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JP2007271320A - 加速度・角速度検出素子およびその製造方法、ならびに加速度・角速度測定装置 - Google Patents

加速度・角速度検出素子およびその製造方法、ならびに加速度・角速度測定装置 Download PDF

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JP2007271320A JP2006094265A JP2006094265A JP2007271320A JP 2007271320 A JP2007271320 A JP 2007271320A JP 2006094265 A JP2006094265 A JP 2006094265A JP 2006094265 A JP2006094265 A JP 2006094265A JP 2007271320 A JP2007271320 A JP 2007271320A
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Tokuichi Yamaji
徳一 山地
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Abstract


【課題】 小型で特性ばらつきの小さい3軸加速度および3軸角速度検出素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 加速度・角速度測定素子1は、基体2と乗載体3との間に犠牲層8(図示しない)を介すれば、基体2から順に、基体側電極7、犠牲層8、重錘側電極6、支持梁5、板状部材4および重錘3を積上げることで形成可能な、積上げ形の構造である。従来構造のように、重錘3を支持するための筐体または枠体が設けられていないので、製造工程が簡単になり、小型で特性ばらつきの小さい加速度・角速度検出素子を提供することが可能となる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、加速度・角速度センサとその製造方法に関するものであり、特に3軸加速度と3軸角速度が同時に測定可能な加速度・角速度センサと、MEMS(Micro Electro
Mechanical Systems)技術を用いた製造方法とに関する。
加速度センサおよび角速度センサは、サーボ形、圧電形、静電容量形、およびピエゾ抵抗形などがある。これまでは、主として、自動車の車載用として、たとえば、車両安定化用、またはエアバッグなどの安全用として用いられている。
近年、マイクロマシン(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて、小型の加速度センサおよび角速度センサが実現されるにつれ、一般の民生用機器にも用途が拡大している。たとえば、パソコンなどのディスク保護用、デジタルカメラにおける手ぶれ感知用、または携帯電話機の傾き検知用に応用されている。これらの民生機器ではより一層の小型化が要求されるとともに、空間の直交する3方向の検知が可能な3軸加速度センサおよび3軸角速度センサが望まれる。
従来の技術として、特許文献1では、1つの素子で加速度と角速度の双方が検出可能な装置が開示され、特許文献2では、重錘を所定軸周りに回転運動させることにより、多次元の角速度が同時に測定可能な角速度センサが開示されている。また、特許文献3には、MEMS技術を用いた半導体加速度センサの製造方法が開示されている。
特開平8−68636号公報 特開2006−38879号公報 特許第3191770号公報
しかしながら、従来の技術の構成では、加速度・角速度検出素子の小型化という点で十分ではない。特許文献1および2の検出素子は、力検出用の重錘を支持するために筐体が必要な構造であるので、素子を作製するためには複数基板の貼り合せが必要であり(たとえば特許文献1の図40および特許文献2の図19を参照)、小型化が困難である。
また、特許文献3では、重錘と枠体とを切り離すために深いエッチングが必要であるので、製造プロセスが長時間になりコスト増加の要因となっている。また、必然的に加工精度が悪くなるので、寸法誤差が生じやすく特性のばらつきも大きい。
本発明の目的は、MEMS技術を用いる製造に好適な構造であり、かつ3軸加速度および3軸角速度が測定可能な構造であるような、小型で特性ばらつきの小さい加速度・角速度検出素子およびその製造方法、ならびに加速度・角速度測定装置を提供することにある。
本発明の加速度・角速度検出素子は、基体と、
重錘と、
前記基体と間隔を開けて設けられ、前記重錘が乗載される乗載体と、
前記基体上で前記乗載体を支持し、可撓性を有する支持体と、
前記乗載体に、前記基体に臨んで設けられる重錘側電極と、
前記基体に、前記重錘側電極と対向して設けられる基体側電極とを含むことを特徴とする。
また本発明の加速度・角速度測定装置は、前記加速度・角速度検出素子と、
前記重錘および乗載体に周期的な運動を与える駆動手段と、
前記重錘側電極および前記基体側電極間の静電容量を測定する測定手段とを含むことを特徴とする。
また本発明の加速度・角速度測定装置は、前記重錘側電極は、駆動用電極として用いられる重錘側駆動用電極と、測定用電極として用いられる重錘側測定用電極とを含み、
前記基体側電極は、前記重錘側駆動用電極に対向し、駆動用電極として用いられる基体側駆動用電極と、前記重錘側測定用電極に対向し、測定用電極として用いられる基体側測定用電極とを含み、
前記加速度・角速度検出素子と、
前記重錘側駆動用電極および前記基体側駆動用電極間に、交流電圧を印加する駆動手段と、
前記重錘側測定用電極および前記基体側測定用電極間の、静電容量を測定する測定手段とを含むことを特徴とする。
また本発明の加速度・角速度検出素子の製造方法は、基体の表面に基体側電極を形成する工程と、
前記基体側電極を覆うように犠牲層を形成する工程と、
前記犠牲層の表面上で、前記基体側電極と対向する位置に、重錘側電極を形成する工程と、
前記犠牲層および前記重錘側電極を覆うように被覆層を形成する工程と、
前記被覆層の外周部を、前記犠牲層に達するまで部分的に除去することによって、基体から立ち上がり、可撓性を有する支持体と、この支持体に連なる乗載体とを形成する工程と、
前記乗載体に重錘を形成する工程と、
前記犠牲層を除去する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の加速度・角速度検出素子によれば、基体上に支持体があり、支持体で乗載体が支持され、乗載体に重錘が乗載されるというように、検出素子の各構成要素が基体から順に積上げ形の構造で形成される。また、基体と乗載体とが対向する面には、基体側電極と重錘側電極とがそれぞれ設けられる。ここで、支持体が可撓性を有していることから、支持体の撓みによって、支持体で支持される乗載体および重錘が所定位置から変位する。そして、この変位を測定することで、加速度および角速度の検出が行われる。
加速度の検出は、加速度によって重錘および乗載体に作用する力を検出することによる。すなわち、重錘および乗載体に力が加わると、可撓性を有する支持体が撓むことで、重錘および乗載体が所定位置から変位し、この変位が基体側および重錘側電極間の静電容量の変化として測定される。ここで、基体側および重錘側電極は、対向する電極が1組の測定用電極として用いられる。測定用電極が1組の場合は一方向の加速度が測定可能な1軸加速度センサとして機能し、2組の場合は2軸加速度センサとして機能し、3組以上の場合は3軸の加速度センサとして機能することになる。なお、2軸以上の場合は、基体側電極また重錘側電極のいずれか一方を共通電極とする構成であってもよい。
一方、角速度の検出は、予め周期的な運動を与えられている重錘が、その運動の方向と異なる方向に延びる軸線まわりに回転するときに生じるコリオリ力を検出することによって行われる。コリオリ力は、重錘の運動方向と回転軸の軸線方向との両方に垂直な方向に生じる。ここで、本発明の加速度・角速度検出素子では、重錘に周期的な運動を与えるために、対向する基体側および重錘側電極を1組の駆動用電極として使用すれば、この駆動用電極間に交流電圧を印加して、両駆動用電極間に発生するクーロン力を発生させることができる。この場合、駆動用電極と別に、コリオリ力による重錘および乗載体の変位を、静電容量の変化として測定するための測定用電極が必要となる。
駆動用電極が1組の場合は、重錘を一方向に励振させることができるので、その励振方向と垂直な2方向の軸線まわりに回転するときの角速度を検出できる。駆動用電極が2組の場合は、重錘を2方向に励振させることが可能であるので、励振方向を切替えれば、原理的には3方向の軸線まわりの角速度の測定が可能となる。駆動用電極を3組以上の構成にして、かつこれら3組の駆動用電極が所定の方向に一直線状に並ばないように配置すると、重錘を連続的に周回運動させることができるので、3軸の角速度を同時に測定できる。なお、駆動用電極の場合も、基体側電極または重錘側電極のいずか一方を共通電極とする構成にしてもよく、測定用電極の共通電極と共通にする構成にしてもよい。
このように、基体側電極および重錘側電極の少なくとも一方を複数有する構成とし、静電容量を測定する測定用電極、および重錘に周期的な運動を与える駆動用電極として用いることで、本発明に係る加速度・角速度検出素子は、加速度および角速度の検出が可能な検出用素子として機能する。
ここで、本発明の加速度・角速度検出素子は、積上げ形の構造であることから、MEMS技術を用いることで小型化が可能な素子構造となっている。すなわち、本発明の加速度・角速度検出素子は、基体と乗載体との間に犠牲層を介すれば、基体から順に、基体側電極、犠牲層、重錘側電極、支持体、乗載体および重錘を積上げることで、素子構造を形成することが可能である。従来構造のように、重錘および乗載体を支持するための筐体または枠体が設けられていないので、複数の基板を貼り合わせる工程、および重錘と枠体を切り離すための深いエッチング工程を必要としない。このように、製造工程が簡単になることから、製造上の寸法精度が増し、結果として、小型で特性ばらつきの小さい加速度・角速度検出素子を提供することが可能となる。
また本発明の加速度・角速度測定装置によれば、重錘および乗載体に周期的な運動を与える駆動手段と、重錘側電極および基体側電極間の静電容量を測定する測定手段を含むことから、加速度によって重錘に作用する力、および角速度によって重錘に生じるコリオリ力を、重錘側および基体側電極間の静電容量の変化として測定することができる。ここで、駆動手段としては、上述したように、駆動用電極として用いられる重錘側電極および基体側電極間に交流電圧を印加してクーロン力を発生させてもよく、別の手段によってもよい。本発明によれば、加速度・角速度測定装置に用いられる検出素子が前述したように小型で特性ばらつきが小さいものであることから、測定装置全体として、余分な補正回路等を必要とせず小型で高精度のものを実現できる。
また本発明の加速度・角速度測定装置によれば、駆動用電極として用いられる重錘側電極および基体側電極間に、交流電圧を印加する駆動手段と、測定用電極として用いられる重錘側電極および基体側電極間の、静電容量を測定する測定手段とを含むことから、駆動手段を用いて重錘および乗載体に周期的な運動を与えれば、加速度によって重錘に作用する力、および角速度によって重錘に生じるコリオリ力を、重錘側および基体側電極間の静電容量の変化として測定することができる。そして、加速度・角速度測定装置に用いられる検出素子が前述したように小型で特性ばらつきが小さいものであることから、測定装置全体として、余分な補正回路等を必要とせず小型で高精度のものを実現できる。
また本発明の加速度・角速度検出素子の製造方法によれば、検出素子の積上げ形の構造は、基体と被覆層との間に犠牲層を介することにより、基体から順に、基体側電極、犠牲層、重錘側電極、被覆層、および重錘を積層することで形成される。また、被覆層の外周部を犠牲層に達するまで部分的に除去することによって、基体から立ち上がる可撓性をもった支持体と、この支持体に連なる乗載体とが形成される。このように、MEMS技術を用いることで、小型化が可能な構造の加速度・角速度検出素子を簡単なプロセスで精度よく製造することが可能になる。
図1は、本発明の実施の一形態としての加速度・角速度検出素子1の基本的構成を模式的に示す平面図である。また、図2は、図1の切断面線II−IIから見た加速度・角速度検出素子1の基本的構成を模式的に示す断面図である。
図1および図2において、加速度・角速度検出素子1は、基体2と、重錘3と、基体2と間隔を開けて設けられ、突出部4aを有し、重錘3が固着される板状部材4と、基体2上に設けられて、板状部材4の突出部4aを支持する支持梁5と、基体2に臨んで、板状部材4に設けられる重錘側電極6と、重錘側電極6と対向して基体2に設けられる基体側電極7とを含んで構成される。ここで、重錘側電極6は重錘側検出電極6aと重錘側駆動電極6bとで構成され、基体側電極7は、基体側検出電極7aと基体側駆動電極7bとで構成される。これらの電極のうち、測定用電極として用いられるのが、重錘側測定用電極としての重錘側検出電極6aと、基体側測定用電極としての基体側検出電極7aとであり、重錘側検出電極6aおよび基体側検出電極7a間の静電容量が測定される。また、駆動用電極として用いられるのが、重錘側駆動用電極としての重錘側駆動電極6bと、基体側駆動用電極としての基体側駆動電極7bとであり、重錘側駆動電極6bおよび基体側駆動電極7b間に交流電圧が印加され、周期的なクーロン力が発生する。
基体2は、略平面状の主面2aを有し、その主面2a上に、重錘3、板状部材4、支持梁5、重錘側電極6、および基体側電極7が形成される。基体2の材料は、シリコン、ガラス、石英、二酸化ケイ素、または樹脂などから選ばれる。
重錘3は、本実施の形態では円柱状の形状を有している。重錘3の材料は、シリコン、ガラス、石英、二酸化ケイ素、樹脂、または金属から選ばれる。重錘3の重量および形状は、後述する板状部材4の突出部4aおよび支持梁5の形状および弾性率に応じて所望の共振周波数が得られるように設定される。なお、以下の説明において、重錘3の重心を通り、基体2の前記主面2aに垂直な直線を、重錘3の軸線3aという。
板状部材4は、本実施の形態では略円板状の形状を有している。板状部材4の材料は、シリコン、ガラス、石英、二酸化ケイ素、または樹脂などから選択される。本実施の形態では、板状部材4の面方向の端面に3個の突出部4aが形成される。突出部4aは、所定の突出長さの寸法L2、幅寸法W2および厚み寸法t2をもった棒状の形状を有する。突出部4aの厚み寸法t2は板状部材4の厚み寸法に等しい。また、突出部4aの弾性率は、板状部材4の材料で決まる所定の弾性率を有している。
支持梁5は、基体2の前記主面2a上に形成され、板状部材4の突出部4aの先端部を支持する。支持梁5の材料は、シリコン、ガラス、石英、二酸化ケイ素、樹脂、または金属などから選択される。支持梁5は、前記主面2aに垂直な方向の長さ寸法L1を有し、幅寸法W1および厚み寸法t1を有する棒状に形成される。本実施の形態では、支持梁5の厚み寸法t1と突出部4aおよび板状部材4の厚み寸法t2はほぼ等しい。また、支持梁5の弾性率は、その材料で決まる所定の弾性率を有している。
本実施の形態では、板状部材4の突出部4aと支持梁5とで、略直角に曲がる梁が形成され、これら突出部4aと支持梁5とが支持体を構成する。突出部4aと支持梁5との少なくとも一方が撓むことで、重錘3を所定位置から任意の方向に変位させることができる。ここで、前述した突出部4aと支持梁5の寸法および弾性率は、重錘3の重量に対応して、所望の共振周波数が得られるように設定される。たとえば、板状部材4および支持梁5の材料として二酸化ケイ素を選択し、重錘3の質量を100μg〜100mgにするとき、突出部4aと支持梁5を合わせた長さ寸法(L1+L2)は、10〜1000μmに選ばれ、突出部4aおよび支持梁5の幅寸法(W1,W2)は、1〜100μmに選ばれ、突出部4aおよび支持梁5の厚み寸法(t1,t2)は、0.1〜100μmに選ばれる。なお、本実施の形態では、板状部材4から突出部4aを除く残余の部分が前記乗載体に対応する。
重錘側電極6は、板状部材4のうち、基体2の前記主面2aに臨む表層部に形成される。本実施の形態では、重錘側電極6は、3個の重錘側検出電極6aと3個の重錘側駆動電極6bとで構成され、重錘3の軸線3aを中心にして対称な位置に配置されるように、また、重錘側検出電極6aと重錘側駆動電極6bとが交互に並ぶように形成される。また、重錘側検出電極6aが前述した突出部4aの近傍に配置される。重錘側検出電極6aおよび重錘側駆動電極6bの形状は、板状部材4の厚み方向からみて、略長方形状である。また、本実施の形態では、重錘側電極6は、基体2に対向する表面部を除いて板状部材4に埋め込まれて形成される。重錘側電極6の材料には、導電性のある材料として、銅、金、クロム、チタン、白金、アルミニウム、銀、およびニッケルなどの金属が選択される。また、電極の形成方法は、スパッタリング法、蒸着法、化学的気相成長(CVD)法、メッキ法、および印刷法を用いることができる。この場合、単一の膜を形成してもよいし、異なる成分から成る複数の膜を積層して形成してもよい。
基体側電極7は、基体2の前記主面2aに、重錘側電極6と対向する位置に形成される。本実施の形態では、基体側電極7は、3個の基体側検出電極7aと3個の基体側駆動電極7bとで構成され、重錘3の軸線3aを中心にして対称な位置に配置されるように、また、基体側検出電極7aと基体側駆動電極7bとが前記重錘3の軸線3aまわりに交互に並ぶように形成される。基体側電極7の材料および形成方法は、重錘側電極6と同様である。なお、本実施の形態では、重錘側電極6および基体側電極7は個別の電極で構成されるが、いずれか一方を共通の電極で構成してもよい。
次に、このような加速度・角速度検出素子1の製造方法について説明する。
図3は、本実施の形態の加速度・角速度検出素子の図1の切断面線II−IIでの製造工程を模式的に示す断面図である。なお、以下のプロセスでは犠牲層をシリコンによって形成しているので、シリコンのエッチャントとして、たとえばフッ化キセノン(XeF)ガスを用いる場合には、基体2、重錘3、板状部材4、および支持梁5の材料には、XeFガスでエッチングされないように、たとえば二酸化ケイ素を用いることができる。
最初に、図3(1)に示すような基体側電極7を形成するために、基体2の主面2aの全面に基体側電極7を構成する材料を成膜する。その後、通常のフォトリソグラフィプロセスおよびエッチングプロセスにより、成膜した膜を所望のパターンに加工して基体側電極7を形成する。
次に、図3(2)に示すように、たとえば、PE−CVD(Plasma Enhanced Chemical
Vapor Deposition)法を用いてシリコンから成る厚みL1の犠牲層8を、基体側電極7を覆うように形成する。犠牲層8の厚みL1によって、支持梁5の長さL1が規定される。
次に、図3(3)に示すような重錘側電極6を形成するために、犠牲層8の表面上で、基体側電極7と対向する位置に、重錘側電極6を形成する材料を製膜する。その後、通常のフォトリソグラフィプロセスおよびエッチングプロセスにより、成膜を所望のパターンに加工して、基体側電極7に対向するように重錘側電極6を形成する。
次に、図3(4)に示すように、犠牲層8および重錘側電極6を覆うように、厚みt1(=t2)の被覆層9を形成する材料を、スパッタリング法またはCVD法などによって成膜する。被覆層9の厚みt1(=t2)によって、支持梁5の厚みt1および、突出部4aの厚みt2が規定される。
次に、図3(5)に示すように、通常のフォトリソグラフィプロセスおよびエッチングプロセスにより、被覆層9の外周部を、犠牲層に達するまで部分的に除去する。この加工プロセスによって、支持梁5の幅寸法W1ならびに突出部4aの長さ寸法L2および幅寸法W2が規定されるとともに、板状部材4の形状が規定される。なお、本実施の形態の加速度・角速度検出素子1の製造工程においては、板状部材4と支持梁5を一体で形成しているが、これらを別々に形成することもできる。
次に、図3(6)に示すように、重錘3を構成する材料をスパッタリング法、CVD法、めっき法または印刷法などによって製膜し、所望の形状に加工することで、重錘3が形成される。なお、本実施の形態と異なり、重錘3を、被覆層9と一体で形成して、エッチングによって所望の形状になるように作製することもできる。
次に、図3(7)に示すように、犠牲層8を選択的にエッチング除去して、図1に示した構造の加速度・角速度検出素子1が得られる。ここで、シリコンから成る犠牲層8を選択的にエッチング除去するには、たとえば、フッ化キセノン(XeF)ガスを用いてドライエッチングによって除去すればよい。
参考として、以上のプロセスによって、加速度・角速度検出素子1を作製する場合の、各層の材料および膜厚の一例を表1に示す。
Figure 2007271320
以上のように、本実施の形態の加速度・角速度検出素子1の製造工程によれば、犠牲層8を用いた簡単なプロセスで加速度・角速度検出素子1を作成することが可能である。また、可撓性を有する突出部4aと支持梁5の形状寸法は、膜厚およびフォトリソグラフィの精度によって決定されるので、制御性よく可撓性を有する支持体(突出部4aと支持梁5)を形成することができる。したがって、小型で特性ばらつきの小さい加速度・角速度検出素子を提供することができ、測定装置全体としても、余分な補正回路等を必要とせず小型で高精度のものを実現できる。
次に、本実施の形態の加速度・角速度検出素子1を用いた加速度および角速度の測定について説明する。
図4は、本実施の形態の加速度・角速度検出素子を用いた加速度・角速度測定装置15の構成を概略的に示すブロック図である。加速度・角速度測定装置15は、前述した加速度・角速度検出素子1と、それを封止する封止手段10と、重錘側駆動電極6bと基体側駆動電極7bとの間に交流電圧を印加するための駆動手段11と、重錘側検出電極6aと基体側検出電極7aとの間の静電容量を測定するための測定手段12と、測定手段12による測定結果をもとに加速度および角速度を算出するデータ処理手段13と、記憶手段14とを含んで、構成される。
封止手段10は、ガラス、シリコン、金属および樹脂などを用いた一体形のパッケージとして構成してもよいし、前記材料の1つを用いて貼り合わせによって形成することも可能である。封止手段10によって、加速度・角速度検出素子1のうち、重錘3、板状部材4、支持梁5、重錘側電極6および基体側電極7は、真空中または窒素雰囲気中に保持される。
駆動手段11は、互いに対向する重錘側駆動電極6bと基体側駆動電極7bとの間に交流電圧を印加するための電圧源を含んで構成される。本実施の形態では、駆動用電極は、3組の互いに対向する重錘側駆動電極6bと基体側駆動電極7bとで構成され、これらは、重錘3の軸線3aまわりに120度の角度をもって放射状に配置される。この場合、120度ずつ位相の異なる3つの交流信号をそれぞれ与えることで、重錘3に首を回すような周回運動をさせることができる。対向する電極間に印加される交流信号の電圧として、たとえば0.01〜100Vが選ばれ、周波数として、たとえば2〜10000Hzが選択される。信号波形には矩形波または正弦波などが選ばれる。
測定手段12は、互いに対向する重錘側検出電極6aと基体側検出電極7aとの間の静電容量を測定するための測定器を含んで構成される。測定器には、CV変換回路が内蔵され、容量が電圧に変換されて計測される。本実施の形態では、測定用電極は、独立した3組の互いに対向する重錘側検出電極6bと基体側検出電極7bとで構成され、これらは、重錘3の軸線3aまわりに120度の角度をもって放射状に配置される。したがって、重錘3および板状部材4の任意の方向の変位を静電容量の変化として検出することができる。
データ処理手段13は、独立した3組の互いに対向する重錘側検出電極6bと基体側検出電極7bとの間の静電容量を、測定器によって測定した測定結果をもとに、重錘3の所定位置からの変位を算出する。ここで、所定の方向に加速度を与えた場合、および、所定の軸方向のまわりに所定の角速度で回転させた場合の変位量を、記憶手段14にテーブルとして予め記憶しておき、これらの記憶されたデータをもとに、データ処理手段13は、加速度および角速度を決定する。データ処理手段13は、たとえばマイクロコンピュータによって実現される。
このような加速度・角速度測定装置15を用いた加速度および角速度の測定原理は概略次のようになる。
加速度の検出は、加速度によって重錘3に作用する力を検出することによる。重錘3に力が加わると、可撓性を有する支持体(突出部4aおよび支持梁5)が撓むことで、重錘3が所定位置から変位し、この変位を基体側検出電極7aおよび重錘側検出電極6a間の静電容量の変化として測定器によって測定する。本実施の形態では、独立した3組の互いに対向する基体側検出電極7aおよび重錘側検出電極6aがあるので、3軸の加速度の測定が可能である。
一方、角速度の検出は、予め周期的な運動を与えられている重錘3が、その運動の方向と異なる方向に延びる軸線まわりに回転するときに生じるコリオリ力を検出することによって行われる。コリオリ力は、重錘3の運動方向と回転軸の延びる方向との両方に垂直な方向に生じる。本実施の形態では、3組の独立した互いに対向する重錘側駆動電極6bと基体側駆動電極7bとの間に位相の異なる交流信号を与えることによって、重錘3を周回運動させることができる。この状態で、加速度・角速度検出素子1が、ある軸線まわりに回転すると、コリオリ力を受けて重錘3の周回軌道が変化することになるので、その変化分を独立した3組の基体側検出電極7aおよび重錘側検出電極6aを用いて測定することで、角速度の算出が可能になる。
なお、加速度による重錘3の変位は略定常的なものであるに対して、角速度にもとづく重錘3の変位は、重錘3の周回運動の周期に比例した周期的なものであるので、加速度と角速度とは独立して測定することが可能である。
次に本発明の他の実施の形態について説明する。
図5は、本発明の他の実施の形態の加速度・角速度検出素子16a,16bのうち、重錘側電極の構成を模式的に示す平面図であり、基体2の前記主面2a側から見た重錘側電極6の形状および配置を示している。本実施の形態の加速度・角速度検出素子16a,16bは、前述した図1および図2に示される加速度・角速度検出素子1について、重錘側電極6の形状および配置を変更したものである。図1および図2に示される実施の形態と対応する部分には同一の参照符号を付し、重複を避けて説明は省略する。
図5(1)に示す加速度・角速度検出素子16aは、重錘側検出電極6aと重錘側駆動電極6bとを4個ずつ配置した構成を有する。重錘側検出電極6aと重錘側検出電極6aとは、重錘3の軸線3aまわりに放射状に、かつ回転対称に形成される。また、重錘側検出電極6aと重錘側駆動電極6bとは、重錘3の軸線3aまわりに交互に配置される。このように電極の個数を増加させることで、重錘3に与える周回運動をより滑らかなものとすることができる。また、重錘3の変位量の測定精度も増す。なお、3軸加速度および3軸加速度を同時測定するには、最低3組の検出電極と駆動電極が必要である。
図5(2)に示す加速度・角速度検出素子16bは、重錘側検出電極6aと重錘側駆動電極6bとの形状を、図1に示した略長方形状の形状から、台形状の形状に変えた構成を有する。ここで、重錘側電極6は、上底が重錘3の軸線3a側に配置され、上底の中点と下底の中点を結ぶ直線が軸線3aと交差するように形成される。台形以外にも扇形など種々の形状に任意に変更することができる。なお、図5においては、重錘側電極6において例示したが、基体側電極7についても同様である。
図6は、本発明の他の実施の形態として、加速度・角速度検出素子17の支持体の構成を模式的に示す平面図である。本実施の形態の加速度・角速度検出素子17は、前述した図1および図2に示される加速度・角速度検出素子1について、支持体の構成を変更したものである。図1および図2に示される実施の形態と対応する部分には同一の参照符号を付し、重複を避けて説明は省略する。
図1においては、支持体(突出部4aと支持梁5)が3本の構成を例示したが、図6においては、支持体が4本の構成を例示している。支持体は、重錘3および板状部材4を支持するとともに、適度な可撓性によって重錘3を変位させる必要があるので、そのような効果がある範囲内で構成を変えることができる。たとえば、前述した実施の形態では、略直角に曲がった梁の形状を有していたが、鈍角に曲がった梁の形状とすることも可能である。また、板状部材4の周縁部の厚みを薄くすることで、板状部材4の周縁部全体に可撓性をもたせる構成も可能である。
図7は、本発明の他の実施の形態として、加速度・角速度検出素子18a,18bの重錘側電極と支持体の位置関係を模式的に示す平面図である。本実施の形態の加速度・角速度検出素子18a,18bは、前述した図1および図2に示される加速度・角速度検出素子1について、支持体の構成を変更したものである。図1および図2に示される実施の形態と対応する部分には同一の参照符号を付し、重複を避けて説明は省略する。
図1においては、重錘側電極6と支持体の位置関係は、重錘側検出電極6aの近傍に突出部4aを設け、支持梁5で支持する構成であるが、図7(1)のように、支持体(突出部4aと支持梁5)が重錘側駆動電極6bの近傍に配置されるように形成してもよい。また、図7(2)のように、支持体(突出部4aと支持梁5)が重錘側検出電極6aと重錘側駆動電極6bとの間に配置されるように形成してもよいし、あるいは、任意の位置関係でもよい。
以上の実施の各形態は、本発明の例示に過ぎず、以上に例示した以外にも本発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば、駆動用の重錘側駆動電極6bおよび基体側駆動電極7bを設けずに、静電容量測定用の重錘側検出電極6aおよび基体側検出電極7aのみを設けた加速度のみの検出素子として構成することもできる。
また、重錘3に周期的な運動を与える駆動手段としては、静電力による方法以外に、電磁石を用いた電磁力によって重錘3に周期的な運動を与えることもできる。さらに、電気的な手段以外に熱的な手段も可能である。たとえば、ヒータを用いた熱膨張および熱収縮によって支持体を変形させて、重錘3に周期的な運動を与えることもできる。
また、駆動手段として重錘側駆動電極6aと基体側駆動電極7bとによる静電力を用いる場合、重錘3の変位の検出手段としては、静電容量による方法に限らず、支持体に設けたピエゾ素子を変位検出手段として用いることもできる。
本発明の実施の一形態としての加速度・角速度検出素子1の基本的構成を模式的に示す平面図である。 図1の切断面線II−IIから見た加速度・角速度検出素子1の基本的構成を模式的に示す断面図である。 本実施の形態の加速度・角速度検出素子1の図1の切断面線II−IIでの製造工程を模式的に示す断面図である。 本実施の形態の加速度・角速度検出素子1を用いた加速度・角速度測定装置15の構成を概略的に示すブロック図である。 本発明の他の実施の形態として、加速度・角速度検出素子16a,16bの重錘側電極の構成を模式的に示す平面図である。 本発明の他の実施の形態として、加速度・角速度検出素子17の支持体の構成を模式的に示す平面図である。 本発明の他の実施の形態として、加速度・角速度検出素子18a,18bの重錘側電極と支持体の位置関係を模式的に示す平面図である。
符号の説明
1,16a,16b,17,18a,18b 加速度・角速度検出素子
2 基体
3 重錘
4 板状部材
4a 突出部
5 支持梁
6 重錘側電極
6a 重錘側検出電極
6b 重錘側駆動電極
7 基体側電極
7a 基体側検出電極
7b 基体側駆動電極
8 犠牲層
9 被覆層
11 駆動手段
12 測定手段
15 加速度・角速度測定装置

Claims (4)

  1. 基体と、
    重錘と、
    前記基体と間隔を開けて設けられ、前記重錘が乗載される乗載体と、
    前記基体上で前記乗載体を支持し、可撓性を有する支持体と、
    前記乗載体に、前記基体に臨んで設けられる重錘側電極と、
    前記基体に、前記重錘側電極と対向して設けられる基体側電極とを含むことを特徴とする加速度・角速度検出素子。
  2. 請求項1記載の加速度・角速度検出素子と、
    前記重錘および乗載体に周期的な運動を与える駆動手段と、
    前記重錘側電極および前記基体側電極間の静電容量を測定する測定手段とを含むことを特徴とする加速度・角速度測定装置。
  3. 前記重錘側電極は、駆動用電極として用いられる重錘側駆動用電極と、測定用電極として用いられる重錘側測定用電極とを含み、
    前記基体側電極は、前記重錘側駆動用電極に対向し、駆動用電極として用いられる基体側駆動用電極と、前記重錘側測定用電極に対向し、測定用電極として用いられる基体側測定用電極とを含み、
    請求項1記載の加速度・角速度検出素子と、
    前記重錘側駆動用電極および前記基体側駆動用電極間に、交流電圧を印加する駆動手段と、
    前記重錘側測定用電極および前記基体側測定用電極間の、静電容量を測定する測定手段とを含むことを特徴とする加速度・角速度測定装置。
  4. 基体の表面に基体側電極を形成する工程と、
    前記基体側電極を覆うように犠牲層を形成する工程と、
    前記犠牲層の表面上で、前記基体側電極と対向する位置に、重錘側電極を形成する工程と、
    前記犠牲層および前記重錘側電極を覆うように被覆層を形成する工程と、
    前記被覆層の外周部を、前記犠牲層に達するまで部分的に除去することによって、基体から立ち上がり、可撓性を有する支持体と、この支持体に連なる乗載体とを形成する工程と、
    前記乗載体に重錘を形成する工程と、
    前記犠牲層を除去する工程とを含むことを特徴とする加速度・角速度検出素子の製造方法。
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