JP2007139715A - 磁気センサ制御装置、方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】3次元磁気センサから順次出力される、3成分を有する複数の磁気データを入力する入力手段と、入力された複数の前記磁気データから、予め決められた4点選抜条件を満たす4つの前記磁気データを選抜する選抜手段と、選抜された4つの前記磁気データを成分とする4点から等距離にある点である中心点を算出する算出手段と、前記中心点の成分を前記磁気データのオフセットとして設定する設定手段と、を備える磁気センサ制御装置。
【選択図】 図1
Description
ところで、磁気データを成分とする点の集合は現実には完全な球面にならない。なぜならば、3次元磁気センサの出力自体がガウス分布に従う測定誤差を有しているし、現実には完全に一様な磁界は存在しないためオフセットを算出するために必要な磁気データが蓄積される期間中に3次元磁気センサが測定している磁界が変動するし、3次元磁気センサの出力をディジタル値で取り出すまでの計算誤差があるからである。
従来の磁気センサのオフセット算出方法は、多数の磁気データを蓄積し、それらの統計処理によって、最も確からしいオフセットを算出するものであった(例えば特許文献1参照)。しかし、多数の磁気データの統計処理をする場合には、母集団となる磁気データ群の分布が満遍なく広く、特異な磁気データが母集団から排除されていなければ精度のよいオフセットを算出することができない。したがって、精度のよいオフセットを算出するには母集団をある程度選抜する必要もあり、結局のところ統計処理だけで精度のよいオフセットを算出することはできない。また、統計処理によって最も確からしい球面の中心を求める処理量は相当多く、時間と資源の消費が多い。
3次元磁気センサから順次出力される磁気データから、予め決められた4点選抜条件を満たす4つの磁気データを選抜し、選抜された4つの磁気データを成分とする4点から等距離にある点である中心点を算出することにより、オフセットの算出に統計処理を用いる必要がなくなるため、効率よくオフセットを算出することができる。尚、算出されたオフセットの信頼性を統計処理によって評価することも可能である。
4点選抜条件を満たす4つの磁気データを、多数の磁気データから一度に選抜するためには選抜試行回数が大きくばらつき、選抜に要する最大処理量が膨大になる可能性がある。そこで、選抜条件を段階的に設定し、n番目の磁気データをある条件で選抜する前に別の選抜条件を満たすn−1番目の磁気データを選抜しておくことにより、選抜に要する最大処理量を低減することができる。さらに、n番目の磁気データをある条件で選抜するときに、n−1番目までの磁気データとして選抜されなかった磁気データを再び選抜候補とすることにより、オフセットを算出するために必要な磁気データの個数を低減することができる。その結果、磁気データのオフセットを算出するために必要な磁気データを収集するために必要となる、3次元磁気センサを搭載している移動体の操作量が低減されるし、オフセットの算出時間が短縮される。
4点選抜条件を満たす4番目の磁気データを選抜する前に、3番目までの磁気データの選抜を済ませておくことにより、選抜に要する最大処理量を低減することができる。3番目の磁気データの選抜をする過程では、1つずつ磁気データが更新される、3つの磁気データを格納可能な3つのデータ構造体を用いることができる。磁気データを格納するためのデータ構造体は、例えば、磁気データの3成分を格納するための3つの変数を要素とする配列として定義することができる。
3つの磁気データを成分とする3点を通る円は、最終的に求まるオフセットを成分とする点を中心とする球の断面円の円周になる。その断面円を正確なオフセットを成分とする点を中心とする球の断面円に近づけるためには、その断面円の面積が広く、その断面円を規定する3点が円周上で広い範囲に満遍なく分散していることが望ましい。したがって、3つの磁気データを成分とする3点を通る弦の長さは長い方が望ましい。そこで、最後に入力された磁気データを3つのデータ構造体のいずれかに格納するときには、3つのデータ構造体に格納されている3つの磁気データを成分とする3点を通る円弧の弦の長さがデータ構造体の更新によって長くなるように、更新対象となるデータ構造体が選択されることが望ましい。
3点選抜条件を満たす3つの磁気データが選抜されている過程において2番目までの磁気データが選抜された後に磁気センサが存在している磁界が激変した場合などには、3点選抜条件を満たす磁気データがいつまでも入力されない可能性がある。このような問題を未然に防止するため、3つのデータ構造体の更新回数が予め決められた所定回数を超えたときには3つのデータ構造体をいったんリセットすることが望ましい。その結果、変化後の磁界について磁気データが3つの空のデータ構造体に格納されることになるため、3点選抜条件が満たされる3つの磁気データがいつまでも選抜されないという問題は起こらなくなる。
3つの磁気データを成分とする3点を通る円は、最終的に求まるオフセットを成分とする点を中心とする球の断面円の円周になる。その断面円を正確なオフセットを成分とする点を中心とする球の断面円に近づけるためには、その断面円を規定する3点が円周上で等間隔に分散していることが望ましい。したがって、3つの磁気データを成分とする3点を頂点とする三角形の正三角形に対する歪みに関して3点選抜条件を設定することが望ましい。3つの磁気データを成分とする3点を頂点とする三角形が正三角形であるとき、3点が円周上で等間隔に分散していることになる。
三角形の正三角形に対する歪みは三角形のいくつかの属性に着目して定義することができる。
値のばらつきは数学的に任意に定義することができるが、条件判定に必要な計算量や処理時間や、条件判定の過程で得られた計算結果の再利用可能性などを勘案して定義することが望ましい。
pi(i=0,1,2)は前記三角形の各頂点であり、d3は前記三角形の重心である。
4つの磁気データを成分とする4点は、最終的に求まるオフセットを成分とする点を中心とする球面を規定する。その球面を、正確なオフセットを成分とする点を中心とする球面に近づけるためには、その球面を規定する4点が球面上の広い範囲に満遍なく分散していることが望ましい。その球面を規定する4点が球面上で満遍なく分散しているとき、それらの4点を頂点とする四面体は正四面体となる。したがって、選抜候補の4つの磁気データを成分とする4点を頂点とする四面体の正四面体に対する歪みに関して4点選抜条件を設定することが望ましい。
四面体の正四面体に対する歪みは正四面体のいくつかの属性に着目して定義することができる。
既に述べたとおり値のばらつきは数学的に任意に定義することができるが、条件判定に必要な計算量や処理時間や、条件判定の過程で得られた計算結果の再利用可能性などを勘案して定義することが望ましい。
pi(i=0,1,2,3)は前記四面体の各頂点であり、d4は前記四面体の重心である。
対応する2点が特定の方向に最も離れている2つの磁気データが必ず選抜されると、たとえバッファに格納されている磁気データに対応する点が特定の平面の近傍に偏って分布していても、そのような2点に対応する磁気データが選抜されない場合より正確にオフセットを求めることができる。
このように第1点と第2点とが選抜されると、対応する2点が特定の方向に最も離れている2つの磁気データが選抜される。
A.第一の実施形態
[1.全体説明]
1−1.基本原理
1−2.ハードウェア構成
1−3.ソフトウェア構成
[2.処理の流れ]
2−1.バッファ更新
2−2.1点目の選抜候補仮決定
2−3.2点目の選抜候補仮決定
2−4.3点目までの選抜
・3点の更新
・3点選抜条件
・選抜検証
・3点のリセット
2−5.4点目の選抜
・概要
・4点選抜条件
・方位球の算出
・方位球の検証
・オフセットの設定
B.第二の実施形態
1−1.基本原理
はじめに本実施形態が利用する基本原理について説明する。
本実施形態では、3次元磁気センサの出力に含まれる、それが搭載されている移動体の着磁成分を打ち消すためのオフセットを設定する。オフセットを求めるためには、3次元磁気センサの出力である磁気データを成分とするベクトル空間内の無数の点の集合である立体面に近似の球面を特定する。この球面を方位球の球面というものとする。方位球の中心点の成分がオフセットであり、その半径が磁界の強さである。3次元磁気センサの出力自体に計測誤差があるため、移動体が一定の磁界で回転しても、磁気データを成分とする点の集合は球面にはならない。本実施形態では、磁気データを成分とする4点を選抜し、選抜された4点から、それらを通る球面の中心点と半径とを求め、求めた球面の中心をオフセットとして設定する。この方法でオフセットに含まれる3次元磁気センサ自体の計測誤差による誤差を低減するためには、3次元磁気センサ自体の計測誤差が含まれている4つの磁気データを成分とする4点を、それら4点を通る球面上で広い範囲で満遍なく分散するように選抜することが重要である。以下、理解を容易にするため、2次元磁気センサに置き換えて補足説明する。
図3は、本発明が適用される移動体の一例である携帯型電話機3の外観を示す模式図である。携帯型電話機3には3次元磁気センサ4が搭載されている。3次元磁気センサは互いに直交するx、y、zの3方向の磁界のベクトル成分を検出することによって磁界の方向及び強さを検出する。携帯型電話機3のディスプレイ2には、文字や画像の各種情報が表示される。例えば、ディスプレイ2には、地図と、方位を示す矢印や文字が表示される。
図5は、磁気センサ制御プログラム90の構成を示すブロック図である。磁気センサ制御プログラム90は、ナビゲーションプログラム98に方位データを提供するためのプログラムであって、ROM42に格納されている。方位データは地磁気の方向を示す2次元ベクトルデータである。尚、方位データは3次元ベクトルデータとしてナビゲーションプログラム98に提供されてもよい。CPU40が磁気センサ制御プログラム90を実行するとき、CPU40、RAM44及びROM42は磁気センサ制御装置として機能する。磁気センサ制御プログラム90は、バッファ管理モジュール92、オフセット設定モジュール94、方位演算モジュール96等のモジュール群で構成されている。
2−1.バッファ更新
図6は、バッファ更新の処理の流れを示すフローチャートである。図6に示す処理は、オフセットの更新要求が発生したときにCPU40がバッファ管理モジュール92を実行することによって進行する。
ステップS100では、オフセットの算出に用いられる複数の磁気データを蓄積するためのバッファが初期化される。具体的には例えば、RAM44のバッファエリアに格納されているデータが削除される。
磁気センサ4から新たな磁気データの入力があると、バッファの更新必要性が判定される(ステップS104)。携帯型電話機3がほとんど動いていない状況において、短い時間間隔で順次磁気センサ4から入力があると、連続入力される2つの磁気データを成分とする2点間の距離が近くなる。互いの距離が近い2点がオフセットを求めるために必要となる4点に含まれることは望まれない。また、磁気データを成分とする各点の距離が互いに近い複数の磁気データが限られた容量のバッファに格納されることは、メモリ資源の浪費であるし、無駄なバッファの更新処理を発生させる。そこで、バッファの更新必要性が次のように判定される。例えば、直前に入力された磁気データを成分とする点と最後に入力された磁気データを成分とする点との距離があるしきい値より小さければ、バッファの更新必要性がないと判定され、最後に入力された磁気データはバッファに格納されることなく破棄される。そうでない場合、バッファの更新必要性があると判定される。その結果例えば、図7に示す順序で磁気データの入力があったときには、黒丸で表された磁気データはバッファに格納されず、白丸で表された磁気データはバッファに格納されることになる。尚、図7では磁気データの入力順序が白丸及び黒丸の添え字で表されている。
追加的な更新条件:あるしきい値qminに対し、磁気データを成分とする点qが、i < Nqmax-1なる全てのiについて||q-qi||2 > qminを満たすときに限り、最後の磁気データを格納してバッファを更新する。
バッファの更新必要性があると判定されると、バッファが更新される(ステップS106)。更新アルゴリズムは例えばFIFO(First In First Out)とする。
図1は、オフセット設定の処理の流れを示すフローチャートである。図1に示す処理は、オフセットの更新要求が発生したときにCPU40がオフセット設定モジュール94を実行することによって進行する。尚、オフセット設定モジュール94の実行によって以下に述べる処理が進行している時には、バッファ管理モジュール92による処理がマルチタスク環境で並行して進行している。
バッファが更新されると、1点目の選抜候補が仮決定される(ステップS204)。すなわち、バッファ初期化(ステップS200)後に最初に入力された磁気データが1点目の選抜候補となる。1点目の選抜候補はデータ構造体p0に格納される。尚、1点目の選抜候補が格納されるデータ構造体p0は、追って説明があるように更新される可能性があるため、この処理では1点目の選抜候補が仮決定されているに過ぎない。
ステップS206では、再びバッファの更新が待たれる。
バッファが再び更新されると、2点目の選抜候補が仮決定される。すなわち、バッファ初期化(ステップS200)後に2番目に入力された磁気データが2点目の選抜候補となる。2点目の選抜候補はデータ構造体p1に格納される。尚、2点目の選抜候補が格納されるデータ構造体p1も、追って説明があるように更新される可能性があるため、この処理では2点目の選抜候補が仮決定されているに過ぎない。
・3点の更新
ステップS210ではリセットカウンタがリセットされる。リセットカウンタは予め決められたカウント回数でカウントアップするように設定される。このリセットカウンタは、2点目の選抜候補の仮決定後に3点目の選抜候補が決定されずに、いつまでもオフセットの算出が完了しない問題が発生することを未然に防ぐために用いられている。具体的には、2点目の選抜候補の仮決定直後に携帯型電話機3が存在している磁界が激変したにもかかわらず、2点目までの選抜候補が更新されない場合には、3点目の選抜候補が決定されない可能性がある。後述するように選抜候補の3点を通る円の大きさが一定範囲内に収まっていて且つ3点を頂点とする三角形が所定条件を満たさない限り、3点目の選抜候補が決定されることがないにも関わらず、磁界の強さが激変すればそれらの条件が満たされないからである。
ステップS216では、再びバッファの更新が待たれる。
バッファが再び更新されると、ステップS218では、3点選抜条件によって選抜される候補として保持するため、最後に入力されバッファに最後に格納された磁気データを、現に存在している3点目までの選抜候補のいずれを更新して保持するべきかが決定される(尚、3点選抜条件を用いた選抜が実行されていなければ、2点目までの選抜候補が存在しているだけであるが、実行される処理内容は同じである)。すなわち、最後に入力されバッファに最後に格納された磁気データがいずれのデータ構造体p0、p1、p2に格納されるかが決定される。なぜならば、データ構造体p0、p1、p2は意味づけが次のように異なるデータ構造体だからである。
ステップS222では、3つの選抜候補である磁気データが3点選抜条件の1つを満たしているかが判定される。3点の選抜条件は2つの観点から導かれている。第一の観点は、選抜候補である磁気データを成分とする3点がそれら3点を通る円周上で十分ばらついているか、すなわち、それら3点を頂点とする三角形が正三角形に近くなっているか、という観点である。したがって、第一の観点での選抜が実行されるときには、選抜候補である磁気データを成分とする3点を頂点とする三角形の正三角形に対する歪みが算定される。第二の観点は、選抜候補である磁気データを成分とする3点を通る円の面積が十分大きいか、という観点である。この3点を通る円の面積が小さいときは、これらの3点を通る方位球の球面上で3点が狭い範囲に分布しているか、正確なオフセットを算出するに当たって想定外の磁界が測定されていることになる。またこれらの3点を通る円の面積が大きすぎるときは、正確なオフセットを算出するに当たって想定外の磁界が測定されていることになる。したがって、第二の観点で選抜が実行されるときには、選抜候補である磁気データを成分とする3点を通る円の半径が算定される。尚、以下の説明では、第一の観点で選抜候補が選抜されるべきかを判定するための条件を単に3点選抜条件ともいい、第二の観点で選抜候補が選抜されるべきかを判定することを、3点選抜の検証ともいうものとする。
第一の観点から導かれた3点選抜条件が満たされた場合、第一の観点で選抜された磁気データが第二の観点によって検証される(ステップS226)。この処理では、前述したとおり、選抜候補である磁気データを成分とする3点を通る円の半径が算定される。そのような半径を算定する様々な方法が知られているが、本実施形態では、全体の計算量を低減し、処理を高速化するため、対称行列Aの固有ベクトルを用いた方法が採用される。この方法を採用し、かつ対称行列Aの前述の固有値を算定する手法としてヤコビ法を採用すれば、全体の計算量が低減される。以下、具体的に説明する。
行列Aの固有ベクトルを基底とする座標系でp0、p1、p2を書き直すと、最小固有値・A3に対する固有ベクトルlA3の成分については各点について一定の値をとるので、ともに大きさ1で正規化された最大固有値・A1に対する固有ベクトルlA1及び中間固有値・A2に対する固有ベクトルlA2の成分のみに着目し、各点を2次元空間上の3点とみなせば、連立一次方程式により円の方程式を求めることができる。さらに具体的に説明する。
・概要
以上の処理によって3点目までが選抜された時点では、最終的に求まる方位円の十分に大きな断面円の円周上で十分にばらついて位置する3点が選抜されている。それらの3点を含む平面上にない1点を成分とする磁気データを用いてそれらの4点を通る球面の方程式を求めることはできる。しかし、4点目が無作為に選ばれたのでは、オフセットの誤差は小さくならない。そこで本実施形態では、オフセットの誤差を低減するために、複数の4点目の選抜候補に対して、最適な4点目の選抜が試行される。すなわち、バッファに格納されている磁気データを全て4点目の選抜候補とした選抜が試行される。バッファに空きが残っている場合には、全ての空きが埋まるまで4点目の選抜は実行されない(ステップS228)。4点目が選抜されるとき、図11に示されるように、3点目までの選抜候補としては決定されなかった磁気データ(仮決定されたがその後に棄却されたものも含まれる。)が、4点目の選抜候補として順次選抜にかけられる。図11では、バッファで磁気データの入力順を管理するための識別子が0〜Nqmax−1までの数字で示されている。小さい数字ほど、先に入力された磁気データが格納されるデータ構造体を表している。
ステップS230では、既に選抜された3点を成分とする磁気データに対して、バッファに格納されている全ての磁気データが1つづつ順次組み合わせられ、4つの磁気データが4点選抜条件を満たしているかが順次判定され、バッファに格納されている磁気データのうちで4点選抜条件を満たすもののうち、最も評価が高い1つが4点目として選抜される。4点選抜条件は、選抜候補である磁気データを成分とする4点がそれら4点を通る球面上で十分ばらついているか、すなわち、図12に示したそれら4点を頂点とする四面体が正四面体に近くなっているか、という観点で4点目を選抜する条件である。したがって、選抜候補である磁気データを成分とする4点を頂点とする四面体の正四面体に対する歪みが算定される。四面体の正四面体に対する歪みは、その四面体の各頂点の立体角のばらつき、その四面体の面の面積のばらつき、その四面体の重心から各頂点までの距離のばらつき、などによって定義することができる。これらのばらつきは、その四面体の重心d4を始点とし各頂点を終点とするベクトルの和を用いて表現される3行3列の対称行列Bの固有値によって評価される。四面体の重心d4は次式(20)によって求められる。
以上の処理によって4点目までの磁気データが選抜されると、すなわち、p0、p1、p2、p3が確定すると、方位球の中心点及び半径が求められる(ステップS232)。方位球の中心点c4=(c4x、c4y、c4z)は次式によって求められる。c4rは特に後に用いられない値であるが、4元1次連立方程式を立てるために追加されている。
ステップS234では、算出された方位球の妥当性が検証される。方位球の半径が予め決められた所定の範囲内にない場合、算出された方位球の中心点はオフセットとして採用されず、ステップS200の処理に戻ってバッファ及びデータ構造体p0、p1、p2、p3が全てリセットされる。
算出された方位球が妥当であった場合、ステップS236においてオフセットが設定される。すなわち、算出された方位球の中心点の各成分がオフセットの各成分として設定される。
上述した第一の実施形態では、磁気センサ制御装置に入力される磁気データを選別してバッファに蓄積するとき、バッファに蓄積される磁気データq0,q1,・・・qNqmax-1を成分とする点同士の距離に着目した。しかし第一の実施形態では、移動体の方向の変化のしかたによっては3点目及び4点目の選抜において不合格となってオフセットが定まらない場合がある。また第一の実施形態では、平面的に分布する点、すなわち特定の平面からの距離が近い点に対応する磁気データばかりがバッファに蓄積される可能性は排除されていない。平面的に分布する点に対応する磁気データから求められるオフセットの、真のオフセットに対する誤差は大きくなりやすい。そこで本発明の第二の実施形態では、移動体の変化のしかたによらず、たとえ特定の平面からの距離が近い点に対応する磁気データばかりがバッファに蓄積されたとしても真のオフセットからの誤差が小さいオフセットを算出することを目的として、最初の2点の選抜方法が以下のように変更される。
ステップS302ではバッファの更新が待たれる。
バッファが更新されると、バッファに空きがあるか、すなわちバッファに格納されているデータ個数が予め決められたNqmax個であるか否かが判定される(ステップS304)。バッファに格納されているデータ個数がNqmax個に達するまで、ステップS302、S304の処理が繰り返される。このように、本実施形態ではバッファにNqmax個の磁気データが蓄積されるまで1点の磁気データも選抜されない。
集合Qが特定の平面の近傍に偏って分布している場合、データ点q0,q1,・・・qNqmax-1の重心dNを用いて次式(31)で表される行列Cの最大固有値λC1と最小固有値λC3との比λC3/λC1が小さくなる。集合Qが特定の平面上に偏って分布している場合、λC3/λC1は0である。そこで、λC3/λC1を予め決められた固定値が比較され、λC3/λC1がその固定値よりも小さければ集合Qが特定の平面の近傍に偏って分布していると判定される。
ステップS312では第一実施形態のステップS232と同様にして方位球が算出される。
ステップS314では第一実施形態のステップS234と同様にして方位球が検証される。
ステップS316では第一実施形態のステップS236と同様にしてオフセットが設定される。
Claims (22)
- 3次元磁気センサから順次出力される、3成分を有する複数の磁気データを入力する入力手段と、
入力された複数の前記磁気データから、予め決められた4点選抜条件を満たす4つの前記磁気データを選抜する選抜手段と、
選抜された4つの前記磁気データを成分とする4点から等距離にある点である中心点を算出する算出手段と、
前記中心点の成分を前記磁気データのオフセットとして設定する設定手段と、
を備える磁気センサ制御装置。 - 入力された複数の前記磁気データを格納するバッファをさらに備え、
前記選抜手段は、n(n=2、3又は4)番目の前記磁気データを選抜する前に予め決められた所定の選抜条件を満たすn−1番目の前記磁気データを選抜し、n−1番目までの前記磁気データとして選抜されなかった前記磁気データを前記バッファから取得してn番目の前記磁気データの選抜候補とする、
請求項1に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記選抜手段は、選抜候補の3つの前記磁気データを格納するための3つのデータ構造体に、入力された前記磁気データを格納しながら、3つの前記データ構造体に格納された3つの前記磁気データが予め決められた3点選抜条件を満たすまで、前記データ構造体を更新し、前記3点選抜条件を満たす3つの前記磁気データを選抜する、
請求項1又は2に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記選抜手段は、最後に入力された前記磁気データを3つの前記データ構造体のいずれかに格納するとき、最後に入力された前記磁気データで更新されることによって3つの前記データ構造体に格納されている3つの前記磁気データを成分とする3点を通る円弧の弦の長さが延長され少なくとも短縮されないように1つの前記データ構造体を選択し、選択した前記データ構造体を、最後に入力された前記磁気データで更新する、
請求項3に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記選抜手段は、3つの前記データ構造体の更新回数が予め決められた所定回数を超えると3つの前記データ構造体をリセットする、
請求項3に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記3点選抜条件は、前記データ構造体に格納された3つの前記磁気データを成分とする3点を頂点とする三角形の正三角形に対する歪みに相関する条件を含む、
請求項3に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記3点選抜条件は、前記三角形の内角のばらつきが予め決められた所定範囲内にあることを含む、
請求項6に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記3点選抜条件は、前記三角形の辺の長さのばらつきが予め決められた所定範囲内にあることを含む、
請求項6に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記3点選抜条件は、前記三角形の重心から各頂点までの距離のばらつきが予め決められた所定範囲内にあることを含む、
請求項6に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記4点選抜条件は、選抜候補の4つの前記磁気データを成分とする4点を頂点とする四面体の正四面体に対する歪みに相関する条件を含む、
請求項1に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記4点選抜条件は、前記四面体の各頂点の立体角のばらつきが予め決められた所定範囲内にあることを含む、
請求項11に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記4点選抜条件は、前記四面体の各面の面積のばらつきが予め決められた所定範囲内にあることを含む、
請求項11に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記4点選抜条件は、前記四面体の重心から各頂点までの距離のばらつきが予め決められた所定範囲内にあることを含む、
請求項11に記載の磁気センサ制御装置。 - 入力された所定数の前記磁気データを格納するバッファをさらに備え、
前記選抜手段は、前記バッファに格納された前記磁気データのうち、対応する2点が特定の方向に最も離れた2つの前記磁気データを第1点と第2点として選抜し、前記バッファに格納された前記磁気データのうち、前記第1点又は前記第2点として選抜されていないさらに2つの前記磁気データを第3点及び第4点として選抜する、
請求項1に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記選抜手段は、前記特定の方向のベクトルをaとし、前記バッファに格納された前記所定数の前記磁気データに対応する点の重心の位置ベクトルをdとし、前記バッファに格納された任意の前記磁気データに対応する点の位置ベクトルをqとするとき、D=a・(q−d)であるDが最大となる前記磁気データと最小となる前記磁気データとを前記第1点と前記第2点として選抜する、
請求項16に記載の磁気センサ制御装置。 - 請求項1〜18のいずれか一項に記載の磁気センサ制御装置と、
前記3次元磁気センサと、
を備えることを特徴とする磁気測定装置。 - 3次元磁気センサから順次出力される、3成分を有する複数の磁気データを入力し、
入力された複数の前記磁気データから、予め決められた4点選抜条件を満たす4つの前記磁気データを選抜し、
選抜された4つの前記磁気データを成分とする4点から等距離にある点である中心点を算出し、
前記中心点の成分を前記磁気データのオフセットとして設定する、
ことを含む磁気センサのオフセット設定方法。 - 3次元磁気センサから順次出力される、3成分を有する複数の磁気データを入力する入力手段と、
入力された複数の前記磁気データから、予め決められた4点選抜条件を満たす4つの前記磁気データを選抜する選抜手段と、
選抜された4つの前記磁気データを成分とする4点から等距離にある点である中心点を算出する算出手段と、
前記中心点の成分を前記磁気データのオフセットとして設定する設定手段と、
してコンピュータを機能させる磁気センサのオフセット設定プログラム。 - 請求項21に記載のオフセット設定プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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