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JP2007134230A - 燃料電池セル、燃料電池セルスタック及び燃料電池 - Google Patents

燃料電池セル、燃料電池セルスタック及び燃料電池 Download PDF

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JP2007134230A JP2005327687A JP2005327687A JP2007134230A JP 2007134230 A JP2007134230 A JP 2007134230A JP 2005327687 A JP2005327687 A JP 2005327687A JP 2005327687 A JP2005327687 A JP 2005327687A JP 2007134230 A JP2007134230 A JP 2007134230A
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Abstract

【課題】セルあたりの発電電圧が高く、かつ燃料ガスの流れがどのセルに対しても均等になるような構造を備えることにより、発電能力に優れた燃料電池セルを提供する。
【解決手段】燃料電池セルは、ガス流路を内部に備える電気絶縁性の多孔質支持体と、前記多孔質支持体の表面に、縦縞状に複数形成され、それぞれが内側電極、固体電解質及び外側電極を積層した構造を有する発電素子部13と、前記発電素子部13の内側電極と、隣接する発電素子部13の外側電極とを直列につなぐ素子間接続部材とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解質形燃料電池セル、燃料電池セルを集積した燃料電池セルスタック、及び当該燃料電池セルスタックを具備する燃料電池に関するものである。
近年、次世代エネルギーとして、燃料電池セルを複数接続してなる燃料電池セルスタックを、収納容器に収容した燃料電池が種々提案されている。このような燃料電池セルとしては、固体高分子形燃料電池セル、リン酸形燃料電池セル、溶融炭酸塩形燃料電池セル、固体電解質形燃料電池セルなど、各種のものが知られている。とりわけ、固体電解質形燃料電池セルは、発電効率が高く、また、作動温度が700℃〜1000℃と高いため、その排熱を利用ができるなどの利点を有しており、研究開発が推し進められている。
図7は、従来公知の固体電解質形燃料電池セルの一部を示す拡大縦断面である(例えば、特許文献1参照)。この固体電解質形燃料電池セルは、「横縞型」といって、多孔質絶縁体である円筒状の支持体21の表面に、燃料極23a、固体電解質23b及び空気極23cが順次積層された多層構造の発電素子部23を、図7に示す発電素子部23の短辺の延びる方向(図7の矢印Gの方向)に所定間隔をおいて複数形成することにより構成されている。
互いに隣接する発電素子部23は、それぞれ素子間接続部材(インターコネクタ)24により電気的に直列に接続されている。すなわち、一方の発電素子部23の燃料極23aと他方の発電素子部23の空気極23cとが、素子間接続部材24により接続されている。
また、支持体21に絶縁体を用いて、各発電素子部23間の電気的ショートを防いでいる。また、支持体21の内部には1本又は複数本のガス流路27が支持体21の軸長方向Gに沿って形成されている。この軸長方向Gは、ガス流れ方向でもある。
前記燃料電池セルにおいて、固体電解質23bの酸素イオン伝導性が、600℃以上で高くなるため、このような温度で前記燃料電池セルの周囲に酸素を含むガス(空気)を流し、ガス流路27に水素を含むガス(燃料ガス)を流すことにより、空気極23cと燃料極23aとの酸素濃度差が大きくなり、空気極23cと燃料極23aとの間で電位差が発生する。
この電位差により、酸素イオンは、空気極23cから固体電解質23bを通じて燃料極23aへ移動する。移動した酸素イオンが、燃料極23aで水素と結合して水となり、同時に燃料極23aで電子が発生する。
すなわち、空気極23cでは、下記式(1)の電極反応を生じ、燃料極23aでは、下記式(2)の電極反応を生じる。
空気極23c: 1/2O2+2e- →O2- (1)
燃料極23a: O2-+H2 → H2O+2e- (2)
そして、燃料極23aと空気極23cとを負荷に接続することにより、燃料極23aから空気極23cへの電子の移動が起こり、両極間で起電力が生じる。
このように、固体電解質形燃料電池セルでは、酸素(空気)と水素(燃料ガス)を供給することにより、前記の反応を連続して起こし、起電力を生じさせて発電する。
なお、前記した燃料電池セルにおいては、燃料電池セルが直列につながれているため、総合起電力は、各燃料電池セルの起電力の和となり、燃料電池セルスタックから高い電圧が得られるのが特徴である。
特開平10−003932号公報
前述した横縞型燃料電池セルは、各発電素子部の配列方向と燃料ガスの流れとが同じ支持体21の軸長方向Gである。
ところが、この構成では、燃料ガスの下流(図7の上方向)に位置する発電素子部に供給される水素量は、燃料ガスの上流(図7の下方向)に位置する発電素子部に供給される水素量よりも少なくなる。これは、上流の発電素子部によって水素が消費されるので、下流になるほど燃料ガスに含まれる水素量は減少していくからである。このため、下流の発電素子部では、水素量が不足する状態が生じる。この現象を「燃料枯れ」という。
発電素子部の特性として、燃料の供給量がある値を下回ると起電力が急激に低下して発電できなくなる。したがって、下流の発電素子部ほど発電能力が低下してしまう。
各発電素子部は、前述したように、互いに直列に接続されているため、一部の発電素子部の発電能力が低下すれば、セル全体の発電能力の低下につながる。
これは、燃料ガスの流れに対して、発電素子部の配置方向が同じ方向に設定されているために起こる問題である。
そこで、本発明は、セルあたりの発電電圧が高く、かつ燃料ガスの供給量がどの発電素子部に対しても均等になるような構造を備えることにより、発電能力に優れた燃料電池セル、燃料電池セルスタック及び燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池セルは、ガス流路を内部に備える電気絶縁性の多孔質支持体と、前記多孔質支持体の表面に複数形成され、それぞれが内側電極、固体電解質及び外側電極を積層した構造を有する発電素子部と、前記発電素子部の内側電極と、同じ多孔質支持体に形成された隣接する発電素子部の外側電極とを直列につなぐための素子間接続部材とを備え、前記発電素子部間を流れる電流の向きが前記ガス流路の方向に対して垂直であることを特徴とする。
この構成によれば、電流の流れる方向は、燃料ガスの流れる方向とほぼ直角の方向になるので、言い換えれば、燃料ガスの流れる方向とほぼ直交する方向に複数の発電素子部が所定間隔をおいて配列され、さらに言い換えれば、燃料電池セルの軸長方向(燃料ガスの流れる方向)に伸びる発電素子部を、燃料ガスの流れる方向と直交する方向に所定間隔をおいて配列したので、ガス流路を流れる燃料ガスの下流側へのガス供給量が減少して発電素子部の一部の発電量が低下しても、それがボトルネックにならず、各発電素子部の発電量はほぼ同一になる。したがって、燃料電池セルにおける発電能力の低下を防止できるとともに、燃料電池セルの寿命を延ばすことができる。
前記発電素子部が、前記ガス流路の方向に延びた矩形形状を有していれば、多孔質支持体の上に、ガス流路形成方向と直行する方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列することができ、発電素子部を前記多孔質支持体の上に高い密度で配置することができる。
また、前記発電素子部に、前記内側電極を発電素子部外に接続するための集電層が形成されていれば、この集電層と前記外側電極とから電気を外に取り出すことができ、複数の発電素子部を容易に直列接続できる。
前記多孔質支持体が、中空の板形状を有していれば、円筒タイプよりも燃料電池セルの体積当たりの発電素子部の面積を大きくし、その結果、燃料電池セルの体積当たりの発電量を大きくすることができる。また、中空形状であり、複数のガス流路をその内部に設けることが可能であるので、多孔質支持体の構造強度を向上させることができ、燃料電池セルの機械強度を高めることができる。
特に、前記発電素子部を、前記多孔質支持体の両面に設けていれば、発電素子部の総面積を最大にすることができ、しかも隣接する燃料電池セル同士を直列に接続することも簡単にできる。
前記素子間接続部材が接続されていない、両端の発電素子部には、セル間接続部材が接続されていることが好ましい。このセル間接続部材を介して、接続用の金属体を用いなくても、燃料電池セル同士を互いに接続することができる。
本発明の燃料電池セルスタックは、本発明の燃料電池セル同士が前記セル間接続部材を介して互いに接続されてなるものである。これにより、発電素子部が高密度に配置された、小型、高電圧、長寿命の燃料電池セルスタックを作製することができる。
本発明の燃料電池は、前記燃料電池セルスタックが、収納容器内に1又は複数収納されてなるものであり、信頼性の向上、寿命の長期化を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、燃料電池セル3の一実施形態を示す正面図であり、図2は、そのA−A線断面図である。なお、図1では、セル間接続部材、素子間接続部材の記載は省略した。
図1及び図2において、燃料電池セル3は、細長い中空板状の多孔質支持体11の表面に、この支持体11の軸長方向すなわち燃料ガスの流れる方向に沿って、矩形形状の複数の発電素子部13が形成されたものである。
この例では、発電素子部13は、中空板状の多孔質支持体11の片面に2個、他面に2個、合計4個形成されている。
複数の発電素子部13は、それぞれ長辺と短辺とを有する細長い長方形状であり、その長辺の延びる方向が前記燃料ガスの流れる方向になっている。そして、隣り合う複数の発電素子部13の長辺同士が対向している。
多孔質支持体11は、図2に示すように、その内部に一流路以上(図中では6個)の独立したガス流路12が発電素子部13の長辺に沿った方向(図2の紙面に垂直な方向)、言い換えれば支持体11の軸長方向に平行に設けられている。多孔質支持体11は、発電素子部13同士の電気的短絡を防止する観点から絶縁性である。
発電素子部13は、内側電極としての燃料極17、固体電解質19、及び外側電極としての空気極18が、多孔質支持体11の表面に順次積層された構造を有しており、固体電解質19を燃料極17、空気極18により挟持した部分が発電素子部とされている。前記固体電解質19には発電素子部13の長辺の方向に沿って開口部が設けられており、ここに導電性の集電層14が形成されている。集電層14は、燃料極17の電荷を、隣接する発電素子部13の表面に引き出す機能を有する。
発電素子部13の詳細な構造について、図3を用いて説明する。図3は、発電素子部13の詳細な構造を示す拡大断面図である。
多孔質支持体11全体の表面には、支持体材料の拡散を防止するための拡散防止層11aが形成されている。その上に、発電素子部13の形状に合わせて、水素ガスを透過させる燃料極17が形成されている。燃料極17は、この例では、集電燃料極17aと活性燃料極17bとの2層で構成されている。
さらに燃料極17の上には固体電解質19が形成されている。この固体電解質19は隣接する発電素子部13との間にも形成され、隣接する発電素子部13間を絶縁している。
固体電解質19には発電素子部13の長辺に沿った方向に延びる開口部が設けられており、この開口部に、燃料極17から電気を取り出すための集電層14が形成されている。集電層14は、図3では、金属層14aと、ガラスの入った金属ガラス層14bとの二層構造からなる。
なお、図3では、金属ガラス層14bを用いたが、金属ガラス層14bの代わりに従来公知の電気伝導性酸化物材料である、例えば、(La,Sr)CrO3、(La,Sr)(Co,Fe)O3、(La,Sr)MnO3等を用いることができる。
さらに、固体電解質19の上には、空気極18と固体電解質19との反応を防止するための反応防止層20を介して、空気極18が形成されている。この空気極18と前記集電層14とから、発電素子部13の正負の電気を取り出すので、空気極18と集電層14とは接触しないように配置される。
さらにこの上から、多孔質の素子間接続部材15が形成されている。素子間接続部材15は、1つの発電素子部13の空気極18と、これに隣接する他の発電素子部13の集電層14とを接続するための導電性の部材である。
この素子間接続部材15は、発電素子部13の長辺方向に沿って延びる一枚の部材であってもよく、発電素子部13同士の複数箇所を接続する複数の部材からなっていてもよい。この素子間接続部材15により、縦長の発電素子部13同士が電気的に直列に接続される。
なお、多孔質支持体11の片面に設けられた発電素子部13と、同じ多孔質支持体11の裏面に設けられた発電素子部13とは、図2に示すように、素子間接続部材15の回り込みによって、接続される。本明細書では、このような多孔質支持体11の表裏面に設けられた発電素子部13であっても、それらが素子間接続部材15で接続されるならば、互いに「隣接」した関係にあるという。
以上説明したように、本発明の実施形態の燃料電池セル3において、隣接する発電素子部13同士は、素子間接続部材15により電気的に接続されている。すなわち、一方の発電素子部13の燃料極17は集電層14を通して、素子間接続部材15により、隣接する発電素子部13の空気極18と接続される構造となっている。
なお、多孔質支持体11の同じ面に設けられたもう一方の発電素子部13(図2に13′で示す)の集電層14は、隣の燃料電池セルに接続されるための極となる。また、同じ多孔質支持体11の裏面に設けられたもう一方の発電素子部13(図2に13″で示す)の空気極18も、隣の燃料電池セルに接続されるための極となる。これらの極をつなぐために形成された接続部材を、セル間接続部材16という。
このように、燃料電池セル3の発電素子部13の長辺の延びる方向に沿って設けられた複数の発電素子部13の長辺同士が、素子間接続部材15やセル間接続部材16により接続されているので、電流の流れる方向は、発電素子部13の長辺の延びる方向すなわち燃料ガスの流れる方向とほぼ直角の方向になる。したがって、発電素子部13の下流側へのガス供給量が減少する燃料枯れが起って、発電素子部13の下流側の発電量が低下しても、全体として、電流の流れる経路は確保されることになる。したがって、直ちに全体の発電能力の低下に結びつくことはなくなり、燃料電池セル3の寿命が長くなる。
この燃料電池セル3では、ガス流路12内に水素を含む燃料ガスを流して多孔質支持体11を還元雰囲気に曝し、かつ、空気極18の表面に空気などの酸素含有ガスを流して空気極18を酸化雰囲気に曝すことにより、燃料極17及び空気極18で、前記で説明した式(1)及び式(2)に示す電極反応が生じ、両極間に電位差が発生し、発電することができる。
また、この燃料電池セル3は、1つのセルあたり、複数の発電素子部13を形成しているので、その数に応じて、燃料電池セル3当りの発電電圧を高くすることができる。そのため、少ないセル数で高い電圧を得ることができる。
また、前記多孔質支持体11は板状の形状を有し、発電素子部13をその両面に配置しているので、燃料電池セル3の体積当たりの発電素子部13の面積を大きくし、その結果、燃料電池セル3の体積当たりの発電量を大きくすることができる。そのため、必要とする発電量を得るための燃料電池セル3の個数を低減することができる。その結果、構造が簡易になり、組み立てが簡単になるとともに、燃料電池セル3の信頼性を向上することができる。
また、前記多孔質支持体11は、中空形状であり、その内部には複数のガス流路12を設けることが可能であるため、多孔質支持体11の構造強度を向上させることができ、燃料電池セルの機械強度を高めることができる。そのため、燃料電池セルのハンドリングが容易になり、燃料電池セルスタックや燃料電池の組み立てが容易になるとともに、燃料電池セルの優れた信頼性を確保することができる。
なお、図1において、多孔質支持体11の長径寸法(両端の弧状部間の距離に相当)Dは、例えば15mm〜80mm、好ましくは30mm〜80mmの範囲であり、その高さ寸法Hは、例えば100mm〜300mm、好ましくは150mm〜250mmの範囲である。
また、多孔質支持体11は、その開気孔率が、例えば、25%以上、好ましくは、30%〜45%の範囲に設定するとよい。これにより、ガス流路12内の燃料ガスを、燃料極17の表面まで導入することができる。
以下、燃料電池セル3の材料・組成を説明する。
多孔質支持体11の組成として、次のような例を挙げることができる。多孔質支持体11は、Niを、NiO換算で6〜22mol%含有し、Y及び/又はYbを、Y23又はYb23換算で5〜15mol%含有し、Mgを、MgO換算で68〜84mol%含有している。このような組成としたのは、固体電解質との収縮率差を小さくでき、固体電解質の割れを防止することができるからである。
集電燃料極17aは、主に発電した電流を集電層14、接続部材15、16に流すための機能を有するもので、多孔質の導電性サーメットから形成されている。この多孔質の導電性サーメットは、例えば、Niと希土類元素酸化物から構成されている。希土類元素酸化物としては、特にY23、Yb23が望ましい。
活性燃料極17bは、多孔質の導電性サーメットから形成されている。この多孔質の導電性サーメットは、例えば、希土類元素が固溶しているZrO2(安定化ジルコニア)と、Ni及び/又はNi酸化物(NiOなど)とからなっている。また、安定化ジルコニアとしては、固体電解質19の材料と同様のものを用いることもできる。
活性燃料極17bにおいて、安定化ジルコニアの配合割合は、活性燃料極17bの総量に対して、35体積%〜65体積%の範囲が好ましく、Ni及び/又はNi酸化物の配合割合は、活性燃料極17bの総量に対して、35体積%〜65体積%の範囲が好ましい。また、活性燃料極17bは、その開気孔率が、例えば、15%以上、好ましくは、20%〜40%の範囲であり、厚さは、良好な集電性能を発揮させるため、例えば、1μm〜100μmの範囲である。
固体電解質19は、希土類又はその酸化物を固溶させた安定化ZrO2からなる緻密質のセラミックスで形成されている。
ここで、固溶させる希土類元素又はその酸化物としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luなど、又は、これらの酸化物などが挙げられる。好ましくは、Y、Yb、又は、これらの酸化物が挙げられる。
具体的には、固体電解質19として、8モル%のYが固溶している安定化ZrO2(8mol% Yttria Stabilized Zirconia、以下「8YSZ」とする)が挙げられる。また、収縮率が8YSZとほぼ等しいランタンガレート系(LaGaO3系)固体電解質を挙げることもできる。
固体電解質19は、例えば、厚さが10μm〜100μmであり、例えば、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、好ましくは、95%以上の範囲に設定される。
このような固体電解質19は、電極間の電子の橋渡しをする電解質としての機能を有すると同時に、燃料ガス又は酸素含有ガスのリーク(ガス透過)を防止するためにガス遮断性を有している。
空気極18は、多孔質の導電性セラミックスから形成されている。
導電性セラミックスとしては、例えば、ABO3型のペロブスカイト型酸化物が挙げられる。このようなペロブスカイト型酸化物としては、例えば、遷移金属型ペロブスカイト酸化物、好ましくは、LaMnO3系酸化物、LaFeO3系酸化物、LaCoO3系酸化物など、特にAサイトにLaを有する遷移金属型ペロブスカイト酸化物を挙げることができる。さらに好ましくは、600℃〜1000℃程度の比較的低温での電気伝導性が高いという観点から、LaCoO3系酸化物が挙げられる。また、前記したペロブスカイト型酸化物において、AサイトにLa及びSrが共存してもよく、また、BサイトにFe、Co及びMnが共存してもよい。
このような空気極18は、前記した式(1)の電極反応を生ずることができる。
また、空気極18は、その開気孔率が、例えば、20%以上、好ましくは、30%〜50%の範囲に設定される。開気孔率が前記した範囲内にあれば、空気極18が良好なガス透過性を有することができる。
また、空気極18は、その厚さが、例えば、30μm〜100μmの範囲に設定される。前記した範囲内にあれば、空気極18が良好な集電性を有することができる。
集電層14は、一方の発電素子部13の燃料極17と他方の発電素子部13の空気極18とを電気的に接続するものであり、集電層14は、金属層14aと、ガラスの入った金属ガラス層14bとの二層構造からなる。金属層14aは、例えば、AgとNiの合金からなり、金属ガラス層14bは、Agとガラスからなる。金属ガラス層14bにより、多孔質支持体11内のガス流路12を通る燃料ガスと空気極18の外部を通る酸素含有ガスとのリークを有効に防止することができる。金属ガラス層14bの代わりに、上記したように、従来公知の電気伝導性酸化物材料からなる層を用いることができる。
なお、前記した実施形態においては、発電素子部13の内側電極が燃料極17であって、外側電極が空気極18である多層構造を有しているが、両電極の位置関係を逆としてもよい。すなわち、多孔質支持体の表面に、空気極、固体電解質、燃料極を順次積層された発電素子部を形成することもできる。この場合、多孔質支持体のガス流路内には、空気などの酸素含有ガスが流され、外側電極としての燃料極の表面には、水素などの燃料ガスが流されることになる。
次に、前記した燃料電池セル3(特に発電素子部13)の製造方法について、図4(a)から図4(i)を参照して説明する。なお、以下では焼成前の部材(成形体)であっても、焼成後でき上がった部材の名称・番号を付すことがある。
まず、支持体成形体を作製する。支持体成形体の材料として、体積基準での平均粒径(D50)(以下、単に「平均粒径」とする。)が0.1μm〜10.0μmのNiO粉末、Y23又はYb23粉末、MgO粉末を所定の比率で配合して混合する。この混合粉末に、ポアー剤と、セルロース系有機バインダーと、水とからなる溶媒とを混合し、押し出し成形して、内部にガス流路を有する中空の板状形状で、扁平状の支持体成形体を作製し、これを乾燥後、900℃〜1100℃にて仮焼処理して支持体成形体11を作製する。
次いで、集電燃料極材料を用意する。例えば、NiO粉末と、Y23などの希土類元素酸化物粉末とを混合し、これにポアー剤を添加し、アクリル系バインダーとトルエンとを混合してスラリーとし、ドクターブレード法にてスラリーを塗布して乾燥し、厚さ50μm〜60μmの集電燃料極テープ17aを作製する。この集電燃料極テープを、発電素子部13の形状にあわせて切断し、絶縁体を形成する部分を打ち抜く(図4(a))。
次に、例えば、NiO粉末と、Y23などの希土類元素酸化物が固溶したZrO2粉末とを混合し、これにポアー剤を添加し、アクリル系バインダーとトルエンとを混合してスラリーとし、このスラリーを集電燃料極テープ17a上に塗布し、活性燃料極17bを印刷する(図4(b))。
その後、図4(c)に示すように、活性燃料極17bが印刷された矩形状の集電燃料極テープ17aを、仮焼した支持体成形体11に、拡散防止層11aを介して貼り付ける。これを繰り返し行い、支持体成形体11の表面に複数の集電燃料極テープ17aを貼り付ける。なお、このとき一方の集電燃料極テープ17aと、他方の集電燃料極テープ17aとは、幅3mm〜20mmの間隔をあけて配置する。
次に、この集電燃料極テープ17aを貼り付けた状態で、支持体成形体11を乾燥し、その後、900℃〜1200℃の温度範囲で仮焼する(図4(c))。
燃料極17の、集電層14を形成したい部分に、マスキングテープ21を貼り付ける(図4(d))。
次に、この積層体を、8YSZ(8モル%のYが固溶したZrO2粉末)にアクリル系バインダーとトルエンを加えてスラリーとした固体電解質溶液に漬けて、固体電解質溶液から取り出す。このディップにより、全面に固体電解質19の層が塗布されるとともに、前記(a)で打ち抜いた空間にも絶縁体である固体電解質19が充填される。
この状態で、800℃、1時間仮焼する。この仮焼中に、マスキングテープ21とその上に塗布された固体電解質4の層を除去することができる(図4(e))。
次に空気極の形成部分に反応防止層20を塗布して1480℃で、2時間焼成する(図4(f))。
その反応防止層11の上から、ランタンコバルタイト(LaCoO3)とイソプロピルアルコールとを混合したスラリーを印刷し、厚さ10μm〜100μmの空気極18を形成する。そして、1050℃、2時間焼き付ける(図4(g))。
そして、集電層14を形成したい部分にAg/Niからなる金属層14aを貼り付け、さらにAgとガラスからなる金属ガラス層14bを貼り付け(図4(h))、その後、1000℃〜1200℃で熱処理を行う。
最後に、素子間接続部材15、セル間接続部材16を所定位置に塗布して、燃料電池セル3を得ることができる。
次に、前記した燃料電池セル3を用いて組み立てられる燃料電池セルスタック4について、図5、図6を参照して説明する。
図5は、前記した燃料電池セル3を複数組み合わせた燃料電池セルスタック4の接続構造を示す断面図であり、図6は、燃料ガスマニホールド2に装着された燃料電池セルスタック4の斜視図である。
図5に示すように、燃料電池セル3は、千鳥状に配設されており、隣接するセル同士は、表裏面に形成されたセル間接続部材16を介して接続されている。
即ち、一方の燃料電池セル3の端部に設けられたセル間接続部材16は、他方の燃料電池セル3の端部に設けられたセル間接続部材16と、集電用の金属部材を介することなく直接に接触し導通している。
このようなセル間接続部材16を介した接続が、複数の燃料電池セル3に対して行われる結果、燃料電池セルスタック4は、燃料電池セル3同士が直列に接続された構造となる。
このように、前記した燃料電池セル3が、セル間接続部材16を介して直接に接続されているので、セル間を接続するための集電用金属部材が必要なくなるので、燃料電池セル3を密に配置することができる。このため、単位発電量当たりの燃料電池セルスタック4の体積を小さくすることができ、小型で、熱効率の高い燃料電池セルスタック4を提供することができる。
セル間接続部材16の材質は、前記した燃料電池セル3同士を電気的に接続するものであれば特に制限されず、例えば、素子間接続部材15と同様の材料から形成される。
なお、セル間接続部材16とセル間接続部材16との接続部に、AgやPtなどの貴金属を含有するペーストなどの導電性接着剤を塗布することにより、接続信頼性を向上させることもできる。また、導電性接着剤としては、経済的な観点から、好ましくは、Ni金属を含有するペーストが挙げられる。
燃料電池セルスタック4は、図6に示すように、一方向に細長く延びる直方体形状の燃料ガスマニホールドに挿入され固定されている。
前記燃料ガスマニホールド2の上壁は、耐熱性のガラス等で形成されている。この燃料ガスマニホールド2の上壁には短手方向に延びる複数個のスリットが形成されており、多孔質支持体11の各々に形成されている燃料ガス通路12がスリットを介して燃料ガスマニホールド2内の燃料ガス室に連通している。前記燃料電池セルの各々は、燃料ガスマニホールド2の上壁を構成する前記耐熱ガラスに対して、耐熱性に優れたセラミック接着剤などによって接合される。前記耐熱ガラスの材料として、例えばホウケイ酸ガラスを用いる。
この燃料ガスマニホールド2を含む燃料電池セルスタック4を複数集合して、発電ユニット集合体を組み立てる。この発電ユニット集合体に、発電ユニット集合体で発生した電力を燃料電池外に取り出すための電極を取り付けて、収容容器に収容して、燃料電池を製作する。
燃料電池の使用時、水素を含む燃料ガスを、導入管を通して燃料ガスマニホールドに導入する。一方、燃料電池セルスタック4の表面には、酸素を含む空気を導入する。燃料電池セル3を所定温度に加熱すれば、直列に接続された燃料電池セル3によって効率よく発電することができる。使用された燃料ガス、酸素含有ガスは、収納容器外に排出される。
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではない。たとえば、図1に示した燃料電池セルでは、多孔質支持体11は、中空板状以外に中空円筒状などの形状をしていてもよい。また、中空板状の多孔質支持体11の片面に2個、他面に2個、合計4個形成されていたが、この数に限定されるものではない。
燃料電池セル3の一実施形態を示す正面図である。 図1の燃料電池セル3のA−A線横断面図である。 発電素子部13の詳細な構造を示す拡大断面図である。 発電素子部の製造工程を示す断面図である。 前記燃料電池セル3を複数組み合わせた燃料電池セルスタック4の接続構造を示す断面図である。 燃料電池セルスタック4の斜視図である。 従来公知の固体電解質形燃料電池セルの一部を示す拡大縦断面である。
符号の説明
2 燃料ガスマニホールド
3 燃料電池セル
4 セルスタック
11 多孔質支持体
12 ガス流路
13,13′,13″ 発電素子部
14 集電層
15 素子間接続部材
16 セル間接続部材
17 燃料極
18 空気極
19 固体電解質

Claims (7)

  1. ガス流路を内部に備える、電気絶縁性の多孔質支持体と、
    前記多孔質支持体の表面に複数形成され、それぞれが内側電極、固体電解質及び外側電極を積層した構造を有する発電素子部と、
    前記発電素子部の内側電極と、同じ多孔質支持体に形成された隣接する発電素子部の外側電極とを直列につなぐための素子間接続部材とを備え、
    前記発電素子部間を流れる電流の向きが前記ガス流路の方向に対して垂直である、燃料電池セル。
  2. 前記発電素子部は、前記ガス流路の方向に延びた矩形形状を有し、互いに平行に配列されている請求項1記載の燃料電池セル。
  3. 前記多孔質支持体が、中空の板形状を有している請求項1又は請求項2記載の燃料電池セル。
  4. 前記発電素子部は、前記多孔質支持体の両面に設けられている請求項3記載の燃料電池セル。
  5. 前記多孔質支持体にはセル間接続部材が設けられ、
    前記素子間接続部材が接続されていない、両端の発電素子部には、当該セル間接続部材が接続されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の燃料電池セル。
  6. 請求項5記載の燃料電池セルが、前記セル間接続部材を介して互いに電気的に接続されてなる燃料電池セルスタック。
  7. 請求項6記載の燃料電池セルスタックが、収納容器内に1又は複数収納されてなる燃料電池。
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