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JP2007266042A - 積層構造体の製造方法 - Google Patents

積層構造体の製造方法 Download PDF

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JP2007266042A JP2006085114A JP2006085114A JP2007266042A JP 2007266042 A JP2007266042 A JP 2007266042A JP 2006085114 A JP2006085114 A JP 2006085114A JP 2006085114 A JP2006085114 A JP 2006085114A JP 2007266042 A JP2007266042 A JP 2007266042A
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Abstract

【課題】 積層構造体のキャビティー内に、精度良く凸部を形成することができる積層構造体の製造方法を提供することにある。
【解決手段】
第1の積層用シート5と、平面視で枠状の凸部2を有する支持体1と、支持体1上で且つ枠状の凸部2の外側に搭載されるとともに、平面視で枠状をなす第2の積層用シート4bと、支持体1上で且つ枠状の凸部2の内側に搭載される第3の積層用シート4aとを準備する第1の工程と、第2及び第3の積層用シート4が、第1の積層用シート5と支持体1との間に挟まれるように、張り合わせる第2の工程とを経る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体装置や複合電子部品等に用いられる多層回路基板のような積層構造体の製造方法に関するものである。
従来、セラミック多層回路基板などの電子部品収納用のキャビティーを有する積層構造体の製造方法は次のようであった。
まず、ドクターブレード方等によりセラミックグリーンシートを成形した後、セラミックグリーンシートに金属粉末を含有する導体ペーストを印刷する等してセラミックグリーンシートに導体層を形成する。
次に複数枚の導体層が形成された積層グリーンシートを積層して加圧することにより圧着して積層体を形成しておき、金型等による打ち抜きによって別途形成しておいた枠状のセラミックグリーンシートの1枚もしくは複数枚を積層体の上にさらに積層することでセラミックグリーンシート積層体を得ていた。
このセラミックグリーンシート積層体を焼成して成るセラミック多層回路基板には、ICチップ、トランジスタ、チップ状抵抗、チップコンデンサなどの電子部品が搭載されるが、近年ではより一層の高密度化と低背化を目的として、特許文献1では、キャビティー内に比較的厚みが大きな電子部品(例えばチップコンデンサなど)を配置し、さらにキャビティーを覆うように比較的薄い電子部品(例えばICチップ)を配置する構造が考えられている。
このような構造の多層回路基板においては、キャビティーを覆うように配置された電子部品と多層回路基板との電気的接続を行なうための接点は、キャビティーの平面視での周辺領域に集中するため、この電子部品が電流を多く必要とし発熱量が大きなものであった場合には、キャビティー内に熱が蓄積され、キャビティー内の電子部品およびキャビティーを覆うように配置された電子部品、さらには多層回路基板の特性に影響を与えることが考えられる。
そこで、本発明者らは、キャビティー内に突起部を形成すれば、キャビティーを覆うように配置された電子部品と、突起部上部とを物理的に接続し、電子部品と多層回路基板との接点を増加させることが可能となり、その結果として電子部品の熱が多層回路基板へより放熱され、キャビティーおよびキャビティー周辺の放熱性を向上させることが可能であるとの新規な知見を得るに至った。
特開平7−42165号公報
しかしながら、本発明者らが、上記従来の多層回路基板の製造方法を用いてキャビティー内に突起部を形成しようとしても、以下の理由で不可能であった。
即ち、基板となる第1のセラミックグリーンシート上に形成され、平面視で枠状をなす枠状部用の第2のセラミックグリーンシートと、この第2のセラミックグリーンシートに囲繞される突起部用の第3のセラミックグリーンシートとを同時に形成するために、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという。)製の支持体上に、それぞれのスラリーを塗布する。ところが、このスラリーは流動性があることから、双方のスラリーが支持体上で交じり合ってしまい、枠状部となる第2のセラミックグリーンシートと、突起部となる第3のセラミックグリーンシートとが確実に離間した状態のセラミックグリーンシート積層体が形成できないこととなる。
そのため、枠状部と突起部とを同時に作成する方法に換え、セラミックグリーンシート積層体と同様なセラミックグリーンシートからなる突起部用の積層体を別途作製し、これをキャビティー内に載置することとした。
しかしながら、別途作成したセラミックグリーンシートからなる突起部用の積層体の強度は低いことから、キャビティー内に載置するときの治具等での保持時にかかる押力やキャビティー内に圧着する際の圧力などによって容易に変形しやすく、所望の形状の突起部を形成することが困難であった。
さらに、多層回路基板の小型化にともなってキャビティーの寸法も小さくなっており、そのキャビティー内に形成される突起部用の積層体は微小なものが必要とされた場合、このような変形しやすく、かつ、微小な突起部用の積層体を、精度良く形成することはより困難となる傾向にある。
本発明は、上記の問題点を解決するために案出されたものであり、その目的は積層構造体のキャビティー内に、精度良く突起部を形成することができる積層構造体の製造方法を提供することにある。
本発明の積層構造体の製造方法は、第1の積層用シートと、平面視で枠状の凸部を有する支持体と、該支持体上で且つ前記枠状の凸部の外側に搭載されるとともに、平面視で枠状をなす第2の積層用シートと、前記支持体上で且つ前記枠状の凸部の内側に搭載される第3の積層用シートと、を準備する第1の工程と、前記第2及び第3の積層用シートが、前記第1の積層用シートと前記支持体との間に挟まれるように、張り合わせる第2の工程とを経ることを特徴とする。
また更に、前記第2および前記第3の積層用シートの上面が、前記支持体の凸部の頂部よりも低いことを特徴とする。
また更に、前記第2の積層用シートの厚みと、前記第3の積層用シートの厚みとが異なることを特徴とする。
また更に前記第2の積層用シートと前記第3の積層用シートとが、異なる材料からなることを特徴とする。
本発明の積層構造体の製造方法によれば、上記製造方法により、支持体への配置後に第2、第3の積層用シートが互いに離間した状態のまま支持体に保持された状態にて、第2、第3の積層用シートを、これら第2、第3の積層用シートが第1積層用シートと支持体との間に挟まれるように、第1の積層用シートに圧着し、その後、支持体を剥がすことにより前記支持体における枠部分が凹部分となり、前記第3の積層用シートをキャビティー内の凸部として形成することができる。
また、本製造方法においては前記第3の積層用シートは支持体と第1の積層用シートに囲まれた状態で圧着されるため、ほとんど変形することなくキャビティー内の突起部を形成することができる。
更に、本製造方法においては、第3の積層用シートは、第2の積層用シートと共に支持体に保持された状態にて前記第1の積層用シートと圧着されることから、位置を合わすことが容易であり、精度良くキャビティー内に突起部を形成することができる。
また、本製造方法においては前記支持体に形成される枠状の凸部を平面視したときに、該凸部の内側となる支持体上面を、凸部の外側となる支持体上面よりも低く位置させることにより、前記凸部の内側に形成される前記第3の積層用シートの厚みを、前記凸部の外側に形成される前記第2の積層用シートより厚くすることができる。
逆に平面視における凸部の内側の支持体上面を、凸部の外側の支持体上面より高く位置させることにより枠状の凸部内側に形成される前記第3の積層用シート厚みを枠状の凸部外側に形成される第2の積層用シートより薄くすることもできる。
このように前記第2の積層用シートからなるキャビティー外周部の高さと、前記第3の積層用シートからなるキャビティー内部の突起部の高さを自由に異ならせることができることから、例えば、突起部の上に圧電振動子を搭載する場合であっても、その厚みに対する選択の幅が広がることとなり、設計の自由度が大きく増すこととなる。
更に、完成された積層体の突起部の周囲は、枠状部と離間していることから、この枠状部と突起部との離間領域に、別の部材、例えばIC等を搭載させることも可能となり、やはり設計の自由度が大きく増すこととなる。
また、本製造方法においては前記支持体に形成される枠状の凸部の内側および外側に形成される第2および第3の積層用シートの材料を任意に変えることも可能であり、これにより、キャビティー内部の突起部の熱伝導率等の特性を自由に設計することも可能となる。
また、本製造方法においては、前記第2の積層用シートの上面を前記支持体の凸部よりも低くすることにより、スラリー塗工により前記第2および第3の積層用シートを形成する場合において、確実に第2の積層用シートと第3の積層用シートとを離間させることができる。
本発明の電子部品の製造方法について以下に詳細に説明する。
図1は本発明の電子部品の製造方法の実施の形態の一例を示す工程毎の断面図であり、1は支持体、2は支持体上の枠状の凸部、3は導体層、4は導体層付きセラミックグリーンシート、5はグリーンシート積層体、6はキャビティーおよびキャビティー内に突起部を含む積層構造体である。
支持体1はポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系、塩化ビニル系等の有機樹脂からなるフィルム状のものが採用可能である。支持体1の表面とは、セラミックグリーンシートの剥離性を考慮して離型剤や帯電防止剤などの表面処理層を支持体1の表面に形成している場合はその表面処理層の表面である。支持体1からの剥離時にセラミックグリーンシートが伸び等で変形してしまうことを抑えるためには離型剤の表面処理層が形成されていることが好ましい。
支持体1に形成される離型剤の種類としては、大別してシリコーン系と、フッ素系、長鎖アルキル基含有系、アルキッド樹脂系、ポリオレフィン樹脂系などを用いることができる。耐熱性、剥離性及びコストの観点から、シリコーン系が望ましい。また、商品形態別にいえば無溶剤型、エマルジョン型、溶剤型のいずれでも使用し得る。
支持体1の厚みは10〜100μmが適当であり、望ましくは20〜50μが良い。これは、支持体1の厚みが10μmより薄いと変形や折れ曲がりにより形成したセラミックグリーンシート2が変形したり、剥がれや破れを引き起こしやすくなり、厚みが100μmより厚いとレーザー加工等による孔加工が難しくなるためである。
支持体1に関して、本製造方法においては図1(a)及び図2に示すように、平面視で枠状をなす凸部2を形成した支持体1を用意することが重要となる。
このような枠状の凸部2を形成した支持体1上に後述するセラミックスラリーが塗布されることにより、支持体1上のセラミックスラリーは枠状の凸部2の内側と外側にグリーンシート4a(第3の積層用シートの一例である。)および4b(第2の積層用シートの一例である。)に分割し形成することができる。さらに支持体1に保持された状態にて圧着された後、グリーンシート4aおよび4bが、積層体5(第1の積層用シートの一例である。)と支持体1との間に挟まれるように張り合わせ、その後、支持体1がグリーンシート4aおよび4bから剥がされることによりグリーンシート4aはキャビティー内の突起部7として、グリーンシート4bはキャビティー外周部として形成され、キャビティー内に突起部7が配置された積層構造体を得ることができる。尚、支持体1と、グリーンシート4aおよび4bとを分離するには、上述したように支持体1を剥がすことはもちろん、焼失させる等の除去手段により除去することも可能である。
前記支持体1上の枠状の凸部2は、平面状の支持体1上に凸部を接着等の手法により取り付けることにより形成されるが、凸部のみ異種材料で形成してもよい。もしくは、支持体1は平坦状の支持体において枠状をなす凸部以外の部分をレーザー加工等の手法で削り取る手法にて形成してもよい。
次に図1(b)に示すように支持体1に導体ペーストを用いて導体層3を形成する。
ここで、導体ペーストは導体粉末に有機バインダと溶剤と溶融成分、また必要に応じて分散剤とを加えて混合したものをボールミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、トリミックス等の混練手段により均質に分散した後、溶剤を必要量添加することにより粘度を調整することにより作製される。
導体粉末の導体材料としては、例えばW,Mo,Mn,Au,Ag,Cu,Pd(パラジウム),Pt(白金)等の1種または2種以上が挙げられ、その導体粉末はアトマイズ法、還元法等により製造されたものであり、必要により酸化防止、凝集防止等の処理をおこなってもよい。導体材料が2種以上の場合は2種類以上の粉末を混合してもよいし、合金、コーティング等により2種以上の材料が一体となった粉末であってもよい。また、分級等により微粉末または粗粉末を除去し粒度分布を調整したものであってもよい。
有機バインダとしては、従来より導体ペーストに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体,具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラ−ル系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。
有機バインダの選定に当たっては、溶解度パラメータの他、焼成工程での分解、揮発性を考慮すると、アクリル系、アルキド系の有機バインダがより好ましい。また、有機バインダの添加量としては、導体粉末により異なるが、焼成時に分解・除去されやすく、かつ導体粒子を分散できる量であればよく、導体粉末に対して外添加で5乃至20質量%程度が望ましい。また有機バインダの分子量Mwは、導体ペーストを塗布した際に支持体1の極表面に拡散したときの接着強度が、セラミックスラリーを塗布した際に発生する応力で剥がれない程度であればよく、通常20000乃至100000程度であればよい。
導体ペーストに用いる溶剤としては、導体粉末と有機バインダとを良好に分散させて混合できるようなものであればよく、テルピネオールやブチルカルビトールアセテートなどが使用可能である。溶剤は導体粉末に対して4乃至15質量%加えることにより、導体ペーストが印刷により導体層3を形成でき、かつ導体層3を形成した後に導体ペーストの滲みが発生しない程度の粘度、3000乃至40000cps程度であることが望ましい。
また導体ペーストに添加する溶剤は、導体ペーストの塗布後の形成性、乾燥性を考慮し、低沸点溶剤を用いることが好ましく、塗布の作業性を考慮すると溶剤の沸点は作業時の温度(室温)より高い方が好ましい。さらに、乾燥時の温度による支持体1の寸法変動を抑制するためには、支持体1のガラス転移点か溶融成分の融点より低いことが好ましい。
ここで支持体1のガラス転移点とは、支持体1を形成する樹脂の特性が変化する温度のことで、ガラス転移点以下ではガラス質、ガラス転移点以上では粘弾性性質を示すものであり、ガラス転移点以上になると樹脂が変形しやすくなる。また、溶融成分の融点以上であれば導体ペーストを塗布し乾燥する際に、溶剤が揮発する前に溶融成分が溶融し導体ペーストに含まれる有機バインダが移動する為、導体層3のニジミ等が発生する為である。これらを考慮すると、導体ペーストに使用する溶剤の沸点は、40℃から支持体1のガラス転移点か溶融成分の融点の低い方の範囲であるのがより好ましい。このようなものとしては、例えば支持体1としてガラス転移点70℃のPET(ポリエチレンテレフタレート)、溶融成分として融点が60℃のヘキサデカノールを用いた場合は、35℃から溶融成分の融点である60℃の範囲の沸点である、沸点57℃の酢酸メチル等の溶剤が挙げられる。
支持体1上に導体ペーストを塗布して乾燥する方法としては、従来より用いられているスクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法により塗布した後、温風乾燥機、真空乾燥機、または遠赤外線乾燥機等の乾燥機を用いることができる。
次に図1(c)に示すように、導体層3の形成された凸部2を含む支持体1の上面に、凸部2と同一高さにセラミックスラリーを塗工することによりグリーンシート4を形成する。その結果、グリーンシート4は支持体凸部2の内側と外側でそれぞれグリーンシート4a、4bに分割される。
セラミックスラリーに用いられるセラミック粉末は、多層配線基板に要求される特性に合わせて適宜選択されるが、たとえばセラミック配線基板であれば、Al、AlN、ガラスセラミック粉末(ガラス粉末とフィラー粉末との混合物)などが挙げられ、積層コンデンサであればBaTiO系、PbTiO系などの複合ペロブスカイト系セラミック粉末が挙げられる。
ガラスセラミック粉末のガラス成分としては、たとえばSiO−B系、SiO−B−Al系、SiO−B−Al−MO系(ただし、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す)、SiO−Al−MO−MO系(ただし、MおよびMは同じまたは異なってCa、Sr、Mg、BaまたはZnを示す),SiO−B−Al−MO−MO系(ただし、MおよびMは上記と同じである)、SiO−B−M O系(ただし、MはLi、NaまたはKを示す)、SiO−B−Al−M O系(ただし、Mは上記と同じである)、Pb系ガラス、Bi系ガラスなどが挙げられる。
ガラスセラミック粉末のフィラー粉末としては、たとえばAl、SiO、ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,AlおよびSiOから選ばれる少なくとも一種を含む複合酸化物(たとえばスピネル、ムライト、コージェライト)などのセラミック粉末が挙げられる。
有機バインダとしては、たとえばアクリル系(アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等)、ポリビニルブチラ−ル系、ポリビニルアルコール系、アクリル−スチレン系、ポリプロピレンカーボネート系、セルロース系などの単独重合体または共重合体が挙げられる。焼成工程での分解、揮発性を考慮すると、アクリル系バインダがより好ましい。
溶剤としては、上記のセラミック粉末と有機バインダとを良好に分散させて混合できるようなものであればよく、トルエン、ケトン類、アルコール類の有機溶媒および水などが挙げられる。これらの中で、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールなどの蒸発係数の高い溶剤はスラリー塗布後の乾燥工程が短時間で実施できるので好ましい。
セラミックスラリーを塗布してグリーンシート4aおよび4bを形成する方法としては、たとえばドクターブレード法、リップコーター法、ダイコーター法などが挙げられる。特にダイコーター法やスロットコーター法、カーテンコーター法などの押し出し式の方法を用いると、これらは非接触式の塗布方法なので、導体層を物理的な力で混合させてしまうことなくグリーンシートを形成することができるのでよい。なお、グリーンシート4aおよび4bの厚さは、導体層3の厚みより厚くなるように形成される。
支持体1上に塗布したセラミックスラリーを乾燥するための熱処理は、導体ペーストの乾燥方法と同様に、従来より用いられている温風乾燥機や遠赤外線乾燥機等のような輻射熱や伝熱を利用した乾燥機を用いて行なわれ、熱処理に加えて減圧することにより溶剤の蒸気圧を下げて蒸発速度を上げるようにした真空乾燥機等の乾燥機を用いてもよい。また乾燥するための熱処理の温度は、導体ペーストに含まれる溶融成分が溶融し、上述したように、支持体1のガラス転移点以下であることが望ましい。例えば支持体1としてガラス転移点70℃のPET(ポリエチレンテレフタレート)、溶融成分として融点が45℃のヘキサデカノールを用いた場合は、セラミックスラリーを乾燥する際の温度は45乃至70℃が挙げられる。
なお、図1(d)に示すように必要に応じて上下の層間の導体層3同士を接続するためのビアホール導体やスルーホール導体等の貫通導体を形成してもよい。これら貫通導体は、パンチング加工やレーザ加工等によりセラミックグリーンシート4に形成した貫通孔に、導体材料粉末をペースト化した導体ペーストを印刷やプレス充填により埋め込む等の手段によって形成される。貫通穴加工は、セラミックグリーンシート4が厚い場合、パンチング加工がセラミックグリーンシート4の表裏の貫通穴径に差異がなく、好ましい。貫通孔に、スクリーン印刷法またはプレス充填法を用いて、ビア導体の前駆体である導体ペーストを充填する。
次に図1(e)に示すようにグリーンシート4の上面とグリーンシート(第1の積層シートの他の例である。)もしくは任意の製法で形成された積層体5を位置合わせして積み重ね、加圧及び加熱して圧着することでセラミックグリーンシート積層体を作製する。圧着の際の加熱加圧の条件は用いる有機バインダ等の種類や量により異なるが、概ね30〜100℃、2〜20MPaである。このとき、導体層付きセラミックグリーンシート同士の接着性を向上させるために、溶剤と有機バインダや可塑剤等を混合した接着剤を用いることも可能である。
圧着した後に、支持体1をグリーンシート4から剥離することによって図1(f)に示すようにキャビティーおよびキャビティー内の突起部を含む積層構造体6が形成される。前記圧着工程において、グリーンシート4は積層体5と支持体1に囲まれた状態で圧着されるため、加圧による変形や位置ずれなく圧着することができる。また、内側のグリーンシート4aと外側のグリーンシート4bとは形成された後に圧着されるまで支持体に保持された状態で取り扱われるため、内側のグリーンシート4aと外側のグリーンシート4bとは外力による変形や位置ズレがおこることなく、位置精度良く圧着することができる。
圧着する前の、導体層付きセラミックグリーンシート4を位置合わせして積み重ねた時点で、導体層付きセラミックグリーンシート4が位置ずれしないように、導体層付きセラミックグリーンシート4が変形しない程度の加圧(0.1〜1MPa)を行なうと、導体層付きセラミックグリーンシート間にデラミネーションが発生することなく密着することとなり、セラミックグリーンシート積層構造体6を焼成して得られる電子部品は絶縁基体内に空隙の発生のないものとなる。また、導体層付きセラミックグリーンシートを位置合わせして積み重ねた際に真空吸引を行うと、積み重ねられた導体層付きセラミックグリーンシート間に取り込まれた空気が除去されることからデラミネーションの発生がより抑えられ、また、吸引力によりより密着することから導体層付きセラミックグリーンシート同士の位置ずれが発生しにくくなるのでより好ましい。
そして最後に、セラミックグリーンシート積層構造体6を焼成することにより、本発明の電子部品が作製される。焼成する工程は、有機成分の除去とセラミック粉末の焼結とから成る。有機成分の除去は、100〜800℃の温度範囲でセラミックグリーンシート積層構造体6を加熱することによって行い、有機成分を分解、揮発させるものである。また、焼結温度は、セラミック組成により異なり、約800〜1600℃の範囲内で行なう。焼成雰囲気は、セラミック粉末や導体材料により異なり、大気中、還元雰囲気中、非酸化性雰囲気中等で行なわれ、有機成分の除去を効果的に行なうために水蒸気等を含ませてもよい。
焼成後の電子部品は、その表面に露出した導体層2の表面に、導体層2の腐食防止のために、または半田や金属ワイヤ等の外部基板や電子部品との接続手段の良好な接続のために、NiやAuのめっきを施すとよい。
なお、上記の実施の形態では、グリーンシート4を形成する工程において支持体1の枠状の凸部2と同一高さにセラミックスラリーを塗布しグリーンシートを形成したが、支持体1上の凸部2に比べ厚みを低くグリーンシート4を形成することにより凸部の内側のスラリーと外側のスラリーの混合を防ぐことができる。
また、上記の実施の形態では、グリーンシート4を形成する工程において、支持体1の枠状の凸部2の内側の支持体上面を、凸部2の外側となる支持体上面より低く位置させることにより、シート1上にスラリーを塗工することによりグリーンシート4を形成した場合において、枠状の凸部内側のシート4aを外側のシート4bより厚く形成することができる。このように形成されたグリーンシート4を積層体5へ圧着すると内側シート4aすなわちキャビティー内の突起部7をキャビティー外周部の高さに比較して高く形成することができる。逆に、シート1の枠状の凸部2の内側の支持体上面を、凸部の外側となる支持体上面より高く位置させることにより内側のシート4aを外側のシート4bより薄く形成することもできる。このように形成されたグリーンシート4を積層体5へ圧着すると内側シート4aすなわちキャビティー内の突起部7をキャビティー外周部の高さに比較して低く形成することができる。この時、内側のシート4aと外側のシート4bのシート反対側の高さが同一であるように形成することにより、圧着時に同一平面に圧力が加わりより小さい変形で圧着することができる。
このように、キャビティー外周部の高さとキャビティー内の突起部7の高さを自由に異ならせることができることから多層基板の特性設計の自由度を大きく増すことができる。例えば、圧電振動子を突起部7の上に形成する場合においてその選択の幅が広げることができる。
また、セラミックグリーンシート4aと4bを異種材料で形成することによりキャビティー内の突起部7とキャビティー外周部を異種材料で形成することができ、例えば突起部7のみ熱伝導率に優れた材質を用いることにより突起部7からの放熱性を向上させることなどが可能となり、さらに多層基板の特性設計の自由度を大きく増すことができる。
また、本工程を繰り返し行うことにより図1(f)に示すような複数枚でキャビティーを形成することも可能である。
本発明の実施例について以下に明細に説明する。
まず50μm厚みのPETフィルム上に幅3mm、内寸4mm×4mm、厚み50μmPETの枠状の凸部を形成した。PETフィルムの表面は剥離性向上のため離型済を表面処理した。次にPETフィルム上にスクリーン印刷にて導体の厚み15μmの導体層を形成した。導体層形成後、ガラス粉末100質量%に対して外添加でアクリル樹脂を12質量%、溶剤として表1に示すものを40質量%添加して混合したセラミックスラリーを、導体層を形成したPETフィルム上に塗工し、乾燥を行い、65μmの導体層付きセラミックグリーンシートを得た。導体付きセラミックグリーンシートを熱圧着しPETフィルムを剥離することによりキャビティー内部に突起部を有する多層回路基板が得られた。
次に、本発明の製造方法により作成された積層構造体の利用例を以下に示す。
第1の例として、図3に示すようにキャビティー内に外周部と同じ高さである突起部7を形成し、突起部7上にキャビティーをまたがるように配置された電子部品8下側と接続する構造がある。本構造においては突起部7に熱伝導性に優れたサーマルビアを形成することにより、電子部品から発生する熱を多層回路基板に放熱させ、電子部品の特性を安定化させることができる。また、本稿構造において突起部7と電子部品8を電気的に接続することにより電子部品8と多層基板との電気的接点を任意の箇所に形成できる。また、本構造においては電子部品8上部に力学的負荷が加えられた場合において、突起部7が電子部品の変形を妨げることにより電子部品の亀裂や破断が抑えられ、信頼性が向上する。本構造において、突起部7の形状や配置場所、個数は限定されず、複数の突起部を任意の形状で任意の場所に配置される。
第2の例として、図4に示すようにキャビティー内に外周部より高さの低い突起部7を形成し、突起部7上にキャビティーをまたがるように電子部品8を配置する構造がある。例えば、本構造において電子部品8下部と突起部7上部共に電極を形成することにより電子部品8下部と突起部7間に電気容量を形成させる事ができる。前記電気容量は、電子部品8下部と突起部上部との間隔が変動することにより変動するため、容量値を検出することにより電子部品もしくは多層回路基板の変形の検出が容易にできる。
第3の例として、図5に示すようにキャビティー内に外周部より高さの高い突起部7を形成し、突起部7上に電子部品8を配置する構造も可能である。
第4の例として、例えば音叉型の水晶振動子を突起部7上に搭載する場合を挙げる。図6に示すように、通常、音叉型水晶振動子としては、基部と2本に枝分かれした振動部とから構成される水晶片が用いられる。この水晶片の基部の下面に設けられた正負の電極を、キャビティー内に設けた正電極用の突起部と、負電極用の突起部とにそれぞれ接続すればよい。正電極用の突起部と、負電極用の突起部とを別体にすることにより、突起部の電極と水晶片の電極とを接続する際に導電性樹脂や半田ペーストを用いても、正負の電極が短絡することを抑制できる。これは、前記導電性樹脂や半田ペーストが、予定よりも多量になってしまっても、正負の電極用の突起部は、互いに独立した島状の突起部であることから、余分な導電性樹脂や半田ペーストが、一方の突起部上からあふれても下に流れ出すに留まり、他方の突起部上にまで及ぶことがないためである。
第5の例として、例えば積層体のキャビティー内に流体を流す場合には、突起部により流路を形成してもよい。突起部の形状を種々変形させることにより、流体の分離や集合も可能となる。また、2種の流体を攪拌して混合させるために突起部を用いてもよい。例えば、図7に示すように、異なる進入路から入った流体Aと、流体Bとをキャビティー内で攪拌・混合するために、突起部を多数設け、該突起部間に流体A、Bを流すことにより、混合された流体が取り出せる。
本発明の実施の形態の多層基板の断面構造図である。 枠状の凸部を形成した支持体の斜視図である。 本発明の実施例である。 本発明の実施例である。 本発明の実施例である。 本発明の実施例である。 本発明の実施例である。
符号の説明
1 支持体
2 支持体上の枠状の凸部
3 導体層
4 導体付きセラミックグリーンシート
4a 凸部2の内側のセラミックグリーンシート(第3の積層用シートの一例)
4b 凸部2の外側のセラミックグリーンシート(第2の積層用シートの一例)
5 積層体(第1の積層用シートの一例)
6 キャビティーおよびキャビティー内に突起部を含む積層構造体
7 キャビティー内に形成される突起部
8 キャビティー内凸部上に配置される電子部品
9 キャビティーを構成する側壁部

Claims (4)

  1. 第1の積層用シートと、
    平面視で枠状の凸部を有する支持体と、
    該支持体上で且つ前記枠状の凸部の外側に搭載されるとともに、平面視で枠状をなす第2の積層用シートと、
    前記支持体上で且つ前記枠状の凸部の内側に搭載される第3の積層用シートと、を準備する第1の工程と、
    前記第2及び第3の積層用シートが、前記第1の積層用シートと前記支持体との間に挟まれるように、張り合わせる第2の工程とを経ることを特徴とする積層構造体の製造方法。
  2. 前記第2或いは第3の積層シートのうち、少なくとも一方は、前記支持体上への配置時にはスラリー状であり、前記第2および前記第3の積層用シートのうち、前記スラリー状である積層シートの上面は、前記支持体の凸部の頂部よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の積層構造体の製造方法。
  3. 前記第2の積層用シートの厚みと、前記第3の積層用シートの厚みとが異なることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の積層構造体の製造方法。
  4. 前記第2の積層用シートと前記第3の積層用シートとが、異なる材料からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の積層構造体の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009147157A (ja) * 2007-12-14 2009-07-02 Hitachi Metals Ltd 多層セラミック基板及びその製造方法、電子部品
JP2009147160A (ja) * 2007-12-14 2009-07-02 Hitachi Metals Ltd 多層セラミック基板の製造方法及び多層セラミック基板、これを用いた電子部品
JP2010141018A (ja) * 2008-12-10 2010-06-24 Shinko Electric Ind Co Ltd 配線基板及びその製造方法

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