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JP2007291178A - トレッド用ゴム組成物およびタイヤ - Google Patents

トレッド用ゴム組成物およびタイヤ Download PDF

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JP2007291178A JP2006118042A JP2006118042A JP2007291178A JP 2007291178 A JP2007291178 A JP 2007291178A JP 2006118042 A JP2006118042 A JP 2006118042A JP 2006118042 A JP2006118042 A JP 2006118042A JP 2007291178 A JP2007291178 A JP 2007291178A
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Yoji Imoto
洋二 井本
Naoya Ichikawa
直哉 市川
Toshiaki Sakaki
俊明 榊
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

【課題】タイヤの転がり抵抗特性、トレッド部の耐磨耗性およびトレッド用ゴム組成物の加工性を維持しつつ、タイヤのグリップ性能、とりわけ、ドライグリップ性能が向上したタイヤを製造することができるトレッド用ゴム組成物と、それを用いてトレッド部が形成されているタイヤと、を提供すること。
【解決手段】ジエン系ゴムを含むゴム分と、変性スチレンブタジエンゴムと水ガラスとの複合体と、さらに必要に応じて、シリカと、シランカップリング剤と、カーボンブラックとを含み、上記複合体を、上記ゴム分100重量部に対し、3〜150重量部の割合で含有するトレッド用ゴム組成物を用いて、タイヤのトレッド部を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤのトレッド部の形成に用いられるトレッド用ゴム組成物と、そのトレッド用ゴム組成物からなるトレッド部を有するタイヤとに関する。
タイヤに要求されるグリップ性能と、転がり抵抗特性とは、いずれも、トレッド部を形成するゴムのヒステリシスロスにより左右される。一般に、ゴムのヒステリシスロスを大きくすると、グリップ力が高くなって、タイヤの制動性能が向上するが、一方で、転がり抵抗が大きくなって、燃費の増大をもたらす。このように、グリップ性能と転がり抵抗特性は相反する関係にある。
タイヤのグリップ性能を改善するには、トレッド用ゴム組成物に、オイルを多量に配合する、カーボンブラックを多量に配合する、シリカを多量に配合する、タングステン、亜鉛、ジルコニウム、ジルコニウムシリケイト、ジルコン、硫酸バリウム、亜鉛華および酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機化合物粉体を配合する(特許文献1参照)、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂からなる樹脂微粒子を配合する(特許文献2および3参照)といった手法が知られている。
特開2000−319447号公報 特開2002−80642号公報 特開2002−97303号公報
しかるに、トレッド用ゴム組成物にオイルを多量に配合すると、トレッド部の耐磨耗性の低下、低温時におけるタイヤのグリップ性能の低下などが生じ、また、脆化によるトレッド部の破壊のおそれも生じる。また、カーボンブラックを多量に配合すると、カーボンブラックその他の充填剤の分散不良が引き起こされ、かえって、タイヤのグリップ性能、とりわけ、ウェット路面におけるグリップ性能(ウェットグリップ性能)が低下するおそれがある。
シリカは、同程度の比表面積を有するカーボンブラックと比較して、ドライ路面におけるグリップ性能(ドライグリップ性能)を改善する効果が低く、また、トレッド用ゴム組成物に対し、多量に配合することで、トレッド用ゴム組成物の加工性の低下が生じる。
また、トレッド用ゴム組成物に対し、上記無機化合物粉体を配合したときは、タイヤの転がり抵抗特性を維持しつつ、ウェットグリップ性能の向上を図ることができるものの、一方で、例えば、ドレッド部の耐磨耗性など、タイヤに要求されるその他の特性の低下を引き起こすおそれがあり、また、上記樹脂微粒子を配合したときには、トレッド用ゴム組成物の加工性が低下する。
本発明の目的は、タイヤの転がり抵抗特性、トレッド部の耐磨耗性およびトレッド用ゴム組成物の加工性を維持しつつ、タイヤのグリップ性能、とりわけ、ドライグリップ性能が向上したタイヤを製造することができるトレッド用ゴム組成物と、それを用いてトレッド部が形成されているタイヤと、を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のトレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴムを含むゴム分と、変性スチレンブタジエンゴムと水ガラスとの複合体と、を含んでいることを特徴としている。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、加工性が良好であり、このトレッド用ゴム組成物を用いることで、耐磨耗性が良好なトレッド部を形成でき、かつ、良好な転がり抵抗特性を維持しつつ、グリップ性能、とりわけ、ドライグリップ性能が向上したタイヤを製造することができる。
また、本発明のトレッド用ゴム組成物は、前記複合体を、前記ゴム分100重量部に対し、3〜150重量部の割合で含有することを特徴としている。
この場合、タイヤのグリップ性能、とりわけ、ドライグリップ性能を向上させる効果を、より一層高めることができる。
また、本発明のトレッド用ゴム組成物は、前記複合体が、前記変性スチレンブタジエンゴム100重量部に対し、前記水ガラスを、SiO2の換算値として、3〜80重量部の割合で含有していることが好適である。
この場合、タイヤのグリップ性能、とりわけ、ドライグリップ性能を向上させる効果を、より一層高めることができる。
また、本発明のトレッド用ゴム組成物は、さらに、シリカと、シランカップリング剤とを含み、前記シリカを、前記ゴム分100重量部に対し、150重量部以下の割合で含有し、前記シランカップリング剤を、前記シリカ100重量部に対し、1〜30重量部の割合で含有していることが好適である。
この場合、タイヤの機械的強度やグリップ性能を、より一層向上させることができる。
また、本発明のトレッド用ゴム組成物は、さらに、カーボンブラックを含み、前記カーボンブラックを、前記ゴム分100重量部に対し、100重量部以下の割合で含有していることが好適である。
この場合、トレッド用ゴム組成物に対し、カーボンブラックその他の充填剤の分散不良といった不具合を引き起こすことなく、タイヤのグリップ性能をより一層向上させることができる。
また、本発明のトレッド用ゴム組成物は、前記複合体の変性スチレンブタジエンゴムが、分子中にカルボキシル基および/またはアミノ基を有する変性スチレンブタジエンゴムであることが好適である。
この場合、タイヤのグリップ性能、とりわけ、ドライグリップ性能を向上させる効果を、より一層高めることができる。
また、上記目的を達成するために、本発明のタイヤは、上記本発明のトレッド用ゴム組成物からなるトレッド部を有していることを特徴とする。
本発明のタイヤは、トレッド部が、上記本発明のトレッド用ゴム組成物を用いて形成されていることから、本発明によれば、転がり抵抗特性が良好で、磨耗が少ないことにより耐久性が良好で、しかも、グリップ特性、とりわけドライグリップ特性に優れたタイヤを提供することができる。
本発明のトレッドゴム用組成物およびタイヤによれば、良好な転がり抵抗特性およびこれに伴う良好な低燃費特性と、良好な耐磨耗性およびそれに伴う良好な耐久性と、優れたグリップ特性およびそれに伴う優れた制動性能を有するタイヤを提供することができる。また、本発明は、例えば、乗用車、大型自動車、レーシングカー、自動二輪車などの車両用タイヤの用途において、好適に用いることができる。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴムを含むゴム分と、変性スチレンブタジエンゴムと水ガラスとの複合体とを含んでいる。
本発明のトレッド用ゴム組成物において、ジエン系ゴムを含むゴム分は、必須成分である。
ジエン系ゴムを含むゴム分のジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられ、これらジエン系ゴムは、単独で、または、2種以上を混合して用いられる。なかでも、ジエン系ゴムは、上記トレッド用ゴム組成物を用いて形成されたタイヤのウェットグリップ性能と、転がり抵抗特性とを両立させる観点より、好ましくは、SBRが挙げられる。
また、SBRは、その結合スチレン量、製造方法(乳化重合法または溶液重合法)、油展および非油展の種別などについて、特に限定されず、上記トレッド用ゴム組成物には、公知の種々のSBRを用いることができる。
なかでも、例えば、SBRの結合スチレン量については、これに限定されないが、後述するシリカや複合体による補強効果や、SBRの機械的強度などの観点より、その中心値で、好ましくは、20〜45重量%であり、より好ましくは、25〜35重量%である。結合スチレン量が20重量%を下回ると、グリップ性能が低下する場合があり、40重量%を上回ると、特に、低温時においてゴムが硬くなり、グリップ性能の低下を引き起こす場合がある。
また、SBRの結合ビニル量については、これに限定されないが、その中心値で、好ましくは、30〜60重量%であり、より好ましくは、35〜55重量%である。結合ビニル量が30重量%を下回ると、グリップ性が低下する場合があり、60重量%を上回ると、低燃費化を図ることができなくなる場合がある。
また、SBRの製造方法による種別は、特に限定されず、乳化重合SBR(E−SBR)や溶液重合SBR(S−SBR)のいずれであってもよく、また、これらの混合物であってもよい。とりわけ、好ましくは、E−SBR、または、E−SBRとS−SBRとの混合物であってE−SBRの含有割合が70重量%以上であるものが挙げられる。
上記ジエン系ゴムの分子量は、特に限定されないが、例えば、ジエン系ゴムの機械的強度などの観点より、その重量平均分子量<Mw>が、GPC法、ポリスチレン換算で、好ましくは、50万〜250万であり、より好ましくは、60万〜200万である。重量平均分子量<Mw>が50万を下回ると、タイヤの耐摩耗性が低下する場合がある。一方、250万を上回ると、混練り工程の加工性が著しく低下する場合があり、また、分子量が大きいために現在のポリマー生産技術での製造が困難になり、製造コストが大幅に上昇する場合がある。
上記ジエン系ゴムを含むゴム分のうち、ジエン系ゴム以外のゴムとしては、例えば、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴムなどが挙げられ、これらジエン系ゴム以外のゴムは、単独で、または、2種以上を混合して用いられる。
上記ジエン系ゴムを含むゴム分中のジエン系ゴムの含有割合は、特に限定されないが、上記トレッド用ゴム組成物を用いて形成されたタイヤに、優れたグリップ性能を付与する観点より、好ましくは、10重量%以上、より好ましくは、15重量%以上である。また、特に、上記ゴム分は、すべてジエン系ゴムであることが好ましい。
本発明のトレッド用ゴム組成物において、変性スチレンブタジエンゴムと水ガラスとの複合体は、必須成分であって、例えば、上記トレッド用ゴム組成物を用いて形成されたタイヤに対し、その転がり抵抗特性を維持しつつ、グリップ性能を向上させるために配合される。
変性スチレンブタジエンゴムと水ガラスとの複合体としては、変性スチレンブタジエンゴムラテックスと、水ガラスとの混合物の酸による凝固物が挙げられる。
また、上記複合体において、変性スチレンブタジエンゴムラテックスの変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)としては、例えば、分子中に、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、ピリジル基、エポキシ基などの置換基を有しているスチレンブタジエンゴムが挙げられる。これらの置換基は、単独で有していてもよく、2種以上有していてもよい。
なかでも、変性SBRは、好ましくは、分子中にアミノ基を有しているSBR(アミノ変性SBR)、分子中にカルボキシル基を有しているSBR(カルボキシル化SBR;以下、「XSBR」と表記する。)、および、分子中にアミノ基およびカルボキシル基を有しているSBR(アミノ基およびカルボキシル基両変性SBRラテックス;以下、「アミノ変性XSBR」と表記する。)が挙げられ、より好ましくは、XSBRまたはアミノ変性XSBRが挙げられる。
上記変性SBRにおいて、アミノ基やカルボキシル基の含有量(変性SBRのゴム分子全体に対するアミノ基(−NH2)やカルボキシル基(−COOH)の重量割合)は、特に限定されないが、後述する水ガラスとの複合体の生成効率や、タイヤのグリップ性能の向上効果などの観点より、好ましくは、0.5重量%以上、より好ましくは、2重量%以上、さらに好ましくは、2〜20重量%である。
変性SBRラテックスの具体例としては、これに限定されないが、例えば、日本ゼオン(株)製の品名「Nipol LX407K3」(アミノ変性XSBRラテックス、全固形分43重量%、アミノ基含有量0.5〜5重量%、カルボキシル基含有量0.5〜5重量%)、同社製の品名「Nipol LX433」(XSBRラテックス、全固形分50重量%、カルボキシル基含有量0.2〜3重量%)などが挙げられる。
また、上記複合体において、水ガラスは、通常、下記一般式で示される。
Na2O・nSiO2・mH2
上記一般式中、nは、SiO2/Na2Oの分子比を示し、特に限定されないが、好ましくは、2.1〜3.1であり、より好ましくは、3.1である。nが3.1であるときは、水ガラス中のケイ酸成分の含有量(SiO2換算量)が多くなることから、変性SBRとの複合体による、タイヤのグリップ性能を向上させる効果がより一層向上する。
なお、上記一般式中のnが3.1である水ガラスは、一般に、水ガラス3号として市販されている。上記トレッド用ゴム組成物に用いられる水ガラスは、これに限定されるものではなく、例えば、JIS K 1408-1966に規定の水ガラス1〜3号、メタけい酸ナトリウム1〜2種、その他各種のグレード品が挙げられる。
変性SBRと水ガラスとの複合体は、例えば、変性SBRラテックスと、水ガラスとを配合し、さらに、得られた配合ラテックスに、酸を配合して、配合ラテックスを凝固させることにより得られる。
上記酸としては、例えば、硫酸、塩酸などが挙げられ、好ましくは、硫酸が挙げられる。
変性SBRと水ガラスとの複合体を形成するには、上記変性SBRラテックスと、上記水ガラスとを配合して、攪拌後、得られた配合ラテックスに、上記酸を配合し、さらに、1〜2.5時間攪拌し、次いで、凝集したゴム分を採取し、さらに、採取されたゴム分を、水で中性となるまで洗浄し、乾燥させる。
水ガラスの配合量は、特に限定されないが、上記トレッド用ゴム組成物を用いて形成されたタイヤに優れたグリップ性能を付与する観点より、変性SBRラテックスのゴム分100重量部に対し、SiO2の換算値として、好ましくは、3〜80重量部であり、より好ましくは、10〜50重量部である。
なお、変性SBRと水ガラスとの複合体として、例えば、アミノ変性XSBRと水ガラスとからなる複合体を用いたトレッド用ゴム組成物を、常法により加硫し、加硫ゴムを得たときには、得られた加硫ゴムの損失係数(tanδ)が、約50℃を中心として、その近傍(概ね、30〜70℃の範囲で)上昇する。50℃およびその近傍でのtanδの上昇は、トレッド用ゴム組成物からなるトレッド部を有するタイヤのグリップ性能、とりわけ、ドライグリップ性能を向上させる上で有効である。
また、変性SBRと水ガラスとの複合体として、例えば、XSBRと水ガラスとからなる複合体を用いたトレッド用ゴム組成物を、常法により加硫し、加硫ゴムを得たときには、得られた加硫ゴムのtanδが、約80℃を中心として、その近傍(概ね、50〜110℃の範囲で)上昇する。それゆえ、タイヤのグリップ性能、とりわけ、ドライグリップ性能を向上させることができる。
変性SBRと水ガラスとの複合体の配合量は、特に限定されず、上記トレッド用ゴム組成物を用いて形成されたタイヤに、優れたグリップ性能や機械的強度を付与するのに十分で、かつ、上記トレッド用ゴム組成物の加工性、作業性や、上記トレッド用ゴム組成物を用いて形成されたタイヤの転がり抵抗特性を低下させることがない範囲で設定される。具体的には、トレッド用ゴム組成物のジエン系ゴムを含むゴム分100重量部に対し、好ましくは、3〜150重量部であり、より好ましくは、10〜60重量部であり、さらに好ましくは、15〜35重量部である。
シリカは、上記トレッド用ゴム組成物の任意的成分であって、例えば、上記トレッド用ゴム組成物を用いて形成されたタイヤに、優れた機械的強度やグリップ性能を付与するために配合される。
シリカとしては、特に限定されず、従来、トレッド用ゴム組成物に配合されている種々のシリカが挙げられる。具体的には、例えば、親水性または疎水性沈降法シリカ、親水性または疎水性ヒュームドシリカなどの非晶質シリカ(ホワイトカーボン)や、例えば、ケイ酸カルシウムなどが挙げられ、これらシリカは、単独で、または、2種以上を混合して用いられる。
また、シリカは、その粒径、比表面積などについて、特に限定されず、シリカによる補強効果とトレッド用ゴム組成物の加工性とのバランスにあわせて適宜設定される。シリカの比表面積は、例えば、窒素吸着比表面積(BET法)で、好ましくは、80〜350m2/gであり、より好ましくは、100〜250m2/gである。
シリカの配合量は、上記トレッド用ゴム組成物を用いて形成されたタイヤに、優れた機械的強度やグリップ性能を付与するのに十分で、かつ、上記トレッド用ゴム組成物の加工性、作業性を低下させることがない範囲で設定され、具体的には、トレッド用ゴム組成物のジエン系ゴムを含むゴム分100重量部に対し、5〜150重量部であり、好ましくは、10〜120重量部であり、より好ましくは、15〜100重量部である。
シランカップリング剤は、上記トレッド用ゴム組成物の任意的成分であって、例えば、上記トレッド用ゴム組成物を用いて形成されたタイヤの転がり抵抗特性や、トレッド部の耐磨耗性を改善するために配合される。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、従来、トレッド用ゴム組成物に配合され、特に、上記シリカと併用されている、種々のシランカップリング剤が挙げられる。具体的には、例えば、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(2−メチルジメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(4−メチルジメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(2−メチルジエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(4−メチルジエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(2−メチルジエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(4−メチルジエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(2−メチルジメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(4−メチルジメトキシシリルブチル)ジスルフィド、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。これらシランカップリング剤は、単独で、または、2種以上を混合して用いられる。シランカップリング剤は、シリカとの組合せにより、適宜選択されるが、なかでも、シランカップリング剤の配合に要するコストと、そのコストに対して得られる効果との割合の観点より、好ましくは、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが挙げられ、より好ましくは、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが挙げられる。
シランカップリング剤の配合量は、タイヤの転がり抵抗特性やトレッド部の耐磨耗性の改善効果が得られるのに十分な範囲で、費用対効果に配慮しつつ設定され、具体的には、上記シリカ100重量部に対し、1〜30重量部であり、好ましくは、2〜20重量部であり、より好ましくは、2〜15重量部である。
また、上記トレッド用ゴム組成物には、さらに任意的に、加硫剤、加硫促進剤、充填剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤などの添加剤が配合される。
加硫剤は、上記トレッド用ゴム組成物の加硫成形を可能にするため配合される添加剤である。加硫剤としては、特に限定されず、公知の種々の加硫剤が挙げられ、具体的には、例えば、硫黄、有機含硫黄化合物(例えば、N,N’−ジチオビスモルホリンなど。)、有機過酸化物(例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシドなど。)が挙げられ、これら加硫剤は、単独で、または、2種以上混合して用いられる。なかでも、好ましくは、硫黄および有機含硫黄化合物が挙げられ、より好ましくは、硫黄が挙げられる。
加硫剤の配合量は、特に限定されず、常法に従って、適宜設定されるが、具体的には、例えば、トレッド用ゴム組成物のジエン系ゴムを含むゴム分100重量部に対し、好ましくは、0.5〜3重量部であり、より好ましくは、1〜2重量部である。
加硫促進剤は、上記トレッド用ゴム組成物の加硫成形を可能にするため配合される添加剤である。加硫促進剤としては、特に限定されず、公知の種々の加硫促進剤が挙げられ、具体的には、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TPTT)などのチウラム類、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩(ZnMBT)、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩(CMBT)、2−(N,N’−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどのチアゾール類、例えば、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩(PPDC)、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩(PMPDC)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnMDC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEDC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnBDC)、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEPDC)、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(NaEDC)、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(NaBDC)、ジメチルジチオカルバミン酸胴(CuMDC)、ジメチルジチオカルバミン酸第2鉄(FeMDC)、ジエチルジチオカルバミン酸テルルなどのジチオカルバミン酸塩類、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(OBS)N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)などのスルフェンアミド類、例えば、トリメチルチオ尿素(TMU)、N,N’−ジエチルチオ尿素(DEU)などのチオウレア類、例えば、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、ジ−o−トリルグアニジン(DOTG)、1−o−トリルビグアニド(OTBG)などのグアニジン類、その他、ヘキサメチレンテトラミン、n−ブチルアルデヒドアニリンなどの有機系加硫促進剤や、例えば、消石灰、酸化マグネシウム、酸化チタン、リサージ(PbO)などの無機系加硫促進剤が挙げられる。これら加硫促進剤は、単独で、または、2種以上を混合して用いられる。
加硫促進剤の配合量は、特に限定されず、常法に従って、適宜設定されるが、具体的には、例えば、トレッド用ゴム組成物のジエン系ゴムを含むゴム分100重量部に対し、好ましくは、0.5〜4重量部であり、より好ましくは、1〜3重量部である。
充填剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、タルク、マイカなどが挙げられる。
上記充填剤のうち、カーボンブラックは、例えば、上記トレッド用ゴム組成物を用いて形成されたタイヤに、優れた機械的強度を付与するために配合される。
カーボンブラックの配合量は、上記トレッド用ゴム組成物を用いて形成されたタイヤに、優れた機械的強度を付与するのに十分で、かつ、上記トレッド用ゴム組成物の加工性、作業性などを低下させることがない範囲で設定され、具体的には、トレッド用ゴム組成物のジエン系ゴムを含むゴム分100重量部に対し、100重量部以下であり、好ましくは、5〜100重量部であり、より好ましくは、25〜60重量部である。
加硫促進助剤としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸などが挙げられる。
加硫遅延剤としては、例えば、サリチル酸、無水フタル酸、安息香酸などの芳香族有機酸、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイドロキノン、N−ニトロソフェニル−β−ナフチルアミンなどのニトロソ化合物などが挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどのイミダゾール類、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどのアミン類、例えば、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノールなどのフェノール類などが挙げられる。
軟化剤としては、例えば、植物油系、鉱物油系または合成油系などの軟化剤が挙げられ、具体的には、例えば、脂肪酸(ステアリン酸、ラウリン酸など。)、綿実油、トール油、アスファルト物質、パラフィンワックスなどが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルフォスフェートなどが挙げられる。
上記添加剤のうち、カーボンブラック以外の添加剤の配合量は、特に限定されないが、通常、トレッド用ゴム組成物のジエン系ゴムを含むゴム分100重量部に対して、好ましくは、50重量部以下であり、より好ましくは、10重量部以下である。
上記トレッド用ゴム組成物は、上記ジエン系ゴムを含むゴム分と、上記変性SBRと水ガラスとの複合体と、さらに任意的に、シリカと、シランカップリング剤と、その他の添加剤とを、例えば、ドライブレンドによって混合することにより得られる。
ドライブレンドは、特に限定されず、例えば、バンバリーミキサ、オープンロール、ラボプラストミルなどの混練機や、例えば、1軸、2軸などの押出機を用い、常法に従って混練すればよい。
上記トレッド用ゴム組成物によれば、タイヤの転がり抵抗特性、トレッド部の耐磨耗性およびトレッド用ゴム組成物の加工性を維持しつつ、タイヤのグリップ性能、とりわけ、ドライグリップ性能が向上したタイヤを製造することができる。それゆえ、上記トレッド用ゴム組成物は、良好な低燃費特性および耐久性と、優れた制動性能を有するタイヤを提供するのに好適で、例えば、乗用車、大型自動車、レーシングカー、自動二輪車などの車両用タイヤの用途において、好適である。
本発明のタイヤは、上記本発明のトレッド用ゴム組成物からなるトレッド部を有している。
上記タイヤは、上記したジエン系ゴムを含みゴム分と、変性SBRと水ガラスとからなる複合体と、さらに任意的に、シリカと、シランカップリング剤とを含むトレッド用ゴム組成物に対し、加硫剤と、加硫促進剤と、さらに任意的に、上記その他の添加剤とを配合し、混練して得られた混練物を用い、タイヤの加工において一般的な方法により、加硫成形して、製造される。
すなわち、例えば、上記混練物を、未加硫状態でタイヤトレッドの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて、他のタイヤ各部(例えば、サイドウォール部、ショルダー部、ビート部、インナーライナーなど。)の部材と貼り合わせて、未加硫タイヤを形成する。次いで、この未加硫タイヤを、加硫機中にて、加熱加圧し、加硫する。
上記タイヤによれば、転がり抵抗特性およびトレッド部の耐磨耗性を維持しつつ、タイヤのグリップ性能、とりわけ、ドライグリップ性能を向上させることができる。それゆえ、上記タイヤは、良好な低燃費特性および耐久性と、優れた制動性能を有しており、例えば、乗用車、大型自動車、レーシングカー、自動二輪車などの車両用タイヤとして好適である。
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明を説明する。以下の実施例および比較例で使用した成分は、下記のとおりである。
・SBR:結合スチレン量23.5重量%、品名「SBR1502」、JSR(株)製。
・カーボンブラック:窒素吸着比表面積(N2SA)111m2/g、品名「ショウブラック N220」、キャボットジャパン(株)製。
・シリカ:窒素吸着比表面積(N2SA)210m2/g、品名「ウルトラジルVN3」、デグッサ社製。
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、品名「Si69」、デグッサ社製。
・アミノ変性XSBRラテックス(アミノ基およびカルボキシル基両変性SBRラテックス):全固形分43重量%、アミノ基含有量0.5〜5重量%、カルボキシル基含有量0.5〜5重量%、品名「Nipol LX407K3」、日本ゼオン(株)製。
・XSBRラテックス(カルボキシ変性SBRラテックス):全固形分50重量%、カルボキシル基含有量0.2〜3重量%、品名「Nipol LX433」、日本ゼオン(株)製。
・水ガラス:水ガラス3号、Na2O・nSiO2・mH2O、n=3.2、ケイ酸成分の含有量(SiO2換算量)28%相当、富士化学(株)製。
・アミノ変性XSBR−水ガラス複合体(A):アミノ変性XSBRラテックスの固形分100重量部に対し、水ガラス10重量部を配合し、硫酸を加えて凝集させたもの。
・アミノ変性XSBR−水ガラス複合体(B):アミノ変性XSBRラテックスの固形分100重量部に対し、水ガラス25重量部を配合し、硫酸を加えて凝集させたもの。
・XSBR−水ガラス複合体(A):XSBRラテックスの固形分100重量部に対し、水ガラス10重量部を配合し、硫酸を加えて凝集させたもの。
・XSBR−水ガラス複合体(B):XSBRラテックスの固形分100重量部に対し、水ガラス25重量部を配合し、硫酸を加えて凝集させたもの。
・老化防止剤:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業(株)製
・ステアリン酸:日本油脂(株)製
・酸化亜鉛:亜鉛華2号、三井金属鉱業(株)製
・加硫剤:粉末硫黄、鶴見化学工業(株)製
・加硫促進剤(BBS):N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(スルフェンアミド系)、品名「ノクセラーNS」、大内新興化学工業(株)
・加硫促進剤(DPG):N,N’−ジフェニルグアニジン(グアニジン系)、品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業(株)
実施例1
SBR100重量部と、シリカ50重量部と、シランカップリング剤5重量部と、アミノ変性XSBR−水ガラス複合体(A)20重量部と、老化防止剤1重量部と、ステアリン酸2重量部と、酸化亜鉛3重量部と、加硫剤1.5重量部と、加硫促進剤(BBS)1重量部と、加硫促進剤(DPG)0.5重量部とを配合し、混練して、ゴム組成物を得た。次いで、得られたゴム組成物を、170℃で20分間プレス加硫して、加硫ゴム(試験片)を得た。
実施例2
アミノ変性XSBR−水ガラス複合体(A)20重量部に代えて、XSBR−水ガラス複合体(A)20重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。次いで、得られたゴム組成物を用い、実施例1と同様にして、加硫ゴムを得た。
実施例3
シリカおよびシランカップリング剤を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を得た。次いで、得られたゴム組成物を、170℃で20分間プレス加硫して、加硫ゴム(試験片)を得た。
実施例4
シリカの配合量を25重量部とし、シランカップリング剤の配合量を5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を得た。次いで、得られたゴム組成物を、170℃で20分間プレス加硫して、加硫ゴム(試験片)を得た。
実施例5
さらに、カーボンブラック30重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を得た。次いで、得られたゴム組成物を用い、実施例1と同様にして、加硫ゴムを得た。
比較例1
アミノ変性XSBR−水ガラス複合体を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。次いで、得られたゴム組成物を用い、実施例1と同様にして、加硫ゴムを得た。
比較例2
アミノ変性XSBR−水ガラス複合体を配合せず、また、シリカ50重量部に代えて、カーボンブラック50重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。次いで、得られたゴム組成物を用い、実施例1と同様にして、加硫ゴムを得た。
物性評価
各実施例および各比較例で得られたゴム組成物または加硫ゴムについて、下記(1)〜(4)以下に示す物性を評価した。
(1)加工性
各実施例および各比較例で得られたゴム組成物の130℃でのムーニー粘度(ML1+4(130℃))を、JIS K 6300−1:2001「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びコーチタイムの求め方」に規定の方法(切り出し法)に従って、測定した。
次いで、比較例1の測定値ML1+4(130℃)を基準とし、下記式より、実施例1〜5または比較例2(以下、物性評価項目(1)〜(4)において、「各配合」という。)の測定値ML1+4(130℃)を指数化した。
(ムーニー粘度指数)=(比較例1のML1+4(130℃))/(各配合のML1+4(130℃))×100
上記式より算出されるムーニー粘度指数が大きいほど、ムーニー粘度が低く、加工性に優れていることを示す。
(2)耐摩耗性
各実施例および各比較例で得られた加硫ゴムのランボーン磨耗量を、JIS K 6264-1993「加硫ゴムの摩耗試験方法」に規定のランボーン摩耗試験方法に従って、温度20℃、負荷荷重1.0kgf(約9.81N)、スリップ率20%、試験時間5分の条件で測定し、容積損失量(cm3/分)を算出した。
次いで、比較例1の容積損失量を基準とし、下記式より、各配合の容積損失量を指数化した。
(摩耗指数)=(比較例1の容積損失量)/(各配合の容積損失量)×100
上記式より算出される磨耗指数が大きいほど、耐摩耗性に優れていることを示す。
(3)粘弾性特性および転がり抵抗特性
各実施例および各比較例で得られた加硫ゴムの転がり抵抗特性を評価するため、上記加硫ゴムについて、粘弾性スペクロトメーター(型式「VES」、(株)岩本製作所製)を用いて、温度−100〜+150℃の範囲で、初期歪み10%、動的歪み2%の条件下で、損失係数(tanδ)および貯蔵弾性率E’の温度変化を測定した。
tanδおよび貯蔵弾性率E’の温度変化を示すグラフを、図1〜4に示す。図1および図2は、実施例1と比較例1とについて、それぞれ、tanδおよび貯蔵弾性率E’の温度変化を対比したグラフであり、図3および図4は、実施例2と比較例1とについて、それぞれ、tanδおよび貯蔵弾性率E’の温度変化を対比したグラフである。
次いで、比較例1のtanδを基準とし、下記式により、各配合のtanδを指数化した。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
上記式より算出される転がり抵抗指数が大きいほど、転がり抵抗が低く、転がり抵抗特性に優れていることを示す。
(4)グリップ特性
各実施例および各比較例で得られた加硫ゴムのグリップ特性を評価するため、上記加硫ゴムの摩擦係数を、フラットベルト試験機(型式「FR−5010」、(株)上島製作所製)を用いて測定した。測定は、幅20mm、直径10mmの円筒形の試験片を使用し、測定条件は、路面温度20℃、荷重4kgf(約39.2N)、試験片速度20km/時とし、路面に対する測定試料のスリップ率を0%から70%変化させて、その際に検出される摩擦係数μの最大値を読み取った。
次いで、比較例1の摩擦係数μを基準とし、下記式により、各配合の摩擦係数μを指数化した。
(グリップ指数)=(比較例1のグリップ指数)/(各配合のグリップ指数)×100
上記式より算出されるグリップ指数が大きいほど、グリップ特性が優れていることを示す。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2007291178
実施例1、2および5と、比較例1との対比により明らかなように、変性SBR−水ガラス複合体を含有することにより、加工性、耐摩耗性、転がり抵抗特性およびグリップ特性のいずれについても向上した。また、シリカの配合量が少ない実施例4では、加工性、耐摩耗性およびグリップ特性を維持しつつ、転がり抵抗特性を大きく向上させることができた。
さらに、シリカおよびシランカップリング剤を配合していない実施例3と、比較例2との対比より明らかなように、変性SBR−水ガラス複合体を含有することにより、加工性に低下が見られたものの、転がり抵抗特性を維持しつつ、耐摩耗性およびグリップ統制を向上させることができた。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。
図1は、実施例1と比較例1とについて、tanδの温度変化を対比したグラフである。 図2は、実施例1と比較例1とについて、貯蔵弾性率E’の温度変化を対比したグラフである。 図3は、実施例2と比較例1とについて、tanδの温度変化を対比したグラフである。 図4は、実施例2と比較例1とについて、貯蔵弾性率E’の温度変化を対比したグラフである。

Claims (7)

  1. ジエン系ゴムを含むゴム分と、変性スチレンブタジエンゴムと水ガラスとの複合体と、を含んでいることを特徴とする、トレッド用ゴム組成物。
  2. 前記複合体を、前記ゴム分100重量部に対し、3〜150重量部の割合で含有することを特徴とする、請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
  3. 前記複合体が、前記変性スチレンブタジエンゴム100重量部に対し、前記水ガラスを、SiO2の換算値として、3〜80重量部の割合で含有していることを特徴とする、請求項1または2に記載のトレッド用ゴム組成物。
  4. さらに、シリカと、シランカップリング剤とを含み、
    前記シリカを、前記ゴム分100重量部に対し、150重量部以下の割合で含有し、
    前記シランカップリング剤を、前記シリカ100重量部に対し、1〜30重量部の割合で含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  5. さらに、カーボンブラックを含み、
    前記カーボンブラックを、前記ゴム分100重量部に対し、100重量部以下の割合で含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  6. 前記複合体の変性スチレンブタジエンゴムが、分子中にカルボキシル基および/またはアミノ基を有する変性スチレンブタジエンゴムであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物からなるトレッド部を有していることを特徴とする、タイヤ。
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