JP2007257495A - 信号制御装置、システム及び方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両感知器の車両感知信号を受信し(S3)、前記車両感知信号に基づいて車両を感知した時刻から所定の観測区間通過時間UGが経過するまでに次の車両を感知しなかった場合に、前記交差点の停止線と前記車両感知器との間に設定されている観測区間に走行車両が存在しないものとみなして、最小青時間T1が経過したことを条件に青信号を打ち切る(S8)。
【選択図】図5
Description
図8は、この危険性を説明するためのグラフである。縦軸は車両の走行速度(km/h)、横軸は交差点の停止線から車両の位置までの距離(m)を表す。
同図において、曲線L1は当該車両が減速したならば停止線で停止することのできる走行速度と距離の関係(停止条件)を表し、曲線L2は車両が走行中に黄信号になった場合にその黄信号時間内に(赤信号になる前に)車両が交差点の停止線まで到達することのできる走行速度と距離の関係(進入条件)を表す。
曲線L1,L2の右側にある領域Bの車両は、いまの走行速度と距離では停止線の手前で停止することはできるし、停止線まで到達した時点では、すでに黄信号時間は終わっている(赤信号になっている)。そこで、走行中に黄信号になった場合に減速して交差点で停止しようと判断する。
曲線L1と曲線L2の間にある領域Dはオプションゾーンといい、停止線で安全に停止することも、黄信号が終わるまでに交差点に進入することもできる領域で、停止又は通過に対する判断の異なる車両が入り混じるため、個性の異なるドライバが続いていると、前方車が停止したとき、後続車に追突される恐れがある。
この危険回避領域に入っている車両を見つけるためには、個々の車両の速度情報が必要である。
ところが、個々の車両の速度情報を得るためには、速度検出型の車両センサが必要であった。このような速度検出型の車両センサとして、道路に走行方向に沿って2つの車両感知器を埋め込み、2つの車両感知器間の距離を車両検出時間差で割って速度を求めたり、道路に監視カメラを設置し、カメラ画面に写った車両の画像の動きから車両の速度を求めたりする必要がある。
また、速度の計測誤差を考慮して危険回避領域を大きめに設定することが必要なため、信号制御の精度が低下するという問題もあった。
前掲した図8と同様、曲線L1は車両が減速したならば停止線で停止することのできる走行速度と距離の限界を表す曲線であり、曲線L2は車両が走行中に黄信号になった場合にその黄信号時間内に(赤信号になる前に)車両が交差点の停止線まで到達することのできる走行速度と距離の限界を表す直線である。
曲線L2と曲線L1の間にある領域Dは、停止線で安全に停止することも、黄信号が終わるまでに交差点に進入することもできる領域で、停止又は通過に対する判断の異なる車両が入り混じるため、個性の異なるドライバが続いていると、前方車が停止したとき、後続車に追突される恐れがある。
危険回避領域は、車両の速度が低いほど交差点の近くに位置するようになる。
渋滞のない場合、道路を走行する車両の速度は、図2に示すように、ある範囲にわたって分布する。その分布の下限に近い値を第一の速度V1とし、その分布の上限に近い値を第二の速度V2とする。
この第一の速度V1における危険回避領域の交差点に最も近い端を図1に、位置D1で示す。第二の速度V2における危険回避領域の交差点から最も遠い端を図1に、位置D2で示す。位置D1,D2に挟まれる区間を「観測区間」とする。
前記第二の速度V2は、当該道路の規制速度とすることができる。第一の速度V1は、経験上得られる値であり、第二の速度V2の5〜6割である。
なお、渋滞時は、速度分布はもっと遅くなるが、本発明では渋滞は想定していない。渋滞時にジレンマ感応制御をすることは通常ないからである。
観測区間の中に存在する車両は、速度によっては、危険回避領域に入っている可能性がある。
すなわち本発明では、位置D2又はその上流に車両感知器を設置して、走行する車両の有無を検知する。ある時刻において走行する車両を検知した場合、その車両が観測区間の端D1を通過し終えるまでの所定の観測区間通過時間が経過する前は、その車両は危険回避領域に入っていると判断する。観測区間通過時間が経過すれば、その車両は危険回避領域から出たものと判定する。
この速度VNは、図2に示すように、速度分布の最頻値Vuとしてもよく、速度分布の平均値Vmとしてもよい。しかし、第一の速度V1とすることが望ましい。速度VNを第一の速度V1に決めると、これよりも速く走行するほとんどの車両は、観測区間通過時間が経過した時点ですでに危険回避領域から出ているので、危険回避領域に車両が存在するのに間違って青信号を打ち切ってしまうという誤判断を避けられるからである。
ただし、無条件で青信号を打ち切るのではなく、最小青時間が経過してから青信号を打ち切ることが望ましい。
また、本発明の信号制御装置は、交差点につながるいずれかの車線の所定位置に設置された車両存在感知器を利用し、前記車両存在感知器により、前記交差点の停止線の上流側に設定されている観測区間の中に存在する車両の存在感知信号を受信する受信部と、前記存在感知信号に基づいて車両の存在を感知しなかった場合に、前記交差点の停止線の上流側に設定されている危険回避領域に車両が存在しないものとみなして、所定条件下で青信号を打ち切る信号制御部とを備えるものである。
また、本発明の信号制御システム、信号制御方法は、前記信号制御装置の発明と実質同一発明にかかるものである。
図3は、交差点の地図である。交差点に進入する1本の車線において、交差点の停止線の位置から距離L1の地点をD1とし、距離L2の地点をD2とする。地点D1から地点D2までの区間(斜線で示している)を観測区間に設定する。
この交差点に進入する車線が4本あれば、このような観測区間が4つ設定される。
ただし、車両感知器2は、厳密に地点D2に設置する必要はなく、それよりも交差点から離れた地点に設置してもよい。図3では、車両感知器2を地点D2からさらに距離L3離れた位置に設置した状態を描いている。
車両感知器2は、超音波式のものであれば、例えば超音波を直下の道路に発射してその反射波を受信するまでの時間を計測することにより対象物までの距離を計測し、車両の通過をカウントするものである。
この車両感知器2は、車両の走行速度を計測する機能を持っていないものでも、本発明に使用することができることがメリットとなる。
また、前記信号制御装置4が、車両感知器2や信号灯3と結ばれる通信回線の通信媒体、周波数帯、通信方式、符号化方式などは限定されない。有線通信でもよく、無線電波を用いてもよく、光通信を用いてもよい。またDSRC(Dedicated Short Range Communication)といった極近距離に適した通信方式を用いてもよい。広範囲の通信系であるFM多重通信、携帯電話等を用いてもよい。
車両感知器2は、車両を感知して車両感知信号を出力する車両感知部21と、車両感知信号を、通信回線を通して送信する送信部22とを備えている。
信号制御装置4は、車両感知器2から車両感知信号を受信する受信部41、各種時間を計測する計時部42、信号灯3の現示情報(例えば各現示の赤・黄・青時間)等を記憶する記憶部43、前記車両感知信号に基づいて車両を感知した時刻から所定の観測区間通過時間が経過するまでに次の車両を感知しなかった場合に、前記交差点の停止線と前記車両感知器2との間に設定されている危険回避領域に車両が存在しないものと判定して信号灯3を制御する判定制御部44等を備えている。
以下、本発明の信号制御手順を、フローチャート(図5)を参照しながら説明する。
判定制御部44は、まず、信号が青に切り替わった時点から計測される変数である「青経過時間T」を0に設定し、車両を感知しないことを条件にして計測される変数である「車両無感知時間t」を0に設定する(ステップS1)。さらに最小青時間T1と、最大青時間T2とを設定する。最小青時間T1は、これ以上青時間を短くしてはいけない時間であり、最大青時間T2は、これ以上長く青を続けることができない時間である。ともに、交通政策上決定される定数である。
車両感知信号を受け取れば、時間を更新するため青経過時間TにΔtを加算するとともに、車両無感知時間tを0にリセットする(ステップS6)。ここでΔtは、車両感知器2から車両感知信号を受け取る周期に相当する時間である。Δtは例えば0.2秒である。
このようにして、車両感知信号を受け取らない時間である車両無感知時間tを更新していく。
最小青時間T1が経過している場合は、危険回避領域に車両が存在していないとみなし、青信号を打ち切って黄信号に切替える(ステップS8)。
このようにして、速度感知器よりも安価な車両感知器を設置してこれを利用することができるので、信号制御システム全体としてコスト削減が可能である。速度感知器の設置位置のように交差点から離さなくても済むため、感知器設置の自由度が向上する。さらに、個々の車両を追跡して速度計測をしなくてもよいので、信号制御処理負荷が軽くなるとともに、信号制御の精度向上が期待できる。
車両感知器2を、観測区間の端D2よりもさらに上流に、L3=10mの位置、すなわち停止線から74mの位置に設置した。
観測区間を通過する車両の速度VNを、第一の速度V1に等しい36km/hとする。
車両感知器2の位置から観測区間の交差点に最も近い端D1までを速度VNで通過する時間Tは、T=L/VNで表され、
L=47m、VN=36km/h
とすると、T=4.7秒となる。
UG=T−τ=4.5秒
τは0.2秒程度であり、無視してもよい数値である。τを無視するならば、 UG は4.7秒となる。
次に、本発明の他の実施形態を説明する。
いままでの実施形態であれば、判定制御部44は、車両を感知しないことを条件にして「車両無感知時間t」を計測し、これが観測区間通過時間UG以上になれば、危険回避領域に車両が存在しないものとして青信号を打ち切る制御を行う。
車両存在感知器2aは、感知領域内の車両の有無を表す存在感知信号を、所定時間ごとに信号制御装置4に送信する。
車両検知方法を説明すると、例えば、サーモパイル素子の検知信号と、メモリに記憶された背景レベルとを比較し、背景レベルとの差が閾値以上の場合に、車両ありと判定する。閾値未満の場合は車両なしと判定する。この判定方法の詳細については、特開2003-317186 号公報参照。
判定制御部44は、「青経過時間T」を0に設定するとともに、最小青時間T1と、最大青時間T2を設定する(ステップU1)。
判定制御部44は、最大青時間T2が経過したかどうか判定し(ステップU2)、最大青時間T2が経過していれば、青信号を打ち切る。(ステップU7) 最大青時間T2が経過していないならば、車両存在感知器2aから車両存在信号を受け取ったかどうか判定する(ステップU3)。
車両存在感知信号を受け取らなければ、カウントした青経過時間Tが最小青時間T1以上になったかどうか判定する(ステップU4)。最小青時間T1が経過していなければ、青経過時間TにΔtを加算してステップU2に戻る(ステップU6)。
そして、「青経過時間T」を0にリセットして(ステップU8)、ステップU2に戻る。
このようにして、路側に設置された車両存在感知器2aを利用して、車両無感知時間tを計測することなく、本発明の信号制御を行うことができる。したがって、車両感知器を用いる場合と比べて、処理の負荷が軽くなり処理速度の向上が図れる。また、車両存在感知器2aは、速度感知器よりも安価であり、信号制御システム全体としてコスト削減が可能である。また、速度感知器のように交差点から離して設置しなくても済むため、感知器設置場所の自由度が向上する。
2a 車両存在感知器
21 車両感知部
22 送信部
3 信号灯
4 信号制御装置
41 受信部
42 計時部
43 記憶部
44 判定制御部
Claims (15)
- 交差点につながるいずれかの車線の所定位置に設置された車両感知器からの車両感知信号を用いて、当該交差点の信号灯を制御する信号制御装置であって、
前記車両感知器の車両感知信号を受信する受信部と、
前記車両感知信号に基づいて車両を感知した時刻から所定の観測区間通過時間が経過するまでに次の車両を感知しなかった場合に、前記交差点の停止線と前記車両感知器との間に設定されている危険回避領域に走行車両が存在しないものとみなして、所定条件下で青信号を打ち切る信号制御部とを備えることを特徴とする信号制御装置。 - 前記観測区間が、第一の速度V1と、第一の速度V1よりも大きな第二の速度V2とに基づいて決定される請求項1記載の信号制御装置。
- 前記観測区間の交差点に最も近い端は、車両が前記車線を第一の速度V1で走行した場合に設定される危険回避領域の交差点に最も近い端に一致する請求項2記載の信号制御装置。
- 前記観測区間の交差点から最も遠い端は、車両が前記車線を第一の速度V1よりも大きな第二の速度V2で走行した場合に設定される危険回避領域の交差点から最も遠い端に一致する請求項2記載の信号制御装置。
- 前記危険回避領域は、走行する車両が停止線で安全に停止することも、黄信号が終わるまでに交差点に進入することもできる領域と、走行する車両が停止線でスムーズに停止することも、黄信号が終わるまでに交差点に進入することもできない領域とを合わせた領域いう請求項2から請求項4のいずれかに記載の信号制御装置。
- 前記所定の観測区間通過時間は、車両が、前記車両感知器によって感知された時点から、前記観測区間を前記第一の速度V1以上であって前記第二の速度V2以下の速度VNで走行した場合に、前記観測区間の交差点に最も近い端を通過するまでの時間である請求項1記載の信号制御装置。
- 前記速度VNは、前記第一の速度V1に等しい請求項6記載の信号制御装置。
- 交差点の信号灯を制御する信号制御システムであって、
交差点につながるいずれかの車線の所定位置に設置された車両感知器と、
前記車両感知器の車両感知信号を受信し、前記車両感知信号に基づいて車両を感知した時刻から所定の観測区間通過時間が経過するまでに次の車両を感知しなかった場合に、前記交差点の停止線と前記車両感知器との間に設定されている危険回避領域に走行車両が存在しないものとみなして、所定条件下で青信号を打ち切る信号制御装置とを備える信号制御システム。 - 交差点につながるいずれかの車線の所定位置に設置された車両感知器によって車両感知信号を受信し、
前記車両感知信号に基づいて車両を感知した時刻から所定の観測区間通過時間が経過するまでに次の車両を感知しなかった場合に、前記交差点の停止線と前記車両感知器との間に設定されている危険回避領域に走行車両が存在しないものとみなして、所定条件下で青信号を打ち切る信号制御方法。 - 交差点につながるいずれかの車線の所定位置に設置された車両存在感知器からの存在感知信号を用いて、当該交差点の信号灯を制御する信号制御装置であって、
前記車両存在感知器からの、前記交差点の停止線の上流側に設定されている観測区間の中に存在する車両の存在感知信号を受信する受信部と、
前記存在感知信号に基づいて車両の存在を感知しなかった場合に、前記交差点の停止線の上流側に設定されている危険回避領域に車両が存在しないものとみなして、所定条件下で青信号を打ち切る信号制御部とを備える信号制御装置。 - 前記観測区間が、第一の速度V1と、第一の速度V1よりも大きな第二の速度V2とに基づいて決定される請求項10記載の信号制御装置。
- 前記観測区間の交差点に最も近い端は、車両が前記車線を第一の速度V1で走行した場合に設定される危険回避領域の交差点に最も近い端に一致する請求項11記載の信号制御装置。
- 前記観測区間の交差点から最も遠い端は、車両が前記車線を第一の速度V1よりも大きな第二の速度V2で走行した場合に設定される危険回避領域の交差点から最も遠い端に一致する請求項11記載の信号制御装置。
- 交差点の信号灯を制御する信号制御システムであって、
交差点につながるいずれかの車線の所定位置に設置された車両存在感知器と、
前記車両存在感知器からの、前記交差点の停止線の上流側に設定されている観測区間の中に存在する車両の存在感知信号を受信し、前記存在感知信号に基づいて車両の存在を感知しなかった場合に、前記交差点の停止線の上流側に設定されている危険回避領域に車両が存在しないものとみなして、所定条件下で青信号を打ち切る信号制御装置とを備える信号制御システム。 - 交差点につながるいずれかの車線の所定位置に設置された車両存在感知器によって前記交差点の停止線の上流側に設定されている観測区間の中に存在する車両の存在感知信号を受信し、
前記存在感知信号に基づいて車両の存在を感知しなかった場合に、前記前記交差点の停止線の上流側に設定されている危険回避領域に車両が存在しないものとみなして、所定条件下で青信号を打ち切る信号制御方法。
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