JP2007134230A - 燃料電池セル、燃料電池セルスタック及び燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料電池セルは、ガス流路を内部に備える電気絶縁性の多孔質支持体と、前記多孔質支持体の表面に、縦縞状に複数形成され、それぞれが内側電極、固体電解質及び外側電極を積層した構造を有する発電素子部13と、前記発電素子部13の内側電極と、隣接する発電素子部13の外側電極とを直列につなぐ素子間接続部材とを備える。
【選択図】図1
Description
また、支持体21に絶縁体を用いて、各発電素子部23間の電気的ショートを防いでいる。また、支持体21の内部には1本又は複数本のガス流路27が支持体21の軸長方向Gに沿って形成されている。この軸長方向Gは、ガス流れ方向でもある。
すなわち、空気極23cでは、下記式(1)の電極反応を生じ、燃料極23aでは、下記式(2)の電極反応を生じる。
燃料極23a: O2-+H2 → H2O+2e- (2)
そして、燃料極23aと空気極23cとを負荷に接続することにより、燃料極23aから空気極23cへの電子の移動が起こり、両極間で起電力が生じる。
このように、固体電解質形燃料電池セルでは、酸素(空気)と水素(燃料ガス)を供給することにより、前記の反応を連続して起こし、起電力を生じさせて発電する。
ところが、この構成では、燃料ガスの下流(図7の上方向)に位置する発電素子部に供給される水素量は、燃料ガスの上流(図7の下方向)に位置する発電素子部に供給される水素量よりも少なくなる。これは、上流の発電素子部によって水素が消費されるので、下流になるほど燃料ガスに含まれる水素量は減少していくからである。このため、下流の発電素子部では、水素量が不足する状態が生じる。この現象を「燃料枯れ」という。
各発電素子部は、前述したように、互いに直列に接続されているため、一部の発電素子部の発電能力が低下すれば、セル全体の発電能力の低下につながる。
これは、燃料ガスの流れに対して、発電素子部の配置方向が同じ方向に設定されているために起こる問題である。
また、前記発電素子部に、前記内側電極を発電素子部外に接続するための集電層が形成されていれば、この集電層と前記外側電極とから電気を外に取り出すことができ、複数の発電素子部を容易に直列接続できる。
前記素子間接続部材が接続されていない、両端の発電素子部には、セル間接続部材が接続されていることが好ましい。このセル間接続部材を介して、接続用の金属体を用いなくても、燃料電池セル同士を互いに接続することができる。
本発明の燃料電池は、前記燃料電池セルスタックが、収納容器内に1又は複数収納されてなるものであり、信頼性の向上、寿命の長期化を実現することができる。
図1は、燃料電池セル3の一実施形態を示す正面図であり、図2は、そのA−A線断面図である。なお、図1では、セル間接続部材、素子間接続部材の記載は省略した。
図1及び図2において、燃料電池セル3は、細長い中空板状の多孔質支持体11の表面に、この支持体11の軸長方向すなわち燃料ガスの流れる方向に沿って、矩形形状の複数の発電素子部13が形成されたものである。
複数の発電素子部13は、それぞれ長辺と短辺とを有する細長い長方形状であり、その長辺の延びる方向が前記燃料ガスの流れる方向になっている。そして、隣り合う複数の発電素子部13の長辺同士が対向している。
発電素子部13は、内側電極としての燃料極17、固体電解質19、及び外側電極としての空気極18が、多孔質支持体11の表面に順次積層された構造を有しており、固体電解質19を燃料極17、空気極18により挟持した部分が発電素子部とされている。前記固体電解質19には発電素子部13の長辺の方向に沿って開口部が設けられており、ここに導電性の集電層14が形成されている。集電層14は、燃料極17の電荷を、隣接する発電素子部13の表面に引き出す機能を有する。
多孔質支持体11全体の表面には、支持体材料の拡散を防止するための拡散防止層11aが形成されている。その上に、発電素子部13の形状に合わせて、水素ガスを透過させる燃料極17が形成されている。燃料極17は、この例では、集電燃料極17aと活性燃料極17bとの2層で構成されている。
固体電解質19には発電素子部13の長辺に沿った方向に延びる開口部が設けられており、この開口部に、燃料極17から電気を取り出すための集電層14が形成されている。集電層14は、図3では、金属層14aと、ガラスの入った金属ガラス層14bとの二層構造からなる。
さらに、固体電解質19の上には、空気極18と固体電解質19との反応を防止するための反応防止層20を介して、空気極18が形成されている。この空気極18と前記集電層14とから、発電素子部13の正負の電気を取り出すので、空気極18と集電層14とは接触しないように配置される。
この素子間接続部材15は、発電素子部13の長辺方向に沿って延びる一枚の部材であってもよく、発電素子部13同士の複数箇所を接続する複数の部材からなっていてもよい。この素子間接続部材15により、縦長の発電素子部13同士が電気的に直列に接続される。
なお、多孔質支持体11の同じ面に設けられたもう一方の発電素子部13(図2に13′で示す)の集電層14は、隣の燃料電池セルに接続されるための極となる。また、同じ多孔質支持体11の裏面に設けられたもう一方の発電素子部13(図2に13″で示す)の空気極18も、隣の燃料電池セルに接続されるための極となる。これらの極をつなぐために形成された接続部材を、セル間接続部材16という。
また、前記多孔質支持体11は板状の形状を有し、発電素子部13をその両面に配置しているので、燃料電池セル3の体積当たりの発電素子部13の面積を大きくし、その結果、燃料電池セル3の体積当たりの発電量を大きくすることができる。そのため、必要とする発電量を得るための燃料電池セル3の個数を低減することができる。その結果、構造が簡易になり、組み立てが簡単になるとともに、燃料電池セル3の信頼性を向上することができる。
また、多孔質支持体11は、その開気孔率が、例えば、25%以上、好ましくは、30%〜45%の範囲に設定するとよい。これにより、ガス流路12内の燃料ガスを、燃料極17の表面まで導入することができる。
多孔質支持体11の組成として、次のような例を挙げることができる。多孔質支持体11は、Niを、NiO換算で6〜22mol%含有し、Y及び/又はYbを、Y2O3又はYb2O3換算で5〜15mol%含有し、Mgを、MgO換算で68〜84mol%含有している。このような組成としたのは、固体電解質との収縮率差を小さくでき、固体電解質の割れを防止することができるからである。
活性燃料極17bは、多孔質の導電性サーメットから形成されている。この多孔質の導電性サーメットは、例えば、希土類元素が固溶しているZrO2(安定化ジルコニア)と、Ni及び/又はNi酸化物(NiOなど)とからなっている。また、安定化ジルコニアとしては、固体電解質19の材料と同様のものを用いることもできる。
ここで、固溶させる希土類元素又はその酸化物としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luなど、又は、これらの酸化物などが挙げられる。好ましくは、Y、Yb、又は、これらの酸化物が挙げられる。
固体電解質19は、例えば、厚さが10μm〜100μmであり、例えば、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、好ましくは、95%以上の範囲に設定される。
空気極18は、多孔質の導電性セラミックスから形成されている。
導電性セラミックスとしては、例えば、ABO3型のペロブスカイト型酸化物が挙げられる。このようなペロブスカイト型酸化物としては、例えば、遷移金属型ペロブスカイト酸化物、好ましくは、LaMnO3系酸化物、LaFeO3系酸化物、LaCoO3系酸化物など、特にAサイトにLaを有する遷移金属型ペロブスカイト酸化物を挙げることができる。さらに好ましくは、600℃〜1000℃程度の比較的低温での電気伝導性が高いという観点から、LaCoO3系酸化物が挙げられる。また、前記したペロブスカイト型酸化物において、AサイトにLa及びSrが共存してもよく、また、BサイトにFe、Co及びMnが共存してもよい。
また、空気極18は、その開気孔率が、例えば、20%以上、好ましくは、30%〜50%の範囲に設定される。開気孔率が前記した範囲内にあれば、空気極18が良好なガス透過性を有することができる。
また、空気極18は、その厚さが、例えば、30μm〜100μmの範囲に設定される。前記した範囲内にあれば、空気極18が良好な集電性を有することができる。
まず、支持体成形体を作製する。支持体成形体の材料として、体積基準での平均粒径(D50)(以下、単に「平均粒径」とする。)が0.1μm〜10.0μmのNiO粉末、Y2O3又はYb2O3粉末、MgO粉末を所定の比率で配合して混合する。この混合粉末に、ポアー剤と、セルロース系有機バインダーと、水とからなる溶媒とを混合し、押し出し成形して、内部にガス流路を有する中空の板状形状で、扁平状の支持体成形体を作製し、これを乾燥後、900℃〜1100℃にて仮焼処理して支持体成形体11を作製する。
その後、図4(c)に示すように、活性燃料極17bが印刷された矩形状の集電燃料極テープ17aを、仮焼した支持体成形体11に、拡散防止層11aを介して貼り付ける。これを繰り返し行い、支持体成形体11の表面に複数の集電燃料極テープ17aを貼り付ける。なお、このとき一方の集電燃料極テープ17aと、他方の集電燃料極テープ17aとは、幅3mm〜20mmの間隔をあけて配置する。
燃料極17の、集電層14を形成したい部分に、マスキングテープ21を貼り付ける(図4(d))。
次に、この積層体を、8YSZ(8モル%のYが固溶したZrO2粉末)にアクリル系バインダーとトルエンを加えてスラリーとした固体電解質溶液に漬けて、固体電解質溶液から取り出す。このディップにより、全面に固体電解質19の層が塗布されるとともに、前記(a)で打ち抜いた空間にも絶縁体である固体電解質19が充填される。
次に空気極の形成部分に反応防止層20を塗布して1480℃で、2時間焼成する(図4(f))。
その反応防止層11の上から、ランタンコバルタイト(LaCoO3)とイソプロピルアルコールとを混合したスラリーを印刷し、厚さ10μm〜100μmの空気極18を形成する。そして、1050℃、2時間焼き付ける(図4(g))。
最後に、素子間接続部材15、セル間接続部材16を所定位置に塗布して、燃料電池セル3を得ることができる。
図5は、前記した燃料電池セル3を複数組み合わせた燃料電池セルスタック4の接続構造を示す断面図であり、図6は、燃料ガスマニホールド2に装着された燃料電池セルスタック4の斜視図である。
即ち、一方の燃料電池セル3の端部に設けられたセル間接続部材16は、他方の燃料電池セル3の端部に設けられたセル間接続部材16と、集電用の金属部材を介することなく直接に接触し導通している。
このように、前記した燃料電池セル3が、セル間接続部材16を介して直接に接続されているので、セル間を接続するための集電用金属部材が必要なくなるので、燃料電池セル3を密に配置することができる。このため、単位発電量当たりの燃料電池セルスタック4の体積を小さくすることができ、小型で、熱効率の高い燃料電池セルスタック4を提供することができる。
なお、セル間接続部材16とセル間接続部材16との接続部に、AgやPtなどの貴金属を含有するペーストなどの導電性接着剤を塗布することにより、接続信頼性を向上させることもできる。また、導電性接着剤としては、経済的な観点から、好ましくは、Ni金属を含有するペーストが挙げられる。
前記燃料ガスマニホールド2の上壁は、耐熱性のガラス等で形成されている。この燃料ガスマニホールド2の上壁には短手方向に延びる複数個のスリットが形成されており、多孔質支持体11の各々に形成されている燃料ガス通路12がスリットを介して燃料ガスマニホールド2内の燃料ガス室に連通している。前記燃料電池セルの各々は、燃料ガスマニホールド2の上壁を構成する前記耐熱ガラスに対して、耐熱性に優れたセラミック接着剤などによって接合される。前記耐熱ガラスの材料として、例えばホウケイ酸ガラスを用いる。
燃料電池の使用時、水素を含む燃料ガスを、導入管を通して燃料ガスマニホールドに導入する。一方、燃料電池セルスタック4の表面には、酸素を含む空気を導入する。燃料電池セル3を所定温度に加熱すれば、直列に接続された燃料電池セル3によって効率よく発電することができる。使用された燃料ガス、酸素含有ガスは、収納容器外に排出される。
3 燃料電池セル
4 セルスタック
11 多孔質支持体
12 ガス流路
13,13′,13″ 発電素子部
14 集電層
15 素子間接続部材
16 セル間接続部材
17 燃料極
18 空気極
19 固体電解質
Claims (7)
- ガス流路を内部に備える、電気絶縁性の多孔質支持体と、
前記多孔質支持体の表面に複数形成され、それぞれが内側電極、固体電解質及び外側電極を積層した構造を有する発電素子部と、
前記発電素子部の内側電極と、同じ多孔質支持体に形成された隣接する発電素子部の外側電極とを直列につなぐための素子間接続部材とを備え、
前記発電素子部間を流れる電流の向きが前記ガス流路の方向に対して垂直である、燃料電池セル。 - 前記発電素子部は、前記ガス流路の方向に延びた矩形形状を有し、互いに平行に配列されている請求項1記載の燃料電池セル。
- 前記多孔質支持体が、中空の板形状を有している請求項1又は請求項2記載の燃料電池セル。
- 前記発電素子部は、前記多孔質支持体の両面に設けられている請求項3記載の燃料電池セル。
- 前記多孔質支持体にはセル間接続部材が設けられ、
前記素子間接続部材が接続されていない、両端の発電素子部には、当該セル間接続部材が接続されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の燃料電池セル。 - 請求項5記載の燃料電池セルが、前記セル間接続部材を介して互いに電気的に接続されてなる燃料電池セルスタック。
- 請求項6記載の燃料電池セルスタックが、収納容器内に1又は複数収納されてなる燃料電池。
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