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JP2007137984A - 複合材料及び光学素子 - Google Patents

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JP2007137984A JP2005332452A JP2005332452A JP2007137984A JP 2007137984 A JP2007137984 A JP 2007137984A JP 2005332452 A JP2005332452 A JP 2005332452A JP 2005332452 A JP2005332452 A JP 2005332452A JP 2007137984 A JP2007137984 A JP 2007137984A
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Hiroaki Ando
浩明 安藤
Hideaki Wakamatsu
秀明 若松
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Konica Minolta Opto Inc
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Abstract

【課題】樹脂材料よりも屈折率を高くしつつ、従来と比較して光透過率と、環境変動に対する安定性との組合せを改善する。
【解決手段】対物レンズ7は、無機粒子と樹脂とからなる複合材料の成型により製造されており、この複合材料は、3mm厚の光線透過率が、405nmの光に対して50%以上であり、相対湿度90%での吸水率が、2%以下であり、前記無機粒子は、SiO2と、d線に対する屈折率が1.6以上、2.8以下の酸化物との複合粒子であって、SiO2のモル分率が0.05以上0.95以下、体積換算粒子径が2nm以上100nm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、複合材料と、レンズ、フィルター、グレーティング、光ファイバー、平板光導波路等の光学素子とに関する。
従来、MOやCD、DVD、HD−DVD、ブルーレイディスク等の光情報記録媒体を用いて情報の読み取りや記録を行うプレーヤー、レコーダー及びドライブ等の情報機器には、光ピックアップ装置が備えられている。この光ピックアップ装置には、光源から発した所定波長の光を光情報記録媒体に照射したり、反射した光を受光素子に受光させたりすべく、レンズ等の光学素子からなる光学素子ユニットが具備されている。
このような光学素子の材料には、射出成形等の手段により安価に作製できる等の点で、環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体等のプラスチックが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、環状オレフィンが含有された樹脂材料は湿度変化による屈折率の安定性に優れているものの、温度変化による屈折率の安定性に劣るため、近年、この樹脂材料の屈折率を安定化すべく、シリカ系の無機粒子を樹脂材料に分散させて有機無機の複合材料とすることで、樹脂材料の線膨張を抑制する手法が提案されている。更に、この手法においては、シリカ系の粒子として金属酸化物及びシリカの複合粒子を用いることで、屈折率が低いというシリカの欠点を補って、複合材料の屈折率を樹脂よりも高くしている(例えば、特許文献2参照)。
但し、シリカと他の金属酸化物とを複合化すると、金属酸化物の種類によっては複合材料の吸湿性が高まってしまい、耐湿性や屈折率の湿度依存性が顕著に劣化する場合がある。そして、このような場合には、湿度などの環境変動によって物性、特に屈折率が変化してしまい、複合材料の実用性が低くなる。
ところで、複合材料の吸湿性を制御する手法としては、シリカと金属酸化物とのモル比を所定の範囲内に規定するものがある(例えば、特許文献3参照)。
特開2002−105131号公報 特開2005−146042号公報 特開平10−67882号公報
しかしながら、上記特許文献3に開示の手法による複合材料では無機粒子の粒径が0.3ミクロン以上と大きく、成型品の光透過率が低くなってしまうため、光学素子に用いることは困難である
本発明の課題は、樹脂材料よりも屈折率を高くしつつ、従来と比較して光透過率と、環境変動に対する安定性との組合せを改善することができる複合材料及び光学素子を提供することである。
請求項1記載の発明は、複合材料において、
無機粒子と樹脂とからなる複合材料であって、
3mm厚の光線透過率が、405nmの光に対して50%以上であり、
相対湿度90%での吸水率が、2%以下であり、
前記無機粒子は、
SiO2と、d線に対する屈折率が1.6以上、2.8以下の酸化物との複合粒子であり、
体積換算粒子径が2nm以上100nm以下で、SiO2のモル分率が0.05以上0.95以下であることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、光学素子において、
請求項1に記載の複合材料を成形することにより製造されたことを特徴とする。
請求項1または2記載の発明によれば、樹脂材料よりも屈折率を高くしつつ、従来と比較して光透過率と、環境変動に対する安定性との組合せを改善することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。但し、以下の実施形態では、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
まず、本発明に係る複合材料について説明する。
本実施の形態における複合材料は、樹脂と無機粒子とを含有しており、光学素子などの成型物に成型されるようになっている。以下、(1)樹脂、(2)無機粒子、(3)複合材料の製造方法及び(4)成型物について説明する。
(1)樹脂
本発明における樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂など、光学材料として一般的に用いられる透明樹脂であれば、特に限定されることなく用いることができる。但し、光学素子としての加工性や、成型サイクルタイムの関係で、熱可塑性の樹脂であることが好ましく、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリイミド樹脂であることがより好ましく、特に、環状オレフィン樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、例えば、特開2003−73559号公報等に記載の化合物を挙げることができる。好ましい化合物を下記表1に示す。
Figure 2007137984
なお、上述した熱可塑性樹脂は、相溶性のある他の樹脂と併用されることも好ましい。
また、本実施形態における樹脂自体の吸水率は、複合材料全体の吸水率を低くする観点からは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。ここで、2種以上の樹脂を用いる場合には、2種以上の樹脂からなる熱可塑性樹脂の吸水率は個々の樹脂における吸水率の平均値と略同一であると考えられるため、その平均の吸水率が2%以下であることが好ましい。
(2)無機粒子
本発明における無機粒子は、SiO2と、シリコン以外の元素の酸化物、より詳細にはd線に対する屈折率が1.6以上、2.8以下の酸化物との複合粒子となっている。
ここで、シリコン以外の元素としては、Al、Zn、B、Ge、P、Ti、Nb、Zr、Y、W、La、Gd、Ta等が好ましい。
また、無機粒子の屈折率は、1.6〜2.8の範囲であることが好ましい。2.8以下が好ましいのは、無機粒子の屈折率がこれよりも高いと、樹脂との屈折率差が大きくなり白濁の原因になるためで、1.6以上が好ましいのは、これより低いと、複合材料の屈折率を上げる効果が小さくなるためである。このため、SiO2と複合化される無機酸化物の屈折率も同様の範囲となる。
また、無機粒子中のSiO2のモル分率は、0.05以上0.95以下となっている。
また、無機粒子の吸水率は、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
また、無機粒子の体積平均粒径は100nm以下であり、好ましくは50nm以下、更に好ましくは30nm以下である。これにより、無機粒子に起因する光散乱を抑制して光透過率が高められるようになっている。
また、無機粒子の体積平均粒径は2nm以上である。これにより、無機粒子の比表面積が過大となるのが防止されて無機粒子に対する表面処理剤の必要量が適切な範囲に設定され、微粒子及び複合材料の作成が容易化されるようになっている。これは、無機粒子の形態が球状である場合において、総体積が同一であれば、比表面積は平均粒径に反比例することから、比表面積を小さくするためには平均粒径を大きくする必要があるためである。例えば、平均粒径が30nmから1nmになると比表面積は30倍となるため、平均粒径が30nmの無機粒子を用いた場合での表面処理剤の必要量が総体積の10%となるとすると、平均粒径が1nmの無機粒子を用いた場合での表面処理剤の必要量は30倍となり、実現が不可能となってしまう。なお、無機粒子に対する表面処理剤としては、樹脂との親和性を付与するための表面処理剤などがある。
以上の無機粒子の作成方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知である方法を用いることが可能であり、例えば、ハロゲン化金属やアルコキシ金属を原料として用い、水を含有する反応系において加水分解することにより、所望の酸化物微粒子を得ることができる(加水分解法)。この際、微粒子の安定化のために有機酸や、有機アミン等を併用する方法も用いられる。また、無機粒子の作成には、機械的方法(塊状の複合材料をボールミル、アトライターなどの粉砕装置で小粒径化する方法)や、熱分解法(原料を加熱分解して微粒子を得る方法、噴霧乾燥法、火炎噴霧法、プラズマ法、気相反応法、凍結乾燥法、加熱ケロシン法、加熱石油法)、沈殿法(共沈法)、水熱法(沈殿法、結晶化法、水熱分解法、水熱酸化法)なども用いることができる。このうち、熱分解法や、沈殿法、加水分解法は、小粒径の無機粒子を作成する観点で好ましい手法である。なお、これらの手法を複数組み合わせることとしても良い。
また、複合粒子の作成方法としては、例えば、上記手法で複数の金属酸化物の原料を得た後、上記特許文献2に記載の方法を用いることができる。
このような方法によって作成された無機粒子には、表面処理剤であるシラン系やシリコーンオイル系、チタネート系、アルミネート系、アミノ酸系等のカップリング剤による表面処理が施すことが好ましい。
これらのカップリング剤は反応速度等の特性が互いに異なるため、使用する無機粒子の種類や、表面処理時の条件等に応じて適宜選択されることが好ましい。また、カップリング剤には、1種のみを用いてもよいし、複数種を併用してもよい。2種以上のカップリング剤を用いて表面処理を施す場合には、各種カップリング剤による表面処理が同時に施されてもよいし、異なる時期に施されてもよい。
また、使用するカップリング剤に応じて、得られる表面処理後の無機粒子の特性が異なることがあるため、分散させる熱可塑性樹脂の親和性を考慮した上で、使用するカップリング剤を適宜選択することとしてもよい。
なお、シラン系のカップリング剤としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−メチルフェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルフェノキシシラン等が挙げられる。
また、チタン系のカップリング剤としては、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート及びビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等が挙げられる。
無機粒子に対するカップリング剤の割合としては、特に限定されるものではないが、5〜200%の範囲内であることが好ましく、10〜100%の範囲内であることがより好ましい。
また、各種シリコンオイルを用いて表面処理を行うことも好ましい。使用できるシリコンオイルとしては例えば、ジメチルシリコンオイル、メチルフェニルシリコンオイル、メチルハイドロジェンシリコンオイルなどのストレートシリコンオイル;メタクリル酸変性シリコンオイル、エポキシ変性シリコンオイル、フッ素変性シリコンオイル、ポリエーテル変性シリコンオイル、アミノ変性シリコンオイルなどの変性シリコンオイルなどが挙げられる。
このような表面処理剤を用いた表面処理方法としては、表面処理剤を溶液にして噴霧した後に乾燥させる方法、無機粒子の分散液に表面処理剤を添加反応させる方法、溶融混練等によって無機粒子と樹脂とを複合化する時点で表面処理剤を添加する方法等、いずれの方法を適用することができる。
複合材料に対する無機粒子の含有率は、10%以上、90%以下であることが好ましく、20%以上、80%以下であることがより好ましい。これは、無機粒子の含有率が10%以上であれば、無機粒子の混合による物性改良効果を発揮させることができ、90%以下であれば、必要な樹脂比率を維持するとともに、元来の樹脂の長所である加工性等の各種特性の劣化を防止することができるためである。
(3)複合材料の製造方法
樹脂、特に熱可塑性樹脂と無機粒子との混合方法としては、揮発性物質の使用量を低減させる観点から、溶融混練法を利用することが好ましい。
ここで、溶融混練法を利用する場合には、原料である熱可塑性樹脂と、無機粒子とを一括で添加し混練してもよいし、段階的に分割添加して混練してもよい。分割添加する方法としては、一成分を数回に分けて添加する方法や、一成分を一括で添加し、他の成分を段階的に添加する方法、これらを組合せた方法を用いることができる。無機粒子の添加は、粉体又は凝集状態のまま行うことが可能である。無機粒子を液中に分散させた状態で添加することも可能であるが、この場合には、混練後に脱揮処理を行うことが必要であり、また、予め凝集粒子を一次粒子に分散させた後に添加することが好ましい。また、熱可塑性樹脂と無機粒子とを予め混練した後、熱可塑性樹脂以外の成分で予め添加しなかった成分を添加して更に溶融混練する際も、これらを一括で添加して混練してもよいし、段階的に分割添加して混練してもよい。
また、溶融混練法を利用する場合には、不活性ガスである窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及びキセノンの中から選択される一種のガス又は二種以上の混合ガスの雰囲気下で混合を行うことが好ましい。但し、炭酸ガス、エチレンガス及び水素ガス等の一般的なガスであっても、混練される物質に対する反応性を有さないガスであれば、上述した不活性ガスと混合して用いてもよい。
また、溶融混練法を利用する場合には、溶融混練装置における反応系内において、残留する酸素を極力排除することが好ましく、具体的には、反応系内における酸素量は1%以下であることが好ましく、0.2%以下であることがより好ましい。これは、酸素による酸化反応によって樹脂が劣化するとともに、着色が発生しやすいためである。
また、溶融混練法に適用可能な装置としては、ラボプラストミル、ブラベンダー、バンバリーミキサー、ニーダー及びロール等のような密閉式混練装置又はバッチ式混練装置を挙げることができる。また、溶融混練法に用いられる装置としては、単軸押出機や、二軸押出機等のように連続式の溶融混練装置を用いることも可能である。押出機等の連続式の溶融混練装置を用いる場合においては、段階的に添加する成分をシリンダーの中途部から添加することも可能である。
また、混合物の分散装置としては、ビーズミル分散機、超音波分散機、高速攪拌型分散機及び高圧分散機等の各種分散処理機が適用可能であるが、ビーズミル分散機を好適に用いることができる。ビーズミル分散機で使用されるビーズとしては、ジルコニアビーズや、ガラスビーズ等が挙げられるが、ジルコニアビーズが好適に用いられる。また、使用されるビーズの径寸法は小さい方が好ましく、直径0.1mm以下、0.001mm以上の範囲内であることがより好ましい。
また、複合材料の作製工程においては、必要に応じて各種添加剤を単独で又は組合わせて添加してもよい。添加剤としては、酸化防止剤、耐光安定剤、熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤及び近赤外線吸収剤等の安定剤、滑剤や可塑剤等の樹脂改良剤、軟質重合体やアルコール性化合物等の白濁防止剤、染料や顔料等の着色剤、その他帯電防止剤や、難燃剤等が挙げられる。
これらの添加剤のうち、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及びイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性や耐熱性等を低下させることなく、成型時の酸化劣化等によるレンズの着色や強度低下を防止することができる。
また、これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることが可能であって、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明の複合熱可塑性材料100重量部に対して0.001〜20重量部の範囲内であることが好ましく、0.01〜10重量部の範囲内であることがより好ましい。
なお、フェノール系酸化防止剤としては、従来公知のものが適用可能であり、例えば、特開昭63−179953号公報に記載の2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等や、特開平1−168643号公報に記載のオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のアクリレート系化合物や、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニルプロピオネート))メタン、すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)等のアルキル置換フェノール系化合物や、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物等が挙げられる。
また、リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工業において通常使用される物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のモノホスファイト系化合物や、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物等が挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等が特に好ましい。
さらに、イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
さらに、上述したフェノール系、リン酸系及びイオウ系酸化防止剤の他に、ジフェニルアミン誘導体等のアミン系酸化防止剤や、ニッケル又は亜鉛のチオカルバメート等も酸化防止剤として適用可能である。
また、上述した添加剤のうち、白濁防止剤としては、ガラス転移温度における最低温度が30℃以下である化合物群が配合されていてもよい。これにより、透明性、耐熱性及び機械的強度等の諸特性の低下を抑制して、長時間に渡る高温高湿度の環境下における白濁の発生を防止することができる。
また、上述した添加剤のうち、耐光安定剤としては、ベンゾフェノン系耐光安定剤、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤及びヒンダードアミン系耐光安定剤等が挙げられるが、レンズの透明性や耐着色性等の観点から、ヒンダードアミン系耐光安定剤(以下、HALSとする)を用いることが好ましい。このようなHALSとしては、低分子量のものから中分子量、高分子量のものを適宜選択することができる。但し、複合材料から成型体を作成する場合には、低分子量又は中分子量のHALSが用いられることが好ましく、特に膜状の成型体を作成する場合には、高分子量のHALSを用いることが好ましい。
なお、比較的分子量の小さいHALSとしては、LA−77(旭電化製)、Tinuvin765(CSC製)、Tinuvin123(CSC製)、Tinuvin440(CSC製)、Tinuvin144(CSC製)、HostavinN20(ヘキスト製)等が挙げられる。
また、中程度の分子量のHALSとしては、LA−57(旭電化製)、LA−52(旭電化製)、LA−67(旭電化製)、LA−62(旭電化製)等が挙げられる。
また、分子量の大きいHALSとしては、LA−68(旭電化製)、LA−63(旭電化製)、HostavinN30(ヘキスト製)、Chimassorb944(CSC製)、Chimassorb2020(CSC製)、Chimassorb119(CSC製)、Tinuvin622(CSC製)、CyasorbUV−3346(Cytec製)、CyasorbUV−3529(Cytec製)、Uvasil299(GLC製)等が挙げられる。
(3.1)複合材料の性質
以上のようにして製造される複合材料の光線透過率は、3mm厚の場合に405nmの光に対して50%以上となっている。
また、複合材料の屈折率は、高い方が好ましい場合が多い。特にレンズ材料として用いる場合には、屈折率が高いと厚みを薄くできるため、光学系全体の奥行きを小さくしたり、レンズを軽量化したりすることができるメリットがある。また、レンズを軽量化することにより、複数枚のレンズ間での光軸調整を容易化することができる。そのため、本実施の形態においては、複合材料の屈折率は1.50以上であることが好ましく、より好ましくは1.55以上であり、最も好ましくは1.60以上である。
また、複合材料のアッベ数については、樹脂や無機粒子の選択で種々の値が選択可能であるが、異常分散性を得られる粒子を用いることが好ましい。この場合には、複合材料を色消しに有効に用いることができ、その価値が高まる場合がある。
また、複合材料の吸水率は、相対湿度90%の環境下で2%以下であり、1%以下が好ましく、最も好ましくは、0.5%以下である。なお、本実施の形態においては、特に記載のない限り、吸水率を重量%で表す。また、吸水率の測定は、あらかじめ乾燥させた材料を、特定の高温高湿条件化で一定時間以上保存した時の質量変化から測定することが可能である。本実施の形態においては、乾燥したときに含有されている水分量をカールフィッシャー法で測定し、その後の吸水後に質量変化を測定することで、より正確に吸水率を算出している。
また、複合材料はAMES試験において陰性であることが好ましい。これは、AMES試験において陽性であると、使用者の健康の阻害、環境負荷の増大、材料安定性の低減等のおそれがあるからである。
(4)成型物
以上のような複合材料を成形することにより、各種成形物を得ることができる。
成形方法としては、特に限定されるものではないが、成型物における低複屈折性、機械強度及び寸法精度等の特性の観点から、溶融成型法が好ましい。溶融成型法としては、例えば、プレス成型、押し出し成型、射出成型等が挙げられるが、生産性の観点から、射出成型が好ましい。また、光硬化性樹脂の場合、注型重合などを用いることが可能である。
また、成型条件は使用目的又は成型方法に応じて適宜選択されるが、例えば、射出成型における複合材料の温度としては、成型時に適度な流動性を樹脂に付与して成型品のヒケや歪みを防止し、樹脂の熱分解によるシルバーストリークの発生を防止し、更に、成型物の黄変を効果的に防止するなどの観点から、150℃〜400℃の範囲内であることが好ましく、200℃〜350℃の範囲内であることがより好ましく、200℃〜330℃の範囲内であることが特に好ましい。
また、射出成型を用いる場合には、炭酸ガスを可塑剤として用いる成型法や、金型を誘導加熱して転写性を向上させる方法など、一般的な手法はすべて適用可能である。
また、本実施形態における成型物は、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルム又はシート形状等の種々の形態で使用することが可能である。また、低複屈折性、透明性、機械強度、耐熱性及び低吸水性等に優れるため、各種光学部品への適用が可能である。
具体的な適用例としては、光学レンズや、光学プリズムとしては、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡、望遠鏡レンズ等のレンズ;眼鏡レンズ等の全光線透過型レンズ;CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)等の光ディスクのピックアップレンズ;レーザビームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズ等のレーザ走査系レンズ;カメラのファインダー系のプリズムレンズ等が挙げられる。
また、その他の光学用途としては、液晶ディスプレイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム等の光学フィルム;光拡散板;光カード;液晶表示素子基板等が挙げられる。
その他、本発明に係る光学素子は、各種のフィルターやグレーティング、光ファイバー、平板光導波路などとしても好適に用いられる。
上述した成形物の中でも、低複屈折性が要求されるピックアップレンズや、レーザ走査系レンズ等の光学素子として好適に用いられ、以下、図1を参照しながら、本発明に係る光学素子が対物レンズ7として用いられた光ピックアップ装置1について説明する。
ここで、図1は、光ピックアップ装置1の内部構造を示す模式図である。
本実施形態における光ピックアップ装置1には、図1に示すように、光源である半導体レーザ発振器2が具備されている。この半導体レーザ発振器2から出射される青色光の光軸上には、半導体レーザ発振器2から離間する方向に向かって、コリメータ3、ビームスプリッタ4、1/4波長板5、絞り6、対物レンズ7が順次配設されている。
また、ビームスプリッタ4と近接した位置であって、上述した青色光の光軸と直交する方向には、2組のレンズからなるセンサーレンズ群8、センサー9が順次配設されている。
光学素子である対物レンズ7は、光ディスクDに対向した位置に配置されるものであって、半導体レーザ発振器2から出射された青色光を、光ディスクDの一面上に集光するようになっている。このような対物レンズ7には、2次元アクチュエータ10が具備されており、この2次元アクチュエータ10の動作により、対物レンズ7は、光軸上を移動自在となっている。
次に、光ピックアップ装置1の作用について説明する。
本実施形態における光ピックアップ装置1は、光ディスクDへの情報の記録動作時や、光ディスクDに記録された情報の再生動作時に、半導体レーザ発振器2から青色光を出射する。出射された青色光は、図1に示すように、光線L1となって、コリメータ3を透過して無限平行光にコリメートされた後、ビームスプリッタ4を透過して、1/4波長板5を透過する。さらに、絞り6及び対物レンズ7を透過した後、光ディスクDの保護基板D1を介して情報記録面D2に集光スポットを形成する。
集光スポットを形成した光は、光ディスクDの情報記録面D2で情報ピットによって変調され、情報記録面D2によって反射される。そして、この反射光は、対物レンズ7及び絞り6を順次透過した後、1/4波長板5によって偏光方向が変更され、ビームスプリッタ4で反射する。その後、センサーレンズ群8を透過して非点収差が与えられ、センサー9で受光されて、最終的には、センサー9によって光電変換されることによって電気的な信号となる。
以後、このような動作が繰り返し行われ、光ディスクDに対する情報の記録動作や、光ディスクDに記録された情報の再生動作が完了する。
なお、光ディスクDにおける保護基板D1の厚さ寸法及び情報ピットの大きさにより、対物レンズ7に要求される開口数NAも異なる。本実施形態においては、高密度な光ディスクDであり、その開口数は0.85に設定されている。
以上の光ピックアップ装置1の対物レンズ7によれば、無機粒子が含有され、この無機粒子中にSiO2と、d線に対する屈折率が1.6以上、2.8以下の酸化物とが含有されるので、樹脂材料のみが含有される場合や、無機粒子としてSiO2のみが含有される場合と異なり、樹脂材料と比較して屈折率を高めることができる。
また、複合材料中に無機粒子が含有されるので、複合材料を温度変化に対して安定化することができる。また、疎水化処理の容易なSiO2が無機粒子中に含有されるため、このSiO2を疎水化処理することにより、湿度変化に対して複合材料を安定化することができる。また、相対湿度90%での吸水率が2%以下であるので、湿度変化に対して複合材料を更に安定化することができる。よって、従来と比較して環境変動に対する安定性を改善することができる。
また、無機粒子の体積換算粒子径が2nm以上100nm以下であるので、粒子径が0.3ミクロン以上である従来の場合と比較して、光透過率を高めることができる。
よって、樹脂材料よりも屈折率を高くしつつ、従来と比較して光透過率と、環境変動に対する安定性との組合せを改善することができる。
以下、実施例および比較例を挙げることにより、本発明に係る光学素子をさらに具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
(無機粒子(1−1);SiO2/TiO2微粒子の調製、SiO2モル分率30%)
純水463.1g、26%アンモニア水104.8g及びメタノール4255.0gの混合液に、テトラメトキシシラン(TMOS)1368g及びメタノール229.4gの混合液と、純水643.2g及び26%アンモニア水104.8gの混合液とを、液温を25℃に保ちつつ150分かけて滴下した後、チタンテトライソプロポキシド5969g及びイロプロパノール150gの混合液を100分かけて添加し、シリカ/チタン混合ゾルを得た。
このゾルを常圧下で加熱蒸留して容量を一定に保ちつつ純水を滴下し、蒸留塔の塔頂温が100℃に達してpHが8以下になったのを確認した時点で純水の滴下を終了し、無機粒子の分散液を得た。
さらに、メチルトリメトキシシランを15.4g添加し、室温にて1時間攪拌した後、2時間還流を行った。その後、常圧下で加熱蒸留して容量を一定に保ちつつメチルエチルケトンを滴下し、塔頂温が79℃に達して水分が1.0%以下になったのを確認した時点で滴下を終了し、室温まで冷却した後、3μメンブランフィルターを用いて精密濾過を行い、メチルエチルケトン分散シリカゾルを得た。TEM観察の結果、無機粒子の体積換算平均粒子径は、13nmであった。
(無機粒子(1−2);SiO2/TiO2微粒子の調製、SiO2モル分率80%)
テトラメトキシシランを3648g、チタンテトライソプロポキシドを2274gに変えた以外は、無機粒子(1−1)の作成と同様にして無機粒子を作成した。体積換算平均粒子径は7nmであった。
(無機粒子(1−3);SiO2/TiO2微粒子の調製、SiO2モル分率80%)
テトラメトキシシランと混合して添加するメタノールを2100gに変えた以外は、無機粒子(1−2)の作成と同様にして無機粒子を作成した。体積換算平均粒子径は30nmであった。
(無機粒子(1−4);SiO2/TiO2微粒子の調製、SiO2モル分率80%)
テトラメトキシシラン滴下時の液温を40℃に変えた以外は、無機粒子(1−2)の作成と同様にして無機粒子を作成した。体積換算平均粒子径は150nmであった。
(無機粒子(1−5);SiO2/TiO2微粒子の調製、SiO2モル分率80%)
テトラメトキシシラン滴下時の液温を50℃に変えた以外は、無機粒子(1−2)の作成と同様にして無機粒子を作成した。体積換算平均粒子径は150nmであった。
(無機粒子(2);SiO2/ZnO2微粒子の調製)
エタノール10mL中に酢酸亜鉛2水和物3066gを加えた混合液を、加熱還流下、90℃にて1時間撹拌した後、0℃に冷却した。
次に、この溶液に、エタノール400Lに対して水酸化リチウム1水和物1180g(1.4当量)を溶解した溶液を、0℃で攪拌しながら添加した。得られた混合液を室温にて30分間撹拌した後、攪拌を継続しながらメチルトリメトキシシラン816mLを添加し、更に、室温にて3時間撹拌した後、トリエチルアミン30.6Lを添加し、更に脱塩水1Lを添加した。
その後、一晩静置した反応液を濃縮・乾固し、この粉末をエタノール30Lに再分散して透明な分散液とし、該分散液をn−ヘキサン400L中に投入して再沈殿させ、遠心分離、デカンデーション、真空乾燥することにより白色固体粉末4322gを得た。TEM観察の結果、無機粒子の体積換算平均粒子径は、10nmであった。
(無機粒子(3);SiO2/Al2O3微粒子の調製)
シリカゾルとしての「カタロイド」(商品名;触媒化成工業(株)、粒子径5nm、SiO2濃度20重量%)460gと、水176kgとを混合し、これに濃度5重量%のNaOH水溶液6500gを添加して分散液のpHを10.5とした後、分散液の温度を95℃に昇温し、30分間95℃に維持して粒子分散液を調製した。
次に、温度を95℃に維持した当該粒子分散液に、水硝子(洞海化学(株)製:JIS3号水硝子、SiO2濃度24重量%)17744g及び水54320gを混合して得た珪酸アルカリ水溶液と、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al23濃度22重量%、Na2O濃度17重量%)5440g及び水102880gを混合して得たアルミン酸ナトリウム水溶液と、硫酸アンモニウム2280g及び水57360gを混合して得た電解質水溶液とを11時間で添加した。このときの添加速度は、電解質水溶液中のシリカ(SiO2)とアルミナ(Al23)との総量1.2g/核粒子単位表面積(m2)・時間であり、アルカリ(珪酸アルカリとアルミン酸ナトリウムのアルカリとの和)と電解質との当量比EA/EEは2.18であった。
次に、1時間熟成を行った後、限外濾過膜により成長核粒子分散液のpHが10になるまで洗浄を行った。さらに、メチルトリメトキシシランを15.4g添加し、室温にて1時間攪拌した後、2時間還流を行った。その後、常圧下で加熱蒸留して容量を一定に保ちつつメチルエチルケトンを滴下し、塔頂温が79℃に達して水分が1.0%以下になったのを確認した時点で滴下を終了し、室温まで冷却後、3μメンブランフィルターを用いて精密濾過を行い、メチルエチルケトン分散ゾルを得た。TEM観察の結果、体積換算平均粒子径は、10nmであった。
(無機粒子(4);SiO2微粒子の調製)
純水463.1g、26%アンモニア水90.6g及びメタノール4255.0gの混合液に、テトラメトキシシラン4560g及びメタノール229.4gの混合液と、純水643.2g及び26%アンモニア水104.8gの混合液とを、液温を45℃に保ちつつ150分かけて滴下し、ゾル分散液を得た。
このシリカゾルを常圧下で加熱蒸留して容量を一定に保ちつつ純水を滴下し、塔頂温が100℃に達してpHが8以下になったのを確認した時点で純水の滴下を終了し、微粒子分散液を得た。
さらに、メチルトリメトキシシランを15.4g添加し、室温にて1時間攪拌した後、2時間還流を行った。その後、常圧下で加熱蒸留して容量を一定に保ちつつメチルエチルケトンを滴下し、塔頂温が79℃に達して水分が1.0%以下になったのを確認した時点で滴下を終了し、室温まで冷却した後、3μメンブランフィルターを用いて精密濾過を行い、メチルエチルケトン分散シリカゾルを得た。TEM観察の結果、体積換算平均粒子径は、6nmであった。
(無機粒子(5);TiO2微粒子の調製)
純水463.1g、26%アンモニア水90.6g及びメタノール4255.0gの混合液に、チタンテトライソプロポキシド8526.6g及びメタノール229.4gの混合液と、純水643.2g及び26%アンモニア水104.8gの混合液とを、液温を45℃に保ちつつ150分かけて滴下し、ゾル分散液を得た。
このシリカゾルを常圧下で加熱蒸留して容量を一定に保ちつつ純水を滴下し、塔頂温が100℃に達してpHが8以下になったのを確認した時点で純水の滴下を終了し、微粒子分散液を得た。TEM観察の結果、体積換算平均粒子径は、18nmであった。
(樹脂(1),(2))
樹脂(1)としては、シクロオレフィン樹脂「APEL5014」(製品名、三井化学製、屈折率1.54)を、樹脂(2)としては、PMMA樹脂「アクリペットVH」(製品名、三菱レーヨン製、屈折率1.49)を用いた。
(複合材料の作成)
下記の表2に示すように、上記の無機粒子(1)〜(5)の分散した各粒子分散液を樹脂(1),(2)と脱揮しながら溶融混練し、複合材料(1)〜(12)を作成した。複合材料中の無機粒子(1)〜(5)の含有量は、それぞれ50重量%になるようにした。また、樹脂(1)を用いる場合には、混練時にシクロヘキシルメチルジメトキシシランを無機粒子100重量部あたり10部添加した。また、樹脂(2)を用いる場合には、混練時にγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを微粒子100重量部あたり10重量部添加した。
Figure 2007137984
なお、溶融混練においては、ラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製、商品名:ラボプラストミルKF−6V)を用い、窒素下において100rpmで10分間混練し、終了前に2分間20Torrで減圧脱気を行った。また、溶融混練時には、適宜表面処理剤を加えることで微粒子の表面処理を行った。
(光学素子の作成)
得られた複合材料(1)〜(12)を160℃、10Torrの減圧下でプレスし、Φ11mm、厚さ3mmの成型体とした後、表面を研磨して光学素子を作成し、本発明に係る実施例(1)〜(5)及び比較例(1)〜(7)とした。これら実施例(1)〜(5)及び比較例(1)〜(7)を以下の光学物性測定に用いた。
(透過率の測定)
各光学素子に対して波長405nmにおける光透過率の測定を行った。なお、透過率の測定方法はASTM D 1003に準拠した。結果を上記表2の「透過率」の欄に示す。なお、実用性の観点からは、透過率は50%以上であることが必要である。
(屈折率のとその温度依存性の測定)
自動屈折計「KPR−200」(製品名、カルニュー光学工業製)を用いて、各光学素子の温度を25℃から75℃まで変化させて波長588nmにおける屈折率を測定し、屈折率の温度依存性を算出した。結果を上記表2の「屈折率」,「屈折率温度依存性」の欄に示す。なお、実用性の観点からは、屈折率の温度依存性は−0.4%以上であることが必要である。
(吸湿性試験、屈折率湿度依存性測定)
高温高湿機「PR−2PK」(製品名、エスペック株式会社製)を使用し、予め100℃、10%RHで100時間乾燥させた光学素子を60℃90%RHで、500時間保存し、前後の重量増加分から吸水率を求めた。乾燥時の吸湿量は、複合材料をシクロヘキサンに溶解した後、複合材料を乾燥有機溶媒でカールフィッシャー法により測定した。乾燥した実施例(1)〜(5)及び比較例(1)〜(7)と、吸水させた実施例(1)〜(5)及び比較例(1)〜(7)との25℃における屈折率をそれぞれ測定し、屈折率の湿度依存性として求めた。結果を上記表2の「吸水率」,「屈折率湿度依存性」の欄に示す。なお、実用性の観点からは、屈折率の湿度依存性は1%未満であることが必要である。
(複合材料中での粒度分布測定)
ミクロトームを用いて各光学素子から100nm程度の切片を作成し、透過型電子顕微鏡「H−800」(製品名、日立株式会社製)を用いて各切片を100000倍で観察し、得られた像を体積換算平均粒子径に換算した。結果を上記表2の「TEM粒径」の欄に示す。
この表2に記載の結果より明らかなように、実施例(1)の光学素子は樹脂(1)よりも屈折率が高く、比較例(1)〜(3)の光学素子と比較して光透過率と、環境変動に対する安定性とがそれぞれ改善されている。
また、実施例(3)〜(5)の光学素子は、樹脂(1)よりも屈折率が高くなっており、また比較例(7)の光学素子と比較して環境変動に対する安定性が等しく、光透過率が改善されている、つまり、比較例(7)の光学素子と比較して光透過率と環境変動に対する安定性との組合せが改善されている。
なお、比較例(4)〜(6)の光学素子は屈折率が樹脂材料の屈折率以下となっており、実施例(1)〜(5)に対する比較対照として不適当となっている。
本発明に係る光学素子である対物レンズが具備された光ピックアップ装置の内部構造を示す模式図である。
符号の説明
7 対物レンズ(光学素子)

Claims (2)

  1. 無機粒子と樹脂とからなる複合材料であって、
    3mm厚の光線透過率が、405nmの光に対して50%以上であり、
    相対湿度90%での吸水率が、2%以下であり、
    前記無機粒子は、
    SiO2と、d線に対する屈折率が1.6以上、2.8以下の酸化物との複合粒子であり、
    体積換算粒子径が2nm以上100nm以下で、SiO2のモル分率が0.05以上0.95以下であることを特徴とする複合材料。
  2. 請求項1に記載の複合材料を成形することにより製造されたことを特徴とする光学素子。
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