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JP2007201031A - 半導体レーザ装置 - Google Patents

半導体レーザ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】回折格子を有する半導体レーザ装置において、基板のキャリア濃度のばらつきに左右されることなく、発振波長や回折格子の結合定数の変動を抑える。
【解決手段】n型基板1の上に、バッファ層11、回折格子層2、回折格子埋込層3、光閉込層4、多重量子井戸活性層5、光閉込層6、クラッド層7を積層した構造の半導体レーザが形成されている。この構造において、n型基板1とバッファ層11との界面から、活性層5の中心5aまでの距離Dが、レーザ光の1/eのビームスポット半径aよりも長くなるようにする。これにより、活性層5で発生するレーザ光の約97.7%以上は、n型基板1とバッファ層11との界面よりも上層に分布する。従って、基板のキャリア濃度が変動しても、レーザ光が感受する屈折率のばらつきを小さく抑え、レーザ光の発振波長および回折格子の結合定数の変動を小さく抑えることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は半導体レーザ装置に関し、特に、光通信システムなどの光源として使用する半導体レーザ装置に関するものである。
半導体レーザ装置は、光通信システムなどの光源として広く用いられている。例えば、非特許文献1には、n型InP基板を用いた半導体レーザ装置が開示されている。
上記半導体レーザ装置には、n−InP基板上にn−InGaAsP回折格子層が設けられている。その上に、n−InP回折格子埋込層、n−AlGaInAs光閉込層、AlGaInAs多重量子井戸活性層、p−AlGaInAs光閉込層、p−InPクラッド層、p−InGaAsコンタクト層、p電極が積層された構造となっている。
IPRM 2000 TuB6 pp.55−56、Sudoh他、"Highly Reliable 1.3−μm InGaAlAs MQW DFB Lasers"
上記基板のキャリア濃度は、通常1×1018〜4×1018cm−3程度であり、基板の製造ばらつきによるキャリア濃度ばらつきを有している。上記ばらつきが存在すると、プラズマ効果により基板の屈折率が変動する。
半導体レーザ装置のレーザ光の強度は、活性層の中心部をピークとして、基板方向に向かって減少するように分布する。従って、この分布の裾が基板に到達すると、レーザ光が感受する屈折率は、基板の屈折率の変動に伴い変動する。
例えば、基板のキャリア濃度が大きくなると屈折率は下がり、レーザ光の発振波長が短くなる。すると、基板と回折格子層との間の屈折率差が大きくなるため、結合定数が大きくなる。基板のキャリア濃度が下がる場合は、上記と逆の現象が発生する。
すなわち上記従来の半導体レーザ装置において、基板のキャリア濃度が変動すると、レーザ光の発振波長や回折格子の結合定数のばらつきが大きくなるという問題があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、n型半導体基板の不純物濃度が変動しても、レーザ光の発振波長および回折格子の結合定数のばらつきを小さくできる半導体レーザ装置を提供することを目的とする。
本発明に係る半導体レーザ装置は、n型の半導体基板と、前記半導体基板上に設けられ、n型不純物を含むバッファ層と、前記バッファ層の上に設けられた回折格子層と、前記回折格子層の上に設けられ、レーザ光を発生させる活性層と、前記半導体基板と前記バッファ層との界面から前記活性層の中心までの距離Dが、前記レーザ光の1/eのビームスポットの半径aよりも長いことを特徴とする。本発明のその他の特徴については、以下において詳細に説明する。
本発明によれば、n型半導体基板の不純物濃度が変動しても、レーザ光の発振波長および回折格子の結合定数のばらつきを小さくできる半導体レーザ装置を得ることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において同一または相当する部分には同一符号を付して、その説明を簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
本実施の形態に係る半導体レーザ装置について説明する。半導体レーザ装置の共振器方向の断面図を図1に示す。この半導体レーザ装置は、Si、S、Seなどのn型不純物を含むn型半導体基板を用いて形成されている(以下、n型を「n−」、p型を「p−」と表記する)。
図1に示すように、n−InP基板1の上に、n型不純物を含むn−InPバッファ層11が設けられている。この層の上に、n−InGaAsP回折格子層2が設けられている。その上に、n−InP回折格子埋込層3が設けられている。その上に、n−AlGaInAs光閉込層4、AlGaInAs多重量子井戸活性層5、p−AlGaInAs光閉込層6が積層されている(以下、「AlGaInAs多重量子井戸活性層5」を、単に「活性層5」と表記する)。
p−AlGaInAs光閉込層6の上には、p−InPクラッド層7、p−InGaAsコンタクト層8、p側電極10が設けられている。n−InP基板1の裏面には、n側電極9が設けられている。この半導体レーザの通電時には、p−InPクラッド層7側から活性層5に正孔が注入され、n−InP回折格子埋込層3側から活性層5に電子が注入される。これらの正孔と電子を結合させることにより、活性層5にレーザ光が発生する。
ここで、n−InPバッファ層11は、有機金属化学気相成長法(MOCVD;Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、分子線エピタキシャル成長法(MBE:Modecular Beam Epitaxy)、液相エピタキシー成長法(LPE;Liquid Phase Epitaxy)のいずれかの方法により形成されている。これにより、n−InPバッファ層11内の不純物濃度の制御性を高くすることができる。
さらに、上記n−InPバッファ層11に含まれるn型不純物の濃度が、層内にわたり、平均値から±10%以内となるようにした。これにより、n−InPバッファ層11の屈折率を安定化させることができる。
次に、図1の構造をリッジ型半導体レーザに適用した場合の、出射面の断面構造を図2に示す。この構造では、p−AlGaInAs光閉込層6の上に、リッジ型構造のp−InPクラッド層7、p−InGaAsコンタクト層8が設けられている。p−AlGaInAs光閉込層6の上面と、p−InPクラッド層7、p−InGaAsコンタクト層8の側面とを覆うように、シリコン酸化膜13が形成されている。また、p−InGaAsコンタクト層8の上面と接触するように、p側電極10が設けられている。
また、図1の構造を埋め込みヘテロ型半導体レーザに適用した場合の、出射面の断面構造を図3に示す。この構造では、n−InPバッファ層11の上に、n−InGaAsP回折格子層2、n−InP回折格子埋込層3、n−AlGaInAs光閉込層4、活性層5、p−AlGaInAs光閉込層6、および第1p−InPクラッド層7aがメサ形状に積層されている。このメサ形状の積層膜の両側に、p−InP電流ブロック層14、n−InP電流ブロック層15、およびp−InP電流ブロック層16が埋め込まれている。第1p−InPクラッド層7a、p−InP電流ブロック層16の上に、第2p−InPクラッド層7b、p−InGaAsコンタクト層8が積層されている。その上に、p−InGaAsコンタクト層8の上面の中央部が露出するように、シリコン酸化膜13が形成されている。さらに、p−InGaAsコンタクト層8の露出した部分を覆うように、p側電極10が設けられている。
次に、図1〜図3に示したバッファ層11の厚さと、レーザ光のビームスポット半径との関係について、図4を参照して説明する。図4の左側のグラフは、レーザ光の進行方向に沿った中心軸を原点とし、中心軸からの距離を縦軸にとり、それぞれの位置に対応する光強度を横軸にプロットしたものである。この光強度は、活性層5の中心の位置をピークとして、ガウス関数型の分布を有していると仮定する。
ここで、レーザ光の光強度のピーク値を1とし、光強度が1/e(e:自然対数の底)となる縦軸の点をA1とする。このとき、原点からA1までの距離aを、レーザ光の1/eのビームスポット半径と定義する。
図4の右側に示した断面構造において、活性層5で発生したレーザ光は、活性層5の中心5aに沿って進行する。このためレーザ光の光強度は、活性層5の中心5aからn−InP基板1側に向かって、ガウス関数型の分布に従って減少する。ここで、n−InP基板1とn−InPバッファ層11との界面から、活性層5の中心5aまでの距離をDとする。
本実施の形態では、距離Dがレーザ光の1/eのビームスポットの半径aよりも長くなるようにする。すなわち、a<Dの関係を満たすように、n−InPバッファ層11の厚さを調節する。これにより、活性層5で発生するレーザ光の約97.7%以上は、n−InP基板1とn−InPバッファ層11との界面よりも上層に分布し、n−InP基板1にしみだす光量は、約2.3%以下となる。この結果、基板の製造ばらつきによりn−InP基板1のキャリア濃度が変動しても、レーザ光が感受する屈折率のばらつきを小さく抑えることができる。
例えば、上記ビームスポット半径aが1μm、活性層5の厚さが0.1μm、n−AlGaInAs光閉込層4の厚みが0.2μm、n−InP回折格子埋込層3の厚みが0.1μm、n−InGaAsP回折格子層2の厚みが0.07μmであるとする。このとき、バッファ層の厚さを0.58μmよりも厚くすれば、距離Dが1μmよりも大きくなる。このようにして、距離Dを上記ビームスポット半径aよりも大きく設定することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、基板の製造ばらつき等によりn−InP基板1のキャリア濃度が変動しても、レーザ光が感受する屈折率のばらつきを小さく抑えることができる。従って、レーザ光の発振波長および回折格子の結合定数のばらつきを小さく抑えることができる。
実施の形態2.
本実施の形態に係る半導体レーザ装置について、図5を参照して説明する。ここでは、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
レーザ光の1/eのビームスポット半径aと、距離Dは、実施の形態1と同様の定義とする。ここで、図5に示すように、レーザ光の光強度が1/2e(e:自然対数の底)となる縦軸の点をA2とする。このとき、レーザ光の光強度がガウス関数型の分布に従うことから、原点からA2までの距離は√2aとなる。
本実施の形態では、距離Dが、レーザ光の1/eのビームスポットの半径aよりも長く、かつ、√2aよりも短くなるようにする。すなわち、a<D<√2aの関係を満たすように、n−InPバッファ層11の厚さを調節する。その他の構成については、実施の形態1と同様である。
距離Dを上記の範囲とすることにより、n−InP基板1にしみだす光量を、全体の約0.00003〜2.3%の範囲とすることができる。このようにすれば、レーザ光の発振波長および回折格子の結合定数のばらつきを小さく抑え、かつ、量産時の再現性を高くすることができる。
例えば、ビームスポット半径a、その他の層(活性層5、n−AlGaInAs光閉込層4、n−InP回折格子埋込層3、n−InGaAsP回折格子層2)の厚さが実施の形態1と同様であると仮定する。このとき、n−InPバッファ層11の厚さを0.58〜1μmの範囲とすれば、a<D<√2aの関係を満たす。このようにして、距離Dを上記の範囲とすることができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、実施の形態1で得られる効果に加えて、半導体レーザ装置の量産時の再現性を高くすることができる。
なお、実施の形態1、2において、n−InP回折格子埋込層3に含まれるn型不純物と、n−InPバッファ層11に含まれるn型不純物は、同一の元素であることが好ましい。例えば、Si、Sのいずれかを用いて、これらの層に含まれるn型不純物が同一元素となるようにする。これにより、n−InP回折格子埋込層3とn−InPバッファ層11との間のn型不純物の相互拡散を抑制し、n−InPバッファ層11の屈折率を安定させることができる。
また、実施の形態1、2において、n−InP基板1に含まれるn型不純物と、n−InPバッファ層11に含まれるn型不純物は、同一の元素であることが好ましい。例えば、Si、S、Seのいずれかを用いて、これらの層に含まれるn型不純物が同一元素となるようにする。これにより、n−InP基板1とn−InPバッファ層11との間のn型不純物の相互拡散を抑制し、n−InPバッファ層11の屈折率を安定させることができる。従って、n−InP基板1のキャリア濃度のばらつきに起因する屈折率の変動の影響を小さく抑えることができ、安定な発振波長、結合定数を有する半導体レーザを製造することができる。
また、実施の形態1、2では、n−AlGaInAs光閉込層4、活性層5、p−AlGaInAs光閉込層6の材料として、AlGaInAsを用いるようにした。これらの材料に置き換えてInGaAsPを用いても、上記実施の形態1、2と同様の効果を得ることができる。
半導体レーザ装置の断面を示す図。 リッジ型構造の半導体レーザ装置の断面を示す図。 埋め込みヘテロ型構造の半導体レーザ装置の断面を示す図。 バッファ層の厚さとレーザ光のビームスポット半径との関係を説明する図。 バッファ層の厚さとレーザ光のビームスポット半径との関係を説明する図。
符号の説明
1 n−InP基板、2 n−InGaAsP回折格子層、3 n−InP回折格子埋込層、4 n−AlGaInAs光閉込層、5 AlGaInAs多重量子井戸活性層、6 p−AlGaInAs光閉込層、7 p−InPクラッド層、8 p−InGaAsコンタクト層、9 n側電極、10 p側電極、11 n−InPバッファ層、13 シリコン酸化膜。

Claims (10)

  1. n型の半導体基板と、
    前記半導体基板の上に設けられ、n型不純物を含むバッファ層と、
    前記バッファ層の上に設けられた回折格子層と、
    前記回折格子層の上に設けられ、レーザ光を発生させる活性層と、
    前記半導体基板と前記バッファ層との界面から前記活性層の中心までの距離Dが、前記レーザ光の1/eのビームスポットの半径aよりも長いことを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 前記バッファ層に含まれるn型不純物の濃度は、層内にわたり平均値から±10%以内であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  3. 前記距離Dは、√2aよりも短いことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザ装置。
  4. 前記半導体基板としてn型InP基板が用いられ、リッジ型構造を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体レーザ装置。
  5. 前記半導体基板としてn型InP基板が用いられ、埋め込みヘテロ型構造を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体レーザ装置。
  6. 前記バッファ層は、有機金属化学気相成長法、分子線エピタキシャル成長法、液相エピタキシー成長法のいずれかの方法により形成されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体レーザ装置。
  7. 前記回折格子層と前記活性層との間には回折格子埋め込み層が形成され、前記回折埋め込み層には、前記バッファ層に含まれるn型不純物と同一元素の不純物が含まれていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半導体レーザ装置。
  8. 前記n型不純物は、SiまたはSのいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の半導体レーザ装置。
  9. 前記半導体基板には、前記バッファ層に含まれるn型不純物と同一元素の不純物が含まれていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半導体レーザ装置。
  10. 前記n型不純物は、Si、S、Seのいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の半導体レーザ装置。
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