敏男 覚前
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JTEKT Corp
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Abstract

【課題】油圧バルブ装置に油漏れが発生した場合においてもロック装置のトルクリミッタ機能を安定的に維持することができる伝達比可変装置を提供すること。
【解決手段】作動油流入防止部材50は、中央部に貫通孔51を有する略円盤状に形成され、その外径Rはロックホルダ23の外径r1よりも大きく設定される。そして、その貫通孔51がモータシャフト15に圧入されることにより、ロックホルダ23よりも油圧バルブ装置側に固定される。
【選択図】図3

Description

本発明は、伝達比可変装置に関するものである。
従来、差動機構を用いてステアリング操作に基づく入力軸の回転にモータ駆動に基づく回転を上乗せして出力軸に伝達する伝達比可変装置がある(例えば、特許文献1参照)。そして、こうした伝達比可変装置には、IGオフ時或いは異常発生時に入力軸と出力軸との間の自由回転を防止すべく、モータ軸に設けられたロックホルダを拘束することによりその回転を規制するロック装置を備えたものがある(例えば、特許文献2参照)。
図7に示すように、上記のようなロック装置90において、モータ軸91とロックホルダ92との間には、トルクリミットリング93が介在される。図8に示すように、トルクリミットリング93は、長尺状の金属板を略環状に湾曲させることにより形成され、径方向内側に押し縮められるように同ロックホルダ92とともにモータ軸91に嵌合される。そして、その内周面93aとモータ軸91との摩擦抵抗に基づいてモータ軸91とロックホルダ92との相対回転を規制するとともに、一定以上のトルク入力がある場合には、その内周面93aが滑り面となることにより上記相対回転を許容する、即ちトルクリミッタとしての機能を果たすように構成されている。
特開2004−175336号公報 特開2003−320943号公報
ところで、通常、トルクリミットリング93の内周には、その摩擦抵抗の安定化を図るべく潤滑剤(グリス)Xが塗布されている。そして、トルクリミットリング93の周面に膨出形成された凸状部(ウェーブ)94の内側がこうした潤滑剤Xの「油溜り」となることで、その安定的な潤滑作用が維持されるようになっている。
しかしながら、上記特許文献1(第8図)に示される伝達比可変装置のように、油圧式パワーステアリング装置に組み込まれ、入力軸が油圧バルブ装置を介してステアリングシャフトに連結される、即ち油圧バルブ装置の下方に配置される構成では、同油圧バルブ装置に油漏れが発生した場合には、その漏出した作動油(フルード)が伝達比可変装置側に流出することになる。このため、こうした作動油がロック装置に付着した場合、モータ軸を伝わって下方へと流れ落ちる際にトルクリミットリングの内周に塗布された潤滑剤を流し落とすおそれがあり、これに起因する潤滑不良によりモータ軸とロックホルダとの相対回転トルクを安定的に維持できなくなるという問題がある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、油圧バルブ装置に油漏れが発生した場合においてもロック装置のトルクリミッタ機能を安定的に維持することができる伝達比可変装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ステアリング操作に基づく入力軸の回転にモータ駆動に基づく回転を上乗せして出力軸に伝達する差動機構と、モータ軸に設けられたロックホルダを拘束することにより前記モータ軸の回転を規制するロック装置とを備え、前記モータ軸は前記入力軸と同軸に配置され、前記モータ軸とロックホルダとの間には、摩擦抵抗に基づいて前記モータ軸とロックホルダとの相対回転を規制し及び許容するトルクリミットリングが介在されるとともに、前記入力軸は油圧バルブ装置を介してステアリングシャフトに連結される伝達比可変装置であって、前記油圧バルブ装置と前記ロックホルダとの間の前記モータ軸又は前記入力軸に前記トルクリミットリングよりも大径に形成された作動油流入防止部材を設けたこと、を要旨とする。
上記構成によれば、油圧バルブ装置から漏出した作動油は、作動油流入防止部材の上面を伝わってその周縁から下方に流れ落ちる。これにより、作動油が、モータ軸を伝わって、及び直接的に、トルクリミットリングの配置されたロックホルダとの間の固定部に流入することを防止することができる。その結果、漏出した作動油によりトルクリミットリング内周から潤滑剤が流出することを防止して、その相対回転トルクを安定的に維持することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、前記作動油流入防止部材は、前記ロックホルダよりも大径に形成されること、を要旨とする。
請求項3に記載の発明は、前記ロックホルダの上面周縁には、前記作動油流入防止部材の外径に対応する凹部が形成されること、を要旨とする。
上記各構成によれば、作動油がロックホルダの上面を伝わって固定部に流入する経路をも遮断することができる。
請求項4に記載の発明は、前記作動油流入防止部材は、該作動油流入防止部材下面への作動油の回り込みを抑制する回り込み抑制手段を備えること、を要旨とする。
請求項5に記載の発明は、前記回り込み抑制手段は、前記作動油流入防止部材の周縁に設けられ軸方向下側に突出する突部であること、を要旨とする。
上記請求項4の構成によれば、作動油が作動油流入防止部材の下面に回り込んでロックホルダの上面に滴下、或いはモータ軸に伝わることを防止することができる。そして、これは、上記請求項5の構成により、作動油が突部を伝わって軸方向下側に流れ落ちるように構成することで、容易に具現化することができる。
請求項6に記載の発明は、前記突部は、前記ロックホルダの上面よりも下方まで延設されること、を要旨とする。
上記構成によれば、突部から流れ落ちた作動油がロックホルダの上面に飛散することを防止することができる。
請求項7に記載の発明は、前記作動油流入防止部材は、前記突部に前記作動油を誘導する誘導手段を備えること、を要旨とする。
上記構成によれば、より効果的に作動油流入防止部材下面への作動油の回り込みを抑制することができる。
請求項8に記載の発明は、ステアリング操作に基づく入力軸の回転にモータ駆動に基づく回転を上乗せして出力軸に伝達する差動機構と、モータ軸に設けられたロックホルダを拘束することにより前記モータ軸の回転を規制するロック装置とを備え、前記モータ軸は前記入力軸と同軸に配置され、前記モータ軸とロックホルダとの間には、摩擦抵抗に基づいて前記モータ軸とロックホルダとの相対回転を規制し及び許容するトルクリミットリングが介在されるとともに、前記入力軸は油圧バルブ装置を介してステアリングシャフトに連結される伝達比可変装置であって、潤滑剤を貯留する貯留部材を設け、前記トルクリミットリングを前記貯留された潤滑剤に浸漬したこと、を要旨とする。
上記構成によれば、油圧バルブ装置から漏出した作動油が固定部に流入した場合においても、同作動油によって潤滑剤が流し落とされることはない。これにより、潤滑不良の発生を防止してその相対回転トルクを安定的に維持することができる。
本発明によれば、油圧バルブ装置に油漏れが発生した場合においてもロック装置のトルクリミッタ機能を安定的に維持することの可能な伝達比可変装置を提供することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の伝達比可変装置1は、ラックアンドピニオン機構2、及び油圧式のパワーステアリング装置3を構成する油圧バルブ装置4とともにステアリングギヤボックス5内に収容されたステアリングギヤ一体型の伝達比可変装置である。
詳述すると、ステアリングギヤボックス5は、ラックアンドピニオン機構2を収容するロアハウジング6、伝達比可変装置1を収容するミドルハウジング7、及び油圧バルブ装置4の一部を構成するアッパハウジング8とからなり、ミドルハウジング7及びアッパハウジング8は、略円筒状に形成されている。そして、ミドルハウジング7の一端は、ロアハウジング6の上方(同図中上側)に固定され、その他端には、該ミドルハウジング7と同軸になるようにアッパハウジング8が固定されている。
ロアハウジング6内において、ラックアンドピニオン機構2を構成するピニオンシャフト9は、その一端がミドルハウジング7内に突出する態様で回転自在に支承されており、ラックシャフト10は、ピニオンシャフト9と鎖交する態様ですべり軸受(図示略)により軸方向に摺動可能に支持されている。そして、ラックシャフト10は、ラックガイド11に押圧されることにより、ピニオンシャフト9と噛合されている。
伝達比可変装置1は、入力軸としてのミドルシャフト12と、駆動源であるモータ13と、ミドルシャフト12の回転にモータ駆動に基づく回転を上乗せして出力軸となるピニオンシャフト9に伝達する差動機構としての波動歯車装置14とを備えている。
モータ13には、中空状のモータシャフト15を有するブラシレスモータが採用されており、同モータシャフト15は、ミドルハウジング7の内周に設けられたステータ16の内側において回転自在に支承されている。また、波動歯車装置14は、同軸に並置された一対のサーキュラスプライン17,18と、これら各スプラインに噛合されたフレクスプライン19と、同フレクスプライン19の内側においてその噛合部を回転させる波動発生器20とを有しており、同波動歯車装置14は、モータ13よりもロアハウジング6側(同図中下側)に配置されている。そして、ミドルシャフト12は、波動発生器20に連結されたモータシャフト15に挿通されることにより連結部材21aを介してロアハウジング6側のサーキュラスプライン17に連結され、モータ13側のサーキュラスプライン18は、連結部材21bを介してピニオンシャフト9に連結されている。
即ち、入力軸を構成するミドルシャフト12の回転は、該ミドルシャフト12に連結されたサーキュラスプライン17からフレクスプライン19を介してサーキュラスプライン18から出力軸を構成するピニオンシャフト9へと伝達される。また、波動発生器20がモータ13に駆動され、上記撓められたフレクスプライン19の略楕円形状、即ち両サーキュラスプライン17,18との噛合部が回転し、その歯数差に基づいて両サーキュラスプライン17,18が相対回転することにより、モータ駆動に基づく回転がピニオンシャフト9へと伝達される。そして、これにより、ステアリング操作に基づくミドルシャフト12の回転にモータ駆動に基づく回転が上乗せされてピニオンシャフト19へと伝達されるようになっている。
また、伝達比可変装置1は、モータシャフト15の回転を規制することにより、入力軸を構成するミドルシャフト12と出力軸を構成するピニオンシャフト9との間の自由回転を防止するロック装置22を備えている。詳述すると、図2に示すように、ロック装置22は、モータシャフト15に設けられ該モータシャフト15とともに一体回転するロックホルダ23と、該ロックホルダ23を拘束可能なロックアーム24と、該ロックアーム24を駆動するソレノイド25とにより構成されている。
ロックホルダ23は、略円環状に形成されており、その外周には、厚み方向(軸方向)に延びる複数の係合溝26が凹設されている。本実施形態では、ロックホルダ23は、トルクリミットリング27(図7参照)を介してモータシャフト15のアッパハウジング8側の端部近傍に嵌合されている。尚、トルクリミットリング27の内周には、その摩擦抵抗の安定化を図るべく潤滑剤(グリス)Xが塗布されている。
一方、ロックアーム24は、ミドルハウジング7側に設けられた支持軸28により、ロックホルダ23の径方向外側において回動可能に軸支されている。ロックアーム24の一端には、ロックホルダ23の外周面に向かって突出する係合爪29が設けられており、その他端には、ソレノイド25のプランジャ25aが連結されている。そして、ロックアーム24は、コイルバネ30の弾性力によって、その係合爪29側の端部がロックホルダ23側に向かって回動するように付勢されている。
即ち、通常時(非ロック時)において、ロックアーム24は、ソレノイド25への通電によって、コイルバネ30の弾性力に抗してその係合爪29がロックホルダ23の径方向外側に配置されるように駆動されている。一方、ロック時には、ソレノイド25への通電が停止されることにより、ロックアーム24は、その係合爪29側の端部がロックホルダ23側に向かって回動、その係合爪29がロックホルダ23側の係合溝26に係合することにより、ロックホルダ23をミドルハウジング7に対して相対回転不能に拘束する。そして、トルクリミットリング27とモータシャフト15との摩擦抵抗に基づいて、モータシャフト15とロックホルダ23との相対回転を規制し、及び所定以上の入力トルクがあった場合には、その相対回転を許容するように構成されている。
また、本実施形態の油圧バルブ装置4は、周知のロータリーバルブ装置であり、アッパハウジング8内には、略円筒状に形成されたスリーブ31及び中空状のアッパシャフト32、並びにトーションバー33が同心状に収容されている。具体的には、スリーブ31の一端(同図中下側、ミドルハウジング7側の端部)は、ミドルシャフト12と連結されており、アッパシャフト32は、その一端がアッパハウジング8の外部に突出した状態で回転自在に軸支されスリーブ31の筒内に収容されている。また、トーションバー33は、アッパシャフト32の筒内に収容されており、その一端はピニオンシャフト9に連結され、他端はアッパシャフト32(の外部側の端部)に連結されている。そして、アッパハウジング8の外部に突出されたアッパシャフト32の外部側の端部には、ステアリング操作に応じて回転するステアリングシャフト34が連結されている。
アッパハウジング8の筒内は、同アッパハウジング8とアッパシャフト32及びミドルシャフト12との間にそれぞれ介在されたシール部材35,36により液密にシールされており、その筒壁には、パワーステアリング装置3の油圧回路37に接続される複数のポートが形成されている。具体的には、第1ポート38a及び第2ポート38bは、それぞれ油圧ポンプ40及びオイルタンク41に接続されており、第3ポート38c及び第4ポート38dは、それぞれラックシャフト10に設けられたパワーシリンダ42の第1及び第2圧力室43,44に接続されている。また、スリーブ31及びアッパシャフト32には、それぞれその筒壁を径方向に貫通する複数の油路45,46が形成されている。そして、これら各油路45,46は、入力トルクに応じたトーションバー33の捻れに基づいてスリーブ31とアッパシャフト32との周方向位置が変化することにより、第1ポート38aと第3ポート38cとの間、及び第1ポート38aと第4ポート38dとの間の流路面積比が変化するように構成されている。
即ち、アッパハウジング8の筒内には、両シール部材35,36によって区画された部分に弁室が形成されており、この弁室内に配置されたスリーブ31及びアッパシャフト32により弁体が形成されている。尚、第1ポート38aから流入した作動油は、第2ポート38bからオイルタンク41を経由して油圧ポンプ40へと還流されるようになっている。そして、各油路45,46は、トーションバー33に捻れがない状態において、第3ポート38c及び第4ポート38dにかかる油圧が均等となるように、また、トーションバー33の捻れに基づきスリーブ31とアッパシャフト32との周方向位置が変化することで、第3ポート38cと第4ポート38dとの間に油圧差が生ずるように構成されている。そして、パワーステアリング装置3は、この第3ポート38cと第4ポート38dとの間の圧力差、即ち第1及び第2圧力室43,44間の圧力差に基づいてパワーシリンダ42がラックシャフト10を軸方向に押圧することにより、操舵系にアシスト力が付与されるように構成されている。
(作動油流入防止構造)
上述のように、本実施形態のような油圧バルブ装置4の下方(図1中下側)に伝達比可変装置1が配置される構成では、同油圧バルブ装置4に油漏れが発生した場、その漏出した作動油は伝達比可変装置1側へと流出する。そして、その作動油がモータシャフト15を伝わり下方へと流れ落ちる際にトルクリミットリング27の内周に塗布された潤滑剤Xを流し落とすおそれがある。
この点を踏まえ、本実施形態の伝達比可変装置1では、油圧バルブ装置4とロックホルダ23との間には、トルクリミットリング27が配設されたモータシャフト15とロックホルダ23との固定部49への作動油の流入を防止する作動油流入防止部材50が設けられている。
図3に示すように、作動油流入防止部材50は、中央部に貫通孔51を有する略円盤状に形成されており、その外径Rはロックホルダ23の外径r1よりも大きく設定されている。そして、その貫通孔51がモータシャフト15に圧入されることにより、同モータシャフト15のアッパハウジング8側の端部において、ロックホルダ23よりも油圧バルブ装置4側(同図中上側)に固定されている。また、作動油流入防止部材50の周縁には、同周縁に沿って環状(筒状)に形成された回り込み抑制手段としての突部52が軸方向下側(同図中下側)に向かって突設されている。そして、この突部52の先端は、ロックホルダ23の上面23aよりも下方まで延設されている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)ロックホルダ23よりも油圧バルブ装置4側のモータシャフト15に作動油流入防止部材50を設けることで、油圧バルブ装置4から漏出した作動油は、作動油流入防止部材50の上面50aを伝わってその周縁から下方に流れ落ちる。これにより、作動油がモータシャフト15を伝わって、及び直接的に、ロックホルダ23との固定部49に流入することを防止することができる。そして、その外径Rをロックホルダ23の外径r1よりも大とすることで、ロックホルダ23の上面23aを経由して固定部49に流入する経路をも遮断することができる。その結果、漏出した作動油によりトルクリミットリング27内周から潤滑剤Xが流出することを防止して、その相対回転トルクを安定的に維持することができるようになる。
(2)作動油流入防止部材50の周縁に突部52を設けることで、作動油流入防止部材50の上面50aに付着した作動油は、同突部52を伝わって軸方向下側に流れ落ちる。これにより、作動油が作動油流入防止部材50の下面50bに回り込んでロックホルダ23の上面23aに滴下、或いはモータシャフト15に伝わることを防止することができる。
(3)突部52の先端をロックホルダ23の上面23aよりも下方まで延設することで、突部52から流れ落ちた作動油がロックホルダ23の上面23aに飛散することを防止することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。
尚、本実施形態の伝達比可変装置は、その作動油流入防止構造のみが上記第1の実施形態の伝達比可変装置と相違する。このため、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付すこととしてその説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態の伝達比可変装置は、潤滑剤Xを貯留する貯留部材62を備えている。そして、トルクリミットリング27は、この貯留部材62に貯留された潤滑剤Xに浸漬されるように構成されている。
詳述すると、本実施形態では、ロックホルダ63の下面63bには、円環状の収容溝65が形成されており、有底円筒状に形成された貯留部材62は、その筒部62aが収容溝65に配置された状態でモータシャフト15に同軸固定されている。そして、これにより、モータシャフト15とロックホルダ23との固定部49に潤滑剤Xが充填され、同固定部49に配置されたトルクリミットリング27の略全体が潤滑剤Xに浸漬されるようになっている。
以上、本実施形態によれば、油圧バルブ装置4から漏出した作動油が固定部49に流入した場合においても、同作動油によって潤滑剤Xが流し落とされることはない。これにより、潤滑不良の発生を防止して相対回転トルクを安定的に維持することができる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記第1の実施形態では、作動油流入防止部材50の外径Rをロックホルダ23の外径r1よりも大とした。しかし、これに限らず、図5に示すように、作動油流入防止部材70の外径Rは、最低限、トルクリミットリング27の外径r2よりも大きければよい。尚、この場合、ロックホルダ73の上面73aに、その周縁に沿って作動油流入防止部材70の外径Rに対応する凹部74を形成するとよい。これにより、作動油流入防止部材70から流れ落ちた作動油がロックホルダ73の上面73aを伝わって固定部49に流入することを防止することができる。
・上記第1の実施形態では、作動油流入防止部材50の周縁には、同周縁に沿って環状(筒状)に形成された突部52が軸方向下側に向かって突設されることとした。しかし、これに限らず、こうした回り込み抑制手段は、作動油が下方に流れ落ちるように誘導可能な構成であればよい。例えば、図6に示す作動油流入防止部材80のように、複数の突起81を設けてもよい。尚、この場合、作動油流入防止部材80の上面80a周縁に各突起81に対応する位置を切り欠いた環状の誘導壁82を立設する、或いは同上面80a及び周面に各突起81に対応する誘導溝83を形成する等、上面80a上の作動油を各突起81に誘導する誘導手段を併設するとよい。これにより、より効果的に作動油の回り込みを抑制することができる。
・上記第1の実施形態では、作動油流入防止部材50は、略円盤状に形成されることとしたが、トルクリミットリング27が配設されたモータシャフト15とロックホルダ23との固定部49への作動油の流入を防止することが可能な形状であれば、これに限るものではなく、椀状や傘状にすることも可能である。
・上記第1の実施形態では、作動油流入防止部材50は、油圧バルブ装置4とロックホルダ23との間のモータシャフト15に設けられることとした。しかし、これに限らず、油圧バルブ装置4とロックホルダ23との間であれば、モータ軸(モータシャフト15)ではなく入力軸(ミドルシャフト12)に設ける構成としてもよい。
・上記第2の実施形態では、トルクリミットリング27の略全体が潤滑剤Xに浸漬される構成としたが、毛管現象を利用する等によって良好な潤滑状態を保持することが可能であれば、トルクリミットリング27の一部分を浸漬する構成であってもよい。
伝達比可変装置が一体に組み込まれたステアリングギヤボックスの概略構成図。 ロック装置の概略構成図。 第1の実施形態の作動油流入防止構造を概略的に示す断面図。 第2の実施形態の作動油流入防止構造を概略的に示す断面図。 別例の作動油流入防止構造を概略的に示す断面図。 別例の作動油流入防止部材の斜視図。 モータ軸及びロックホルダの固定構造を概略的に示す断面図。 トルクリミットリングの斜視図。
符号の説明
1…伝達比可変装置、4…油圧バルブ装置、9…ピニオンシャフト、12…ミドルシャフト、13…モータ、14…波動歯車装置、15…モータシャフト、22…ロック装置、23,63,73…ロックホルダ、23a,73a…上面、24…ロックアーム、27…トルクリミットリング、34…ステアリングシャフト、50,70,80…作動油流入防止部材、50a…上面、50b…下面、52…突部、62…貯留部材、74…凹部、81…突起、82…誘導壁、83…誘導溝、X…潤滑剤、R,r1,r2…外径。

Claims (8)

  1. ステアリング操作に基づく入力軸の回転にモータ駆動に基づく回転を上乗せして出力軸に伝達する差動機構と、モータ軸に設けられたロックホルダを拘束することにより前記モータ軸の回転を規制するロック装置とを備え、前記モータ軸は前記入力軸と同軸に配置され、前記モータ軸とロックホルダとの間には、摩擦抵抗に基づいて前記モータ軸とロックホルダとの相対回転を規制し及び許容するトルクリミットリングが介在されるとともに、前記入力軸は油圧バルブ装置を介してステアリングシャフトに連結される伝達比可変装置であって、
    前記油圧バルブ装置と前記ロックホルダとの間の前記モータ軸又は前記入力軸に前記トルクリミットリングよりも大径に形成された作動油流入防止部材を設けたこと、
    を特徴とする伝達比可変装置。
  2. 請求項1に記載の伝達比可変装置において、
    前記作動油流入防止部材は、前記ロックホルダよりも大径に形成されること、
    を特徴とする伝達比可変装置。
  3. 請求項1に記載の伝達比可変装置において、
    前記ロックホルダの上面周縁には、前記作動油流入防止部材の外径に対応する凹部が形成されること、を特徴とする伝達比可変装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の伝達比可変装置において、
    前記作動油流入防止部材は、該作動油流入防止部材下面への作動油の回り込みを抑制する回り込み抑制手段を備えること、を特徴とする伝達比可変装置。
  5. 請求項4に記載の伝達比可変装置において、
    前記回り込み抑制手段は、前記作動油流入防止部材の周縁に設けられ軸方向下側に突出する突部であること、を特徴とする伝達比可変装置。
  6. 請求項5に記載の伝達比可変装置において、
    前記突部は、前記ロックホルダの上面よりも下方まで延設されること、
    を特徴とする伝達比可変装置。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の伝達比可変装置において、
    前記作動油流入防止部材は、前記突部に前記作動油を誘導する誘導手段を備えること、
    を特徴とする伝達比可変装置。
  8. ステアリング操作に基づく入力軸の回転にモータ駆動に基づく回転を上乗せして出力軸に伝達する差動機構と、モータ軸に設けられたロックホルダを拘束することにより前記モータ軸の回転を規制するロック装置とを備え、前記モータ軸は前記入力軸と同軸に配置され、前記モータ軸とロックホルダとの間には、摩擦抵抗に基づいて前記モータ軸とロックホルダとの相対回転を規制し及び許容するトルクリミットリングが介在されるとともに、前記入力軸は油圧バルブ装置を介してステアリングシャフトに連結される伝達比可変装置であって、
    潤滑剤を貯留する貯留部材を設け、前記トルクリミットリングを前記貯留された潤滑剤に浸漬したこと、を特徴とする伝達比可変装置。
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